■閉鎖的な知的障害者施設で逮捕事件

 2003年12月4日(木)、東京都練馬区にある社会福祉法人大泉旭出学 園 旭出生産福祉園(知的障害者入所授産施設)にて、入所者の知的障害者の求 めによって成年後見制度の手続きのことも含めて訪問して話をしていた、この 知的障害者の在宅時代からの長い支援経験のある地域生活支援ワーカーなど( 西東京市の障害当事者団体「はたらきば」(知的障害者デイサービスなどを運 営)の健常者と障害者の職員)が、施設の警察への通報で、建造物侵入で逮捕 ・拘留されるという事件がおきました。

 この施設の当該知的障害者(以下Aさん)の求めに応じた、自立生活センタ ーや「はたらきば」スタッフの訪問は、今年4月にこの知的障害者が入所した あとも、毎月数回行われており、警察への通報は、突然の出来事でした。施設 は10月ごろより、「知的障害者本人が求めても、こないで下さい」と主張し、 地域生活支援の団体とも話し合いが行われていましたが、意見の相違が生じて いました。

 Aさんは、自立生活センター小平の自立生活体験室で宿泊体験もして、この 地域の自立生活センターでしたら、24時間介護も実施できるので、十分自立生 活も可能な方です(重度ですが、なれた介護者には意思表示はできます)。

 入所施設が、知的障害者本人の意向を無視して、本人が訪問を要請した在宅 支援スタッフの訪問を拒否できるとなると、これは大きな人権問題です。また、 施設は、事情のわからない警察に建造物侵入や拉致監禁の虚偽の通報を行って います(現在も健常者職員が拘留中。送検されています。障害者職員は釈放。 )。悪質な入所施設がこのようなことを行えるとなると、入所者は成年後見制 度の申し込みさえできなくなってしまいます。施設から地域への移行もこのよ うな悪質な施設があると進みません。

 悪質な施設がこのようなことを行えないように、強い指導と、指定基準の改 善が必要です。また、警察庁への再発防止の教育徹底も必要です。

(以上 介護制度情報編集部)

関係団体のご協力をおねがいいたします。
*事実関係を記載した資料を添付いたします。
*送られてきたメールの本文は下にあります

支援・協力の要請

突然のメール、失礼いたします。

2003年12月4日(木曜日)東京都練馬区にある社会福祉法人 大泉旭出学園  旭出生産福祉園(知的障害者入所授産施設)にて、到底許しがたい出来事がお こりました。

 5年ほど前から私たちが親元での地域生活支援を行っていた男性Aさん(重度 知的障害 者、37歳)は、今年5月に本人の意思に反して、親の希望で入所を余 儀なくされました。

 その日、私たちの仲間は旭出生産福祉園に入所しているAさんと話し合いをす るために園にいきました。いつものように、駐車場にて本人と将来どのように 生活をしたい か話し合いをしていたらまもなく数台のパトカーが来て車を取り 巻く騒ぎになりました。1時間ほど車の中で話をしていましたがAさんは自分の 意思で車をおりました。その後私たちの仲間は「建造物不法侵入」ということ で逮捕されてしまいました。

 Aさんは、入所以来ずっと私たちに電話をかけ続け、そのたびに「だめだめ!」 「金曜日」と訴えてきました。言語に障害があるなかで、彼が伝えようとした のは、「旭出学園の日々はダメだ」「金曜日に迎えにきて」ということでした。 そして週末に帰宅すると、自由な時間を楽しむ一方で、戻らなくてはならない つらさを暴れたり、帰りの自動車に乗ろうとしない、などの抵抗で表明し続け ていました。私たちは親と極力話し合い、このままの状態を続けるのは本人の 意思に反することをずっと訴えてきましたが、残念ながら、親からは「余計な 手出しをするな」という返事しかかえってきませんでした。また、旭出福祉園 の職員とも話し合いをしようとしましたが、「本人のペースが乱れるからあま りこないで欲しい」「親の許可を取ってきてから面会に来て欲しい」などとい われ、10月、11月には面会さえ制限されるようになりました。
 また、彼が地域の仲間との唯一の交流手段である電話をかけられるようにと 渡した「顔写真つきの電話帳」は渡しても渡しても職員の預かりになっていた り、行方不明になったりということを繰り返していました。

 私たちは何とか施設や親の理解を得るため、本人が旭出学園はいやなんだと 表現している状態をビデオにとったり、外出の機会を増やしてカラオケなどに 行ったりしていましたが、先週月曜日に「施設利用者とその保護者等からの事 前の承認・連絡のない突然の訪問や面会外出等のお誘いは硬くお断りします」 という張り紙(謹告)が出され、このままでは私たちは直接彼と会う時間さえ もてなくなる危機感を感じました。
 そもそも、成人している人が友人に会うのに、なぜ親の許可が必要なのでし ょうか。
 到底この論理を私たちは承認できません。12月4日、支援者2人、当事者1人で 旭出学園にいったところ今回の事態がおきてしまいました。

