第13回社会保障審議会・障害者部会が開催されました。
自薦ヘルパー推進協会本部事務局
前回の部会で、3人の学識経験者における検討作業で、中間報告書案がでました が、それに対する障害者8団体(日身連、日盲連、聾唖連盟、全脊連、DPI、J
D、育成会、全家連)のヒアリングと質疑を中心に開催されました。
各団体の意見は主に以下のようなものでした。(詳細については傍聴メモをご覧下さ い。傍聴の際に記録したメモであり、発言者の趣旨を性格に反映できていない部分も
ありますのでその旨を踏まえてお読み下さい。)
○日身連
障害者を取り巻く現状を考えた場合、地域生活支援を進める観点からは、障害者福 祉サービスの提供について、「中間報告原案」にある、介護保険制度を活用する新しい
障害者施策体系の案は、現実的な選択肢のひとつであるとも考えられる。
しかしながら、この場合において日身連としては、現行の支援費制度による障害者 一人ひとりのサービス水準については、高めることがあっても、低下させることは認
められない。また、「中間報告原案」が示すとおり、統合には解決されなければならな い多くの課題がある。今後、日身連とこの課題の解決のための新たな協議をしていく
ことを、国をはじめとする関係機関に対して強く要請する必要がある。
中間報告原案にも解決する多くの課題があるとしているが、課題をあげる。
- サービス水準を低下させない
- 地域間格差の縮小
- 全国どこでも必要なサービスを平等に受けられるように。
- 長時間の介護を受ける人の上乗せ部分はどうするのか。国がかかわり、安定した 仕組みを。重度の人が一番影響をうける。
- 自己負担はじゅうぶんな低所得者への対応、扶養義務者の負担は撤廃する。
- アセスメント、要介護認定は多様な障害がみれるように内容を検討する。
- ケアマネジメントも自己決定がいかされる仕組みに。
- ガイドヘルパーは保険外できちんとした位置づけを。
- 障害者向けのグループホームの制度化を。
- 障害者用具については保険外の施策として、きちんとした位置づけを。
制度設計については日身連との協議を設けて欲しい。日身連はいっそうの理解と協 力がえらるよう努力する。この解決ができるよう国とも協議していきたい。
○日盲連
介護保険との統合は各地域の視覚団体で話題に登っている。最大の関心事である。 どこも統合に反対と言う意見が圧倒的に多い。
1年足らずで支援費が挫折して、統合の問題が浮上して、統合の方向に傾いてい る。措置制度がむしろ良かったという声も多く聞かれている。支援費はサービスを当
事者が選択、自己決定ということでいい事づくめを聞かされてきたが、ここで破綻を きたした。将来に対する不安と、国の見通しの甘さ、不信感がある。
支援費には多くの問題がある。費用負担の問題、地域格差の問題、1時間あたりの 単価の問題。まず支援費の問題を解決すべきである。
介護保険の費用負担は統合になった時にどうなるのか。すでに1割でなく、2〜3 割でないと介護保険はもたないという学識経験者もいる。
統合は賛成できないが、仮に統合となっても、介護保険になじむもの、なじまない もの、精査をおこなって、別途方策を行っていくべきである。最もニーズの高いガイ
ドヘルパーは介護保険になじみにくい。視覚障害のガイドヘルパーの派遣は別途の形 で取り扱って欲しい。
○聾唖盟
介護保険との統合は財源の問題である。介護保険は福祉サービスの内容が不十分で 自由な利用ができない。支援費も不十分、これを別の不十分な制度に統合して決して
解決するとは思えない。それぞれの持つ問題をどうするか、改善の道筋が明らかにな らないと、統合の可否は検討できない。
聴覚は音声障害からの阻害である。正しく伝えられる環境が大事。生きる上での根 幹である。これは基本的人権の基盤をなすものである。介護保険の介護サービス、支
援費の支援サービスも聾唖者が自由に利用できるかということ、自己決定・選択でき ない。
コミュニケーションも共通するようで異なる。知的障害者障害の聾唖者は手話以外 の方法が必要、介護者と一緒に作りだしている。視覚障害をもつ人は触手話を使って
いる。
実際に利用できない制度で推移している。介護保険、支援費も聾唖者の利用は少な い。利用できない現状を理解して欲しい。
介護を必要としない聾唖者もいる。支援費とは別に情報保障をする新しい制度が必 要。言語として手話を認めること。手話通訳を公的保障すること。厚労省だけでな
く、各省庁に関連しているし、行政だけ無く司法、立法に関連する。生活全般に影響 を及ぼす制度である。
情報保障の受益者は聾者だけか?私が今発言している事、他の人が教えてくれるこ と、手話通訳がなければ社会の中で孤立してしまう。ここに参加している人のすべて
が通訳の受益者である。コミュニケーション保障は一方ではなく、双方にある。
ろうあ連盟は、支援費の改善、介護保険の改善、全ての分野をカバーする新しい手 話通訳の法的・制度的な構築を求める。
○全脊連
全脊連として5月22日の総会で決議している。介護保険の具体像がないと判断で きない。今の時点では支援費の発展させることが重要である。
市町村では全て支援費は実施されない。評価するための時間が必要。一般財源化も まだ市町村に浸透していない中、無理があって、反対である。
支援費の一番の欠陥は、在宅が補助金であること。施設と同様に義務的経費にする こと。
高齢者福祉は人生最後のライフステージで、家族の意向、レスパイトの視点が強 い。高齢者は必ず誰でもなる。高齢者は2400万人いる。人口の20%、今後増え
ていく。
一方、障害者福祉を考えると、重度の人も社会で生活していて幅の広いライフス テージを送っている。障害は遺伝的、薬物、アクシデントで障害をもっている。高齢
者とは違っている。障害者は600万人。人口の5%。今後はそれほど増えない。支 援費も地域移行が進めばそんなに増加はしない。
三位一体改革の問題は今回の問題と裏腹である。地方分権の確立は言うまでもな い。国の役割、外交、防衛、生命にかかわるものは国が担保すべきで、その考えは三
位一体にも入っているはずである。介護保険では生命を守れるか憂慮せざるをえな い。
昨年は労災の民営化の議論あった。介護保険も民営化の議論もでてくるだろう。制 度が2階建てでやっても、民営化は障害者にはなじまない。将来的には無駄な議論に
なる。民営化もみて議論をお願いしたい。
様々な障害種別、障害程度、難病であっても、地域で認められ生活できることが公 平ということである。介護の金額の高低が公平でない。いかに暮らせるか、生存権が
公平の原則である。
最後にまとめとして、年金改革、介護保険改革、医療保険改革、消費税引き上げと 言う国のスケジュールがあるのは知っている。厚労省と話をして熱意は感じるが、伝
わってこない。裏切られた現状である。現在、要介護認定の調査を介護保険制度改革 本部が進めている。なぜ、障害部でできないのか。また調査をするのに、障害者団体
をいれないのか。3障害について政令市で調査を行うことになっているが、なぜ、当 事者をいれないのか、これが不信感を生む。今後こういうことがないようにして欲し
い。
信頼関係がなく、内容も見えない。はっきり言ってもどこの団体もノーの状態。お 互いの信頼関係をもっと構築すべきである。
○DPI
6/9に身体障害者、知的障害者、精神、難病の団体があつまった。1200人、 480団体が集まった。おおぜいの障害者がこの問題で心配している。集会の案内を
して時間がなかったにもかかわらず大きな反響があった。3月に実施したアンケート 調査では反対が85%。厚労省の言う二階建て部分の不安も大きい、将来の生活の不
安を感じている。
高齢と障害の違いのニーズ調査を行ったが、高齢者は親族介護を望んでいる。障害 は自立希望が多い。夫婦、同居人がいても他人介助をいれたい。高齢はサービスを家
族が決めている。障害者は自己決定している。介助の利用時間も高齢は1日3時間以 内で90%がカバーされている。全身性障害者は70%が1日3時間では足りずに2
階建てになる。本体より2階だてが大きくなると言う逆転がおこる。
制度が迷走して、理念無き福祉である。財源先行で理念がないがしろにされてい る。支援費制度は利用が伸びた、歓迎すべき良い制度だったととらえるべきである。
