昨年から継続して厚労省と話し合ってきた重度訪問介護の同行支援や入院について、QAがやっと出ました。 PDFリンク
入院中重度訪問介護利用については、
国の制度設計では、在宅で重度訪問介護を利用している区分6の重度障害者が、短期入院中も、自体と同じヘルパーのシフトで同じサービスが受けられるよう2018年度に制度化されたものです。
当然ながら通常一年有効の支給決定の時間数の範囲であれば入院しても同じようにサービス利用できます。
しかし一部自治体がこれを理解せず、入院コミュニケーション支援事業のルールを適用しようとするなどトラブルが起きていました。名古屋市や奈良市などがコミュニケーション支援した時間のみ認めるルールや入院前に入院専用支給決定がないと利用できないルールを国の制度の考え方を理解せずに勝手に作るなど、各地で問題が起きていました。厚労省とも話し合い数ヶ月かかってこれら自治体での誤った運用は改善されました。この結果今回のQAでも入院に事前の申請が要らないことが載りました。
同時に重度訪問介護の同行支援の決定を受けにくい自治体が全国各地で出たことも厚労省と継続して話し合ってきました。 制度開始一年経っても同行支援を開始しない政令市、事前に細かい計画書類を事業所に求めたり、事前の支給決定もせず、ヘルパー雇われたら申請せよと言いつつ申請同行支援決定に1ヶ月もかけるため、常勤ヘルパーの同行期間が先に終わるので使いようがない例、トータル支給量を変えず同行支援を使うと通常利用時間が減ってしまう市などがあり、最重度障害者が全国で困っています。
最重度障害者であればあるほどサービス提供してくれる重度訪問介護のヘルパー事業所が十分に見つからない問題が全国で起きています。どこのヘルパー事業所もヘルパー不足で年中求人広告を出しており、いつでも良い人材が面接に来れば即座に採用してもらい介護に穴が開いている重度障害者のところに即座に来てもらわなければいけない状態です。またヘルパーの定着率は高くありませんのでいつ退職があるかわかりません。
一方で同行支援の支給決定をするには市町村の内部の手続きで何週間から1ヵ月以上も時間がかかってしまう例があります。
予め同行支援を支給決定しておくことは、去年のキュウエーでは、明らかにコミュニケーション支援が必要な人むけに限定で書かれていましたが、このQAは廃止して、区分6の全利用者に事前の支給決定を勧める内容に変わりました。趣旨としては個別に申請と決定を行なっている市町村の方法が迅速に決定できないなら(申請から1日2日で同行支援の支給決定が出ないようなら、求人は年中行われるのが普通のため、雇用から現場に入るのに間に合わないので)、予め同行支援を支給決定しておくことを勧める内容です。
また、考え方についても明示されており、同行支援は事業者に対して研修の補助として行うものではなく、あくまでも利用者の障害が重いことをもって、新人ヘルパー1人ではきちんとした介護を提供できないから、一定期間2人体制で入ることによってきちんとした介護を提供するためのものである、と説明がされています。
ですから利用者の障害状況に着目して予め支給決定しておくのが本来であり(年一回の支給決定の更新時に決定しておくのが良い)、事業所のヘルパー雇用状況に着目してその都度計画書を出させるなどして支給決定するものではないとの考え方です。
障害者団体として受給者証記載ルールを変える要望もしました。受給者証記載の支給量に同行支援時間を「トータル支給量にプラスして記載する」元のルールから、新たに「プラスして記載しない」ルールに変更になりました。
例えば元1000時間の支給量の人が、360hの同行支援決定をされた場合、従来1360hの記載でしたが、1000hに変更になります。
これは受給者証のトータル支給量が増える記載方法では通常利用で誤って多く使ってしまう利用者や事業所が出かねないため、市町村がこれを防ぎたいために申請の条件で事業者に詳細な計画書を出させている(これでは時間もかかるし実質使えない)市町村が多く出てきたためです。
障害者団体の皆様へ
同行支援の考え方を間違って理解している市町村がほとんどですので、今回Q&Aに説明が載りましたので これはあくまで利用者の障害状況(新人ヘルパーでは適切なサービスが受けられないためベテラン同行が必要)に応じて支給量を決めるものであること、いつあるかわからない事業所の採用等の都合で決めるのでは無いこと、利用者の障害状況によって支給しておくものであるから、基本はあらかじめ毎年の更新時に支給し決定しておくもの、であるという説明を市町村にしてあげて下さい
|