 私たちは本人の意思に反して親が入所施設と契約をしたこと、施設内で通信 や外出の自由が制限されていることに怒りを覚えます。施設は嫌だと訴えるAさ んに対し、「判断能力はない」という親とともに福祉地域生活の可能性を奪お うとする旭出学園の行っていることは人権侵害であると考えます。行政や福祉 関係者が本人の意向より親の意向を優先する発想を改めない限り、今後も入所 施設に入れられてしまう知的障害者は増え続けるでしょう。私たちは彼の地域 生活を実践するために、施設や親が本人の意思を尊重し、地域生活の可能性を さぐる作業をともに行い、実現していくよう求めます。さらに警察を呼び、仲 間を逮捕させた今回の対応に強く抗議します。

ぜひ、私たちの活動に以下のようなご支援・ご協力下さい。

  • 旭出生産福祉園に抗議してください!!                
    • 電話 03−3925−6166                
    • FAX 03−3925−6169
    • E-mail kit1904@asahide.or.jp
  • 東京都障害福祉部施設福祉課に意見を言って下さい!!
    • 電話 03−5320−4156
    • FAX 03−5388−1407
  • 石神井警察署に抗議して下さい!!
    • 電話 03−3904−0110
  • ビラ撒きに協力して下さい!!(下記代表連絡先へ連絡下さい)
  • 全国で起きている入所施設での問題/人権侵害について情報を送ってください!! (下記代表連絡先へ連絡下さい)

私たちは、旭出生産福祉園でのAさんの人権が守られるため、 最低限、面会、電話、外出の自由が認められるために活動します!!
なお、以下の資料を添付いたしますので、よろしくお願いいたします。

資料1 5団体連名で配布しているビラ(表)
資料2 5団体連名で配布しているビラ(裏)   「旭出生産福祉園と石神井警察署での事実経過の概略」
資料3 ピープルファーストの当事者からの意見
資料4 連絡書
資料5 Aさんと支援者の関わりの経過

上記資料等についてはご自由にご活用下さい。
その他、詳しい資料等必要な方は下記代表連絡先へ連絡下さい

自立生活センター 小平
特定非営利活動法人 P.F.P.C はたらきば
特定非営利活動法人 自立生活センター グッドライフ
ピープルファースト東久留米
特定非営利活動法人 ピープルファースト東京

代表連絡先(自立生活センター 小平)
〒187-0003
 東京都小平市花小金井南町1−26−30 パラシオ102
TEL 0424−67−7235 FAX 0424−67−7335 E−mail  cilkodaira3@hotmail.com

【資料4】

平成15年12月5日

石神井警察署
三浦刑事 殿

東京都中央区銀座3丁目7番16号
           銀座NSビル6階
       電話 03(3535)2851
       ファックス(3535)2854
         弁護士 大石 剛一郎

連  絡  書

私は、昨日(石神井警察に)逮捕された C氏およ及び B氏について、本日午 後5時接見して、同人らの弁護人になろうとする者です。同接見後に、取調担 当官の方と少しお話をしたいと思っておりますが、ご都合が合わなかったり、 無用に時間を費やしたりすることを考慮して、事前に私からお話したいことの 趣旨を御連絡する次第です。

1 本件は、構成要件に該当する行為の罪名としては(障害者入所施設への)建 造物侵入ということですが、問題の本質は、「住居の平穏」という法益侵害(刑 事的問題)にあるのではなく、A さん(3 6歳)というダウン症・知的障害を 持っている方の「生活支援」の方向性に関する争い(福祉的問題)にあります。

2 具体的には、A さんのお父さんはおそらく、「入所施設に入れるのが安心」 と考えて、A さんを入所させたのだと思います。入所施設側もお父さんの意 思に基づいて、A さんの生活支援をしようとしています。  しかし、A さん本人は、「家に帰りたい、入所施設はイヤだ、家に帰れない のであれば施設ではなく、アパートで暮らしたい、という意思をハッキリと持 っている」という状況があります。

3 この点については、お父さん及び入所施設側は、「A さんにはそのような 判断能力はない、そのような意思表示は無効だ」と主張されております。しか し、A さんは、難しい法律行為の判断はできないとしても、そこに住みたい か、住みたくないか、別のところの方が良いのかどうか、といったレベルの判 断は十分に可能な方なのです。

4 一般論として、誰でも、大人数の入所施設に詰め込まれて生活をするのは 嫌です。できることならば、地域で普通に暮らしたい、と思うものです。
 しかし、多くの場合、地域で生活する条件が整いにくいので、やむを得ず、 大きな入所施設に居ざるを得ない、というのが現状なのです。

5 ところが、今回のA さんの場合、本人のキャラクター(人から好かれる) もあって、周囲に「A さんが地域で暮らすのを全力で支援しよう」という人が 集まりました。それが、今回逮捕されたC さんやB さんたちでした。
 しかし、彼らの生活支援については、お父さんとしては入所施設と比べて安 心できると思えなかったのでしょう。お父さんは、彼らの生活支援ではなく、 入所施設を選択しました(しかし、現実的には、入所施設でも死亡に至るような 事故は少なからず発生しています)。
 ここで、C さんやB さんたちの生活支援の方向性(地域で普通の暮らし) とお父さん・入所施設の意思が対立する形になりました(ここに今回の事件の 本質があります)。
 そして、A さん本人の意思は、C さんやB さんたちの方向性と一致して いたのですが、お父さんは了解されませんでした。