介護保険は5.5兆円。障害者の在宅サービスは1200億円と規模が小さい、なぜこの ような大きなパイをもってこないといけないのか。
行き先のない船にはのれない。障害部会で選択が迫られているが、内容も何もわか らない、行き先もわからない、国は後はまかせとけということだろうが、白紙委任状
で載れない。我々のバックには地域で生きる障害者がおおぜいいる。介護保険になれ ば市町村は介護保険以上のサービスはカットする動きが始まる事を恐れている。将来
の障害者のことを今、決めてしまう問題で、後世の障害者に批判されかねない。介護 保険でも大変、支援費でも大変、しかし、今の支援費制度は使いやすい、これを残し
て生きたい。
イギリスのでは高齢と障害は並び立たないということで、ダイレクトペイメントが 生まれた。カナダでは長時間介助の問題をCILと行政が話をして、ダイレクトファ
ウンディング、セルフマネジドケアを生み出した。ドイツでは介護保険で障害者が 入って、ドイツの障害者からはドイツでは失敗した、日本では障害者は入らない方が
いいというアドバイスを受けた。
CILはこれまで地域で血と汗を流してやってきた。知的障害者、精神障害者も地 域で取り組みをしている。私が最初に地域で生活を始めたときに民家を借りて暮らし
て、地域でボランティアをつかって、夜は介護者探しに追われた。サービスのない地 域で命がけの自立生活をしてきた。このような30年の成果を10ヶ月で変えるの
か。テーブルの上だけで考えている。地域では毎年1時間の制度をのばしてきて、今 の制度がある。
介護保険に精神、知的障害者も反対している。「政策の都合で障害者が翻弄される のではなく、支援費に精神をいれることが最初だ」と言う精神障害当事者の声、知的
障害者についても移動介護、見守りを含めた介護が介護保険でどのような位置づけに なるのか心配している。ALS、人工呼吸器利用者の介護は介護保険事業者では対応
できない、支援費制度の中で考えていく問題である。
介護保険とは自立の概念が違う。障害の自立の概念は介助を受けながらの自立とい う方向に変わった。これを後戻りさせないで欲しい。
ガイドヘルプを介護保険とをわけようとしているが、ガイドヘルプといっても家の 中で必要な介護を外でやっているだけである。ガイドだけ横出しにした場合、市町村
はやらない心配がある。
利用者、現場の提供者、市町村の担当者は、介護保険にならないほうがいいとい う。現場を知っている人、切実なニーズを感じている人はそういっている。その全て
の障害者の人が納得できる答えが提示されているのか。その保障がない限り、安易に 統合賛成と部会で決めるべきでない。
○JD
結論から言うと、現段階では賛成の判断できかねる提案。もっと判断できる提案を 議論して欲しい。
精神障害者の社会的入院問題、ほぼ固定化の状況。働く場、障害者の法定雇用率も 一回もクリアできていない。無認可作業所が6000箇所にもなっており、異常な事
態である。
障害種別間の格差もある。精神、難病、てんかん、自閉症、重度重複重症の施策が 講じられていない。
なぜこれが常態化しているのか。法律、政府の運用がおかしい。厚労省が真正面か ら取り組んでこなかった。個人的ながんばりをしているスタッフもいるが、全体とし
てはそうは見えない。
介護保険との統合は手段であり、安心して暮らせる事が大きな目標。一大転換をす るなら政策目的、地域生活の保障をすることをベースにおくべきである。これを論じ
てから、介護保険との統合論議をやっていくべき。「とりあえず」「よりまし」「一 歩前進」、この言葉は障害分野では結果を生んでいない。基幹的な問題は先送り、表
層的な改善にとどまっている。基本的な問題にメスをいれることが大事。
あらためて、全体をどう議論するかを強調したい。全体像をどうするのか、基幹的 な課題にどうメスをいれていくのか、方向付け、検討のタイムテーブルを示すべきで
ある。
全体的なテーマとして、「扶養義務制度」「障害認定」「経済的自立・所得保障」 「総合的な福祉法、あるいは全ての障害者を対象にした地域生活支援法」「60種類
の施設体系の簡素化」「社会資源の量的な整備、育成」「社会的な入所、入院の問 題」
一気に解決はできないが、方向付けとタイムスケジュールをやるべきである。
議論の上で正確なデータが不足している。データがない中での制度設計は支障があ る。支援費の失敗は、思いのほかにニーズがでてきた。データないままの執行が失敗
だった。
経済団体など負担増から統合に反対する人もいる。これは障害者団体の反対とは意 味が違う。社会的な負担から障害者を排斥したい人には反対していかないといけな
い。
このような議論をしている最中で、今、乗り遅れたら一般財源化であるということ を強調しすぎることを問題だと感じている。三位一体改革は理解しているが、それを
もって統合不可避というのは狭い論調である。もう少し自由な議論を展開しないと結 論は萎縮してしまう。
あらためていうと、提案に賛成と言うのは材料が乏しい、引き続き検討を求めた い。1/16に塩田部長が改革本部の発足について説明を受けた。皆さんが反対した
らこの話は壊れると言った。厚労省も胸にきざんで、基礎において欲しい。
○育成会
一昨日の理事会で知的障害者障害者福祉との統合は必然と言う意見書を決議した。 その趣旨と道のりを説明したい。
私たちは知的障害者の親の会で、2700を越す地域の会があり、会員が32万人 いる。私も32歳になる、知的障害者とてんかんの子供の親で、これまで生きる場を
もとめてきた。知的障害者は家族の責任にされた。特に母親に大きな責任が負われ た。その中で疲れ、施設にたよった親もいた。しかし、これに終止符をうちたいと決
意している。地域での支援システムを求めて、行動している。このような立場で意見 を決めた。
支援費の財政破綻、混乱を予言して、介護保険との統合を主張した人たちがい た。また、10年近く前に介護保険の議論では障害者のことを積み残してきた。障害
者部会は介護保険から結論をまたれている。判断していかないといけない。
支援費も介護保険も利用契約制度である。支援費制度への評価は契約方式への評価 なのか、そうでないのかを考えないといけない。介護保険で自主性が高まる。共助方
式である保険は理解を高めることができる。逆にいうと障害者への理解がないと統合 できない。
歴史的な経過、現実、将来の展望をみると必然の選択肢である。ネガティブな理解 だけでなく、積極的な理解も可能である。介護保険制度で解決されないといけない事
はある、これからの課題である。方向性が固められたら具体的な課題を提示し、その 解決にまい進する。入り口で時間をかけるのが良いのか。
障害者部会で統合を明確にしても、介護保険部会で受け入れられるか。経済団体、 高齢者分野、医療分野は否定的である。彼らはその反対の理由として障害者が反対し
ているということを使っている。共生の思想を掲げて国民に働きかける。障害者基礎 年金も連帯でできた。
そういう議論をへて育成会は統合に賛成の結論をだした。
支援費制度で知的障害者の利用がのびた。しかし、知的障害者の利用についての基 本認識ができていない。そもそも知的障害者は数が不明確である。世界的には4、5
%、最も少ないアメリカでは1%。しかし、日本は40万人。これまで居宅の事業者 がなかったところで、サービスがはじめればふえるのは当然である。
強度行動障害、てんかん発作などの極めて高度な支援、地域生活支援を考えると日 常的なサポートが必要。今までの積み重ねを越えた財源を確保しなければできない。
無認可作業所に通っている多くは知的障害者、精神障害者である。座して死をまつよ り、たちむかっていくしかない。特に重篤な高度な支援を税できちんと確立する。そ
れを前提とした上で、共生の方向にむかっていく。
○全家連
基本法ができ、精神保健法から精神保健福祉法にかわり、手帳、在宅サービスがで きた。精神科についても通院中心、入院期間の短縮になっている。医療と福祉の両
面、自立と社会参加が必要。
当事者と家族が安心して暮らせる制度にすべきである。原則は障害者福祉は税金で やるべきである。しかし、今回国家財政が逼迫しているので、統合が示された。
