ホームヘルプサービスの国庫補助の特集
ヘルパー国庫補助の財源が今年度、50億円程度不足することがわかりました。16ページにわたって、現状での情報を特集します。来月も掲載します。
11月14日、「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」が行われました。前回の委員会で、当事者委員がホームヘルプの国庫補助の問題について協議したいということで、厚労省から資料の提出がありました。厚労省の説明によると、今年度のホームヘルプ予算の4月実績53.3億円、5月実績59.9億円になります。5月の利用実績から推計すると、今年度のホームヘルプにかかる国の経費は、330億円(60億円×11ヶ月分)が必要になり、今年のホームヘルプ予算278億円と比較すると約50億円不足します。この不足する金額については、厚労省は、「他の予算から流用など最大限努力する。国庫補助基準については、従前額(14年度)保証を基本に、具体的な配分の方法を考えたい。」と説明しました。
この説明を受けて、障害者団体からは「厚労省の説明ではかなり財政的に逼迫している。事業費の1/2を補助できるように最大限を確保するというが、われわれにとっては死活問題である。検討会の立ち上げは国庫補助基準の問題で始まった。これについて、このままにはできないので検討会に参加している障害者7団体で共同で要望書を提出する"と表明し、日身連の森裕司委員が要望書を読み上げました。
【要望書】
2003年11月14日
厚生労働大臣 坂口 力 殿
ホームヘルプサービスの国庫補助に関する緊急要望書
拝啓
平素より、貴殿の障害者福祉へのご尽力に感謝申し上げます。
私たちは、ホームヘルプサービスを利用し地域で生活する重度障害者及び家族を会員に持ち、また、その生活を支援する団体です。本年から障害者福祉の分野では支援費制度が導入され、措置制度から利用契約に基づく福祉サービスに大きく変わりました。「自己決定」「自己選択」の支援費制度の理念のもと、サービスの利用者である障害者の主体性が高まるとともに選択の幅が広がり、特にホームヘルプサービスを始めとする地域生活支援のサービスが拡充されました。また、既存のサービスの充実だけでなく、今まで必要であるにもかかわらずサービスを受けられていなかった多くの障害者が支援費制度によってサービスを受けられるようになりました。とりわけ、これまでホームヘルプサービスの利用ができなかった知的障害者においては、全国でサービス利用が活発に進んでいます。また、市町村が支援費制度発足にあたって、財政が厳しい中にもかかわらず支援費制度の予算を拡充させたことも大きな要因です。支援費制度がもたらしたこのような状況については、私たちは大きく評価しているところです。
しかしながら、支援費制度によって各地域のサービス量が増加したことで、本年度の国庫補助金が大幅に不足する可能性が強まっています。厚労省は現在、自治体に対して調査を行っていますが、すでに都道府県、政令指定都市から自治体のサービス量に応じた補助金の確保を要望する声があがっています。
市町村は国庫補助が受けられることを前提に予算を組んでおり、国庫補助が受けられないということであれば、今年度末にサービスの縮小を行わざるをえない市町村が出てくることは確実です。このような情報に接し、今後、必要な介護を受けられなくなるのではないかという不安の声が多くの障害者から寄せられています。
また、支援費制度発足の年においてすでに財源的にたちゆかなくなることは、制度の存続にもかかわることであり、支援費制度が始まりようやくこれから地域生活への展望を持ち始めた多くの障害者の期待を裏切るものです。
本年度の予想を上回るサービス量の拡大は、支援費の制度の理念に沿って各自治体が障害者施策に懸命に取り組み、潜在的なニーズが掘り起こされた結果であり、まさに支援費制度導入によって意図した状況が起こったといえます。これに対して国がしっかりと財源保障をし、市町村をさらに支援する体制をとるならば、今後の障害者の地域生活支援はよりいっそう進み、支援費制度は世界に誇れる障害者福祉制度となるでしょう。