6 このような状況の下、私は最近、そのようなA さんの生活支援の方向性を どうしたら良いかということについて、C さんやB さんたちから相談を受 けていました。
 私は、法律的には、A さんは既に成人に達しており、お父さんは法定代理人( 親権者)ではないので、施設を選択するにしてもアパート生活を選択するにし ても、本人の自己決定によって決められるのが原則であり、仮にそのような自 己決定をするだけの能力がないということであれば、「成年後見制度」を利用し て、家裁によって選任された成年後見人が本人のために決める、という形しか ないことなどを話しました。 今回の事件は、C さんやB さんたちが、この成年後見制度の利用に関する説 明のことも含めて、あらためて、A さんの意思を確認するために、施設に赴い たところ、発生しました。すなわち、C さんやB さんたちの生活支援(A さ んのための)の方向性に異議を唱えていた施設(しかし、その「異議」はA さん本 人の意思には反しています)が、C さんやB さんたちの動きを止めるために、 警察沙汰にした、というのが真相です。 私は、このようなケースに警察が介入するのは適当でない、と思います。

7 A さん本人が、「施設に居たくない、自宅がだめならば、アパートで暮ら したい」と意思表示しているのに、成年後見制度を利用することもなく、施設に 居させ続けること、更には、A さん本人の意思に沿った方向性の情報を入手す る経路さえ絶ってしまうこと(今回の施設側の対応は実質的にこれにあたります) は、たとえそれが、A さんのためを思って行われた・としても、それは合理的 な理由のない自由拘束であり、態様によっては監禁罪に該当する可能性もある、 と思います。

8 以上のとおり、本件は、住居の平穏を妨害するといった実態があるケース ではなく、A さんの生活支援に関する見解の相違の中で、警察の力を利用して、 A さんを施設に居させ続けようとしているケースですので、この点をご理解 いただいたうえで、対応していただきたいと切に思います。  

以上

【資料2】

■旭出生産福祉園内と石神井警察署での事実経過の概略

 

2003年12月4日(木)
17:00 Aさんに関わる地域生活支援者B、Cと知的障害当事者の仲間Dが車で、 旭出生産福祉園のいつものように駐車場に入る。 作業が終わり、作業棟から出てきたAさんをB、C、Dが呼びに行くと、Aさん が車に乗ってくる。    
Bが、園の職員に車内で話すことを伝える。    
職員らしき人が車をノックする。
17:05 Aさんと落ち着いて話すため、内側から新聞紙を車の窓に貼る。    
車の外から園の職員がビデオで撮影を始める。
17:15 石神井警察署のパトカーが到着。職員が車をノックする
車中でAさんと話を始める。(以下Aさんとのやり取りの一部)     
Aさん、旭出生産福祉園の写真に「バツ」のマークをおく。     
Aさん、家の絵に「マル」のマークをおく。     
B「警察が来てるな。みんな来てるな。旭出行く?」     
Aさん、手をふって「イヤ」のサイン。     
C(車外に向かって)「あのー。話してるだけなんですよ。本人おりたくないって。本人がおりたくないって言ってるんですよ。何でダメなんですか。本人の意志で。」
B「出るか?A、行くか?」
Aさん首を振る。
C「静かに話させてください。パトカーのランプ嫌なんですよ。降りたがらないんですよ。旭出が嫌だって言ってるんですよ。」
17:36 B、車中より当事者の仲間に携帯で連絡する。
「警察10人くらいに囲まれている。」
17:45 B、車中より他の仲間や所属団体代表Eにも携帯で連絡する。
17:59 Aさんの父親が来て、Aさんが車から降りる。 B、C、DはAさんが降りることを特に止めなかった。
18:10 電話を受けた仲間が旭出生産福祉園に到着するが、入り口門を警察が封鎖。車中から呼ばれた事を伝えても、一切門前払い。
18:35 支援者E、旭出生産福祉園に到着。B、C、Dは車から降りる。
B、Cは現行犯逮捕。知的障害当事者のDについての扱いは不明。
18:40 EとB、C、Dが石神井警察署に連行される。
19:00 他の支援者、当事者の仲間の数人も石神井警察署到着。1階ロビーで待    つ。
19:10 署内で、石神井警察署の刑事課課長補佐牧野氏からの説明。
牧野氏「建造物侵入で逮捕した。建物の管理者に権限がある。親には親権があ る。」(注:民法上Aさんは成人なので、親に親権はない。)
支援者(新井)「本人が助けてくれって連絡があってもダメなんですか」
牧野氏「そうだ」
19:25 署内から、「正当な理由のない方の出入をお断りします」という名目だけで、一切の説明をなしに半実力行使にて全員追い出される。
19:40 同署近藤氏、「(逮捕の理由として)40歳になっても親権はある」「法律でそうなってる」    
支援者(中村)「どの法律か?」
近藤氏答えず。
20:15 他の当事者の仲間、支援者が車にて署に来るが、駐車場ほとんど空いてるにも関わらず、駐車拒否。支援者側の質問には、上記と同じ名目。石神井警察署「お前たちはかえ帰りなさい。よう用がない」の一点張り。
21:45 支援者(末永)が代表で署内に入り、警務課長代理江黒氏と話す。
末永「何で逮捕されたんですか」
江黒氏「建造物侵入または、住居侵入、住居部分なら住居侵入ということになる。許可なしに立ち入ったということで、旭出さんの方から通報があった」
末永「今まで何回も、普通に中に入って本人と話したり、外出したりしてきたのに、何で今回いきなり逮捕されるんですか?双方から事情を聞いたんですか」
江黒氏「こちらは、旭出さんから通報があったので行った。事情は今聞いている。詳しいことは、逮捕して捜査をしている段階なので 、私からは何も言えない。」
22:10 Aさんの父親、警察署から出てくる。
22:30 D、E、警察署から出て、旭出生産福祉園に向かう。
現地に着き、そのままD、Eは帰ってよいことになる。
12月5日(金)
9:00 Bの妻、支援者らが接見を希望したが、拒否される。
最初、警察側は説明なく「48時間は、接見できない」(注:刑事訴訟法では、原則的に接見可)と主張。
末永「弁護士との打ち合わせの為、数分だけ」
牧野氏「あなたと会う権利があるかどうかはわからない」
末永「弁護士は何時なら会えるのか」
牧野氏「あんたに説明する必要はない」
最後、「16時以降でないと会えない」と言われる。 時間不明 C、板橋警察署に身柄を移される。
17:50 弁護士がBに接見。
牧野氏が弁護士に「Bに監禁罪でも取り調べている」と説明。
19:20 弁護士がCに接見。
12月6日(土) 時間不明 B、C、送検され、検察側は10日間の拘留を裁判所に申請。

