2月22日の課長会議資料の解説
課長会議資料の重要ポイントを抜粋紹介します。特に3番目のホームヘルプの支給決定についての部分が重要です。
1 障害者自立支援法等の改正について
(3)相談支援の充実等について
@ 相談支援の充実について
ア 基幹相談支援センター(平成24年4月1日施行)
基幹相談支援センターは、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として、身体障害者、知的障害者及び精神障害者の相談支援に関する業務を総合的に行うことを目的とする施設であり、市町村又は当該業務の実施の委託を受けた者が設置することができることとされている。
基幹相談支援センターは、障害者の総合的な相談のほか、地域の相談支援事業者間の調整や支援といった役割を担うことを想定しているが、具体的な役割等については、後日お示しする。
イ 「自立支援協議会」を法律上位置付け(平成24年4月1日施行予定)
障害者の地域における自立した生活を支援していくためには、関係機関や関係団体、障害福祉サービス事業者や医療・教育・雇用を含めた関係者が、地域の課題を共有し、地域の支援体制の整備について協議を行うことが重要である。
※ (地域)自立支援協議会の設置状況(平成22年4月現在。速報値)
都道府県100%、市区町村85%
このため、これを担う自立支援協議会について、設置促進や運営の活性化のために法律上位置付けることとしている。
自立支援協議会を設置した都道府県及び市町村は、障害福祉計画を定め、又は変更しようとする場合、あらかじめ、自立支援協議会の意見を聴くよう努めなければならないこととされている。
この改正の施行日は平成24年4月1日を予定しているが、都道府県におかれては、今回の改正の趣旨を踏まえ、「第三期障害福祉計画(平成24年度〜)」の作成に当たっても、自立支援協議会の意見を聴くよう努めるとともに、管内市町村に対してもこの旨を周知願いたい。
ウ 地域移行支援・地域定着支援の個別給付化(平成24年4月1日施行)
地域移行支援や地域定着支援について、これまで補助事業として実施してきた内容を個別給付化し、地域移行の取組みを強化することとしている。
地域移行支援は、障害者支援施設や精神科病院に入所等をしている障害者に対し、住居の確保、地域生活の準備や福祉サービスの見学・体験のための外出への同行支援、地域における生活に移行するための活動に関する相談等の支援を行うものである。
また、地域定着支援は、居宅で一人暮らししている障害者等に対する夜間も含む緊急時における連絡、相談等の支援を行うものである。
地域移行支援・地域定着支援を担う「指定一般相談支援事業者」は都道府県が指定することとしている。その指定基準は後日お示しするが、都道府県におかれては、今後、準備に遺漏無きようお願いしたい。
なお、整備法附則第15条に基づき、施行(平成24年4月1日)の際、既存の指定相談支援事業者は、1年以内の省令で定める期間内は「指定一般相談支援事業者」とみなされるが、サービス等利用計画は、エに記載する「指定特定相談支援事業者」でなければ作成できないことに留意されたい。
エ 支給決定プロセスの見直し等(平成24年4月1日施行)
支給決定プロセスについて、介護給付費等の支給決定の前にサービス等利用計画案を作成し、支給決定の参考とするよう見直すとともに、現在、重度障害者等に限定されているサービス等利用計画作成の対象者を大幅に拡大することとしている。
サービス等利用計画の作成を担う「指定特定相談支援事業者」は市町村が指定することとしている。その指定基準は後日お示しするが、市町村におかれては、今後、準備に遺漏無きようお願いしたい。
また、障害児についても、新たに、児童福祉法に基づき、市町村が指定する「指定障害児相談支援事業者」が、通所サービスの利用に係る障害児支援利用計画(障害者のサービス等利用計画に相当)を作成することとしている。
※ 障害児については、居宅サービスの利用に係るものは障害者自立支援法に基づく「指定特定相談支援事業者」において、通所サービスの利用に係るものは児童福祉法に基づく「指定障害児相談支援事業者」において、作成することとなるが、これらの事業者の指定基準を同様とすること等により、同一事業者が一体的に計画を作成するようにする方向で検討している。
