社会保障審議会障害者部会 (8月16日)の傍聴メモ
出席委員;嵐谷、安藤、猪俣、江上、岡田、岡谷、亀井、君塚、笹川、小坂、古畑、小林、新保、末安、高橋(清)、高橋(紘)、京極、武田、丹下、堂本、徳川、永井、妻屋、長尾、野中、広田、福島、町野、松友
京極;それでは定刻を過ぎましたので、第16回社会保障審議会障害者部会をはじめさせて頂きます。まずはじめに委員の出欠状況と資料の確認を事務局よりお願いします。
事務局(間課長補佐);まず、7月23日付で厚生労働省の人事異動がありましたのでご挨拶致します。障害者福祉課長松島氏、企画官伊原氏。
委員の北岡委員、斉藤委員が欠席、猪俣委員、岡谷委員、新保委員、堂本委員、永井委員、広田委員、町野委員、松友委員がおくれているようです。
資料確認の確認をさせて頂きます。資料1は前回承認頂いた中間まとめ、修正後のものです。資料2は介護保険部会の中間まとめで、被保険者のところを抜粋したものです。資料3は障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する検討会について。別紙で議論の整理のポイントをまとめたものをつけております。資料4は精神障害者の地域生活支援のあり方に関する検討会の議論の整理。資料5は精神病床等に関する検討会にいて。最後に第5回障害者部会でお配りした資料を配布してあります。
京極;前回当部会で、中間的とりまとめをした。それを受けての介護保険部会の報告を事務局から。その次に3つの検討会の報告にいきます。
渡辺(老健局企画官);介護保険部会の報告をいたします。これまで16回開催し、7月30日にとりまとめたものです。目次が全体像で、大きく3つの視点からなっています。1つは基本理念を軸にこれまでの実績を踏まえること。2つ目は今後10年の展望とそれに伴う新た課題。被保険者・受給者の範囲についての3点です。
障害施策と関係する被保険者と受給者のあり方に関しては、2回審議を行った。障害者部会の中間とりまとめからも議論した。結果からいうと、介護保険部会として一定の方向をとりまとめるに至らなかった。
9月以降はこれに焦点を絞り審議する。ここでは主な論点、介護保険部会としての意見・問題点を示した。国民議論の素材になればと思う。ポイントだけ説明する。p6から被保険者受給者の問題について、介護保険との関わり、障害者施策との関わりで分けて論じている。介護保険からの視点では、被保険者の年齢を引き下げるかどうかと受給者に若年障害者を含むかは、表裏一体の関係で被保険者の年齢を下げれば、受給者も下げるのは前提。
現在の介護保険は老化に伴う介護認定。老人のための制度。40歳からは特定疾病のみ。つまり受給者を引き下げることは介護の必要となる原因に対する制限をなくすことである。被保険者引き下げは担い手の拡大を意味する。また財政が安定することにより、長期的にプラスとなる。むしろ2号被保険者の保険料は世代間扶養の側面が強いが、引き下げは同世代間の支援の側面が強まる。
障害者施策からみると、現在も65歳以上の障害者はまず介護保険使っている。それ以外、介護保険以外の部分は障害者施策を組み合わせて使っているが、これは保険優先の考え方で、健康保険、年金も同じである。現在の高齢障害者への適応を若年障害者にも広げることを意味する。対象とならないニーズへの対応の問題もある。若年障害者の社会参加、就労支援がこれに当たる。これをどうするかが論点。サービス内容も介護保険は地域ケアを目指している。これは障害者施策にも共通するものである。ケアマネジメント、支援のあり方ついてだが、ケアマネジメントは課題であり、早急な検討が必要。介護と就労支援が同時に行われているケースなどはどうするかなど。要介護認定については、特に知的、精神どうするかが課題。
その上で、介護保険部会の積極的な考え方、慎重な考え方を示し、部会としては結論に至っていない。国民、市町村、障害者当事者、意見が必要としてある。
積極的な考え方は4つ。1つ目はニーズの普遍性に関して。年齢や原因に関係なく介護が必要な状態に対応するのが普遍的である。2つめは地域ケアの展開から年齢・障害種別で分断があってはならない。3つ目は財政問題。被保険者拡大によって財政安定につながる。4つ目は障害者施策推進においても財源が確保され、介護保険ができたことにより老人のサービスが増えたので、障害者サービスの拡大につながる。
一方、慎重論もある。これも4つ。1つ目は保険システムという観点から。税金・公費で賄うものである。障害者になる確率は低く、被保険者の不公平感があり、納得が得られない。市町村が保険者だが、負担と給付の連動が図れるのか。2つ目、若者に負担が増え理解が得られるのか。3つ目は現行サービス水準の低下の不安。4つめは時期尚早という意見。支援費のこれまでの検証をし、改善の検討を優先するべき。サービスの受け皿も充分ではない。
先にも述べたが、現時点では一定の結論は得られなかった。審議については2回程度で、時間面でも足りない。具体的な議論が今後必要と意見があった。引き続き焦点をここに絞り介護保険部会で議論していく。
京極;意見、質問等ありましたらどうぞ
