★ 西日本のA市で地域生活支援事業としては画期的な入院介護制度 頚損や筋ジスも利用対象に

★全障害者がケアマネ利用する仕組みに変わる?   審議会最終報告が出る

11-12月号
2008.12.20
編集:障害者自立生活・介護制度相談センター
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2008年11-12月号    目次

   

 

3・・・・東京都D市で1人暮らしの重度知的障害者に実質24時間介護保障

4・・・・西日本のA市で入院介護制度実施へ 頚損や筋ジスも利用対象に

6・・・・入院時の介護者についてQ&A

・・・・東京都B市・C市で入院中に24時間介護

8・・・・ヘルパー事業所のサービス提供責任者の基準が緩和へ

9・・・・全障害者がケアマネ利用する仕組みに変わる?

12・・・施設からの地域移行の練習の際に、ヘルパー等を利用可能に?

13・・・社会保障審議会障害者部会の解説

20・・・CILを作りたい方へ

22・・・全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

 

 

 

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 2〜3年ほど東京の介護保障協議会事務局で介護制度交渉や自立生活センターの立ち上げ方法を勉強して、地元へ戻り、世の中を変える運動に従事したい障害者を募集しています。


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東京都D市で1人暮らしの重度知的障害者に実質24時間介護保障

 東京都D市で、親が病気で介護できなくなったために1人暮らしを始めた重度の知的障害者に対して、作業所に通っている時間以外の全ての時間について、ヘルパーをつけることのできる支給決定(身体介護と家事援助と移動で決定されたため、重度訪問介護単価で割り戻すと、作業所以外の全時間を埋めることのできる量)が出ました。地元の自立生活センターが交渉しました。詳しくは来月以降、掲載します。

 



西日本のA市で画期的な入院介護制度実施へ

頚損や筋ジスも利用対象に

国庫補助(地域生活支援事業のコミュニケーション支援)を利用

 

 西日本のA市では、来年度4月から入院時の介護制度を始める予定です。

障害者団体の交渉により、制度対象者を言語障害者や重度知的障害者だけに限定しない制度にすることが、ほぼ確定しました。

 たとえば、言語障害のない頚椎損傷や筋ジスでも、肺炎や高熱などでほとんどしゃべれない状態で緊急入院した場合などは、制度が使えます。

 1人暮らしの全身性障害者で毎日長時間の重度訪問介護を使っている障害者が、短期入院した場合、いつもの慣れたヘルパーが病院の中についてくる制度です。ただし、ヘルパーが病院につけられるのは、1日8時間程度で検討されています。

 

A市の制度をまとめると

・対象は言語障害・意思疎通の障害・言語障害がない障害者でも入院中にしゃべれない状態であれば、利用可能

・1日8時間程度

・期間は1回の入院で連続数ヶ月(年間何回でも入院したら利用可能)

・介護者時給は1500円程度

となります。

 

 地域生活支援事業(包括補助金の国庫補助事業)の中のコミュニケーション支援を使った、一時入院中の介護制度は、全国各地で実施する市町村が増えてきています。

 しかし、対象者を広くしている自治体は市の名前を公開してない一方、要綱を公開している神戸市や大阪市が、意思疎通が困難な知的障害者を対象とした極端に対象者の狭い制度を実施しています。このため、神戸市の悪い見本を大阪市がほとんどそのままコピーして制度化するなど、悪い見本の制度が広がる危険性があります。実際、現在相談が寄せられている関西の自治体でも、「神戸市や大阪市の悪いところをそのまま採用しようと課長が検討している」との報告が寄せられています。

 そんな中、今回のA市の交渉による制度の改善は、特筆すべき情報です。

 A市の制度は、4月開始予定です。制度の要綱が作られ、公表できるようになった段階で掲載いたします。現在交渉中で、最新情報が必要な方は、4月前でもお問い合わせください。

 

 なお、東京都内など、80年代・90年代から入院時の介護制度を交渉して制度化してきた自治体では、地域生活支援事業を使わないで在宅のヘルパーをそのまま病院内で使えるようにしている自治体もあります。それらの自治体のいくつかでは、1人暮らしの全身性障害者が自宅で毎日24時間の重度訪問介護を使っている場合は、入院しても24時間をそのまま同じヘルパーで使うことができます(市町村が入院中もなれたヘルパーの介護が必要と認めた重度の障害者限定)。しかも、言語障害のない頚椎損傷や筋ジスなど、コミュニケーションが取れる障害者も制度の対象です。入院中に話ができる状態でも制度が使えます。

 

 全国各地で交渉を始める場合、現状でまったく入院の介護制度がない市町村で制度を作るための交渉をする場合は、まずは地域生活支援事業の国庫補助を使った制度の交渉をするほうが早道です。交渉のノウハウは、過去の月刊誌の各地の入院の介護制度の記事(ホームページにバックナンバーを掲載しています)をお読みのうえ、制度係にご相談ください。

 



入院時の介護者についてQ&A

 

Q 肺炎で仲間の障害者が救急車で緊急入院しました。運ばれた病院では入院時に病院が介護者をつけるのを拒否しています。どうすればいいでしょう?

