2004年4月30日 10:00〜16:30
"介護保険"と"障害保健福祉施策"の関係を考える4.30公開対話集会の傍聴メモ
自薦ヘルパー推進協会本部事務局
集会自体は、650人の参加者が集まり、盛会のうちに無事に終了することができ ました。
定員をはるかに越える申込みがありましたため、お断りした方、団体内部で人数を 調整していただい方、ご理解いただきありがとうございました。
※この記録は当日の傍聴者メモ(当日の話を聞きながら入力し、その後整理したもので、テープおこしではありません)であり、正式な議事録ではありません。発言の趣旨を正確に反映していない部分もあるかと思います。講演者、シンポジストのかたにご迷惑をかけないようその旨ご理解の上ご覧下さい。
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■午前の部(10:00〜11:30)
司会
大変お待たせしました。"介護保険"と"障害保健福祉施策"の関係を考える4.30公開対話集会を開催致します。
本日は、多くの人に集まっていただきありがとうございます。この問題に対する関心の深さ、切実さの現れです。
最初に厚生労働省の障害福祉部長及び課長の話をいただき、昼食をはさんで、シンポジウムを行います。
司会を務めさせていただきます日本障害者協議会理事、てんかん協会常務理事 福井典子でございます。
今日は障害者運動にとって絶好の機会になるようにお願いします。
○開会挨拶:兒玉 明(日本身体障害者団体連合会会長)
みなさん、おはようございます。日信連会長の兒玉です。
本日は障害者8団体のメンバーの皆様が一同に会し、厚労省の皆様もご多忙の中、ご出席をいたただき、対話集会を開催することができました。
当事者が社会の一員として生きていく上で不可欠な地域生活支援の仕組み作り、また介護体制の問題、重要な課題の先行きが見えず、不安と失望の毎日を過ごしている。これが、この開催に向けて大きなエネルギーとなった。
施設から地域をうたっていた支援費は財源不足に陥っている。ホームヘルプ、グループホーム、ガイドヘルパーの問題、情報保障問題、いずれも地域生活には不可欠な問題である。財源論のみで施策を考え、ましてサービスの削減はあってはならない。
精神省障害者施策においても心神喪失等医療観察法、精神障害者社会復帰施設整備の大幅不採択があり、地域への復帰が大きく揺らいでいる。難病のかたの問題もあり、多くの障害者が抱える不安を取り除かなければならない。
障害者団体の真価が今こそ問われている。この公開対話集会が開けることが大きな意味のあることである。貴重な機会にそれぞれの当事者の立場から忌憚のないご意見をだしていただいて、障害当事者がきちんと理解し、受け入れることのできる制度、自立生活の支援システムを見いだせる第一歩をふみだす率直な議論を期待している。
先般行われた「小規模作業所の明日をひらく全国大集会」は7000人をこえる皆様が炎天下、日比谷公会堂に集まり、大きな障害者の社会的問題を提起した。当事者団体がスクラムを組んで、きちんとした態度で前進しなければならない。
以上をもちまして主催団体の挨拶とささていただきます。有り難うございました。
○これまでの経過説明:中西正司(DPI日本会議常任理事)
皆様今日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。。
この間の経過について説明させていただきたい。2003年4月1日は支援費制度ができるということで希望に満ちた年になる予定だった。支援費制度は厚労省との話し合いの中で、日常生活支援類型や新たなヘルパー資格を作るなど大きな前進がみられた。
しかし、4月をまたずに1月にインターネットやメールでホームヘルプの上限設定の噂が流れた。ホームヘルプ上限問題が支援費制度の中で語られ、混乱に陥った。そこで4団体が連合して大きな集会をもつこととなった。1月16日に、日身連・育成会・JD・DPIが合同で抗議行動を行った。4団体が合同で行うのは日本の障害者運動発のことであり、1200名の人が集まった大行動だった。多くの皆さんの応援を得ながら、自治体も反対声明を出し、そういう声を得ながら、支援費制度の上限問題に取り組みを始めた。この間雪の降る中で、毎日、厚労省に障害者がつめかけ、参加者の中から誰か死ぬかもしれないというほどの行動があった。1月27日になって、ようやく厚労省と障害者団体との合意ができた。
この合意の中で、まず、国庫補助基準は個々人の支給量の上限を決めるものではないことを宣言した。また、国庫補助基準の設定にはサービス水準を下げないよう、従前の国庫補助金を下回る市町村については、移行時において従前額を確保するものとすることとなった。地域サービスの不安を解消し、新たな地域生活を支援するシステムを我々とともに検討会をつくることとなった。
その合意のもとで、5/26に、坂口大臣と障害者団体が懇談し、障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会が発足した。障害者7団体から委員が在り方検討会に選ばれた。これに専門家などもいれての話し合いの場がスタートした。
在り方検討会では支援費制度の問題、知的障害者・重度障害者・精神障害者の問題について検討し、知的障害の当事者もオブザーバーで入って、海外の先進的な事例についても検討した。
しかし、11月14日の第11回在り方検討会で国庫補助金が不足するという話が出て、7団体でホームヘルプサービスの国庫補助に関する緊急要望書を提出した。これを受けて、第13回在り方検討会では、部長より「省内の関係予算の流用、あるいは節減など最大限の努力をし、ほぼ全額を確保できる見通しができた」ということを聞いた。
また、同日に「平成16年度に向けたホームヘルプサービスの事業運営の見直し(案)」がでたが、これについては、ホームヘルプの単価を中心に大幅な切り下げを行うもので、反対運動がおき、7団体も申し入れて、厚労省も白紙撤回することになった。
1月16日には介護制度改革本部が発足するということで障害保健福祉部長から説明を聞いた。障害者団体はこれを大きな問題と受け止め、共通の認識をもちながら検討していくということで勉強会を始めることとなった。この勉強会を月2回くらいのペースで行い、最初は学者を招いて意見を聞き、その後、ケアマネジメントの問題、支給量の上限の問題、それぞれの法律の問題などの検討を進めてきた。
しかし、我々が一番聞きたい問題、介護保険制度と支援費制度の違いについての問題点が明らかになってこない、一方で支援費の財源不足がおこった。障害者団体はますます混乱してくる。障害者施策は国の中でどのくらいの位置を占めるのか。障害者のホームヘルプは100億円の予算が足りなくなったが、エンジンが駄目ではなく、ガソリン切れである。支援費の車は小さな車であり、介護保険のような大型の車ではない。補助金の問題は3月27日に明らかになり、満額補助できず96%になり、全市町村の事業費からは24億円足りなかった。国庫補助基準を出せなかったことは、1月の障害者団体との合意に反する。支援費の国庫補助基準については満たすべきで、これに対してはDPIを中心に抗議運動がおこった。この問題は未だに解決するにいたらず、対話集会を迎えた。
一方、勉強会は4/1にこれまで8回行ってきたが、これ以上新しい中身がでてこない。自立の理念が障害者と高齢者では違う、社会参加の問題についても高齢者と障害者とで違う、利用者負担も介護保険は応益負担で支援費は応能負担、この調整はどのように考えているのか。アセスメント基準についても、支援費は8つ勘案事項と介護保険は79項目の要介護認定。支給量、ケアマネジメント、ヘルパー資格の問題。これらが明らかになっていない。今日の開かれた場の中で話を深めていきたい。
一時、勉強会を中断しているが、中身をこれ以上話せる段階ではないという状況であったからで、時期が来たら改めて再開したい。この対話集会の後も続けていきたいのので、決して中止ではない。
この対話集会はスタートである。障害者団体と厚労省の勉強会の場という限られた場ではなく、国民にわかるために伝えていくため、今後も集会を政治家や研究者の人と行っていきたい。参議院選挙も近いので、政治的な争点として、この問題を語り合えるようになりたい。地域で全ての障害者がより充実した人生をおくるために、我々も支え手となる。障害者もサービス提供を行っている。自立生活センター、聴覚障害、視覚障害のピアサポートの体制がある。厚労省と一緒になって解決していきたい。重度の障害をもつ人、全ての人が安心して暮らせる社会を作る、そのためにこの対話集会を開催した。皆様のご協力をお願いします。
○厚労省の基本的見解:塩田幸雄(厚生労働省・障害保健福祉部長)
今日はこういう機会を作っていただき心から感謝します。
この間、皆さんといろんな対話をしてきた。感謝している。
今日の公開集会が、新たな一歩になることを私も希望している。
私と障害福祉の関わりについて話す。昭和50年に厚生省に入った。児童家庭局、今は障害福祉に少し含まれる部署がある。先輩に連れられて研修で、知的障害者施設に宿泊研修にいった。30年経って、再び、この仕事についた。昭和50年に完全参加と平等を掲げた国際障害者年があった。
その直後の57年と58年、社会局更生課(これは身体障害者の課)で法令担当の課長 補佐をした。障害者の所得保障をどうするかが大きなテーマで、20歳前の障害者に障害者基礎年金導入、これは障害者運動が実現した。障害者運動の金字塔として記憶されるべきである。北九州市役所に出向した。私で5人目の出向で前の4人は障害福祉課長だったので、自分もそうかと思っていたら、私は公害の課だった。あゆみの会などのいろいろな団体が地域にあって、それに入った。
私の甥(知的障害)がしょうこう学園のパン屋に勤めている。ガイドヘルプに連れられて初詣に行った。支援費制度はこういうふうに使われていると再認識した。
はじめに支援費制度の評価について話をする。昨年、支援費制度が始まった。地域生活の理念、自己決定の理念については断固評価できる。サービスが全国津々浦々に広がりつつある。初年度、3割増の予算を組んだが、サービスは6割伸びた。財源不足の状態が生じた。様々な障害者団体、国会の先生などのお力を借り、予算を確保した。中西さんのいうように様々な問題はある。制度運営の効率化、地方との補助金の見直しなど課題はある。
今の支援費の仕組みを私なりに分析した。現行のままでは長期安定的には難しい。支援費号という大きなバスを軽エンジンで動かしている。このエンジンを大幅に強化しないと、長期安定的に動かしていくのは難しい。支援費制度の実施主体は市町村である。安定的な財源確保、ケアマネジメントの仕組み、支給決定基準、適切な自己負担が欠けている。支援費の理念の発展をめざすためには足りない部分を見直していく、制度の抜本的な改革をしなければならない。
もう一つ大きなことは三位一体改革である。国の補助金・負担金を3年間で4兆円減らしていく。財源を地方自治体に移していく。支援費についても、補助金・負担金を廃止をしていいという要望が出されている。地方分権はこれから避けて通れない正しい道であるが、これから国民レベルでいろんな議論が起こってくる。簡単でないし、すぐに補助金・負担金がなくなることはないと思うが、現実の流れで三位一体改革は厳しく受け止める必要がある。この流れはH12年には想定できなかった。この大きな動きからは目をそらせない。
今後の障害保健福祉策については介護保険との関係をどうするか、社会保障審議会でも議論されている。現行の介護保険制度も解決すべき問題を持っている。しかし、理念、システムにすぐれている点がある。介護保険は市町村の責任が明確になっている。市町村にサービス提供計画をつくることを義務づけ、ケアマネジメントが制度として位置づけられ、財源は税金と保険料が持ち寄られている。高齢者のために国民一人一人が持ち寄って財源が安定している。居宅サービスは、支援費は裁量的経費、介護保険は義務的経費となっている。介護保険制度には問題があっても、優れた理念と優れたシステムを持っていて、これを精神障害を含む全障害者に上手く導入する。現実的かつ前向きな選択肢である。これにより国民が皆のためにお金をだして支えるノーマライゼーションにより大きく近づく。