財源確保から検討すると介護保険との選択は一つの選択肢として前向きに考えてい くべき。しかし、検討すべき課題が多い。
多くの精神障害者が家族と同居して扶養のもとにいる。家族も高齢化している。在 宅の問題を家族が背負うならば改善しない。社会によって支援する事が急務である。
福祉サービスは個々の状況によって提供されるべきで、障害特性に配慮した制度設 計を。3障害共通で平等にして欲しい。精神のサービスは不足している。インフォー
マルサービスの整備も遅れている。精神は市町村の理解が低い、専任の職員をおく必 要がある。
介護保険制度との統合に関して前提となる検討課題として、9項目をあげた。
- 統合された場合は、介護保険、支援費のサービスで利用できるものは全て利用で きるようにして欲しい。
- 経済的に厳しい精神障害者の保険料、自己負担を減額する。世帯でなく本人所得 を基準とする。
- 介護保険の限度額を超えるサービスの特例制度を設けること。
- 精神は対人関係、就労など固有の障害を有している。あいさつが不得意、言われ たことしかできない、注意力、気配りがないなど。
認定には精神独自の認定基準を作る。不利益とならないように。多角的な十分な検 討を。一部の専門家で決めずに地域の実践者、当事者、本人家族が十分な意見をのべ
るように。
- 精神独自のケアマネジメントを確立すること。現行のケアマネジメントでは対応 できない。研修を受けたケアマネージャーを育成。
- 生活の質の向上を現場に浸透させる。顔を洗うこと、買い物にいけるようになる ことなど。
- 法内と法外の施設の取り扱いについては関係者と十分な協議を行っていって欲し い。
- 介護保険外のサービスが維持、継続できる措置とその充実を図る。
- 地方では事業者がない。質量の格差がないように。
このヒアリングを受けて、質疑応答が行われました。
○福島委員(東京大学)
8団体の意見を聞いたが、賛成は育成会。条件づき賛成が全家連。反対はDPI、 全脊連。その他は判断の材料がないということだったと思う。
明確に賛成を言っている育成会と反対のDPIに聞きたい。
まず育成会に、判断できないという団体が多い中で賛成にいたる理由について説明 をききたい。
DPIのいう生存権の保障、税でやるという理念は正論である。しかし、財源が足 りないと言うシビアな問題があり、障害者団体のリーダーとして予算が足りなくなる
と困るのは地域生活をしている重い人たちである。その場合の責任をどう考えるの か。理念はわかるが、厳しい条件の中でリーダーは判断しないといけない。
○松友委員(育成会)
結論としては政策決定なので、科学的なプラスマイナスでない、政治的な判断であ る。介護保険のほうが、まだひどくならないだろう、そういう政治判断をした。
その根拠は、知的障害者はいま遡上にあがった。精神はまだ俎上にもあがっていな い。施設は強固に義務的になっている。地域の支援体制を強固につくるにはどうする
のか。
知的障害者と痴呆性老人と何が同じで何がちがうのか。グループホームへの報酬は 老人の方が高い。
厳しい財政状況で国民一人当たり700万の赤字を抱えている。応益負担になるこ とははっきりしている。制度の永続性も考えて、厳しい状況の中で、安心、寄らば大
樹のかげ、社会保障全体が一本化、おおきな流れで戦わないと、障害者だけではいけ ない。苦渋の結論である。
○中西氏(DPI)
私には責任が問われている。重度の人の地域のいる人の思いを代弁する、集約する 責任がある。私に課せられた責任は障害者一人一人の生活の保障ではない。障害者の
声に対する国民の理解を訴えていくことである。
生活保障の責任をもっているのは、国家である。生存権が認められている。障害を もって地域でいきる。トイレのいきたいときにいく。悪いのは障害者がサービスを
使っていることではない。悪いのは予算のシステムである。
介護保険は国家責任はおわない。これに入ることは最初から上限をもったシステム に入ったということになってしまう。障害者に必要なシステムを考える。お金がない
ので他の仕組みに移ろうではない。必要なことは国が責任を負うべきである。
○徳川委員(療護施設協議会)
統合反対の意見には2つある。ひとつは理念的な面で、全脊連、DPIは公的責任 の問題、保険制度はなじまないという考えであった。保険だから公的責任でないとい
う理由を聞きたい。
もう一つは、介護保険が不安な場合、そのサービスの問題が解消されれば介護保険 でもいいのか、そこがわからないと議論できない。
○中西氏(DPI)
介護保険は自己負担しないとサービスが停止される。家族に負担がいく。支援費は 本人負担しか求めていない。高齢は稼得能力があって、資産ももっている。障害者に
払えないものを払えというのが公的責任なのか。
障害のサービスがよくなればいいというのではない、高齢も良いサービスを使えれ ばいい。支援費は介護保険より進んでいた。介護保険の目的が支援費制度にあるのな
ら、財源の問題はあっても、すぐれた制度を誇りに思うべきである。ダイレクトペイ メント、パーソナルアシスタントにつなげていく。それが日本の最終的なゴールであ
り、もっと議論すべきである。
○小林委員(長寿科学振興財団)
医療では所得がないと生活保護では負担がない。保険ではできない部分には高度先 進医療や高額療養費制度がある。介護保険においてもそういう見直しをしていく。今
出来るかどうかはわからないが。
○藤井氏(JD)
そもそも高齢者と障害者を別にするのは差別に近い発想である。前回の介護保険で は、障害をいれることはめんどくさかった。ゆくゆくは介護保険、医療、年金、労災
とならんで保険はやぶさかでない。しかし、統合なら条件の整備が必要である。併合 や吸収ではいけない。あまりにも違いがありすぎる。統合のために条件整備が必要で
ある。基幹的な施策を整備しないと統合は新たな問題を生む。
○京極部会長
議論の整理をしたい。
介護保険にすぐ入るのではなくてタイムラグがあり、しばらくは支援費制度が続 く。また、介護保険が全てでなくて介護保険以外の施策も行う。財政は金額の問題も
あるが、介護保険は在宅も義務的経費になっている。この3点は共通の認識ではない か。
○前田氏(日身連)
3委員の提案は共感できるところある。これを見る前に、大会で現行の介護保険の サービスでは低下するという決議をした。しかし、提案は解決するべき課題がある。
日身連はこれから8団体の皆さんと厚労省との協議の場で多くの課題を解決できるよ う進めていきたい。
○笹川委員(日盲連)
先ほど、説明したが、どこでも統合反対の声がでている。支援費をまだ見直さない といけない。ガイドヘルプが支援費では措置制度より悪くなった。まずは現状回復で
ある。それから統合と言うことである。ガイドが充実するならともかく、いまのまま では統合に入れない。
○松友委員(育成会)
わが国は知的障害の定義がない。サービスの定義しかない。それでは人数はわから ない。軽度発達障害、ADHD、自閉症は全く救われていない。また、年齢できられ
ている。18歳で発症しないと知的障害者といわれない。
介護保険で全てが片付くわけでない。本質的には法改正の問題で、金でないという のはわかるが、統合を突破口にして、日本の国家体系を組み替える。そういう思いで
ある。
○藤井氏(JD)
支援費はデータがないことの悲劇だった。ニーズ爆発ではなく、科学的なデータが ないと、その時の財政でさまよっていく。もう少し、定点調査を行い、NGOとも協
力できる。かつてのように障害者団体が調査反対をすることはない。データの重要性 を強調したい。
○前田氏(日身連)
中間報告で気になるのは三位一体改革、地方分権の推進があり、全国市長会でも一 般財源化が求められている。市町村障害者生活支援事業が1500万でスタートした
が、一般財源化されて、市のほうで困っている。市が財政を負担しているが、補助金 をカットされている。今回も市長会から一般財源をもとめているというが、全てを一
般財源化する事が本来の分権の姿であるのか。ますます格差が生じてくる。国の考え 方も聞きたい。
介護保険でできるもの、できないものがあると思う。それは今後、どういう形でい くのか。支援費制度を残してやっていくのか、あるいは別な制度を作っていくという
