第7回社会保障審議会・障害者部会 傍聴メモ&解説

2004年3月30日、第7回社会保障審議会障害者部会が開催されました。  

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

 今回は、前回示された論点整理にそって、


障害者の自立支援のための保健福祉施策の体系の在り方
○ライフステージ等に応じたサービス提供
・保健福祉サービスの機能の現状
・地域生活を支援するために今後重視すべき点 
・ライフステージごとに重視すべき点

についての議論がなされました。

前回まで、触れられていた介護保険と障害者施策の 話は今回は全くでませんでした。

 最初に事務局より、資料の説明がありました。

■「施設入居者の状況について」
・施設入居者の年齢及び障害程度の割合のデータを示したもの。
・身体障害者療護施設や精神障害福祉ホームは、高齢化が進んでいるが、知的障害者 は成人期の人が多い。
・重症心身障害児施設は8割以上が成人の人の利用、肢体不自由児施設・知的障害児 施設においても半分以上が成人の利用となっている。
・知的障害は入所更生・授産より通所更生・授産のほうが療育手帳の等級の重い人が 多い。

■「手帳に伴う民間サービスについて」

■発達支援に関する勉強会について
・自閉症、アスペルガー、ADHD、学習障害などこれまで正面からとらえていな かった障害を今後どうとらえるのかということで勉強会を非公式(公開制)で開催し ている。様々な現場で実務的な活躍をされている方、外国の事例に詳しい方、行政は 厚労省と文部科学省から入っている。自由に意見交換する形で進めている。2月に第 1回目をやって、2週間に1回のペースで、テーマを決めて、有識者によるプレゼン とディスカッションをしながら、4月まで開催して、勉強会の意見をまとめる。
・資料にこれまでの議論のまとめが掲載されており、口頭での説明では触れられてい なかったが、当事者活動にも言及されていた。
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○当事者活動
・与えられる支援から、当事者が主体的に関われるよう、エンパワメントの視点が重 要。
・自閉症の認知の特性による「自閉症文化」というべきものがあり、それを安心して 共有できる場として当事者活動が重要。
・当時者活動を、支援の受け皿の一つとして考えるのであれば、要するコストにも配慮が必要。
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・”地域の中で家族や友人とともに生き、働くという誰にとっても当たり前の暮らし を実現できるように支援するのが基本。”という考えかたが示されているものの、学 齢期については”特別支援教育”という言葉が謳われているが具体的に何を行って いくかは明確には示されておらず、統合教育的な視点もほとんどいれられていない。

 事務局からの説明の後、障害者部会の委員であり地域支援に取り組んでいる武田委 員((福)桑友理事長)、北岡委員(滋賀県社会福祉事業団企画事業部長)から発表が ありました。
 武田委員は精神障害の地域支援について、島根県出雲市周辺での就労・授産施設・ 作業所・グループホーム・地域生活支援センター・就労支援センターなどを地域住民 や商店街などを巻き込みながらの行っている実践について報告しました。
 北岡委員は、滋賀県で乳幼児期・学齢期・成人期のライフステージに応じてなされ ている取組みについて報告されました。特に、施設の機能を生活の場と活動の場にわ け、複数の施設サービス・居宅サービスを利用できる仕組みをつくることで、地域移 行が図れるのではないかという提案をされました。
 これを受けて、各委員が意見や質疑を行うという流れで議論が進められました。

○各委員の意見の抜粋

広田委員(精神医療サバイバー)
 手帳に伴う民間サービスの資料をだされたが、精神障害者は割引がない。介護者同 伴の際の交通費の割引をつけて欲しい。社会的入院の人が病院からでてくるために介 助者が必要である。厚労省をあげてやって欲しい。
 武田さんの発表は良い発表だった。ともすると自分のところで抱えこんでしまう。 そうでなくて、自分のところが限界なら他に支援を求めている。それが一般就労にも つながる。
 資料の8pにガイドヘルプがあるが、精神障害者にもガイドヘルプが必要である。 私もピアサポーターとして外出支援をやっているが、全てはまかなえない。ガイドヘ ルプが制度でできればいい。

松友委員(育成会)
 育成会は知的障害の親の会で、知的障害は赤ちゃん、発達期の頃から障害がでて大 人になる。育成会としては今は子どもが大人になっているので、大人の問題もやって いるが、スタート時にどう取り組むのかは大きな課題。
 発達障害について、“early intervention”を“早期療育”と訳しているが、誤訳 である。内閣府は“早期介入”正確に訳している。療育は介入の一部で、家族に対す る支援がないと成功しない。障害を軽減するだけでなくて、本人が大人になる中で、 障害を受け止めて生きていけるエンパワメントがないと成果があがっていない。家族 の場合、母子責任論ではなく、家族支援論。家族は資源でなく、家族をエンパワメン トしていく。放課後、長期休暇の際の支援をどうするのかが課題で、教育と福祉の連 携、個々のサポートが弱い。
 母親の就業保障ができていない。母親も働きたい。これが悪循環になって、子供が 自立するときの足をひっぱっている。家族支援は本人への支援と一対になっている。
 本人自身が障害を受け止めるようなILPが知的障害者の分野はない。今は、本人 が小学生の時にてんかんを告知する時代。本人に本人の障害状態を話し、サポートで きるような状況をつくる。本人が大人になるまでに障害を忌み嫌って育っている。子 供の時から見てきた者としては、大人の問題のスタートになっているところをきちん とやって欲しい。
 法体系上の分断はもうだめで発達機能の支援を一体化して行う。幼児期、発達期の 支援が未整備で、そこをきちんとやって欲しい。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)
 施設の24時間の体制の中で、暮らす場、活動する場として何を求めていくのか。施 設の入所は本人の意思にはまず基づいていないということから出発する事が大切であ る。
 入所施設でやっている、ナイトケア、食事のケア、金銭管理。これは関係者の安心 を提供している。どこにいてもこれらのサービスを受けられると、地域に転換でき る。施設の機能を分化して、地域に分散してあるべきである。