 

A こう、医者や看護師長に説明してください。「その問題は法的にはクリアされています」「完全看護が始まる時の国の完全看護の通知に、「児童と知的障害者等は例外的に付き添える」という特例があり、この知的障害者等の「等」には、介護方法が特殊で特定のヘルパーでないとだめな重度の全身性障害者も含まれるというのが国の見解です。」「この見解にそって、何割かの自治体の障害福祉施策では、入院中の最重度の全身性障害者に在宅ヘルパーが付き添う制度が作られています」

 なお、この説明で法的な問題がクリアできたとしても、緊急入院した病室が多人数部屋の場合、介護者が夜中に入るとほかの患者に迷惑なので、それを理由に断られることがあります。その場合は、個室や少人数部屋の空いているほかの病院を探して、転院することが必要です。(酸素や薬剤投与中なら救急車の利用も可能です)。

 

 

 



東京都B市・C市で入院中に24時間介護

 

 東京都のB市では、毎日24時間のヘルパー制度を使っている1人暮らしの頚椎損傷の重度障害者が肺炎で入院しました。支援費制度の時代も日常生活支援が入院中も使えたため、自立支援法施行後、初めての入院でしたが、今まで同様に、そのまま自宅にいるときと同じ時間数のヘルパーが使えることになりました。このため、(支援費制度の時代は、移動介護の時間分は使えなかったので、24時間利用ができませんでしたが)、今回は、24時間全部の制度利用が可能になりました。

 C市では、昨年入院した筋ジスの重度障害者が入院中に24時間ついたヘルパーについて、市と話し合いを続けていましたが、市はヘルパー制度の対象にすることを決定しました。

 詳しくは来月以降紹介いたします。

 

 



事業所が探しやすくなる? 

ヘルパー事業所のサービス提供責任者の基準が緩和へ    

 

 厚生労働省老健局は介護保険の審議会(社会保障審議会介護給付費分科会資料)でサービス提供責任者の基準緩和の案を出しました。審議会の議論を経て、厚生労働省は、サービス提供責任者の基準緩和を4月から開始する方向です。

 サービス提供責任者は、事業所のサービス提供450時間に1名配置しなくてはならず、介護福祉士・1級・看護師などで常勤職員を配置しなくてはなりませんでしたが、このうち3分の1は非常勤であっても配置できる緩和が検討されています。

 なお、介護保険で4月から改正される場合は、障害も同時に改正されるのが通常です。

 これにより、利用者にとっては、事業所が探しやすくなる利点があります。たとえば、過疎地で、現在サービス提供責任者が1名しかいない事業所を使っている場合、すでにその事業所のサービス提供が450時間いっぱの場合、新たにサービスを依頼することができません。規制が緩和されると、介護福祉士などの非常勤ヘルパーもカウントされるため、その分、事業所がサービス提供できる時間数が増えます。非常勤は常勤換算でカウントされるため、週20時間の非常勤の介護福祉士1名が増える場合、事業所全体では月225時間のサービスを増やすことが可能になります。

 

 



社会保障審議会障害者部会の最終報告より

 

 自立支援法の3年目の法改正にむけて集中的に行われていた審議会の議論が終わり、最終報告が出ました。(全文はホームページに掲載)

 その中でも、重要な点を紹介します。

 

全障害者がケアマネ利用する仕組みに変わる?

 

 支給決定の仕組みが障害ケアマネジメントとのからみで、大きく変わります。ヘルパー制度などの時間数が決まる前に、中立的な者がケアマネジメントを行い、ケアプラン(サービス利用計画)を作り、それを参考に市町村が支給決定するという仕組みに変わります。

 サービス利用計画は、現在は指定相談支援事業者によって作られていますが、その対象者は予算で全利用者の1割で、実際はほとんど利用されていません。これを改め、原則、すべての利用者に拡大していくべきとされました。

 

(2)ケアマネジメントの在り方

 

(サービス利用計画作成費の対象者)

○  障害者の自立した生活を支え、障害者の抱える課題の解決や適切なサービス

利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援していけるようにする

ため、サービス利用計画作成費の対象者について、施設入所者や精神科病院に

入院中の者を含め、原則としてサービスを利用するすべての障害者に拡大して

いくべきである。

 

  (ケアマネジメントに当たっての視点)

○  ケアマネジメントの充実に当たっては、障害者本人の意向を基に、自己選択、

自己決定を支援していくという視点や、障害者自らの力で自立した生活を送っ

ていけるよう障害者自身の力を引き出していく(エンパワメント)という視点

が必要である。障害者が自らマネジメントできるようにしていく(セルフマネ

ジメント)という視点も必要である。

  あわせて、サービス利用計画の作成に当たりサービス担当者会議の開催等を

通じ、障害者福祉、保健・医療、教育、就労、その他の地域の様々な関係者が

連携して障害者の自立した生活を支えていくという視点が必要である。

 

(サービス利用手続の見直し)

○  サービス利用の手続について、障害者の利用するサービスが適切なもの(必

要かつ十分なもの)となるよう、そのプロセスにケアマネジメントの仕組みを

導入すべきである。具体的には、サービス利用計画の作成が、市町村による支

給決定の後(利用できるサービスが決まった後)となっていることを改め、障

害者が抱える課題を分析し、どのようにサービス等を組み合わせて支援してい

くべきかを含むサービス利用計画案を作成し、支給決定の参考とするようにす

べきである。  

 

(モニタリングの実施)

○  また、サービス利用計画の作成後についても、サービスの利用が障害者の状

況やニーズに適合しているかを確認するため、サービス利用計画作成費の活用

により、一定期間ごとにモニタリングを実施し、サービス利用計画を見直すこ

ととすべきである。

 

(ケアマネジメント・モニタリングを実施する体制)

○  上記のケアマネジメント・モニタリングの実施については、

    ・  市町村がその責任において統一的かつ総合的な判断により支給決定を行う

   という仕組みとの整合性を確保すること

    ・  可能な限り中立的な者が、専門的な視点で一貫して行っていくこと

    ・  様々なノウハウの蓄積や、専門的・専属的に対応できる人材の確保などに

   より、質の向上を図っていくこと

    に留意することが必要と考えられる。

 

