月 刊   全国障害者介護制度情報

★支援費と介護保険の統合問題

★九州のF市で24時間介護保障に (詳細解説)

★4月に向けてヘルパー時間数アップ交渉を

2月号
2004.2.27
編集:障害者自立生活・介護制度相談センター
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2004年2月号    目次

   

4・・・・支援費の介護保険統合問題その後
4・・・・8団体と厚生労働省の毎週学習会の報告
14・・・支援費が介護保険に入ると考えられる大きな問題点
18・・・九州北部のF市で24時間介助保障実現
24・・・数年後には介護者運転で車で移動すると無許可では逮捕に
26・・・障害当事者によるホームヘルパー指定事業者を全国1000ヶ所に
28・・・通信研修参加希望者を募集中
31・・・広域協会のご案内
33・・・16年度のヘルパー単価厚生省案出る



支援費の介護保険統合問題その後

 先月号で特集した介護保険との統合問題ですが、その後1ヶ月で目立った進展はなく、表面上はのんびりとした厚生労働省障害保健福祉部企画課長ほか数人と障害者主要8団体の介護保険関係の学習会が毎週木曜日に行われています。企画課長は「まずは介護保健制度に関する学習会を行い、共通認識を作りたい」「提案できる案はまだ、まったく作っていない」といい、障害者8団体は統合を前提とはせずに、まずは厚生労働省の話を聞くという態度でこの会合に望んだのですが、いつまでたっても、厚生労働省の案を聞けず、団体内部に持ち帰って討議するための検討資料もまったく入手できない状態です。この状態に対し、いくつかの団体からは、「引き伸ばしの策略ではないか。気がつけば統合が決定しているのではないか」と危惧する声もあります。これに対し、課長からは「決して引き伸ばしをしているわけではない」という発言がありました。また、課長補佐からは「制度設計は(条件がそろえば)すぐできる」という趣旨の発言もありましたので、本当に具体案は作っていないのかもしれません。ただ介護保険でまかなえない水準の長時間のヘルパー利用者には(介護保険がカバーする部分をどのように変更したとしても、介護保険を超える部分は)「2分の1,4分の1,4分の1」(の国・県・市の予算分担)で対応するしかないということは、示されました。
  以下、毎週木曜日の学習会の報告を紹介します。(この文書は8団体の確認を経て、共同で配信されているものを、そのまま掲載させていただいています。8団体=日身連、育成会、DPI、JD、背損連、日盲連、日聾連、全精連)。

介護保険に関する障害者8団体と厚労省障害保健福祉部との話し合い(2004年1月22日)の報告

 1月16日の障害者7団体への介護制度改革本部の説明の場において、塩田障害保福祉部長から「支援費制度の理念の実現、発展のために、介護保険を活用する前向きな議論をしたい」との呼びかけを受けて、障害者7団体は連携を深めること目的に今後週1回ペースで集まることに合意し、その第1回目の話し合いを1月22日に行った。同時に村木企画課長をはじめとする厚生労働省との話し合い(情報共有と意見交換)を行った。今回から全家連の正式な参加により、3障害8団体としての話し合いを進めていくことになった。
 厚労省に対して、各団体が16日の話を持ち帰って検討した結果、現在の情報で結論を出すことは難しく、介護保険への統合を前提とせずに8団体がまとまって厚生労働省と率直に意見交換をしながら、その是非を判断していきたい旨を伝えるとともに、現状のサービスが維持できる仕組みと、施設から地域生活に移行することが目標で、それをベースに現状よりも障害者施策が一歩でも進むような話をしたいという発言が出された。
 続いて厚生労働省から配付資料に沿って介護保険法改正の審議の進行スケジュールと議論に要する事項について説明があり、質疑が行われた。
 8団体側からは、「財政状況が困難であることは理解するが、支援費制度は未だ課題が多い。スタートして1年を経過したばかりで検証もしておらず、介護保険と一緒にしてもうまくいかないのではないか」「現状の支援費制度においても十分にサービスが受けられていないので、今後どうなるのか多くの障害者が不安に思っている」などの発言もあった。
 厚生労働省からは、当事者の考えが今後の政策決定に大きなウェイトを占めること、介護保険法の附則で5年後の見直しが法文上明記されていること、したがって介護保険と障害者施策の関係を検討する上では当事者団体の意見を聞き、地域生活を実現するためにはどの手段をとるのが有効なのかという観点から一緒に検討をしていきたい、ということが述べられた。
 障害者団体側は厚労省に対して、今後障害者8団体と週1回ペースで話し合いを行い、実務レベルの情報も含めた具体的な情報提供を求めた。また、次回は厚労省と障害者団体がもつそれぞれの課題の共有化を図るために、介護保険制度及び介護保険法についての理解を深めるための情報提供を受けつつ、互いの意見交換を行う集まりを持つことになった。

障害者8団体と厚労省障害保健福祉部との話し合い(2004年1月29日)の報告

 1月22日の障害者8団体の協議において、今後障害者8団体で週1回ペースで話し合いを行い、その際に厚労省に対して介護保険の見直しに関してなされている検討について実務レベルの情報も含めた具体的な情報提供を求めていくことを決定した。そのことを受け、第3回目の集まりを1月29日にもった。
 当日は午後3時から会議を始め、まず8団体での協議を行った。介護保険と支援費の相違点や介護保険を障害者施策に適用することに対して懸念される事項について、また、介護保険のメリットをどう考えるかについて事務局で作成した資料をもとに意見交換を行った。
 その中で、厚労省と協議をするのにあたって、各論から入るのではなく、まず、障害者福祉施策の抱える基本的な課題(扶養義務、障害認定、所得保障、総合福祉法の確立等)をきちんと押さえ、その上で地域生活支援に必要なサービスの介護保険と重なる部分と重ならない部分を仕分けた上で、重なる部分に介護保険を適用することが良いのかどうか判断するという議論の方向性がだされた。
 そのように、基本論・総論・各論と整理して話を進める中で、障害者団体が指摘したことに厚労省が答えるにとどまるのではなく、介護保険に障害者の介護保障をどうリンクさせるのか厚労省が描く全体像についての情報を求めていくことになった。
 続いて、午後4時から村木企画課長をはじめとする厚生労働省との話し合い(情報共有と意見交換)を行った。
 最初に村木課長から、介護保険に吸収合併ではなく障害福祉施策としてどう打ち出していくのかについて協議したいとの言葉があり、当面2月までに協議を行うテーマとスケジュールが示された。
 また、厚労省からこれからの障害者福祉の基本的な方向性について、資料をもとに説明が行われた。厚労省は、これからの障害者福祉は地域で暮らすことを前提に、

障害者種別や年齢を超えた地域ケアをできるだけ身近なところで受けられること
就労や住まいの問題も含めての支援の在り方を考えること
地域のニーズを的確に把握するための仕組みが必要であり、また、今後、地域移行の中で新たなサービスを受ける人が増えるためにサービスの伸びのスピードに耐えられる仕組みが必要であること
税と保険では財政弾力性に違いがあり、これからは財政の弾力性ある仕組みが求められること
特区における取組みも含め、地域の実情に応じたサービスを生み出す仕組みが必要であること

などをあげた。
 また、自治体から国への要望として「安定的な財源確保」「ケアマネジメントの制度化」「支給決定基準の策定」などがあり、一方で障害者福祉の補助金について廃止し地方に財源移譲を求める声が大きいということもあげられた。
 障害者団体側からは、 "障害者種別を越えたケア"という理念は重要だが、福祉法はそれぞれ身体・知的・精神と種別に分かれている。法律が別でサービスだけ統合ということではなく、障害者団体は従来から障害者総合サービス法を制定するよう提案してきている。 平成7年に障害者プランができて7年間の計画が終わったが、知的障害者の入所施設は増えていて、精神障害者の社会的入院は横ばいである。市町村障害者計画は91 %の市町村で策定されたが、現状が変わったという実感がもてない。 扶養義務制度を変えない限り、いつまでも親が子供を見るということで、公的責任をあいまいにして最後は家族の責任としている。これは逆に本人の自立意欲を阻害している面があり、扶養義務問題について、政治も含めてどう提起していくのか考えなければならない。 障害認定や等級問題についても、医療モデルで決まっていて、それがサービスに結びついている。知的障害者、精神障害者の認定の方法にも問題がある。 総合的な障害者施策、所得保障など古くから指摘されてきた問題で、問題意識だけではだめで、それをどう施策にしていくかが重要である。 などの意見がだされた。
 議論は当初の予定を大幅に越えて6時過ぎまで続いたが、これらの問題意識を障害者団体と厚労省の双方が共有し、次回以降の介護保険と支援費制度の具体的な問題について協議する中でも議論の念頭においていくことを確認して、今回の話し合いを終了した。
 最後に障害者団体から介護保険と支援費制度を比較して懸念される点についてまとめた第一次資料を提出した。
 次回も引き続き、厚労省と障害者団体がもつそれぞれの課題の共有化を図るために、介護保険制度及び介護保険法について互いの意見交換を行う集まりを持つ予定である。