京極部会長
 障害者は子どもの時から長いライフステージがある。これを成り立たせるためには 障害者ケアマネジメントが必要で、これについては皆、賛成だが、実際にどうケアマ ネジメントをやるかについては様々な議論がある。高齢者のように一人のケアマネが いて何とかなるものでない。チームで対応していく。障害者ケアマネの総論賛成だけ では何も進まない。ケアマネジメントがはっきりできれば、厚労省の範囲だけでなく て、いろんな社会資源を吸収して調達できる。ケアマネに権限を付与してそれをやら せる。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)
 障害者のマネジメントはいろいろ議論がある。他者によるマネジメント、本人によ るマネジメント、家族によるマネジメントもある。その3つをチームにいれて検討し ていくことが必要である。これまで調整会議をしてきてそう考える。
 ケアマネのシステムは様々な形があると思う。滋賀県は多くの職種が集まって会議 をやっている。もともとは甲賀郡ではじめて、他の保健福祉圏域に広がった。それ が、それぞれの圏域でアレンジされて実施されている。隣の圏域で形が変わるなら、 この国の中では、なおさら、他者・本人・家族によるマネジメント、地域特性による マネジメントについて多様性がある。

妻屋委員(全脊連)
 私たちは中途障害者の会であるが、地域で暮らせるのが最終目標である。施設に長 く居れば居るほど社会にでにくい。療護施設に入っているかたは、何十年と入ってい る。地域に出てくるために受け皿が必要である。予算が追いつくのか。24時間の介護 保障が必要。施設に入ったらなるべくすぐ地域に出るというようにしないとずっと施 設に縛られる。社会の環境、予算を投入して、整備する。
 今は、病院は3ヶ月しかいられない。中間施設もままならない。いきなり家庭にか えってしまう。社会に出て行けないので、引きこもりが多くなっている。中間施設、 ケア付き住宅に予算を投じる。最終的には地域で暮らすことが目標なのでそこにも予 算が必要。介護の必要性、多様なサービスが必要。現在の身体介護、家事援助、移動 介護のサービスはそこで多くのニーズがまかなえる。もっと予算をつけていくべきで ある。
 ケアマネジメントは、障害はいろんな職種を集める体制になっていない。自分でマ ネジメントできる人は自分でマネジメントする、それが原則。それができない人は、 家族、地域の人の中でマネジメントする。

加藤委員(知的障害者福祉協会)
 ライフステージがキーワードになっている。ライフステージごとにサービス、お金 の問題が非連続で繋がっている。一方では今日的な流れて本人中心で生活を支えると いう流れがある。ライフステージごとに施設の在り方、サービス体系のあり方がばら ばらになっていて、非効率になっている。飛躍かもしれないが、本人中心で支えるの なら、ハコモノにお金をつけるのではなくて、当事者に視点をおく。そうすれば、障 害種別、ハコモノ、そういうことをクリアできるのではないか。社会福祉法改正の時 の国会決議でバウチャーシステムにも触れられている。そういう議論もできれば、現 行の様々な問題が限りなく解消されるのではないか。

 最期に、村木企画課長から現在の財政状況と三位一体改革について資料をもとに以 下の説明がありました。財源については次々回で扱うと言うことで時間がなかったと こともあり、議論は行われませんでした。
「18年度までに国庫補助負担金の4兆円を廃止・縮減するということが閣議決定さ れている。何を廃止・縮減するのか?全国市長会、全国知事会からこういう補助金・ 負担金を一般財源化してほしいと言う提言が出ていて、資料で障害者福祉の関係の所 はアンダーラインを引いている。これらを受けて平成15年の11月に国庫補助金改革の 基本的考え方が総務省より示されていて、地方自治体がのぞんでいるものから一般財 源化をするという意見書がだされている。
 18年度までに4兆円の削減で、16年は1兆円の一般財源化された。1兆円の内 訳は資料16pで、2150億円が厚労省の部分で、公立保育所の運営費が一般財源化さ れた。夏の予算平成に向けて残りの3兆円の議論が行われる。 財源の関係の基本的 な資料としてまとめてみた。財源の議論は次々回になるが、こういったことも含めて ご議論いただきたい。」

※障害者部会全体の議論については以下をご覧下さい。傍聴メモですので取 り扱いご留意ください。


ご注意

 これは傍聴者の個人の要約メモですので、細かい発言内容に間違いや抜けも多いと思います。あくまで全体の流れの雰囲気を感じる参考にとどめてください。

 転用はお断りいたします。順次訂正していきますのでほかの方にお知らせする場合はホームページアドレスのみお知らせください。繰り返しますがこれは短時間で個人がまとめたメモですので、委員各自の発言内容を正確に反映できていませんので、これをもとに各委員に対し抗議や批判を行うようのないようにお願いします。

2004.3.30 14:00〜17:00
第7回 社会保障審議会・障害者部会 議事内容メモ

(※これは傍聴者のメモであり、議事録ではありませんので、取り扱いご留意ください。)

間課長補佐(企画課)

 出欠は、猪俣、亀井、津久江、長井、西島、福島委員が欠席。岡谷、広田委員は遅刻。
 続いて、資料の確認。 資料1は論点整理、資料2が前回議事概要、資料3施設利用者の状況、資料4手帳サービス、資料5発達障害者の勉強会の報告、資料6は武田委員提出資料、資料7は北岡委員提出資料、資料8は政府の予算構造について、資料9は三位一体改革の動向。

京極部会長

 前回、障害者の施策の体系の在り方について議論が足りなかったので引き続きお願いしたい。ライフステージに応じた支援の在り方。北岡委員、武田委員より意見発表もいただく。

間課長補佐(企画課)

 資料1は前回示した論点整理に、前回の議論も踏まえて、“住まいの確保”という項目の修正をした。
 資料2は前回いただいた議論を整理した。太い字は前回の意見。そうでないのはそれ以前の意見である。