私たちはこのように考え、本年度のホームヘルプサービスについて必要な予算の増額を行っていただけるよう国に強く要望致します。
要 望 団
体社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長 兒玉 明
日本障害者協議会 代表 河端 静子
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長 山田 昭義
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長 笹川 吉彦
財団法人 全日本聾唖連盟 理事長 安藤 豊喜
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 事長 妻屋 明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原 治
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|
この要望に対し、塩田障害保健福祉部長は
"要望は承って、要望書は坂口厚生労働大臣にも提出する。支援費の伸びについては分析は必要だが、基本的には良いことだと受けとめている。坂口厚生労働大臣も今朝の記者会見で、「支援費制度で地方のサービスがのびている、これは良いことなので、省内でも応援したい」という趣旨の発言でこの問題に理解をしてもらっている。支援費制度に対する信頼を損なわないよう最大限の努力をしたい。実務的には、今後の見通しをきちんとして、必要となる予算については厚生労働省だけでなく、財務省にもお願いする。"
という前向きな姿勢を示しました。
また、検討会の後、厚労省記者クラブにて、障害者7団体で共同で記者会見を行い、ホームヘルプ国庫補助金の確保について訴えました。
11月14日の厚生労働省検討会の資料より
平成15年度の障害者ホームヘルプサービス予算について
1 平成15年度の利用実績と予算について
(1) |
利用実績
平成15年4月利用分 |
53.3億円 |
平成15年5月利用分 |
59.9億円 |
|
※ 事業費ベース |
(注) |
6月以降の状況は、現時点で把握している範囲では、6月分の実績が5月分を下回っている自治体がある一方、6月以降も引き続き伸びている自治体もあるなど、サービスの伸び方についても相当の地域的な差が見られる。 |
|
(2) |
国における平成15年度予算
278億円(11か月予算)
(12か月ベースで303億円。前年度の交付決定額と比較すると約3割増。)
(注) |
14年度予算額(12か月ベース) |
265億円 |
14年度交付決定額(12か月ベース) |
237億円 |
|
(3) |
平成15年度の予算執行の考え方
○ |
国としては、事業費の2分の1を補助することができるよう、最大限努力する。
|
○ |
国庫補助金の配分は、国庫補助基準額を基に、市町村における利用実績に応じてできるだけ公平に配分する。
ただし、原則として従前額を確保するものとする。 |
|
2 ホームヘルプサービスの利用状況比較
|
(1)平成14年度と15年度の利用量比較
|
平成14年度 |
平成15年度 |
差引増減 |
伸び率 |
総費用 |
39.6億円/月 |
53.3億円/月 |
13.7億円/月 |
+34.6% |
総利用時間数 |
1,603,991時間/月 |
1,716,649時間/月 |
112,658時間/月 |
+7.0% |
1時間当たり費用 |
2,469円/時 |
3,105円/時 |
636円/時 |
+25.8% |
(注) |
14年度は、国庫補助金の交付決定における数を12月で除した数。15年度は、15年4月分(厚生労働省障害福祉課まとめ) |
(2)平成13年度と15年度のサービス別利用状況(児童分を除く)
|
3 ホームヘルプサービスの障害種別・サービス類型別の利用状況について(平成15年4月)
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身体障害者 |