【資料5】

■Aさんと支援者の関わりの経過

Aさん プロフィール

東京都小平市在住
昭和41年生まれ(37歳) 男性 両親および姉と4人暮らし
小学生のときから旭出学園養護学校に通学。その後小学部、中学部、高等部とす すみ、さらに旭出生産福祉園の通所施設に通い続けてきた。
2003年5月より練馬区にある知的障害者入所授産施設 旭出生産福祉園に入所。
ダウン症 愛の手帳2度。
コミュニケーションは単語会話、および簡単な手話、マカトン法。身辺動作は基 本的に自立。
親がかなりの訓練をした結果、自力で通学、通所が可能になった。
スポーツが好きで、1人でボーリング、キャッチボール、バスケットボールなど を楽しむことができる。
自転車で自宅から練馬区の旭出学園まで1人で行ける。

社会福祉法人 大泉旭出学園 旭出生産福祉園
園長 浅井浩
通所 昭和49年4月1日設立 利用定員64名 施設長 浅井浩
入所 昭和51年12月1日設立 利用定員55名 施設長 大代公一
関連法人として、学校法人旭出学園(東京都練馬区)など。

以下、支援者として登場するスタッフの所属団体は下記のとおり。
新井(洋)…自立生活センター グッドライフ 
馬場、佐藤、栗田、高田、伊藤…自立生活センター・小平(CIL小平)
宮下、竹崎、新井(謙)…P.F.P.Cはたらきば

1:旭出生産福祉園 入所前までのAさんと支援者の関わり

小学部、中学部、高等部 学校法人旭出学園に通学

1984年3月
 新井(洋)が、Aさん(当時18歳)の日常生活支援者としてAさん及び両親 との関わりを始める(〜1994年)。

1998年9月
 P.F.P.Cはたらきば(以下はたらきば)設立。新井(洋)が設立メンバーとし て参加していた)。Aさん宅のごく近くに事務所を構えたこともあり、はたら きばがAさん及び両親の支援を始める。以後Aさんが、旭出通所後帰宅前にはた らきばに立ち寄ることが多くなる。
旭出生産福祉園(通所)からの帰りがけに、Aさんがひとりで勝手に中野区の祖母宅に直接行ってしまうことで悩んでいた両親の依頼により、週1〜2回旭出生産福祉園へ迎えに行き、はたらきばに戻り、夕食時まですごすということを約5年間続けた。(〜2003年4月)。毎週土曜日の朝、親がボーリング場に送り、一人でボーリングを楽しんだ後、昼にまた親が迎えに行く、という形で休日の介護をしのぎ、それが親の負担感を増幅させていたため、はたらきばの余暇活動であるP&P(土日開催)に誘う。

2000年10月
 旭出生産福祉園(入所)に空きができ、Aさんが入所できる順番であったが、 母親が辞退した。入所をめぐって家族内で意見が対立し、母親は心身ともに体 調を崩す。その後もはたらきばの月曜日の迎えおよび土曜日、日曜日の余暇活 動への参加は継続していた。