介護保険のシステムを活用することは障害者に適したものになるのか心配する声がある。高齢と障害で共通するものはあるが、大きく異なるものもある。おおよそ全ての障害者サービスを介護保険で行うのではない。共通するものについては年齢・障害をとわず共通のシステムとする。介護保険の対象とならないもの、障害者の特別なものについては税財源で提供する。高齢者介護と共通するもの、それとは別に、障害の大変重い人については介護保険では十分ではないニーズに補完的なサービスを提供することが必要である。ガイドヘルプのように障害者の社会参加の仕組みも当然必要である。
具体的な制度設計をどうするか。これは経済界・保険者・自治体で様々な意見がある。関係者の理解と共感を得る必要がある。障害者サービスのために、お金を持ち寄る。税と保険料を得るため多くの理解と共感が必要である。それで制度設計が変わってくる。基本的なスタンスは将来にわたって地域で安心して暮らせる仕組み作りである。介護保険が導入されると、保険料と利用者負担が生じる。こうした負担については新たな支えの参加料として支払う必要がある。障害者だから負担がなくていいというわけでない。もちろん所得の低い者には配慮が必要である。
支援費制度の改善策を考えるに、障害者が地域で暮らすのに十分でないといけない。税や保険料の負担が生じるので多くの国民の納得、理解と共感を得ることが必要である。今後の障害者福祉に介護保険を活用するのか、現行の税で三位一体改革を迎えるのか、難しい分岐点である。どの選択をしても、全国津々浦々、これから生まれてくる人にサービスが届くように、大きな立場で選択して欲しい。国民の各層の理解をえるたえには障害者がまとまらないとできない。
次に障害者福祉全体の再構築について話をする。障害者福祉は昭和24年に身体障害者福祉法ができた。続いて知的障害者福祉法、精神保健福祉法、障害者雇用促進法ができ、障害者基本法もできた。いくつもの節目、ステップがあった。私は昭和56年の国障年を忘れられない。完全参加と平等が国民の感動をよんで、地域生活の支援につながってきた。これからの福祉は障害者が地域で普通の暮らしをできるようにすることにつきる。障害の種類を問わない課題である。
障害者福祉全体にチャレンジし、介護の人的サービス、就労支援、地域生活の住まいの問題。また、自閉症スペクトラムなどの制度の谷間にある人の問題。全ての障害者のライフステージに応じて、幼児期はこれからのステップ、成年期は社会参加、社会貢献の視点で、高齢者は普通の人と同じようにどう老いを迎えるか。障害者福祉全体の再構築、入所施設から地域へ一連の道筋をつける。
厚生省と労働省が一緒になったので、垣根を越えて成果をあげる。厚生労働審議官をトップに省内の横断的に就労について勉強会をしている。
22日にも全国の作業所の関係者が集まり、熱心な運動をされた。多くの国会議員もかけけつけた。たいへん大きな力を得た。
今度の国会では基本法の改正案がでる。働く場の確保と国の責務について書き加えた。就労には大きな流れがでている。この流れの中で、予算編成、制度作りをやっていく。
他省庁との関係する問題もチャンネルを開いて行っている。公営住宅の問題、知的・精神障害の単身入居が認められいないが、国土交通省と議論の場を設けている。
発達障害の問題も制度の谷間に落ちている。文部科学省のスタッフと勉強を開始している。超党派の議連がたちあがって、立法される。この動きに私たちも協力する。
新しい地域について、障害者、高齢者、難病、様々な疾病を含めて普遍的なできるだけ身近な地域で必要なサービスを受けながら、地域住民が支えながら、暮らせる仕組みを日本各地でどう増やしていくか。介護が必要な人はそのニーズに応じて、等しく地域で提供されなければならない。自立と共生という考え方で必要な人にサービスが届く新たな介護保障の構想、高齢者だけでなく全ての要介護の人に等しく身近な地域でサービスを仕組みを考えている。
4時半までの長丁場の議論だが、地域に持ち帰って行政とも話をして欲しい。すぐには改善できないが、皆さんの参加があって、一歩一歩、皆さんと作っていく。
地域社会が元気であって欲しいと願っている。今、日本の地域は元気がないが、障害者から地域が元気を取り戻す。元気な地域社会、新しい地域作りの先頭に立って欲しい。障害者年金のように国民運動につながって欲しい。皆さんと自立と共生社会をめざす国民運動につなげること期待している。
○補足説明:村木厚子(厚生労働省・障害保健福祉部企画課課長)
企画課長の村木です。宜しくお願いします。先ほどの部長の説明を補足する。お手元の資料、青い冊子の2pからご覧下さい。
支援費が始まって一年がたった。できるだけデータに基づいて支援費がどういう状況にあるか、状況確認をしたい。
資料がパワーポイントで40枚のものだったので、冊子では小さくなっている。ルビもないし、点字になっていないので、できるだけ言葉で説明したい。
先ほどから、部長からキーワードとして、”地域生活支援”という言葉がでてきた。その言葉をキーワードにこれまで進めてきた。
支援費が4月からスタートした。どういう状況であったか、特に在宅サービスについて我々の予想していない範囲で伸びた。14年度に比べて3割増の予算を組んだが、実際は6割増になった。知的障害者・児童の利用が多かった。
少し、数字を紹介したいが、身体のホームヘルプは支援費が始まる前は7割で実施していた、これはあまり変わっていない。しかし、知的障害者は制度が始まる前は3割の自治体しかなかったのが、支援費が始まって5割近くの市町村でサービス提供できるようになった。
4pの上の図で、11月までのホームヘルプの数字があるが、4月にくらべて11月には知的障害は1.7倍、児童は2.2倍になった。全身性障害のホームヘルプの利用時間は平成13年分は一人当たり83時間が、15年4月には135時間になった。
このように全体のサービスが伸びた、一方で大きな地域間格差がある。資料に都道府県別に見た表がある。都道府県別の人口一万人当たりの支給決定者数はサービスの裾野の広がり、どれだけの人が利用しているかである。一番多い県と少ない県で7.8倍ある。
介護保険の要介護認定者数にも都道府県格差はあるが、障害に比べて格差が小さくなっている。このように都道府県で格差が大きいことが見えてきた。身体障害者のホームヘルプは5.5倍。知的障害者は23.7倍、児童27.7、精神11.6倍という大きな差がでてきた。
今度は深さと言うことで、時間数をみてみた。7pの図である。一人あたりの平均利用時間は4.7倍。日常生活支援を除くと2.2倍である。
8〜10pにそれぞれの格差がでている。身体介護・家事援助、移動介護、日常生活支援、それぞれのサービスによって格差に特徴的な点がある。
広がりと深さで説明したのを、それを一つの表にまとめて都道府県の違いをみたのが11pである。この資料は47都道府県の位置を点で示したのものだが、楕円でくくった所が白紙になってしまっている。
支援費のホームヘルプサービスでみると、利用者が少なく時間も少ない所、利用者は多いが時間が少ない所、利用者は少ないが時間が多い所、利用者も時間も両方多い所、それぞれかなりばらつきがある。都道府県の担当者もこれを見ながら、うちは一人当たりの時間が少ない、利用している人数が少ない、そういうことを考えている。そうすると自治体の努力が続けられる。遅れている自治体を中心にして、グラフの右ななめ上にいけるように。精神障害のサービスは広がりも厚さも少ないのが現状である。精神の特徴して、サービスの手厚い所は人数が少ない、サービスを使えている所は人数が少ない。だいだいお金が一緒で、その中でやりくりしている。サービスの資源が少ない状態というのがわかる。
グループホームについては、12p、人口10万人あたりの利用者数である。知的15.3倍、精神8.3倍の都道府県格差がある。
介護保険との議論があるが、介護保険の導入の前と後の高齢者の格差の状況は12p。H11年、介護保険の直前3.9倍だったのが、2.2倍になって、全体のサービス量も伸びている。
ここまでの課題を整理すると、p13、課題その1として、障害者サービスは地域の格差が大きい。全国的にみると今後もサービス利用者が増えていくことが予想される。知的障害、児童についてはこれからやっと受けられる。これから初めてさーびすを受ける人、ニューカマーと言っているが、こういう人にどう対応していくのか。都道府県が水準をあげ、その伸びにどう対応できる仕組みをつくるかが課題の一つである。
サービスを利用する人の現状については、13p、それぞれの障害者種別の障害者の数である。施設に入している人の比率は、身体のかたは5.4%。知的は46万人の内、入所の比率が高く、施設にいる人が多い。258万人の精神障害者がいて、入院は13%。
13pの下は、年齢別の障害者の構成をみた。実は身体障害者の59%は65歳以上。知的は3%。精神は29%である。今、一番かたまりになっている団塊の世代は65歳未満のグループに入っている。この団塊の世代が65歳を越えてくると、障害の中で高齢の比率も高まってくる。
14pは構造改革特区について、特定の地域で規制を緩和して新しい施策をやってみる試みである。福祉についても特区が提案されている。実現にこぎつけた特区の中で、三障害の縦割りになっているのを相互乗り入れ、あるいは老人と障害者の相互乗り入れが多い。特に地方ではそれぞれの制度ごとに施設を整備するのはとてもできない、非効率である、相互乗り入れでいい、そういう希望が多かった。
ここまでで、2つめの課題を整理する。サービスを見た時に、高齢者と障害者と重なっている。身近な地域でサービスを提供できるようにする。効率的・効果的なサービス提供の総意工夫が始まっている。地域、市町村をベースに考えると障害者種別と年齢で切り分けることが合理的か。地域の実情に応じてサービスの提供を受けられることが課題として浮かび上がってきている。
障害保健福祉部長も就労は大事と言うことで説明があったが、養護学校を卒業して、卒後の進路を見ると、19.4%が就職で、これは年々下がってきて2割を切ってしまった。施設や在宅に進む人のウェイトが高い。施設にいても企業で働きたいというひとが4〜6割いる。親御さんの希望は本人より消極的だが。しかし、実際に企業に移れる人は1%という数字がでている。大きな課題をはらんでいる。
青年期・壮年期の地域生活支援の問題は介護保障だけでない、一般就労へすすむような取り組み、これが3つ目の課題である。
次に財源の問題である。3473億円の支援費予算があって、入所系は65%、2/3である。通所系は18%。居宅生活が17%。こういう比率で予算が組まれている。福祉のお金と医療のお金をトータルで部の予算をみると7000億あるが、上の黒いところは医療のお金で精神障害の分野である。精神に関しては医療に7割のお金がかかっている。こういう予算、厳しい財源の中で自治体から財源確保のために要望がでていて、18pに整理している。特に多かった要望は、国庫補助をふくめた安定的な財源確保、もっともなことである。
ケアマネジメントを制度化して欲しい。それぞれの人の一番適切なサービスの組み合わせ、これをきちんと制度化する。
支給量を自治体が決める時に悩んでいる。国としての支給決定基準のルールを作って欲しいといわれる。
先ほどの特区のように三障害共通の仕組みや地域ごとに弾力的に好きにさせてほしいという要望がある。それをつきつめれれば、自治体に任せて負担金をやめるという方法がある。これが三位一体の改革である。地方にどんどんと施策決定の権限・財源を委譲していくのが三位一体改革である。3年間で4兆円を廃止し、地方に任せる。財源もくっつけて地方に渡す。16年度は公立の保育所を地方に一般財源化した。これからどうするか。市長会、知事会がともに補助金・負担金を廃止して財源委譲すべきと、支援費に関わるものを候補としてあげている。4兆円のうち、去年の予算編成で1兆円決まった。今年・来年で3兆円。その議論が始まった。26日にこれからの2年間をどうするか、総務省から麻生総務大臣の名前で経済財政諮問会議に提言がされた。残り3兆円あるうち、特に17年度予算はこれを地方にもっていくとして、全国的に見て普遍的な施設整備事業、公共的なサービスを提供する建物、福祉だと、授産施設・入所更生・特養ホーム・保育所などこういうハードのお金は地方に任せて国の補助金をなくす。これは、福祉だけでなく、学校・公営住宅・廃棄物処理施設など全般的なものである。これ以外に、義務教育の国庫負担など、補助金は毎年率を決めて計画的に地方に移していくという提案がでている。これは提案なので、議論はこれからである。残りの3兆円について、ハードと補助金の一定の率を決めて移行していくという提案である。先ほど、部長から大事な岐路にたっているという話があったが、三位一体改革の2年目の議論の火ぶたが落とされた現状である。
