1 附則第三条第一項に規定する障害者の範囲の検討については、障害者などの福祉に 関する他の法律の施行状況を踏まえ、発達障害・難病などを含め、サービスを必要と
するすべての障害者が適切に利用できる普遍的な仕組みにするよう検討を行うこと。
2 附帯第三条第三項に規定する検討については、就労の支援も含め、障害者の生活の 安定を図ることを目的とし、社会保障に関する制度全般についての一体的な見直しと
併せて、障害者の所得の確保に係る施策のあり方の検討を速やかに開始し、三年以内 にその結論を得ること。
3 障害福祉サービス及び自立支援医療の自己負担の上限を決める際の所得の認定に当 たっては、障害者自立の観点から、税制及び医療保険において親・子・兄弟の被扶養
者でない場合には、生計を一にする世帯の所得ではなく、障害者本人及び配偶者の所 得に基づくことも選択可能な仕組みとすること。また、今回設けられる負担軽減の措
置が必要な者に確実に適用されるよう、障害者及び障害児の保護者に周知徹底するこ と。
4 市町村の審査会は、障害者に実情に通じた者が委員として選ばれるようにするこ と。特に障害保健福祉の学識経験を有する者であって、中立かつ公正な立場で審査が
行える者であれば、障害者を委員に加えることが望ましいことを市町村に周知するこ と。また、市町村が支給決定を行うに当たっては、障害者の実情がよりよく反映され
たものとなるよう、市町村職員による面接調査の結果や福祉サービスの利用に関する 意向を十分踏まえるとともに、不服がある場合には都道府県知事に申し立てをおこな
い、自ら意見を述べる機会が与えられることを障害者及び障害児の保護者に十分周知 すること。
5 国及び地方自治体は、障害者が居住する地域においては、円滑にサービスを利用で きるよう、サービス提供体制の整備を図ることを障害福祉計画に充分に盛り込むとと
もに、地域生活支援事業として位置づけられる移動支援事業、コミュニケーション支 援事業、相談支援事業、地域活動支援センター事業などについては、障害者の社会参
加と自立生活を維持、向上することを目的として、障害福祉計画の中に地域の実情に 応じて、これらサービスの数値目標を記載することとするとともに、これらの水準が
これまでの水準を下回らないための十分な予算の確保を図ること。
6 自立支援医療については、医療上の必要性から継続的に相当額医療費負担が発生 することを理由に、月ごとの利用者負担の上限を設ける者の範囲については、速やか
に検討を進め、施行前において適切に対応するとともに、施行後も必要な見直しを図 ること。
自立支援医療費のうち、児童の健全育成を目的としたものについては、その趣旨 に鑑み、施行までに利用者負担の適切な水準について充分検討すること。
7 精神病院におけるいわゆる7.2万人の社会的入院患者の解消を図るとともに、それ らの者の地域における生活が円滑におこなわれるよう、必要な措置を講ずること。
8 居住支援サービスの実施にあたっては、サービスの質の確保を前提に障害程度別に 入居の振り分けがおこなわれない仕組みや重度障害者が入居可能なサービス基準の確
保、グループホームの事業者の責任においてホームヘルパーの利用を可能とすること などについて必要な措置を講ずること。
9 良質なサービスを提供する小規模作業所については、新たな障害福祉サービス体系 において、その柔軟な機能が発揮できるよう位置づけるとともに、新たな施設体系へ
の移行がスムーズに行えるよう、必要な措置を講じること。
10 障害者の虐待防止のための取り組み、障害を理由とする差別禁止に係わる取り組 み、成年後見制度その他障害者の権利擁護のための取り組みについて、より実効的な
ものとなるよう検討し必要な措置を講じること。