計 |
身体介護 |
家事援助 |
移動介護
(身体介護を伴う) |
移動介護
(身体介護を伴わない) |
日常生活支援 |
(単価) |
4,020円 |
1,530円 |
4,020円 |
1,530円 |
2,410円 |
支払額(千円) |
4,280,249 |
1,859,616 |
486,366 |
670,656 |
315,296 |
948,315 |
割合(%) |
(83.0) |
(36.1) |
( 9.4) |
(13.0) |
( 6.1) |
(18.4) |
1人当たり支払額(千円) |
70.0 |
99.3 |
23.8 |
104.2 |
26.2 |
275.6 |
1人当たり利用時間数 |
23.9 |
20.3 |
13.7 |
23.1 |
15.7 |
135.0 |
|
知的障害者 |
計 |
身体介護 |
家事援助 |
移動介護
(身体介護を伴う) |
移動介護
(身体介護を伴わない) |
(単価) |
4,020円 |
1,530円 |
4,020円 |
1,530円 |
支払額(千円) |
562,937 |
208,368 |
68,014 |
192,919 |
93,636 |
割合(%) |
(10.9) |
( 4.0) |
( 1.3) |
( 3.7) |
( 1.8) |
1人当たり支払額(千円) |
42.6 |
65.1 |
22.8 |
73.0 |
21.4 |
1人当たり利用時間数 |
14.1 |
13.7 |
12.9 |
14.5 |
15.0 |
|
障害児 |
計 |
身体介護 |
家事援助 |
移動介護
(身体介護を伴う) |
移動介護
(身体介護を伴わない) |
(単価) |
4,020円 |
1,530円 |
4,020円 |
1,530円 |
支払額(千円) |
313,200 |
228,674 |
10,271 |
64,073 |
10,182 |
割合(%) |
( 6.1) |
( 4.4) |
( 0.2) |
( 1.2) |
( 0.2) |
1人当たり支払額(千円) |
55.5 |
69.8 |
21.6 |
50.0 |
16.7 |
1人当たり利用時間数 |
12.0 |
13.1 |
12.0 |
10.6 |
8.9 |
|
合計 |
支払額(千円) |
5,156,386 |
割合(%) |
(100.0) |
1人当たり支払額(千円) |
64.5 |
1人当たり利用時間数 |
21.5 |
(注) |
・ |
支払額:厚生労働省障害福祉課まとめ |
・ |
利用者数(延人数)、利用時間数:「居宅生活支援サービスの利用状況調査(仮集計値)」(厚生労働省障害福祉課調べ)より |
・ |
時間当たり単価は支援費基準(丙地単価)であり、日常生活支援は1時間以上1時間30分未満、その他は30分以上1時間未満の値 |
シルバー新報2003年11月21日発行より
障害支援費ホームヘルプ補助金 50億円財源不足も
利用実績の増加続く
障害者支援費制度のホームヘルプについて厚生労働省亜は14日、今年度事業費が予算額を上回り、財源不足に陥る可能性が高いことを明らかにした。今年5月分の利用実績は事業費ベースで59.9億円となっており、4月分と比べて6.6億円の増加。6月以降も同様のペースで利用が増え続けた場合、予算額を約50億円ほどオーバーする見込みとなった。}
4月以降のサービス利用状況について月ごとの実績を全国調査で分析したところ、4月分で53.3億円だった総事業費は5月に59.9億円となっており、6.6億円増加した、4月分の総費用総額を昨年同月と比較すると伸び率は34.6%。
不足分の財源確保については、「他の予算項目との調整も含めて確保できるよう努力したい」としており、坂口厚労相も同日の記者会見で同様の意向を示した。
最終的に事業費の2分の1補助を下回る可能性も出てきたことに対し、全国知事会、日本身体障害者団体連合会など当事者団体7団体は14日までに、補正予算の計上など国の責任において財源確保を求める緊急要望書を相次いで提出した。
