3月12日課長会議資料解説特集
2009年3月12日に厚生労働省で都道府県・政令都市・中核市の課長などを集めて障害福祉関係主管課長会議が行われました。
注目点を解説します。
ヘルパー時間数は「地域で自立した生活ができる適切な支給量を定める」ことが書かれました。
特に日常生活に支障が生じる恐れがある場合は、非定型で、自立した生活が出来るヘルパー時間を決定するようにとの文書が書かれています。
(課長会議資料16p)
また、国庫負担基準が上限ではないことも書かれています。
全国の市町村の中には、1人暮らしの24時間の介護の必要な障害者がいても、自立した生活が送れるようなヘルパー時間数を決定しない市町村がまだまだたくさんあります。一方で、毎日24時間の重度訪問介護を決定している市町村も全国の市町村数で1割(人口比で全国の3〜4割)あります。
全国1800市町村のすべてで、障害者が選んだ住まいで自立生活できるようなヘルパー時間数が決定されるようにしなければ、重度の障害者は住みたいところで暮らせず、入所施設に入るしかなく、施設から地域への移行も進みません。
今回の文書を交渉に使って、制度を障害者自身で変えていく交渉を行っていきましょう。交渉方法のアドバイスは制度係フリーダイヤル0037-80-4445へ。
また、上記の文書に続いて、介護保険対象になっても、上限無しで必要なヘルパー時間数を出すように書かれました。
(課長会議資料16p)
これは、たとえば障害ヘルパー制度で毎日8時間のヘルパーを決定されるべき人が、もし介護保険の対象であっても、介護保険のプランでは最高でも毎日3時間の身体介護しか出ないため、残り5時間のヘルパー制度は障害ヘルパーで決定されるという意味です。
一部の市町村では、介護保険対象者の障害者に対し、介護保険のサービスだけを認め、障害ヘルパーを支給しない悪例が見られます。このような市町村でも交渉して制度を改選していきましょう。
短時間の細切れ介護は重度訪問介護で決定せず身体介護で決定するように書かれました
この部分は当会が要望しました。本来身体介護で決定すべき1回1〜2時間 などのサービスを、単価が安くて済むという理由で、重度訪問介護で決定している悪質な市町村があります。
(課長会議資料17p)
このため、「事業所が見つからないのでサービスが使えない」「事業所がどこも引き受けてくれず、選択肢がないので、能力のない事業所しか選べない。介護がきちんと出来ない登録ヘルパーが引継ぎもなく派遣されてくる。しかも依頼した一部分だけしかヘルパーが来ない。休まれたら代わりを派遣できないといわれる」など、劣悪なサービスを受けるしかない状況も報告されています。
悪質な市の中には、医師の意見でもあきらかに24時間付きっ切りの重度訪問介護が必要な重度の全身性障害者に対して、「1時間ごとに重度訪問介護を使ったり空白をあけたりの繰り返しで、使いなさい」といい、毎日12時間分しか重度訪問介護を支給決定しない事例もあります。
また、深夜の巡回介護(身体介護30分を使わなければならない)を重度訪問介護で事業所にやらそうとしている悪質な市もありました。
今回の課長会議資料では、30分単位の請求がスタートするので、重度訪問介護を1回30分だけで使えると勘違いしないように説明し、重度訪問介護は長時間滞在型のサービスであると書いてもらいました。
また、重度訪問介護の時間数決定の際、(排泄などのいつあるかわからないがすぐに対処しなければいけない介護のための)「見守り」を計算に入れずに、「実際に身体介護や家事援助をする瞬間の時間を(分単位で)足し算してその合計時間を支給決定する」という誤った運用の市町村があるため、重度訪問介護とは「見守りを含む長時間にわたる支援」であると再度書いてもらいました。
この文章をよく読み、この文章を使って、適正な制度運用がされるように、市町村と交渉をしてください。
重度訪問介護は連続8時間で使わないと、ヘルパーを雇用できる単価設定になっていません。(身体介護の短時間サービス3回分(常勤ヘルパーが1日に稼動する想定回数)にあわせて、重度訪問介護8時間の単価が決められているため、8時間連続の利用でないと、事業所はヘルパーを雇用できません)。
サービス提供責任者の基準緩和