2001年10月
  家族状況の変化や父のストレス(自分の時間がAさんにとられてしまう)など により母が身体的・精神的にかなり悪化した。親から公的制度を活用したヘル パー派遣の希望があり、自立生活センター・小平(以下CIL小平)がAさん及び 両親の支援を始める。 週2回の家事援助(食事作り)と週2回の迎え介護(〜2003年4月) ホームヘルプ制度、福祉訪問員、緊急一時制度などを利用)P&Pへの参  加および介護(〜2003年4月)

2002年2月
 はたらきばの事務所が小平市から田無市に移転したため、Aさんは木・金曜日 の朝を中心にCIL小平の事務所に立ち寄ることが多くなる。支援者より、Aさん 及び両親に、Aさんの宿泊体験(親元を離れた地域生活体験)を提案。 3月 7日 バッティングセンターへ行く(介護者・栗田)

4月 5日 バッティングセンターへ行く(介護者・栗田)
4月19日 バッティングセンターへ行く(介護者・栗田)
5月30日 母より宿泊体験の希望あり、支援者と共にグループホーム、地域生 活体験室等を見学。
6月14~15日 東久留米の地域生活体験室にて初めての宿泊体験。
8月 7日 体験室で料理をつくり、食べる(介護者・佐藤)
8月29日 体験室で入浴、料理つくり(介護者・佐藤)
9月 6日 東久留米市の生活寮を見学に行く(介護者・佐藤)
   20日 東久留米市の生活寮を日帰り体験に行く(介護者・佐藤)
24〜27日(旭出で宿泊(入寮)体験。)
    29日 八景島シーパラダイスに行く(介護者・栗田)
10月18日 小平の地域生活体験室にて宿泊体験(介護者・佐藤)
     その後毎月宿泊体験を行う。(〜2003年2月)
    27日 温泉に行く(介護者・佐藤)
11月 1日 小平の地域生活体験室にて調理・食事(介護者・佐藤)
  11~15日 (旭出で宿泊(入寮)体験。)
   16日 温泉に行く(P&P)
18~19日 小平の地域生活体験室にて調理・食事(介護者・佐藤)
    22日 小平の地域生活体験室にて調理・食事(介護者・伊藤)
12月6~8日 小平の地域生活体験室にて宿泊体験(介護者・伊藤・佐藤・高田・宮下)

2003年
1月 10~11日 小平の地域生活体験室にて宿泊体験(介護者・成田)
  24日 小平の地域生活体験室にて調理・食事(介護者・佐藤)
2月24~28日 (旭出で宿泊(入寮)体験。)
3月28日 支援者よりAさん及び両親に、Aさんの地域生活を提案。
4月 4日 支援費ホームヘルプサービスの契約をAさんとCIL小平で結ぶ(移動1 6時間、身体介護7時間、家事援助7時間)。
4月25日 旭出入所枠が1名分空く。両親により入所の応募。Aさん本人は応募 の事実を知らない。
4月29日 Aさん父よりCIL小平に「A、旭出に入所決まりました」とのFAXが送 られてくる。(選考基準不明)。

2002年1月から2003年4月まで、毎週月・木曜日(2003年から金曜日)に旭 出の通所後、介護者と3時間程度一緒に時間をすごす。同じ時期、ほぼ毎週土日 のいずれかにはたらきばのP&P(余暇活動)に参加。

2:旭出入所後の流れ

2003年 5月 6日(火)
母より竹崎に旭出への入所が決定したと連絡あり。しかし親は 本人Aさんには話していない。(本人を抜きにした契約、契約日は5月 1日)
  10日(土)入所前ということで、10:30からボーリング、バーべキュー( 多摩川河畔)介護者がみんな集まる。
  11日 (日)両親がAさんに翌日から旭出に入所することを伝える。Aさんが暴 れたため、母親は「一週間よ」と本人に告げる。
  12日(月)入所
   13日(火)介護者3人の名前をかいた電話帳を旭出にもって行くと、Aさん は喜んで受け取る。
  14日(水)Aさんから17時すぎに宮下に電話がある。「元気?」「金曜日」 という表現で入所前のように金曜日に誰が迎えに来るのか気になって いる様子。以後数日の間に入所施設の公衆電話から介護者に数回電話 がある。
  19日(月)この日からAさんからの電話が途絶える。
  24日(土)馬場・佐藤が旭出の創立記念祭「青葉の集い」見学に行く。入 所棟内見学。Aさんに電話帳の有無を確認したところ、「ない」(後 に、母親の説明で職員が預かる形になっていたことがわかる。)   31日(土)旭出でAさんに、竹崎・佐藤が介護者の写真つきの電話帳を渡す。

