国庫補助基準を超える市についての国会答弁

10月28日の国会質問で、公明党福島議員は、福岡県筑後市と沖縄県宜野湾市の事例(せきそん連資料)を出して、国庫補助基準を上回っている市の対策を質問しました。両市とも人口10万人以下で、CILによる障害者の自立支援が活発で、1人暮らしの最重度障害者の比率が高いため、市のヘルパー事業費が国庫補助基準を超えています。

公明党の西副大臣は「水準を上げる」「現行制度において、委員のご指摘のようにどのようなことが自治体に生じているのか、その1人1人の日常生活の状態等も十分考え合わせて検証したい」と回答しました。

以下議事記録です

17年10月28日衆議院厚生労働委員会

福島議員(公明党)

 社団法人全国脊髄損傷者連合会から寄せられた要望書であります。本日の質疑にあたって、ぜひとも委員の皆様にご覧いただき、再度その必要性を訴えていただきたいという、強い要望がありました。重度の障害をお持ちの方を地域でどのように支えるのかは大きな問題であります。重度訪問介護を利用する一人暮らし、最重度全身性障害者、全体の0.06%、費用で0.84%、地域生活に必要な24時間の国庫補助基準を確保していただきたいという要請があります。先の通常国会からこの点については、どうやったら地域での生活が継続できるのかとの指摘が繰り返しありました。具体的な事例として、沖縄県宜野湾(ぎのわん)市、福岡県筑後(ちくご)市、このような事例があるということが2枚目に提示されています。特性としてはどちらも元国立療養所の筋ジストロフィーの専門病棟があった地域、療護施設もある地域である。そうした施設があるということと関連して、両市においても最重度障害者の地域移行が進められていうということです。先日の国会でもさまざまな地域があるので十分検討していきたいとご答弁があったかと思います。
  2枚目を見ますと、何が書いてあるかというと、筑後市では国庫補助基準を超えてしまった。支援費制度の基準による計算と現実の自治体での必要な財政需要とでは差があると、必要や財政のほうが多くなるという具体的なご指摘です。様々な地域でそれぞれ事情がありますので違いはあると思いますが、24時間の最重度の全身性障害者のかたの重度訪問介護で支えていくということを、今よりも後退させないということを考えたときに、現支援費制度で行われている、地方自治体持ち出しというようなことを抱えていることも配慮して、今後の対応で適切になれなければならないと思っています。再度申し上げますが、全国脊髄損傷者の方々は、解決策として、一人暮らしの重度障害者には、別途補助基準、月750時間、24時間のヘルパー報酬額を設定することは絶対必要であると、これは絶対に後退させないでくれと、強い切実な要望であると、こうした声を踏まえてどのようにこれを支えていくことができるのか、知恵を絞って、解決策を見出していただきたい思いでいっぱいであります。この点について最後の質問になりますが、ご答弁をお求めしたいと思います。

西厚生労働副大臣

  前回にも詳細に委員からご質問頂戴いたしました。各自治体におけるそれぞれ障害別の予算をいかに苦労しながら重度の皆さんが社会参加をし、自立に向けて努力するための実態についてもご異論をいただいてまいりました。ご指摘のように重度訪問介護、重度障害者等包括支援という形で給付をする、またそれに対して、国庫負担基準を設定していくことに なるわけですが、今のところは月125時間22万円のホームヘルプを国庫負担というのが現状ですね。利用実態をみますと、地域間でサービス水準に大きな格差がある。その中で、限りある国費を公平に配分していく必要があるということですが、特に、重度の障害者の方々の全国のサービスの利用実態を踏まえながら、今回の自立支援法では水準を上げる方向で検討していくということを申し上げたいと思います。また、今回の制度改正で、全体としてサービス水準の低い地域の底上げをする、大臣がいつもおっしゃるように、高いところに水準を合わせるということで、現在使用されている障害者の生活に大きな変化が生じないように、地域におけるサービス実績を踏まえて対応していきたいと考えております。その際に、現行制度において、委員のご指摘のようにどのようなことが自治体に生じているのか、その1人1人の日常生活の状態等も十分考え合わせて検証してまいりたいと考えているところです。

福島議員

十分検討していただきたいと思います。この3年間、立法府として責任をもっていかなければと思っております。個人的な意見ですが、医療においても高額医療といたった形式があるわけです。小さな自治体では十分支えきれないと、その場合、都道府県内の範囲を求めて、最重度の方も地域で生活が維持できるような仕組みを考えることもできるのではないかと思います。いろいろなことを考えて、地域での生活が支えられる仕組みを作り上げていただきたいと思っております。

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