重度訪問介護の入院中の利用についての留意事項通知とQ&Aまとめ
留意事項通知 (平成18年3月30日改正)
(2) 重度訪問介護サービス費
@ 重度訪問介護の対象者について
(一) 病院等に入院又は入所をしている障害者以外の障害者に対して提供した場合 区分4以上に該当し、次のア又はイのいずれかに該当する者
ア 二肢以上に麻痺等がある者であって、障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令 (平成 26 年厚生労働省令第5号。)別表第一における調査項目のうち「歩行」、「移乗」、「排尿」、「排便」のいずれもが「支援が不要」以外に認定されているもの
イ 第 543 号告示の別表第二に掲げる行動関連項目の合計点数が 10 点以上である者
(二) 病院等に入院又は入所をしている障害者に対して提供した場合
(一)のうち、区分6に該当し、病院等へ入院又は入所する前から重度訪問介護を利用している者
A 重度訪問介護サービス費の算定について
(中略)
なお、病院等に入院又は入所中の障害者に重度訪問介護を行った場合の重度訪問介護サービス費の算定については以下のとおりとする。
(一) 病院等に入院又は入所中には、健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)の規定による療養の給付や介護保険法(平成9年法律第 123 号)の規定による介護給付等(以下「他法給付」という。)が行われることなどから、重度訪問介護により提供する支援は、利用者が病院等の職員と意思疎通を図る上で必要な支援等を基本とする。なお、意思疎通の支援の一環として、例えば、適切な体位交換の方法を病院等の職員に伝えるため、重度訪問介護従業者が病院等の職員と一緒に直接支援を行うことも想定されることに留意されたい。
なお、他法給付のうち、健康保険法の規定による療養の給付を受けている患者については、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和 32 年厚生省令第 15 号)第 20 条第7号において、「保険医は、患者の負担により、患者に保険医療機関の従業員以外の者による看護を受けさせてはならない。」と、介護保険法の規定による介護給付を受けている入所者等についても、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 40 号)等において、「介護老人保健施設は、その入所者に対して、入所者の負担により、当該介護老人保健施設の従業者以外の者による看護及び介護を受けさせてはならない。」等と規定されている。
このため、病院等に入院又は入所中の利用者に対する重度訪問介護の提供に当たっては、病院等との連携のもとに行うことを報酬算定上の要件としている。当該要件は、重度訪問介護により具体的にどのような支援を行うかについて、個々の利用者の症状等に応じて、病院等で提供される治療等に影響がないように病院等の職員と十分に調整した上で行う必要があるために設けたものであることに留意されたい。
また、入院又は入所中の病院等からの外出する場合の支援(他法給付と重複しないものに限る。)についても重度訪問介護を利用できるものであることに留意されたい。
(二) 重度訪問介護従業者は、利用者との意思疎通を図ることができる者とする。
(三) 入院又は入所中の病院等における支援等に当たっては、原則として、指定重度訪問介護事業所等と当該病院等が、利用者の病状等や病院等が行う治療等及び重度訪問介護の支援の内容について共有した上で行うこととする。
(四) 入院又は入所した病院等において利用を開始した日から起算して 90 日を超えて支援を行う場合は、障害者へのコミュニケーション支援等の必要性について、市町村が認めた場合に限り、所定単位数の 100 分の 80 に相当する単位数を算定する。90 日を超える利用に当たっては、30 日ごとに、重度訪問介護の必要性について市町村が認める必要があるものとする。
また、当該日数について、入院又は入所していた病院等から利用者が転院する等により、意思疎通の支援等の必要性が改めて認められる場合にあっては、転院先の病院等において利用を開始した日から改めて起算するものとする。
平成 30 年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1
(平成 30 年3月 30 日)
(2)重度訪問介護
(入院中の提供の算定について@)