こともある。介護保険とのそれ以外の制度の線をひくことができないと、統合賛成と なりにくい課題が残る。
このような議論を受けて、最後に塩田障害保健福祉部長が全体的なコメントをしま した。
○塩田障害保健福祉部長
これからの福祉の全体像を示す事は同感である。骨太の方針でも障害者のことを書 いてもらった。できるだけ早く障害者福祉の全体像、スケジュールを示したい。
これからいろんな関係者と議論して介護保険となっても、当分は支援費でやってい く。支援費の見直し、充実、強化、いろんな努力をしていかないといけない。裁量的
経費となっていることは致命的だが、在宅の予算確保は最大限やりたい。関係者が一 致団結して予算確保したい。支援費の見直しが、介護保険に移行する準備作業にな
る。いろんな努力が必要。
克服する課題は山のようにある。その制度をどういう設計になるか厚労省も関係者 から聞いてつくっていく。今はだせないが、なるべく早くデザイン、設計図を出した
い。
こうした場以外でも関係団体と意見交換、協議の場も設けて生きたい。議論はまさ にこれからである。国民各層でいろんな議論で障害者福祉のコンセンサスをえていき
たい。
また、当日の提出資料として精神障害者社会復帰施設協会の「精神障害者福祉の発 展のための介護保険の活用と、課題の克服」を趣旨とする見解と方針、全国市長会・
町村会の「多くの市町村長が慎重・反対の意向を示しており、一方的な統合を進める ことなく市町村長の意見を尊重する」趣旨の申入書が示されました。
これを受けて最後に京極部会長より「今回のヒアリングを踏まえて、次回は、今後 の方向性について議論し、まとめる。この議論の結果によっては介護保険部会にイン
パクトを与えることもあるし、空振りに終わるかもしれない。慎重な審議を。」との まとめの言葉がありました。次回の障害者部会は6月25日に開催されます。
2004.06.18 社会保障審議会・障害者部会傍聴メモ
※このメモは当日の傍聴メモであり、議事録ではありませんのでお取り扱いご留意ください。
ご注意
これは傍聴者の個人の要約メモですので、細かい発言内容に間違いや抜けも多いと思います。あくまで全体の流れの雰囲気を感じる参考にとどめてください。
転用はお断りいたします。順次訂正していきますのでほかの方にお知らせする場合はホームページアドレスのみお知らせください。繰り返しますがこれは短時間で個人がまとめたメモですので、委員各自の発言内容を正確に反映できていませんので、これをもとに各委員に対し抗議や批判を行うようのないようにお願いします。
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間課長補佐(企画課)
ヒアリングで各団体からきていただいている。日本身体障害者団体連合会より兒玉、前田氏、日本盲人会連合より小林氏、全日本聾唖連盟より松本氏、全国脊髄損傷者連絡会 大濱氏、DPI日本会議より中西氏、日本障害者協議会より藤井氏、全日本育成会より松友氏、全国精神障害者家族会連絡会より小松氏、江上氏。
委員の交代について、知的障害者福祉協会から出ている加藤委員から戸板委員への変更があった。
岡谷、亀井、君塚、武田、永井委員が欠席。
傍聴は会場の都合で制限させていただいた。
本日資料は、資料1「論点整理」資料2「前回までの議事概要」資料3「日本身体障害者団体連合会からの提出資料」資料3−2「日本盲人会連合からの提出資料」資料4「全日本ろうあ連盟からの提出資料」資料5「全国脊髄損傷者連合会からの提出資料」資料6「DPI日本会議からの提出資料」資料7「日本障害者協議会からの提出資料」資料8「全日本手をつなぐ育成会からの提出資料」資料9「全国精神障害者家族会連合会からの提出資料」
追加で脊髄連合、DPI、育成会から資料がでている。。
新保委員からの提出資料。
また、全国市長会と町村会からも申し入れがあった。介護保険と障害者施策の統合については市町村長の意向を十分に汲み取るようにという内容である。
前回議事録を配布している。
京極部会長
今後の進め方について障害者団体からヒアリング。発表ののち休憩、質疑はあわせて一括で。発表時間は、時間の都合で15分以内で。まず、日身連より。
児玉氏(日身連)
介護制度に関する内部検討委員会をたちあげて4/24から5回の検討をし、結論をえた。委員長より報告を。
前田氏(日身連)
連合会の中に検討委員会を設けた。その内容について報告する。これからの発言の内容は6/11の理事会で組織決定しているものである。
私たち日身連は、わが国を代表する障害者団体として障害者の自立と社会参加を求めて長年にわたり活動を行い、関係者の理解と協力を得ながら、ノーマライゼーションの実現に向けて前進してきた。
とりわけ「完全参加と平等」を謳った1981年の国際障害者年を契機として、障害者がその障害の種類や程度にかかわらず、地域で当たり前に暮らす「地域生活支援」の実現を、中心的な課題として取り組み進めてきたところである。
この方針は、いかなる社会経済状況であろうとも、変わらず堅持されなければならない。そして、理想を高く掲げると同時に、社会の一員として多くの国民の理解と共感を得る努力と、障害者が将来にわたって安心して地域での生活が送れるよう現実的な取り組みが必要であると考える。
現在、支援費制度の介護保険制度への統合問題が論議されているが、先に述べたような障害者を取り巻く現状を考えた場合、地域生活支援を進める観点からは、障害者福祉サービスの提供について、平成16年6月4日に社会保障審議会・障害者部会の3臨時委員名で提示された「中間報告原案」にある、介護保険制度を活用する新しい障害者施策体系の案は、現実的な選択肢のひとつであるとも考えられる。
しかしながら、この場合において日身連としては、平成16年5月26日に開催した第49回日本身体障害者福祉大会で採択した緊急決議(別紙1)の基本方針が示すとおり、現行の支援費制度による障害者一人ひとりのサービス水準については、高めることがあっても、低下させることは認められない。また、「中間報告原案」が示すとおり、統合には解決されなければならない多くの課題がある。今後、日身連とこの課題の解決のための新たな協議をしていくことを、国をはじめとする関係機関に対して強く要請する必要がある。
また、日身連としても地域社会に対して、障害者の地域生活支援とすべての市民が安心して生活できる地域社会の構築について、一層の理解と協力が得られるよう、引き続き力強くかつ粘り強く働きかけていくことを提案する。
今、申し上げた「理想を高く掲げる」「現実的な取り組み」、大きな課題がある。中間報告原案にも解決する多くの課題があるとしている。
課題は10点ほどある。
- サービス水準を低下させない
- 地域間格差の縮小
- 全国どこでも必要なサービスを平等に受けられるように。
- 長時間の介護を受ける人の上乗せ部分はどうするのか。国がかかわり、安定した仕組みを。重度の人が一番影響をうける。
- 自己負担はじゅうぶんな低所得者への対応、扶養義務者の負担は撤廃する。
- アセスメント、要介護認定は多様な障害がみれるように内容を検討する。
- ケアマネジメントも自己決定がいかされる仕組みに。
- ガイドヘルパーは保険外できちんとした位置づけを。
- 障害者向けのグループホームの制度化を。
- 障害者用具については保険外の施策として、きちんとした位置づけを。
制度設計については日身連との協議を設けて欲しい。日身連はいっそうの理解と協力がえらるよう努力する。この解決ができるよう国とも協議していきたい。
最後に、臨時委員名で出された案について、日身連としては理事会として議論になったが、4点程意見を。
- 障害を有する人が自己決定に基づいてサービス利用ができるような支援
- 今後の障害者施策の構築−全ての国民が利用できるとともに、個別対応も可能となる制度が重要
- 全国市長会から、一般財源化が求められているというまとめがあるが、どこへ行っても格差がないようにということで心配がある。
- ケアマネジメントの制度化、障害状態や程度に応じて利用できるように。ケアマネジメントの制度化、適切なサービス利用、政策課題として導入を提言するべきである。