いろんなサービス提供がされないといけないが、現状を考えると大きな課題があって、この福祉のためにどのくらいのお金が必要なのか、まずはそれぞれの地域でこういう人に、こういうサービスという計画があって、ずっと積み上げていってそれが国の計画になる。障害者の計画は老人と違ってそれぞれのまちにはない。障害者基本法では努力義務で多くの自治体は作っているが、数値目標をもっているのは36.7%である。どれくらいの数字がいいかそういう積み上げがない。4つめの課題として、現状の予算を考えると施設、医療に比重がおかれている。少ない資源を効率的に配分する、地域の裁量を増すために制度を整理して欲しいという要望がある。しかし、その数値的な把握ができていない。入所施設にいる人が現実にいて、その人が地域にでてくることを考えながら、財源を地域にどうやって配分するか。限られた資源ををどこに配分し、効果的に効率的に提供するか。そのベースにあるニーズ把握をする仕組みを作る。財源配分のためにニーズをどうつかむか。そういう基本的なところが課題としてある。
課題の5つめは、わかりきったことを言葉で整理した。こういう問題を考えてきた時に、高齢者問題は比較的、自分も歳をとるということで、自分の問題としてとらえている。障害を持つということ、誰にとっても起こりうることである。家族が障害を持つことも起こりうる。高齢者は相対的に人生の最後のステージで、障害は子供、若い時から、長いスパンで考えていかないといけない。重い問題である。障害をもった人の介護保障を国民全体、社会全体の問題とする。それをするには運動としては弱い。それを最後に課題としてあげたい。
今の支援費の課題を最後にもう一度整理し直した。地域生活支援、自己決定の尊重、利用者本位等の理念をどう発展させるか、自立支援、介護のための人的サービス、就労支援の問題、住まいの問題、発達支援の問題。大きな政策目標をたてて、総合的に取り組むことが大事である。
21pに施策の柱について絵の形でかいた。生涯を通じては住まいの確保、介護保障があり、幼児期においては発達支援の問題、成年期には就労支援の問題という全体像がある。
介護保障を考えると支援費の5つの課題から、これからの課題が見てくる。新たにサービスを利用する人を踏まえて、地域でニーズを把握して、これからの伸びを予想して、その伸びに対応する仕組みを作る。地域の実情に応じて身近で支援を受けられる仕組みを作る。市町村が責任をもってきちんとサービスを提供し、障害種別、障害の定義から漏れる人がなく、年齢を越えて、自立支援を受けられる社会。そういう理想を目指す際には社会資源は限られている。いかに地域の住民が納得をしてくれるような公平な社会資源の配分、システムとして組み込んでいく必要がある。公平なサービス提供と思える仕組みを作る。
こうした方向に向けて支援費を続けるのか、介護保険を活用するのか。前向きにこれからどうするおか、仕組み作りの議論をしたい。
以上、データを中心に補足説明をした。
■午後の部(13:00〜16:30)
○シンポジウム「徹底討論!これからの介護保険と障害保健福祉施策」
コーディネーター:大熊由紀子(ジャーナリスト)
藤井克徳(日本障害者協議会常務理事)
シンポジスト:村木厚子(厚生労働省障害保健福祉部企画課長)
高原弘海(厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課長)
矢島鉄也(厚生労働省障害保健福祉部精神保健福祉課長)
笹川吉彦(日本盲人会連合会長)
妻屋 明(全国脊髄損損傷者連合会長)
松友 了(全日本手をつなぐ育成会常務理事)
良田かおり(全国精神障害者家族会連合会相談室長)
司会
午後の部を始めます。シンポジウムと会場からの質問に答えていきたい。これからはコーディネーター2人にお願いします。
大熊氏
私のジャーナリストの出発点はこの中野の南に支局があった。中野には刑務所があったが、様変わりした。障害者の環境はもっと変わった。当時、知的障害の作業所のはしりのようなの手伝いをしていた。古新聞を職場から運んでいた。新聞をのりで貼って袋を作って八百屋などに納入するような仕事があった時代だった。
今日のように障害者団体が集会を企画して、そこに厚労省の部長、課長がくる。こんなことはなかった。40年間の中で日本はかなり変わったという感想を持つ。
進行について藤井さんから説明する。
藤井氏
「私たちのことを抜きにして私たちのことを考えないで下さい。」国連の権利条約のアドホック委員会で当事者が発言した。障害保健福祉部長も1月16日の障害者団体への話で皆さんが反対したらできないと言った。今日もそのような趣旨の発言があった。
8日に介護制度改革本部がたちあがって、この問題が表面化した。以来、私たちには、とまどい、疑問、怒りが入り交じった日々が増幅している。
厚労省と直に意見を聞き、議論する。今日のねらいは3つある。
介護保険と障害者保健福祉施策の統合の説明を直に受ける。
これに対して当事者が直に意見、質問をぶつけること。
これを受けて近い将来迫られる政策判断、分かれ道を判断するその素材を持ち帰る。
午前中に部長、課長の話があった。これを総論とすると、午後は各論として、高原課長、矢島課長に30分しゃべってもらう。そして、4人の団体から5分間の意見を言う。そして、フロアを代表して当事者から3名に5分発言してもらう。その後、ディスカッションをして、意見をぶつける形で進行する。
3時をめどにして話をして、そして、あらかじめいただいた質問用紙の質問にそって答えをいただく、4時から最後30分を民間から意見をのべ、それに対して厚労省から意見、答えを言っていただく。
進行上の留意事項として、今日は会場から発言はもらわない。質問用紙で受け付ける。3時間半あるがノンストップで、トイレは随時行っていただく。シンポジストも随時お願いする。
発言者は1分前に合図をする。進行のご協力をお願いします。以上でタイムテーブルと進行上の説明を終わります。
大熊氏
ノンストップで大変で、べてるの家の人とシンポジウムをする時は、皆さん服薬されていて、水をよく飲まれるので、トイレに良く行かれるが。
一番バッターは高原さん。前の課長が団体との関係を無茶苦茶にした後、それを修復されるために来られた。
高原氏
昨年の4月に着任した。支援費の財源不足問題が生じた。この場でかっこいいことは言えない、来づらい思いをしている。今置かれている状況、考えていることを率直に話しをする。
午前中の企画課長の話の中で、支援費制度の施行状況、財源、全体像について話があったので、重複を避ける意味でも、5月からスタートした検討会の議論の状況、障害者の地域での暮らしを支えていくために介護や生活支援の柱とならびに就労支援の取り組みの検討状況について発言する。
在り方検討会は、午前中に中西さんから発足の経緯の説明があった。ホームヘルプの上限問題の関係団体とお約束でスタートした。身体、知的の分野を対象にしている。精神については秋口から検討会をスタートさせていただいている。4名の委員は兼務していて、できるだけ3障害の連携をしようとしている。委員の合計25名の大きな委員会で、今日おこしのかたにも入っていただいて検討している。
これまで計16回の議論を重ねてきた。検討項目は立ち上げのいきさつで、国庫補助基準の在り方をどうするか、地域生活を支えるためのシステム、施策をどう考えていくのか。間口の広い、二本柱で検討している。
2月に3つの作業班を立ち上げた。視覚・聴覚、知的障害・児童、全身性障害の3つの作業班で障害種別ごとに具体的なサービスの在り方を検討し、4月の全体会に報告した。
多岐にわたる検討をしてきたが、今後は基準の在り方を中心にご議論いただく。15年度のホームヘルプの実施状況が見えてきた。国庫補助基準を上回る部分の状況がはっきりしてきた。今、手元にあるデータ、自治体の実施データをきちんと分析して議論していく。支援費を始まる前はデータがなかったが、支援費制度が始まってデータに基づいた分析をちゃんとして今後の在り方を考えていく。
作業班の宿題もある。大きなテーマは、検討会では直接テーマにならないかもしれないが、今サービスを受けている人ではなくて、これから受ける知的障害者、障害児、精神障害者のこれから受ける人にどれだけ安定的にサービスできるか。もう一つ大きなテーマは重度の障害者の地域での暮らしをどう支えていけるかが課題で、検討会の全身性の作業班でも議論をいただいた。本当に大変な重度の方、長時間の利用が必要な方、その範囲をどうとらえていくのか。ホームヘルプはもちろん、サービスの組み合わせ、トータルなパッケージで事業運営し、どうやって支えていくのか。国庫補助基準の見直しの中でも議論をお願いしたい項目であり、できるだけ検討会で夏に向けて議論を深めていただければ。
もう一つの大きな柱は就労の支援である。企画課長からも話があったが資料集15pをもう一度ご覧下さい。
養護学校の高等部を卒業する人が一万数千人いて、残念ながら就職に進む人は減っている。この中で、授産施設・小規模通所授産・作業所という福祉的就労で働く、日中の活動をする人が増えている。
とにかく、就労の問題というのは成人期の障害者の地域の暮らしを考える際に、介護、生活支援だけでなく、働く場、日中の場が大事な課題であることは改めにて申し上げるまででもない。就労は所得保障の最大の柱であり、生き甲斐、自己実現で大きな意味をもっている。
現実で起こっている状況は、冒頭の開会の挨拶でもあったが先週の22日に小規模作業所の全国集会があった。小規模作業所が増えていて6000箇所になっている。
いずれにしても、労働省と厚生省が統合されて一緒の役所になって、働くことと福祉を一緒に考えることになった。村木企画課長は障害者雇用対策の経験もある。この経験も踏まえて、今の障害者施策にこだわらずに、障害者の状況、ニーズに応じて一般就労にできる人は移行する。いろんな理由で離職された場合は、福祉的な施策の中で再度トレーニングして一般雇用に戻る。そういう循環のサイクルがどうやったら進むのか。障害の重い方は働くのが難しい場合もある。日中の作業・デイサービス・デイアクティビティ、そういう場を確保する。
全国で6000箇所を越える作業所、地域に根ざした草の根的な就労支援の場を正面からどうやった受け止めていけるのか。授産施設のような働くことに関する施設だけでなく、福祉施設全体を視野において考える。入所は、住まいの場と日中の活動、機能の向上、そういう機能がパッケージになっている。その機能に注目して評価し、見直していく。就労の問題をその中で考えていく。審議官のもとに勉強を設けて横断した検討をしている。小規模作業所・通所授産施設の在り方懇談会を8団体と行った。この問題も前に進めていきたい。
支援費制度の理念を実現するために今後とも努力していきたい。
大熊氏
厚労省には医者の技官がいるが、先ほどの支援費の地域格差のように技官にも格差がある。臨床が得意でない人も多い、むしろ得意な人は少ない。
矢島さんは数少ない、こうあって欲しいという医者出身の課長さん。赴任して以来、あちこちで病院から退院した精神障害者の方からの話を聞かれている。
矢島氏
大熊さんに褒められたような気がするが、私は外れたほうだと思う。私の考え方が標準がどうかは自信がない。私が普段考えていることを話させていただく。
昨年の8月に着任した。精神障害者の対策を進めていくと言うことで大臣を本部長に対策本部が設置され、中間報告をまとめた。精神障害者が地域で生きていくためには誤解、偏見をなくすことの検討会を行っている。