○  このため、見直し後のサービス利用計画の作成については、上記の相談支援

 の拠点的な機関が指定事業者となって行うことが適当と考えられる。

   その際、第一義的には相談支援の拠点的な機関が行うこととしつつ、既存の

 相談支援事業者など障害者に身近な相談支援事業者の活用を図るため、業務を

 相談支援事業者に委託できることとすることにより、市町村の実情に応じて、

 障害者が日頃接している者など、障害者に身近な相談支援事業者が積極的に携

 われるようにしていくべきである。

 

 

(つづき)

 中立的な相談支援事業者の設置が各県で全域で出揃うまでは、新しい方式での支給決定は始まらないかもしれませんが、法改正後、数年後には新制度に移行していくことが予想されます。

 今までは、支給決定に当たって、市町村の中には、財政的な制約から、自立した生活ができない、あまりにもひどい支給決定をしている市町村もあります。また、そのような市町村に迎合している、国の障害ケアマネジメントの理念を理解しない民間の相談支援機関も全国各地に存在します。

 障害者団体としては、過去に、厚生省が身体障害者ケアマネジメントを検討を始めた際、その実施に反対し、その後、国の身体障害ケアマネジメントの理念を検討する会議への参加や、都道府県代表者を集める国の障害ケアマネジメント研修会の講師などに最初から参画して来ました。今回の改正でも、各地域で全利用者のケアプランをつくる組織に参画していくことが必要です。介護保険のような当事者主体の理念の薄いケアマネジメントのシステムにならないように、当事者団体も参加しやすくなるように、国との話し合いも同時に進めていきますが、今後の情報も注目しながら、全国各地で県や市など自治体との話し合いも始めていってください。

 

 

自立支援協議会

 また、従来から厚生労働省は、各県の自立支援協議会で「困難事例」の検討などを行い、一部の「自立した生活ができないような支給決定」を行う市町村に対して、法に基づいた支給をするように誘導していきたいという思いがあります。この自立支援協議会には、地域生活移行に実績のある障害者団体も入れるように各都道府県と話し合っていくことも大事です。

(3)自立支援協議会の充実

 

(自立支援協議会の法定化)

○  相談支援事業をはじめとする地域の障害福祉に関するシステムづくりに関し、

中核的な役割を果たす協議の場である自立支援協議会について、設置の促進や運営の活性化を図るため、市町村の実情に応じた設置・運営方法が可能になるように配慮しつつ、法律上の位置付けを明確にするべきである。  

 

(自立支援協議会の運営の支援)

○  あわせて、運営マニュアルや運営の好事例の周知など、国や都道府県におい

て設置・運営の支援を図っていくべきである。その際、自立支援協議会への当

事者の参画を促進すべきである。

 

施設からの地域移行の練習の際に、ヘルパー等を利用可能に?

 最終報告では、施設入所者でも、地域生活の移行に向けて、施設にいたまま、居宅で障害福祉サービスを受けるようにすべきだとされました。実際にヘルパー制度で実施されるかは今後の注目点です。

(移行のための宿泊等の体験を支える給付)

○  長期間入所や入院をしている者が、施設・病院の外での生活に徐々に慣れて

いくことにより、円滑な地域移行が可能となるよう、退所・退院後に自立訓練

事業により生活訓練を受けることに加えて、入所・入院中の段階から、宿泊等

の地域生活の体験ができるような仕組みが必要である。

  このため、地域移行を希望している者について、グループホーム等を体験利

用したり、居宅において障害福祉サービスを利用して過ごす体験をしたりする

場合に給付の対象とすることを検討すべきである。

 

 

自己負担

 なお、自己負担については、審議会の最終報告では、厚生労働省の意向もあって、「原則として利用者負担は残す」という内容でしたが、その後の与党PTでは、「原則、利用者負担はなくす」としています。自己負担がなくなると、ヘルパー利用が増え、予算が不足し、その後の国庫負担基準撤廃や基準アップが困難になるなどの事態も生じます。今後予算不足に対する監視が必要です。

 



社会保障審議会障害者部会の解説(抜粋版)

 

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

 

10月31日、第42回社会保障審議会障害者部会が開催されました。

 

今回は前回積み残しにされた所得保障と、 障害者の範囲、利用者負担をテーマとして議論がされました。

前半は所得保障・利用者負担が一体的に議論される形になり、後半で障害者の範囲についての議論がされています。

 

 

11月6日、第43回社会保障審議会障害者部会が開催されました。

 

今回は、個別論点として、サービス体系と障害程度区分の議論がされるのみになりました。

後半は 障害程度区分について議論が行われ、・「もともと介護保険の要介護認定ベースのものを見切り発車で使ってきたものだ、」・「2次判定の変更率が高く、1次判定がほとんどでないのは問題である、」・「精神、知的、発達障害、コミュニケーション障害、内部障害などが障害特性が反映されるよう根本的に見直すべき」、といった意見が相次ぎ、厚労省は「大幅に見直すつもりである。見直すと言ってもデータや根拠をベースに持ってやらないと。現在、調査を団体にお願いしている。なるべく早くやりたいが、関係団体の合意を得てやっていきたい」 と大幅に見直すことを明言しました。

(資料2−@p20には、現時点での見直しスケジュール案が示されており、 平成24年度からの本格運用を目指すようです)

 

 

11月12日、第44回社会保障審議会障害者部会が開催されました。

 

今回は地域生活支援事業、権利擁護、虐待防止、介護保険との関係などがテーマとなりました。

国庫負担基準については冒頭、前回の大濱委員の提起を受ける形で、高橋委員から「今の基準が充分かは別としてやはり何らかの基準は必要ではないか」 との意見がだされ、大濱委員の代理出席者が「国庫負担基準があることで個人の支給量が制限されてしまっていて、また市町村が超過分を負担しなくてはならない状態になっている」という趣旨を説明しました。