重度訪問介護は、サービス提供責任者(主任ヘルパー)の基準が緩和されました。これにより、事業所にサービスを依頼したときに、「サービス提供責任者が基準いっぱいで足りない」という理由で断られることが少なくなります。
(課長会議資料16p)
居宅介護や介護保険ではサービス提供月450時間で1名のサービス提供責任者が必要ですが、重度訪問介護の場合は、月1000時間で1名でよくなります。また、ヘルパー数基準でも、居宅介護や介護保険ではヘルパー10人にサービス提供責任者1名必要ですが、重度訪問介護は20人に1名でよくなりました。
このほか、新しい基準で、利用する障害者5名に対してサービス提供責任者1名でもよくなりました。3種類のどの基準を使ってもよいため、たとえば、24時間365日の最重度の利用者の場合、月744時間の利用になりますので、利用者数5名に1名の基準を適用すれば、事業所はサービス提供責任者の数が少なくてすみます。
現実的にも、最重度の自立支援や介護をしている自立生活センターなどでは、利用者5名でコーディネーター(主任ヘルパー)1名という程度が妥当です。
このほか、居宅介護・重度訪問・行動援護共通で、介護保険の改正に合わせて、非常勤(常勤の半分以上働いている者)のサービス提供責任者が少し加わってもいい改正が行われます。
(課長会議資料15p)
週40時間勤務の事業所ならば、週20時間勤務の介護福祉士が2名いれば、合計1名分のサービス提供責任者として配置できます。 (2〜5名設置の必要な事業所は1名分(=20時間が2名)が非常勤でOKに、6名以上の場合は全体の3分の1未満が非常勤でOKになります)
4月から、このように基準に余裕が出来るので、3月以前は障害者が申し込んでも利用を断られていたヘルパー事業所にも、再度4月以降のサービスを申し込めば、受けてくれる事業所があるかもしれません。
重度訪問介護の国庫負担基準額が大きくアップ
国庫負担基準が全体的に少しずつ上がりましたが、重度訪問介護は大きく上がり、中でも、区分6が月29万円から月40万円に大きく上がりました。
(課長会議資料35p・118p)
訪問系サービスに係る国庫負担基準 |
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2008年度 2009年度〜 |
ア.居宅介護に係る支給決定者 |
区分6 18,680単位 → 19,450単位
区分5 12,940単位 → 13,500単位
区分4 8,110単位 → 8,440単位
区分3 4,310単位 → 4,500単位
区分2 2,910単位 → 3,050単位
区分1 2,290単位 → 2,370単位
障害児 7,280単位 → 7,590単位 |
イ.重度訪問介護に係る支給決定者 |
区分6 29,590単位 → 40,030単位
区分5 23,850単位 → 28,270単位
区分4 19,020単位 → 22,540単位
区分3 15,220単位 → 18,020単位 |
ウ.行動援護に係る支給決定者 |
区分6 25,150単位 → 26,210単位
区分5 19,410単位 → 20,180単位
区分4 14,580単位 → 15,190単位
区分3 10,780単位 → 11,250単位
障害児 13,750単位 → 14,310単位
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エ.重度障害者等包括支援に係る支給決定者 |
45,500単位 → 80,000単位 |
区分6の場合、新基準額を1時間単価で割ると1日7時間分となり、多くの市町村で、健常者の家族が複数同居の障害者でも1日7時間は利用が出来るようになる可能性があります。(国庫負担基準を単価で割った時間を支給決定基準にしている市町村が多いため)。4月からの支給決定基準の改正に向けて、交渉を行ってください。地域の障害者が交渉を行わないと、支給決定基準が以前のまま、変わりません。(なお、家族が病気や高齢、全員働いている、1人暮らし、障害が非常に重いなど、支給決定基準では自立した生活が送れない場合は、非定型扱いとして、支給決定基準を超えて上限無しでヘルパー時間を決めてよい制度です。必要性のある人は支給決定基準にかかわらず、市町村と交渉してください。)