ただ、実際にサービスを利用しているのはわずか11万6000人(4月分)で障害者手帳保持者の2.4%。このため、全国市長会では「介護保険制度見直し議論の中で、障害者福祉についても両制度の整合性を図る十分な議論を求めたい」など、予算頼みの制度設計を根本的に見直すことも求めている。
(2003/11/26) 朝日新聞
膨らむ介助、足りぬ予算 障害者支援費の行方
(中略)
■制度存続に危機感 支援費制度の導入前、知的障害者のホームヘルプの実施は全市町村の約3割だった。新制度はホームヘルプ単価を介護保険並みに上げ、事業者参入を促した。だが、そのサービス拡大の進展ぶりは国や自治体の予算対応を大きく上回った。
朝日新聞が都道府県・政令指定都市・中核市にアンケート(有効回答率79%)を行ったところ、03年度のホームヘルプ事業費は前年度の約1.5倍に増える見込みだ。身体障害者の利用時間増、知的障害者の新規利用に加え、単価アップの影響も大きい。厚労省によると、サービス1時間あたりの費用は約3105円で前年度より636円(26%)増えた。
障害者手帳などを持つ身体・知的障害者は約490万人だが、在宅サービス支給が決まっているのは約19万人。サービス希望者はさらに増え、04年度以降の予算確保も厳しい状況が予想される。
このままでは障害者の地域生活を支える理念は看板倒れになりかねない。自治体からは制度存続を危ぶむ声も出ており、介護保険との統合や施設への手厚い財源配分の見直しを求める論議が加速する可能性もある。
<障害者支援費制度> 行政が決めていた福祉サービスを障害者が選び契約できるようにした。保険料財源がある介護保険と異なり、費用は国や自治体の障害者福祉予算で賄う。ホームヘルプ事業では2分の1を国が補助し、残り4分の1ずつを都道府県と市町村が負担。03年度当初予算で国は278億円(前年度比14.5%増)を計上したが、5月までの実績で計算すると50億円程度不足する見通しだ。
閣議後記者会見(抜粋)
★H15.11.14(金)10:24〜10:33 省内会見場 【広報室】
(記者)
障害者の支援費制度なのですけれども、利用が急増するという当初の目的にかなった 現象ではあるのですけれども、予算的に相当厳しい状況にあるようで、市町村などでは予
算編成を控えて、補助金がどれだけ出るのか、かなり心配する声も出ているようなのです けれども、大臣は支援費の現状についてどのような考えをお持ちですか。
(大臣)
そうですね、かなり利用が増えてきている、これは非常に好ましいと申しますか、初 め我々が目指した方向に来ているというふうに思っております。今までは一部の地方自治
体だけが、飛び抜けて利用されていた、利用されていないところは全くされなかったとい うことでございますけれども、全国津々浦々、障害者に対する取組というものがおこって
きているということでは、これはいいことだというふうに思っております。しかし初め予 測をした財源を越えて今、利用が進んでいるということも事実のようでございまして、厚
生労働省内で調整出来るところは調整をして、全体でバックアップをしていきたいという ふうに思っております。それをさらに越えてくる額なのかどうかということは、もう少し
様子を見なければ分からないというふうに思っております。そういう意味で、来年度の予 算におきましては、その辺のところをしっかり踏まえて、要求すべきところは要求をしな
いといけないというふうに思っております。
(記者)
予算の組換え要求も念頭に置かれているということですか。
(大臣)
組換え要求と申しますか、内容もいろいろでございますから、様々な分野で障害者に 対する配分を多くしていくということも含めて、考えていけばいいというふうに思ってお
ります。
★H15.11.21(金)9:55〜10:09 省内会見場 【広報室】
(記者)
障害者支援費のホームヘルプサービスの予算ですが、どうも4月、5月の利用実績か らみると年度末までに相当予算が足りなくなりそうだという話が出てますが、この件につ
いては厚生労働省としてどう対応するおつもりなのかお聞かせ下さい。