地域生活支援事業については、事務局からのデータの不足が指摘され、「市町村の実施率のデータも実施率では格差はでてこない」、「その内容が問題であり、よくやっている所と、実施しているがほとんど実績がない所を出さないと議論ができない」、「地域生活支援事業は格差が広がっているというが、そのデータもない利用者負担についてもデータがない、いっそ負担をなくしてはどうか。国がもっと強い指導をしていくべき」という意見と「地域の柔軟性は必要であるが財政的担保は最も重要頻度や個別性の高いものは自立支援給付(個別給付)にすべき」、「地域生活支援事業と自立支援給付をわける合理的な理由がない。中身を考えて議論しないと。」
といった制度についての意見が出されました。

後半は主に人材確保育成、虐待防止、権利擁護、成年後見についての議論がされました。

また、最後に「介護保険との関係について介護保険の受給者被保険者の範囲に関する有識者会議は中間まとめの後どうのようになっているのか?」 という質問が出され、事務局は「担当ではないのでわからないが、報告書にあるとおり国民の合意形成にむけて各所で議論しているのではないか」と曖昧な回答をしましたが、省内でもあまり議論がされていない様子でした。

 

 

11月21日、45回社会保障審議会障害者部会が開催されました。


今回は前半は「平成20年障害福祉サービス経営実態等調査の結果」が発表され、
それを元に報酬に関する議論を、後半は9月に示された論点整理に従いこれまで議論を進めてきたものをまとめた「これまでの議論の整理(案)」が示され、これについての議論となりました。


経営実態調査については
・結果だけがしめされ、分析、課題がしめされていない
・単年度だけの調査ではわからない部分が多い
・給与の年齢別データや事業所の規模別データ、地域ごとのデータなどが必要
・人員削減や賃金をカットした後の結果であり、実態を把握して欲しい
・他の産業との比較はしないのか
・平均値を出すことは間違い。どういう分布になっているのか示すべき

・    基準で常勤換算とりいれたことで、非常勤化がすすんでいる。多様な労働形態といっても経営や雇用が安定しなければ意味がない

といった調査結果に対する疑問が示され、これが客観的統計データとして一人歩きしていくことに対する懸念が多くの委員から出されました。
これに対して厚労省事務局は、「単年度だけで見ていくのは難しい面もあり、調査の限界は認識している。この調査結果だけで来年度の報酬改定を勘案するのではなく、審議会含め幅広く意見を聞きやっていく」という回答をしています。後半はこれまでの議論の整理に関する意見が出され、
・相談支援とケアマネジメント
・家族支援とピアサポートの制度化
など多岐にわたる意見が出されましたが、
竹下委員からは、夏に行った関係団体の意見は反映されているのか、
このまとめには事務局側の意見が入っているのではないか
部会で議論になった障害者権利条約のについて言及がないのは何故か
という意見が出されました。
これに対して、厚労省は「関係団体の意見は全部ではないがこの中に入っている、事務局(厚労省)の意見が書かれていることはない、権利条約については、次回以降反映させていくため、意見をもらいたい」という対応でした。
しかし、資料3を見ると、これまでの委員の発言にないような内容も含まれており、厚労省の考える意図、方向性が議論のまとめに書き込まれているようにも思えます。

 

11月27日、第46回社会保障審議会障害者部会が開催されました。


今回は前回に引き続きこれまでの議論の整理(案)を元に、資料の後半部分、障害の範囲、利用者負担、個別論点等について全体的な議論がされました。
今回も議論の範囲が多岐にわたったため、多くの事項について委員それぞれが意見を言い、また、これまでの議論で話された意見を再度発言する委員もいました。そうした中、ショートステイのあり方、障害の範囲、手帳制度のあり方、利用者負担と所得保障社会、国民への啓発など、大きなテーマについての意見が多く出されました。

障害の範囲、手帳制度については自立支援法の付則にも検討課題としてあげられているにもかかわらず、議論は全く進んでいないという印象です。これまでも、この問題に対しては大きな課題でもあり、中長期的に検討の場を設けて行くべきといった意見はだされますが、一向に具体的な動きや議論がされず、毎回、今後の課題として「先送り」されており、この部会の意味や存在意義もが疑われます。
ここへきて、今日の障害の範囲の議論や、前回の座長、事務局の発言から今回の見直しが審議会が立ち上がった当初より範囲の狭い、運用面での小手先の見直しに流れつつあるような印象を受けました。

 

12月3日、第47回社会保障審議会障害者部会が開催されました。

 

 今回は、とりまとめ前の全体議論として4時間もの時間をとって、これまでのまとめ的な集中的議論が行われました。
資料は前回のこれまでの議論の整理案に若干の修正が加えられたものと先ほど示された経営実態調査の補足資料(収支分布や級地区分ごとの収支など)が出されています。
 大きく前半後半にわけての議論でしたが、前半では特に相談支援体制とケアマネジメント、就労支援について、後半では利用者負担と所得保障、審議会の全体や報告書のまとめ方についての議論が大きく扱われていました。
 前半の相談支援体制とケアマネジメントでは今回の見直しの大きなポイントになることから、
・拠点的な窓口と自立支援協議会との連携が重要である
・都道府県の役割や広域的対応を入れるべき
・拠点的総合相談窓口をつくるべきとあるが、財源・人材面で実際にできるのか疑問
・拠点的にも身近なところでも、中立性がポイントになる
といった多くの意見があがっています。

