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=  障害者自立支援法案 国会審議 速報 Vol.7 =
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★2005年6月7日号★

 郵政改革法案の関連で空転していた国会が正常化し、本日より厚生労働委員会も再 開された。今日は午前中に、6名の参考人からの意見陳述と質疑が行われた。障害者 自立支援法に対して、委員会内でも依然として疑問の声も多く、今後の審議も見通し の立たない状態であるが、今日の参考人質疑でも法案がこのまま通ってしまうことへ の強い懸念が多く出されていた。水面下では与野党の協議もされ始めているとの情報 もあり、国会の会期延長の可能性が強い中、引き続き予断を許さない状況である。

  【参考人の意見陳述要旨】

●松浦稔明氏(坂出市長)
・3障害統合は、三障害はそれぞれ性質が異なる。特に精神は行政の対応も遅れ、差 異に注意する必要がある。症状に波があり、自分の症状を受け入れないという人がい る。地域でも受け入れにくい。身体・知的とは別の角度から医学的なとらえ方が必 要。
・自立支援型システムの転換について施設から在宅へという方向だが、家族にとって 施設整備が切実な願い。入所施設のニーズは相変わらず高い。政策が理想に走りすぎ る事や施設から追い出されるのではという不安が出た。
・障害者についてもノーマライゼーションに対する理解はもってもらわなければなら ない。能力あるものに一定の負担をもとめるのは理にかなったもの。もちろん低所得 者への配慮は必要。
・法律をつくるときには現実との乖離について目を向けていくことが必要。国民に対 する啓蒙をすすめつつ、あせらず一歩一歩近づいていくことが慣用。
・市町村の事務量は大幅に増えることが予想される。新たな財政的負担に耐えていく のは至難のわざ。国の財政的措置が必要である。

●山本文男氏(全国町村会)
・障害者対策は福祉の原点。障害者は多様で町村は対応に苦慮している。
・支援法で市町村が中心になる。専門家が不足。事務の停滞などいくつかの条件が必 要。また福祉を進めていく上で安定的財源確保、人材確保は絶対に必要。都道府県の 支援体制が必要となる。
・町村に即した事業をすすめていくことが必要で地方の自由裁量を増やして欲しい。
・支援費制度の最大の欠陥は国の財政支援。是非、国の負担を確保できるように。
・広域連合でスケールメリットをいかせるように。専門的な人材の確保は町単独では 難しいので国や都道府県で責任をもってやってほしい。町村の実態を配慮してほし い。
・介護保険は対象者は0歳までに下げるべき。被保険者の20歳は少し無理があり、 35、30、25歳と段階的に下げていくべきだと思う。

●江草安彦氏(日本重症児福祉協会理事長)
・2003年5月から地域生活を考える検討会が20回ほど開催された。自立支援のサー ビスが理念は良いが現実がおいついていかないこの乖離をどう縮めるかを検討し、こ れが今回の法案の基礎。
・障害福祉の大きな転換点。本人の希望を取り入れようとする動きがあったが、今回 はこれを制度化するもので画期的、評価に値する。
・サービスの一元化、働ける条件づくり、支えあうという考え方、できることは自分 でを実現するもの。国の財政的支援、国の責任を明確化、この方向性を力づよく進め ていただきたいと思う。
・尊厳を主張するならば額は問わず、支えあいの精神性は高くもつべき。支払うとい うことについては困難である人もいるが、免除ではなく支払うことのできる障害者年 金の支給という方向へ。
・やはり施設整備、今までのようなかたちではない新しい形での施設整備が必要では ないか。