6月 2日(月)
17時すぎAさんより竹崎に電話「月曜日!」と迎えに来てほしい 様子この週介護者らに毎日のように電話がかかってくる。
  7日(土)別の介護者が載っている2冊目の電話帳を渡す。
  8日(日)17時すぎ宮下に電話。「ボーリング!カラオケ!」休みの日に 遊びに行きたい様子。
  13日(金)介護者のほとんどに電話がある。金曜日なのに、誰も迎えに来 ないことを訴えている。
   15日(日)竹崎が自宅に迎えに行くが、Aさんの機嫌は悪い。朝から両親に 夕方には旭出に帰るということをしつこく言われていた。はたらき ばでは染物、カラオケに熱中する。帰宅時、母親が迎えに来るが、A さんはCIL小平の車に乗り込もうとし、母親に静止される。浮かない 表情で母の車に乗り、旭出に向かう。
   29日(日)佐藤が旭出に迎えに行き外出。バッティングセンター近くを通 った際、行きたいとアピール。バッティング、エアホッケーをする。 昼食後、久米川のボーリング場へ行く。門限が近づき帰る?と聞く と、激しく拒否。色々な人に電話をかけて、帰りたくない旨の訴え。 帰り途中、旭出の建物が見える道に来ると、その方角に向かって激 しく「ダメダメ」のサインを出し、パンチをする仕草をしていた。

7月 5日(土)
竹崎と西武ドームで野球観戦。旭出旅行(ディズニーシー)の 後のためか、機嫌がよい。
  8日(火)竹崎が母親に電話。母親も土日の余暇活動を希望しており、1 3日(日)に外出する約束をする。
 10日(木)竹崎が実家に確認の電話。母親が13日の外出について、キャン セルしたい、とのこと。
 12日(土)佐藤が旭出に電話して事情を聞くと、旭出の職員から「すぐ夏 休みなので、13日の外出は我慢してもらいます」と説明があった。
  14日(月)Aさんより竹崎、宮下に電話。「日曜日」「月曜日」と怒り、誰 も介護者がこないことを訴える。
  17日(木)竹崎が実家に行き、夏休み中、月4回(土、日週1回)外出す ることを提案し、両親の了解を得る。
  21日(月)竹崎とピープルファースト東久留米のバーベキューに参加。
 28日(月)竹崎が、旭出の職員に電話をして、月4回の外出の話をする。 しかし、職員からは「生活習慣の確立を考えて一貫性のある取り組み を目指す」「人との関わりが複雑だとばらばらの支援で落ち着かない ・混乱する」「ダイエットにも成功している」「話に来ることは親の 許可を取ってからにしてほしい」「責任者は親である」などの発言 があった。職員から父親に対して、「外出は月に1回通院の用事だ けです」との説明。同日夜竹崎が実家に行くと、父親から「月4回 の外出の約束はなかったことにしてほしい」と言われる。

8月14日(木)
新井(謙)、竹崎が、井出家別荘(福島県)訪問。Aさん、両親 とも快く迎えてくれる。
 17日(日)佐藤・伊藤が、井出家別荘訪問。
 27日(水)馬場、母親に会いに行く。母から「まだ3ヶ月よ」「今は旭出 での生活を中心に考えている」「はたらきばが関わるのは少し待って 欲しい」と言われる。

9月01日(月)
Aさんからの電話により竹崎が旭出訪問。Aさんは「月曜日」「 金曜日」「土曜日」「日曜日」と誰も来ないことへの不満を表明。旭 出の職員から入所の経緯について、「Aさんの意思は分からないでし ょ?」「親の意思で出しても、他に待っている人は沢山いますからね 」「(外出について)保護者の許可が必要」を言われる。
  2日(火)17時過ぎ、Aさんから竹崎に電話「火曜日!」
  8日(月)17時過ぎ、Aさんから竹崎に電話があり、旭出に面会に行った ところ、職員が「親の許可を取ってきて欲しい、あなたたちは第三者 なんだから」「本人が落ち着かなくなる、混乱する、リズムが狂う」 「(本人の入所の経緯について)本人の意思はありません」などと発 言した。更に旭出から実家に電話。「介護者がAのところに行くと、 Aが落ち着かなくなる」という旨の話がある。
  9日(火)佐藤が旭出に電話。旭出の方針を尋ねたところ「一般就労、地 域生活はこの子達には無理です」との発言。
 27日(土)竹崎と外出。久米川ボールと小平体験室に行く。会って暫くな かなか声に元気がないが、話しているうちにだんだん元気がでてくる。 旭出帰時寮時、しかめっ面になる。

10月 4日(土)
伊藤が旭出に面会に行く。Aさんと2時間ほどロビーで話す。声 が小さく元気がない感じ。「電話帳は?」の問いに×のサインだった ので伊藤の電話番号を教える。
  9日(木)竹崎が旭出に面会に行く。電話帳が職員スペースの受付カウン ターから発見され、Aさん笑顔。
  11日(土)宮下・竹崎が旭出の運動会を見学。
  12日(日)Aさん「運動会」「一等賞」と発言。Aさん、高田・佐藤と外出、 カラオケに行く。「元気?」「運動会」「ダイエー」「阪神」カラ オケをかなり熱唱していた。
  13日(月)Aさんから宮下に電話。佐藤、竹崎にも相次いで電話があり、「 ダメダメダメ!」「おやすみ、おやすみ」とかなり怒っている様子。 この日以降、介護者らに連日同様の怒った感じの電話が頻繁にかかっ てくるようになる。
   19日(日)竹崎とカラオケに行く。旭出の他の利用者がAさんについて「さ びしいって言っている」「帰りたいって言っている」。
   20日(月)母より竹崎に電話。「寮の方針で私たちも待っているので、私 が行くまで行かないで欲しい」
   24日(金)佐藤、高田旭出にAさんに会いに行く。「ママ」「明日」「ダメ ダメダメダメダメ」。他の利用者「さびしいって言っている」「俺 に言ってるんだ」