問29 重度訪問介護を病院等への入院時に利用するに当たり、在宅時の利用と分けて支給決定をする必要はあるか。
(答)
不要である。
(入院中の提供の算定についてA)
問30 これまで居宅介護のみを利用してきた者が、入院した後に重度訪問介護の支給申請を行った場合、認めることはできるか。
(答)
認められない。本改正では、重度訪問介護によるコミュニケーション支援も含め、比較的長時間にわたり断続的な支援を必要とする利用者に対して、入院中も当該利用者の状態等を熟知したヘルパーによる支援を受けられるようにしたものである。
なお、地域生活支援事業における意思疎通支援事業については、従来どおり、病院等に入院中の障害者にもコミュニケーション支援を行えるものであり、引き続き、対象者等を含めて柔軟に運用していただいて差し支えない。
(入院中の提供の算定についてB)
問31 入院中に重度訪問介護を利用している者について、在宅時の利用から支給量を増やすことはできるか。
(答)
支給変更決定を行うことは妨げないが、入院中に必要な支援は、基本的には病院等の職員により行われるものであることから、変更の必要性については慎重に検討されたい。
(入院中の提供の算定についてC)
問32 重度訪問介護は、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援とともに身体介護等を提供するものであるが、入院中においても、意思疎通に対応するための見守りの時間は報酬の対象となるものと考えてよいか。
(答)
お見込みのとおり。
(入院中の提供の算定についてD)
問33 入院中の重度訪問介護の利用は、90 日を超えて利用することはできないのか。
(答)
入院先の病院等の職員が、当該利用者とのコミュニケーションの技術の習得に時間を要し、障害者の状態等によっては、90 日を超えて支援を要することも考えられることから、利用者や重度訪問介護事業所等から支援状況の聞き取りを行うなどして、必要に応じて、90 日を超える利用を認めることも差し支えない。
ただし、重度訪問介護従業者による支援が、病院等において行われるべき支援を代替することにならないよう、支援内容や病院等との連携状況等については、十分に把握した上で判断する必要があることに留意されたい。
(入院中の提供の算定についてE)
問34 入院又は入所中の病院等が、重度訪問介護事業所の通常の実施地域以外の地域に所在する場合、当該病院等にヘルパーを派遣したときの交通費を利用者に請求することはできるか。
(答)
基本的にはできないものとする。ただし、病院等が重度訪問介護事業所の通常の実施地域から著しく離れている場合であって、重度訪問介護事業所と利用者との間で合意がされている場合には、交通費の一部を請求することも差し支えないものとする。
(入院中の提供の算定についてF)
問35 「入院中の医療機関からの外出・外泊時における同行援護等の取扱いについて」(平成 28 年6月 28 日付け障障発 0331 第8号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)において、医療機関からの外出・外泊時に重度訪問介護を利用できることが示されているが、今後は、当該取扱いについても報酬告示第2の1のロ(病院等に入院又は入所をしている障害者に対して重度訪問介護を提供した場合)により請求することとなるのか。
(答)
入院中の医療機関からの外出及び外泊時に重度訪問介護を提供する場合は、報酬告示第2の1のイ(病院等に入院又は入所をしている障害者以外の障害者に対して重度訪問介護を提供する場合)の報酬を請求されたい。
よって、報酬の請求に当たっては、入院中の病院等において重度訪問介護を提供する時間は、報酬告示第2の1のロのサービスコードを選択し、外出中の時間は報酬告示第2の1のイのサービスコードを選択することとなる。
(入院中の提供の算定についてG)
問36 入院中に重度訪問介護を利用できるのは、障害支援区分6であって、入院前から重度訪問介護の利用をしてきた者に限られているが、入院中の病院から外出・外泊する場合も同様の取扱いになるのか。
(答)
病院等からの外出・外泊時に重度訪問介護を行う場合、報酬告示第2の1のイ(病院等に入院又は入所をしている障害者以外の障害者に対して重度訪問介護を提供する場合)に該当するため、障害支援区分4・5の者や、入院前から重度訪問介護を利用していない者などを含め、重度訪問介護の全ての対象者が利用できるものである。