●中西正司氏(全国自立生活センター協議会代表)
・在宅サービスのない地域でボランティアをつかい生活。全身性障害者のサービスを 提供する団体が当時はなかった。24時間体制、緊急介助、同性介助、利用者が提供者 を選定できる制度をはじめた。施設にいた28歳の若者は、孤独で無為な生活に耐えら れない。野たれ死にしても地域で生活したいという切羽詰った思いで出てきた。自分 の能力を施設は奪ってきた。
・すべての障害者の自立を果たしていくのは時間がかかる。ピアカウンセリング、ピ アサポートなども必要。これまで1083名の自立生活者を生み出している。という ことはこれだけの施設はいらないということ。いっぺんに何百人が地域で生活するの は難しい。
・こうした介助が必要な人は多数いる。親元にいる方と一人暮らし区分にわけていく ことが必要。今までの制度が使えるように区分間の流用を認めていた、これに代わる ものを。重度区分。
・重度包括支援、未だに中身が提示されていない。非常に不安を感じている。サービ スが良くなるのか。介護保険では在宅生活は難しい。ALSの利用者で介護保険が始 まり家族負担はかえって増えた。特に慎重な配慮が必要。障害者は業者が派遣しない し、派遣されても内容も問題になり、虐待も考えられる。
・移動〜知的などは市町村事業になった。地域間格差・・地域生活支援事業は市町村 のやる気に任されている。全国の基盤整備が整わず、サービスに参入する事業所は自 立生活センターしかない。
・行動援護〜ヘルパー2年以上の経験。条文改正が必要。知的の1割、1日5時間以 内も撤廃を。
・低い水準に保たれてしまうという問題が起きてしまう。委員の選定われわれの生活 がわかるように人が必要。審査会の役割は障害程度区分の二次判定のみにし、ニーズ を尊重していただきたい。
・介護保険、長時間の利用の中身が保障されなければならない。自立生活は保障でき るような制度、財源問題だけでの統合を考えることではニーズにこたえる生活ではで きない。

●白沢仁氏(障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局長)
・これまでの施策は権利保障、自立の促進、親家族の不安の解消には、課題が残され ている。今回の法案が現状の課題を解決するのではなく、後退するのでは、というこ とを危惧している。
・負担について、負担を担えない人については二の次とされてきた。障害者家族の実 態などをふまえ慎重な議論をしてほしい。応益負担の導入はやめてほしいというのは 多くの家族の共通する願い。
・あいかわらず家族に依存せざるをえない厳しい状況、家族の深刻な介護実態が浮き 彫りになった。
とくに強調されているのが社会参加、社会経験の拡大、家庭生活支援、障害児の地域 療育支援の確立といった願い、今回の法案では是非この実態を反映してほしい
・重要な施策の多くが市町村事業となり財源も補助金。これが本当に自立支援になる のか。市町村におろされたサービスがどうなるのか。利用できなくなるのではと懸念 している。
・負担増の問題。もっとも懸念している。負担能力のない障害者に対して。サービス 利用の抑制になりかねない。厚生労働省に試算していただきたい。
・公費負担医療については、育成医療、厚生医療について十分に議論されていない。 命にかかわる問題であり、重度の制度の継続を求めている。補装具も議論が不十分。 具体的なことを明らかにしてほしい。
・多少の負担はやむをえないという声もあるが、今回の負担が多少の負担なのか、負 担の引き上げになる心配はないのか。上限設定はいつまでの措置なのか。
・1割負担について是非慎重に審議を!今回成立しないと財源の確保やしばらくの改 善はないという厚生労働省。しかし厚生労働省が財務省の出先機関ではないようにし てほしい。