 資料3は施設利用者の状況について。これについては細かく説明させていただく。
 まず、はじめに施設利用者の年齢区分を示したものである。前回の議論で、施設は機能別になっているが、その実態は多様という話があった。今回は、身体、知的、精神の施設利用者を年齢階層で区分した資料である。一番右側が65歳以上。療護施設は高齢化している。精神障害者福祉ホームも高齢化が進展している。
 特徴的だが、知的障害者の通所更生・授産施設は、成人が8〜9割で、身体、精神にくらべて特徴的である。知的障害者の施設利用者は若いかたが多い。総じて入所よりも通所施設のほうが若いかたが多い。
 2pは障害児の施設の年齢区分。特に重症心身障害児の施設は8割がたは成人が利用している。肢体不自由児施設、知的障害児施設も半分強の利用者は成人である。
 3pは障害の程度である。身体障害者関係の施設を並べている。左に行くほど重度のかたになる。1級のかたの割合を見ると療護施設、盲児施設、肢体不自由児施設、重要心身障害児施設は重度のかたが利用している。
 4pは知的障害関係の施設。療育手帳の等級で区分している。施設によって差はあるが、入所更生、通所更生、入所授産、通所授産を見たときに、通所のほうが重度のかたが多い。児童の施設は重いかたが多い。
 5pは精神障害者の関係。調査の関係で全ては網羅されていない。GAFという手法を使って障害程度を区分している。GAFについては6pに資料をつけている。基本的に数字が低いほど障害をお持ちである。100に近いほど、障害が少なく暮らしている。このように見ると、51〜60の人は施設によってはあまり差はない。精神病院をみると、重い障害の人が多い。他方、71以上の層は各施設に一定程度いる。必ずしも障害が重い人ばかりではない。多様な人が入所されている実態がある。
 資料の4は手帳に伴う主な民間サービスの一覧である。 前回、手帳のサービスを紹介してほしいと言う委員からの要望があった。JR・私鉄、旅客、道路、郵便関係、NTT、携帯電話、そういった形で企業の方にも協力をいただいている。

泉課長補佐(企画課)

 資料5「発達支援に関する勉強会について」は発達障害児者に対して検討している状況について説明している。古典的な自閉症からアスペルガー、ADHD、学習障害、これまで正面からとらえていなかった障害を今後どうとらえるのかということで勉強会をしている。行政や有識者の非公式の勉強会で名簿は2pにある。様々な現場で実務的な活躍をされているかた、外国の事例に詳しい方、行政は厚労省と文部科学省から入ってもらっている。自由に意見交換する形で進めている。非公式な場ではあるが、公開している。2月に第1回目をやって、2週間に1回のペースで、テーマを決めて、有識者によるプレゼンとディスカッションをやっている。4月まで開催して、勉強会の意見をまとめる。
 3pにはこの勉強会の対象とする発達障害の主なものをあげている。
 4p以降は学集会ででた主な意見についてまとめている。基本的な考え方とテーマごとの考え方、そして横断的な考え方についてもふれている。
 基本的には発達障害は子供の人口の5%、早期発見・診断と環境調整で社会的な機能を高める事ができる。発達障害児に対してはこれまで知的障害の施策の中で対応してきたが、知的障害と自閉症ではニーズ、支援方法が違い、今後は独自に位置づけるべきである。 ライフステージを考慮した地域生活の支援が必要である。早くから療育をすることで改善される。小さいときは正確な診断よりも親に対する子育て支援が重要。乳幼児健診でスクリーニングするより、子育ての問題について様々な支援をする事が重要である。
 発達障害の診断・治療の専門家(医師・医療機関)が少ない。
 日常生活や地域における支援は、地域の中で家族や友人と生き働くことが基本である。
 7pは地域での暮らしを支えるサービスが必要で、ショート、レスパイト、グループホーム、ホームヘルプ、ガイドヘルプが必要である。地域の中の様々なネットワークで支える。
 専門的な療育支援。人生の様々な場面で専門的な支援が必要。相談支援、療育、就労支援などの様々な支援が必要である。
 最後の9pはこれまで議論した施策を横断的に支えるものについて基盤整備が必要である。  今後、これに肉付けをして、とりまとめをする。
 自閉症と知的障害者をもっている人、自閉症で知的障害を伴わない人など、どういう支援が必要かのケアモデルをだしていく。

京極部会長

 ご質問は武田委員、北岡委員の発表のあとで。

武田委員((福)桑友)