重度包括の国庫負担基準も45万500円から80万円に大きく上がっています(ALSの運動団体の成果です)。しかし、重度包括対象者が重度訪問介護などを使う場合は、現在の44万6500円が、4月より58万400円へと中途半端に上がり、重度包括の80万円との差が大きく開きました。国庫負担基準オーバーを気にする市が、障害者本人が望む重度訪問介護ではなく重度包括を支給決定する問題がおきそうです。
重度訪問介護ならば複数の事業所が選べますが、現状で重度包括は事業所が少なく、あっても1箇所しか選べないという実態です。利用者が事業所を自由に選択できなければ、事業所の立場が利用者よりはるかに強くなり問題が起きます。重度訪問介護などを使っても同じ80万円とすべきです。
なお、国庫負担基準は支給決定の目安にされている向きもありますが、あくまで国庫負担金を国から市町村に分配するためのツール(分配計算のための数字)にすぎません。「同じ市内の1年分の全ヘルパー制度利用者の国庫負担基準」を足し、その合計額が「市町村のヘルパー事業費」より大きければ、市町村のヘルパー事業費は全額が国庫負担の対象になるという制度です。(逆に国庫負担基準の合計よりヘルパー事業費が多かった場合は、その差額は国庫負担対象外となり、県の地域生活支援事業や、基金事業で補助されることになります)。
*国庫負担基準の区分間合算と従前額保障(17年度額実績)は、21年度以降も継続すると書かれました(14p)。
あまりにも低かった重度訪問介護が全体に大幅アップ、身体介護と家事援助は短時間のみ単価アップ
単価アップした部分はヘルパー事業所がヘルパー確保しやすくなり、サービスが使えない事態が改善することが予想されます。
2月20日の全国課長会議で、障害者自立支援法のヘルパー制度や施設の2009年度からの単価(事業所に入る金額)が公表されました。原則3年ごとに行われる単価改正で、介護保険の単価アップはすでに12月に公表されています。
重度訪問介護
今回、重度訪問介護は全時間数にわたって約13%アップになり、最も大きな単価アップとなりました。これは、支援費制度から自立支援法に切り替わったときに重度訪問介護だけが大きく単価ダウンしたものを元の水準に近づけたものです。(支援費制度時代は、日常生活支援は1時間1800円で移動介護は1時間の場合4020円でしたが、これら2つの制度が合体して重度訪問介護になった)。重度訪問介護は、単価があまりにも低すぎたため、支給決定を受けてもヘルパー事業所がヘルパーを確保できず、サービスを提供できないという事態が全国でおきていました。重度障害者にとっては生死にかかわる重大な状況が続いていました。
今回の改正で、重度訪問介護の8時間連続の場合の1時間平均単価は(区分4・5で)1761円、(区分6で)1866円になります。(なお、重度訪問介護は身体介護の半分以下の単価ですので、連続8時間以上の利用でないと、ヘルパー事業所は、ほとんどヘルパーを確保できません)。
身体介護
身体介護は30分単価が(現在の2300円から)2540円に240円アップとなり、介護保険の4月からの新単価と同額になります。これにより、巡回介護事業を行う事業所が少し増えるかもしれません。また、自立支援法開始時に介護保険に比べて約0.5%下がっていた1時間〜3時間の単価が介護保険と同額に戻りました。たとえば、1時間単価は現状の4000円から介護保険と同額の4020円に。また、(市町村に認められた場合のみに使える)連続3時間以上の単価は、現在は1時間当たり1400円ですが、介護保険と同額の1時間1660円に戻ります(支援費制度の時代と同じ単価に)。
なお、身体介護単価は、通院等介護(身体介護を伴う場合)と同額です。
家事援助
家事援助は、1時間未満の短時間のみが単価アップしました。30分単価は今の800円から1050円に、1時間単価は今の1500円から1970円になります。介護保険では今回の改正でも生活援助(障害の家事援助に相当)の1時間単価が単価アップし、2080円から2290円になりましたが、障害の単価改正では介護保険に追いつくことができませんでした。