後半は利用者負担と所得保障の問題に意見があがり、「施設で2万5千円残ると言ったがまったく残らない」、「軽減策の強化と継続を求める軽減策の資産要件は撤廃すべき」といった事柄から、今後も検討が必要と抽象的な文言に対して、「負担をしなければ生存さえ維持されないことが本当に福祉に馴染むのか」、「応益負担にした合理的説明は一切ない。負担することで対等な立場になると書かれているが、どの委員がいった言葉か、事務局の見解ではないか」、といった根本的な課題、疑問に対して納得いく説明がされておらず、この問題が審議会内でも納得も合意もされていないことが印象づけられました。
 また地域生活関連では国庫負担基準について「長期的には撤廃すべき」との意見に対して、「基準は必要ではあるが、その引き上げは重要」、「実際支給量の上限として捉える市町村が多く、説明を徹底してほしい」という意見がありました。
 また、地域生活支援事業の移動支援で重度視覚障害者の外出支援の個別給付化にふれ「中軽度の知的障害者にも対象拡大が必要である」という意見もあがっています。
 全体的な議論を通して、3年後の抜本的見直しと掲げてはじまった審議会でしたが、事務局のつくった議論の整理案でやはり「慎重に検討すべき」、「さらに検討すべき」といっった抽象的な表現が多くなっていることから、委員からも疑問を投げかける意見が多く出ていました。
 このままでは具体的な方向性がほとんど見えない、抜本的な見直しとはほど遠い報告書が出されかねないという危機感は、委員の中にもあるようでした。
今日の論議を受けて、厚労省側が、どこまで踏み込んだ報告書案を書いてくるか、次回は注目が集まるところです。

 

12月10日、第48回社会保障審議会障害者部会が開催されました。


今回は資料として報告書(案)が示され、いよいよ今回の部会のとりまとめの最後の議論に入りました。
 示された案は、前回までに示されたこれまでの議論の整理を若干加筆修正したものとなり、昨年の与党合意や、4月にこの部会が始まったときに言われた「抜本的に見直し」とはほど遠い内容になっています。
自立支援法成立時に附則に具体的に盛り込まれている、障害者の所得保障や障害の範囲ですら、具体的な議論がされず、またしても先送りになり、3年前に比べなんら議論が前進していないように思われます。
 この報告書案に対して、本日は総括的な議論が行われましたが、厚労省側は、細かい語句の修正や、文言、言い方に関する委員の意見には応じましたが、それ以外の事項に関しては全く応じる気がないような姿勢を見せています。
 例えば、今日の議論のやりとりの中で就労と移動支援(p42一番下の○)について、「訓練的な移動支援を使い、職場に通えるようになるケースもあるが、継続的に必要な人もいる。通勤だけでなく職場内で食事、排泄の介助などがあれば就労できる人も多くいる。その策の検討に関して書き加えたい」
という委員からの意見があり、他の委員も多く賛同していましたが、
厚労省側は、
「労働部局に職場介助の助成金制度があり、その課題は労働部局の検討課題である」とはねつけ、障害福祉部としてはまったく検討していくことはないという対応でした。
「厚生労働省」とは名ばかりで、2つの部局が共同して課題解決に向かうこともないようです。
 そもそも、委員の多くが賛同する意見を部局が違うのでこの審議会の検討課題ではないとして、意見を受け付けないのはまさに事務局主導、審議会軽視の姿勢と言えます。
 関係団体のヒアリング等を含め半年以上の議論を経て出て来た報告書ですが、
全体的に抽象的な表現が多く、また「引き続き検討」、今後とも更に検討といった文言が目立ちます。
 具体的な見直し案がでているのは、相談支援のサービス利用計画の取り扱いや自立支援協議会、地域生活支援事業の移動支援、地域移行時のサービスの体験的利用ぐらいといってもいいのではないでしょうか。
 今回の報告書を読み、今後自立支援法がどうのように変わっていくのか具体的なイメージをふくらますことはなかなか難しいようにおもいます。

 

 

12月15日、第49回社会保障審議会障害者部会が開催されました。

 

 今回は報告書案のとりまとめで、4月から開催されてきたこの部会も、今回で一区切りとなりました。
 今回は報告書についての追加修正の議論というよりも、報告書全体についての感想や、今回の部会での審議内容、今後の見直しの進め方についての意見や質問をする委員が多くいました。
委員から主に、
・様々な意見は出たが、議論は深まらなかった。
・一歩前進だが、所得保障・障害の範囲など残された課題も多い。本来の目的を達していない。
・この報告書がどのように扱われるか、運用面で反映されるのか。
・報告書の内容が与党PTの「抜本的な見直し」値するものか疑問がある。
・介護保険統合の議論は国民の意識を障害者施策に向ける議論をすべき
といった趣旨の発言がありました。
 語句の修正では9pの「受け入れ条件が整えば退院可能な長期入院患者」とういう表現を「社会的入院患者」として改めるように委員が発言し、他の委員も賛成の意を表しましたが、厚労省事務局はこれを頑なに拒み、最終的に部会長と事務局が調整することになっています。今日の議論を含め若干の文言修正を加え、近日中に報告書が出されます。(編注:12月16日に出されました)

 厚労省側の説明では、今後この報告書を元に厚労省は法律改正事項に関しては来年の通常国会に提出すべく作業をすすめます。その他運用面での政令、省令、通知などは今後も関係団体と調整を続け、具体案をつくっていくとのことです。