 “私もこのまちで暮らしたい”というタイトルで、17年の活動の中で考えたことを述べる。精神病院にいるかただけでなく、家の中にいて外に出られない人の声を聞いて、どういう支援ができるか考えてやってきた。
 一番多かった声は、働きたいという声。それを考えてきた。自分があそこに行っていると言える場所、通いやすい場所でないといけない。そのため、アクセスの良い場所とした。駅の近く、国道の近くで展開した。誰もがわかる駅前の商店街ぞい、国道ぞい、住民も含めて誰もがわかって行きやすい場所でやってきた。
 そのうちに住まいが問題になった。グループホームを地域の中に作って、住民と相互交流が出来るようにした。街の中でくらせて、日常的な交流をするために、住宅街の中で探してきた。
 三位一体改革のことがでているが、経済が疲弊する中で、地域でアパートの空き物件、空いた土地がでてくることがあった。私のところだけでなく、調布の巣立ち会も町の中に素敵なマンションがたっている。不動産屋から精神障害者が住める物件をたてたいという声がでてきた。
 日々をどう過ごしていくかも大きな課題である。障害が重い、退院して間がない人は、まずでかけることが重要である。センターで集まって食事を食べることから始まって、皆で外にでかける。そのうち、働こうと言う気持ちがでてくる。ニーズは様々なでそれに応えるためにパン屋、レストラン、作業所を作ってきた。今は就労では障害種別は関係なく働いている。道の駅ができる時に、商工会など住民の中に入りながら、道の駅でバイト、清掃を受け持たせてもらっている。そいういうことが知られて、旅館のお風呂、リラックスルームの清掃、農家の作業、お餅屋の配達など、一つ、一つは小さいが、まちの中で地域のかたと一緒にやっている。これ(スライド映像)は出雲市の駅前のスーパーだが、もともとパン屋が空き店舗になると言うことで、実習の場を作った。そこから就労支援センターも生まれた。人目につくところで活動していたことで広がってきた。
 毎年、利用者アンケートをとっている、一番不安が大きいのは就職。それから、お金、生きがい、結婚、家族の問題。様々な心配、不安がある。その支援をどうしていくのか探ってきた。
 町の中で暮らしていくために地域の人と仲良くなっていく。地域交流はイベントではなく日常からの交流をしている。パンやクッキーの教室を開いている。主婦のサークル、生協のグループなど、地域の皆さんもそういう場を求めている。街の中に施設があると、自然に相互学習に使ってもらえる。
 納品先、住まいの場、働く場として広がってきた。天神町の商店街の一角に土地を購入できた。これまでは地域をどうまきこむかだったが、今は、地域の空き店舗の活性化の動きに巻き込まれている。今度の通所授産施設の建設には商店街、商工会が一緒になって取り組んでくれている。
 これまでの経験から、町の中で一生懸命やっていくと、地域の人が協力してくれる。地域は資源の泉である。
 そういう活動を通して、障害種別を越える。支援をライフステージごとに考えていくようになった。最近は高校生、大学生のかたの利用が増えてきた。思春期のかたの支援は自分探しを一緒になって考える。様々な支援を未成年者層にやっていくと、そのかたの夢がかなうのかを一緒に考えることが重要である。その際に、いろいろな経験がないことが課題となっている。遊ぶことも大きな経験である。
 成人のニーズは、働きたい、社会の役にたちたいということである。就きたい仕事は様々で、それを自分達で全部は出来ない。それを地域に求める。自分達で抱えずに、地域に訴えていく。 就労を続けていくためには、仲間同士の支えない、ピアの支えあいが大きな支えになっている。就労の不安を仲間が相談にのっている。一緒に就労体験にいってもらえる。障害が違ってもピアの力で支えられる。
 障害と高齢とではそんなに施策はかわらない。高齢の施策のパーツを使っていく。小規模・多機能は障害・高齢の枠組みの中でできないか。
 誰でも衣食住は年齢関係なく暮らしの中で必要。そして、学ぶ、働く、生きがいも皆に共通である。様々な学習支援、ジョブコーチ、パートナー、ホームヘルプ、そういった様々な支援のパーツを組み合わせる。その人が地域で暮らすのにどんな不自由を感じているのか、その人らしい人生を支援していく。
 72000人の退院促進の話がでているが、掛け声だけではだめで、病院が地域に押し出す力が必要である。選択できる情報を伝えていく。
 地域ではそれを引っ張る力が必要で、当事者・仲間・家族・地域の支援者が引っ張る力をもつ。その支援システムを作る。地域に受け止める力、場を作っていく。
 ケアマネジメントでその人にあった支援をしていく。

京極部会長

 ご質問があれば。

広田委員(精神医療サバイバー)

 厚労省に質問。手帳に伴う民間サービスの資料をだされた。精神障害者は割引がない。介護者同伴の際の交通費の割引をつけて欲しい。社会的入院の人が病院からでてくるために介助者が必要である。厚労省をあげてやって欲しい。
 武田さんの発表は良い発表だった。ともすると自分のところで抱えこんでしまう。そうでなくて、自分のところが限界なら他に支援を求めている。それが一般就労にもつながる。
 資料の8pにガイドヘルプがあるが、精神障害者にもガイドヘルプが必要である。私もピアサポーターとして外出支援をやっているが、全てはまかなえない。ガイドヘルプが制度でできればいい。制度としてあるのがいい。

武田委員((福)桑友)

 私たちの地域も制度としてはない。ガイドヘルパーがあればいい。
 他の障害も一緒だが、町にでたことない人はいきなりでられない。最初は一緒に行って、なれると一人ででられるようになることもある。

広田委員(精神医療サバイバー)

 是非、一緒に厚労省に要望しましょう。

高橋清久委員(国立精神・神経センター)

 不動産屋にとって何がモチベーションになるのか。
 施設と地域のコンフリクトはおこらないか。

武田委員((福)桑友)

 双方にモチベーションがないとだめ。普段から不動産屋に家が空いていないか言い続けてきた。バブル崩壊のころまで冷たかった。今、家賃がさがっている。また、夜逃げをする人が多い。逆に今は、精神障害者は夜逃げをしないという認知がでてきた。不況が私たちにモチベーションを向けている。これは他の地域も同じである。
 コンフリクトの問題は上手くかわしている。私たちのところは9号線で誰もが知っている喫茶店だった。あそこは精神障害者の施設ではなく、普通の喫茶店だと思われていた。そういうことが地域に受入られている。
 通所施設があることで、地域の商店街がうるおっている。最寄り駅の路線も乗客が増える。一般就労も単にお金がつくだけではだめで、事業にどんなメリットがあるのか。そういうことを話していく。町の人と仲良くなっている。

高橋清久委員(国立精神・神経センター)

 家賃が払えるのか、経済的に。

武田委員((福)桑友)

 グループホームは東京のような家賃補助はないので、3万円くらいで収まる一軒屋を借りるしかない。生活保護の人もいる。 就労できる人はどれくらい収入があって、払える範囲の住宅を探す。当初は難しかったが最近は探しやくなった。

堂本委員(千葉県知事)

 今日の発表はとてもすばらしくて、17年の努力に敬意を表する。これが全国に広がればいい。
 厚労省の資料への質問。発達障害に焦点が当たった事は良い。日本はアメリカと比較して児童精神科が遅れている。これだけ政策を遅らせてきたひとつの要因である。今後はじめる上で人材養成について書かかれているが、厚労省全体の話をすると、国立国府台病院に児童精神科があって、ここが民営化されようとしている。これから人材養成をする時に、これまでやってきたところが解体される。今後どのような見通しをもっているのか。厚労省の中の部署が違うかもしれないが、これまでの実績を潰すようなことをしないで欲しい。国府台病院は民営化されると、児童精神科は儲からないのでやっていけない。これを壊すような事をやって欲しくない。
 その昔、自閉症の理解が無かったために精神病院で拘束具をされて放置されている自閉症の人が大勢いた。自閉症については研究が進んだが、今後、くれぐれもこういうことがないように、慎重にして欲しい。