小林氏(日盲連)
最初に申し上げたいこと、介護保険との統合は各地域の視覚団体で話題に登っている。最大の関心事である。どこも統合に反対と言う意見が圧倒的に多い。5/19〜22において石川県の全国大会の席上においても同様だった。代表者会議においては、指導者の皆さん、支援費の今後を不安視している。
1年足らずで支援費が挫折して、統合の問題が浮上して、統合の方向に傾いている。措置制度がむしろ良かったという声も多く聞かれている。支援費はサービスを当事者が選択、自己決定ということでいい事づくめを聞かされてきたが、ここで破綻をきたした。将来に対する不安と、国の見通しの甘さ、不信感、があって、当然と感じる。
統合は手放しで賛成できない。1年間支援費を行っている中で矛盾点が浮き彫りになっている。費用負担の問題、地域格差の問題、1時間あたりの単価の問題をどのようにしてクリアするのか。大きな問題である。特に費用負担は統合になった時にどうなるのか。誰しも負担しなくてはいけない。すでに1割でなく、2〜3割でないと介護保険はもたないという学識経験者もいる。賛成できないが、仮に統合となっても、介護保険になじむもの、なじまないもの、精査をおこなって、別途方策を行っていくべきである。
最もニーズの高いガイドヘルパーは介護保険になじみにくい。視覚障害のガイドヘルパーの派遣は別途の形で取り扱って欲しい。聴覚障害の手話通訳の派遣については別制度で行っている。不可能ではない。この点は強く要望し、提案する。
松本氏(聾唖連盟)
手話で話すので通訳を介して意見を言う。皆さんに私の手話を見ていただきたいので、立って話をする。
臨時理事会を開いて最終的な見解をまとめた。その立場で25人の理事の一致した立場で申し上げる。
介護保険との統合は財源の問題である。しかし、介護保険は福祉サービスの内容が不十分で自由な利用ができない。支援費も不十分、これを別の不十分な制度に統合して決して解決するとは思えない。それぞれの持つ問題をどうするか、改善の道筋が明らかにならないと、統合の可否は検討できない。
聴覚は音声障害からの阻害である。正しく伝えられる環境が大事。生きる上での根幹である。これは基本的人権の基盤をなすものである。介護保険の介護サービス、支援費の支援サービスも聾唖者が自由に利用できるかということ、自己決定・選択できない。
高齢者の介護は、聾唖者が自由にサービスを受けれていない。デイサービスは聾唖者は2〜3回までしか使えない。しかも、周りは聞こえる人ばかりで、自分だけが取り残される、孤立を強いられる、さびしい気持ち、孤立感、二度といく気がしなくなる。そういう拒絶感が現実である。
コミュニケーションも共通するようで異なる。知的障害者障害の聾唖者は手話以外の方法が必要、介護者と一緒に作りだしている。視覚障害をもつ人は触手話を使っている。
実際に利用できない制度で推移している。介護保険、支援費も聾唖者の利用は少ない。利用できない現状を理解して欲しい。明確な課題整理、解決の見通しがまず前提になる。ヘルパーの養成と採用の義務付け、利用者集団を形成する場所には聾唖者専用の利用できる場所の保証が必要になる。職員が手話をできることは言うまでもない。個人のニーズを満たす必要がある。
介護を必要としない聾唖者もいる。支援費とは別に情報保障をする新しい制度が必要。言語として手話を認めること。手話通訳を公的保障すること。厚労省だけでなく、各省庁に関連しているし、行政だけ無く司法、立法に関連する。生活全般に影響を及ぼす制度である。
情報保障の受益者は聾者だけか?私が今発言している事、他の人が教えてくれること、手話通訳がなければ社会の中で孤立してしまう。ここに参加している人のすべてが通訳の受益者である。コミュニケーション保障は一方ではなく、双方にある。ろうあ者のコミュニケーション、社会的な情報獲得の保障、これは基本的人権の根幹。
ろうあ連盟は、支援費の改善、介護保険の改善、全ての分野をカバーする新しい手話通訳の法的・制度的な構築を求める。
大濱氏(全脊連)
全脊連として5月22日の総会で決議している。
介護保険の具体像がないと判断できない。今の時点では支援費の発展させることが重要である。
市町村では全て支援費は実施されない。評価するための時間が必要。
一般財源化もまだ市町村に浸透していない中、無理があって、反対である。
支援費の一番の欠陥は、在宅が補助金であること。施設と同様に義務的経費にすることを決議している。
今日の資料Aは長いので、今日配った資料Bに基づいて話をしたい。Aについて主要なものを洗い出したのがBである。
高齢者福祉は人生最後のライフステージで、家族の意向、レスパイトの視点が強い。高齢者は必ず誰でもなる。高齢者は2400万人いる。人口の20%、今後増えていく。
一方、障害者福祉を考えると、重度の人も社会で生活していて幅の広いライフステージを送っている。ストレッチャーの人でも社会に出る。障害は遺伝的、薬物、アクシデントで障害をもっている。高齢者とは違っている。障害者は600万人。人口の5%。今後はそれほど増えない。支援費も地域移行が進めばそんなに増加はしない。
ユニバーサル介護はきれいな言葉だが、実際は違っている、ごまかしではないか。障害と高齢を一緒くたにするのは無理がある。
三位一体改革の問題は今回の問題と裏腹である。地方分権の確立は言うまでもない。国の役割、外交、防衛、生命にかかわるものは国が担保すべきで、その考えは三位一体にも入っているはずである。介護保険では生命を守れるか憂慮せざるをえない。
社会保険庁の民営化の報道があるが、昨年は労災の民営化の議論あった。介護保険も民営化の議論もでてくるだろう。制度が2階建てでやっても、民営化は障害者にはなじまない。将来的には無駄な議論になる。民営化もみて議論をお願いしたい。
私たちの団体は地域で生活したい。地域でどうやったら普通に暮らせるかだけである。様々な障害種別、障害程度、難病であっても、地域で認められ、生活する。今求められる公平とはこういうこと。介護の金額の高低が公平でない。いかに暮らせるか、生存権が公平の原則である。
昨年の支援費の補助金不足で一部の高福祉の部分を切ってしまった事実は非常に残念である。これが限界ではなく、一緒になってお金が足りないからなんとかしようという厚労省の姿勢がないのは残念である。
ベンチレーターの使用者の記事を資料としてつけている。3歳の子供で、今は小学校にあがっている。この子が大きくなった時に、この改革が良かったと言えるようにしたい。悔いがあってはいけない。この子が社会で暮らせるのは30時間の介護が必要で24時間を越えるかもしれない。それが許されるのか。ましてやこの部分をボランティアにまかせることはできない。金額の多寡の問題が公平の問題ではないということを言いたい。
最後にまとめとして、年金改革、介護保険改革、医療保険改革、消費税引き上げと言う国のスケジュールがあるのは知っている。厚労省と話をして熱意は感じるが、伝わってこない。裏切られた現状である。この場での発言は不適切かもしれないが、厚労省と話をしてきて血の通っていると感じられる人は1名しかできない。障害者団体との関係は冷えている。もっと血の通った議論をしたいというのが本音である。
現在、要介護認定の調査を介護保険制度改革本部が進めている。なぜ、障害部でできないのか。また調査をするのに、障害者団体をいれないのか。3障害について政令市で調査を行うことになっているが、なぜ、当事者をいれないのか、これが不信感を生む。今後こういうことがないようにして欲しい、それが障害部の役割。互いのメッセージを伝えないと。今後の障害者から、あの選択はまちがってなかったと言われるように、知の通った制度設計を、もう一度やり直して欲しい。6/9の集会はそういう全国の声がでた。このまま行くともっとひどいことになる。
団体の信頼関係がない、内容も見えない。はっきり言ってもどこの団体もノーの状態。お互いの信頼関係をもっと構築すべきである。
中西氏(DPI)
6/9に身体障害者、知的障害者、精神、難病の団体があつまった。1200人、480団体が集まった。おおぜいの障害者がこの問題で心配している。集会の案内をして時間がなかったにもかかわらず大きな反響があった。