今回の報告書は甚だ不十分な内容です。法成立時の附則や付帯決議にあげられた検討事項、例えば障害の範囲、所得保障に関してはほとんど議論がないまま、先送りにされて、3年前から全く進んでいません。
 課題になっている事項について、運用面での見直し、規制緩和や対象拡大にとどまっていて、法律の大きな枠組みや制度を大きく変更していくものはほとんど見あたらず、当初いわれていた、また与党のいう抜本的見直しにはほど遠いものです。また、今後の制度改正についても厚労省のフリーハンドとならないように、不十分ではあるが、少なくともここに書かれていることをがどのように具体化されていくか、3pの基本視点に書かれているように、当事者中心に 制度変更がされていくのか注視する必要があると思います。

 



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自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会

通信研修参加希望者を募集中(受講料無料です)

 障害当事者が主体的にCIL(事業&運動)を行うための研修システムとして、通信研修と宿泊研修を組み合わせた研修を行っています。エンパワメント(サービスを使う障害者自身が社会力などをつける)方式の自立支援サービスを行いながら地域の制度を変える運動を行うという理念にそった当事者団体を作るという方は受講料無料です。内容は、団体設立方法、24時間介助サービスと個別自立プログラム、介護制度交渉、施設等からの自立支援、団体資金計画・経理・人事、指定事業、運動理念などなど。現在、通信研修の参加者を募集しています。(通常、CILの立ち上げには、古参のCILでの数年の研修(勤務)が必要で、運動経験や社会経験がある人でも2年2000時間ほどの研修時間数が必要です。しかし、大都市部から離れた地域でCILを作るためには、数年間の勤務研修は難しいため、地元で生活しつつ、通信研修や合宿研修で基礎を学んだ後、実地で少しずつ小さなCILを始めながら、毎週連絡を取りつつ5〜10年ほどかけてノウハウを覚えて成長していく育成方法を行っています)。

くわしくはお問合せ下さい。フリーダイヤル0120−66−0009(推進協会団体支援部10時〜22時)へ。

 

通信研修参加申込書(参加には簡単な審査があります。次ページも参照を)

団体名(            )

郵便番号・住所

名前

障害者/健常者の別

&職名

Tel

Fax

メール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

推進協会団体支援部 FAX 0424−67−8108まで

 

各団体からの研修参加者の人数について

 障害者の役員予定者・中心的職員で長時間要介助利用の方と、健常者の介護コーディネーター候補者の両方の参加が必要です。


参考資料:推進協会が通信研修を行う団体・個人の理念の条件です

(今すぐできなくても、力がついてきたら、必ずやるという理念を持っていただけるのでしたら対象になり得ます。研修を行い、出来るようになるまでバックアップします。)

 

推進協会が支援する団体の基準について

(1)運営委員会の委員の過半数が障害者であり、代表及び運営実施責任者が障害者であること。

 介助保障の当事者団体(介助を必要とする方自身で運営する団体)ですから、なるだけ介助ニーズの高い方を運営委員会にいれていくようにしてください。団体設立後数年たち、より重度の方が自立した場合などは、なるだけ運営委員会に加えて下さい。

(2)代表及び運営実施責任者のいずれかが原則として長時間要介助の障害者であること。

 代表者及び運営実施責任者(事務局長)は、なるだけ、介護ニーズの高い方がなり、介護ニーズの低い方は例えば事務局次長としてバックアップする等の人事を可能な限り検討して下さい(ただし、理念がわかっていない人や運動性がない人を無理やり代表等にするということではない)。また、団体設立後数年経ち、より重度の方が自立した場合などは、可能な限り役員に登用して役職としてエンパワメントしていってください。

(3)24時間介助保障はもとより、地域にいる障害者のうち、最も重度の人のニーズに見あう介助制度を作ることを目的とする組織である。

 例えば、24時間の人工呼吸器を使って一人暮らししている方、24時間介助を要する知的障害者の単身者、重度の精神障害者の方、重複障害者、最重度の難病の方、盲ろう者など、最も重度の方に対応していくことで、それ以外の全ての障害者にも対応できる組織になります。

(4)当事者主体の24時間の介助サービス、セルフマネジドケアを支援し、行政交渉する組織である、もしくはそれを目指す団体である。

 24時間の介助サービスを行うには、市町村のホームヘルプサービスの利用可能時間数上限を交渉して毎日24時間にする必要があります。交渉を行うには一人暮らしで24時間つきっきりの介助を要する障害者がいる事が条件となります。このプロジェクトではホームヘルプ指定事業の収益を使い、24時間要介助障害者の一人暮らしを支援、実現し、市町村と交渉することを義務づけています。ただし、その力量のない団体には時間的猶予が認められています。この猶予の期間は相談の上、全国事務局が個別に判断します。

(5)自立生活運動及びエンパワメントの理念を持ち、ILプログラム、ピアカウンセリングを今後実施すること。

 介助サービスは利用者自身が力をつけていくというエンパワメントが基本です。具体的には介助サービス利用者に常に個別ILプログラム+個別ピアカウンセリングを行います。

(6)身体障害に限らず、今後研修を積み、他の障害者にもエンパワメント方式のサービスを提供することを目標にしていること。

     (注:個別ILプログラム等のエンパワメント方式のサポートや研修を行わずに、単にヘルパー派遣のみを知的・児童・身体・精神の各障害向けにすることは推進協会としては禁止しています。誤解がおきやすいので特に注意)

 

 


 

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

(介護保険ヘルパー広域自薦登録保障協会から名称変更しました)略称=広域協会
フリーダイヤル  0120−66−0009
フリーダイヤル 

自分の介助者を登録ヘルパーにでき自分の介助専用に使えます
対象地域:47都道府県全域

介助者の登録先の事業所のみつからない方は御相談下さい。いろいろな問題が解決します。

 全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーと同じような登録のみのシステムを支援費ヘルパー利用者と介護保険ヘルパー利用者むけに提供しています。自分で確保した介助者を自分専用に制度上のヘルパー(自薦の登録ヘルパー)として利用できます。介助者の人選、介助時間帯も自分で決めることができます。全国のホームヘルプ指定事業者を運営する障害者団体と提携し、全国でヘルパーの登録ができるシステムを整備しました。介助者時給は今までの制度より介助者の給与が落ちない個別相談システムです。