(大臣)
相当程度か、どの程度かちょっと今のところわからないのですけれども、どうも初め 予想しておりましたよりも、費用がたくさんかかっているということは事実のようでござ
います。考え方によれば、我々が予想していた以上に、障害者の問題が各都道府県、各地 域において取り上げられてきているということでありますから、ある面では喜ばしいこと
なのかもしれません。喜ぶべきことだと、私はむしろ思っております。しかし財政的に足 りないということになりますと、これはなかなか簡単なことではありませんので、そこを
どうするかをこれから考えたいと思っておりますが、出来る限りバックアップ出来る予算 があれば、他の分野からでも、若干応援してでも、ここはやっていかなければいけないと
いうふうに思っておりまして、どの程度なのかということが、今のところまだ定かではあ りません。もう少し様子を見たいと思っております。
(記者)
三位一体改革について、総理からご指示があったということですけれども、厚生労働 省所管の補助金について、具体的にどのようなお話があったのか。また今後どういうふう
に臨まれるつもりなのかをお聞かせ願いますか。
(大臣)
今日のところはそんなに具体的なお話はあるわけではありませんでした。ありません でしたけれども、しかし補助金の中で55パーセントは厚生労働省関係の補助金でござい
ますので、大変大きな額になっています。したがいましていわゆる知事会、それから市長 会、政令指定都市の会、その皆さん方のご意見も十分拝聴しながらやっていかなければな
りませんし、地方からはいらないと、欲しくないと思われるような問題でも、お願いをし なければならない問題もあると思っております。現在、精査を致しております。総理から
も、来年1兆円をやるんだという強い決意が示されたわけでございますので、それに対応 出来るように厚生労働省としても、どの分野をまずそれに当てはめるかといったことを考
えなければいけないというふうに思っております。事務次官にもそのことを伝えて、一つ 早急に考え方をまとめるように言ってあるところでございますが、全体の方針でございま
すから、それにお応えの出来るようにしたいと思っております。
(記者)
今のところの関連でいけば、よく目に付くのは施設整備費、社会福祉施設の設備費な んかだと思うのですが、それについては大臣どのようにお考えですか。
(大臣)
施設整備費とか、具体的に細かくなってきますと、それぞれの特徴がありますから、 施設整備費だけに止まらず、例えば保育の問題だったら、保育の問題として全体としてど
うしていくかということに、私はした方がいいだろうというふうに思います。その中で細 かく分けて、施設整備費だけをしますとか、この分野だけしますということになります
と、話は非常に細かくなってまいりますし、これは財源もさることながら、それぞれの分 野を地方において、それを主体的にやっていくかどうかの話でありますので、例えば保育
の問題でありましたら、それはまとめてこの問題について、やはり地域が地域で責任を 持ってやって欲しいというようなことにしないと、私はいけないというふうに思っており
ます。
ホームヘルプ国庫補助問題
〜自民党障害者特別委員会ヒアリング報告〜
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ホームヘルプ国庫補助問題に関して、自由民主党の障害者特別委員 会が開催 |
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自由民主党は11月20日(木)に「障害者特別委員会(八代英太委員長)」 を開催し、障害者団体からのヒアリング等を行った。そして八代英太
委員長の提案により、「障害者施策に関する決議」を行い、本年度及び 来年度の予算について所要額の確保を決議した。 |
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会議の冒頭、八代英太委員長は、「ホームヘルプ予算が不足する見通しになったの は、ある意味うれしい誤算」と述べた上で、「支援費制度という新しい制度を軌道に
