政府の推進会議が中間報告(第1次意見)

子部会も来年度予算編成に向け文書まとめる

 

 内閣府に事務局をおいて行われている推進会議ですが、月2回のペースで開催され、差別禁止法・自立支援法・教育・児童・医療・労働など各政策のテーマ別の大まかな意見を出す会議が一巡し、中間報告(第1次意見)が数回の会議でまとめられました。6月29日の推進本部(全閣僚がメンバーで総理が本部長)に報告されます。当初予定ではこの内容に沿って閣議決定することで法改正なしに全省庁を拘束する予定です。

 

 推進会議の中間報告(第1次意見)と総合福祉部会の取りまとめ文書全文リンク

 

 当会に関係する部分では、24時間介護についての記述が以下のように入っています(下線部)。

 

障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)

平成22年6月7日

障がい者制度改革推進会議

(中略)

4.「地域生活」を可能とするための支援

すべての障害者が家族への依存から脱却し、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有することを確認するとともに、その実現のために24時間介助等を含む支援制度の構築を目指す。制度の構築に当たっては、地域間格差が生じないよう十分に留意する。

 

(中略)

3)「障害者総合福祉法」(仮称)の制定

 現行の障害者自立支援法を廃止して、新たな「障害者総合福祉法」(仮称)を制定する。

 この制定に当たっては、制度の谷間を生まない障害の定義のもとに、すべての障害者が地域において自立した生活を営むことができる制度構築を目指すべきである。具体的には、医学モデルに偏った障害程度区分を見直すとともに応益負担を廃止し、一人一人のニーズに基づいた地域生活支援体系を整備し、最重度であっても、どの地域であっても安心して暮らせる、24時間介助制度を始めとするサービスを提供するものとする。そのためにも、入所者・入院者の地域移行を可能とする仕組みを整備するものとする。

これによって、障害者総合福祉法を作る際に、24時間介護は標準装備となります。

 また、推進会議の子部会にあたる総合福祉部会でも、来年度概算要求へ要望を反映するために、以下の4点がまとめられました。(下線部が注目点)

障がい者総合福祉法(仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題の整理(当面の課題)

(中略)

来年度概算要求に反映してほしい事項について、作業チームで検討し、「重点課題」として、以下の4点にまとめた。

 

@利用者負担の見直し

・基本合意文書でも合意された応益負担廃止の積み残し課題として、自立支援医療において障害福祉サービスと同様に低所得者(市町村税非課税者)の自己負担の無料化を図ること。

・所得区分の認定においては利用者本人を基本とし配偶者を含めないこと。

・障害福祉サービス、補装具、自立支援医療、地域生活支援事業、介護保険の利用者負担を合算し過大な負担とならないようにすること。

 

A法の対象となる障害の範囲の見直し

制度の谷間にこれまで置かれていた人たちが、必要な支援を受けられるような対応が必要である。手帳を所持しない発達障害、高次脳機能障害、軽度障害などとともに、難病、慢性疾患を有する人たちが必要な支援を受けられるように、申請に際しての必要な手続きを定める。

 

B地域での自立した暮らしのための支援の充実

どんなに障害が重い人であっても、自分で選んだ地域で暮らすために必要な支援の質と量の充実にむけて必要な対応をすること。

具体的には

障害程度区分(国庫負担基準)を支給決定量の上限としてはならないことについて、自治体への周知・技術的助言をさらに徹底する。国庫負担基準を超える分の国から市町村への財政支援の強化

・地域生活支援事業の地域格差の解消のための予算確保

視覚障害以外も含む移動支援の個別給付化や重度訪問介護の知的・精神障害者、障害児への対象拡大

・児童一般施策における障害児支援の強化、重症心身障害などそれぞれの生活ニーズに着目した支援サービスの強化

 

C新法作成準備のための調査、情報収集、試行事業実施についての予算措置

新たな法律策定にむけて、今後部会などで検討する論点にそって、次年度以降実施されなければならない調査、情報収集、試行的な事業実施評価のための適切な予算措置を講じること。

具体的には

・地域移行にむけての施設入所者、入院患者への実態調査、試行事業、評価活動などの開始

・新たな支給決定の仕組みのための試行事業や研究などの開始

・障害者の「社会的事業所」や賃金補てん制度の試行的事業や研究などの開始

 


推進会議を受けた法改正など今後のスケジュールについて

 推進会議の中間報告(第1次意見)には、以下の抜粋のように今後の審議や法改正スケジュールについても記載があります。障害者基本法は来年(2011年)1月からの通常国会で改正、障害者総合福祉法は再来年(2012年)1月からの通常国会で成立し、その翌年(2013年)施行を計画しています。この年の夏に次回の衆議院選挙があり、政権がまた変わるかもしれないので、それまでに新制度施行を狙っての日程です。

 

第3 障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方

 

第2の基本的考え方を踏まえ、障害者制度改革の基本的方向と今後の進め方については次のとおりとする。

 

.全体的な当面の進め方

 

1)平成22年内の進め方

・ 推進会議は、第一次意見を基に、障害者基本法の抜本改正を始め、改革が必要な分野について個別に部会や作業チーム等を設け、分野別課題の検討に着手する。

  また、推進会議は、改革の推進体制、モニタリング機関の在り方、これまで議論していない事項を含め各分野において更に検討すべき課題等の事項について引き続き議論を行い、平成22年秋から年末を目途に、制度改革の重要方針に関する第二次意見を取りまとめる。

 

・ 政府は、第一次意見を踏まえ、速やかに制度改革の方向性を決定するとともに、第二次意見を踏まえ、制度改革の重要方針を決定すべきである。

 

 2)平成23年以降の進め方

・ 政府は、制度改革の重要方針に基づき、障害者基本法の抜本改正や制度改革の推進体制等に関する法律案を平成23年の常会に提出すべきである。

(編注:常会とは1月からの通常国会のこと。)

 

・ 推進会議は、改革集中期間内において、改革が必要な分野の制度・施策の在り方や次期障害者基本計画の在り方・方向性等を具体化するため、部会・作業チーム等での議論を踏まえ、必要に応じ政府に対する意見提出を行っていくこととする。

 

・ 上記の法律案が成立し、施行された後は、3の1)−2において後述する、推進会議の機能を継承する審議会組織において、検討すべき課題について引き続き議論を行い、必要に応じ政府に対する意見提出等を行っていくべきである。

 

(略)

 3)「障害者総合福祉法」(仮称)の制定

(略)

(今後の進め方)

 本年4月から推進会議の下に「総合福祉部会」を設けたところである。当面対応が必要な課題について、同部会において整理された意見を踏まえ、政府は必要な対応策を講ずるべきである。同部会では、推進会議における大枠の議論の枠内で、障害者に係る総合的な福祉法制である「障害者総合福祉法」(仮称)の制定に向けた検討に着手しているところであり、平成23年夏から秋までを目途に結論を得る。これを受けて、政府は、24年の常会への法案提出、25年8月までの施行を目指すべきである。

(編注:常会とは1月からの通常国会のこと。)

 

 

-------------------------------------------------
追記 6/29の閣議で閣議決定されました
報道リンク
毎日http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100629k0000e010064000c.html
読売http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100629-OYT1T00861.htm

6/29官房長官記者会見 http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201006/29_a.html

HOMETOP戻る