利用の方法
  広域協会 東京本部にFAXか郵送で介助者・利用者の登録をすれば、翌日から支援費や介護保険の自薦介助サービスが利用可能です。東京本部から各県の指定事業者に業務委託を行い支援費の手続きを取ります。各地の団体の決まりや給与体系とは関係なしに、広域協会専門の条件でまとめて委託する形になりますので、すべての契約条件は広域協会本部と利用者の間で利用者が困らないように話し合って決めます。ですから、問い合わせ・申し込みは東京本部0120−66−0009におかけください。
 介助者への給与は介護型で時給1500円、家事型1000円、日常生活支援で時給1300〜1420円が基本ですが今までの制度の時給がもっと高い場合には今までの時給になるようにします。また、夜間の利用の方は時給アップの相談にのります。介助者は1〜3級ヘルパー、介護福祉士、看護士、日常生活支援研修修了者などのいずれかの方である必要があります。ただし、支援費制度のほうは、14年3月まで自薦ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業の登録介護人として働いている場合、県知事から証明が出て永久にヘルパーとして働けます。2003年4月以降新規に介護に入る場合も、日常生活支援や移動介護であれば、20時間研修で入れます。

詳しくはホームページもごらんください http://www.kaigoseido.net/2.htm

東京地区の身体介護時給が1900円にアップ

(身体介護を伴う移動介護も同単価。詳細はお問い合わせください)

自薦介助者にヘルパー研修を実質無料で受けていただけます

 広域協会では、障害当事者主体の理念の3級ヘルパー通信研修も行なっております。通信部分は自宅で受講でき、通学部分は東京なで3日間で受講可能です。3級受講で身体介護に入ることができます。
 日常生活支援研修は、東京会場では、緊急時には希望に合わせて365日毎日開催可能です。2日間で受講できます。東京都と隣接県の利用者は1日のみの受講でかまいません(残りは利用障害者自身の自宅で研修可能のため)。日常生活支援研修受講者は全身性移動介護にも入れます。3級や日常生活支援の研修受講後、一定時間(規定による時間数)介護に入った後、参加費・交通費・宿泊費を全額助成します。

このような仕組みを作り運営しています
仕組み図

お問合せは TEL 0120−66−0009(通話料無料)へ。受付10時〜22時 
みなさんへお願い:この資料を多くの方にお知らせください。 介護保険ヘルパー広域自薦

登録保障協会 発起人(都道府県順、敬称略、2000年4月時点)

名前 (所属団体等)
花田貴博 (ベンチレーター使用者ネットワーク)
篠田 隆 (自立生活支援センター新潟)
三澤 了 (DPI日本会議)
中西正司  (DPIアジア評議委員/全国自立生活センター協議会)
八柳卓史  (全障連関東ブロック)
樋口恵子  (全国自立生活センター協議会)
佐々木信行 (ピープルファースト東京)
加藤真規子 (精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)
横山晃久  (全国障害者介護保障協議会/HANDS世田谷)
益留俊樹  (NPO自立生活企画/NPO自立福祉会)
川元恭子  (全国障害者介護保障協議会/CIL小平)
渡辺正直  (静岡市議)
名前 (所属団体等)
山田昭義  (DPI日本会議/社会福祉法人AJU自立の家)
斎藤まこと (名古屋市議/共同連/社会福祉法わっぱの会)
尾上浩二  (障害者総合情報ネットワーク)
森本秀治  (共同連)
村田敬吾  (自立生活センターほくせつ24)
光岡芳晶  (特定非営利活動法人すてっぷ)
栗栖豊樹  (CILてごーす)
佐々和信  (香川県筋萎縮性患者を救う会)
藤田恵功  (土佐市在宅重度障害者の介護保障を考える会)
田上支朗  (NPO重度障害者介護保障協会)

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の理念

47都道府県で介助者の自薦登録が可能に 障害施策の自薦登録ヘルパーの全国ネットワークを作ろう

 2003年度から全国の障害者団体が共同して47都道府県のほぼ全域(離島などを除く)で介助者の自薦登録が可能になりました。

 自薦登録ヘルパーは、最重度障害者が自立生活する基本の「社会基盤」です。重度障害者等が自分で求人広告をしたり知人の口コミで、自分で介助者を確保すれば、自由な体制で介助体制を作れます。自立生活できる重度障害者が増えます。(特にCIL等のない空白市町村で)。

 小規模な障害者団体は構成する障害者の障害種別以外の介護サービスノウハウを持たないことが多いです。たとえば、脳性まひや頚損などの団体は、ALSなど難病のノウハウや視覚障害、知的障害のノウハウを持たないことがほとんどです。

 このような場合でも、まず過疎地などでも、だれもが自薦登録をできる環境を作っておけば、解決の道筋ができます。地域に自分の障害種別の自立支援や介護ノウハウを持つ障害者団体がない場合、自分(障害者)の周辺の人の協力だけで介護体制を作れば、各県に最低1団体ある自薦登録受け入れ団体に介助者を登録すれば、自立生活を作って行く事が可能です。一般の介護サービス事業者では対応できない最重度の障害者や特殊な介護ニーズのある障害者も、自分で介護体制を作り、自立生活が可能になります。