乗せていくには、国の後押しが絶対に必要」と発言した。
「ホープヘルプ予算はなんとか確保してほしい」「今まで障害者介護は家族の重た い身体的精神的犠牲によって支えられてきた」「ホームヘルプ予算は義務的経費にし
てほしい」あるいは「ガイドヘルプの費用負担を扶養義務者には課さないでほしい」 等々の障害者団体からの切実な発言が相次いだ。
これに対して厚生労働省の社会・援護局の塩田障害福祉部長は「支援費制度は障害 者の自己選択・自己決定を支える重要な制度。厚労省としても、なんとしても財源を
確保し、障害者が不安感を持つことがないように最大の努力をしたい」と表明した。
また日本障害者協議会(JD)の河端代表は、「補正予算を組みきちんと対応してほし い」との主旨の発言を行った。
さらに八代委員長は「来年度も同じような事態になることがないように、国として 所要額を手当てしていくように」厚労省に求めた。斉藤議員は厚労省の失策を厳しく
非難し、必要な予算を確保するよう発言した。
全国精神障害者家族会連合会(全家連)からは「社会的入院の解消を目的とする施設 整備費などを復活採択してほしい」等の強い意見が出された。
京都府と静岡県富士市からは自治体の立場で、財源確保を強く求める意見が出され た。そして「自治体にしわ寄せがくるような事態になれば、サービスは圧縮せざるを
得ない」と述べた。京都府は居宅支援費についての義務的経費化についても言及し た。
自由民主党 障害者特別委員会として、以下が決議された
障害者施策に関する決議
障害者施策については、これまで国連・障害者の十年やアジア太平洋障害者の十年を 踏まえ、障害者の地域生活を支援するという基本的な考え方に基づいて、ホームヘル
プサービスやグループホームをはじめとする在宅福祉施策を進めてきた。こうした流 れをより確実なものとするため、当委員会として、以下のことを求める。
一、 国は、今年度からスタートした支援費制度について、障害者や地方自治体がそ の運営に不安を抱かぬよう、今年度の予算の執行において所要額の確保を適切な執行
に最大限努力するとともに、平成十六年度予算においても所要の額を確保すること
一、国は、精神障害者の社会復帰対策についても、七万二千人の社会的入院者の退院 と社会復帰を進めるため、必要な予算を確保すること
右、決議する。
平成十五年十一月二十日
自由民主党 障害者特別委員会
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2003−11−20自民党障害者特別委員会 議事メモ
11:30〜12:30
八代 (あいさつ)
昨日より国会始まる。今国会は9日間。障害者問題を論議する時間は今国会はない。1/19から の次期国会で論議することになる。これから1月の国会までに、税制改正・予算編成の要望で、
さまざまな人が自民党にやってくる。予算に反映するように、全力で取り組みたい。
障害者関係は今日が最初の場になる。
支援費制度、うれしい誤算といえるが、予算が足りなくなっている。
精神障害者施策も年度でトータル7〜8万人は社会復帰。要望にこたえられる状況になっ てない。
今日は特に介護の問題、次の年度にどう反映していくのか、を行う 参加者を紹介します
日身連 児玉会長・森事務局長
JD 川端代表・太田政策委員長
DPI日本会議 三澤事務局長・佐々木信行氏
(社福)日本盲人連合会 渡辺理事・時任理事
(財)全日本ろうあ連盟 黒崎副理事長・大杉事務所長
(社)全国脊椎損傷者連合会 妻屋理事長・大浜副理事長
(社福)全日本手をつなぐ育成会 藤原理事長・松友常務理事
(財)全国精神障害者家族会連合会 小松理事長・江上専務理事
自治体からも現状を話してもらいます
京都府戸田保健福祉部長
富士市鈴木市長
次に議員の先生を紹介します(選挙区は編者で追加)
・木村 義雄 厚生労働副大臣 香川2区
・真鍋 賢二 参議院香川県選挙区
・保岡 興治 鹿児島1区 「精神障害者福祉に取り組んでまいりました」