また、病院に長く入院していて退院できない人が72000人、これは医者の側から医療が必要ないのに退院できないと言われた方である。病院の機能の明確化がされていない。病院の機能分化を図っていく。
地域で生活する受け皿、これがすごく不足している。受け皿をどうやって地域に作っていくのかということで検討会が始まった。
最初にぶつかったのは予算、頑張ったが制約があった。地域で受け皿を作ると言うことで社会復帰施設を作りたいと手があがった数に応えられなかった。厚労省は地域を推進するのではなかったのかというお叱りを受けた。十分な予算を確保できなかった。
財政状況が厳しいく、全般的に5%、10%削られている中で、4〜5%配慮してもらっている。下がっているところと比較したら配慮はされている。しかし、精神障害者が社会復帰するのには不十分である。多くの方が相談にみえて、建物は無理でも、運営費がでればなんとかなる。建物は自己努力するので、運営費だけでもあれば地域で施設を作ることができるとおっしゃる方がいる。
今日の資料の18p、村木から説明したが、私が着任した頃は大きくなっていなかったが、三位一体改革が11月に具体的になってきて、1兆円を地方分権を進めて一般財源化するということになった。施設整備費、運営費を地方の方に一般財源化したほうがいいという市長会、知事会の声がある。総務大臣の提言にも福祉の施設整備を地方にうつして、都道府県の考えかたで整備すべきだと言っている。
3月にこれについて自治体の人に話を聞いたが、一般論としては良いことと言うが、しかし、お金を確保できるかと聞いた時には、精神障害の予算を財政当局から確保するのは難しいという声を聞いている。頑張っている県がそういう声、心配をしている。大きな三位一体改革の中でどんな考えをしていくのか、そこは重要なポイントであるので、考えていただきたい。地方分権は大事だと思っているが。
精神障害者について具体的に説明する。11p。地域格差は精神障害者について、横のスケールをみると、精神は地域の施設の受け皿、サービス量が少ない。横のスケールを見れば、精神障害は他障害に比べて少なく、その中でさらに地域格差がある。258万人の精神障害者がいて、そのうち34万人が入院している。受け皿をどうやって作るか、増やしていくのか。予算が減っていく中で配慮してもらっているが、もっともっと増やさないといけない。精神は2〜3倍にしないといけない。どうやって頑張っていくのか。
精神障害者もサービスのメニューは違わない。今はメニューが少ない、量も少ない、他の障害に追いつくことが必要。介護保険で使える仕組みもかなりある。他の障害でやっていることもある。新しい考え、3障害共通のプラットホームを作る。
精神はもっと福祉で頑張るべきという声はわかるが、時代が変わってきている。他の制度が良くなっている、追いつくためには相互利用、すでにある高齢者の施設、他障害の施設に相互乗り入れをする。サービスメニューも同じ、単価も同じにする。
16pの就労の問題は精神も同じで、地域生活をするためには就労の問題は大きな問題である。しかし、フルタイム、1日8時間・週40時間働くというのは無理な場合が多い。地域の中で生活しながら、自分なりの就労の仕組みが大事である。今の介護保険の仕組みになじまないかもしれない精神の特徴をとらえた仕組みも作らないといけない。
精神障害の予算は医療に偏っている。まだまだ地域で暮らすためには予算確保が必要である。社会資源のの適切な配分、差別がなくなるように。
国民誰もが介護を受ける可能性がある。精神は特別でなく、人間であれば誰もがなる可能性があることを国民に訴える。国民全体の問題として訴えていく、国民皆で支えあう。そういうPRをしながら、精神障害は遅れている、これからPRをしながら社会全体で支える仕組みを考えていく。
家族会からは、家族が大きな負担を強いられている、なんとかして欲しいということを言われる。私の説明の仕方は、介護保険制度は十分ではないが、社会化したのは老老介護、高齢者が自分の親を介護する実態、家族の負担が重くなっている、それを社会で支えるということだった。精神障害の人を社会で支えるために議論する価値がある。
良く、介護保険との統合について、具体的に教えて欲しいというが、皆さんと議論したい。今の段階では具体的にはなっていない。皆さんと、どんな方法で統合できるのかというのを議論させて欲しい。
藤井氏
課長が政策責任者としたら、今日、来ておられる民間は運動責任者である。
トップバッターは松友さんから。
松友氏
育成会は親の会である。知的障害は45万人、これは手帳保持者の人数で18歳のまでに発症した人である。年齢で区切られている。私は知的障害者の父親で、長男は34歳になる。親としてかかかわってきた。
厚労省は3月に腹を決めろというので、育成会では3月に見解をまとめた。皆さんの手元にペラで入っている。ニューカマー、新しい人の問題も考えて欲しい。知的障害はサービスを使っている人も少ない。まだまだこれから使いたい人もいる。サービスの草創期である。ホームヘルプの不足は知的障害の原因というような言われ方をするが、今までいかにサービスがなかったか。半分の市町村では整備されていない。今の支援費で満足しておらず、まだ入口でしかない。その中で財源が足りない。財源をもったシステムを確立して欲しい。支援費がいいのか、措置が良いのか、介護保険がいいのか。
たぶん、一つの制度で片づかない。重症心身障害児は措置、医療でやっている。新しい制度の統合といっても一つの制度では無理である。
知的でも重度の人、強度行動障害、支援が大きく必要な人を地域でどう受け止めていくか、何故入所している知的障害者が13万人いるのか。重度の人の支援ニーズを考え、その財源をどうするのか、それをきちんとして欲しい。
藤井氏
今回の大きなポイントは精神障害分野である。介護保険とは関係なく遅れている。全家連の相談室長である良田さんから。
良田氏
矢島課長から心強いビジョンの話をしていただいて、同感である。
話す時間が10分だったのが5分になってとまどっているが、当時者と家族の現状を知って欲しい。他の障害と平等に福祉を受けたい。
72000人がクローズアップされているが、その人に応じた段階的な支援、住環境も整備されていないとまた入院が必要になる。生活の不安が病状の悪化に結びつく。入院している人より、もっと多くの在宅の人のことも考えて欲しい。自立を実現をしている人が多少なりともいる。そういう人が安全に暮らせるように負担を軽減する。
家族と同居している精神障害者は8割である。一方で、施設は不足し、地方においては交通割引がないので通うこともできない。引きこもりの状態にある人がたくさん存在している。親から自立して生活できる社会を作る。親に頼らず地域で暮らす仕組みを作る。ホームヘルプ制度はできたが、マンパワーが不足している。相談対応が不十分である。どこの施設も職員が忙しく対応できない。市町村に精神障害のことがわかる職員がいない。これが少ない精神障害者の予算を反映している。
各種施設、相談体制の格差があり、経済的にも制度がない。支援費制度にも組み込まれなかった。公的なサポートが弱い。立ち後れている。サービスがないのは精神障害の福祉は遅く始まったからだというが、長い間医療の対応だった。理解も遅れていた。精神障害者の福祉が、障害者の中でも平等に位置づけられることを、皆さんに一番強く言いたい。これからのビジョン、どう具体的に実現するか、財源の問題も真剣に考えていきたい。
藤井氏
肢体障害を代表して妻屋さんから。
妻屋氏
厚労省の説明が続いたが、私たちの考え方とどう違うか言いたい。
支援費と介護保険の統合の問題、自立、社会参加、自己負担、要介護認定、ケアマネジメントが違う。
統合ということで考えると、介護保険制度も破綻が見えている。20歳以上から徴収したい、そういう意思が働いていないか。年金が引き上げ、消費税の引き上げ、そんな中で20歳から介護保険がとれるのか。コンセンサスを得られるのか。
2階建て方式ということがいつかの新聞ででていたが、1階で介護保険、はみ出しを税金で賄うという考え方である。果たして、税部分が将来的に担保されるのか、これができるのなら支援費でもできるということではないのか。将来先細りになる。
介護保険制度の中で2つの仕組みができるのが疑問がある。2階建ては逸脱しているのではないか。障害者は国税でまかなうべき、保険方式は無理があるのでは。一言で言うと”ちょっと待って欲しい”。
支援費が始まって一年しかたっていない。普通は5年後見直しである。一般的なやりかたである。まだ地域の格差がある。格差が是正されてからも見直しても良いのではないか。拙速なのはついていけない。以上のことを考えると統合に賛成しますとなかなかならなあい。
もっと支援被制度に磨きをかけて成熟させる。居宅支援費は600億円だが、将来的には2倍の予算が確保できれば大丈夫ではないか。格差をなくして、利用ができてから、よく考える。予算を獲得する。それが筋だ。
支援費は裁量的経費である。経費をだすことができるということで、施設はださないとならない。我々は脱施設と言われてきた。支援費制度を義務的経費にする。これが難しくても、なんとかしてもらわないといけない。施設は義務で、地域で頑張っている人はだしてもいい、それでは安心して暮らせない。支援費始まって一年で介護保険でやるというのは、朝令暮改である。安心して社会生活ができない。難しい。せめて5年は様子を見てから、それからやる。そういう考え方では各障害者団体は一致しうる。同じ考えで是非結束していきたい。
藤井氏
4年半かけきた支援費は10ヶ月で失敗だったということになる。どうしてか。これは村木課長に後で聞きたい。
次ぎに日盲連の笹川さんから。
笹川氏
ただいま紹介のあった笹川です。
26日に開かれた障害者部会の席で、支援費制度を継続すべきと言う発言をした。とにかく、結論をだすのに2ヶ月しかない。障害者部会ではこれまで1回も議論されていない。3月2日に今年の第1回があって、その時は統合の有無に結論をだして欲しいという厚労省の発言だった。これまで5回開かれたが議論がない。来月の17日に、自治体の発言があると言われているが、そうするともう3回しかない。議論する時間的余裕がない。そのまま統合だと支援費の二の舞。準備ができない。何がでてくるかというと、破綻以外ない。
介護保険自体厳しい状況におかれている。利用者は増える、予算がない。今、対象者を20歳に引き下げる。先行き不安で、沈みかけた船に乗る人間がいるだろうか、これは明らかである。
15年度に15回の検討会、9回の作業部会をやって、真剣に討議した。これをなぜ14年度やらなかったのか。これをやれれば予算が確保できた。実態を把握できていない、数もわからない、需要もわからない中で、まあ、3割増しの予算でいい、こういうことでは生活が保障されない。
大熊さんより今の部、課長は被害者と言われた。そう思う。障害者部会は昨年は2回、13年は2回、4回の審議で支援費制度はできた。破綻は当然で、この二の舞を踏まないように、支援費制度の発展、国家が責任をもつ。この気持ちでやってもらいたい。
藤井氏
当事者から指定発言を。短い時間だが、共有したい。
会場指定発言:
佐々木信行氏(ピープルファースト東京)
こんにちは。僕はピープルファースト東京の佐々木信行です。ピープルファーストは介護保険に絶対に反対です。
もともとお金がないのにその上、ホームヘルプに1割をとるなんて、本当にできない。僕たちは、お金がないので、介護保険は絶対に反対したいと思っています。
知的障害者の仲間は本当に介護保険になったら困るなといつも話していますので、絶対にならないほうでいてください。僕の仲間からもひとことお願いします。
小田島氏(ピープルファースト東久留米)
僕たちを地域にだしていく。そのためにはお金がかかる。介護者にも、お金を払って介護にはいってもらっています。24時間入っている人もいる。介護保険に入るとできなくなる。そんなふざけたことはやめて欲しい。介護保険にならないように皆で力をあわせて頑張っていきたい。
藤井氏
加藤真規子さん。こらーる台東という団体で、台東区で当事者が当事者を支援する活動をしている。
加藤真規子氏(全国精神障害者団体連合会)
こんにちは。精神障害者のピアサポートの活動している。介護保険には安易には反対。反対の理由を述べる。