 このように様々な障害種別の人が自分で介護体制を組み立てていくことができることで、その中から、グループができ、障害者団体に発展する数も増えていきます。

 また、自立生活をしたり、自薦ヘルパーを利用する人が増えることで、ヘルパー時間数のアップの交渉も各地で行なわれ、全国47都道府県でヘルパー制度が改善していきます。

 2003年度、支援費制度が導入されることにあわせ、47都道府県でCIL等自立生活系の障害当事者団体などのNPO法人が全国47都道府県で居宅介護(ヘルパー)指定事業者になりました。全国の障害者団体で共同すれば、全国47都道府県でくまなく自薦登録ヘルパーを利用できるようになりました。これにより、全国で重度障害者の自立が進み、ヘルパー制度時間数アップの交渉が進むと考えられます。47都道府県の全県で、県に最低1箇所、CILや障害者団体のヘルパー指定事業所が自薦登録の受け入れを行い、全国47都道府県のどこにすんでいる障害者も、自薦ヘルパーを登録できるようになりました。(支援費制度のヘルパー指定事業者は、交通2〜3時間圏内であれば県境や市町村境を越えて利用できます)。

全国で交渉によって介護制度が伸びている全ての地域は、まず、自薦登録ヘルパーができてから、それから24時間要介護の1人暮らしの障害者がヘルパー時間数アップの交渉をして制度をのばしています。

自薦ヘルパーを利用することで、自分で介助者を雇い、トラブルにも自分で対応して、自分で自分の生活に責任を取っていくという事を経験していくことで、ほかの障害者の自立の支援もできるようになり、新たなCIL設立につながりがります。(現在では、雇い方やトラブル対応、雇用の責任などは、「介助者との関係のILP」実施CILで勉強可能)

例えば、札幌のCILで自薦登録受け入れを行って、旭川の障害者が自分で介助者を確保し自薦登録を利用した場合。それが旭川の障害者の自立や、旭川でのヘルパー制度の時間数交渉や、数年後のCIL設立につながる可能性があります。これと同じことが全国で起こります。(すでに介護保険対象者の自薦登録の取組みでは、他市町村で自立開始や交渉開始やCIL設立につながった実例がいくつかあります)

自薦登録の受付けは全国共通フリーダイヤルで全国広域協会で受付けます。全国で広報を行い、多くの障害者に情報が伝わる様にします。

自薦登録による事業所に入る資金は、まず経費として各団体に支払い(各団体の自薦登録利用者が増えた場合には、常勤の介護福祉士等を専従事務員として雇える費用や事業費などを支払います)、残った資金がある場合は、全国で空白地域でのCIL立ち上げ支援、24時間介護制度の交渉を行うための24時間要介護障害者の自立支援&CIL立ち上げ、海外の途上国のCIL支援など、公益活動に全額使われます。全国の団体の中から理事や評議員を選出して方針決定を行っていきます。

 これにより、将来は2000市町村に全障害にサービス提供できる1000のCILをつくり、24時間介護保障の全国実現を行ない、国の制度を全国一律で24時間保障のパーソナルアシスタント制度に変えることを目標にしています。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の利用者の声

★(関西) 24時間介護の必要な人工呼吸器利用者ですが一般事業所はどこも人工呼吸器利用者へヘルパー派遣をしてくれないので、広告で募集した介助者に全国広域協会の紹介でヘルパー研修を受講してもらい、全国広域協会を利用しています。求人紙での求人募集方法のアドバイスも受けました。介助者への介助方法を教えるのは家族が支援しています。

★(東日本の過疎の町) 1人暮らしで24時間介護が必要ですが、介護保障の交渉をするために、身体介護1日5時間を全国広域協会と契約して、残り19時間は全国広域協会から助成を受け、24時間の介助者をつけて町と交渉しています。

★(東北のA市) 市内に移動介護を実施する事業所が1か所もなく、自薦登録で移動介護を使いたいのですが市が「事業所が見つからないと移動介護の決定は出せない」と言っていました。知人で介護してもいいという人が見つかり、東京で移動介護の研修を受けてもらい全国広域協会に登録し、市から全国広域協会の提携事業所に連絡してもらい、移動介護の決定がおり、利用できるようになりました。

★(西日本のB村) 村に1つしかヘルパー事業所がなくサービスが悪いので、近所の知人にヘルパー研修を受けてもらい全国広域協会に登録し自薦ヘルパーになってもらいました。

★(北海道) 視覚障害ですが、今まで市で1箇所の事業所だけが視覚障害のガイドヘルパーを行っており、今も休日や夕方5時以降は利用できません。夜の視覚障害のサークルに行くとき困っていましたら、ほかの参加者が全国広域協会を使っており、介助者を紹介してくれたので自分も夜や休日に買い物にもつかえる用になりました。

★(東北のC市) 24時間呼吸器利用のALSで介護保険を使っています。吸引してくれる介助者を自費で雇っていましたが、介護保険の事業所は吸引をしてくれないので介護保険は家事援助をわずかしか使っていませんでした。自薦の介助者がヘルパー資格をとったので全国広域協会に登録して介護保険を使えるようになり、自己負担も1割負担だけになりました。さらに、今年の4月からは支援費制度が始まり、介護保険を目いっぱい使っているということで支援費のヘルパーも毎日5時間使えるようになり、これも全国広域協会に登録しています。求人広告を出して自薦介助者は今3人になり、あわせて毎日10時間の吸引のできる介護が自薦の介助者で埋まるようになりました。求人広告の費用は全国広域協会が負担してくれました。介助者の時給も「求人して介助者がきちんと確保できる時給にしましょう」ということで相談のうえ、この地域では高めの時給に設定してくれ、介助者は安定してきました。

 

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