・斉藤 斗志二 静岡5区比例復活 「障害者プラン初年度でつまずくとはけしからん! 満額 必要な予算はとらねばならない」
・北村 誠吾 長崎4区 佐世保から参りました
・山口 俊一 徳島2区
・森岡 正宏 奈良1区比例復活
・大村 秀章 愛知13区 「財源確保は大事な問題」
・吉野 正芳 福島5区 比例復活
・鈴木 淳司 愛知7区比例復活
・新井 正則 埼玉8区 所沢です
・石田 真敏 和歌山2区 「市長経験し、障害者福祉は重要と思っている」
・望月 義夫 静岡4区
・大前 繁雄 兵庫7区 「土井さんを破ってでてまいりました。 わたしは長男が脳性まひで す。兵庫県肢体不自由者父母の会の会長をしています」
・野田 聖子 岐阜1区
・塩谷 立 静岡8区 (ほかに遅れてきた議員5人下に記述)
八代
では、団体から1団体2分以内で発言して下さい
日身連 児玉
今日は支援費の緊急要望を携えてまいりました。宜しくお願いします
JD 川端
今日の議員の皆様のファイトに心強く思いました
お手元の緊急要望にありますように、ヘルパーで50億円の赤字。
わたしは27年ヘルパーをやってきて膝間接も股関節もぼろぼろになり、元は元気でしたが、 杖を突いて歩くようになりました。
近畿では、キンジスの呼吸器を使っている子どもの呼吸器を父親が介護者疲れで呼吸器を止め て、死んでしまった。裁判になってようやく執行猶予がついたが、そういう悲劇が、全国でおこ
る。そうならないためのホームヘルパー。そういうことで緊急要望もってきました。
DPI三澤
8団体で要望ださせていただいた。
2割程度ヘルパー予算が不足する見込み。各市町村で厳しくなり、保障されなくなる。
日盲連 時任
2点要望したい。ガイドヘルパー制度前からやっているが、支援費になった。市町村が時間数 の査定するが、査定で、2時間・3時間というふざけた査定がある。2時間で、一体どこにいけ
というのか。
自己負担、本人の所得でなく、家族の所得で算定されるという不合理を何とか解決してほし い。以上2点です。
日聾連
聾唖者の場合、ホームヘルプのお世話になってない。ただ、もうろう、ろうと知的障害の重複 障害を持つ仲間がヘルパーの対象になっている。安心して生活できるようにしていただきたい。
脊損連 妻屋
支援費はじまって、期待が高まっている。予算足りないと、答えられない。たびたびこのよう なことがあると困る。施設と同じ義務的経費になるように、法律をかえてほしい。
育成会 藤原
われわれは知的障害者家族の会。支援費ホームヘルプ財源不足している。今回、使いやすく なって評判良くなった。この制度をよろしくお願いしたい。グループホームは施設から地域への
柱。これも宜しくお願いしたい。
全家連 小松
1番大切なのは法律改正で、精神もなかまに入れた。しかし、まだバスに乗り遅れている。
他の障害に対して格差大きい。37万人が入院していて、75000人が地域に出てくる。在 宅へ対応する施設がなく、施設・制度おくれている。施設整備費復活してほしい。
早く法改正され、精神も支援費に適応するように、お願いします。
八代
では自治体2つから
京都府福祉部長
制度スタートで、利用者が急に増えている。人数1.3倍に増加している。ホームヘルプ予算 1.6倍。 サービスメニューも増加した。
自治体から強調したいのは、障害者が地域で自立したいという−あるべき姿がでているため、 事業費が増えている。過大なニーズではなく、真に必要な予算と、とらえている。
京都でも44市町村では、はやくも、9月に補正になった市町村や、すでに、このままでは制 度が成り立たないという市町村もある。
近畿の7府県で要望を出した 裁量的経費でなく、義務的経費として位置付けてほしい。
自治体で超過負担は、住民の目もあり、難しい。これが、事業費抑制につながり、さらに、障 害者へのサービス遮断につながる。それが行政への不満となってでる。
制度の根幹を揺るがすことになる。障害者の自立に向けた、今までの国の努力が無になる。人 にとって自立に上限はないと思う。
八代
では、次は斎藤議員の計らいで富士市長におこしいただきました
富士市長
