介護保険情勢の解説
介護保険は財政悪化で、20歳(または30歳)からの保険料徴収が決まるのは避けられない情勢です。介護保険法では5年ごとに大きな法改正をすることになっているので、2005年の改正を逃すと、次回は2010年になってしまい、それまで保険料の徴収年齢が今のままでは介護保険財政が破綻する恐れがあるからです。厚生労働省の障害保健福祉部長など幹部(昨年異動)はこの機会を逃すと、障害福祉施策に予算を確保する機会を逃し、精神障害者の72000人の地域移行や小規模作業所の問題の解決の機会をのがしてしまうと考えています。
現在は40歳以上が介護保険料を支払っていますが、これが20歳からの徴収になると、財源はいくら増えるのでしょうか。全国の20〜39歳の人口は3411万人です。介護保険の40〜64歳の保険料は平均月約2000円(2号保険料は収入に応じて違う)です。20〜39歳の場合は給与水準が低いので平均1000〜1500円の保険料になると想定されます。すると、20〜39歳の保険料総額は、約4000億円〜6000億円となります。
もし、障害者が介護保険に入った場合、介護保険は公費負担が2分の1ですので、税金が4000億円〜6000億円投入されることになり、その資金は障害保健福祉部管轄から介護保険特別会計(老健管轄局)に移動します。(国予算が2000〜3000億円、都道府県+市町村予算が2000〜3000億円移動する)。
すると、国の障害支援費予算は3473億円(16年度)ですので、多めに見積もると、このうち3000億円が介護保険特別会計に移動してしまうことになります。残りは約500億円弱です。この残額をヘルパー予算の上乗せ時間用の予算(2階建てヘルパー制度)にできるかどうかですが、簡単にできるかどうかは、いまだはっきりわかりません。
介護保険の財源(現状)
介護保険料収入50% |
国(税金) 25%
(5%は財源調整) |
県(税金)12.5% |
市(税金)12.5% |
・市町村で介護保険特別会計を設定し、介護保険が運営されている。全体の半分は税金が投入されている。
・予算が不足した場合は、介護保険の「財政調整基金」から借金して穴埋めを行い、次年度以降に保険料を上げて借金返済する仕組み。
支援費制度の財源(現状)
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国(税金) 50% |
県(税金)25% |
市(税金)25% |
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・全額が税金である。
障害が介護保険に入ると非常に大きな問題点が
介護保険本体はかなりの財政難で、今後、団塊の世代が老人になるので、現在約5兆円の介護保険規模が今後、20兆円以上必要になっていくと想定されています。このため、老健局担当の介護保険自体を「上限なし」に変更するのはかなり厳しい状況です。
現状で可能性があるのは、現状のままの制度上限の介護保険ヘルパーが1階とすると、障害ヘルパーを2階とする方式だと考えられます。これならば、障害保健福祉部だけの決定でほぼ実現できるからです。(それでも、困難は多い)。しかし、この解決方法でも、以下のような大きな問題が発生します。
@ 24時間/日のヘルパー時間が出ている市では・・・・・(介護保険ヘルパーが1階とすると、障害ヘルパーを2階とすることで、現状と同じ制度利用が可能)
介護保険ヘルパー3時間/日 |
障害ヘルパー(2階部分)21時間/日 |
A 3時間/日以下のヘルパー利用者しかいない市町村では・・・・(介護保険ヘルパーだけが残り、障害ヘルパー予算は消滅する。3300市町村の9割がこうなる)
3300市町村の9割の市町村で
1日3時間以上介護の必要な障害者は施設から出られない地域になり、将来も固定化。
