知的障害者の外出介護制度について

 

知的障害者のガイドヘルプ制度を作ろうとすると、1年から2年かかりますが、この、ホームヘルプ制度の自薦登録の方法なら、1ヶ月以内に解決します。兵庫県M市の例を書いていただきました。

 

◆兵庫県M市発◆1ヶ月かかりましたが

息子(知的障害者23才 手帳A)のガイドヘルパーが(ホームヘルプ事業の外出介護)短時間ですけど認められました。

(96年12月社会福祉協議会で相談、97年1月から以下のような取り組みをして、1ヶ月で外出介護が公的に受けられるようになった)。

 

1.97年1月6日 社協(M市の老人・障害者向けホームヘルプ事業を受託してい          ます)にて

    (1)(ヘルパー派遣依頼)申し込み

    (2)(自薦の)ヘルパーの登録申し込み

 

2.1/16 (自薦)ヘルパー健康診断を受ける

 

3.1/24 (自薦)ヘルパー新人研修を受ける

 

4.1/28 社協事業課(ヘルパー)課長、地区担当コーディネーター家庭訪問

 

5.1/30 派遣決定通知書届く←福祉事務所より

 

6.2/3  ヘルパーと神戸行き開始

 

1ヶ月かかりました。

この様に時間がかかった大きな理由は、社協の新人研修を受けなければ(月1回、毎月末)ヘルパーとして、認めず活動できない為です。

外出介護は、週1回3時間実現しました。その為、社協は今までの体制から脱皮する為に踏み込んでくれました。

 

(1)ヘルパーはM市民に限る。(窓口で交渉し)→市外在住者のヘルパー登録を認める。

 

(2)M市外への外出は認めない。(窓口で交渉して)→神戸行きOK

 

(3)利用者の推薦するヘルパーの登録は初めて!?

  但し、他の利用者へ行ける時は行って欲しい。(一般の登録と同じ?!)

 

(4)2時間を超える派遣を渋る(窓口で交渉して)→3時間OK

 

 社協の以上の了解を得るために、窓口では色々とやり取りをしました。簡単ではありませんでしたが。「親が介護できないのですか?」とは一言も言われませんでした。「今、介護が必要な人に必要な介護は提供しなくてはならない。人手の問題があって、できぬ場合もあるが…。」の意識は社協は持っています。

しかし、(入浴介護)知的障害者の介護は、彼らには苦手な分野です。経験がないのもその一つの理由と思います。常勤ヘルパー6名(女性)、登録ヘルパー(パートヘルパー)400名中男性2名(97.1.30現在2名とも60才以上)と構成にも問題があるのかも。(以上の数字は6回位の話し合いの中でやっとわかってきました。)

 苦手ではあるけども、社協は私共の強い願い、要求をかなえる為に一歩も二歩も踏み込んでくれました。

 自薦ヘルパーの制度がないのも、社協が渋ってきた原因かもしれません。今まで息子、明の介護に入っていたボランティア(被災地救援本部の職員)の女性を自薦同様にヘルパーとして認めました。画期的なことかもしれませんが、ごくごく当たり前のことです。

 

当市で障害者長期行動計画策定の為に行った障害者800人のアンケートを記します。

 

 

 

 

生計の中心者であ

る(含む配偶者)

外出時

常に介護が必要

外出時の介護は

親である

 

 

 

身体障害者

18才〜64才

86.8%

 16.3%

  14.1%

 

 

 

知的障害者

18才以上

9.8%

 34.5%

  78.5%

 

 

 

重複障害者

18才以上

25.9%

 56.3%

  79.5%

 

 

知的障害者の介護の必要度が高いのは歴然としています。しかも、知的障害者の生活は介護も親の丸がかえです。そして、介護もほとんど親と肉親のみです。親戚、近所の人、ボランティア、ガイドヘルパー、ヘルパー家政婦、全て加えても0%です。全ての生活が(食べること、買い物、外出、仕事)が良くも悪くも親次第。

 

親は親で「この子のめんどうは私がみなくては!」「先に死ねない」「収容施設をつくらなくては。」と思いこんでしまう。

世間も役所もそれをいいことに、地域で生きるための施策をやってこなかった。放置してきた。今、親以外の人、生きることの模索が、ここ、ホームヘルプ事業の中にあると思います。とことん、この制度の拡大をはかりたいと思います。

 

 今回社協が、ヘルパー派遣を認めたのは、私共が父子家庭のせいかもしれません。

知的障害者世帯の派遣は2例目のようです。私たちは市の障害福祉課へ「知的障害者の為のガイドヘルパー制度をつくって欲しい!」と、この2月に要望書を提出し交渉もしています。しかし、財政難を理由に認めようとしません。2月中旬より、入浴(銭湯)介護を頼んだのですが、なかなか良い返事が貰えません。公平性が維持できない(内湯介護は10例ほどあるらしい。)、継続性が保障できない(男性ヘルパーがたった2名)というのが大きな理由のようです。仲間の市内の男性をヘルパーとして登録し、「継続性については私共でがんばるから」といっても、まだまだダメなんです。3月に平日の外出介護のお願いをしたのですが、これもなかなか前に進みません。

3月下旬、障害福祉課長が「知的障害者のガイドヘルパーの必要性を認識しています。名称はこだわらないが。」と発言しました。前に進むかもしれません。

制度を使いながら、制度の不備を追求しながら粘り強く交渉しようと思います。

社協の云う公平性はみんなが使う中で!継続性は自薦同様のヘルパーをたくさんたくさん登録する中で解決していきたいのです。

親の都合ではなく、本人の気持ちで使える制度を!

費用負担は生計中心者(親)の所得が基準になればしんどいです。障害が社会的不利益にならない為、来春には!ガイドヘルパー制度を!と思っています。

以上

浜根一雄

 

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