イラクのファルージャが壊滅状態になっている。イラクのアメリカ軍のためにいくらお金を使ったのか。支援費は600億円。破綻するというが、多くの人が使い勝手よかったから利用が伸びた。お金がないから、精神障害をいれるために、介護保険にイエスと言えというのは少数派に対する抑圧である。戦争を支援することは、障害者をイラクに作っている。そういうことを見直すべき。福祉の問題も国の動きと無縁ではない。
精神障害者は保険行政になって、措置入院ですら保険になった。保険になって措置でやっていたお金はどこにいったのか。社会的な入院をつくったのは国の責任、社会の責任である。地域に返すのは、国、自治体の義務である。
地域自立生活支援の動きは施設を増やすことではない。施設も大事だが、やはり個人が使えるお金、個人が選択できる仕組みを作ることである。
私たちも支援費に入りたい、統合福祉法で精神障害も、顔の問題で差別されている人、エイズ、難病など統合福祉法の動きが日本にも来ている。
措置入院の問題、医療法の差別的な基準で入院には納得できない。心臓の病気、脳溢血、怪我、そういう入院の制度と精神の入院の制度を同じにして欲しい。本当に統合を目指すなら福祉も医療も統合して、衣食住、精神だけではなく、全員が同じはずである。精神障害を持っているからといって、差別を温存している欠格条項は国の制度である。厚労省はこれを壊していくことを支援して欲しい。
知的障害、精神障害は自分たちで決定できないと家族、専門家は思っている。これはやり方がわからないだけである。自分たちでそれを作っていく。当事者、個人の生活を保障して欲しい、当事者活動を制度化して欲しい。
藤井氏
難病関係も大きな問題、基本法では障害者の中から外れている。難病連を代表して。
山本 創氏(全国難病団体連絡協議会)
今日は地域で生活する一難病当事者として、難病者の抱えている生活実態をもとに発言させていただきます。
難病といっても様々な症状があります。入院中、同部屋であった多発性硬化症の方は痛み、感覚の消失、運動機能の麻痺といった症状が一箇所に固定せず、様々な箇所で出ます。深夜おこる突然の発作を、彼は今一人暮らす自宅で必死に受け止めています。私の障害である筋無力症は症状に波があるために、今日は歩けていても、明日には立つことすら出来なくなるものがいます。投薬や治療の微妙なバランスを欠いてしまうことによって、動けなくなるもの、命を落とす者がいます。同じ生活を困難にする難病者として、相談を受けていた方が先日もお亡くなりになりました。症状の複雑さ、一律の基準で計れないこと、そのことが難病といわれる所以でもあります。これらの様々な症状を持つ方が、生活に困難を抱えているにもかかわらず、障害者認定、皆保険であるはすの要介護認定、年金の認定等から洩れ続けています。狭義な身辺自立に限定した特定の要因や大多数の方を基準としてつくられた一律の認定が要件として強く強調されれば、希少性の高い者、独自のアセスメントを必要とするものは、いつまでたっても施策が使えないことになります。同じ国民でありながら、当たり前の生活をしていくために必要な施策が受けられないひとがいます。実際生活している地域の現場、その生活、福祉、医療を支えている現場の方、現場の行政の方、そしてなによりも、個性ある生活の一番の専門家である当事者が参加し、当事者の意見がしっかりと反映された人と人との話し合いが、一律の機械的な基準よりも十分に尊重されなければ難病者の生活はいつまでたっても成り立ちません。どこが共通の部分でどこからが特別のニーズかお聞きできればと思います。
又、当たり前の生活である社会参加も一律の認定では計れません。それぞれの方の社会参加、目的はそれぞれ違います。先日亡くなられた難病の女性は、一人暮らしでした。別居する孫に自らの意思でなんとか会いに行こうとしていたのですが、介護保険では外出支援がなく自分から会いに行くことはついにかないませんでした。私の筋無力症も重度化すれば、カニューレ、人工呼吸器を利用した生活になります。どんなに重度になっても、同じ境遇で生活、闘病する友人に自らの介助者と会いに行く事は、人として当たり前の生活、社会参加ではないでしょうか。一律の基準で計れないものが施策として尊重されないのであれば、一人の人間としての当たり前の生活、社会参加さへ、尊重されない施策になってしまいます。もしかりにこれからの福祉が、個別性を許さない、一定の生き方しか許さない福祉へと逆行するのであれば、実施される私たちの生活する現場において、決して許さないという覚悟を、ここにお集まりの皆さんはしていると思います。
又、社会参加のための家事、身辺の援助も必要になります。私のように体力に限りのある難病者は多くいます。療養だけに専念していれば身辺介助は自立していると認定されます。しかし、それでは自立した生活ができません。当たり前の生活をしていくための労働時間をこなそうとすれば、家事のこと、身辺のことに残された体力はありません。仕事以外の時間、充実するはずの余暇も寝てすごすことになります。負担が過度になれば身体機能もどんどん低下し、医療の負担もかさみます。逆にいえば、家事、身辺の援助が仕事や余暇等の社会参加も促進し、過剰な負担から来る様々な機能の低下も防ぐことが出来ます。社会参加のための家事、身辺の援助も必要なのです。一律の認定で計れない社会参加と身辺の事・家事の事は双方に影響しあっています。その関係性の中に必要な支援があります。
やはりここでも、当事者の意見が必要なサービスにしっかりと反映されると共にある特定の施策に限定するのではなく、当たり前の生活のためにはどんな支援が必要か、一人一人の生活を総合的に判断した施策が必要です。ある機械的に規定された基準によって規制されるのではなく、総合的な判断が独自性を持って機能しなければ、当たり前の生活が成り立ちません。
最後に難病団体としても強く要望いたします。難病者の欠くことのできない医療の枠組み、医療の施策ごとの整合性などの課題も多くあります。是非、難病当事者とも、必要な保健福祉施策について共に協議してください。そしてそのために必要な時間をしっかりととってください。
藤井氏
いくつかテーマがでた。3時をめどに議論していきたい。
制度概要を論じる以前に国を信用できない。国で考えた支援費をどうして簡単に変更できるのか。前の課長は能力がなかったのか。国策にしてはお粗末。去年の一年は、ホームヘルプの上限設定があって以来、悪夢のようだった。環境が悪かった。それについて説明を。
他障害と横並びで、なぜ支援費に精神をいれなかったのか。精神は利用契約だと言っていた。精神についてはまず支援費への統合ではないか。
村木氏
信用できないのは立つ瀬がない。雇用対策課長をやっている時に、支援費に行く時に理想的な制度を作る、大きな改革をするのだと聞いていた。
基礎構造改革、自己決定・選択、市町村の基盤としてのサービス提供。支援費も介護保険もともに生まれてきた制度である。支援費は措置から変わって大きな前進をした、評価すべきである。しかし、課題もたくさんある。エンジンの力が弱い、ケアマネジメント、支給決定の基準がない。支援はスタートしたばかりとはいえ、変わらなければいけない。
私は労働行政をやってきたので、介護保険を作る時に障害者福祉をどうするかの議論があったと教えてもらった。もともと介護保険をスタートする時に障害も含んだトータルな制度をつくるということだった。しかし、形がない中での議論であり、ウェイトが大きい高齢者は、保険料を支払う理解を得やすい、40歳以上からの制度でスタートすることになった。
そのころの身体障害者福祉審議会では意見具申をしている。
”障害者施策のうち、介護ニーズへの対応について介護制度に移行することについては、(1)障害者施策が公の責任として公費で実施すべきとの関係者の認識が強い点、(2)身体障害者以外の障害者施策が一元的に市町村で行われていない点、(3)障害者の介護サービスの内容は高齢者に比べて多様であり、これに対応したサービス類型を確立するには十分な検討が必要であること、(4)保険移行に当たっては、障害者の介護サービスをはじめとして現行施策との調整が必要と思われる点、等なお検討すべき点も少なくなく、また、これらの点についての関係者の認識も必ずしも一致していない。・・・今後この問題については、当審議会としてさらに十分に議論を重ね、また、必要に応じて関係審議会とも連携をとりながら、障害者施策にふさわしい介護サービスとその財政方式のあり方を模索していくこととする。この検討の結果が、介護保険制度案大綱で予定されている将来の見直しにおいて、適切に反映されることを期待するものである。”
大きな仕組みとして、障害者施策について介護保険制度は宿題を背負ってきている。今、そのタイミングを迎えている。
もう一つは、現実の問題として、三位一体の改革、これは支援費の時にはなかった議論だった。地方へこの問題を委譲していくのか。こういう環境を理解した上で、我々をはやっていかないと。もちろん準備期間はかけてやっていく。決断をいつするか、準備期間で長い時間がかかる。その時間をを惜しまずにきちんと検討しないといけないという認識である。
この議論のまさに担当者のうずに巻き込まれる中で皮肉なことが一つある。障害者の分野の人が”介護保険は大変そうだ、沈みかかっている、20歳徴収のために障害者を道具にしようとしている”などと言う。しかし、介護保険の分野の人がどう言っているか。”障害のお金がなくなって、介護保険に乗ってくる。障害は障害の世界で、合理化して、きちんとしてからくるべきである。”お互いの不信感がある。こっけいな、悲しい状況である。
介護保険はサービスが増えた分、お金を伸ばしてきた。これは認めるべきである。
しかし、高齢者と障害者ケアは違うというのも分かっている。介護保険に服をあわせなくていい。年齢、障害種別をこえたきちんとした仕組みを作るやり方はあるのではないか。国全体の予算の伸びは0.1%の中、障害部の予算を4%伸ばすのは大きなあつれきがある。障害者のことに関心をもっている議員は少ない。国の予算、社会保障費が伸びない中、3割伸ばして足りない予算というのはルールがおかしいのではないかと言われる。税は毎年やっていかないといけない。裁量的経費が義務的経費になればうれしい。しかし、急激に伸びるような制度は誰も義務的経費にはしない。ルールがあって予測がつくなら義務的経費に、万が一だが、なる可能性もある。
一つの可能性、選択肢として介護保険がある。我々も行政官としてまたもや失敗したくない。
障害者団体も判断が遅れたということはしたくない。介護保険については、情報をだして議論したい。
介護保険に反対という意見がでたが、勇気があると思う。正念場にきている。少しでも道が開けて行く方に行きたい。そこは議論をして欲しいと思う。
介護保険の議論には障害者の議論が根っこにあった。介護保険と支援費は似た制度である。それを理解した上で違いを見て欲しい。
藤井氏
村木課長の心情が良くわかった。
1月に塩田部長と話をした時に、障害者福祉を政治がやってもらえると思ったら間違いという言葉があった。
矢島氏
なぜ、精神障害を支援費にしなかったのかということだが、そもそも精神には措置がなかった。医療でやってきたので契約だった。支援費が”措置から契約に”ということであるなら、精神は契約になっている。その入口で道がわかれた。支援費には良いところがある。勉強しないといけない。
精神を今後どうしていくか、福祉の大学の教授に言われた事があって、もともとは介護保険はオランダで精神障害の社会復帰のためにできた制度ということである。いろんな人から意見を聞いたが、支援費にするよりもむしろ介護保険にというご意見が多かった。私の所に支援費がいいと言ってきた人はいなかった。
市町村の職員は、精神障害までやるのかという違和感をもっている。私の仕事はそういう偏見をなくさないといけない。介護保険制度、社会保険制度になれば市町村の事業になる。市町村も、精神障害の人に 会ってもらえればわかってもらえる。今は食わず嫌いになっている。市町村に、精神障害をわかっていただく。現場が精神障害に接して、必要なサービス、高齢者と共通することがかなりある。精神障害者の社会復帰はさらに進む。この議論はしたいと個人的に思っている。
藤井氏