(介護保険では身体介護1時間4000円×3回×30日=36万円。1日3時間で上限突破する。現在、支援費ヘルパー利用者全員がこの水準以下の市町村では、介護保険だけが残り、上乗せ部分の障害ヘルパー予算は消滅する。消滅した予算が復活することは財政難の中で非常に難しい。これらの市町村で5年後に施設から自立希望者が出ても、障害ヘルパー予算は0なので、3時間以上介護が必要な障害者は施設から出られない)
毎年ヘルパー制度は伸びてきているが、上記の地域では、今後一切伸びなくなる
たとえば、1日16時間の介護が必要な障害者が、施設から自立希望が出たり、介護していた親が死亡した場合には、現在は、小規模市町村でもヘルパー時間数が1日8〜16時間に伸びている。これは、数千万円の予算規模があるから。1日16時間のヘルパーが決定されるには、年間1000万の予算が必要。補正予算を組む必要がある。予算規模が年間数十万円以下や0円の市町村では無理。しかも、介護保険に障害が入ると、少なくとも介護保険で「一階部分」が保障されているという理由で、「二階部分」が予算化される可能性は極めて少なくなる。
この問題を含め、介護保険に障害施策が統合されると、以下のようなさまざまな問題が発生します。
(1)ヘルパー時間上限問題(最重要問題)
介護保険では最高の要介護5でも身体介護1日3時間が上限。(深夜なら1日2時間が上限)。介護保険と支援費ヘルパーの2階建て方式では、9割の市町村で介護保険の1日3時間の上限が、全制度の上限になる。しかも今後、制度は伸びなくなる。日本のほとんどの地域で施設から出られない世の中になる。
介護保険では、1日3時間=月90時間程度の上限がある。現在、1人暮らしの全身性障害者がいない9割の市町村では、月90時間以下のヘルパー利用実績しかないので、介護保険に統合すると、介護保険だけで介護需要が充足する。このため、介護保険と支援費ヘルパーの2階建て制度が(困難を乗り越えて)実施されたとしても、2階建て制度が実施されるのは、東京や大阪など1部の都市部だけにとどまる。9割の地方の市町村では、上乗せ用の障害ヘルパー予算は必要なくなり、廃止される。また、2階建て障害ヘルパー利用者1人程度の市では、年間予算が数十万円という、きわめて小さい予算の制度になってしまう。こうなった場合、数年後に重度全身性障害者の同居家族が死亡した場合、または、施設に入っている重度障害者が自立を希望した場合、その市町村には、2階部分の支援費ヘルパー予算は0か、きわめて少ないので、必要なヘルパー時間が決定されることはできなくなる。(0や数十万円の予算の制度を、補正で1000万円予算にすることは不可能)。市町村の財政部や理事者や議会は、1階部分の介護保険だけで十分と判断し、支援費ヘルパー予算を大きく増やす補正を許可しなくなる。この結果、毎年、順調に伸びてきていた障害ヘルパー制度は今後は伸びることはなくなる。日本の9割の地域では、3時間以上介護の必要な障害者は施設から永久に地域に自立することはできなくなってしまう。
(2)介護保険の50%公費負担の予算に、支援費の全予算が吸収され、上乗せヘルパー予算自体が消滅する可能性も大きい
そもそも、2階建て制度にすること自体が、かなり難しい。その上、すべての市町村に強制することは不可能。
(3)要介護認定(アセスメント)の問題
知的・精神・聴覚・視覚・内部障害は、介護保険の要介護認定では多くが自立になってしまう。別項目で判定するアセスメントが必要。
しかし、多くの老人は肢体障害である。同じ障害である若い肢体障害者は現在の介護保険の判定方法を使うしかない。介護保険の肢体不自由むけの判定は、施設での介護職員から受ける介護時間を基に算定されているため、いつあるかわからない「緊急事態」や「トイレ」や「物を取る」ために介護者が見守り待機することが必要な時間数が反映されない。15分おきの車椅子の上での褥瘡防止の体位交換なども必要性が時間に反映されない。
このため、障害者の在宅生活で、健常者家族との同居の場合に、家族の介護も足し合わせて何とか生活できる水準でしか、介護保険はサービスが提供されない。
また、介護保険は1人暮らしでもヘルパー時間数が増えない。1人暮らしの場合などは別のアセスメント方式が必要。
(4)要介護3・4の人は十分上乗せできるか?