?委員

 大人優位の世界で物事が推移している。しかし、子供のことも重要である。先ほどの議論は歓迎したい。
 児童の施設に成人が入っているという問題があり、また、乳幼児を含めて児童は利用契約ではなく措置制度のままでる。現在、ライフステージを見通したときに、ダブルスタンダードになっている。一体的な支援を考えるななら大きなテーマになると思う。この部会で一つのテーマとしてとりあげて欲しい。

京極部会長

 北岡委員の発表を。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 25年間の取組みをしてきたが、その経験をもとに話をする。
 15分の発表なので、全ては話できないので、5つの問題意識に絞って話をする。
 はじめに乳幼児期の問題について。障害が発見された時の対応と早期療育。先ほどの勉強会の報告もあったが、まさにその通りである。障害の告知を受けたときに親は不安を持つ。それに対して丁寧に向き合う体制が必要である。母親の心のケアが重要な時期である。医師の告知の方法によって顕著な違いが指摘されている。明るい部屋で告知されたか、医師の視線、話をする姿勢が重要。時には親はパニックになる、関係者のきめのこまかい対応が必要。
 2つ目は教育に関するもの。多くの不満は地域の学校に理解がない。自閉症については親のほうが専門性が高かったりする。医療的ケアのある児童の通学は親の付き添いが求めら得ることが多い。教育と福祉の間にある問題も多い。大きくなると卒後の就労も課題になる。
 どんな教育が行われるかがその子の人生を大きく左右する。生活力を高めるための教育が必要である。学齢期までに子どもにそういう力がつかないと、地域で必要なサポートをえながらくらしていくことが難しくなる。個々の障害に応じたサポートがあれば、その生活にスムーズに繋がっていく。
 3つめは成人期の問題。地域移行は施設からの移行と家族からの移行がある。 まず、施設からの移行については、入所施設が移行するための力をもたないといけない。在宅の拡充だけでは移行は困難で成功しない。
 滋賀も特区で提案されているが、施設の入居の機能と、昼間の機能をわけて考える。施設との関係をばっさり切らずに円滑に移行できるようにする。夜間は入所施設で、昼間は通所施設に通う。その中で、地域で暮らす必要なスキルが身につく。地域での暮らしを体験することが必要である。そういうニーズは顕在化している。
 特区については反対意見が多かった。実施に当たっての懸念はわかるが、そういう方向を認知して実現に向けて準備をしないといけない。
 滋賀の事業団では家族と住んでいる方に自立体験の取組みをしている。親も本人も自信をつけて、地域への暮らしの移行が出来る。
 入所施設全体の機能を暮らしと活動の機能に分類する。アパートに入るのが難しければ、施設をケア付き住宅として考える。暮らしの機能については、ホームヘルプや権利擁護事業を使う。活動の機能としてはジョブコーチなどを使う。
 入所施設の人が親元に帰ったときにホームヘルプは使えない。施設と在宅と言う二項対立で考える事はやめるべきである。
 通所施設の機能は就労実習、福祉的就労、社会的就労、デイケア機能の4つがある。福祉施設から一般就労に押し出す力が必要である。本人の適正にあった環境を見つけるために、複数の施設の利用も必要である。例えば、月・火曜日は就労、水曜日は福祉的就労、木・金曜日はデイサービスという利用の仕方ができればいい。一つの通所施設に通うのではなく、組み合わせの利用が可能にする。
 ケアマネジメントについては、時間も無いので、またの機会に。
 最後にもう一言だけ申し上げる。この国が地域生活に本当に向かおうとしているのか。支援に携わっている人は懐疑的になっている。相談支援事業の一般財源化、ケアマネは方向性が示されていない。施設訓練等支援費は手付かずで居宅支援費だけ工夫が求められている。地域移行の実感をもたせて欲しい。

江上委員(全家連)

 精神障害者のことを子どものころから知ってほしい。5年先をにらんだ学校教育が必要である。愛知県では無認可の作業所が学校と交流している。池田小事件にもかかわらず、精神障害者と一緒に稲刈りをしたりしている。武田委員の資料にある総合学習について聞きたい。

武田委員((福)桑友)

 文部省で総合学習がはじまってから、総合学習としてかかわっているが、その前は、職場体験として、パン屋としての認識が地域にあったので、小学校はパン屋として、中学校は福祉教育として行っていた。
 作業所、通所授産が全て通学路にある。お互いがあいさつする。通勤時間と通学時間が重なる。障害者の施設に行っているのでなく、働きにいっていると認識されている。
 小学校のほうにもずっとお願いをしてきた。11年前から柿や陶器の販売に行って、同時に、学習の場もお願いしてきた。
 クッキー作りに保育園の子供達がくる。クッキー作り、パン作りは精神障害のメンバーが教える。
 学校の保護者会のお父さんがうつ病になった。その時に子供と一緒にいったマーベリーを思い出して、来てくれた。そのかたは今は無事に復職されている。

徳川委員(身体障害者施設協議会)

 北岡さんの話は同感。施設と在宅は二項対立でない。
 私たちも地域移行の支援しているが、現実にヘルパーがいないというのもある。そういう状況は含んで欲しい。
 難病などの医療と福祉のかかわりが強い人をどう位置づけるのか。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 確かにその点が弱い。私たちの取組みは家族の生活を支えることが一つ、本人の自立を支えることが一つ。徳川委員の指摘である医療との連携は私たちのフィールドではこれまで取り組んでこなかった。  

松友委員(育成会)