矢島さんがそうおっしゃるのなら、72000人を病院から出す、これを本当にやるなら、72000床ではないかという話があった。病床を残していては、また埋まっていく。それを希望している大きな団体もバックに控えている。整合性が感じられない。
矢島氏
つい先日、検討会の中間とりまとめの案がでた。72000床と言いたかったが、”減少を促す”ということになった。いろいろご議論ある。しかし、そういう認識で、検討会で受け皿も含めて議論している。先に病院から出す話をすると、海外に事例があるが、アメリカは良くない、出すばかりで受け皿を作らなかったのでホームレスが増えたという話がある。まず受け皿を作って、必要のないベッドがあるなら減少する議論をするべきだ。受皿を作った上で議論することになる。
大熊氏
72000床は必要で、残りの20何万人のベッドが本当は必要ない。
矢島さんは先ほど、注意深く、医者が外で暮らせると言った人が72000人だと言った。矢島課長の正直な発言だった。
政治家があてにならないということだったが、今日は政治家はどなたかこられているか。
皆様からの質問は後で、おおづかみの議論をしていきたい。
妻屋さんからも、じっくり5年間やってみてはという意見があった。これについては、まず行政の皆さんはどう考えているのか。新聞の社説も慎重にと書くことが多いが、ものによっては慎重は良くないこともあるが。
村木氏
5年はあまりに長いと思う。支援費の議論をした時と今の状況は違う。世の中の流れは速い。制度の移行は慎重にしないといけないが、介護保険の制度は5年ごと、報酬は3年ごとの見直し、できるだけ早く意見をだすべきである。
妻屋氏
今、新しい制度をかみしめている。なじんできているところで、まだ上手く使いこなせていない。支援費を上手く使うのに5年かかる。
障害者基本法は11年目での改正で、支援費はすぐ改正するという。これは不公平だ。
これから使おうとする人は、今は使っている人を見ている。私も使いたいと言う人はこれから出てくる、それなのに制度が変わってはついていけない。
格差はあるが、もう少しやっていくと大きな開きもなくなっていくのではないか。それから変えましょうと言うことではないか。
矢島氏
どれだけ検討するのか。長ければ良いのではない。医療制度の診療報酬は2年に1度の改正で、これは技術の進歩が激しいこともあるが、改正したらすぐ次の見直しの議論している。介護保険報酬も3年ごとの改正で、その時にいろんな議論している。2年、3年で必要な見直している。これだけ早い流れの中、必要な見直しはしていく。
松友氏
支援費は1年経たないというが、支援費制度はスタートする前から”破産する、これではできない”と言うグループもあった。(支援費を中心的に作った)炭谷さんも支援費でサービス減らさないとは言っていたが、増やすとは言っていなかった。実際は少しは増えたが。
支援費は欠陥、大きな問題がある。介護保険と比べて、新たな財源がない、制度だけ変えて使いやすいようにする。財源を新た作らない、ケアマネジメントも作らなかった。
はじめから大きな問題を抱えてスタートした。しかし、立派な理念を掲げ、明治維新以来の改革と言っていた。支援費は立派と言っていて、変えないといけないという。支援費は間違っていた、予算がとれなかった、それを認めないと先に進めない。
支援費がいいかどうかわからないが、安定した財源を確保して欲しい。
今、支援費に反対していた人も、支援費をほめている。おかしなことになっている。
誰も責任を取らない。このままで支援費に行けるのか。今年の予算がすでに100億円足りない。誰がかき集めるのか。いざとなれば部長、課長は辞められるが、障害者はやめられない。10年、100年と続けられる制度が必要。今の予算を倍にするだけの、政治力が障害者団体にあるのか。
どの毒まんじゅうを食らうのか、私たちはリアルに考えないといけない。どういう制度でできるのか。支援費の中で戦えるのか。そうであるならば、戦術を持つ。そうでないのなら、ごめんなさないと言って乗り換える。そこをはっきりしないと。
笹川氏
村木課長にお尋ねする。一つの選択肢としてというが、他に選択肢があるのか。
統合を決めてから中身を決めるのか。それだとわからないものに同意することになる。十分に中身を議論できるのか。
塩田部長のいう介護保険になじまないものは何か、具体的にならないと検討できない。三位一体改革で財源が市町村に移った時、その財源で市町村が支援費制度をやっていくというその保障があるのか。
村木氏
一つの選択肢と言ったが、残るのは何かというと税の中でやるという選択肢。その選択肢に進む時、三位一体改革という流れの中で地方に移るか国に残るか。勝負はわからない。国に残ると言う自信はない。全体の流れ、保育所は一般財源化になった。障害にそれが起こらないか。地方の方から来いと望まれている施策である。その可能性は強い。
税の世界で、応援してくれる議員を増やしながら、少しずつ予算を増やす。私たちも障害の予算は減らさない、少しずつ増やす、それは精一杯やる。約束はできない。頑張るとしか言えない。
地方に行った場合は、この問題でどれだけ市町村が力をいれるか。差がでてくる。格差は広がる、国のコントロールは不可能である。
中身が決まらなければ、イエスとは言えないと言うのはそれはごもっともな意見である。しかし、我々だけでは決められるものではない。
実際に大きな仕組みになる。高齢者も制度を変えて欲しいと言う。自治体もこういう制度でないと運営できないと言う。保険料を払う人、国民、事業主団体、この人たちが関係者としてでてくる。そういう一体の議論の中で考えていくことになる。
中身の議論は秋になる。介護保険の決断がないのに、進んでいくことはできない。枠組みについて、中間で一定の方向を出していって、議論する中で、どこを保険に入れるのか、入れないのかということになる。
大熊氏
支援費が破綻しているかどうかという疑問にもお答えいただきたい。
高原氏
率直に話をすると、1年間この制度を担当して、支援費は随分立派で、頭は先に行っているが体はついてきていない。これは正直感じている。これだけ、サービスの利用が伸びている。評価はしていただけると思う。それに伴う、財源の問題、長期的に見て今のやりかたのままで対応していけるのか。長期間、安定的に維持していくことは極めて難しい。
初年度から100億の不足が出た。なんとか初年度は100点ではないが、省内でも協力をえてカバーした。しかし、これを何年も続けるのは難しい。
昨年末も一定のサービス量を確保するために提案をしたが、運営上の工夫をより厳しくやっていかざるをえない。
そうはいっても、問題点が見えてきているのは事実で、自治体からも言われている。障害者団体からも言われている。
ニーズとサービスを適切に結びつけるケアマネジメントがサービスの中にビルトインされていない。ホームヘルプのことがいわれているが、他にサービスがないために、ホームヘルプに負荷がきているのではないか。放課後の中高生のデイをどうするか。夜間の緊急時対応、これを全てホームヘルプでやることがいいのか。それは工夫をしていく必要がある。重度の人が今のグループホームでいいのか。そういう努力を絶えずやっていく必要がある。これは16年度、17年度以降やっていく。長い目で見た時に今の制度のままでは頭に体がついていかない、無理があると感じている。
藤井氏
わかりにくいのは、支援費制度のある部分を統合していく。今のままだと失敗なのか?
高原氏
支援費のすばらしい理念を実現していくために、部長の話にもあったようにエンジン部分、ガソリンを強化をする。介護保険の良いところを使っていく。チャレンジをしていくと申し上げているつもり。
実際の実施に移すには、仮に介護保険との関係で統合が適切かどうか、良いところから介護保険を使うにしても、実施については準備期間が必要である。今のスケジュールで議論しているが、施行までには相当の時間がかかるのが現実である。
藤井氏
秋には全貌が見えてくるということだが、厚労省は財務省、経済団体を前に決意を表明する。
そうすると我々は基本は見えないが、しょうがないからうんというしかない、全貌が見えた時には後に引けない、それでは困る。民間は全貌が見えた時にこれはダメだと言えるのか。そこが心配、それで見えないので猛反対ということになる。
村木氏
今年の年金議論を見るとわかりやすいが、秋に厚労省案が出て、それから意見がでて、変遷して、国会でも対案が出たりする。ひとつの案がでてても、議論が積み重なる。
秋に介護保険の中身が見えた時に、賛成したから乗れということではない。秋にいろんな議論がある。
もっと建設的にこういう制度では賛成できるという提案があれば、建設的な議論をしないと一番大事な所が守れない。
審議会、永田町、いろんな議論の場がある。介護保険に障害者が入っていくのは無理という関係者がいる。障害者団体が反対しているのなら、この議論はスタートしないと言われる。一番関わりの深い我々が早くボールを投げていかないといけない。
藤井氏
私の経験では、ある制度ができてしまったら修正は難しい、微修正しかできない。しかし、今度はそういうことではないということですよ、皆さん。
介護保険と障害者福祉策との統合、確かに共通点はある。しかし、障害故の固有のニードは二階建て、二重構造とも言うが、これをどこまでまかなえるのか。若年障害者の社会参加はどこまで考えているのか。
村木氏
障害者と高齢者のケア、自立の概念が違うと言うことがよくでてくる。障害の中でも三障害それぞれ違うと言う。理念的かもしれないが、一人一人のケアは違う。年齢、障害、ケアは個別性に対応、しかし、仕組みは縦割りでなく、いろんなものが相互乗り入れ可能な大きな枠組みで、それで個別性を大事にしていく・
保険は皆が支える、自分がそういう場合に陥った時に、サービスが受けられる。標準的なものに強い仕組みで、都道府県の格差が少ないのは標準化しているということがある。それだとニーズの対象者が少ないものは無理。しかし、それは保険以外でやる。保険の中でも個人のサービスとしてやるもの、自治体が事業としてやるものがある。それはいろいろ考えていく。
いろんな関係者がいて、お金を払う人は怒るかもしれないが、保険になるということは今まで税でやるところにゆとりが生まれてくる。こういう厳しい時代には、余ったのは皆召し上げられるかもしれないが、新しい財源を確保したのだから、安定のために使っていきたいという主張ができる。財源を新たに入れる中で基盤整備ができないか。
大熊氏
共通する部分と共通しない部分をわけて詳しく話して欲しい。
村木氏
介護保険と共通するところ、しないところ。21pの下の表を見て欲しい。措置制度と支援費制度と介護保険制度の3つを比較している。上半分はお金、下半分はサービスの提供、使い方について書いている。
措置は行政がサービスの利用者を特定し、サービスの中身・種類、事業者を決める。支援費はサービス量・種類は市町村が決めるが事業者は利用者が決めている。介護保険は利用者が使える一定のお金を決めて、その中で種類・量・事業者を利用者が決めている。
措置は税金、納税者が支える。支援費も同じである。介護保険は半分が保険料、半分が税金である。保険料が入ってくる。高齢者の介護ニーズを支える。
サービスの対象者の決定は支援費は市町村が支給決定、介護保険は要介護認定で決定している。
サービスを利用するにあたって支援費はケアマネジメントの仕組みがないが、介護保険にはある。
介護保険は保険料を払って、応益負担も1割。支援費は応能負担。
大きな違いは介護保険は法律で、市町村が老人福祉計画、介護保険事業計画の策定が義務づけられている。それをもとにして必要なお金が決まり、保険料を決めている。それにつきあうような形で税を投入している。ニーズがあって、それに従った財源確保ができる。お金の計画は3年ごとに見直しをする。支援費は市町村計画を積み上げるようになっていない。税をいくらを獲得できるかは毎年の予算の中でやっている。国が出せなかったら市町村が払うことになる。
大熊氏
サービスのほうでいうと、矢島さんがさっき介護保険の中で使えるものがあると言ったが、これはできるというものがあるか。
矢島氏
精神障害のホームヘルプはすでに始まっている。しかし実態は十分でない。介護保険に入ると単価の問題、サービスは使いやすくなる。