旧全身性障害者介護人派遣事業の対象者(特別障害者手当て受給者で1人暮らしなどが対象で、東京では毎日8〜24時間が決定されている)でも、要介護2・3・4の人はかなりいる。たとえば、食事が自分でできる場合は、要介護4以下になる。要介護が5でない場合に、十分な上乗せが受けられるかどうか、疑問がある。特に制度利用者の少ない地方の市町村では要介護5でないと上乗せを認めない運用になる可能性が高い。
(5)ヘルパー資格問題 (日常生活支援など)
現在日常生活支援毎日8時間の利用者の場合、このうち3時間が介護保険ヘルパーに切り替わった場合、なれた介護者は日常生活支援の資格しか持っていないが、どうするか。介護者は平均2〜3年程度で退職するので、無資格者を求人して補充が必要で、面接採用後に2日で受講できる日常生活支援の研修を受けさせている。(無資格者の求人でないと、求職者が少ないため、男性ヘルパーで休日・夜間・早朝・とまり介護ができ、正月も働け、きちんとした介護のできる人材は確保できない。)2〜3級ヘルパー研修はなかなか受講機会がない。
(6)セルフケアプランが事実上不可能になる問題
支援費制度では、自分で自分の計画を決める制度であるので、ヘルパーが時間変更に対応できる限り、毎日、障害者が、仕事などの終わる時間に合わせてヘルパー利用予定を変えることも可能。しかし、介護保険では、このようなことは不可能。介護保険でも、自己プラン制度はあるが、多くの市町村は認めていない。しかも、自分で点数計算して複雑な書類を毎月市町村に提出する能力がある障害者以外は、自己プランは選択できない。また、その能力があっても、市町村に毎日変更されたケアプランを(点数計算して)出しに行くことは不可能。現在の介護保険制度では、99%の障害者がケアマネージャーを利用するしかない。
(7)介護保険のケアマネージャーに管理される
支援費では毎月・毎週・毎日、障害者が自分の予定を変えることが可能だが、介護保険ではプラン変更のたびにケアマネージャーの許可を受けなくてはいけないため、迅速なプラン変更が不可能になる。そのほか、ケアマネージャーにさまざまな管理をされ使い勝手が悪くなる。これは、現在介護保険利用をしているALSの障害者などで、実証されている。ケアマネージャーを使うか、ケアコンサルタントを使うか、選択できるようにすべきである。(ケアコンサルタントとは、支援費と同様に、障害者は利用希望時間を毎日変えることが可能で、ケアコンサルタントは社会資源の情報提要や制度の仕組みの情報提供や保険点数計算の補助のみを行い、管理権限はない。)
(8)介護保険では健常者家族同居の場合、家事援助や窓拭きなどの規制がある
障害ヘルパーでは家事援助の規制はなく、健常者の家族が同居している場合でも、障害者が自立して生活するのに必要なヘルパー時間が決定されるが、介護保険では健常者家族がいる場合は、家事援助が利用できない(多くの市町村の介護保険課はそういう運用を行っている)。子育て支援や草抜きや窓拭きも障害ヘルパーでは可能だが、介護保険では禁止されている。
(9)入院時のヘルパーの問題
支援費の障害ヘルパーでは自治体が認めれば、(国庫補助を使わずに)全身性障害者が一時入院中もヘルパーを利用できる。(東京都、札幌市、さいたま市などで実績あり)。1日24時間介護が必要な障害者の1日3時間が介護保険ヘルパーになると、3時間分はこのような措置がなくなる。介護保険は国の縛りが大きく、障害者団体の交渉による制度改善が不可能。諸外国では重度障害者の入院中のヘルパー利用が認められているので、国との交渉で今後少しずつ実現していく可能性があるが、介護保険に入ると、その道は閉ざされる。
(10)自己負担の問題
1人暮らしの知的障害者や精神障害者は、ほとんどは月6万円台の年金が唯一の収入。1人暮らしの全身性障害者も8万円台の年金のみが収入という場合がほとんど。介護保険の自己負担には、月14000円(非課税)〜3万円(低所得)の上限があるが、支援費ヘルパーの自己負担は0円(非課税)〜数千円(低所得)が上限。また、支援費は配偶者と子供の収入しか考えないので、親の収入は関係ない。介護保険は親の収入で自己負担額が変わってくる。障害者には高齢者と違って貯金がないので、64歳以下の利用者(や65歳以上でも先天性障害者)には支援費制度と同じ自己負担上限が設けられる必要がある。