アンケート調査は3月に行ったものである。介護保険への反対、賛成を聞いたが、反対が85%。障害者の今の不安がある。
厚労省の言う二階建て部分の不安も大きい、将来の生活の不安を感じている。
高齢と障害の違いのニーズ調査を行った。高齢者は親族介護を望んでいる。障害は自立希望が多い。夫婦、同居人がいても他人介助をいれたい。
次の資料はサービスについて家族が決めたか、本人が決めたかである。高齢は家族が決めている。障害者は圧倒的に自分で決めたと言っている。支援費は自己決定されている。
次の資料は高齢の介助時間をグラフにしたもの。1日3時間以内で90%がカバーされている。
障害者の1ヶ月の介助時間。全身性のデータであるが、70%が1日3時間では足りずに2階建てになる。本体より2階だてが大きくなると言う逆転がおこる。
制度が迷走して、理念無き福祉である。財源先行で理念がないがしろにされている。支援費制度は利用が伸びた、歓迎すべき良い制度だったととらえるべきである。介護保険は発足時に財源確保して余裕をもってやってたが、支援費は発足時の予算を読み間違えた。介護保険は5.5兆円。障害者の在宅サービスは1200億円と規模が小さい、なぜこのような大きなパイをもってこないといけないのか。
日本でどのような福祉社会を作りたいのか、その時にどの財源を使うのか。支援費制度の財源の問題で介護保険というのは理念がなさすぎる。
行き先のない船にはのれない。障害部会で選択が迫られているが、内容も何もわからない、行き先もわからない、国は後はまかせとけということだろうが、白紙委任状で載れない。我々のバックには地域で生きる障害者がおおぜいいる。介護保険になれば市町村は介護保険以上のサービスはカットする動きが始まる事を恐れている。
DPI、JILでも組織として反対している。将来の障害者のことを今、決めてしまう問題で、後世の障害者に批判されかねない。介護保険でも大変、支援費でも大変、しかし、今の支援費制度は使いやすい、これを残して生きたい。
7年前にから自分がこの場にでることは予定されていた。介護保険が始まったときに、イギリスのコミュニティケア法を勉強にいった。イギリスでは高齢と障害は並び立たないということで、ダイレクトペイメントが生まれた。カナダでは長時間介助の問題をCILと行政が話をして、ダイレクトファウンディング、セルフマネジドケアを生み出した。
ドイツでは介護保険で障害者が入って、ドイツの障害者からはドイツでは失敗した、日本では障害者は入らない方がいいというアドバイスを受けた。
CILはこれまで地域で血と汗を流してやってきた。知的障害者、精神障害者も地域で取り組みをしている。これを見て欲しい。
私が最初に地域で生活を始めたときに民家を借りて暮らして、地域でボランティアをつかって、夜は介護者探しに追われた。サービスのない地域で命がけの自立生活をしてきた。このような30年の成果を10ヶ月で変えるのか。テーブルの上だけで考えている。地域では毎年1時間の制度をのばしてきて、今の制度がある。
介護保険に精神、知的障害者がなぜ反対するのか。精神障害者の当事者も「政策の都合で障害者が翻弄されるのではなく、支援費に精神をいれることが最初だ」と言っている。知的障害者についても移動介護の利用が高く、介護保険でどのような位置づけになるのか心配している。介護保険では見守りを含めた介助が得られない。
ALS、人工呼吸器、寝返りできない人の介護を介護保険事業者が対応していく事は難しい。もっと支援費制度の中で考えていかないといけない問題である。
障害保健福祉部長は裁量的経費でないという方法をいっているが、それは特例交付金のことなのか。これは市町村障害者生活支援事業では生かされなかった。国が100%もつのか、憲法で生存権を保障しているのだから。
障害者福祉は国の責任でやるべきで、保険でやるべきものでない。そのために税金をおさめている。応益負担は無理がある。国の責任を認めて、税によるサービスをしていくべきである。
介護保険とは自立の概念が違う。障害の自立の概念は82年に国連でリハビリテーションは期限と目的を限って行われるという規定をして以来、介助を受けながらの自立という方向に変わった。これを82年の状況に戻さないで欲しい。
ガイドヘルプを介護保険とをわけようとしているが、ガイドヘルプといっても家の中で必要な介護を外でやっているだけである。ガイドだけ横出しにした場合、市町村はやらない心配がある。
今、支援費が始まり、障害者が地域にでてきている。介護保険になるとそれが逆行するのではないか。
家族の負担は、1割負担になると増える。
障害者は365日地域で暮らしている。自立生活した人は施設には死んでも戻らない。施設をでて何が良かったが、好きなときにトイレがいけるという答えがあった。施設では職員が待っていてねとほったらかしにされるケースがある。施設に戻れと言う無慈悲な福祉サービスは受けたくない。利用者、現場の提供者、市町村の担当者は、介護保険にならないほうがいいという。現場を知っている人、切実なニーズを感じている人はそういっている。その全ての障害者の人が納得できる答えが提示されているのか。その保障がない限り、安易に統合賛成と部会で決めるべきでない。何十年のことも考えて冷静な判断をお願いしたい。
藤井氏(JD)
JDは70団体で構成されている。団体間では反対、慎重論が多い。
結論から言うと、現段階では賛成の判断できかねる提案。もっと判断できる提案を議論して欲しい。
精神障害者の社会的入院問題、ほぼ固定化の状況。
働く場、障害者の法定雇用率も一回もクリアできていない。
無認可作業所が6000箇所にもなっており、異常な事態である。
障害種別間の格差もある。不当といってもいい。精神、難病、てんかん、自閉症、重度重複重症、施策が講じられていない。
なぜこれが常態化しているのか。法律、政府の運用がおかしい。厚労省が真正面から取り組んでこなかった。個人的ながんばりをしているスタッフもいるが、全体としてはそうは見えない。障害者基本法、障害者プラン、障害者基本計画、基礎構造改革をやったといわれているが、努力ではなく実態がどう変わったか。障害者プランの目標も達成されなかった。
介護保険との統合は手段であり、安心して暮らせる事が大きな目標。一大転換をするなら政策目的、地域生活の保障をすることをベースにおくべきである。これを論じてから、介護保険との統合論議をやっていくべき。「とりあえず」「よりまし」「一歩前進」、この言葉は障害分野では結果を生んでいない。基幹的な問題は先送り、表層的な改善にとどまっている。基本的な問題にメスをいれることが大事。
あらためて、全体をどう議論するかを強調したい。全体像をどうするのか、基幹的な課題にどうメスをいれていくのか、方向付け、検討のタイムテーブルを示すべきである。
次に、全体的なテーマは何か列挙したい。
扶養義務制度は、介護保険での自己負担の問題になる。民法をかえろとはいわない、しかし厚労省の分野ででできる。扶養義務は公的責任の放棄、本人の自立意欲も落ちる。
障害認定はICFのような国際基準にしていくべきである。
経済的な自立は基本であり、所得保障を。
総合的な福祉法、あるいは全ての障害者を対象にした地域生活支援法。
60種類の施設体系の簡素化。課題といわれながら手がつけられていない。
社会資源の量的な整備、育成。
社会的な入所、入院の問題。これは人権問題。
一気に解決はできないが、方向付けとタイムスケジュールをやるべきである。
議論の上で正確なデータが不足している。データがない中での制度設計は支障がある。また妥当性があるものになるのか。制度への信頼が得られない。
支援費の失敗は、思いのほかにニーズがでてきた。ちゃんとしたデータがあったらこんなことはないはず。データないままの執行が失敗だった。前年度比15%増やしたと言うが、障害のニーズに合わせて増やしたかどうかである。
経済団体など負担増から統合に反対する人もいる。これは障害者団体の反対とは意味が違う。社会的な負担から障害者を排斥したい人には反対していかないといけない。
このような議論をしている最中で、今、乗り遅れたら一般財源化であるということを強調しすぎることを問題だと感じている。三位一体改革は理解しているが、それをもって統合不可避というのは狭い論調である。もう少し自由な議論を展開しないと結論は萎縮してしまう。