介護保険では2000年の制度開始時に家事援助が1時間1530円でスタートし、支援費制度も3年後に同じ1530円でスタートしました。その後の介護保険の単価改正時に、あまりにも単価が低いことでサービスを依頼しても事業所が見つからないという実態を改善すべく、介護保険の家事援助は生活援助と名前を変え、(交通費や利用者宅への移動時間のコスト分として)550円が加算され、1時間のサービスの場合、単価が2080円に上がりました。しかし障害者のヘルパー制度は予算不足で1530円から上げることができず、自立支援法開始時には、逆に1500円に下がるという始末でした。今回、ようやく単価が上がりましたが、介護保険との単価の差は埋まっておらず、これで事業所に利用申し込みをしても、ヘルパーが見つかるかどうかはわかりません。また、障害の場合には、予算削減のために30分の家事援助単価が設定されており、介護保険の最低時間数の1時間単価に比べ、さらにヘルパーが見つかりにくくなっています。
特定事業所加算
先月号でもお知らせしましたが、事業所に入る単価が10%から20%上がる、特定事業所加算が介護保険と同様に障害ヘルパー制度でも導入されました。これによって、常勤ヘルパーが多い事業所や経験年数の長い介護福祉士などの有資格者が主任ヘルパー(サービス提供責任者)をしている居宅介護事業所、重度訪問介護の経験時間数の多い主任ヘルパー(サービス提供責任者)が主要な重度訪問介護事業所などで、重度の利用者へのサービスが多い場合、加算が取れるようになります。
これにより、ヘルパーが非常勤や登録ではなく常勤中心で長く働いていく事業所が増えると予想されます。常勤で年数が長いヘルパーが増えるほど、最重度の障害者の介護をきちんと行える、技術が高いヘルパーが増えます。
介護保険では特別事業所加算を事業所が取ると、利用者にとっては同じ限度額(要介護5で約36万円)内で利用できる時間数が減る上、利用者の自己負担も1〜2割上がってしまうため、この加算を取る事業所はわずかです。一方、障害の場合は、利用時間数には影響せず、自己負担もほとんどの利用者が月の自己負担上限に達しているため、関係ありません。このため、障害の制度の場合は、特定事業所加算を取る事業所は介護保険よりも多くなると予想されます。
ただし、特別事業所加算については、介護保険の制度をベースにしたため、問題もあります。重度訪問介護は独自の考え方も入ってはいるのですが、どうしても介護保険の制度を作ったときの仕組みからは抜けきれないため、老人向けの事業所としてふさわしい形態に縛られる結果になっています。(ここではこれを仮に介護保険モデルと呼びます)。介護保険モデルでは、専門家(=健常者)である主任ヘルパーがトップに立って医療サービスモデル的なヘルパー事業所の運営方法を行い、ヘルパー全員が集まって利用者のことを会議して決めていくことが質のいい事業所だとする考え方になっています。介護保険や居宅介護の場合、この会議も特定事業所加算の要件です。これに対して、消費者モデルの障害当事者がセルフケアマネジメント手法で現場のヘルパーの管理やレベルアップに責任を持つ仕組みも、現実には全国の障害者団体のヘルパー事業所で行われており、利用者の満足度も介護保険モデルの事業所よりは高いという調査結果も出ています。自らも介護制度を使う障害者講師が、ヘルパー利用者の障害者を研修や個別支援して、利用者自身が支援を受けつつサービスを管理(現場のヘルパーの技術の質などの管理も事業所と共同して行う)していく方法で、利用者のエンパワメントにもつながっています。しかし、今回の制度にはそのようなモデルの事業所は加算が取れません。これは今後の課題だといえます。
特別地域加算
過疎法指定地域や半島振興法指定地域、特別豪雪地域など、主に山間・離島・豪雪地などの地域に障害者が住んでいる場合、15%の単価の加算が設けられました。介護保険では事業所所在地で15%・10%の2段階+利用者の居住地で5%の加算システムですが、障害の場合は、まとめて15%で利用者の居住地で加算が決まりました。
なお、2月の課長会議で公開した報酬告示案では豪雪地帯対策特別措置法の定める「豪雪地域」も対象に入っていましたが、北海道から鳥取県まで日本海側は全県で対象になるなど地域が広すぎるため、「特別豪雪地域」だけを対象にする方針で再検討されています。
これにより、山の上の市町村に住んでいる障害者も、遠方のふもとの事業所などからサービスを受けやすくなることが期待できます。また、従来なら採算割れで事業所が立地できなかった過疎地でも、事業所が増えてくることも期待できます。(当会では、最重度の障害者がサービスを利用できない過疎地や山村でヘルパー事業所を作る方への立ち上げ支援も行っています。無利子貸付の紹介・法人設立や事業所指定申請の方法などもアドバイス可能です。)