※ 障害児の入所サービスについては、児童相談所が専門的な判断を行うため、障害児支援利用計画の作成対象外である。
なお、「指定特定相談支援事業者」又は「指定障害児相談支援事業者」が作成する計画案に代えて、障害者自ら又は障害児の保護者が作成する計画案(セルフケアプラン)を提出できることとしている。
6 規制改革について
(3)居宅介護等のサービス提供責任者の専従要件について【規制改革関係】
居宅介護、重度訪問介護及び行動援護(以下この項目において「居宅介護等」という。)のサービス提供責任者については、事業の規模に応じて1人以上を配置するとともに、それぞれの事業に専従であることを要件としているところである。
この「専従」の取扱いについては、同一事業者が居宅介護等のうちの複数の事業の指定を受ける場合には、それぞれの事業におけるサービス提供責任者の資格要件や業務の類似性を考慮し、事業所の運営やサービス提供の効率化の観点から、必要となるサービス提供責任者の人数について、居宅介護等の各事業を合わせた事業の規模に応じた人数で足りることとするとともに、当該各事業の間におけるサービス提供責任者の兼務を可能としてきたところである。
また、サービス提供責任者の配置基準がない移動支援事業については、居宅介護等のサービス提供責任者が兼務により従事することができないこととしてきたところである。(障害者自立支援法施行当初より、上記取扱にて実施しているところである。)
この取扱に関しては、行政刷新会議に設置された規制・制度改革に関する分科会において、居宅介護事業所のサービス提供責任者が居宅介護のサービス提供時間内に移動支援事業に従事できるようにすべきとの指摘を受けているところであり、これを踏まえ、平成23年度中に、一定の条件の下に、居宅介護等のサービス提供責任者が移動支援事業に従事することを可能とする方向で検討することとしているので、その旨ご承知おきいただきたい。
9 訪問系サービスに係る適切な支給決定事務について
(1)支給決定事務における留意事項について
訪問系サービスに係る支給決定事務については、「障害者自立支援法に基づく支給決定事務に係る留意事項について」(平成19年4月13日付事務連絡)において、留意すべき事項をお示ししているところであるが、以下の事項について改めてご留意の上、適切に対応していただきたい。
ア 適正かつ公平な支給決定を行うため、市町村においては、あらかじめ支給決定基準(個々の利用者の心身の状況や介護者の状況等に応じた支給量を定める基準)を定めておくこと
イ 支給決定基準の設定に当たっては、国庫負担基準が個々の利用者に対する支給量の上限となるものではないことに留意すること
ウ 支給決定に当たっては、申請のあった障害者等について、障害程度区分のみならず、すべての勘案事項に関する一人ひとりの事情を踏まえて適切に行うこと
また、特に日常生活に支障が生じる恐れがある場合には、個別給付のみならず、地域生活支援事業におけるサービスを含め、利用者一人ひとりの事情を踏まえ、例えば、個別給付であれば、個別に市町村審査会の意見を徴収する等し、いわゆる「非定型ケース」(支給決定基準で定められた支給量によらずに支給決定を行う場合)として取り扱うなど、障害者及び障害児が地域において自立した日常生活を営むことができるよう適切な支給量を決定していただきたい。
また、国庫負担基準を超過する市町村に対しては、都道府県地域生活支援事業における「重度障害者に係る市町村特別支援事業」及び障害者自立支援対策臨時特例交付金に基づく基金事業において実施する「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」により、一定の財政支援を可能としているので、積極的にご活用いただきたい。
(2)障害者自立支援法と介護保険法の適用に係る適切な運用について
65歳以上の障害者については、介護保険法が優先的に適用される一方で、サービスの支給量・内容が介護保険制度では十分に確保されない場合には、障害者自立支援法において、その支給量・内容に上乗せしてサービスを受けられる仕組みとなっている。
しかしながら、65歳以上の在宅の障害者が、介護保険サービスを既に利用している場合には、障害者自立支援法による新規の申請を一律に認めない取扱いをしている事例が昨年度あった他、利用者から「65歳到達により、介護保険が適用された結果、利用者の心身の状況や環境、支援のニーズ等の個別の事情が変わらないにもかかわらず、必要なサービスが受けられなくなった」といった声も寄せられているところである。
