自立支援法の国庫補助基準:
区分間流用と小規模市町村対策を検討 (厚生労働省答弁)

 いままで、障害程度区分間で国庫補助の流用はさせないとの方針を説明していた厚生労働省ですが、25日の国会で、現状の利用者が困らないように検討することを答弁しました。
  以下、衆議院TVより該当部分を完全な文書に起こしたものです。

衆議院厚生労働委員会 10月25日(火)午前

(福島議員)
小規模作業所の今後ということについての懸念と並んで現時点でも非常に心配されているのが重度の障害者の方々のサービス水準が一体どうなるのか、この点だろうと私は思っています。先日の参議院における地方公聴会においても重度の障害者のサービス利用の水準が低下しないようするべきだ、全国の平均ではなく高い水準を実現しているところを基準とするべきではないか、と、こういうような意見が表されました。重度訪問介護を利用する一人暮らしの最重度全身性障害者の方々は0.06%で少数であると言われておりますけれども、現実に24時間、月間では750時間になりますが、介護サービスの利用によって施設ではなく地域での生活が可能になっている、この現実があるわけであります。今回の改革で再びこうした方々が施設に戻らざるをえない、こういう結果になることは避けなければならない、と私は考えております。今回の改革が障害者福祉施策の将来に向かって大きく進めていくものである、と、こういうことを国民に対して発信していくためにも、こうした最重度の方々であっても地域での生活を継続できると、このことがやはり私は約束されなければいけないというふうに思います。参議院の附帯決議でも、

「重度障害者等包括支援や重度訪問介護の対象者について、重度の障害のある者のサービスの利用実態、ニーズ等を把握した上で設定することとし、 そのサービス内容や国庫負担基準については適切な水準となるよう措置すること。」

と、こういうふうにされております。適切な水準となるように措置するためには、どのような方策を講じるのか、障害程度区分間の財源の流用というようなことも現に現時点でも行われているわけであります。小規模の、規模の小さい自治体、ここでどうするか。こういうことも考えなければいけません。いずれにしましても、いろいろな工夫をして、いろいろな知恵を出して、こうした最重度の方が必要とするサービスというものが利用できる、と、こういう方向をやはり明確にしていくべきではないか、と私は思います。この点についての厚生労働副大臣のご答弁をお聞きしたいと思います。

(西副大臣)
お答え申し上げます。委員ご指摘のように地域で暮らす重度の障害をお持ちの方を支えていく、たいへん重要な課題だというふうに考えております。そんな意味で、今回、重度訪問介護、それから重度障害者等包括支援、こういう制度をつくって、そして国庫負担基準、それから報酬基準、ということを今後検討していくわけですが、サービスの利用実態、それから障害程度区分の試行事業の結果の分析を行いまして、適当な水準になるよう検討していきたいと思っております。で、今ご指摘のように一部の自治体で実際に行っていただいているような、軽度の障害者の使わなかったサービスの部分を長時間サービス利用者に、いわゆる流用というふうにいっておりますが、そういう取り扱いが現実に行われておりまして、種別を超えて調整していただいた。今回、支援の必要度に応じたいわゆる障害程度区分ということで、障害種別にかかわらず一元化をしていくわけですが、そういう趣旨からすると本来的には適当ではないというふうに思うわけですが、しかし、一方では今回の制度の変更に伴って、いま現にサービスを受けている、利用していただいている方に大きな変化を生じないようにする、ご指摘のとおりだと思います。今回、こうした流用の基準の取り扱いについては、新たに設定する国庫負担基準の水準などを勘案しながら、私どもとして検討をして参りたいと思っております。
  もうひとつの点で、小規模な自治体における、じゃあ人数の少ないところでいわゆる流用の可能性が狭まっていることに対してどう解決するのかというご指摘がありました。たしかにそういう意味では選択が非常に難しいということもございますので、どういうような事態になるのかということを我々としても検証させていただいて、そして対応の必要性も含めてこれから取り組んで参りたいというふうに考えておるところでございます。

(福島議員)
障害程度区分の認定、これは公平な制度の運営ということでは非常に大切でありますし、給付ということについてやはり透明性のある決定がなされる必要がある、そういうふうに私も思います。そしてまた、国の立場であれば、全国の水準と言いますか、平均的な水準はどうかということも当然考えるということも発想としてはわかるわけであります。ただ、それぞれの事情があります。さまざまな水準があります。そういう透明性、公平性というのも確保して、なおかつこうした最重度の方々についても、それをどう支援するかということについて自治体が判断できる、こういうことをやっぱり私は考えるべきではないかと。自ずと国と地方の立場というものも違うと私は思いますし、公平性、透明性が確保されたうえで最重度の方が地域で生活できると。こういうものもあると判断できる余地が残さなければいけない、と私はそのようにおもいます。

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