障害者8団体と厚労省障害保健福祉部との話し合い(2004年2月5日)の報告

 先週に引き続き、障害者8団体の話し合いを2月5日の午後3時より開催した。
 前回に厚労省と行った「これからの障害者福祉の基本的な方向性」についての議論を踏まえて、今回の厚労省との話し合いは「介護保険の現状と今後の方向性」について、高橋紘士氏(立教大学教授)より話を伺い、質疑を行うことで進めていくことを確認した。
 各団体の中で介護保険と障害者サービスについての検討がなされており、その中の論点として、介護保険と支援費制度のアセスメントの違い、給付の上限と上乗せ・横出しサービスの問題等の課題があがったことの報告がなされた。精神障害の立場からも、介護保険の"自立"の概念を障害者に適用することの問題点も提起された。それらを受けて、次回については、厚労省側から引き続き介護保険について学者から話を聞く場を設けたいという提案を受けていたが、厚労省の考えを聞き、障害者団体側がもつ問題点を議論する方向にしたいという意見がだされた。 また、早急にそれぞれの団体が課題を出し合い、今後の検討における共通の認識を作っていくことが確認された。
 また、この間の動きとして、厚労省が1月末に各自治体に示した"ホームヘルプサービスの国庫補助配分予定額""居宅生活支援サービスの事業運営上の工夫について"と、それを受けての自治体の反応についての情報交換を行った。

 午後4時からは、村木企画課長をはじめとする厚生労働省との話し合いを行った。
 高橋紘士氏に加え、老健局から渡辺企画官(総務課)、宮崎課長補佐(介護保険課)が出席され、それぞれから介護保険制度についての説明が行われ、その後、質疑を含めた議論がなされた。
 高橋氏は「介護保険と障害福祉」と題する資料に基づいて話をされた。概要は以下のとおりである。
税方式か保険方式かではなく、必要とされる介護のニーズにどう機動的に対応するかという仕組みとして介護保険をとらえる。一般財源は政治的な仕組みとして配分が決まるが、介護保険は福祉にしか使われない特定財源である。
介護保険導入によって、3年間で高齢者人口の増加分をはるかに越えてサービスが増加した。保険はニーズの増加に応じサービスを増やすのになじむ仕組みである。 介護保険は赤字が発生すれば財政安定化基金から借りて運営し、次期のでどう見直すかを議論できる柔軟な仕組みをもっている。
介護保険は市町村が必要なサービスを考え、保険料を決め、運営する地方分権の仕組みにのっとっている。
従来の福祉は問題がおきた時に救済するという仕組みだったが、介護保険はあらかじめ必要なサービスを明らかにし、標準的なサービスを提供する仕組みである。
介護保険の現在のケアモデルも転換が必要で、地域生活移行を痴呆性高齢者を中心にして考える。地域に小規模、多機能型のサービスを作り出していく。
介護保険は標準的なニーズに対するサービスであり、介護保険では提供できない特別なサービスについても整備する必要があるが、中心部分として介護保険は機能する。
国民が保険料を負担するということは重要なメッセージであり、サービスを自分のこととして考え、自分たちで仕組みを支えていくという価値の転換が行われること が、議論の大きなポイントである。
 続いて宮崎課長補佐により、「介護保険制度の現状と今後の方向性」と題する資料に沿って介護保険制度の目指した理念と現状、そして今後の課題についての説明が行われた。概要は以下のとおりである。
介護保険創設時の考えとして「社会連帯」「地方分権」「自立支援と在宅サービスの充実」「利用者本位」「公平な負担と給付」の5つの視点があった。 介護保険制度の実施状況として、全体では利用者が150万人から300万人に増加し、特に在宅サービスの伸びが著しい。また、財政規模も3兆円でスタートして現在5兆円になっており、ニーズに合わせて費用をまかなっている。給付が増えるにしたがって負担も上昇している。
介護保険制度に対する評価は、評価している人が発足時の4割だったが、現在は6割に増えた。
今後の課題としては、「制度の持続可能性」「サービスの在り方」「サービスの質の確保」「予防・リハビリテーションの充実」があげられる。
 これらを受けて
現在の要介護認定の仕組みでは身体的な障害以外の多様な障害が評価されていない。これを今後どうするのか。
介護保険は標準的なサービスを提供する仕組みという話があったが、個別ニーズにどう対応するのか。 障害者サービスは個別ニーズの重要性が大きい。
今後、介護保険の費用は高齢化の中で拡大していくと推計されているが、いずれ財源問題にぶつかるのではないか。障害者がその中に入っていくのは不安がある。
介護は日常生活・社会参加・労働のそれぞれの場面で必要であり、介護保険でどこまで担い、それ以外をどうするのかを考える必要がある。
今日の説明では、介護を受けながら地域で暮らすことを"自立"と言っていたが、介護保険の仕組みでは介護を必要としないことを"自立"と呼んでいる。"自立"をどちらの概念でとらえるのか。
 などの意見が出され、現在の介護保険の仕組みを前提とせずに、現在の課題をどう介護保険の中で解決し、あるいはそれ以外の仕組みでどう対応するのかについての意見交換がなされた。
 今回の議論を踏まえて、次回は12日に再度「介護保険制度の現状と今後の方向性」について、池田省三龍谷大教授から、市民活動として社会運動として介護保険をどうとらえるかをテーマに勉強会を開催するとともに、障害者団体の持つ課題も含めて議論することとなった。