初回加算2000円
新規に居宅介護計画を作成した新規利用者に対して、サービス提供責任者がその月に初回の介護に入ったり、他のヘルパーについていったりした場合、2000円が事業所に入ります。これは介護保険と同じ仕組みです。
緊急時加算1回1000円
利用者からの依頼で、ヘルパーが(利用者の居宅介護計画において計画的に訪問することとなっていない介護を)緊急に行った場合は、利用者1人に対し、1回につき1000円が事業所に入ります。(1か月につき2回まで)。
これにより、緊急時の介護が頼みやすくなると思われます。介護保険と同じ制度内容です。
行動援護の資格要件の経過措置が延長
(課長会議資料121p)
2008年3月いっぱいとされていた行動援護の経過措置が延長になりました。1つは、サービス提供責任者は本来知的や精神障害に関する実務経験5年必要なところ、経過措置で行動援護研修+3年経験でよしとする措置です。これは3年延長になりました。もう1つは、行動援護に従事する一般ヘルパーで、本来知的精神の実務経験2年が必要ですが、行動援護研修+1年経験でよしとするものです。こちらは期限が明示されず延長となっています。
重度訪問介護の新単価の解説
厚生労働省より重度訪問介護や居宅介護の4月からの新単価案が公表されました。重度訪問介護の基本単価(=区分4・5)は、今までの単価では、開始から24時間の流れは以下のようになっています。
24時間連続介護の必要な障害者の介護を8時間勤務のヘルパーが3交代で勤務すると想定して単価設定がされています。
2008年度までの基本単価(区分4・5の単価)では、最初の4時間が1時間当たり1600円で、次の4時間が同1500円、ここまでで8時間でヘルパー1人目の8時間の勤務と考えます。
次の8時間は2人目のヘルパーと考え、上記の8時間の95%(最初の4時間が1600円/hの95%で後半4時間が1500円/hの95%)、次の8時間も3人目のヘルパーと考え同じく95%です。(注1) |
4月からの新単価は約13%(正確には13.33%)上がって、区分4・5の場合は
1時間目 1830(円/h)
2時間目 1820
3時間目 1820
4時間目 1820 ここまで4hは次の4hより約100円高い(さらに20〜30円加算)
5時間目 1700
6時間目 1700
7時間目 1700
8時間目 1700 ここまで4hは100円低い
9h目 1720 2人目と考え、ここから下は95%で高い低いの繰り返し
10h目 1720
11h目 1720
12h目 1720
13h目 1620
14h目 1620
15h目 1620
16h目 1620
17h目 1720 ここから3人目と考える
18h目 1720
19h目 1720
20h目 1720
21h目 1620
22h目 1620
23h目 1620
24h目 1620
と、なっています。
なお、最初の1時間は従来の単価の13.33%アップの水準より、さらに20円高く、2・3・4時間目は10円高くなっています。
これは1日4時間未満の短時間の場合は高くしたということです。
なお、区分6は上記の7.5%加算なのは変わりません。また、地域加算(甲地・乙地など)もこれに加算されます。
重度包括対象者は15%加算です。なお、意思疎通ができなくて、気管切開の人工呼吸器利用者が従来の重度包括の条件でしたが、4月からは気管切開の条件が外れます。つまり、意思疎通ができない鼻マスク呼吸器利用者も15%加算になります。
自立支援法で重度訪問介護になり、大幅に単価が下がり、ヘルパーの給与が下がったことで、人材が流出し、最重度の重度訪問介護の利用者は事業所が見つからない事態や、支給決定を受けても事業所がない事態が全国各地でおこり、散々な状態でした。
今回の改正で、日常生活支援の時代の1時間1800円単価に近づきました(ただし、今は重度訪問介護に吸収された移動介護は1時間4020円だったので、平均単価は以前の支援費制度時代の単価まで回復しているわけではない)。
これによって、ヘルパーの給与が上がり、「ヘルパーがいない」という事業所が減り、利用者が事業所から拒否される事態も減るものと思われます。