医療機関のデイサービスで、精神障害者が来ていろんな支援をする、活動をする、料理をしてりう。これを日常に相互利用する。介護保険の中ですでに通所介護がある。実際には地域生活支援センターの包括的な運営費としてもでている。しかし、作業所の中でもやっている。是非、そういうことも議論にのせていく機会である。いままでは補助金がついた場所でやってきて、これからは場所ではなく機能で着目する。精神障害者の社会復帰に使う大きな一つのチャンスになる。
大熊氏
ケアマネがいいことだという議論があった。しかし、それが良くないという意見もある。
質問票の中からいくつか取り上げる。
・今の介護保険は一次判定、二次判定、コストだけで数百億円かかる。医師会のために報酬をかけている。そういうのが障害者に適用されるのか。
・身体はセルフマネジメントであって、その視点が欠落している。障害者主体ということを理解しているのか。
・ケアマネジャーは誰が認定、決定するのか。その人がどこに属するするのか、行政なのか、事業者なのか、事業者ならこれ以上良くならない。第三者的になるのか。
高原氏
ケアマネジメントの問題については在り方検討会の場では相当意見をいただいている。自治体からも要望をいただいている。
私の理解では、それぞれの障害者のニーズに応じてサービスを適切に、必要なかたに必要なサービスを提供していく。ケアマネジメントとよぶかどうかは別にして。適切なニーズ、介護だけでなく、就労、教育などの福祉だけでないサービスを適切に組み合わせていく、こういう機能が必要というのはおおかたの意見が一致している。
在り方検討会でも総論としては異論がない。しかし、どういう枠組みでどういう形でやっていくか、議論がある。作業班でも議論があった。当事者のニーズをくみ上げてマネジメントする議論、セルフマネジメントの議論があったが、判断能力がある人の場合、自己決定それをどういう要素で制度の中で考えていくのか、検討すべき、考慮すべきである。方向性としては、制度としてケアマネジメントを位置づけることは必要である。
介護保険の中でもセルフマネジメントは否定していない。自らプランニングすることは認められている。決定権は利用者にある。利用者が判子を押さないとだめな仕組みになている。今後は、利用者の決定を生かす仕組みをどうしていくか。
大熊氏
介護保険もマイプランということで、最近、自分でプランを作っている人の横のつながりもでてきた。介護保険になると自分でプランを作れないというのは誤解だと思う。
妻屋氏
障害者のケアマネジメントはエンパワエメント、ニーズ中心である。自分でできない人にはエスコートするが、自分でできるようになったら、自分で行う。ケアマネジメントが最初から最後までするというのは違う。障害者を知らない人がケアマネジメントする、これが問題である。介護保険の二の舞になる。靴が合わないとでもいうのか、あわないものができる。本人の意向が反映されない。
私もケアマネジメントの研修をした。市町村の若い担当者と一緒に研修を受けた。まるで障害者の気持ちをわかっていない。本人の気持ちをわかっていないので、慎重な対応をする。そういう人のケアマネジメントは全然違う方向に行く。障害を分かっている当事者が一番ケアマネジメントに望ましい。そういう仕組みを作る。市町村のケアマネジメントをする人は下手な医者のようなもので、患者が訴えると、薬を出すという。そういうケアマネジメントでは問題。薬をどんどん出すように、サービスをどんどん出す勘違いのケアマネジャーができているのではないか。障害をわからない人がケアマネジャーをやっている。
いろんな障害種類があるので、その当事者がやるのが良い。
良田氏
今、ケアマネジメントの研修を受けているので、発言する。高齢者のケアマネジャーと一緒にやっている。本当にわからない。精神が入るともっとわからなくなる。小さな市町村で、ケアマネジメントをができるのか。いろんな種類の障害がある。不安に思っている。たいへんな作業である。
一次判定はコンピューターだが、精神はデリケート、本当に正しい認定ができるか心配している。
大熊氏
(質問票から)
・障害者の就労支援はどうなるのか、授産施設に利用料を払うのか。
・精神障害者で塾の講師をしていたが、池田学校事件以来いづらくて、観察法の反対運動などもしていて、辞めてしまった。その後、内職と年金でやっている。精神障害者であることを隠さないと就労できない。法的ではなく、社会の差別をなくさないといけない。
・地域の中で支援をしている6000の作業所の今後の方向性を示して欲しい。
矢島氏
精神の質問があった。地域で仕事を確保するのは大事。これをどういう形で制度化をしていくのか。検討会で議論している。
地域生活支援、その人にあったものを確保する仕組みを、研究していく。いろんな立場がある。特定のことを言うと語弊があるかもしれないが、作業所、授産施設が一般就労に向けて取り組んでいる所もある。地域生活支援センターのような皆が集まって支えている所もある。フルタイムで仕事をするのは難しい場合、何人かで一人分の仕事をしている。これは大事な問題なので検討していく。以前と同じような、仕事ができなくても、自分にあった時間、やりたい仕事をできる仕組みを検討していきたい。
藤井氏
今後の介護保険制度と授産施設の関係。機能を分解していって、働くことは介護保険になじまないのか。精神障害の人的なサポートについては介護保険でやるのか。
高原氏
冒頭のにも言ったように審議官をトップにした検討会を横断的にやっている。
今の施策体系にこだわることなく、障害者の就労を進めていくために議論している。今の授産施設の体系、更生施設を含めて、施設体系の在り方について、一般的な議論を視野にいれて、福祉的な就労の施設体系の見直しをやろうとしている。
小規模作業所の異については、先週になるが、障害保健福祉部と小規模作業所の関係8団体と2月から議論してきた懇談会で一定の方向性をまとめた。小規模作業所が果たしてきた就労支援、日中活動を正面から受け止め、福祉施設、就労支援施策の中に反映させることがポイントとしてまとめられた。その機能に着目して、施設体系の整理位置づけをしていく。これから検討していく。福祉だけでなく、雇用も含めて全般的に夏に向けてやっていく。
介護保険との関係では、授産などの働く場はどういう位置づけになるのか、この点についてはまだ議論の途中で、介護保険の関係の中で一定の方向性、結論を出していない。どういう機能を果たしているか、体系、位置づけを考える中で結論、方向性を出していく。
村木氏
就労の所はたぶん、作業所も含めて、日中の生き甲斐を感じるような日中活動をする場、企業の準備の場、企業の就労はハードルは高いが、労働者として保護を受けながら働く場。企業で働くにしても福祉のサポートを受けながら働く。その機能の形を模索しながら、どういう担い手が担うか、今の施設機能を見直していく。
その財源をどこからもってくるのか。いずれにせよ大事な問題である。
大熊氏
働く人も自立を目指している。自立の意味が分かるのか。介護保険の自立は身辺的なもの、障害者は社会参加、自立の概念が違う、一緒になる時に欠落すると大変である。
先日、検討会の作業班でケアと自立の概念の定義が中西さんからあった。
それによると、
ケアの概念は”日常生活において、本人が行いたいと思う身体・知的・精神的活動で、本人だけではできなかったり、困難だったりするときに、それを人的、心理的、側面的に支援することである。つまり、映画、デート、旅行、セミナーに行く、本を読む、計算をする、字を書く、話し相手になることによって気持ちをやわらげる。考えを整理する手伝い、そばにいることによる安心感、緊急事態には来てくれる体制などを含む概念である”
自立の概念は”身辺的自立や経済的自立はできなくても、他者・家族・専門家・行政などに自分に関することの決定を委ねず、必要な場合に情報提供等のサポートを得ながら、自ら選択し、決定し、その結果に責任を負うこと。また、日々の生活の中で、他者への依存を最小限にすること。”
という問題提起がされた。
自立とケアのどこまでの支援をするつもりなのか。
高原氏
支援費制度の基本理念の一つが障害者の自己決定の尊重になっている。今、ご紹介のあった、中西さんが問題提起された方向性は自立、ケアの概念として正しい方向性だと考えている。問題は制度としてどう受け止めるのか、それを公的な制度だけで受け止めるのか。互助、共助の組み合わせで対応していくのか。それを今後検討していくことが必要ではないか。
大熊氏
・施設についての質問がある。厚労省の施設にお金が流れている。施設を解体すると予算は足りる。
・在宅というが施設利用は増えている。支援費の中の入所施設の比率は高い。アメリカやスウェーデンは施設を潰している。地域にといってもお金は施設に使われている。
本気で施設から地域へという決意が求められている。
藤井氏
精神も医療偏重、福祉は1/60にしかすぎない。
矢島氏
問題意識としては同じで、精神障害は病院、施設の流れがある。
地域に住んでいる人もいて、病院からアパートに移ることができう。40年入院していたかたも、地域で支える仕組み、支援センターがあれば、地域で生活できる事例をたくさん聞いている。
今、受け皿が見えないので、目の前に見えないので、施設に流れる状況がある。精神は一気には無理だと思うが、実際に地域でアパートで暮らすことはできない話ではない。
方向性は少しでも近づくように。施設を急になくすのは無理で、段階的に受け皿を作りながらやる。今、施設にいっている流れは一時的、過渡的流れである。
どうしてこの人が障害をもっているのか、道ですれ違ってもわからないという人がいる、そういう頑張っている地域もある。そういうことはアピールしていかないといけない。
障害者のことをわかる人的支援、ハードの受け皿でなく、ソフト、そういう人材が地域で育っていく。そういう意味では介護保険は私の所管からすると有り難い。
高原氏
身体・知的の施設については、大きな流れでは、施設から地域へ具体化していく時期である。今、施設に入っている人がいるので、それをカットすることはできない。処遇に大きな影響を与える。入所施設に入っている人が自ら望んで地域移行するためには時間がかかる。受け皿として、在宅サービスを確保して行くことが大事である。
施設から地域を具体的に実現していく時期である。施設の補助は、入所に対するものは原則として行わないということで対応する。現実には定員増を含めて、増改築など全国で40〜50の要望がある。親御さんの切実な思いも聞く、例外的な対応をするのか、一律に入所はいらないという対応をするのか、難しいと実感する。
原則として入所はやらない、定員を時間をかけて減らしていく。施設の関係にもご理解を得ていく。
入所と地域は対立しない。入所は住まいと、日中活動がパッケージになっている。できるだけ、果たしている機能に着目して、施設機能、施設体系の見直しを別途議論していければと思っている。
大熊氏
入所と地域が対立しないためには、山奥の施設は在宅には役立たない。千葉県に個室でだんらんの部屋のある施設があって、老人でいうとユニットケアである。そこから地域にグループホームを作っていて、最重度の人を選んでグループホームで暮らしていく。それを袖ヶ浦の施設で話をしたら、入所の希望をしてた家族の考え方が変わったことがあった。
今日は、聴覚障害者の全国大会が京都であるので、聴覚障害の代表がシンポジウムにきていない。村木課長は昨日その大会に出られたそうだ。
村木氏
昨日、聴覚障害者の全国大会で話をしてきた。今日したような支援費の話と、手話通訳の話をした。介護保険との統合の話題、特殊なサービスについては、そのサービスにあった形、仕組みにしていく。手話は福祉の領域だけでなく一つの分化、言語、コミュニケーション手段として世の中で根付かせていくということだった。それでは厚労省だけではだめで、内閣府、文部科学省との協力、新しい施策の方向性を考えていくという議論をした。
行政から話を聞いて、今日さらに大議論をする予定であると聞いている。
笹川氏
日盲連の考え方を申し上げる。もし統合されたとして、17年度の予算はどうなるのか。村木さんに答えをいただきたい。
都は介護保険との統合は方向としては決めている。具体的な内容についても決めている。準備期間を長く取ってと言っている。
私は統合ならば、時間はとって欲しい。拙速でなく、万全の体制で。支援費の二の舞、これは避けたい。