全体の障害者施策の方向性がから考えるべき・
あらためていうと、提案に賛成と言うのは材料が乏しい、引き続き検討を求めたい。1/16に塩田部長が改革本部の発足について説明を受けた。皆さんが反対したらこの話は壊れると言った。これは名言で、大きな安心を覚えた。私たちもこれをよりどころに、厚労省も胸にきざんで、基礎において欲しい。歴史の検証に耐えうる議論のうえで部会も結論をだして欲しい。
松友氏(育成会)
理事長の藤原にかわって会を代表して発言する。一昨日の理事会で知的障害者障害者福祉との統合は必然と言う意見書を決議した。その趣旨と道のりを説明したい。
私たちは知的障害者の親の会で、2700を越す地域の会があり、会員が32万人いる。私も32歳になる、知的障害者とてんかんの子供の親で、これまで生きる場をもとめてきた。知的障害者は家族の責任にされた。特に母親に大きな責任が負われた。その中で疲れ、施設にたよった親もいた。しかし、これに終止符をうちたいと決意している。地域での支援システムを求めて、行動している。このような立場で意見を決めた。
厚労省の中間報告案をうけて、理事会で案をまとめて、7日に都道府県、政令市の確認をとった。議論が拙速だった、結論ありきという批判がある。しかし、これまで基本線はできていた。3月にも見解をまとめていた。一昨日の理事会では22名の理事が出席し、20名の委員が賛成で圧倒的に可決された、地方の意見も多数が賛成だった。地方の意見も十分聞いた。施策の決定に関し、参画した者の責任がある。自己決定、自己責任である。早い段階から検討の時間を与えられていた。
いわゆる支援費の財政破綻、混乱を予言して、介護保険との統合を主張した人たちがいた。また、10年近く前に介護保険の議論では障害者のことを積み残してきた。
障害者部会は介護保険から結論をまたれている。判断していかないといけない。
支援費も介護保険も利用契約制度である。支援費制度への評価は契約方式への評価なのか、そうでないのかを考えないといけない。介護保険で自主性が高まる。共助方式である保険は理解を高めることができる。逆にいうと障害者への理解がないと統合できない。
歴史的な経過、現実、将来の展望をみると必然の選択肢である。ネガティブな理解だけでなく、積極的な理解も可能である。介護保険制度で解決されないといけない事はある、これからの課題である。方向性が固められたら具体的な課題を提示し、その解決にまい進する。入り口で時間をかけるのが良いのか。
介護保険の内容が不明というが、支援費の不足は明らかである。
障害者部会で統合を明確にしても、介護保険部会で受け入れられるか。経済団体、高齢者分野、医療分野は否定的である。彼らはその反対の理由として障害者が反対しているということを使っている。
共生の思想を掲げて国民に働きかける。障害者基礎年金も連帯でできた。
そういう議論を受けて育成会は統合に賛成の結論をだした。
支援費制度で知的障害者の利用がのびた。しかし、知的障害者の利用についての基本認識ができていない。そもそも知的障害者は数が不明確である。世界的には4、5%、最も少ないアメリカでは1%。しかし、日本は40万人。これまで居宅の事業者がなかったところで、サービスがはじめればふえるのは当然である。
強度行動障害、てんかん発作などの極めて高度な支援、地域生活支援を考えると日常的なサポートが必要。今までの積み重ねを越えた財源を確保しなければできない。無認可作業所に通っている多くは知的障害者、精神障害者である。座して死をまつより、たちむかっていくしかない。
特に重篤な高度な支援を税できちんと確立する。それを前提とした上で、共生の方向にむかっていく。詳しくは意見書を読んでいただきたい。
小松氏(全家連)
各団体からいろんな意見がでた。全家連としての意見を言う。
基本法が95年にできた。精神保健法から精神保健福祉法にかわり、手帳、在宅サービスできた。精神科についても通院中心、入院期間の短縮になっている。医療と福祉の両面が必要。自立と社会参加は必要。
制度が縦割りである。社会的入院患者も残されている。事者と家族が安心して暮らせる制度にすべきである。原則は障害者福祉は税金でやるべきである。しかし、今回国家財政が逼迫しているので、統合が示された。
理事会を開いて全員一致で可決した結果を今日発表している。
財源確保から検討すると介護保険との選択は一つの選択肢として前向きに考えていくべき。しかし、検討すべき課題が多い。
多くの精神障害者が家族と同居して扶養のもとにいる。家族も高齢化している。私の長男も51歳になるのに、家にいる。家族扶養に依存する体質がある。在宅の問題を家族が背負うならば改善しない。社会によって支援する事が急務である。
福祉サービスは個々の状況によって提供されるべき。精神は見ただけでは分らない、食事や入浴もできる。しかし、認知、生活設計、人間関係が難しい。これが障害特性で、これを配慮した制度設計を。
3障害共通で平等にして欲しい。精神のサービスは不足している。インフォーマルサービスの整備も遅れている。
精神は市町村の理解が低い、専任の職員もいない。専任の職員をおく必要がある。あとは具体的な課題について、江上のほうから。
江上氏(全家連)
介護保険制度との統合に関して前提となる検討課題として、9項目をあげた。
- 統合された場合は、介護保険、支援費のサービスで利用できるものは全て利用できるようにして欲しい。
- 経済的に厳しい精神障害者の保険料、自己負担を減額する。世帯でなく本人所得を基準とする。
- 介護保険の限度額を超えるサービスの特例制度を設けること。
- 精神は対人関係、就労など固有の障害を有している。あいさつが不得意、言われたことしかできない、注意力、気配りがないなど。
認定には精神独自の認定基準を作る。不利益とならないように。多角的な十分な検討を。一部の専門家で決めずに地域の実践者、当事者、本人家族が十分な意見をのべるように。
- 精神独自のケアマネジメントを確立すること。現行のケアマネジメントでは対応できない。研修を受けたケアマネージャーを育成。
- 生活の質の向上を現場に浸透させる。顔を洗うこと、買い物にいけるようになることなど。
- 法内と法外の施設の取り扱いについては関係者と十分な協議を行っていって欲しい。
- 介護保険外のサービスが維持、継続できる措置とその充実を図る。
- 地方では事業者がない。質量の格差がないように。
これを16名の理事で一致した。政策委員会においては専門家の意見も聞いて検討した。
京極部会長
15分休憩で、3時30分から再開を。
(中断)
時間が来たので再開します。委員から質問を。
福島委員(東京大学)
8団体の意見を聞いたが、賛成は育成会。条件づき賛成が全家連。反対はDPI、全脊連。その他は判断の材料がないということだったと思う。
明確に賛成を言っている育成会と反対のDPIに聞きたい。
まず育成会に質問。判断できないという団体が多い中で賛成にいたる理由があったと思う。最も重要なポイントに絞って説明をききたい。安定的な発展がポイントなのか。
中西さんは生存権の保障は筋は通っている。税でやるという理念は正論である。しかし、財源が足りないと言うシビアな問題もある。障害者団体のリーダーとして予算が足りなくなると困るのは地域生活をしている重い人たちである。リーダーとしてどういう責任をとるのか。理念はわかるが、厳しい条件の中でリーダーは判断しないといけない。今後、国から障害者が判断したことで自己責任と言われるとどうするのか。
松友委員(育成会)
正直なところ、私たちだけ賛成というのは驚いた。
結論としては政策決定なので、科学的なプラスマイナスでない、政治的な判断である。
判断は利用者、家族に投げられている、結果責任がある。福島さんが中西さんに聞かれたように、育成会が賛成した責任がある。介護保険のほうが、まだひどくならないだろう、そういう政治判断をした。
その根拠は、知的障害者はいま遡上にあがった。精神はまだ俎上にもあがっていない。施設は強固に義務的になっている。これでいいのか。地域の支援体制を強固につくる。これをどうするのか。
支援費の際に入所の施設の負担金を倍にあげるという話があって、これを地域にまわせばということで、賛成したが、財布がちがってまわらなかった。我々の判断ミスだった。