また、特定事業所加算新設により、常勤などで長く働くヘルパーに給与を上げていけることができる仕組みができたので、利用者にとっては、質の高いベテランの介護を受けられる割合が高まります。
(注1)
重度訪問介護は8時間連続利用などを想定した制度である。8時間連続で働くヘルパーの給与などを元に単価が設定されており、24時間連続利用も想定して24時間を3人の8時間勤務のヘルパーで埋めるように制度設計されている。
単位においては重度訪問介護8時間連続利用と、身体介護3回の利用は、ほぼ同じ単位になるように設定されている。これは、身体介護の場合は8時間勤務の常勤ヘルパーが(1回1時間から1.5時間の)身体介護に(8時間の勤務時間のうちに)3回出向くことを想定して介護保険の身体介護単価(自立支援法の身体介護単価は介護保険に合わせている)が決められているが、重度訪問介護の場合は連続8時間で介護サービスに入ることが想定されるため、重度訪問介護8時間の単位が、身体介護3回分とほぼ同じ単位になるように制度設計されているためである。
重度訪問介護の基本単価では、
・1人目の勤務時間に当たる8時間のうち前半4時間が1600円/h後半4時間が1500円/hとなっている。
・2人目の勤務時間に当たる次の8時間のうち前半4時間が1600円/hの95%単価、後半4時間が1500円/hの95%単価となっている。
・3人目の勤務時間に当たる最後の8時間のうち前半4時間が1600円/hの95%単価、後半4時間が1500円/hの95%単価となっている。
(95%になるのは2人目以降は事業所の管理コストが低くてもよいという制度設計。また、最初の4時間が100円高いのは、1日12時間などの利用の場合は、短い勤務時間で終わってしまうヘルパーが出るので、短い部分は高くして配慮している。)
重度訪問介護、1日24時間連続利用する場合の請求コードも用意されている。
このように、重度訪問介護は24時間3交代の連続利用までも制度に織り込んで設計されている制度。これに対して、身体介護は主に短時間でのサービスを想定した制度。
相談支援の強化と利用計画の義務化について
〜大問題が進行中〜
(課長会議資料12p)
厚生労働省は3年後に相談支援事業者が全利用者のサービス利用計画を作り、その計画を参考に市町村が支給決定する仕組みへの転換を計画しています。
この4月から、サービス利用計画利用者の対象を一部広げるなど、準備を進めています。
この計画が進むと、1割の良質な市町村(たとえば最高24時間のヘルパー制度を支給決定している)では、施設からの地域移行など、よりよいサポートが進むと思われますが、9割の障害福祉に熱心でない市町村では、最悪の結果を招くと予想されます。これらの9割の市町村では社会福祉協議会など市町村と関係の強い法人が相談支援を行うしかなく、市町村の意向に沿ったサービス利用計画を作ってしまいます。たとえば、24時間の介護が必要でも、市がそんなにたくさんの重度訪問介護を支給決定するつもりがない場合、相談支援事業者はデイサービスや細切れ介護の計画を作ることになります。そうなると、障害者が市と交渉しようとしても、「第3者の専門家が公平に作ったケアプランの方が障害者個人の要望よりもよりいい計画」ということになってしまい、市に門前払いをされます。その結果、さらに障害が重度化すると永久入院か施設入所しかないという地域になり、それが固定化します。これは大変な問題です。
国庫負担基準オーバーの市町村に、全額を国庫補助対象にする新制度の続報
補助の限度が決まる
限度オーバーは全国で東京の1市のみ
1月号で紹介した国庫負担基準オーバー分を補助する制度の続報です。制度の名前が変わり「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」と、「等」が加わりました。居宅介護の利用者しかいない市町村でも国庫負担基準オーバーすれば補助が使えます。
補助の上限が決まり、ヘルパー事業費が以下の金額までは、(国庫負担+今回の補助で)カバーされ、市町村の自腹が出ないことになりました。
人口10万人未満の市町村・・・・・全額助成
人口10〜30万人の市・・・・・・・国庫負担基準の2倍
人口30万人以上の市・・・・・・・国庫負担基準の1.5倍 |
(課長会議資料120p)
