「障害者8団体が1割負担受け入れで合意」というニュースジャパンの誤報について
6月24日・25日のマスコミ2社の報道で事実と違う内容がありました。当会は報道された「障害者8団体」には入っておりませんが、不正確な報道はよくないと思いますので、記者会見の65分の内容をすべて公開します。(当会ホームページに掲載しています)
24日金曜の夕方5:45からの8団体の共同記者会見の録音記録です。 http://www.kaigoseido.net/kisyakaiken2005-06-24.wma
(ウインドウメディアプレーヤーファイル12MB 65分)
(右クリックして「対象をファイルに保存」を選べばダウンロードできます)
・この記者会見は民主党に修正協議に戻るように、その意見を言うためだけに8団体が行ったものです。
・記者会見の場に集まった団体は8団体のうち6団体です。8団体の共同文書は「与野党で修正協議を再開してほしい」という内容です。1割負担のことには触れていません。
・記者のなかに「民主党に修正協議に戻ることを求めるということは(イコール)1割負担容認ですか」との趣旨を質問している人が多くいました。(この法案の最大の問題は1割負担のことではありません。審査会や国庫補助基準の問題ことで、これは重度障害者の命に関わります。生活費の問題である「自己負担問題」は命に関わることはありません。日本では生活保護制度があるので、障害者が生活費の問題で死ぬことはありません。当会の会員である全国の重度障害者は介護制度の不足で毎年死んでいるのです。)マスコミも政党もその多くはこの法案の問題点を「1割負担」のことが重要なこととしか考えてないように見受けられます。多くの障害者も自己負担の問題ばかりをマスコミや政党に言いすぎです。これが誤報の原因だと考えられます。すでに7月8日には与党過半数で厚生労働委員会で可決の予定です。修正協議を離脱した民主党に対して協議にもどれと要望するのは当然です。現状の法案のいろいろな問題点を容認していようが、してなかろうが、修正協議がされないと、沢山の問題が少しも解決されない政府原案のままで可決されてしまいます。(これに対して、与野党協議が行われれば、少しは改善されます。厚生労働省も水面下で各政党にそれぞれの項目の問題点についての改善できる範囲の話を提示している最中だったのです。これも、修正協議が中止になったため、日の目を見ないことになってしまいます)。
「修正協議に戻れと言うことは1割負担を容認したんですね」・・・・・と考え、8団体で合意などしていない内容を「合意した」と事実を変えてニュースにするのは、おかしいことです。
[記者会見で8団体が発表した文書]
2005年6月24日
障害者自立支援法案に関する障害関係8団体の緊急声明
各党間における修正協議の継続を求める
この間の政党間の修正協議をめぐる動きに対し、われわれは大きな危惧をいだいています。
そのため、本日、障害関係8団体は緊急に会合をもち、協議が継続されることを各党に要請することを確認しました。政争の具とすることなく、障害のある人の地域生活の確立のために、真摯な協議を継続され、障害当事者に納得のできる結論をだされることを一致して強く望みます。
社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長 小川榮一
日本障害者協議会 代表 勝又和夫
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長 三澤了
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長 笹川吉彦
財団法人 全日本聾唖連盟 理事長 安藤豊喜
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 理事長 妻屋明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原治
財団法人 全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松正泰
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なお、DPI日本会議はフジテレビと毎日新聞に対し、抗議文を送り、このような報道をされた経緯をホームページに掲載しています。
追加解説として下に当会のホームページ掲示板でのやり取りを掲載しておきます。(投稿者名は仮名にしてあります。)
[656] 自立支援法 投稿者:a 投稿日:2005/06/25(Sat) 10:17
8団体のトップが条件付で応益負担を飲む方向で動いているという情報が流れています。これは、事実でしょうか?デマでしょうか?ご教示ください。
[657] Re:[656] 自立支援法 投稿者:事務局 投稿日:2005/06/25(Sat) 10:42
結論から言うと、間違いです。
昨日、6月24日金曜日、障害者8団体は15時から緊急に集まり、民主党が修正協議を打ち切ったことに対し、「与野党で協議を再開してほしい」と記者会見することに急遽決まり、その1点だけで合意し、共同で17:45より厚生省記者クラブで記者会見しました。
国会は与党過半数ですから、民主党が与野党協議を打ち切ると、政府原案のまま一切修正なしで7月8日にも可決されてしまいます。
それは困るので「修正協議に戻ってほしい」という1点だけの記者会見だったのですが、声明を読み上げたあと、記者からの質問時間で、1時間以上も質問が続き、「民主党に協議にもどれということは、応益負担に賛成なのですか」「取材した地方の当事者は一致して応益負担反対といっていますが、幹部が意見が違うように聞こえるのはなぜか」等の応益負担の質問ばかりが出ていました。
これには、各団体がばらばらに答えていましたが、答えていない団体もあります。
金曜日24時ごろのフジテレビニュースジャパンで 「障害者8団体が1割負担を飲むことを合意」と流れました。
8団体でこんな合意はしてませんし、記者に正確に伝わっていないのだと思います。
[660] 失望しました 投稿者:b 投稿日:2005/06/25(Sat) 20:15
昨日の会見正直失望です。 あれだけ反対してた負担のことどうして受け入れたのですか。廃案を目指すという選択肢はなかったのですか? 8団体の皆さんはきちんと説明すべきだと思うんですが
[661] Re:[660] 失望しました 投稿者:事務局 投稿日:2005/06/25(Sat) 22:39
「8団体が1割負担受け入れで合意」というニュースが24日24時ごろフジ系ニュースジャパンで流れました。しかし、記者会見の全部の録音記録を聞きましたが、そのような事実はありません。誤報です。
記者会見は民主党が与野党協議に戻るように声明を出すことを求めてその1点だけを8団体で合意して行ったものです。
記者会見で8団体側がそのことを説明後、1時間以上記者からの質問が続きましたが、会見と直接関係ない話の、1割負担の話題ばかり話したのは記者の側です。それに対して、それぞれの団体がてんでばらばらに各団体の意見を言っただけです。(記者会見に出席していない団体もあります)。
それを、「8団体が1割負担に容認の合意」といった誤報を流した社が2社あります。(2社目は最初の社の報道に影響されて見出しをつけるデスクが間違った可能性があります。記事自体はそれほど悪くありませんが、見出しが「8団体が容認」となっています)。
記者会見の録音記録がありますので、聞いていただくことが可能です。
[662] 自立支援法案の状況 投稿者:事務局 投稿日:2005/06/25(Sat) 22:53
国会状況をご案内します
現在自民党と公明党が国会の過半数です。
このため、自立支援法案は7月8日には与党過半数で委員会で可決の予定です。
民主党が自民党と修正協議を行っていましたが、修正協議から離脱しました。
このため、法案は何の修正もされないまま、政府原案のまま与党過半数で可決されそうです。
現在、さまざまな障害者団体は、民主党に対し、修正協議に戻るように言っています。
現在の状況は、与党過半数ですので、廃案はありません。 あとは、
1 民主が自民との修正協議に戻り、修正されて可決か、
2 修正協議が行われないまま、修正されずに原案通りで可決
の2つしかありません。
いろいろな団体ががんばって与党野党に働きかけを行いましたが、現在の状況はこのような状況です。
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