徳川;聞いていて感じたのは、正にこういう議論を私たちがしなくてはいけなかったのではないかということ。議論が薄く、介護保険部会でやったように、慎重論・積極論をもっと考えるべきだった。もう一つ医療の問題、専門的医療ふれられてない。これについてはいかがか。
渡辺;全体の報告の第2部で医療と介護の関わりに言及している。介護報酬と診療報酬の関係などにふれているが、すべて網羅はしていない。障害者の医療についてはまだ障害者に関する問題の入り口だから、その段階までは至ってない。
笹川;支援費では障害児も対象となっているが、この問題はどう扱われるのか。
渡辺;そこも正にこれからの議論。被保険者、受給者は連動している。具体的に受給者をどこから考えるかは一つの論点で、扶養として0歳からということもある。まだその議論まで至ってない。
京極;これは非常に重要な論点です。
安藤;介護の普遍性に関して、介護保険部会、障害者部会の議論はできてきた。枠を越えた全体の方向性が必要。全体の福祉のあり方としてまとめが必要。その辺の関連をどう考えているのか。
村木;先日、社会保障全体を議論する懇談会ができた。しかし介護ニーズについては厚労省のテーマであり、ここで議論していく。社会保障は政府全体の大きなもので、当面平行して議論していく。あちらの結論を待っていては改革はできない。個別の議論を全体にも反映させていく。
広田;精神障害者にとって、退院後の地域での生活に関して関わりが大きく、本人が危惧している。慎重にと思っているが、私は前向きに考えている。障害者とってデメリット・メリットをしっかりと話してほしい。先日、学生達に聞いたら大半は保険料は払ってもいいと言っていた。聞きたいのは、障害者部会として出す意見で、介護保険に行きやすくなるのかどうか。
渡辺;4月に拡大の議論をしたとき、精神障害者や制度の谷間の人も視野に入れて検討をした。しかし対象となるのは大半は障害者。障害者部会での意見は出発点となるもの。議論の基本となるもの。介護保険部会には市町村や、企業、等様々な関係の人もいるので、さまざまが意見ある。
末安;p8のところについて。今後の目指す方向として「地域ケア」とあるが、これはどのようなイメージか。また最後の3行で、「現行の要介護認定によって」とあるが、今の介護認定をそのまま使うのか。障害者施策でも国もケアマネを強力に推進しているが、介護認定とケアマネはイコールではないが、障害者ケアマネジメントと要介護認定で、少し混乱が起きないか。
渡辺;これは将来展望の中の課題。今後2015年ぐらいまでに高齢の一人暮らしが増えること、夫婦のみの世帯が増えることが考えられ、1000万世帯にも上る。これを支えていくためのもの。身近なところでいえば緊急対応システムなど、新しいサービスが地域ケアでは必要となってくる。
後段は、大島に
大島(介護改革本部);要介護認定については、今のものはかなり時間かけてつくっった。障害者に適応する新しいものを考えると相当な時間がかかる。まずはそのまま原稿の要介護認定を使ったら、問題点はなにか調べる必要ある。それをスタートにして考えていきたい。ケアマネジメントに関しては、同じ言葉が使われるので概念整理が必要。介護以外、と介護の特化したケアマネジメントがあるが、ここでは広い意味でのマネジメントを書いている。介護保険部分の介護のケアマネジメントも包含される趣旨が前提になっている。改めて整理が必要。
末安;ドイツは精神障害者の要介護認定が低くなって、すぐに改正した。ご存じだとは思うが、その辺も考慮してやってほしい。
妻屋;両論併記となっているが今後のスケジュールから、11月から12月に法案の準備にかかるのか。来年の国会に提出するつもりか。
渡辺;それが前提で進めている。年末までに、この問題も含め一定の方向を出す。ここでは示していないが、この意見書は多岐にわたる。法改正したからすぐに変わるのではなく、実際の実施は、サービス整備を踏まえ、徐々にやっていく。
京極;介護保険部会、障害者部会として、社会審議会(親会)に報告する手続きがまず必要となる。秋以降は障害者部会でも個別事項・重要案件を議論しつつ継続審議が必要。しばらくは平行線でやっていく。介護保険部会からは両論併記で返ってきたということ。またキャッチボールになる。政治も絡む話しで、どうなるか正直わからない。さしあたりこの問題はここで切らせてもらいます。
それでは3つの検討会の報告を事務局よりお願いします。
伊原(障害福祉部企画官);資料3、障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する検討会で昨年5月から計19回議論してきたまとめ。支援費の問題、国庫補助の問題を議論をまとめたものとなっている。別紙に付けた議論の整理のポイントで内容を説明したい。
2つに分かれており、地域生活支援のあり方と国庫補助基準のありかたで、読み上げます。
=資料読み上げ=
矢島(精神保健福祉課長);この検討委員会は精神疾患や精神障害者について国民各層が、正しく理解を深める取り組みを進め、精神医療、地域生活支援の充実という観点から検討を進めてきた。1枚目につけたポイントに沿って説明する。本文は13pある。資料もついている。