 北岡委員のプレゼンは全面的に評価する。
 育成会は知的障害の親の会。赤ちゃん、発達期の頃から障害がでて大人になる。育成会としては今は子どもが大人になっているので、大人の問題もやっているが、スタート時にどう取り組むのかは大きな課題。
 先日の、ニュースステーションの高崎コロニーの報道は、ああいう報道になった背景もある。
 発達障害について、“early intervention”を“早期療育”と訳しているが、誤訳である。内閣府は“早期介入”正確に訳している。療育は介入の一部で、家族に対する支援がないと成功しない。障害を軽減するだけでなくて、本人が大人になる中で、障害を受け止めて生きていけるエンパワメントがないと成果があがっていない。家族の場合、母子責任論ではなく、家族支援論。家族は資源でなく、家族をエンパワメントしていく。放課後、長期休暇の際の支援をどうするのかが課題で、教育と福祉の連携、個々のサポートが弱い。
 母親の就業保障ができていない。母親も働きたい。これが悪循環になって、子供が自立するときの足をひっぱっている。家族支援は本人への支援と一対になっている。
 本人自身が障害を受け止めるようなILPが知的障害者の分野はない。今は、本人が小学生の時にてんかんを告知する時代。本人に本人の障害状態を話し、サポートできるような状況をつくる。本人が大人になるまでに障害を忌み嫌って育っている。子供の時から見てきた者としては、大人の問題のスタートになっているところをきちんとやって欲しい。
 法体系上の分断はもうだめで発達機能の支援を一体化して行う。幼児期、発達期の支援が未整備で、そこをきちんとやって欲しい。

君塚委員(肢体不自由時施設運営協議会)

 肢体不自由児施設の医師を25年やってきている。肢体不自由時施設は通過型の施設である。本部会でも活動の内容を一度、報告させて欲しい。 療育は、最初は医療・教育・職業訓練で始まった。
 資料3についての質問。施設の利用者の範囲は入所なのか、ショートも含めているのか、外来もあるのか。利用者の中身を教えて欲しい。
 肢体不自由施設は半分は療育手帳ももっていて、重度である。身障手帳については3歳までは認められにくい。3歳までは重度であっても身障手帳がでないので、その他に入っている。3歳まででも重度であれば身障手帳をなるべく認めて欲しい。

間課長補佐(企画課)

 利用者としてのカウントは、入所施設は在所している人、通所は通所の人だけ。ショートステイは入っていない。
 身体障害者手帳についてのデータはあるが、重複障害をもつ人の調査についてはどうか。もっと詳細があれば出したい。

笹川委員(日盲連)

 ケアマネジメントの件は関心があるので、質問したい。
 就労についてはハローワークなどとはどのような連携されているのか。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 ケアマネジメントの仕組みは平成7年の知的障害者からスタートした。平成15年から身体も精神も取り組むようになった。幅の広い生活ニーズに対応するには、ケア計画が必要。教育・福祉・労働の分野の関係者が月に一回集まっている。それとは別に個別調整会議、延べ40人のかたを対象に年間100回くらい行われている。それを1ヶ月に1回集まる会議で確認している。
 それに加えて、地域の中で課題となって浮かび上がってくる問題について検討している。当事者を中心する中で、地域のサービスがつながってくる。

京極部会長

 福祉人材センターでは福祉職につきたい人への仕事の紹介をやっているが、障害者への仕事の紹介はやっていない。それでいいのか。

新保委員(精神障害者社会復帰施設協会)

 ケア付き住宅があれば、それぞれの必要な居宅生活支援を受けて生活できると考えられている。そうであるならば、入所施設はいらないのか。
 就労実習、福祉的就労、社会的就労、デイケア機能のこの4つの機能に分けられている。それぞれを複合的に利用することの大切さが話された。私にはこの4つの機能が生活維持機能として受け止められた。就労支援のキャリアアップの仕組みとしての視点が薄いのではないか。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 入所施設が必要でない、なくなるということをレポートしたのではなくて、地域移行する中で、施設と言う24時間パッケージの機能がそうでなくなることが重要。施設に軸足を置きながら、いったりきたりしながら地域移行をしていく。
 いろんな障害のかたがいるので、入所施設がいらないと言い切る度胸はない。
 通所施設にはいろいろな機能が混在している。一般就労に向けて利用している人、デイサービス的に利用している人もいる。また、本人の希望にそぐわなくても、定員が空いていることで通所している“社会的通所”と呼べるような人もいる。それを細かい分類でなくて、ざっくりとした概念として示した。

新保委員(精神障害者社会復帰施設協会)

 各種の施設が多機能を担っていて、課題がある。各種の施設がありながら、その存在基盤が問われている。生活維持しシステムしかないところもある。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 福祉施設から企業への一般就労を目指している人が、様々なパターンのサービス利用しながら、方向性をつかんでいくということだと思う。

京極部会長

 今日の本論のライフステージに応じたサービス提供の在り方について、議論をいただきたい。

広田委員(精神医療サバイバー)

 精神障害者の差別と偏見について堂本知事にも意見を伺いたい。
 精神障害者のことを学校教育にいれて欲しい。また、うちの家にもいろんな人がいっぱいくる。地域の商店街もうるおっている。
 私は聞かれた時に、精神障害者とは精神科に通っている人、入院している人という説明をした。一人の住人として、消費者としてそれ以上の関心はない。いろんな人が体験談を学校にいって話をすることで理解を深めていくのは難しいのではないか。
 神奈川県も退院をさせようとして援護寮を作ろうとして、住民から反対されている。住民は精神障害者が怖いと言っている。事件報道で、入院歴・通院歴が報道されると、今までの努力はふっとぶ。一つの事件がおこれば、当事者も病院に行きたくなくなる。いくら学校に言って話をしても効果がない。

堂本委員(千葉県知事)

 私もマスコミに32年間籍をおいていた。精神障害者の報道の問題にはじめに気付いたのはイギリスのマスコミから指摘された時である。精神障害者の報道、あの人たちは別だという受け止め方がされている。精神障害者の人権、プライバシーを守れという視点から報道が多くて、私自身は反省している。それを受けて、精神障害者のかたたちの取材をした時、本人が了承すれば、顔は隠さない、名前も出して、報道した。
 精神障害者が職場、学校、地域で、武田さんのような努力をしていても水をかけるようなことが次から次から行われている。ジャーナリズムはコントロールできない。困った方が支援を受けられるような、まだ、座敷牢にいるようなかたもいる。これをどうしていくか。差別をなくしていく、精神障害者だけでなくあらゆる差別を無くす。そういう土壌を作っていく。具体案はないが、差別をつくっている動きとは逆の行動をしていきたい。

京極部会長

 最近は報道機関も、視聴者からの抗議が有れば報道を訂正するようになった。少し気をつかうようになった。
 これは、世論、行政機関の働きかけも大きい。

高橋清久(国立精神・神経センター)

 手帳のサービスは精神障害者が受けられる数少ないサービスだが、その中でも受けられないものがある。その理由は?写真を貼らないからか、それとも別の問題があるのか?