(11)車椅子など補装具の問題
介護保険に入ると、JIS型普通車椅子やリクライニング車椅子は介護保険レンタル事業所からレンタルできるので、非常に特殊な改造が必要な場合を除き障害制度の補装具制度での支給はされなくなる。ところが、現在でも、多くの市町村は介護保険の方が自治体負担額が少ないという理由で、体に合わない介護保険のレンタル車椅子を使うよう強制している事例がある。40歳以上の特定疾患障害者で、介護保険開始前は自分の体の幅に合わせたリクライニング車椅子を補装具制度で作ってもらっていたが、介護保険に入り、体の幅に合わないリクライニング車いすを介護保険レンタルで利用するように強制されている例がある。重度全身性障害者にとっては、車椅子の各部分のサイズが体に少しでも合わないと、座位が保てないので、使い物にならない場合も多い。褥瘡ができ易くなる。しかし、更正相談所での特殊な改造の許可が出るほどでない障害者の方が圧倒的に多い。このため、「更正相談所での特殊改造の許可が出るほどではないが、既成のレンタル車椅子ではサイズなどが合わない」多くの障害者にとって、外出などが困難になり、閉じこもりや寝たきりとなってしまう。
(12)障害者団体が自治体の障害福祉課に対して交渉し、介護制度の改善がされてきた長い歴史と実績があるが、今後、それができなくなる
日本の障害者の在宅介護制度は、1970年代から、障害者団体が自治体や厚生省の障害福祉担当課と交渉して、制度が改善されてきた実績がある。介護保険に介護制度が吸収されると、交渉が不可能になる。特に、介護保険では、市町村が動かせる裁量の部分がほとんどなく、制度改善がされない。
以上の問題のほかにも、問題があると思います。なるべく早く提示する必要がありますので、ご意見を募集します。fax0120-916-843か メール までご意見をお送りください。なるべく細かくお願いします。プロフィールや連絡がつく電話番号もお書きください。 |
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一方、介護保険に入るとよい点
一方、介護保険に入りたいという意見の勢力には、それなりの理由があります。
(1)精神障害者の施設やヘルパーなどの介護制度が改善
精神障害者は先進国で最悪の30万人が病院に入っており、当面7万2000人を早急に地域移行してもらうことが決まっているが、その財源が、障害分野の予算不足で、まったくめどが立たない。介護保険に入れば、入所施設やデイサービスやショートステイ、ホームヘルプが精神障害でも利用できるようになる。
(ただし、要介護認定が改善されないと、ほとんどの精神障害者は自立判定になりサービス利用できず、さらに、精神系列の医療法人が精神専用の施設をたくさん作ってしまう恐れがある。介護保険開始時にも、老人病院を運営する医療法人は、大量に療養型病床群(介護保険対象の入所施設の1つで、医療法人が作る)を作り、介護保険を食い物にした。)
(2)小規模作業所の問題が解決に向かうかも
小規模作業所の予算不足問題が解決しないのは、障害分野に予算が不足しているから。介護保険に入る際に、デイサービスの1種として小規模作業所を位置づければ、飛躍的に予算が作業所に確保できる可能性がある。
(すでにNPO法人化して支援費の知的障害者デイサービスなどの指定を取っている作業所があるが、これと同じレベルはクリアしなくてはいけないことが予想されるので、すべての作業所が今のままの形態で予算が増えるわけではない。また、デイサービスとなると、毎日のプログラムを作ることを義務付けられたり、新規に誰でもデイサービスに受け入れなくてはならなくなる)
(3)過疎地などの町村部で障害ヘルパーをほとんど行っていない地域でもヘルパー制度が受けられるようになる
支援費制度では、障害福祉に熱心でない市町村では、極端に制度が悪い。特に、重度障害者の1人暮らしなどがない町村の場合は、大多数の障害者は家族が介護して何とかなる場合が多いので、障害ヘルパー制度がないところも多い。介護保険制度になれば、家族同居でも、1人暮らしでも、おなじ障害状況ならば同じ要介護認定が出るので、市町村は必ず制度を行うことになる。町村でもヘルパー制度が受けられるようになる。