●佐藤順恒氏(医療法人社団順風会上尾の森診療所院長)
・精神医療の歴史、関心が向けられ国の施策もあって改善されてきている。差別偏見 は残っているが精神科の診療所なら敷居は低くなっている。それでも人目を忍ぶ状 況。この現実はぜったいに忘れてはいけない
・精神障害者長くおつきあいする病気なので、経済的負担が大きい。32条がそのベー スとなってきた。
・精神科では統合失調症。入院が中心。躁うつ病。家族に連れられてくることが多い。
診療所だとうつ病がどんどん来ます。神経症、人格障害、摂食障害など、不登校、ひ きこもりも精神病院でなく診療所にこられる。多様なニーズが押し寄せている。家族 の調整、学校との関係、もろもろとの人間関係を含めた治療を行う。非常に手間ヒマ かかる。
・子供医療、手間隙かかって経営的には絶対成り立たない。精神科診療所、多様な ニーズに対応せざるを得ない。差別偏見は非常に強い。経済的な負担は大きいので3 2条は必須。
・厚生労働省は32条を辞めても影響はあまりないというデータだが、嘘だと直ぐ 思った。どこから出てきたのか。所得からも影響が大きい。
診療所の外来の患者は比較的若くて統合失調症もいるが、症状は軽いが働くのは難し く、治療継続のためには何がなんでも32条
今回の自立支援医療は理念も無く医療と福祉をいっしょくたにしている。医療はいっ たん良くなっても精神のストレスへの脆弱性もあって長く、そのときそのときの対 応。障害は継続的なもの、それを一緒にすることに無理がある。
・拙速な議論に危惧を抱く。もっとゆっくり考えるべき。重度かつ継続、3つの病名 でくくるのではなく。状態像で判断するように、切なる願い。自立支援とは何なのか ともっと議論したい。

【参考人に対する質疑要旨】

●御法川信英議員(自民)
 この法が施行されれば事務量の負担が大きくなる、財政的な負担が増えるという話 はわかるが、具体的に概算があればすでに計算されていれば教えてほしい。
<松浦氏> 数字をつかんでいるわけではない。支援費の制度ができ金銭的な負担が 増えている。事務量は確実に増える。相当至難のわざ、あるいは不可能かもしれな い。
<御法川議員> 地方の自由裁量にまかせてほしいということだが、格差という問題 もあると思うが、そのあたりのバランスについての意見を。
<山本氏>地方にとって 自由裁量はどうしても必要。国が基準を決めて、その中で自由に出来る形。格差が出 るといわれるが基準を超えないと出ない。ちょうど中間でいけば格差はでない。
<御法川議員> 介護は0歳からやりなさいという意見があったが、段階的にという のは、最終的に20歳まで下げようということか。
<山本氏> 障害者と高齢者と一本化すべき。制度間の格差が出る。3年なら3年計画 で25歳まで下げ、最終的には20まで下げるというのがよいのでは。
<御法川議員> 働ける人が働ける環境をどのようにつくっていくのかということに ついてもう少し。
<江草氏> 福祉施設が抱えこんでいるのではなく、出て行く先がない。働く場所が あればよい。働きたい人がいるときに、もっと働いてもらいたいという姿勢を企業が もたなければならない。
<御法川議員>ガイドヘルパーについて。内容についてもう少し。
<中西氏> 支援費制度になる前、時間だけでなく目的、内容の制限があった。こう したサービスに戻ることを心配しています。個別給付に残していただきたい。移動は 自立生活の基本。知的障害者の方は外に出ることにより、自立につながっていく。社 会福祉協議会が担い手になると、介助者が選べなくなってしまう。
<御法川議員> 応益負担という考え方そのものか、それとも1割が問題か?
<白沢氏> 応益の益は、多くの障害者がこれは益かと考えた。これは益ではなく同 等の権利を保障するもの。そもそも今の所得の少ない中で1割がどう影響にするの か、払えない。応益を断念してほしい。