矢島精神保健福祉課長

 精神障害者の手帳制度ができる時に当事者、関係者と議論して、写真をはらないということで導入した。初めての制度でまだわからない点があった。
 最近は、他障害とくらべて受けられるサービスが少ないと言う指摘を受けている。
 写真貼らないので、本人確認ができないということで、サービスが出来なかったという経緯を聞いている。今後の検討課題、よく検討していく。
 写真を貼らないこと以外の理由ではなく、まずは、写真の問題が大きかったと認識している。

松友委員(育成会)

 ライフサイクルにあわせた支援、構造的な問題を考えるときに、エスキャップで宣言された琵琶湖宣言では、“インクルーシブ”“バリアフリー”“権利に基づく”この3つをおさえて施策を作るよう提案した。権利条約で差別禁止法が議論されている。差別の問題は道徳的な問題とするのではなく、具体的な施策をメディアも含めてやっていく。
 メディアも含めて聖域的に自分の権利を主張して人の権利を侵害するようなことをやっているのはおかしいのではないか。
 今回、事務局から機能的なアプローチの提案があった。施設は入れ物であって、どういうニーズにどういう対応をしていくか、分解して対応していく。その中でインクルーシブな対応をしていく。ガソリンスタンドが富士山の頂上にしかないなら、そこにしか住めなくなるわけで、街中にガソリンスタンドがあるから地域で住めている。それと同じように地域に必要な支援があればいい。
 北岡さんにお伺いするが、私の息子は明日から11年ぶりに地域に移行する。どういう機能が施設にあるから施設が必要なのか。どういう機能が地域にあればいいのか。
 知的障害者の入所施設は訓練施設の位置づけで、本来は通過施設のはず。一方、親は生活機能を期待していた。地域に機能が移ってきても施設は必要なのか、拘束的・集団的な機能が必要なのか。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 施設の24時間の体制の中で、暮らす場、活動する場として何を求めていくのか。施設の入所は本人の意思にはまず基づいていないということから出発する事が大切である。
 入所施設でやっている、ナイトケア、食事のケア、金銭管理。これは関係者の安心を提供している。どこにいてもこれらのサービスを受けられると、地域に転換できる。施設の機能を分化して、地域に分散してあるべきである。

武田委員((福)桑友)

 今回話を聞いて、違う障害のかたが同じような問題意識をもっている。松友委員の告知の問題も精神障害者も同じ。 生活訓練施設はなぜ、2年なのか、なぜ、昼間も訓練をしないといけないのか。私たちは訓練ではなく、外になるべく出ていこうとしていた。
 前回の資料5の中に機能別の体系があったが、これをもっと違う視点で機能をわけられないか。障害で共通するものがある。私たちの生活訓練施設がなければ退院できないのではない、地域に機能があれば、ハコモノがなくても地域で暮らせる。
 知的障害者も施設の機能が地域にあれば暮らせる、同じ議論だと思う。

高橋紘士委員(立教大学)

 高齢者施設がそうなり始めている。グループホーム、ケアマネジメントなどは、高齢者と障害者とで指しているものが違う。それは注意しながら議論しないといけない。
 最近出来た長岡の施設は、住宅はマーケットベースでやっている。デイなどの居宅サポートのシステムが別にある。そこには障害者も入居していい。今までは福祉、医療、教育という領域で議論してきた。そうでなくて機能で議論していく。
 お医者さんは診療室にしか現れない。我々はどうやって診療室まで行くかが大事。そういう枠からフリーになって構造的に結びつける。厚労省の枠を越境した議論をする。

京極部会長

 障害者は子どもの時から長いライフステージがある。これを成り立たせるためには障害者ケアマネジメントが必要。これについては皆、賛成だが、しかし、実際にどうやるかは議論がある。高齢者のように一人のケアマネがいて何とかなるものでない。チームで対応していく。障害者ケアマネに賛成だけでは何も進まない。しかし、それがはっきりできれば、厚労省の範囲だけでなくて、いろんな社会資源を吸収して調達できる。ケアマネに権限を付与してそれをやらせる。
 北岡委員からその部分の話があれば。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 障害者のマネジメントはいろいろ議論がある。他者によるマネジメントを認める。本人によるマネジメントもある。家族によるマネジメントもある。その3つをチームにいれて検討していくことが必要である。これまで調整会議をしてきてそう考える。
 ケアマネのシステムは様々な形があると思う。滋賀県は多くの職種が集まって会議をやっている。もともとは甲賀郡ではじめて、他の保健福祉圏域に広がった。それが、それぞれの圏域でアレンジされて実施されている。隣の圏域で形が変わるなら、この国の中では、なおさら、他者・本人・家族によるマネジメント、地域特性によるマネジメントについて多様性がある。

京極部会長

 ケアマネジメントの議論は次々回にあるので、これくらいで。

斉藤委員(社会就労センター協議会)

 ライフステージの問題で、北岡委員に質問。ライフステージの一番大切なものは所得保障ではないか。それを抜きにいろいろ語っても一人の人間として生きていけない。所得保障に関する具体的なイメージは。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 福祉的就労をはじめとして、賃金についてどう考えるのか。通所施設の工賃の平均は3000〜10000円という実態だと思う。認識が違うと言うことであれば指摘を受けたい。
 工賃をもっとのばすことはできないか。滋賀県では共同で仕事を受注する仕組みを作っている。工賃のレベルアップを支援していく。そして、企業に押し出していく、企業の受け皿、そういうノウハウを福祉的就労の場面でももっていかないといけない。

古畑委員(かながわ福祉サービス運営適正化委員会)