障害者8団体と厚労省障害保健福祉部との話し合い(2004年2月12日)の報告

 先週に引き続き、障害者8団体の話し合いを2月12日の午後4時より開催した。
 前回の厚労省の話し合いでは、「介護保険の現状と今後の方向性」について高橋紘士氏(立教大学教授)から話を伺い、ディスカッションを行った。今回も、先に池田省三氏(龍谷大学教授)から介護保険の話を伺うとともに、障害者団体の持つ課題も含めて議論することとなった。
 前回からの課題であった障害者団体側の今後の検討における共通の認識を作っていくための作業として、23日に勉強会を行うことを確認した。事前に各団体から課題をあげてもらい、障害者団体に共通する課題とそれぞれの団体の固有の課題について、事務局で論点整理をすることとなった。
 午後5時からは、村木企画課長をはじめとする障害福祉部と、前回に引き続き老健 局から渡辺企画官(総務課)、宮崎課長補佐(介護保険課)の出席のもと話し合いを行った。
 まず、池田省三氏が「介護保険−その思想とシステム−」と題する資料に基づいて話をされた。概要は以下のとおりである。
介護保険の思想と理念は理解されていない。介護保険は普遍主義、自立支援、共助の思想でできている。介護保険のニーズ判定は、個々の要介護度のみで行い、所得や家族の有無とは関係がない。利用者の選択と契約に基づき、行政処分ではない。普遍主義は費用負担ついても適用され、全ての人が1割を負担する。
介護保険は、予算主義(あらかじめ決まった中での配分)から決算主義(出来高による財源確保)に転換した。普遍主義を担保するには決算主義にしなければならない。
在宅サービスを利用している人の金額は支給限度額の約4割だが、それでもドイツより水準が高い。在宅サービスの支給限度額は特別養護老人ホームに入ったのと同じ金額に設定している。また、35万円は平均的な勤労世帯(年収600万円世帯)の可処分所得と同水準である。介護保険では現在の支給限度額ではあまり問題がおきていない。限度額を越える人は市町村が独自にやるか、自己負担でサービスを買っている。
介護保険は全てのニーズをみたせるわけではなく、1割の自己負担できない人、痴呆で契約が難しい人などの問題がある。制度はメインシステムとサブシステムがあって、その補完関係である。介護保険のメインシステムは普遍主義でできていて、そこででてくる問題にはサブシステムが用意されている。
特定ニードへの支援をどうするか。配食サービスは保険給付になじまない。しかし、配食サービスが必要な人がいるので自治体が実施している。軽い痴呆でお金の管理が必要な場合は地域福祉権利擁護事業がある。虐待がある場合、措置で対応することもできる。
自立支援の考え方は、魂の自立が人間の尊厳であるということ、人間は何者にも支配されず、自らの意思で決定する。これを回復するのが介護保険である。これまでの福祉は、家族モデル(依存)と病院モデル(管理)しかなかった。サービスの利用料は無料・低廉ので、あくまでも与えられるサービスだった。介護保険は自己決定が先にあって、必要な社会的な支援が受けられる仕組みである。
従来は、心身機能の低下によって自己決定できなくなり保護になっていた。自己決定を実現することが、介護保険が目指すケアである。自己決定を回復するとケアは上手くいく。良質な介護事業者はそれを考えている。痴呆性高齢者は自己決定がないがしろにされているために、それが問題行動として現れる。痴呆性のケアは自己決定の回復が重要なテーマになる。
ケアの対等関係は、費用を自分で払うという事で担保される。有償ボランティアはお金を払うことで使いやすくなった。障害者の主張するダイレクトペイメントと共通する。
障害者と介護保険が出会えば、支援型の介護ができるので、期待している。支援型介護は高齢と障害とで共通した理解ができる。
自助、互助、共助、公助については、個人ができることを行政が行ってはけない、 市町村ができることを都道府県が、都道府県ができることを国がやってはいけないということ。問題が起きたときにまず解決を迫られるのは本人(自助)で、次に家族・友人(互助)である。しかしこれには限界があり、全てが解決できるわけではないので、次に共助が必要となる。ヨーロッパでは教会が担っていて、日本ではかつては村落共同体が担い、都市化が進む中で企業、労働組合などの職域コミュニティが担ってきた。それでも解決できないことについては行政(公助)の支援で行う。
日本は共助と互助の区別がついていない。措置制度が介護保険に替わったのではなく、介護保険は失われた共助システムを作った。家族は本来の役割に立ち戻る事ができた。介護保険が全てをやるわけではなく、介護保険でカバーできないものについては公助がカバーする。
介護保険料は約3200円。訪問介護は4020円で、介護保険は40歳以上の人が月1回訪問介護をしていることと考えられ、その分を保険料として負担しているということになる。
介護保険は、本来、保険者の規模が大きいほうが財政が安定する。諸外国では全て国が保険者である。しかし、本当の地域ケアシステムは市町村しかできない。北欧型の福祉は市町村が責任を持っており、日本も同じである。国家が責任を持つのでなく、地域がケアをする。考え方によっては、日本はドイツの介護保険を使いながら、北欧システムを実現できている。
 続いて、老健局の宮崎課長補佐から前回、障害者団体側からでた質問について、資料をもとに説明がなされた。
前回、自立の理念が2つあるという話があったが、介護保険法の自立の理念は、"その有する能力に応じ自立した日常生活を営む"という意味での自立である。要介護認定の自立は法の理念と意味が違っていて、本来は"非該当"が妥当な表現だと考える。
介護保険制度は4年目を迎え、15年度から要介護認定を改定している。痴呆性の高齢者の認定が低く出ているという批判があったので、改めて痴呆の評価をより適切に出来るようにした。概ね7割のかたが納得してもらえている。また、推計されたケアと実際のケア時間が比例しており、要介護認定のシステムは改善されてきている。
痴呆性高齢者のケアをどうしていくかが大きな問題であり、要介護認定を受ける人の半分は痴呆が見られる。高齢者の1割が痴呆をもつという調査結果もあり、ケアの転換も必要である。痴呆性高齢者のケアは尊厳の保障、生活をもとにケアを組み立てていくという指摘を受け、日ごろ、住み慣れた場を基本としてケアを組み立てていく。介護保険を変えていかないといけない部分である。
支給限度基準額については、平均利用率は概ね35%〜50%であり、限度額を超えた部分については、各保険者で独自に行っている。上乗せを行っている保険者は27保険者であり、約1%である。実施している市町村の数が少ないのは第1号保険者の保険料を財源とするため、保険料にはねかえってくることの影響もある。また、身体障害者手帳をもっている場合は、支援費から給付を受けていることもある。
横出しを実施している保険者は、介護保険の枠内については、市町村特別給付(寝具乾燥、移送サービス、配食サービス等)として115保険者、保健福祉事業(介護者相談、健康づくり事業等)として158保険者である。全体の4〜6%で取り組みとしては多くない。これ以外にサブシステムとして市町村が実施しているところは多い。
 これらを受けて、参加者とのディスカッションがなされ、
家族(互助)については、障害者運動は家族介護が得られなくても、重度であっても一人暮らしできるように進めてきた。介護保険のサービスメニューを検討していた 時に、一人暮らしの重度の障害をもつ者のメニューは検討されていなかった。自助と互助がまだ分離されていない問題がある。
障害者が求めるものは社会参加、生活支援であり、介護に限定されない。社会参加のサービスが保険制度になじむのか。
介護保険は、その前に10年間のゴールドプランがあって基盤整備がされてできた。障害者のサービスも、まず基盤整備に取り組むべきではないか。
介護保険もこれから改善されるものであり、支援費と統合してどこまで整理できるのか先が見えない。
 社会政策は法律・システム・財政の視点が必要で、障害者福祉は法律が弱い。福祉法が3障害にわかれている、障害認定制度や所得保障が不十分である。財源論だけでは崩れる要因になる。大事なのは扶養義務で、これが公的責任をあいまいにしている。国民的な議論になるが、せめて厚労省の中で自立を理念とするなら扶養義務の問題を考えて欲しい。 などの意見が出された。
 質疑の中で池田氏から介護保険と障害の統合については三段階があるということで、「来年、介護保険法が提出されて、その翌年が介護保険の第3期になる。そこに障害者サービスをいれられるかというと無理である。時間的な経過で3つのステージがある。支援費は財政面の問題があり、まずこれを緊急的に財源で支える。次に、サービスの供給体制がおいついていないので、高齢者と障害者のサービス提供者を統合することのメリットがある。第三ステージは保険給付をどうするのかを考え、障害者の吸収合併でなく、対等合併を行う。要介護認定、支給限度額、介護保険でできないサービスをどうするかを考える。そういう意味の三段階の統合のステージがある。」との考えが説明された。
 前回、今回と2回にわたって介護保険を中心とした議論がなされた。これを踏ま え、次回は19日に介護保険と支援費の関係について、具体的に障害者団体側と厚労省で議論していく予定である。

(8団体文書は以上)

(以下は障害連FAXレター2月19日情報より)

第4回の介護保険勉強会が行われる

 厚労省障害保健福祉部と障害8団体(日身連、JD、DPI、全日ろう連、日盲連、脊損連合、育成会、全家連)との介護保険に関する勉強会の4回目が、2月19日夕方厚労省で行われた。この日も、老健局が同席した。
 この日は、障害保健福祉部の企画課より、障害者保健福祉施策と高齢者保険福祉施策の制度上の比較を中心に説明があり、質疑応答となった。
 説明の中で、「介護保険は市町村を単位とするサービスとなっており、より身近なところで支えあうシステムとなっている」とした。そして、「市町村の介護認定審査会が要介護認定を行い、ある程度客観的判定が行われているのではないか」とした。
  「支援費制度にしろ、介護保険にしろ、今後の障害者介護施策については、社会的合意を得る上でも客観性をもった基準としなければないのではないか」とも述べた。
  さらに「検討会の課題ともなっているが、今後、長時間介護が必要な人たちについては、それはどういう人たちで、どういうサービスが必要であるか、ということを明らかにすることが求められているのではないか」とした。
  団体からは「客観的基準ということで、上限が設定されることがあれば、地域での自立生活が困難になってしまう人が多くなってしまう」という発言や、「介護保険になったとき、 施設から地域に新しく出る障害者にきちんとしたサービスが保障されるか疑問である。かえって今の介護保険では要介護5の半数以上が施設で暮らしている実態をみたときに、障害の重い人たちは、施設に逆戻りせざるを得ない状況になってしまうのではないか」という疑問の声が次々と出された。



支援費が介護保険に入ると考えられる大きな問題点

 (再掲載:一部加筆)

