61日よりC市で「重度訪問介護利用者の大学等の修学支援」第一号

CILふちゅう 岡本 直樹

 

 当会では、平成304月より開始される「重度訪問介護利用者の大学等の修学支援事業」(以下「修学支援事業」。)に先立ち、2月頃よりC市と交渉を重ねてきました。

当初は、新年度予算に間に合わなかった、周知する時間がなく残念だなど消極的な意見が多かったが、地元のCILちょうふの秋元さんや全国障害学生支援センターの殿岡さんと組み、交渉をしたため4月後半から5月にかけて前向きな方向に変わり、61日からスタートする運びとなりそうです。その経過をここに記しておきますので、参考にしていただければ幸いです。

 

 

C市における交渉経緯

時期

内容

2015

元々Mさんは、大学院進学を夢見て3年前より自立支援を開始し、CILふちゅうが提供する自立生活プログラムを受講。その後、近郊の相談支援事業所(エンパワメントふちゅう)と計画相談及び地域移行支援を利用しながら昨年6月念願の自立生活を開始しました。当初より大学院進学を目標に掲げている。今年1月、S大学院に受験をし、見事合格、制度利用を求めていくことになりました。

1

S大学院の入学試験を受験

2

S大学院に見事合格

●本人と共にC市と交渉、要望書を提出

3

19日 担当者会議を開催(当面の予定を共有)

26日 S大学院に連絡

・付き切りの介助について相談・春休みのためメールにて相談)

28日 C市と交渉(全国障害学生支援センターの殿岡さん同席)

・役所側が地域生活支援促進事業について誤認。

4月開始については難色を示された。

・話を進める為に課長を含めた会談を求めると構わないという回答があった。

 

 

■課長会議とその後の対応

     411日 C市の課長、係長、事務方を含め会談を持つ(Mさん本人、殿岡さん、秋元さん、岡本)。

     要望点を3つにまとめ要求した。

@     速やかなサービスの開始

A     Mさんの大学院進学に向け、C市とS大学院との連携

B     サービス開始と周知徹底。合わせて本人からも進学の思いを語ってもらった。

     殿岡さんから制度化に至るまでの経緯を説明。

     秋元さんからC市へ財源が変わらないこと、重度障害をもっていても高校生から制度を使いつつ、大学を目指すという夢を持てるもてる。そして社会に出ていくことができる。C市が取り組む障害者施策の意味は大きいという発言があった。

     S大学院の姿勢についても言及。現状は、消極的であった。

 

     C市課長より、要望事項について回答があった。

     当初予算編成に間に合う時期ではないこと、広く周知することができないことが残念であり、ご要望を頂いたことに対して市として修学支援事業を前向きに検討していきたいとのことだった。

     課長の発言について殿岡さんより指摘があり、地域生活支援事業費等補助金・執行スケジュール(案)によると515日に第1回の請求期日があることを説明。また遡り請求も可能という事を補足した。

     C市として大学側の体制整備が不可欠な制度設計になっている。S大学院の配慮についてしっかり検討して欲しいという話があった。

     東京都では、6月の都議会で東京都差別条例(仮称)が上程される予定になっており、この条例が認められればS大学院といった私立大学における合理的配慮が義務化される予定となっている。大学側にも体制整備を求める方向性であることも情報提供した。

 

                              会議後半には、事務方と制度化に向けた具体的な話に

                              3月15日の事務連絡によると修学支援事業の報酬額が以下の2つが決まっているとのお話があった。どちらの金額にしても1,600/時間となる計算になるとのことで派遣事業所へ相談することとした。C市としては、この額で要綱を作成するとのことだった。

@                支援時間が500時間以内の者 支援時間×3,920円又は800,000円の低い額

A                支援時間が500時間を超える者 支援時間×1,600

 

       420日 S大学院と打ち合わせ

       C市との交渉経過を説明、最速で7月から遅くて10月頃の開始が見込まれる

       大学院側の対応について相談(フランス語のノートテイクや身体介護等について)

 

       510日 C市の担当より連絡がある。

       61日付けでサービスを開始したい。そのために大学側に今後の計画と相談支援事業所には、週間計画の中で修学支援事業の時間を踏まえ割り出すことを求められました。

 

 

 

■修学支援事業サービス開始における課題・ポイント

       【課題】時給が1,600/時間

Ø         重度訪問介護と同様と書いているが、地域生活支援(促進)事業の性質上、移動支援事業と同等の扱いとなる(自治体独自の申請手続きが必要)

 

       要綱の作成と議会承認が必要となるため時間がかかる

         議会承認は望ましいが、準備などはできる

         膠着する場合は、議員周りも有効

 

       平成30年度の予算編成に入っていないからできない

         地域生活支援事業費等補助金・執行スケジュール(案)が設けられており、そこで予算要求することが必要。ちなみに第1回の期日は、5月15日までとなっている(次回は7月頃予定)。

 


 

2018年2月26日

C市長 ■■ ■■様

C市障害福祉課

課長 ■■ ■■様

 

「重度訪問介護利用者の大学等の修学支援」制度の利用に関する要望

 

平素は、障害者の地域福祉の向上にご理解ご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
 さて、この度は平成30年度の障害者福祉サービス報酬改定において新たに重度訪問介護利用者の大学等の修学支援(*別紙参照)制度が地域生活支援事業のメニューに組み込まれ、493億円の予算が確保されております。そのため新制度の利用に関する要望を次のとおり取りまとめました。何卒、ご理解いただき実現に向けお取り組みくださいますようお願い申し上げます。

 

重度障害者の大学等進学を進める会

代表 岡本 直樹

 

1.         平成304月より重度訪問介護利用者の大学等の修学支援事業を開始できるよう準備を進めて下さい。

 

2.         当会では、現在1名の当事者を支援しています。ご本人は、常時車いすを使用し、移動や排泄など身の回りのあらゆる介助を必要としています。通学の他、学業においても筆記や教室・キャンパス内での移動等、あらゆる合理的配慮を求めています。

この度、2月に実施された2018年度S大学院入学試験において見事に合格されました。上記のニーズがあるため大学院進学に向け、早急にこの制度を活用させて下さい。

 

3.         C市には、S大学を始め3校の大学が存在しています。国連障害者権利条約を批准して以降、障害のある学生が増加傾向にあると感じています。しかしこの制度は、来年度より始まる施策です。介助の必要な障害者が大学等に通い様々な知識や技術を身に着けることができれば、将来障害をもっていても仕事をし、納税し、社会貢献していくことが可能になるなど社会的に大きな意義を持つと確信しています。

制度開始の際には、市内に住む障害者へ、こういった情報を周知し、障害があっても大学等に通うことは可能ということを広め、大学進学の後押しをして下さい。

以上

 

 

 

別紙 *重度訪問介護利用者の大学等の修学支援について

12)重度訪問介護利用者の大学等の修学支援【新規】

地域生活支援事業等(493億円)の内数

重度訪問介護の利用者が大学等に修学するに当たって必要な身体介護等を、大学等における支援体制が構築されるまでの間において提供する。

引用 平成30年度障害保健福祉部予算案の概要

http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/18syokanyosan/dl/gaiyo-12.pdf

 

     その他

【回答〆切について】2018316日(金)までに文章で回答を頂けるようお願いします。

【お問い合わせ先】

重度障害者の大学等進学を進める会

 〒183−0055

東京都府中市府中町2−10−11 第二清田ビル1

エンパワメントふちゅう気付

 TEL 042−334−7511 FAX 03―6756―9873

  担当 岡本 直樹

 


大学実施要綱(案)等について PDF

■>重度訪問介護の大学修学支援事業

 

 

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