障害者の介護保障の現状と地域格差(身体・知的・精神障害)
◆全身性障害者等の使える介護制度
いまだに、交渉の行われていない地域では、一人暮しの全身性障害でも、週2回(4時間)しかホームヘルプサービスを受けられない、というのが平均的な自治体の例です。当然、家族と暮らしているとこれ以下の水準になります。
逆に、重度の全身性障害者が単身生活をしている地域で、交渉を行っている場合は、以下のように全国各地で制度が伸びています。いずれも、交渉を始めて2年程度で、毎日10〜24時間の介護制度が受けられるようになっています。これは介護保険の最高水準をはるかに上回る水準です。
各地の介護制度交渉が行われている地域
(自薦可能のヘルパー・ガイドヘルパー・全身性障害者介護人派遣事業・生活保護大臣承認介護料(毎日4h)の合計時間数)
(下表は一人暮らしの24時間要介護の障害者に対する時間数です)(1日9時間程度以上の市)
地域・市の名前 |
97年度 |
98年4月 |
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(週当たり) |
(週当たり) |
(1日当たり) |
備考 |
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東京都内の15市区 |
週168時間 |
→ |
週168時間 |
24時間 |
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九州 熊本市 |
週147時間 |
→ |
週147時間 |
21時間 |
金額面で24時間保障 |
四国 松山市 |
週112時間 |
→ |
週126時間 |
18時間 |
|
大阪府I市 |
週96時間 |
→ |
週96時間 |
14時間弱 |
4月交渉中 |
東海・静岡市 |
週87時間 |
→ |
週91時間 |
13時間 |
|
兵庫県宝塚市 |
週87時間 |
→ |
週91時間 |
13時間 |
|
四国のT市 |
週70時間 |
→ |
週84時間 |
12時間 |
|
北海道のS市 |
週82時間 |
→ |
週82時間 |
12時間弱 |
4月交渉中 |
南関東のR市 |
週80時間 |
→ |
週82時間 |
11.6時間 |
|
兵庫県内の数市 |
週70時間 |
→ |
週70時間 |
10時間 |
13時間の市も |
山陰のY市 |
週70時間 |
→ |
週70時間 |
10時間 |
|
南九州のK市 |
週56時間 |
→ |
週70時間 |
10時間 |
|
千葉県市川市 |
週28時間 |
→ |
週69時間 |
10時間弱 |
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中国地方・岡山市 |
週68時間 |
→ |
週68時間 |
9.7時間 |
|
北関東のU市 |
週68時間 |
→ |
週68時間 |
9.7時間 |
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大阪市 |
週63時間 |
→ |
週63時間 |
9時間 |
(
問い合わせは全国障害者介護保障協議会・制度係(0422-51-1566)へ。くわしい説明ができます。各市への直接問い合わせはさけて下さい。 行政交渉でこれらの市に問い合わせを自分の市の職員からしてもらう必要のある場合は、事前に根回ししますので、必ず介護制度相談センター・制度係まで連絡ください。地元の団体の要望で、問い合わせをしてはいけない市もあります。) ★各自治体の3つの制度の詳しい資料は、介護制度相談センターの販売資料集1〜3巻に掲載しています。
◆
ホームヘルプサービス事業(身体障害全般・知的障害)この制度は、利用者の必要な時間だけ派遣するという大前提がある制度です。厚生省は派遣時間数の上限撤廃を撤廃するように毎年、都道府県に指示を出しています。このため、この事業の実施主体の市町村が上限を撤廃しようとれば、いつでも必要なだけの時間数を派遣決定できるようになります。当然、毎日1時間でいい障害者には、毎日1時間の派遣を行い、毎日14時間の派遣が必要な障害者には、14時間の派遣を行えます。事実、九州や東京で毎日14〜16時間の滞在型の派遣が行われています。
又、市のヘルパー人材のうち、最適の人材を派遣するのがこの制度の本旨(国の要綱にそう書かれていると厚生省担当者が解説している)で、そのヘルパーにも、男性ヘルパー等の必要性から、在宅障害者の介護をしている者を積極的に確保するよう、厚生省は全国主管課長会議の指示文書で書いています。これを利用して(前ページの表の市など)自分で確保した介護者を自分専用の登録ヘルパーに利用している地域が増えてきました。
◆全身性障害者介護人派遣事業
(全身性障害)98年度、全国95以上の市町村区で実施され、7都県に要綱等が整備されています。(例)東京都の基準では月240時間×1420円の制度を使い、介護者に給与(市から介護者に銀行振込)を支払えます。静岡市では242時間の制度、大阪市で153時間、千葉県市川市で150時間などとなっています。要介護時間の大きい自立障害者用の制度で、自治体ではホームヘルプ予算とは別の予算で事業化されますが、国のホームヘルプ事業補助金を受けることができます。市町村は25%の負担で実施できるため、近年、交渉が行われたほとんどの自治体で事業が開始されています。
◆
ガイドヘルパー制度(視覚障害・全身性障害)3300市町村の約1割で実施されています。四国、近畿、北関東などでは、単身者で介護ニーズの高い人は、自立生活センターへの通いや買い物等に、自分専用の介護者で8〜10時間×毎日の利用ができる自治体もあります。逆に交渉を行っていない市では、市役所と病院のみの利用しかできないという市もあります。
◆
生活保護の他人介護料全身性障害者など、毎日4時間以上の介護不足(他制度を使った上での不足)があれば、厚生省基準の介護料特別基準を申請できます。月13〜18万円台の介護料が受けられます。
7万円台の一般基準介護料なら、知的障害者なども利用実績があります。
◆知的障害者の使える介護制度
◆
ホームヘルプサービス事業自分で確保した介護者を自分専用の登録ヘルパーに利用している知的障害者も少しずつ出てきました。例えば、東京都の東久留米市では、自立生活センターの支援を受けて、一人暮しの重度知的障害者が毎日9時間(月270時間)の自薦登録ヘルパーを利用しています。
◆
ガイドヘルパー制度上記の自薦登録ヘルパーでも外出はできますが(厚生省はホームヘルパー制度で外出介護に対応させたため)、自治体独自でガイドヘルパー制度を作って、それに対して、国のホームヘルプ事業補助金を利用することは可能です。大阪府では知的障害者ガイドヘルパーの要綱を作り、全市町村に実施を指導しています。他に大阪府、名古屋市などで知的障害者ガイドヘルパー制度ができています。
◆精神障害者の介護制度
精神障害者の介護制度は現在、自治体レベルでは自選登録ヘルパー派遣を行っている地域もありますが、国レベルではまだ開始されていません。国の審議会でも精神障害者へのヘルパー派遣を答申する予定なので、数年後にはヘルパーの国庫補助対象になります。
以上の各介護制度の詳細資料・制度の交渉の方法等、は全国障害者介護保障協議会 TEL 0422-51-1565 まで問い合わせください。 |
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