 介護保険本体はかなりの財政難で、今後、団塊の世代が老人になるので、現在約5兆円の介護保険規模が今後、20兆円以上必要になっていくと想定されています。このため、老健局担当の介護保険自体を「上限なし」に変更するのはかなり厳しい状況です。
 現状で可能性があるのは、現状のままの制度上限の介護保険ヘルパーが1階とすると、障害ヘルパーを2階とする方式だと考えられます。これならば、障害保健福祉部だけの決定でほぼ実現できるからです。(それでも、困難は多い)。しかし、この解決方法でも、以下のような大きな問題が発生します。

@ 24時間/日のヘルパー時間が出ている市では・・・・・(介護保険ヘルパーが1階とすると、障害ヘルパーを2階とすることで、現状と同じ制度利用が可能)

介護保険ヘルパー3時間/日 障害ヘルパー(2階部分)21時間/日

A 3時間/日以下のヘルパー利用者しかいない市町村では・・・・(介護保険ヘルパーだけが残り、障害ヘルパー予算は消滅する。3300市町村の9割がこうなる)

介護保険ヘルパー3時間/日が上限  

3300市町村の9割の市町村で、
 1日3時間以上介護の必要な障害者は施設から出られない地域になり、将来も固定化してしまう

 介護保険では身体介護1時間4000円×3回×30日=36万円。1日3時間で上限突破する。現在、支援費ヘルパー利用者全員がこの水準以下の市町村では、介護保険だけが残り、上乗せ部分の障害ヘルパー予算は消滅する。消滅した予算が復活することは財政難の中で非常に難しい。これらの市町村で5年後に施設から自立希望者が出ても、障害ヘルパー予算は0なので、3時間以上介護が必要な障害者は施設から出られない。

毎年ヘルパー制度は伸びてきているが、上記の地域では、今後一切伸びなくなる

 たとえば、1日16時間の介護が必要な障害者が、施設から自立希望が出たり、介護していた親が死亡した場合には、現在は、ヘルパー制度の上限が1日3時間以下の小規模市町村でも、交渉でヘルパー時間数が1日8〜16時間に伸びている。これは、数千万円の予算規模があるから。1日16時間のヘルパーが決定されるには、年間880万円の予算が必要(1800円×20時間(4時間は生保介護制度があるため)×30日=108万円/月、108万円−介護保険35万=73万円、12ヶ月で876万円)。補正予算を組む必要がある。予算規模が年間数十万円以下や0円の市町村では無理。しかも、介護保険に障害が入ると、少なくとも介護保険で「一階部分」が保障されているという理由で、「二階部分」が予算化される可能性は極めて少なくなる。

この問題を含め、介護保険に障害施策が統合されると、以下のようなさまざまな問題が発生します。

(1)ヘルパー時間上限問題(最重要問題)
介護保険では最高の要介護5でも身体介護1日3時間が上限。(深夜なら1日2時間が上限)。介護保険と支援費ヘルパーの2階建て方式では、9割の市町村で介護保険の1日3時間の上限が、全制度の上限になる。しかも今後、制度は伸びなくなる。日本のほとんどの地域で施設から出られない世の中になる。
 

介護保険では、1日3時間=月90時間程度の上限がある。現在、1人暮らしの全身性障害者がいない9割の市町村では、月90時間以下のヘルパー利用実績しかないので、介護保険に統合すると、介護保険だけで介護需要が充足する。このため、介護保険と支援費ヘルパーの2階建て制度が(困難を乗り越えて)実施されたとしても、2階建て制度が実施されるのは、東京や大阪など1部の都市部だけにとどまる。9割の地方の市町村では、上乗せ用の障害ヘルパー予算は必要なくなり、廃止される。また、2階建て障害ヘルパー利用者1人程度の市では、年間予算が数十万円という、きわめて小さい予算の制度になってしまう。こうなった場合、数年後に重度全身性障害者の同居家族が死亡した場合、または、施設に入っている重度障害者が自立を希望した場合、その市町村には、2階部分の支援費ヘルパー予算は0か、きわめて少ないので、必要なヘルパー時間が決定されることはできなくなる。(0や数十万円の予算の制度を、補正で1000万円ちかい予算にすることは不可能)。市町村の財政部や理事者や議会は、1階部分の介護保険だけで十分と判断し、支援費ヘルパー予算を大きく増やす補正を許可しなくなる。この結果、毎年、順調に伸びてきていた障害ヘルパー制度は今後は伸びることはなくなる。日本の9割の地域では、3時間以上介護の必要な障害者は施設から永久に地域に自立することはできなくなってしまう。

(2)介護保険の50%公費負担の予算に、支援費の全予算が吸収され、上乗せヘルパー予算自体が消滅する可能性も大きい
そもそも、2階建て制度にすること自体が、かなり難しい。その上、すべての市町村に強制することは不可能。
 

(3)障害者団体が自治体の障害福祉課に対して交渉し、介護制度の改善がされてきた長い歴史と実績があるが、今後、それができなくなる
日本の障害者の在宅介護制度は、1970年代から、障害者団体が自治体や厚生省の障害福祉担当課と交渉して、制度が改善されてきた実績がある。介護保険に介護制度が吸収されると、交渉が不可能になる。特に、介護保険では、市町村が動かせる裁量の部分がほとんどなく、制度改善がされない。   

 (ほかにもありますが、省略します。詳しくは1月号をご覧ください

介護保険に入るとよいと言われている点への反論

(1)精神障害者の施設やヘルパーなどの介護制度が改善

 精神障害者は先進国で最悪の30万人が病院に入っており、当面7万2000人を早急に地域移行してもらうことが決まっているが、その財源が、障害分野の予算不足で、まったくめどが立たない。介護保険に入れば、入所施設やデイサービスやショートステイ、ホームヘルプが精神障害でも利用できる。・・・という主張がある。 (要介護認定が改善されないと、ほとんどの精神障害者は自立判定になりサービス利用できない。精神は状態の良いときと悪いときがあり、状態がよいときは自立判定になり、状態が悪いと訪問調査員を家に入れられないので、要介護認定は不可能。市町村の職員が障害者の話を聞いて時間数を決める柔軟な支援費で対応する方がよい。さらに、介護保険になると精神系列の医療法人が精神専用の施設をたくさん作ってしまう恐れがある。介護保険開始時にも、老人病院を運営する医療法人は、大量に療養型病床群(介護保険対象の入所施設の1つで、医療法人が作る)を作り、介護保険を食い物にした。)

(2)小規模作業所の問題が解決に向かうという主張

 小規模作業所の予算不足問題が解決しないのは、障害分野に予算が不足しているから。介護保険に入る際に、デイサービスのとして小規模作業所を位置づければ、飛躍的に予算が作業所に確保できる可能性がある・・・という主張がある。 (これはまったくの詭弁。同じことは支援費のデイサービスの指定を取ることで、すでに行われている。NPO法人化して支援費の知的障害者デイサービスなどの指定を取る作業所は極めて少ない。これは、いろいろな困難があるから。今できないことが、より基準の厳しい介護保険でできるわけがない。)

(3)過疎地などの町村部で障害ヘルパーをほとんど行っていない地域でもヘルパー制度が受けられるようになる

 支援費制度では、障害福祉に熱心でない市町村では、極端に制度が悪い。特に、重度障害者の1人暮らしなどがない町村の場合は、大多数の障害者は家族が介護して何とかなる場合が多いので、障害ヘルパー制度がないところも多い。介護保険制度になれば、家族同居でも、1人暮らしでも、おなじ障害状況ならば同じ要介護認定が出るので、市町村は必ず制度を行うことになる。町村でもヘルパー制度が受けられるようになる。 (ただし、最重度の要介護5(全介助で、食事も介護が必要な程度が目安)でも、ヘルパーなら身体介護で1日3時間分しかなく、現状よりはヘルパー時間数がアップするが、そこから先が伸びない。つまり、町村部のほとんどでは一生家族から自立できなくなる。予算の問題は支援費に介護保険の予算だけを入れるなどの改正を行なえば、解決する。)