障害者の中には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や全身性障害などで介護保険制度が想定する加齢に伴う障害を超える重度の障害を持つ方々もいるため、このような方々が十分なサービスを受けられるよう、利用される方々の意向を丁寧に聴取するなど、個々の実態を十分に把握した上で、「障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」(平成19年3月28日障企発第0328002号・障障発第0328002号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長・障害福祉課長連名通知)を踏まえ、介護保険法によるサービスの支給量・内容では十分なサービスが受けられない場合には、障害者自立支援法において、その支給量・内容に上乗せしてサービスを受けられるようにするなど、適切な運用に努められたい。
(3)重度訪問介護等の適切な支給決定について
重度訪問介護等に係る支給決定事務については、「重度訪問介護等の適正な支給決定について」(平成19年2月16日付事務連絡)において、留意すべき事項をお示ししているところであるが、以下の事項について改めてご留意の上、対応していただきたい。
ア 平成21年4月より、重度訪問介護の報酬単価については、サービス提供時間の区分を30分単位に細分化したところであるが、これは、利用者が必要とするサービス量に即した給付とするためのものであって、重度訪問介護の想定している「同一箇所に長時間滞在しサービス提供を行うという業務形態」の変更を意味するものではなく、サービスが1日に複数回行われる場合の1回当たりのサービスについて30分単位等の短時間で行うことを想定しているものではないこと。
イ これまでに、利用者から「短時間かつ1日複数回にわたるサービスで、本来、居宅介護として支給決定されるはずのサービスが重度訪問介護として支給決定を受けたことにより、サービスを提供してくれる事業所が見つからない」といった声が寄せられているところである。短時間集中的な身体介護を中心とするサービスを1日に複数回行う場合の支給決定については、原則として、重度訪問介護ではなく、居宅介護として支給決定すること。
ウ 「見守りを含めたサービスを希望しているにもかかわらず、見守りを除いた身体介護や家事援助に必要な時間分のみしか重度訪問介護として支給決定を受けられない」といった声も寄せられているところである。重度訪問介護は、比較的長時間にわたり総合的かつ断続的に提供されるものであり、これが1日に複数回提供される場合であっても1回当たりのサービスについては、基本的には見守り等を含む比較的長時間にわたる支援を想定しているものであることから、利用者一人ひとりの事情を踏まえて適切な支給量の設定を行うこと。
(4)居宅介護におけるサービス1回当たりの利用可能時間数について
居宅介護は、身体介護や家事援助などの支援を短時間に集中して行う業務形態を想定しており、必要に応じて、1日に短時間の訪問を複数回行うなど、利用者の生活パターンに合わせた支援を行っているところである。
このため、支給決定事務等に係る事務連絡において、支給決定を行った障害者等に交付する受給者証に、居宅介護についてはサービス1回当たりの利用可能時間数を記載することとしており、また、目安として、サービス1回当たりの標準利用可能時間数を「身体介護3時間まで、家事援助1.5時間まで」と示しているところである。
支給決定に当たっては、申請のあった障害者等について、一人ひとりの事情を踏まえて適切に行うことが必要であり、居宅介護のサービス1回当たりの利用可能時間数についても、標準利用可能時間数を一律に適用するのではなく、必要な場合は、標準利用可能時間数を超える時間数を設定するなど、一人ひとりの事情を踏まえた支給決定をすることが必要であることに留意されたい。
■障害保健福祉関係主管課長会議(平成23年2月22日開催)資料 ※WAM NETリンク
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