 支援費が始まってどのような不服申し立てがされているのか。そういう調査をしていただきたい。

妻屋委員(全脊連)

 私たちは中途障害者の会であるが、地域で暮らせるのが最終目標である。施設に長く居れば居るほど社会にでにくい。療護施設に入っているかたは、何十年と入っている。この人が地域出てくるために受け皿が必要である。予算がおいつくのか。24時間の介護保障が必要。施設に入ったらなるべくすぐ地域に出るというようにしないとずっと施設に縛られる。社会の環境、予算を投入して、整備する。
 ケアマネジメントの話は、中途障害は病院から社会に復帰する。昔は受け皿がないので、社会に出られなかった。病院にしかいられなかった。病院はトイレ、介護、食事はそろっている。昭和39年の東京オリンピックを契機に社会に出すと言うことに変わった。そういった場合にまず、病院からの次の場面は作業場にでて、社会にでていった。中間施設があって初めて社会にでられた。
 今は、病院は3ヶ月しかいられない。中間施設もままならない。いきなり家庭にかえってしまう。社会に出て行けないので、引きこもりが多くなっている。中間施設、ケア付き住宅に予算を投じる。最終的には地域で暮らすことが目標なのでそこにも予算が必要。介護の必要性、多様なサービスが必要。現在の身体介護、家事援助、移動介護のサービスはそこで多くのニーズがまかなえる。もっと予算をつけていくべきである。
 ケアマネジメントは、障害はいろんな職種を集める体制になっていない。自分でマネジメントできる人は自分でマネジメントする、それが原則。それができない人は、家族、地域の人の中でマネジメントする。北岡委員の意見に賛成。

?委員

 論点のところの就労支援の施設に更生施設が入っていないので、加えて欲しい。

京極部会長

 “福祉工場、授産施設、小規模作業所等”の“等”中で読み取って欲しい。

君塚委員(肢体不自由児施設運営協議会)

 施設の立場からは、施設と地域は車の両輪である。小規模多機能の話もあったが、医療の話にもなるが、私たちの中では、地域では子供達が死んでしまうと言う声がある。毎年、呼吸障害でなくなっている。救急のICUがある病院、障害児を守る最後の砦である。障害児の虐待は健常児よりも多い。重度の障害児の受け皿がない。児童相談所で困って施設に頼ってくる。私たちの施設を各県に一つ作って欲しいということで、全国の組織で話をしている。
 私たちの施設は特殊なので皆さんと違う面がある。医療と福祉が一体になっている。その方向で考えてもらうともっと議論が一緒にできると思う。

京極部会長

 医療的な機能が強い施設はなかなか在宅にはもっていけない。全ての施設を在宅にではない。しかし、在宅でできるのに施設に入っている現状がある。それを踏まえての議論をしている。

加藤委員(知的障害者福祉協会)

 ライフステージがキーワードになっている。ライフステージごとにサービス、お金の問題が非連続で繋がっている。一方では今日的な流れて本人中心で生活を支えるという流れがある。ライフステージごとに施設の在り方、サービス体系のあり方がばらばらになっていて、非効率になっている。飛躍かもしれないが、本人中心で支えるのなら、ハコモノにお金をつけるのではなくて、当事者に視点をおく。そうすれば、障害種別、ハコモノ、そういうことをクリアできるのではないか。
 社会福祉法改正の時の国会決議でバウチャーシステムにも触れられている。そういう議論もできれば、現行の様々な問題が限りなく解消されるのではないか。

京極部会長

 支援費制度は本人に払ったことにして、代理受領している。実態は措置制度に近い。
 介護保険は個人の権利として支給している。その辺は、将来に向けてだいぶ変わって来るのではないか。

 議論はここまでにして。
 福島委員からも意見もでているように、このメンバー以外からのご意見も伺いたい。次回は斉藤委員と共作連の藤井氏からも就労支援の話を。

 次ぎに、三位一体改革の話を事務局から。

村木企画課長

 資料8、9をご覧下さい。 資料8の2p、平成16年度の歳出は約82兆。全体で0.4%の伸びになっているが、一般歳出は0.1%とほぼ横ばいの伸び。
 社会保障関係費は、16年度は約20兆。4.2%の伸び。全体予算は横ばいだが、社会保障関係費は伸びを確保している。文教関係費は−5%。公共事業は−3.5%。
 社会保障関係費を5つに分類すると、社会福祉費は−5%。これは保育園の一般財源化の影響が大きい。これをのぞいて計算すると4%の伸びで全体と変わらない。
 4pは社会保障関係費の中身で、年金・医療・介護・福祉等にわけている。障害の関係では福祉と医療のところに含まれている。
 借金の状況は、予算の44.6%。公債発行額は約36兆。6pは過去の公債発行額と交差依存度のトレンドである。極めて高水準のところにある。7pは諸外国との比較。バブル崩壊後はわが国の公債依存度は突出して伸びている。借金財政である。
 資料9は、この間の三位一体改革の動向を整理したものである。
 18年度までに国庫補助負担金の4兆円を廃止・縮減するという閣議決定されている。何を廃止・縮減するのか?全国市長会、全国知事会からこういう補助金・負担金を一般財源化してほしいと言う提言が出ている。障害者福祉の関係はアンダーラインを引いている。これらを受けて平成15年の11月に国庫補助金改革の基本的考え方が総務省より示されていて、地方自治体がのぞんでいるものから一般財源化をするという意見書がだされている。
 18年度までに4兆円の削減で、16年は1兆円の一般財源化された。1兆円の内訳は16pで、2150億円が厚労省の部分で、公立保育所の運営費が一般財源化された。夏の予算平成に向けて残りの3兆円の議論が行われる。
 財源の関係の基本的な資料としてまとめてみた。財源の議論は次々回になるが、こういったことも含めてご議論いただきたい。

京極部会長

 次回も議論できますので、本日はこれで終わります。

間課長

 次回は、就労支援と住まいの確保を議題とする。斉藤、丹下委員、きょうされんの藤井委員からご意見をいただく。次回は4/14(水)14:00〜 厚労省会議室で。

京極部会長

 以上で終わります。

 

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