介護保険問題はホームページでも最新情報を掲載しています。



九州北部のF市で24時間介助保障実現

自立生活センター・DH

 この秋、九州地区の地方都市から、九州北部のF市に全身性障害者(Mさん)が転居した際に毎日24時間介助保障の支給決定が出ましたので、経過報告をさせていただきます。

 Mさんが以前住んでいた九州地区の地方都市では、障碍者(高齢者含む)福祉が進んでいませんでした。必要なヘルパー時間を要求しても、それが限度を超えていると、頭ごなしに「できません」言われており、それ以上の要求は検討してもらえませんでした。その支給決定は家事、身体、ガイドすべてを合わせて、月150時間でした。
 Mさんの身体の状況は、脳性マヒによる全身性の障碍があり、お水でさえも自分で飲むことが不可能で全介助が必要な。また、緊張があり、入浴などの介助の際には、二人介助も必要です。
  Mさんは、4月の支援費制度開始から、介護制度情報や自立生活センターの情報などから、他地域の支援費状況を調べているうちに、非常に大きな地方格差を感じました。今後の生活を考えていく中で、支援費の地域格差も考えた上で、生まれ育った故郷のF市に引っ越すことの検討を始めました。家族との話し合いでは、父は「あなたが決めたことならいい。」と賛成してくれましたが、兄は「F市に戻っていくなら、近隣の都市でもよいのではないかと」と説得されたりもしました。それでも、F市に引っ越すことを決断し、協力してくれる自立生活センターに毎月相談をしながら、色々と手続きの打ち合わせをしました。はじめは自分で不動産の家探しをしていたのですが、うまくいかずに自立生活センターのメンバーからも不動産屋さんの情報をもらったりして、住居探しをしていきました。さらに引越業者探しも、自分だけではどういう風にやっていいのかわからなかったので、自立生活センターとも相談しながら、業者のリストをもらい、見積りを出してもらって、金額の低いところに頼みました。こういう引越は初めてだったので、大変でした。10月末に、期日を決めて、引越と申請を同時並行で行っていきました。申請に関しては、まず、生活保護は他人介護加算・生活保護を申請しました。また、支援費は身体介護型、日常生活支援、ガイドヘルパーの希望を出しました。申請においては、生活保護課では、どこでもそうですが、簡単ではありませんでした。特に他人介護料の面では、まだ交渉中です。

介助時間決定

  一方、支援費の面では、F市に要求した24時間介助は、今までのF市の水準からするとかなり高かったのですが、事前に自立生活センターを通して話し合いを行っていてもらったこともあり、役所の方でも、私の意見を取り入れて、考慮してくれました。実際の支給決定に際しては、本来なら決定する前に調査員の調査があるそうなのですが、市の窓口の方が直接相談に関わっていただき、決定がおりました。F市の現状として、最大限の時間数が決定されたと思われます。
  当事者の身体的状況に基づき、また、1人暮らしをしている状況から、世帯の状況等を勘案されることはなく、夜間加算や、入浴時における二人介助加算が認められ、身体介護型で月387.5時間が決定されました。そして、ガイドヘルプとして月8回(一回6時間以内、身体介護型48時間相当)。さらに10月に新設された日常生活支援の区分において、上限設定一杯の月248時間が同時に決定されました(平成15年10月より)。Mさんは、その決定に際して、役所の手続きもテキパキとしていただき、すごく早くて驚かれたそうです。
  さらに、ガイドヘルプに関しては、定期的通院が必要なので、通院証明(継続派遣証明書)を提出することにより、月8回の加算が決定され、月16回(一回6時間以内、身体介護をともなう型96時間相当)に変更されました。その、追加変更申請が出来るということも、以前住んでいたところでは、考えられなかったことでした。
 変更が認められた後の、合計支給時間は731.5時間(身体介護と移動介護(身体介護伴う)で483.5時間、日常生活支援248時間)になります。
  その結果、支援費で介助を受けられる時間数が増え、毎日24時間までとはいかなくても、それに近い時間数が取れたので、生活のうえで安心して暮らせるようになられたそうです。 
 加えて、生活保護の他人介護料も認められた事により、F市でも24時間の介護保障が実現したといえると思われます。
 ご本人の感想としては、「支援費制度は重度の障碍を持つ人にとって、すごく必要な制度だと思います。でも、利用の仕方を間違えると無駄になってしまい、それが、難しいということを、実感している。」との事です。

以前暮らしていた市の支給決定時間数

家事援助 20時間
身体介護  100時間
ガイド  30時間

合計  150時間

今回、F市の支援費支給決定時間数

身体介護 387.5時間
移動介護 96 時間 (月16回、一回5h+1h=6h)
日常生活 248 時間 (上限 8時間/日)

合計支給 731.5時間 (23.6時間/日)
他人介護料 62  時間

総合計 793.5時間 (25.6時間/日)
(毎日24時間の介助が利用でき、1.6時間分は2人介助となる)

  今回、里帰り転居に伴い、自立生活センターとして、初めて、24時間介助が必要な方の自立生活支援に関わりました。およそ、半年の期間をかけ、随時、本人との相談、行政機関との交渉を重ねていきました。
  自立生活センターとしては、特に支援費制度施行以来、状況が揺れ動く中で行政側と、個人交渉、団体交渉を積み重ね、支給要件、勘案要件、変更申請など様々な事柄を一つ一つ確認していきました。その過程で、2人加算の要件、夜間加算の要件を明確にしていくことが出来ました。その結果が今回の387.5時間という身体介護の支給決定時間につながっています。この加算要件は特例ということではありません。

その他のF市のケース

Iさんの支援費決定時間数
その他の事例でも、2次障碍などによる身体状況の悪化から、夜間見守り加算が認められ、それまで、身体介護186時間の支給時間が身体介護325.5時間に追加変更になった例もあります。
4月の支給決定 家事援助 93時間
  身体介護 62時間
  ガイド 48時間
 
  合計 203時間
     
現在の支給決定 身体介護 325.5時間 (今回 186hから夜間加算決定)
  移動介護 78 時間 (月13回、一回5h+1h=6h)
 
  合計支給 403.5時間

 また、要件緩和、制度の施行を要求していった結果もあって、4月以降、この10ヶ月の間だけでも、知的ホームヘルプのB判定への支給開始、児童、知的へのガイドヘルプ制度の施行、そして日常生活支援の開始なども実っていきました。

Hさんの支援費決定時間数
次の事例は、進行性(RSD)の障碍による身体状況の悪化により、手帳の等級が変更され、また、必要な介助が増していった事例です。

4月の支給決定 家事援助 62時間
  身体介護 62時間
  ガイド 48時間
 
  合計 172時間
     
現在の支給決定 身体介護 217時間
  移動介護 96時間 (月16回、一回5h+1h=6h)
  日常生活 248時間 (上限 8時間/日)
 
  合計支給 561時間

  それらのこれまでの積み重ねもあり、今回の行政交渉に関しては、スムーズにいった面は多かったです。その甲斐あって、当事者本人が安心して暮らせる状況を共に生み出していけたことが何よりの喜びです。
  とは、言っても第一段階を超えることができたというものであり、まだまだ課題は山積みとなっています。例えば、F市のガイドヘルプが一回につき5時間とされることにより、2時間の利用しかしない場合には、3時間は使用できなくなる状況が発生し、自己選択が無視されている点や、日常生活支援の248時間という上限設定などの問題があります。
  支援費制度とは措置から契約と言う当事者の自由な選択を促し、施設から地域社会参加出来得る様に設定されたもので、行政が縛る(上限設定)ものではなく、社会資源として活用されるべきものであります。
  また、あらためて自治体による地域格差の問題はより明確になり、今後、いかに他の地域の制度を伸ばしていくかも、実際に生命の尊厳に関わる重大な焦点となっています。
  このようなF市の状況で、地域での24時間介助(介護)保障が実現しようとしている中、12月には2つの大きな問題が厚生労働省から入ってきました。一つ目は事業所単価の引き下げ問題でした。ご存知のとおり、問題そのものは団体交渉の成果で、撤回ということになり、一安堵したのも、つかの間、今日(12月26日)厚生労働省が介護保険制度と障碍者福祉の統合について本格的に検討に入ることが、わかりました。来年1月中旬にも省内に「介護制度改革本部」を設置、協議するということです。いよいよというのが一報を聞いた率直な感想ではありますが、本格的に障碍者や高齢者等を含め地域生活のあり方を議論していかなければならないのでしょう。
  道を見出せるとするならば、「一人一人の声に応えたい」ということにかかってくるのではないでしょうか・・・
 この半年に渡る自立生活支援を通して、あらためてその意義を確認した関わりでした。



ビデオ「ベンチレーターとの楽しい暮らしマニュアル」無料配布

 ベンチレーター(人工呼吸器)を24時間使い、地域で自立生活を送りながら自分らしく生きている2人のベンチレーター使用者の様子をさまざまなベンチレーターの種類、周辺機器の紹介をするビデオ「ベンチレーターとの楽しい暮らしマニュアル」が完成しました。たくさんの方に見ていただければ幸いです。このビデオが多くのベンチレーター使用者にとって自立生活のきっかけになることを願っております。
 なお、ビデオは送料込みの無料配布となっておりますのでご希望の方は、お名前、住所、ご連絡先等お知らせの上、下記の事務所までお申し付けください。