●福島豊議員(公明)
 支援費以降でも地域格差がある。以前はもっとあった。格差がようやく埋まりつつ ある。地方分権も大事だが地域間の格差がどうしてそうなったのか?
<松浦氏> 支援費で掘り起こしが進んだ。ありがたく使わせていただくという気持 ちをもっていただかないと、一般の納税者には納得してもらえない。支援費は理想だ がそこまで社会は成熟していない。
<福島議員> スウェーデンのようにコミューンで地域で、負担と給付の関係がリン クしていくのが大事なのではないか。地方分権は進めないといけない。
<山本氏> 援助は公助、共助、自助の3つ。国ばかりが援助するのではなくみんな で。まだそこまでいかないのでその間、国の強力な支援が必要である。
<福島議員> 新しい制度で給付は必ず伸びると思う。施設から地域へは両輪だと思 うが、ゴールドプランに匹敵するようなものがあってと思うが。
<江草氏>施設から地域生活へ、それを約束するような流れ、システム。しかるべき 立場、国や都道府県がモデルを示す必要もあると思う。
<福島議員> 重度包括という新しい制度、ALS、最重度の人が安心して暮らせる のか?一人ひとりのニーズにも対応する必要がある。政省令になるとは思うがどのよ うなことが必要なのかお聞きしたい。
<中西氏> 精神的サポートやベテランの介助者でないと対応できないこともある。 介助も一人では対応できない。新しい介助者には数ヶ月必要。カナダでも数ヶ月間の 同時並行的な介助者が入れるような制度設計をしている。包括制度は単価をまとめて 安上がりにするというのが濃厚。この介助を引き受ける事業者がなくなってしまう。
<福島議員> 精神医療公費、H14年に検討会があえり、制度の趣旨を超えた利用 ・認定審査の適正化が専門家で合意された。実態としてどういうことだったのか、意 見を。
<佐藤氏> 現場ではそういう話が出ている。状態像の話との対極での不適切な利用 があれば正すべき。

●石毛^子議員(民主)
 広域でやっていく際、個人の立場に引き寄せた場合にどのような点が大事になって くるのかをうかがいたい。個人を支えるサービスとして機能させるかというのは重要 なポイントだと思いますので。
<山本氏> 居宅と支援、居宅は地域から離れることは無い。サービスが早く提供で きる。広域の方がメリットが多く、迅速になる。
<石毛議員> 福祉圏とは何か、モデルとしてのポイントは?
<江草氏> 必要なサービスとは3障害をすべてサービスしないといけない。小規模 多機能型、大きなものではなく、小規模で様々な機能。コミューンは自治体とは少し 異なり、生活共同体の大規模なものだと思っている。それこそが住民の地域生活とい うこと。
<石毛議員> 今回の法案、長時間の一人暮らしをする重介護の障害者が地域で暮ら しつづけられるかどうか、というのがよく見えないというのが率直なところ。これま では区分間流用をやって制度が利用できようになっていた。今回は区分内流用になり そう。このあたりについて補強を
<中西氏> これまでの25,50,125時間の区分は家族と同居している人を想 定した時間。一人暮らしだと基準額の3〜5倍の時間数が必要。区分間流用は大都市 では可能だったが、恒久的ではない。実態調査が行われ、もっと正確なデータを厚生 労働省がもてば、実質的な財源の不足というのはない。うまい配分の仕方を考えれ ば、現在の制度の財源を少し足せば新規利用も大丈夫だと思う。
<石毛議員> 審査会に地域での自立生活を経験された方が入るべきだと思います が、その点について。
<中西氏> 自立生活経験者が入る事が非常に重要。当事者のニーズをきちんと聞い ていくことが必要。障害者の生活を知らない人が審査会には多いのではと思う。

