兵庫県A市で身体介護で毎日17時間に

 兵庫県では、阪神間の人口集積地では、5市で24時間介護保障が出来上がるなど、交渉が進んでいますが、山間部の市町村ではまだまだ遅れています。その中の山間部のA市(西宮市から1時間程度の距離)で、交渉により身体介護で毎日17時間の決定が出ました。

兵庫県A市交渉報告

メインストリーム協会 佐藤 聡

1.経過

 7月に兵庫県A市在住のK子さんのお母さんからメインストリーム協会に相談がありました。K子さんは、身体と知的に重い障害を持つ9歳の女の子です。非常に重度で、げっぷやおならも自分では出すことが出来ません。介助も熟練した技術が必要で、お母さんと数人の介助者しか出来ないそうです。24時間の介助が必要で、さらに常時二人の介助者が必要です。それまではお母さんと、居宅介護派遣事業所から月240時間、介助者の派遣を受けておりました。
  しかし、これでは全然足りません。そこで、お母さんはA市の障害福祉課に340時間/月の派遣を求めたのですが、A市は全く認めませんでした。しかも、「死んでも仕方がない」というような発言をし、対応もひどかったようです。この対応で、お母さんは精神的なダメージも受けてしまいました。
  メインストリーム協会は、西宮市以外の市町村とは交渉をしてこなかったのですが、A市には交渉団体がなかったため、交渉を行うことにしました。

2.ケアプランの作成

 交渉に先立って、K子さんとお母さんにお会いし、詳しい生活実態を聞きました。毎日2人介護が24時間必要で、お母さんが24時間介護をするほかに、ヘルパーが24時間ついていないとやっていけないという状況でした。
  これまでは、A子さんを支援する人たちがボランティアで介助をしておりましたが、介助者も介助時間も少なく、十分な介助は出来ておりませんでした。お母さんは、介助疲れで、精神的にも肉体的にもかなり追い込まれているようでした。
  お母さんからは、夜間は一人で介助をしたいという希望がありましたので、その希望にそってケアプランを作成すると、512時間/30日の支給量が必要だということがわかりました。

3.交渉

 7月25日に障害福祉課との初めての交渉を行いました。出席は、A市障害福祉課長補佐・担当ケースワーカー、メインストリーム協会スタッフ3名、A市社協障害者生活支援事業担当者、K子さんの介助者でした。
  K子さんのお母さんは、それまでの障害福祉課の対応で精神的ダメージを受け、障害福祉課の二人の顔を見ることもできないということで、出席されませんでした。
 事前にK子さんのお母さんと作成したケアプラン(512時間/30日)を提出し、介助がないと生命の危険があること、常時2人の介助が必要なこと、現在の支給量では全然足らないこと、具体的にそれぞれの時間帯でどんな介助が必要かといったこと等を細かく説明しました。
  そのうえで、A市はK子さんに512時間の介助が必要だ思うのか、問いただしました。課長補佐の回答はあいまいで、明確な回答はありませんでした。かなりの時間をかけて、厳しく抗議しました。結局、支給時間は現在再検討しているので、8月初旬には新しい支給決定を出すということになりました。
 A市では、これまでは220時間/月というのが上限で、これを超えていたのはK子さんの240時間だけだったようです。
 また、以前、お母さんに対して、施設入所を勧めるような発言があったことに対しても、厳しく抗議しました。

 交渉から終日後、K子さん宅にA市の次長・課長が訪問し、これまでの障害福祉課の対応について謝罪がありました。以前の対応とは大きく変わってきました。

4.結果

 8月12日にA市障害福祉課長から、K子さんに支給決定の連絡があり、同席いたしました。再検討の結果、身体介護527時間/31日の支給決定がでました。こちらの要望が全て受け入れられるという結果になりました。A市では、補正予算を組んでこの支給決定に対応するということです。
 意外にも、1回の交渉でこちらの要望がすんなりと認められました。これには、K子さんのお母さんが議員に働きかけ、数人の議員が動いたという背景もあるようです。
 いずれにせよ、220時間/月というこれまでの上限が撤廃され、身体介護で527時間/31日の支給決定がでたということは、K子さんにとっても、A市の他の障害児・者にとっても、非常に意義のあることだと思います。
 また、交渉を行った結果、障害福祉課の対応も改善され、以前のような暴言はなくなりました。交渉することにより、制度は整い、職員の対応も改善されるということを、改めて実感いたしました。

9月前半までにヘルパー時間数のアップに向けて交渉を!

 支援費の決定はどうだったでしょうか。この決定の後もひきつづき交渉を行うことは可能です。ひどい決定だった場合は、すぐに抗議に行くことが肝心です。今年は新制度になったことから、補正予算が出しやすい年です。抗議後、要望書を出し、課長の予定を聞き、交渉申し込みしてください。

補正予算は9月議会にあわせて行われます
なるべく9月に何度も交渉を行い、決着してください。

交渉をしたい方、ご連絡ください。制度係 0037−80−4445 11時〜23時。厚生労働省の情報、交渉の先進地の制度の情報、ノウハウ情報、など、さまざまな交渉成功実績のある情報があります。ぜひ自治体との交渉にお役立てください。

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 申込みは発送係0120−870−222へFAXか電話で。(交渉を行う方かどうか、制度係から電話させていただいてからお送りします。) 1000円+送料

 

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