ベンチレーター使用者ネットワーク            
〒003-0022 札幌市白石区南郷通14丁目南1-5 1F C棟 
TEL/FAX 011(868)3306 


人工呼吸器利用者の自立生活に関する国際シンポジウムが行われます

(日程は予定です。正式に決まり次第再度ご案内します)

札幌:2004年6月20日(日) 東京:6月23日(水) 大阪:6月27日(日)

いずれも、13:30〜17:30  主催:ベンチレーター使用者ネットワーク



数年後に 介護者運転で車で移動すると無許可では逮捕に

ヘルパー事業と同時に行う移送サービスに法の網をかける方針出る

 すでに新聞などでも報道されていますが、国土交通省と厚生省の合意で、ヘルパー事業と同時に行う移送サービスに法の網がかかることになりました。
 現在介護保険むけの中間とりまとめが行われたところですが、支援費でもこれに合わせた取り扱いがされることとなっています。(おそらく100%同じ取り扱いになる)
 つまり、この改正が行われると、支援費で外出介護を受けながら介護者運転で車で移動するとき、道路運送法で無許可では、警察に捕まり逮捕されます。(経過措置があるのでしばらくは強い指導の時期をつくって、逮捕などはしないが、その期間が終わったら、逮捕・告発の運用になる)。
 ヘルパーと移送の運転手が別々の人という方法の外出であっても、ヘルパー事業と移送事業が同じ法人なら(別団体でも資金関係があれば)、告発対象になると思われます。

国土交通省と厚生省の中間案では

  • ヘルパー事業の中で車での移動介護を行う場合、道路運送法の営業許可を必要とする。(株式会社など営利法人の場合)
  • NPOや社会福祉法人は特区での規制緩和を全国に広げることにする(同じく道路運送法の許可を必要とするが営利法人とは別基準)

・・ということのようです。

 新聞報道などでは「NPOには(営利法人に比べ)ゆるい規制になった」とありますが、そうでもありません。
 運転手に2種免許や、それがだめなら一定の講習を義務付けられています。特区の実例では、年に1回しか行わない県の行う講習をうけることや、国土交通省の天下り先の自動車免許学校での数万円の講習を受けるようにされている例があります。
 また、タクシー会社や陸運局がはいった地区運営協議会にはいり、そこでの承認を受けないといけないとう方法になっています。
 現在、中間とりまとめ案に対するパブリックコメント(一般からの意見募集)が国土交通省自動車交通局旅客課(03-5253-8111内線41262)と厚生労働省老健局振興課(03-3595-2889)で行われています。特に移送の利用者からの意見を募集しているようです。締め切りは2月29日です。詳しくは介護制度情報ホームページをご覧ください。

(次ページに中間整理案を抜粋掲載します。)

<中間整理案>  介護サービス事業者が公的介護保険の適用を受ける介護サービス(以下「介護保険サービス」という。)と連続して、又は一体として行う要介護者等の輸送サービスに係る今後の取扱いについて、厚生労働省及び国土交通省は、

現在、要介護者等であって公共交通機関を利用することが困難な移動制約者に係るSTS(スペシャル・トランスポート・サービス。要介護者、身体障害者等であって公共交通機関を利用することが困難な移動制約者を対象に、必要な介助等と連続して、又は一体として行われる個別的な輸送サービスをいう。)による移動が、タクシー等の公共交通機関のみによっては、必ずしも十分に提供されていない状況にあること、

一方、これらの移動制約者に係るSTSによる移動の提供に要する費用の社会的な負担のあり方については、いまだ社会的に議論が成熟していない状況にあること。公的介護保険制度においても、STSに係る運賃については、原則として介護報酬の評価の対象としていないこと、

こうした状況において、これらの移動制約者に係るSTSが、タクシー事業者等のほか、社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人、ボランティア等多様な担い手によって現に提供されている状況にあること、
を十分認識しつつ、それゆえ、
これらの移動制約者に係るSTSによる輸送サービスが適切に提供されるため、現に提供されている輸送サービス、特に介護サービス事業者が介護保険サービスと連続して、又は一体として行う要介護者等の輸送サービスについて、その実態を十分踏まえつつ、法的な位置付けの明確化を早急に図る必要があり、
その際、タクシー事業者等以外の担い手による輸送サービスについては、輸送中の旅客の安全確保、利用者の保護等の観点から"安全で安心して利用できるSTS"を目指すとともに、その方策については、現に行われているSTSを過度に萎縮させ、利用者利便に影響することがないよう配慮していく必要がある、

との視点に立ち、今後、本年度内を目途に別紙方針に沿って検討作業を行い、具体的な結論を得て、平成16年度のできる限り早い時期に実施するものとする。

(別紙)
介護サービス事業者が公的介護サービスと連続的・一体的に行う要介護者に係るSTSの取扱いに係る検討方針

(訪問介護サービス等の提供に伴うSTSの取扱い)

指定訪問介護事業者等が提供する、通所、通院等のためのSTS(訪問介護サービス等と連続して、又は一体として行うものに限る。)については、道路運送法の旅客自動車運送事業に該当するものであり、同法による一般乗用旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可を取得することを基本とし、以下の方針に沿って具体的な取扱いを検討する。

道路運送法第4条第1項の規定による一般乗用旅客自動車運送事業(患者等輸送限定)の許可の対象として、介護福祉士又は訪問介護員の資格を有する乗務員が要介護者等に限定した輸送を行う場合を追加し、あわせて許可基準を緩和するとともに、運賃に係る認可基準、審査手続を弾力化すること、
道路運送法第43条第1項の規定による特定旅客自動車運送事業の許可の対象として、要介護者等であって特定の市町村(保険者)に係る制度的な関連において、継続的な需要に応じるものであって、かつ、指定居宅サービス事業者において会員制等によりあらかじめ旅客の範囲を具体的に明示している場合等が含まれることを明確化すること、 NPO等の非営利事業者については、構造改革特別区域における措置として実施され、本年度内に予定されている「NPOによるボランティア輸送としての有償運送可能化事業」の全国実施等(セダン型等の一般車両の使用について特定の地域において行う措置を含む。)により、
道路運送法第80条第1項の許可により対応できることとすること、 道路運送法第80条第1項による自家用自動車有償運送の許可の対象として、指定訪問介護事業者等の介護福祉士又は訪問介護員が、介護保険サービスと連続して自己の車両で当該サービスを利用した要介護者等に対象を限定して輸送サービスを行う場合を追加するとともに、この場合における許可申請は、指定訪問介護事業者等が一括で行うことができるものとすること、

道路運送法による許可(上記の措置によるものを含む。)を得ることなく、指定訪問介護事業者等が、その提供する介護保険サービスと連続して、又は一体としてSTSを提供することは、道路運送法に抵触する違法な行為であること。このことからも、当該介護サービスについては、介護報酬の対象としないこと、
中略
(重点指導期間(仮称)) 1.及び2.に掲げる検討により結論が得られた事項を措置するに当たっては、現に道路運送法による許可を取得することなく公的介護サービスと連続して、又は一体としてSTSを行っている介護サービス事業者について、著しく高額な対価を収受しているもの、訪問介護の実態に乏しく実質的にタクシー業務のみを行っているもの等を除き、ただちに介護保険法や道路運送法による行政処分、刑事告発を行うのではなく、重点指導期間(仮称)を設け、その間においては、業務適正化、許可取得等に係る指導、啓発を重点的に実施することについて検討を行う。
(その他)
障害者(児)福祉サービスに係るSTSについても、上記の方針に沿って具体的な取扱いを検討する。

