人工呼吸器利用者の重度訪問介護15%加算の手続き漏れが全国の市町村で多数発生。障害者自身でチェックを。

 

重度訪問介護の単価は区分6で8.5%加算ですが、人工呼吸器利用者(重度包括対象者)は15%加算です。

マスク型(バイパップ)を含む人工呼吸器利用者(体調悪化時のみの利用も対象)は、重度訪問介護15%加算になるのですが、多くの市町村では、うっかりミスで15%加算がついていない実態があります。

当会では、呼吸器利用障害者から多くの相談を受けて、自治体に説明する資料を提供して、正しい支給決定に繋がっています。今までの実績では、全国の過半数の自治体が間違っていました。

 

人工呼吸器利用者は、全国的にサービス提供してくれる事業所がなかなか見つからない状態で、利用者が困っています。

そのために、単価を15%アップする制度になっています。各事業所で収入が増えれば、呼吸器の利用者に入るヘルパーの時給等も上げられますし、給与が上がれば求人で応募が増えます。その結果、サービス提供してくれる事業所がより見つかりやすくなります。現在すでに入っているヘルパーも、給与が上がれば、今後の退職が減ります。

障害者自身が、自分の受給者証を確認し、15%加算が正しくついているか、確認しましょう。

 

受給者証の支給決定時間の項目を見てください

「重度訪問介護(重度包括)744時間」

「重度訪問介護(重度包括支援)744時間」

「重度訪問介護(重度包括支援対象者)744時間」

のように書かれていれば、正しく15%加算が適用されています。

 

一方で

「重度訪問介護(区分6)744時間」

「重度訪問介護744時間」

のように書かれている場合は、区分6の8.5%加算になっています

市町村に連絡して、事務ミスではないか、確認してください。

 

人工呼吸器は、制度開始時は、気管切開のみが対象でしたが、随分前にマスク型呼吸器(バイパップ等)も対象に変わりました。人工呼吸器利用者であれば種類は問いません。対象悪化時のみ夜に使うようなケースも対象です。(筋ジスやSMAなど夜間のみマスク呼吸器利用者や、対象悪化時のみの利用者がいます)

また、呼吸器以外にも区分認定調査で「寝返り」の全面支援が条件になっていましたが、これは緩和されて、「寝返り」「起き上がり」「座位保持」のいずれかにおいて「全面的な支援が必要」であれば対象になるように改正されました。

認定調査で「コミュニケーション」も「日常生活に支障がない」以外に認定が必要です。普段普通に会話できる筋ジスやSMAなどは対象外になるのかと誤解しそうですが、障害支援区分の認定調査は「できたりできなかったりするときは、できない方で認定」「初めての(外出)場所などでできない場合は、できないと認定」というルールが有り、体調悪化時やマスク呼吸器装着時に、声が小さくしか聞こえないようなケースで家族や特定の介助者しか聞き取れないような場合や、外出先でうるさい場所で声がお店の人や周りの人に聞こえないような場合は「日常生活に支障がない」以外に認定されますので、対象になります。

ただし、認定調査員が体調悪化時やうるさい場所に外出時のことを丁寧に聞いてない場合には、認定調査の「コミュニケーション」の結果が間違っていることがあります。その場合には、認定調査を再申請して、調査に来てもらい、正しい内容に書き換えしてもらう必要があります。

 

参考 平成303月事務連絡

 

障害者が市町村に説明しやすいように、紙1枚にまとまる資料をこの記事の下に用意しました。市町村に見せて説明してみてください。

 

 

呼吸器利用の障害者が市町村に説明に渡す説明資料の例

 

重度訪問介護15%加算対象者の説明 wordファイル PDFファイル

 

報酬告示より (重度訪問介護の区分68.5%加算、重度包括対象者は15%加算と説明)

 

重度包括対象者は

重度包括対象者 類型及び状態像(T類型のみ抜粋)
1)重度訪問介護の対象であって、四肢すべてに麻痺等があり、寝たきり状態にある障害者

・人工呼吸器による呼吸管理を行っている身体障害者(I類型) (例 筋ジストロフィー、脊椎損傷、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、遷延性意識障害等)

1)障害支援区分6の「重度訪問介護」対象者
2)医師意見書の「麻痺」における 「左上肢 右上肢 左下肢 右下肢」において、いずれも「ある」に認定

3)認定調査項目「寝返り」「起き上がり」「座位保持」のいずれかにおいて「全面的な支援が必要」と認定 (以前は「寝返り」のみだったが、3項目いずれかでよくなった)
4)認定調査項目「特別な医療 レスピレーター」において「ある」と認定
5認定調査項目「コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定

(初期は気管切開の呼吸器利用のみだったが、マスク型呼吸器(バイパップ)も対象に緩和)

 

人工呼吸器利用を開始することで、痰が詰まりかけたり、吸引中には会話できなくなる。体調悪化時には声が出ない、または、特定の人でないと聞き取れない状態になる。

初めての場所に外出するときなどに騒音の大きな幹線道路や電車の中など声が聞こえない、または、特定の人でないと聞き取れない状態になる。

(障害支援区分では、できたりできなくなったりする場合や、初めての場所でできない場合は、できないと認定する)

このため、認定調査項目「6群 認知機能 コミュニケーション」において「日常生活に支障がない」以外に認定することになる。

 

よって、重度包括支援対象者になり、重度訪問介護15%加算対象者となる

 

 
 

 

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