11月 1日(土)
Aさんと母、小平の事務所を訪問。母、「土日など旭出にいく場 合、事前に伝えてください」
  7日(金)ピープルファースト東久留米による旭出見学。園長、ノーマラ イゼーションの考え方について「画一的というか、一律的に捉えがち ではないか。慎重に考えるべき」と否定的な意見を述べる。「障害の 中身によっては、自分自身のことを自分でどうするかが難しいことも ある」とも発言。
  8日(土)はたらきばの利用者とともにAさん外出。
  23日(日)宮下、旭出の「勤労感謝祭」を見学「3月」とAさん発言。Aさん は三月には旭出を出られると思っている様子。宮下、母にその意味を 聞くと母は「学期末よね」とだけ言っていると説明。
  25日(火)竹崎・宮下、実家の両親を訪問。父親からは「しばらく旭出が 言うとおりにしてくれ」といわれるが、竹崎・宮下は「本人の希望は どうなるのか」と反論し、話し合いは平行線に終わる。
  28日(金)佐藤、旭出にAさんを訪問。入所棟入り口に「当施設への無断立 ち入りおよび当施設利用者と、その保護者等からの事前の承認・連絡 のない突然の訪問や面会、外出等のお誘いは固くお断りします」とい う内容の「謹告」が張り出されている。

12月 4日(木)
支援者3人が旭出に訪問。Aさんと車の中で話をする。15分後、 パトカーが4台ほど来る。一時間後、父親が来て、Aさんは車から降 りる。その後、3人は「建造物侵入」の疑いで逮捕される(うち知的 障害者の1名は同日釈放)。

■以下は抗議ビラより

2003年12月4日(木)、東京都練馬区にある社会福祉法人 大泉旭出学 園 旭出生産福祉園 (知的障害者入所授産施設)にて、到底許しがたい出来事が 起こりました。

5年ほど前から、親元で地域支援を受けていた男性Aさん(重度知的障害者) は、今年5月に、本人の意志に反して親の希望で入所を余儀なくされました。 しかし、入所後もAさんは週末などを利用して地域支援者や当事者の仲間とボ ーリングやカラオケなどに行く余暇を楽しんでいました。
このような余暇活動についても、園側は「人とのかかわりが複数だとばらばら の支援でおちつかない」、「話に来る事は親の許可を取ってください」、「責 任者は親なので」、「Aさんの外出については月に一回通院用事だけです」と 一貫してAさんの意志を無視した閉鎖的な対応を行なってきました。
さらには、Aさんの電話帳などを没収し、社会との連絡手段を奪うといったこ とまで行ないました。
Aさんは入所して約半年経ちましたが、このような旭出生産福祉園に対しては っきりとした拒否の意志を示しています。
12月4日(木)、地域支援者とAさんの仲間は話し合いをするために園に行 きました。17:00頃、いつものように作業棟前の駐車場に車を停め、作業 後のAさんと車の中で将来どのように生活していきたいのかを聞いていると間 もなく数台のパトカーに乗って警察官が駆けつけてきて、車を取り囲む騒ぎに なりました。
5年も前からずっと関係のある支援者やAさんの仲間がいつものように園に行 き、車中でAさんの意志を確認していただけで、なぜ旭出生産福祉園は「建造 物侵入」を口実にして警察に通報しなければならないのでしょうか? 園の利用者の方々は仲間などの面会さえも家族の許可がなくては許されない異 常な状況です。
これは、旭出生産福祉園の閉鎖性を象徴した断固許す事のできない事件です。
また、石神井警察署は事実確認を行なわずに、園側からの一方的な聞き取りだ けで逮捕に踏み切るというのは逮捕権の濫用であり、こうした暴挙を絶対に許 すわけにはいきません。

利用者に、ニーズを超えた管理・束縛をするのは人権侵害です。 旭出生産福祉園には利用者の自由と尊厳を考える精神はどこにもありません。
私たちは、利用者をとりまく非人道的行為を絶対に許しません。

自立生活センター 小平
特定非営利活動法人 P.F.P.C  はたらきば
特定非営利活動法人 自立生活センター グッドライフ
ピープルファースト東久留米
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代表連絡先(自立生活センター 小平)
〒187-0003 東京都小平市花小金井南町1−26−30 パラシオ102
TEL  0424−67−7235   FAX 0424−67−7335     E-mail cilkodaira3@hotmail.com

■12/10情報

知的障害者施設での事件の続報(12/10まだ拘置所拘留中です)