4月スタートの支援費制度は、利用者本位の制度。需要に供給が間に合わない。利用者が選択 する。 国庫補助金がこの時期に、何の代替もなくカットになると、来年の予算確保が困難になる。
国が法律に位置付けた制度に初年度からこんなことでは、困る
新しいニーズに対応したい。
要望内容
1.今年度の国庫補助金については補正して確保を
2.16年度も予算増額をお願いする
八代
遅れてきた先生方の紹介を
・南野(のおの)知惠子 参議院比例
・三ツ林 隆志 埼玉14区
・大野 松茂 埼玉9区
・左藤 章 大阪2区
・衛藤 晟一(えとう せいいち)大分1区 衆議院厚生労働委員長
八代
江藤先生は今日の午後1時から衆議院厚生労働委員長になります。障害者のこの問題を宜しく お願いします。
ではつぎ内閣府と厚生労働省の出席は、
・内閣府 障害者施策担当 衣田昌男 参事官
・厚生労働省塩田障害保健福祉部長
・村木企画課長 ・高原障害福祉課長
・矢島精神保健福祉課長
塩田部長
この制度は障害者が自ら選択してサービス契約する画期的制度。4月からスタートした支援費 制度ですが、4・5月実績みると、ホームヘルパーが国費で50億円不足する。グループホーム
も同じような予想。大臣以下、一丸となって省内の予算をかき集めるつもり。 精神障害者の社会復帰も大事なので、予算確保したい。
八代
先生方や団体からの質問ありますか
JD川端
部長は「庁内からかき集める」とおっしゃったが、50億が庁内でどうやったらでるのか!
われわれの要望は、補正を組んでほしいということ。自民党の皆様、江藤先生、八代先生、お 願いします。
八代
言葉の捕らえ方。かきあつめると部長は言ったが、財務省からもかき集める必要ある。
4月からの自治体との約束は守らないといけない。
この事態は、うれしい誤算、悲鳴である。
まず、余る予算はかき集める。その上で先生方のお許しいただければ、(補正の)決議文を用 意してきた。
国の予算はジャングルのようなもの。上に水が落ちても、少ないと、隅々(市町村)まで、水 が行き渡らない。
いい意味での誤算ですから、自民党がんばる。
育成会 藤原
昨年知ったが施設は義務的経費、在宅は裁量。これからは施設から在宅への時代。法律を変え てほしい。
斉藤 斗志二議員 (静岡5区比例復活)
国の認識が甘かったと思う。今の塩田さんの意見も力が入っていない。それではこまる。
静岡は障害者スポーツの大会があり、今取り組んでいる。
塩田さんに、もう一度、不退転の決意でやってくれないと困る。もう1回答弁してくれ。
塩田
「不退転の決意で行いたい」
八代
15年と、16年度概算要求の額は?
塩田
事業費で15年度は516億円、16年度は602億円。
大濱
支援費制度は理念ばっかりで、財源が伴っていない。
八代さんとも先日話したが、足りなくなるのは50億ではなく、100億になる予想もある。
ヘルパーは実質義務的経費。今年度、来年度予算確保を
八代
決議案を今から読み上げたい
( 自由民主党 障害者特別委員会としての、決議文読み上げが八代委員長よりあり、参加議員満場の拍手で決議された。)
(解散)
11月28日公明新聞より
障害者サービス確保を 浜四津代行、福島氏ら 財務省と厚労省に支援費制度で要望
公明党の浜四津敏子代表代行と福島豊厚生労働部会長らは27日、財務省を訪れ、今年4月にスタートした障害者の支援費制度に関して、必要な財源を確保するよう申し入れた。公明党が今月21日、障害者8団体から受けた要望内容を踏まえたもの。
福島氏は「財源不足により、障害者のサービス利用が妨げられることの内容に配慮してほしい」と述べ、来年度予算の確保とともに、今年度の不足分については補正予算を編成して対応するよう求めた。
これに対して石井啓一財務副大臣(公明党)は、「予想以上に需要が大きくなっている。厚労省と相談の上で真剣に対応したい」と答えた。
これに先立ち、福島厚労部会長らは厚労省に対し、同様の申し入れを行い、谷畑孝厚労副大臣は、「重点的に取り組む。省内で活用できる予算を吸い上げたい」と述べた。
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