以上



障害当事者によるホームヘルパー指定事業者を全国1000ヶ所に

長時間要介護障害者などが運営する介助サービスのシステムと 24時間介護保障制度を全国に作ろう

 2003年からは障害ヘルパーも介護保険と同様、事業者市場が自由化されました。さまざまな事業者がホームヘルプなどのサービスを提供し、障害者は自由に事業者を選択できるようになりました。
 ホームヘルプサービスを行いたい事業者は、一定の基準を満たせば、都道府県が1〜2ヶ月弱で指定するようになりました。指定を受ければ、市町村境や県境を超えてサービス提供ができるようになりました。
 長時間介助の必要な障害者や高度な介護が必要な障害者の団体は、従来から、行政などの派遣するヘルパーは介助が満足にできなかったため、自分たちで介助者を雇い、団体を作り重度全身性障害者にも十分対応できる介助サービスを行ってきました。また、行政交渉を行い四国や東京を中心に、24時間の介助制度を作り上げてきました。
 これらの自立生活センター等の団体は実績がありながらなかなか障害ヘルパー委託を受けられませんでした。2000年4月からの介護保険施行で、老人向けのヘルパー等事業者が自由化され、それに影響されて障害ヘルパーも重度全身性障害者の運営する自立生活センター等に委託されるようになりました。(それでも3年以上の話し合いが行われた上での事でした)。これにより、各センターは予算規模1億円を超える団体も増えてきました。
 2003年にはこのような心配はなくなりました。一定の基準を満たせば、市町村の意向に関係なく必ず指定が受けられ、ヘルパー事業者になれます。

2010年ごろの目標

 介護保険や障害の指定事業者になってヘルパー派遣を行うと、十分な運営費が保障され、団体職員の人件費や運営費に十分な保障ができます。この仕組みを使って更なるサービス水準アップや制度を改善していく運動に使い、社会を変えていこうという計画です。まず取り組むことは、2010年までに全国に1000事業者を作り、24時間要介護の障害者の自立支援を行い、行政交渉し、24時間介護保障を3300市町村作り出すことです。
 その次は、知的・精神・身体(視覚・聴覚・盲ろう・肢体・内部)・難病および重複の全障害種別の参加を得て、全ての障害種別にサービス提供(当事者が主体的に)していくシステムを計画しています。
 また、3300市町村の多くで24時間に近い介護保障ができた際には、全国で予算が確保されますので、国に対してパーソナルアシスタント制度(労働時間や通学や運転・入院など使途の制限をされない24時間介護保障で全国一律制度)を作っていきます。

注:東京などの一部団体では24時間介助保障を交渉して作り、24時間の専従介助者による介助サービスを行い、人工呼吸器利用の24時間要介助の全身性障害者などを施設などから一人暮し支援できています。一人暮しの知的障害者や精神障害者への介助サービスも行なっています。もちろん短時間の介助サポートもできます。いずれも個別ILプログラムや様々な支援を(自立生活をしている長時間要介助の)障害者役員が管理し健常者のスタッフなどを部下として雇って(障害者と健常者で)運営しています。これら団体は市から障害ヘルパーを委託されており、介護保険指定事業者にもなっており、収入は(今までの障害者団体に比べると)相当大きなものになります。
 通常、このような水準の団体になるために、どれくらいの研修期間や運営期間が必要かといいますと、まず、近隣の市の障害者が研修を受ける場合には、週1回(マネージャー&コーディネーター会議の日に)通って1年間、そのほかに近隣市の自立生活プログラムやピアカウンセリング、行政交渉には必ず全部出席していきます。2年目から団体を立ち上げ、まず1人目の自立支援(施設や親元からの一人暮しの支援)を団体として行います。この際などにも事細かに研修先の団体にアドバイスを仰ぎながら進めます。こうして2人目、3人目と進み、ILP、ピアカンなども講座型から個別までこなし、介護制度交渉も行ない、専従介助者を確保していって介助サービス体制を強固にしていきます。この間も外部の講座などには出来るだけ参加します。これで最短の団体(実績)で4年ほどで上記のような総合的なサービスが行なえるようになります。なお介護保険の事業者指定は実績が全くなくても有資格ヘルパーが3人いれば取れるため、半年ほどで取ることが出来ます。障害ヘルパーも2003年からは同じ様になります。今は障害ヘルパーは市に委託の交渉が必要になりますが介護保険事業者になっていたらすぐに委託が受けられる市も増えてきました。
 上記の(近隣市の障害者が研修を受けて団体を立ち上げていく)モデルをもとに、必要な研修時間を計算すると、週10時間程度で、年500時間(初年度のみ)となります。これと全く同じ事を行なうには年400〜500時間に相当する研修が必要です。全国47都道府県の事業者になりたい団体・個人がこれを全部合宿研修で行うわけにはいきませんから、なるべく通信研修+電話相談でカバーして、合宿研修は少なめでやってみようと検討しています。そのほか、近隣県で受講できる基礎ILP・ピアカンなどは極力近隣地域で受けることで体力や時間、費用が節約できますので極力参加するようにお願いします。



通信研修参加希望者を募集中(受講料無料です)

 障害当事者が主体的に事業を行うための研修システムとして、通信研修と宿泊研修を組み合わせた研修を準備しています。推進協会の理念にそった当事者団体を作るという方は受講料無料です。内容は、団体設立方法、24時間介助サービスと個別自立プログラム、介護制度交渉、施設等からの自立支援、団体資金計画・経理・人事、指定事業、運動理念などなど。現在、通信研修の参加者を募集しています。

くわしくはお問合せ下さいフリーダイヤル0037−80−4455(推進協会団体支援部10時〜22時)へ。

通信研修参加申込書(参加には簡単な審査があります)

団体名(            )

郵便番号・住所 名前 障害者/健常者の別&職名 Tel Fax メール
           
           
           
           
           
           

推進協会団体支援部 FAX 042-452-8029まで (次ページも参照してください)

各団体からの研修参加者の人数について

 通常、推進協会の主催する合宿研修には、障害者の役員・中心的職員で長時間要介助の方と、健常者の介護コーディネーターの両方の参加が希望です。団体ごとに2〜5人は参加してほしいと考えています。

参考資料:推進協会が通信研修を行う団体・個人の理念の条件です
(今すぐできなくても、力がついてきたら、必ずやるという理念を持っていただけるのでしたら対象になり得ます。研修を行い、出来るようになるまでバックアップします。)

推進協会支援団体基準について

(1) 運営委員会の委員の過半数が障害者であり、代表及び運営実施責任者が障害者であること。
 介助保障の当事者団体(介助を必要とする方自身で運営する団体)ですから、なるだけ介助ニーズの高い方を運営委員会にいれていくようにしてください。団体設立後数年たち、より重度の方が自立した場合などは、なるだけ運営委員会に加えて下さい。
(2) 代表及び運営実施責任者のいずれかが原則として長時間要介助の障害者であること。
 代表者及び運営実施責任者(事務局長)は、なるだけ、介護ニーズの高い方がなり、介護ニーズの低い方は例えば事務局次長としてバックアップする等の人事を可能な限り検討して下さい。また、団体設立後数年経ち、より重度の方が自立した場合などは、可能な限り役員に登用して役職としてエンパワメントしていってください。
(3) 24時間介助保障はもとより、地域にいる障害者のうち、最も重度の人のニーズに見あう介助制度を作ることを目的とする組織である。
 例えば、24時間の人工呼吸器を使って一人暮らししている方、24時間介助を要する知的障害者の単身者、重度の精神障害者の方、重複障害者、最重度の難病の方、盲ろう者など、最も重度の方に対応していくことで、それ以外の全ての障害者にも対応できる組織になります。
(4) 当事者主体の24時間の介助サービス、セルフマネジドケアを支援し、行政交渉する組織である、もしくはそれを目指す団体である。
 24時間の介助サービスを行うには、市町村のホームヘルプサービスの利用可能時間数上限を交渉して毎日24時間にする必要があります。交渉を行うには一人暮らしで24時間つきっきりの介助を要する障害者がいる事が条件となります。このプロジェクトではホームヘルプ指定事業の収益を使い、24時間要介助障害者の一人暮らしを支援、実現し、市町村と交渉することを義務づけています。ただし、その力量のない団体には時間的猶予が認められています。この猶予の期間は相談の上、全国事務局が個別に判断します。
(5) 自立生活運動及びエンパワメントの理念を持ち、ILプログラム、ピアカウンセリングを今後実施すること。
 介助サービスは利用者自身が力をつけていくというエンパワメントが基本です。具体的には介助サービス利用者に常に個別ILプログラム+個別ピアカウンセリングを行います。
(6) 身体障害に限らず、今後他の障害者にもサービスを提供すること。

 



全国47都道府県のCIL空白地域で、施設や親元から自立してCILを作りたい障害者の人材募集(介護が長時間必要な方)