●山口富男議員(共産)
<山口議員> 障害の認定区分について。モデル事業ではじまろうとしているが、精 神科医の立場から問題があるというところがあれば示していただきたい。
<佐藤氏> 生活上の困難さを十分に反映させることは、現在のものでは難しい。足 も手も動く、金の計算もできるが、外出できない。厚生労働省案ではまったく精神の 状況を反映していない。
<山口議員> 基本的資料がほとんどない中、厚生労働省は1割負担はぎりぎり負担 できるのだと言っているが、障害者の現状実態からいって、これは通用する説明なの か?
<白沢氏> 福祉制度を利用する利用料という以前に、障害をもつゆえの負担額が1 万から2万円。障害ゆえに経費がどれくらいかかるのかということも示されず、1級い くら、負担いくら、きめこまかな配慮だ、というのはあまりにも乱暴ではないか。減 免措置には資産調査もある、それなら利用抑制となる。大きな問題がある。
<山口議員> 日本国憲法の生存権にかかわる社会福祉とは何かという話にかかわる と思う。応益負担になじまないというあたりをもう少し。
<白沢氏> 実態的に働きたくても働けない。工賃もわずか、年金も数百円さがって いる。ほんとうに払える状況にあるのかを考えると、実態からなじまないというこ と。所得保障があれば応益なのかと思うが、障害ゆえにかかる経費、その他の市民と 同等の権利を有するためのスタートという考え方と、議論と調整があっての検討が必 要だと思う。
<山口議員> 障害の重い人ほど負担が重くなる。となるとこの制度は命をかけて サービスを利用するという、おかしなことになるのではないか。
<中西氏> 減免を申請すれば預金調査などもある。この負担に耐えられるとはとて も思わない。結局「重度は施設に戻れ」となりかねない。国がきちんと面倒みないと 市町村では無理。暮らせなくなる。財源的な確保、程度区分表くらいしか方法は無い と思う。
<山口議員> 移動介護の問題、地域格差の問題とのかかわりも出てくると思うが、 資料6を説明してもらえるか。
<中西氏>提供事業体、社会福祉協議会がほとんど。法案が成立すれば市が事業運営 費を出さないような形態になる。時間制限、年齢制限もさまざま。ある市では病院と 役場の窓口にしかいけなかった。行動援護については重度の知的障害者、精神障害者 にとっては唯一の社会参加のためのサービス。突発的な事態というのは0点で勘案さ れないが、0点でも生活に支障がおこる。ここは1パーセントの人しかカバーできない といわれている。移動介助できちんとカバーしてもらいたい。

●阿部知子議員(社民)
 自立阻害法なのか。自立という概念をめぐって介護保険法とのからみで、大枠では 社会で支える、ただ高齢と障害者では自立概念が違う。骨格にかかわる部分につい て。
<中西氏> 80年代はリハビリテーションの理念で身の回りのことを全部できなけれ ば自立できない、最終的には就労がゴールだと言われてきた。自立運動の中でリハビ リは違う、出来ない部分は介助を受けていい地域で暮らしていい、介助を受けながら 社会参加をしていくことが意味がある。親元や施設にいたので、料理の味つけも知ら ない。経験を積んでいくためなので時間はかかるが、その意味でまったく高齢者とは 異なる
<阿部議員> 支援法が成立したらALSの呼吸器の人たちがどうなっちゃうのか、と 思っている。きわめて命綱、逼迫した重いがあると思うが、政省令に委ねられてい る。この点についてどのように明確にすればよいのか意見を聞きたい。
<中西氏> ALSの84%は家族同居、介護保険の自己負担でくたびれて支援費ま でいかない。一人暮らしになると呼吸器の故障などもある。非常に限られた金額で今 でもやっている。情報で聞く80万だと時給300円になる。とてもやれない。包括 制度でヘルパー資格が医療制度の関係でがちがちにならないか。資格と単価は背反関 係だが、単価高くてもやってくれる人がいなくなる。
<阿部議員> 32条利用者について、どう変わっていくかが見えない。福島委員の発 言で32条は生きるんだ、という発言があったが、安定した政策があってこそ、地域医 療ができると思うが。
<佐藤氏> 精神科の医療はつらい歴史。精神衛生法は強制的に治療できるという、 治安管理的な側面が出た法律。以前はかなりの数が措置入院制度で入院させられ長期 入院させられてきた。32条というのは、その反省から地域での医療を支えていくため のものとして出発した。現在では若者の治療をなんとか支えていくため、地域での外 来治療を支えるもの。実態としては若者の治療にも役立っている。今回の法案は、そ のあたりの歴史がふっとんでいるような気がする。財源の問題が先にある。理念的な ものが抜けているので不安に感じる。