(ただし、最重度の要介護5(全介助で、食事も介護が必要な程度が目安)でも、ヘルパーなら身体介護で1日3時間分しかなく、現状よりはヘルパー時間数がアップするが、そこから先が伸びない。つまり、町村部のほとんどでは一生家族から自立できなくなる。)
(4)健常者家族と同居している重度障害者のほとんどは、ヘルパー時間数がアップする
介護保険制度になれば、家族同居でも、1人暮らしでも、おなじ障害状況ならば同じ要介護認定が出るので、健常者と同居の場合は、たいていは時間数はアップする。
(家族と同居の場合は、時間数がアップするが、家族の収入があるので、1割負担(昼間身体介護ヘルパー利用は、1時間402円の自己負担)となり、要介護5のすべて(毎日3時間の身体介護)を使い切ると、3万5000円の自己負担となる。家族の許可がない限り、ヘルパーは使えないことになる。これに対して、現在は家族と同居の障害者のほとんどは未婚で、支援費制度では自己負担はない。)
(5)介護リフト・車椅子などのレンタル品目は何台でも利用できる。
介護保険の場合、要介護ごとの限度額の範囲で、ヘルパーを使うか、福祉機器レンタルを使うかが自由に選択できる。試しに借りることもできる。たとえば、電動車椅子を2台と介護リフトを3台レンタルすることも可能(この場合の自己負担は月1万5000円程度)。しかし、その分、ヘルパーを使える時間数は減る。介護保険と支援費ヘルパーの2階建て利用者以外は福祉機器をそんなにたくさん借りる余裕はない。しかも、車椅子はオーダーメイドは無理なので、体に合わない。
(6)支援費はこのままでいくと、予算確保がままならない。一般財源化の恐れもあり。介護保険に入れば、予算が確保できる
支援費は、毎年、予算不足が続き、このあおりを受けて、支援費以外の予算は、毎年少しずつカットをせざるを得なくなっている。新規制度も不可能。それどころか、三位一体改革を受けて、数年先には、支援費制度は一般財源化される恐れもある。そうなると、ヘルパー制度が遅れている町村部はますます制度改善を放棄し、すでにヘルパー制度がそこそこ延びている地域でも、交渉してさらに制度を延ばすことが難しくなる。介護保険に入れば、三位一体改革から逃れられる。
(支援費のヘルパー予算はかなり小さいため、一般財源化は障害者団体が一致団結して行動すれば、自民党も公明党も反対するので、回避できるという意見も多くある。また、政治家の動きで、(支援費の仕組みは変えずに)介護保険に増える保険料を、障害の支援費に、財源だけ受け取る方法もあるという意見もある。)
皆さんも各地の各団体で早急に議論と行動を!
2〜3月には厚生労働省内で方針が決定します
昨年までは、厚生労働省内では、障害の介護保険統合派は少数でした。今年になって、急に情勢が変わってきました。支援費でヘルパーの利用が増え予算不足が続いていることや、三位一体改革が予想を超えたスピードで進んでいること、首相が消費税増税の凍結をし、財政支出を締めていることなども理由です。
厚生労働省の介護改革本部は6月に介護保険に障害を統合させるかを含め、大まかなことを決定します。実際には最重要検討課題の障害との統合は、2月から3月には障害保健福祉部内で方針が出ると予想されます。全国の皆さんの議論と行動が早急に必要です。
介護保険への統合は、利点も欠点もありますが、1番大きな問題は、1970年代から毎年運動で改善してきた障害者の介護制度を、(24時間保障が実現しつつある日本の介護制度を)、その動きを止めてしまう可能性があるということです。3300市町村の9割の市町村で3時間以上のヘルパー制度が将来にわたって受けられない(施設や親元から自立できない)という日本になる可能性もあるということです。先進各国では障害者の介護制度は24時間保障のパーソナルアシスタント制度に向かって確実に伸びています。この問題などすべての問題が解決するならば、介護保険でも支援費でもよいでしょう。現状ではどちらにも利点があり問題がありますので、運動で変えていくしかありません。
日本では、どうしたらいいのか、全国の皆さんで、議論し、行動してください。
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