=資料読み上げ=
京極;ご質問等あれば随時ご発言頂きたい。
安藤;質問ですが、検討会は社会援護局長の諮問機関で個別問題論議する場だが、審議会とこれらとの関係はどのようなものか。
村木障害福祉部企画課長;秋以降の議論は、3つの報告を材料にしよくこななして、具体的な案を示し、議論してもらう。この報告書から議論の材料を示していく。
妻屋;長時間介助利用者について全文に「生命・身体の維持に関するサービスは国の責任で」とあるが、17年度の対応のところには包括的報酬が検討されている。このあたりはしっかり議論がされたのか」ここは充分議論してほしい部分だが。
伊原;確認したが、第17回に案をお示しし、17、18回と包括について議論された。しかし具体的内容は示されていない。内容はこれから検討し、導入の是非含め今後の議論となる。
京極;私も委員の一人だが、充分かといわれれば、充分ではない。
竹田;介護保険部会の報告では、今後の検討事項としてで介護予防に関することが入っている。最近現場では、様々な人が来るようになり、病気だけではなく、警察にお世話になる方や、青少年の健全育成に関することなど、壁が低くなっている。精神の現場にそういう依頼が多くなってきている。精神障害者の分野ではは予防の意味が大きい。もう少し関わっていれば重度にならなかった、ということもある。予防の視点を今後入れてほしい。
矢島;今日示したのは地域生活支援の検討会中間まとめからの説明だけで、予防の観点は重要だと考えている。
丹下;厚労省はこのテンポでの法改正を可能と思っているのか。知的、身体、精神、すべて17年度で期を一にしてできるつもりがあるのか。また障害者の就労促進法は、前倒しして来年には作るといっているが、福祉と就労の法の連携が命題なのに全く議論されていない。やるつもりがあるのか。わかる範囲でいいのでお答えいただけたら。
村木;精神障害者は17年度法改正でやっていくつもりです。知的・身体も、同じ形・タイミングでやっていきたい。促進法は、研究会の報告書あがったところ。これの審議会も秋には立ち上がると思われる。これも一緒に法改正できるのか、考えながらやっていきたい。
京極;法改正までは政治の絡みでわからない。今後の状況でもまた変わってくるでしょう。
笹川;4つの報告とも国民の理解を求めている。国際障害者年以降、障害者に対する理解が進んでいるがまだまだなのが現状。そうした中で、あと5ヶ月でコンセンサスができるのか。どういう事を考えているのか、コンセンサスができなかったら、このスケジュールでできるのか。
村木;財源確保を含めて、秋に具体的な議論をしていく。障害者とか市町村と話し合いを重ね、できるだけ17年度の法改正を進めたい。できるだけの努力をしたい。この問題は厚労省だけでは進められない。
京極;介護保険の話しは大きく扱われるが、障害者のことは割と大きく扱われない。マスコミ対策も必要。永井委員久々だが。何か意見ありますか。
徳川;医療の問題が薄い。最後のp4に出ているが、長時間の介護の必要な人だけ。そうではなく、障害者は医療になじみにくい現状がある。診察がなかなか受けられない事が多い。歯科診療を受けられなくて悪化することもある。施設はある程度ある医療の体制が整っているが、地域には整備が必要。医療が必要との考えは。
伊原;重要な指摘だとは思う。ただこの委員会は支援費がメインであり、どうしても焦点が支援費になる。ご指摘のポイントは議論されていない。
広田;兵庫県加古川の事件で、実名報道がされないので、精神障害者と思った。通院入院歴はなかったようだが。竹田委員と同じで、警察から相談を受けている。それは地域で24時間の相談体制がないから。それと事務局はがんばっているが、義務教育程度でもわかるように書いてほしい。きちんと分かり易く書くとマスコミにも載りやすいし私も傍聴者も分かり易い。私は今、自宅に被害妄想のおばあさんを預かっている。相談者してくる家族は、ケアマネジメントなんかでどうしてもつらくなり、本人を入院・施設にいれたいというのがある。これは家族が少し本人と離れ休むなどして、レスパイトサービスがあれば減らせる。現在ショートステイなどでレスパイトは使えないが、それも必要である。あと社会的入院に関して、病床を減らしていく数値目標はあるのか。
矢島;救急医療のところ、p10の一番上に2次医療圏=郡市の単位で構築していく供給システムがある。これには家族に対するものとしても重要と考えていいて、包括的なシステムといっているので、家族支援もふくまれてくる。
病床の数値目標は10年の目標としてある。中間年で5年後で示している。
京極;時間を過ぎたので終わりにします。今後は当部会の審議状況を親部会に報告する。その後に関しては事務局の方から。
村木;個別の事項に関して、具体案を出して議論して頂く。介護保険については介護保険部会でも議論がすすむが、それも随時報告していく。第5回に示したとおり、心神喪失者医療観察法に関する事項も諮りたい。次回は9月中旬以降になる。日程に関しては今後連絡する。
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