  全国障害者介護保障協議会と自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会では、全国3300市町村で最重度障害者が運営する自立生活センター(CIL)のサービスが受けられるようになるように、各県で最低10箇所程度のCILを作ることを目標に金銭面や研修等で支援を行っています。当会は、どんな重度の障害者でも住み慣れた地域で暮らしていけるような状況が全国3300市町村で作られていくべきだと考えています。そのために、それらの地域で自立して地域で暮らしていきたい、さらにCIL設立につなげたいという障害者に対して情報提供や研修、それにかかる諸費用も含めた全面的なバックアップをしています。2001年度〜2002年度は空白県に最低1つのCILを作ることを目標に研修や助成などで支援を行いました。今年度からは各県に最低2〜3箇所のCILを作る支援を行います。
 現在、毎日24時間介護の必要な全身性障害者が施設や家族の元から出て1人暮らしし、CILを立ち上げています。こういった最重度の障害者が過疎地の県でたくさん出ています。近県CILや東京などで何度も研修を行い、介助者の雇い方、指示の出し方、アパートの借り方、介護制度の使い方、CILの作り方、など、1つ1つ研修を受けていくことで、やる気と努力で1つ1つ解決していきます。研修の交通費・介護者の費用などは助成いたします。1人暮らし開始時の介護費用なども交渉して制度がのびるまでの期間、助成・貸付します。実地の研修を補完する「通信研修」も行っています。
 募集する地域は、県庁所在地からはなれているCIL空白地域です。(秋田・宇都宮・群馬・徳島・高知は県庁所在地も募集)。また、これ以外の地域でも、現在すでに立ち上がっている団体で引き続き障害者の人材募集も行っています
 自分も参加したい・・という方は、どしどしご相談ください。
 自薦ヘルパー推進協会 0120−66−0009 10:00〜23:00

 自立生活センター(CIL)とは 理念はJILホームページhttp://www.j-il.jp/ などをご参照ください。 障害者が主体的に運営するサービス提供団体&運動体です。介助利用者自身がエンパワメントしていく(力をつけていく)スタイルのホームヘルプサービスと運動を行います。24時間介護の必要な方などの1人暮らし支援も行い、介護制度の交渉も行い、地域の制度を改善していきます。



全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

(介護保険ヘルパー広域自薦登録保障協会から名称変更しました)略称=広域協会
フリーダイヤル  0120−66−0009
フリーダイヤル FAX 0037−80−4446

自分の介助者を登録ヘルパーにでき自分の介助専用に使えます
対象地域:47都道府県全域

介助者の登録先の事業所のみつからない方は御相談下さい。いろいろな問題が解決します。

 全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーと同じような登録のみのシステムを支援費ヘルパー利用者と介護保険ヘルパー利用者むけに提供しています。自分で確保した介助者を自分専用に制度上のヘルパー(自薦の登録ヘルパー)として利用できます。介助者の人選、介助時間帯も自分で決めることができます。全国のホームヘルプ指定事業者を運営する障害者団体と提携し、全国でヘルパーの登録ができるシステムを整備しました。介助者時給は今までの制度より介助者の給与が落ちない個別相談システムです。

利用の方法
  広域協会 東京本部にFAXか郵送で介助者・利用者の登録をすれば、翌日から支援費や介護保険の自薦介助サービスが利用可能です。東京本部から各県の指定事業者に業務委託を行い支援費の手続きを取ります。各地の団体の決まりや給与体系とは関係なしに、広域協会専門の条件でまとめて委託する形になりますので、すべての契約条件は広域協会本部と利用者の間で利用者が困らないように話し合って決めます。ですから、問い合わせ・申し込みは東京本部0120−66−0009におかけください。
 介助者への給与は介護型で時給1500円、家事型1000円、日常生活支援で時給1300〜1420円が基本ですが今までの制度の時給がもっと高い場合には今までの時給になるようにします。また、夜間の利用の方は時給アップの相談にのります。介助者は1〜3級ヘルパー、介護福祉士、看護士、日常生活支援研修修了者などのいずれかの方である必要があります。ただし、支援費制度のほうは、14年3月まで自薦ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業の登録介護人として働いている場合、県知事から証明が出て永久にヘルパーとして働けます。2003年4月以降新規に介護に入る場合も、日常生活支援や移動介護であれば、20時間研修で入れます。

詳しくはホームページもごらんください http://www.kaigoseido.net/2.htm



自薦介助者にヘルパー研修を実質無料で受けていただけます

 広域協会では、障害当事者主体の理念の3級ヘルパー通信研修も行なっております。通信部分は自宅で受講でき、通学部分は東京なで3日間で受講可能です。3級受講で身体介護に入ることができます。
 日常生活支援研修は、東京会場では、緊急時には希望に合わせて365日毎日開催可能です。2日間で受講できます。東京都と隣接県の利用者は1日のみの受講でかまいません(残りは利用障害者自身の自宅で研修可能のため)。日常生活支援研修受講者は全身性移動介護にも入れます。3級や日常生活支援の研修受講後、一定時間(規定による時間数)介護に入った後、参加費・交通費・宿泊費を全額助成します。

このような仕組みを作り運営しています
仕組み図

お問合せは TEL 0120−66−0009(通話料無料)へ。受付10時〜22時 
みなさんへお願い:この資料を多くの方にお知らせください。 介護保険ヘルパー広域自薦

登録保障協会 発起人(都道府県順、敬称略、2000年4月時点)

名前 (所属団体等)
花田貴博 (ベンチレーター使用者ネットワーク)
篠田 隆 (自立生活支援センター新潟)
三澤 了 (DPI日本会議)
中西正司  (DPIアジア評議委員/全国自立生活センター協議会)
八柳卓史  (全障連関東ブロック)
樋口恵子  (全国自立生活センター協議会)
佐々木信行 (ピープルファースト東京)
加藤真規子 (精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)
横山晃久  (全国障害者介護保障協議会/HANDS世田谷)
益留俊樹  (NPO自立生活企画/NPO自立福祉会)
川元恭子  (全国障害者介護保障協議会/CIL小平)
名前 (所属団体等)
渡辺正直  (静岡市議)
山田昭義  (DPI日本会議/社会福祉法人AJU自立の家)
斎藤まこと (名古屋市議/共同連/社会福祉法わっぱの会)
尾上浩二  (障害者総合情報ネットワーク)
森本秀治  (共同連)
村田敬吾  (自立生活センターほくせつ24)
光岡芳晶  (特定非営利活動法人すてっぷ)
栗栖豊樹  (CILてごーす)
佐々和信  (香川県筋萎縮性患者を救う会)
藤田恵功  (土佐市在宅重度障害者の介護保障を考える会)
田上支朗  (NPO重度障害者介護保障協会)



16年度のヘルパー単価厚生省案出る

 昨年の12月に示され、いったん白紙撤回になっていたホームヘルプサービスの単価改正についての案が厚労省より示されました。2月26日の「地域生活支援のあり方検討会」でも厚生省案が公開され、検討されます。
  身体介護の1.5時間以上の問題などは、12月の案に比べ、大幅に改善しています

16年4月からの改正点(案)

  • 「家事援助」の単価アップは中止(介護保険には合わさない)
  • 「身体介護」の30分単価を現行の介護保険の単価2310円にアップ。
  • 「身体介護」・「身体介護を伴う移動介護」の1時間半を越える延長部分の単価は、30分ごとに1820円アップ(=1時間ごとに3640円アップ)にする。(12月の案では介護保険にあわせて家事援助単価830円/30分にするという案だったがそれは撤回)。
    ※家事援助、移動介護(身体介護を伴わない)、日常生活支援は現行通り
  • 早朝、夜間及び深夜における加算額の算定法式をサービス利用の開始時から、サービス提供時間帯に応じて算定する方式へ変更する。(12月の案と同じ)

16年10月頃からの改正点(案)(見直しに当たっての実態の把握・検証、システムの変更作業等の時間が必要で関係者と調整を行う)

  • 移動介護及び家事援助の30分未満単価の新設(「身体介護をともなう移動介護」の30分単価は介護保険の身体介護の30分単価と同じ単価2310円に。家事と移動介護(身体介護伴わない)は30分未満=900円に)。
  • 移動介護における身体介護を伴う場合と伴わない場合の要件の明確化
  • 知的障害者及び障害児の特性やニーズに応じたサービス類型等の適切な工夫(※日常生活支援類型の適用など)
  • 介護保険と同様に通院等のための乗車又は降車の介助について「乗降介助」を新設する。(乗って・降りて1セットで1000円=介護保険と同じ。)

*これは案ですので今後の最新情報は、当会ホームページをご覧ください。3月3日の全国課長会議で16年度単価が全国自治体に紹介されます。

 
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