北関東のA県の不服審査請求でB市の決定を県が取り消す

 弁護士を立てて障害者の交渉を全面的に拒否した全国初のB市が負け、非定形に上限を設けた市の支給決定基準の誤りを県が指摘


 北関東のA県では、関東地方で唯一、県内に24時間の重度訪問介護を実施している事例がありません。A県のB市では、支給決定基準に非定型に関する上限規定も設けており、非定型でも1日11時間を上限と定めていました。B市には24時間介護が必要な重度の全身性障害者Cさんが1人暮らししており、24時間の介護が必要なことはB市も認めていました。
 Cさんは制度空白をボランティアでやりくりし、何度も市役所に出向いて課長などに交渉を行っていましたが、市は1日11時間以上は支給決定しないと言い、話し合いに応じなくなり、ついには、何度か市役所に出向くCさんを業務妨害をする人物だと、弁護士に市役所としての対応を委託しました。弁護士からCさんに「今後の市への要件はすべて弁護士を通すように」との内容証明郵便が送られてきました。こんなことは全国の自治体でも初のことで、自治体の対応としては非常に問題があります。
 Cさんは数ヶ月以上も一切市と話しができなくなってしまいましたが、全国団体の情報支援を受け、県に不服審査請求を出しました。その結果、県は市の決定を取り消し、裁決書で非定形に上限を設けた市の支給決定基準は国の通知の誤った解釈であって、上限を設けてはいけないことを指摘しました。
 これを受けて、市は即座に支給決定基準から非定型の上限の規定を削除し、同時にCさんの支給量を大幅に増やしました。しかし、Cさんの話を一切聞かずに支給決定案を作って審査会に出したため、24時間の支給決定には至っていません。Cさんは弁護士を通じて交渉を申し込んだところ、1時間だけ交渉に応じると回答が来ました。前代未聞のB市の対応が今後も注目されます。

2010年月刊誌7-8月号の抜粋記事

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