これにより、全国で、市町村の完全自腹が発生するのは、東京都の30万人以上の市1箇所だけとなります。(この市は国庫負担基準の1.6倍程度のヘルパー事業費)。
人口10万人未満の市町村は国庫負担基準をいくらオーバーしても全額補助されます(ただし県が上限をつけることは出来る)。 人口10万から30万の市では、国庫負担基準と同額まで補助されます。
再掲載
新たに基金事業で、市町村のヘルパー事業費全額が国庫補助対象に
今回始まる制度は、
1.従来からある制度である、都道府県の地域生活支援事業による市町村への補助を拡大(対象市町村を大きく拡大 市町村負担0%、都道府県50%、国50%)
2.新制度として、基金事業から国庫負担基準オーバー分へ国庫補助(市町村25%、都道府県25%、国50%)
の2つです。
つまり、ヘルパー事業の国庫負担は、国庫負担基準をオーバーしない場合は25%が市町村負担ですが、今回の助成を使う場合は、ヘルパー利用者のうち、都道府県の地域生活支援事業の補助が使える場合(重度訪問介護利用者の割合がヘルパー制度利用者の10%以上の場合)は、ヘルパー事業費全体への市町村負担は、25%よりも少なくなります。
国庫負担基準をオーバーしている市町村は、小規模な町村で数名の利用者のうち、1名の最重度の障害者が長時間の重度訪問介護を使っているケースや、元国立療養所の筋ジス病棟があり、地域移行が活発な市、地域移行の支援を行う能力の高い相談支援などを行う障害者団体がある市などで、本来は国がより支援を行わなければいけない市町村がほとんどです。しかもそれらの市町村のサービス水準は、財政的に厳しく、他の市町村よりもサービス水準が低いところも多くあります。
このため、この国庫負担基準の問題は、多くの障害者団体や自治体より、国庫負担基準の撤廃や、国庫負担基準オーバー部分の財政支援を行うように要望がありました。審議会の最終報告でも、この問題提起を受けて、国庫負担基準オーバーの市町村に対して財政支援を行う仕組みが必要という報告が出ています。
この制度は、都道府県の地域生活支援事業と基金事業で行われるため、都道府県が実施を決めなければなりません。都道府県の地域生活支援事業による補助制度は、いままで47都道府県中、秋田県と愛知県でしか行われていません。
(いくつかの県は「国庫負担基準を国は撤廃すべきであって、国の責任で行うべきものを県が肩代わりするのはおかしい」との意見で実施していませんでした)。しかし、今回は、地域生活支援事業の国予算が40億円増え、都道府県にはその1割が配分されるので4億円(事業費ベースで8億円)が増える計算です。この増分は12月の課長会議では「手話通訳」と「市町村への国庫負担オーバー分への補助事業」に主に使うように説明されています。つまり、今回は、国の負担分のお金も実質的に用意されています。
また、基金事業は3年間の予定ですが、3年後までには与党とも3年以降への継続の話し合いがつくと思われます。
基金事業による助成は国庫負担基準のオーバー分の全額を補助することも可能ですが、都道府県が一定額までしか補助しないこともできる制度になっています。
各県の障害者の皆様へ。県に強く、全額補助の実施を働きかけをしてくださるよう、お願いします。
重要な制度のため、再掲載します
まだ「国庫負担基準を設けている国は矛盾している。だからこの助成制度を行わない」という県があります。今回は国も予算を分配しています。
各県で障害者団体で県に強く交渉して、上限無しで補助をするように働きかけをしてください。
それとともに、いままで国庫負担基準をオーバーしたことのない市町村にもこの補助のことを伝えて、国庫負担基準のことを気にして、ヘルパー時間数を抑制することのないように県から全市町村に説明をするように要望してください。
平成20年12月25日主管課長会議資料5−5の47pより テキストPDF原文はwamネットに掲載されています。 http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/0/1efc5daad344ecbf4925752b00164b56/
$FILE/20081226_6shiryou5-5.pdf
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