【傍聴者の感想】
<東京都Sさん>
 傍聴席の準備が悪い。車イスの人が大勢来ることは予想できた事なのだから、ス ペースを作れるものなら作っておいて欲しいと思った。議員の質問などを聞いている と、応益負担は検討してくれそうな感じもあった。もう、とっくに分かっていてもよ さそうなものと感じた…。
<兵庫県Sさん>
 会場が非常に暑かったです。 最後の阿部議員が現実問題である自立の理念を中西 参考人に再確認していました。それに対して中西参考人も1980年代まで遡って昔 の自立の理念と今の自立の理念を説明していたことが、他の議員に対してよかったと 思っています。

【実行委員会からのコメント】
<長時間介助を必要とする重度障害者の地域生活は保障されるのか>
 この障害者自立支援法において、長時間介護を必要とする重度障害者の地域生活は どうなってしまうのか不安が広がっている。議員からは「一体この法案でどうなって しまうのか、見えない政省令で決められてしまうのは問題である。」といった指摘も あった。どんなに重度の障害があっても施設や施設に併設されたグループホームでは なく、地域でのあたりまえの生活、真のノーマライゼーションを私達は望んでいる。 全国自立生活センター協議会の中西氏からは実態を踏まえた、重度障害者の地域生活 における具体的な提言がされた。審査会等を含む支給決定過程においては、当事者の 声を的確に反映させること、障害者程度区分やそれにリンクした国庫補助基準額の設 定等の問題は今後ともしっかりと議論されなければ私達の不安は解消されない。国会 の場がセレモニーの場と化す事がないように議論を深めてもらいたい。
<障害者の社会経験の大切さ、社会参加を支える移動介護は個別給付に>
「障害者はこれから社会の中で生きていかなくてはならない、社会経験を積む、その ための経験、そのための介助も重要」といった中西氏からの発言があった。移動介護 を利用した外出等の経験は自立への第一歩であり、地域生活の要である。「自立と社 会参加」の理念が後退しないためにも、様々な個別のニーズに対応した移動支援は個 別給付が原則である。現在の行動援護類型では対象になる方があまりにも少なく、そ の理念も社会参加支援というよりは行動抑制、社会防衛の対象として障害者をみてい る事も問題だ。地域生活支援事業ではサ‐ビスメニューや利用時間帯の固定化、自分 にあった介助者を利用できない等の問題も懸念される。抜本的な改正が必要になって いる。
<まだまだ不安な点が多い法案。制度の透明化と共に議論の透明化を>
 精神の通院公費助成制度においては重度かつ継続の対象としている3疾患だけでは 全体の45パーセントしか対象にならないといったデータも出された。又、与党の議 員からも触れられたが、介護給付を利用し、自立支援医療も必要で、更に車椅子の利 用等の補そう具の負担がそれぞれ別個に上限まで支払いが生じるときの負担や、人的 基盤整備の問題もある。解決されなければならない問題は山済みにされている。安易 な制度の安定化ではなく私達障害者の生活がどうなってしまうのか、そのために必要 な真の自立支援とは何なのか改めて議論を尽くしていく必要がある。制度の透明化も そうだが議論の透明化も問われている。全国の障害者、その関係者が注目している国 会審議の場での慎重審議を改めて求めていこう。

【今後の予定・その他】
○明日6月8日の厚生労働委員会は障害者雇用促進法の改正法案、その他の法案の審 議となります。障害者自立支援法案は雇用促進法案とは切り離し審議されることが決 定していますが、15日までは支援法案は審議されないことが決まっています。

○委員会の審議はインターネットホームページ  http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm で全てご覧になることができます。また、本日のビデオ映像もこの ページでご覧になれます。

○議事録については、衆議院ホームページ
 http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index.htmに近日中に公開されます。

※この「障害者自立支援法案 国会審議 速報」は
国会における障害者自立支援法の審議情報を全国の皆様におしらせします。
委員会の審議が行われる毎に配信させて頂きます。

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配信元;
障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動実行委員会
(全国自立生活センター協議会内)
〒192-0046 東京都八王子市明神町4-11-11-1F
TEL:0426-60-7747 FAX:0426-60-7746
E-mail:jil@d1.dion.ne.jp  
http://www.j-il.jp/jil.files/daikoudou/daikoudou_top.htm



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