関係団体各位

この度は標記の件でご支援ご協力いただきありがとうございます。 事件の続報をお送りいたします。 情報をお送りいただいた各方面に、続報としてお送り頂ければ幸いです。

メールに添付の要望書を東京都に提出しました。 都として旭出に告訴の取り下げの話をしたようです。 要望の項目のうち、Aさんの外出の制限等については、都として調査をするとの ことです。
もし告訴取り下げになれば、都に仲介をお願いし、旭出生産福祉園との話をし ていきたいと考えています。

これからもご支援ご協力の程、よろしくお願いいたします。

自立生活センター・小平
特定非営利活動法人 P.F.P.Cはたらきば
特定非営利活動法人 自立生活センター グッドライフ
ピープルファースト東久留米
特定非営利活動法人 ピープルファースト東京

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緊急要望書

東京都福祉局障害福祉部長 有留武司様

2003年12月10日

東京都として下記の点について、社会福祉法人大泉旭出学園旭出生産福祉園に 対して早急に事実関係を調査した上で、東京都としての見解を明らかにし、具 体的な改善のための指導を行ってください。

1.5月1日付けで、旭出生産福祉園とAさんの間でかわされた形となっている 支援費制度上の入所契約については、明らかに本人の同意が無いまま親の意向 で行われたものであり法的には無効ではないか。

2.5月の入所以降、旭出生産福祉園は様々な形でAさんの、面会、電話、外出 の自由を制限する行為を行っている。(具体的には電話帳の没収、保護者に対 する外出制限の要請、保護者の許可が無い中での面会、外出の禁止など)これ らは、Aさんの人権を無視した違法行為に当たるのではないか。

東京都障害福祉部施設福祉課が、今回の事件に関して仲介者として話し合いに よる解決を目指すならば、まず旭出生産福祉園の浅井園長が石神井警察所に対 して行った刑事告訴の取り下げを要請し、都として今後話し合いができる条件 を整えるべきだと考えます。

自立生活センター 小平
特定非営利活動法人PFPCはたらきば
特定非営利活動法人 自立生活センター グッドライフ
ピープルファースト 東久留米
特定非営利活動法人 ピープルファースト 

東京 代表連絡先(自立生活センター 小平)
東京都小平市花小金井南町1-26-30パラシオ102
 Tel  0424-67-7235

■12月12日までの情報

 厚生労働省で12日に行われた「障害者の地域生活支援のありかた検討会」において、複数の委員から、旭出生産福祉園の逮捕事件問題が取り上げられた。この検討会には東京都の有留福祉部長も委員として参加している。
 これに先立ち数日前に行われた、日身連、育成会など主要7団体での会合において、旭出生産福祉園の逮捕事件問題が関係団体から伝えられた。
 これに先立ち、東京都内の親の会なども施設と東京都の有留福祉部長に抗議を行った。
 東京都は旭出生産福祉園に対し、起訴の取り下げを指導した。これを受け、施設は石神井警察署の担当刑事(資料4参照)に電話し、起訴取り下げの意思を伝えた。担当刑事は「警察のメンツがあるので取り下げはできない」と答えたという。翌日、施設が再度、石神井警察に電話したが、「担当刑事が休んでいるので対応できない」との回答があった。支援関係者はこのメンツを優先する警察署の腐敗ぶりに怒り心頭という。入所施設の改善だけではなく、警察署への教育も今後の課題と考えさせる出来事である。 (介護制度情報編集部)

■12月14日情報

 12月13・14日に東京・千代田区で行われた障害者政策全国研究集会において、旭出生産福祉園の逮捕事件問題が取り上げられた。13日の全体会での報告のほか、14日には自立支援分科会が行われ、厚生労働省障害保健福祉部長のほか、主要障害者4団体等からパネラーが参加する中、複数のパネラーからこの問題が引き合いに出され、閉鎖的な施設の問題と、施設から地域生活への移行の課題が話し合われた。 (介護制度情報編集部)

■12月15日情報

関係者各位

この度は標記の件での皆様のご支援ご協力に大変感謝しております。 その後の状況についてご報告いたします。

不当に逮捕されていた地域生活支援者2名は、12/15(月)、不起訴となり 釈放になりました。

先週から、東京都は我々の「緊急要望書」に沿った形で、旭出生産福祉園に 二人への告訴を取り下げ、話し合いによる解決を目指すよう強い働きかけを行 いました。

それを受け、旭出側も(書面での告訴取り下げには至りませんでしたが)石神 井警察署に対し、告訴取り下げの意思を伝えました。

今後は、私たちの本来の目的である、Aさんへの支援(第一目標は通信・面会・ 外出の自由を獲得することです)を行っていきます。 都も話し合いは今週から来週早々には始めたいとの意向ですので、抗議行動 は一旦終了としたいと思います。 平行して、Aさんの親との話し合い、関係市への働きかけも行っていく予定です。

この間の皆様のご支援、本当にありがとうございました。 引き続きご協力をお願い致します。

(なお今回の逮捕の不当性については、逮捕された二人の証言を基に、近いう ちに何らかの形で明らかにしていきたいと思っています)

自立生活センター・小平
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