原案がなければ我々は検討できない。原案の提示をしてほしい。それから意思の決定をしていきたい。
妻屋氏
最後に、介護保険にするか支援費で存続するかはともかく、この理念は予算がたりなからといって減らすのでなく、あくまで理念を追求して欲しい。介護保険に入って理念をカットすることは生活している人が困る。これは絶対避ける。理念をキープして欲しい。
良田氏
支援費のことが多く語られて、身のおきどころがない思いをした。支援費にのれなかった。精神の正しい理解が遅れたことは国の責任。今の格差、障害者施策の格差を縮める努力をして欲しい。
生活支援センターの数は少ない、職員も少ない、ひとりひとりに応じられない。国の責任として果たして欲しい。
費用負担、アセスメント、認定の問題に不安を持っている。矢島さんの言う相互利用は、希望なのか現実にできるのか。介護保険だけでなくて、支援費も相互利用できないと本当の意味では平等とは言えない。このことをきちんと原案に含めて欲しい。
自治体の意識がないので、予算ももってこれない。市町村の理解を深める努力をしないといけない。市町村は介護保険に精神が入ったらびっくりすると思う。私たちも努力したい。
松友氏
障害者部会と介護保険があって、介護保険のことは介護保険部会で議論される。どんな議論になっているのか。向こうの部会では声をあげない、こちらで腹をきめないと乗り遅れるのはないのか。知的障害は乗り遅れる歴史だった。早く乗ってひっくり返ったこともああるが。
向こうは障害に来て欲しくない。介護保険は障害がきて20歳から保険料とれるから良いという人もいるかもしれないが。
高齢者には皆なるが、障害は自己責任。こういう雰囲気が漂っている。介護保険がスタートした時に障害者はいれてもらえなかったという気持ちがある。乗り遅れない。拙速にのるのもまずい。ぎりぎりの折衝、絶対乗らない、かといって乗るということでもなく、リアルな議論をしないといけない。
知的障害者は施設だけでなく、精神病院、刑務所にもいる。地域にサポートがあればそうならなかった。親が責任を求められる。親亡き後を考えて、施設に入れたいということになる。この悪循環を壊せるのか。地域の中で受け皿を作る。施設を作るのは親ではないかと言われるとそれは事実で、その悪循環を断ち切らないと。親なんていらないと言いたい。
本質的な構造改革が必要で、中途半端ではいけない。
藤井氏
時間に余裕があるので、最後は各課長から丁寧に答えて欲しい。言い足りない部分も含めて言って欲しい。
矢島氏
精神障害者の話を聞いていただいたことを感謝している。私なりに、普段考えた情報を話した。
もっと具体的な話でないと不満は残ると思いが、いろいろな関係の所と調整がある。具体的な話は秋になる。今日の問題を議論して欲しい、地域に戻って議論していただきたい。県や市町村と今年の予算はどうなるのか聞いて欲しい。国はぎりぎりプラスということで伸ばすことができた。私が聞くと、県と市町村はきついということを聞いている。国は予算をとっても現場でどうなのか。地域の自治体がどうなっているか。地域で議論をして欲しい。
逃げているつもりはない。先進国は、社会保障、支える制度を苦労している。完全な制度を持っている国はない。最初は良かったけれど、後で問題がでてきて見直している国もある。少しでもより良いものについて、建設的な議論を。
介護保険にかりたてているのは、精神障害を他障害、高齢と一緒にするチャンス、大きな改革の時のチャンスだから。税金では少しずつしかできない。財政が厳しいので大きな話はなおできない。大きな制度改革の時こそ、今の議論が成り立つ。制度を大きく変える時にしかできない。精神障害もサービス、単価を同じにしてもらうチャンスである。
認定の問題は難しい、それぞれの障害に合った形にする。それでなければブーイングくることはわかっている。そこは時間をかける。認定という言葉も嫌いな人もいる。そういう程度をどう判定するか、少しずつやりながら手直ししていく。
精神障害は258万人いるが、サービスを使っている人は一部で、残念ながら大きな制度のところのほうが、いろんな意味で見捨てられない。大きな制度の中に入っている方が、いろんな配慮をしてもらえる。少数だけでやっているといろんな意味での悲哀がある。大きなところで、障害の小さな予算ではなく、大きな枠組みを是非議論させて欲しい。批判もあると思うが。
藤井氏
精神保健福祉法の改正が迫っている。これでどのように改正をされるか試されている。皆さん注目して欲しい。
高原氏
妻屋さん、笹川さんより、一年で何故、見直しかという素朴な意見があった。逆の立場であれば、本当にそう思う。素朴な感じで、心情的にはそう思う。
さりながら、国の歳出は約半分が借金、総人口も減る、労働力人口も減る、その中でサービス利用の中でどうやって対応するのか、強く感じている。20年後振り返ると、これからの半年、一年は障害者の施策の大切な時期になる。方向性がどういうふうに、結論がどうなるか、国民的な課題として、たくさんの議論の中で決まっていくと感じている。障害者の地域での生活を支えるために、生活支援、介護のニーズに対して2つの課題がある。今使っている人だけでなくこれからサービスを受ける人にサービスを提供していける財源・インフラ。もう一つは重度の障害者が暮らしていけるようなホームヘルプだけでなくグループホームも含めてきちんとできるようにチャンレンジする。
日中の活動、社会参加、それぞれニーズに応じた場が確保できるように今の施策にとらわれずに、検討会で見直し、充実を図っていきたい。
今日来れたのは有り難い。強力な敵は多い、客観的にはきびしい。外に出て訴えて、理解を得るようにしたい。
藤井氏
高原さんは人が良い。一番の敵はどこか。
高原氏
敵という言い方は良くなかったが。相手としては、財源の確保は財務省、介護保険との関係というと経済界、事業主、この理解をえるのは不可欠。
大熊氏
経済団体や事業主にどのように説明をしているかという質問もしたい。
村木氏
まず、具体的なところから。
介護保険に行った場合17年の予算はどうなるかということだが、介護保険法は17年になってから上程される。障害を組み込む場合、事業計画から18年が一番早い。そして、時間をかけていくことが大事。しかし、17年度の予算要求をしていく時に、支援費はどうなっているのかと聞かれる。支援費をこういうふうにしていくので、17年度はこういう予算という説明がいる。17年度にも影響する。こういう制度にするので17年度はこうしたいという話になる。
早く方向性、制度設計の情報を皆さんに出して議論していきたい。午前の説明に対していくつかのお叱りがあった。数字を使って説明したので、数字だけではない問題だということだった。
確かに数字だけではない。しかし、障害者は5%で、95%の人に5%のことを語らないといけない。そのためには数字は大事。5%について95%の人の問題ということを理解を得る。そのためには数字が有効、そして、リアルな皆さんの生活実態が有効。我々も説得する。皆さんも経済団体、お金を払う若い人を説得して欲しい。皆さんと一緒にやっていきたい。この制度を使っていない人に提供していきたい。都道府県の格差を平均のところにならすにのではなく、遅いところが進んでいくように。地域で暮らすという大きな目的と、保険・税という手段をごっちゃにしないで、目的を忘れずにやっていきたい。
藤井氏
大熊さんからジャーナリストとして、また、障害者団体にかかわってきた者として、いろんな思いがあると思う。感想を。
大熊氏
今日は行政の人が正直に話した。支援費は破綻している。三位一体改革がでてきた。これは予想できなかった。車体はいいがエンジンが悪かった。これは前の人を婉曲的に非難していることで、これは役所の掟に逆らっている。前を悔いないと、進んでいけない。
何故、この人たちが障害者福祉の前に現れたか。滋賀県に行くと、辻障害福祉課長という人が偉人として語られている。地域の福祉を一生懸命やった。その人が厚労省の官房長だった時に、障害者福祉が大事と言うことで、今の人たちを配置した。介護保険の時も人材を集めたが、今は障害に人材を集めている。なので、きょうのように率直に言ってくれる。
今の介護保険にくっつけられるとたまらない。しかし、介護保険の大会に行くとあそこがおかしい、ここがおかしいといっている。歩きながら考え、転びながら考え、変えないといけないとっている。
介護保険ができた時の介護の概念は良かったが、それが政治の中で骨抜きにされた。これを復活したいという人がいる。介護保険を良くするために障害での議論ができることは良い。
三位一体改革で、行政の裁量ではなく義務的経費にということがいわれている。その一つの方法として、保険料、これはムネオハウスには行かないお金である。これは一つの方法。絶対反対というのは得策でない。
しかし、いつ逃げるかわからない。特に自立生活センターが作ってきた介護、24時間介護がこの際に逃げられたらとんでもない。日本では贅沢に思うかもしれないが、国際的に見ると当たり前のことで、これを交代させないで、裾野を広げられるなら、一番良い。
今回は情報を共有する。冷静に情報を公開しながら、厚労省にものを言っていく出発点になればいい。
藤井氏
介護保険にならなくても、精神障害は端的にぎりぎりである。本当の基礎構造改革をする、あれは嘘構造改革だった。今日は出なかったが扶養義務制度をもうそろそろやめたい。障害等級制度についてもICFの採用、環境要因をいれる。所得保障、施設体系50も種類あって機能していない。精神障害者の社会的入院など課題はたくさんある。今度の介護保険はその一歩になるか、状況判断はまだできない。
入口に入る前に厚労省不信がある。介護保険の制度設計はどうするのか。課長は一歩入って、後で考えられると言った。それをどう見るか。
3障害の課長が並んだことも初めてだが、8団体が並んだことも初めてである。これを良い第一歩に、引き続き8団体に結束を呼びかけたい。隠れテーマは8団体の結束である。こうしようという展望を描ける、まとめを作っていくことが大事である。
三位一体改革という立場でなくて、民間、行政を越えて障害のフロントラインあって欲しい。
”私たちのことを私たちを抜きにして決めないで下さい”これを訴えて最後にしたいと思う。
○閉会の挨拶 : 森 祐司(日本身体障害者団体連合会事務局長)
ただ今、紹介にあずかった事務局長の森です。本日は早朝から、遠くから熱心に集まっていただきありがとうございます。
今日は無料ではなく、有料の集会ではありましたが、このように多くの人が参加し、いかにこの問題に障害者が注目しているかのあらわれである。支援費で良かったことは、ホームヘルプの問題がでたこと。これによって障害者団体が結びついた。次ぎに作業所の1割カットがあり、精神障害がこれで結びついた。それで介護保険の問題。これは上手くいけば障害の行政は進歩する。聾唖連盟は大会でこれなかったが、ほとんどの団体が来ている。この団結は強い。村木課長を中心とした勉強会は、今、時間をあけている。我々はどういう案になるかわからないと判断できない。小出しでも結構だが、案がまとまってきた時に一緒に考えられれば。
実りある話し合いができた。大熊さん、部長、各課長、シンポジスト、指定発言者、皆さんありがとうございました。
これからこの問題については藤井さんが話したように団結しながら、日本の障害者福祉を進めていきたい。
本日は有り難うございました。
4月30日の公開対話集会は介護保険統合派の完勝
4月30日の公開対話集会では、時間の制約で細かすぎる介護保険の問題点が主な議題に上がることもなく、ほとんど厚生省側の宣伝と想定問答に使われてしまい、非常に深みのない内容になりました。障害者団体側の大失態といえます。仮に介護保険に入った場合、長時間の制度を必要とする障害者がこれから先、全国の過疎地を含む市町村でどうやって地域で1人暮らしできる制度を作れるのか、(介護保険統合でそれが非常に難しくなるが、)そのような問題点の洗い出しなどがまったく行われませんでした。これでは制度の問題点を洗い出し、よくしていこうというという行政側の動きもしぼんでしまいます。
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