知的障害者と痴呆性老人と何が同じで何がちがうのか。グループホームへの報酬は老人の方が高い。
3つめは状況認識が厳しいということである。国民一人当たりの700万の赤字を抱えている。応益負担になることははっきりしている。1割でなく2、3割になる。その議論もあった。制度の永続性も考えて、厳しい状況の中で、安心、寄らば大樹のかげ、社会保障全体が一本化、おおきな流れで戦わないと、障害者だけではいけない。苦渋の結論である。
中西氏(DPI)
私には責任が問われている。重度の人の地域のいる人の思いを代弁する。それを集約する責任がある。代弁できてなければ会員から首になるだろう。それが問われている。私の責務でああり、自己責任の中身はこのことである。私に課せられた責任は障害者一人一人の生活の保障ではない。障害者の声に対する国民の理解を訴えていくことである。
生活の責任をもっているのは、国家である。生存権が認められている、そうであるならどこで暮らせるかということも自分で決められるべきだ。
障害をもって地域でいきる。トイレのいきたいときにいく。これは悪いことか。委員のかたはどう思うか。施設から地域にでたのは自己責任と投げ返せるのか。最低限のニーズは国家の責務である。税金を集めて何に使うのか。悪いのは障害者がたくさん時間を使っていることではない。悪いのは予算のシステムである。
介護保険は国家責任はおわない。これに入ることは最初から上限をもったシステムに入ったということになってしまう。措置を発動するのも介護保険でもできない。障害者に必要なシステムを考える、お金がないので他の仕組みに移ろうではない。国家は障害者に対して何をしようとしているのかが、今、問われている。最低限、必要なことは国が責任を負うべきである。
徳川委員(療護施設協議会)
今日は8団体から貴重な意見をもらえて、勉強になった。
大濱さん、藤井さんから重度の障害者の対策を言っていただいた。私も重度の障害者を支援している。ありがたい意見。 統合反対の意見には2つある。ひとつは理念的な面で、全脊連、DPIは公的責任の問題、保険制度はなじまないという考えであった。私は保険だから公的責任でないという理由を聞きたい。
もう一つは、介護保険が不安な場合、そのサービスの問題が解消されれば介護保険でもいいのか、そこがわからないと議論できない。理念の問題とサービスの問題。
加えて、施設だからトイレが不自由分ということではない。私たちの施設ではそういうことはない。逆に地域にでて在宅のサービスがなくて困っている人もいる。その発言は訂正して欲しい。
中西氏(DPI)
良い施設はあるかと思う。しかし、在宅と施設が同じならプライバシーがある在宅を皆選ぶだろう。
介護保険は自己負担しないとサービスが停止される。家族に負担がいく。支援費は本人負担しか求めていない。高齢は稼得能力があって、資産ももっている。障害者に払えないものを払えというのが公的責任なのか。
障害のサービスがよくなればいいというのではない、高齢も良いサービスを使えればいい。支援費は介護保険より進んでいた。介護保険の目的が支援費制度にあるのなら、財源の問題はあっても、すぐれた制度を誇りに思うべきである。ダイレクトペイメント、パーソナルアシスタントにつなげていく。それが日本の最終的なゴールであり、もっと議論すべきである。
小林委員(長寿科学振興財団)
医療ではどうなっているか、所得がないと生活保護では負担がない。保険ではできない医療を療養費制度を作っている。高度先進医療や高額療養費制度がある。医療保険制度の中で多様な制度を作っている。だからこそ、問題があるといっても、世界ですぐれた保険制度と言われている。介護保険においてもそういう見直しをしていく。今出来るかどうかはわからないが。それは事実として理解していただきたい。
藤井氏(JD)
中西さんとは意見が違うが、そもそも高齢者と障害者を別にするのは差別に近い発想である。前回の介護保険では、障害をいれることはめんどくさかった。ゆくゆくは介護保険、医療、年金、労災とならんで保険はやぶさかでない。しかし、統合なら条件の整備が必要である。併合や吸収ではいけない。あまりにも違いがありすぎる。統合のために条件整備が必要である。基幹的な施策を整備しないと統合は新たな問題を生む。
基本は年齢では分けない、しかし、現状では条件の整備ができていない。
京極部会長
議論の整理をしたい。
支援費制度をみなおすことは必要で、介護保険にいれるにはタイムラグがある。明日から入るのではない。
3委員のペーパーがまとめられて、介護保険+アルファでやるという提案があった。介護保険だけやるという話はない。それが前提である。
財政は金額の問題もあるが、介護保険は在宅も義務的経費になっている。そういう質の問題もある。
この3点は共通の認識ではないか。障害者団体はそうとっていないかもしれないが。
広田委員(精神医療サバイバー)
遅れてきたので全家連の意見の部分から聞いた。
顔を洗うとか入浴の話があった。障害者の介護保険は高齢者とちがって社会参加も含むと言う話をされていた。私は当事者として、母親とくらしていて、ヘルパーがついていた。母親がなくなってほっとしている。親に扶養されるだけでなく、高齢の親の面倒をみている精神障害者もいる。
身体障害者のADLの話では精神の生活のしづらさが誤解される。精神病院の人が退院して、寝られないという電話がある。長い間病院にいると、布団をしく、電気をきるという習慣をわすれている。これは精神障害によるものではない。長い間の入院生活で失われたことである。
介護保険がいいかどうかはヒアリングの皆さんの文章を見てゆっくり考える。精神障害者自身がサービスを提供している。そういう人が介護保険がでてくることでサービスができなくなる、生活がなりたたなくなるという心配がある。また、サービスを使っている人も介護保険で使えないのでないか。
私は生活保護で、収入があれば申告をしている。医療費は無料。介護保険も無料。低所得対策は必要である。
なんでもかんでもできないことを精神障害に結びつけないで欲しい。一人の人間としてその人らしく社会貢献できる日本であって欲しい。
京極部会長
今日のヒアリングは、前回の3委員の提案をみての障害者団体の意見だと思うが。
前田氏(日身連)
介護保険ができる時の委員になっていた。64歳以下の若年はどう介護保険に入るのかという議論もあった。その後、支援費制度できて、統合という議論になっている。
介護保険発足当時は見直しのときに若年者、難病をどうするかということを検討することになっていた。当時は統合の文言は無かった。5年後に介護保険にどういれるかということだった。
支援費制度ができて、財政問題があって、統合と言うことになっている。重要なのはライフステージに基づく総合的な施策の展開である。これまでを踏まえてさらなる充実を。障害者基本法の改正、扶養義務の撤廃、将来に向かって施策を実現する。一つは自立と共生社会の確立、社会の連帯感、国民の理解を得ていく、共感していただく。安全、安定をもとめていく。
3委員の提案は共感できるところある。これを見る前に、大会で現行の介護保険のサービスでは低下するという決議をした。しかし、提案は解決するべき課題がある。日身連はこれから8団体の皆さんと厚労省との協議の場で多くの課題を解決できるよう進めて生きたい。問題提起の課題が解決できない場合はどうするか。すぐできるものと、できないものがあるかもしれないが、いずれにしてもベースにのっかって、粘り強く解決の方向で進んでいる。明らかに今の段階での反対ではない。前向きに厚労省は障害者団体と協議して欲しいと強く要望する。
笹川委員(日盲連)
松友委員にききたい。背景には知的障害者の認定の問題があるという。岡田委員からも知的障害者は200万人くらいいるという話があった。実態の把握はどうなっているか、なぜそういう誤差があるのか。
藤井さんにたずねるが、障害者の数が把握できていないのに制度を作る事は問題がある。これをどう評価されるのか。
先ほど、小林から説明したが、どこでも統合反対の声がでている。支援費をまだ見直さないといけない。ガイドヘルプが支援費では措置制度より悪くなった。まずは現状回復である。それから統合と言うことである。ガイドが充実するならともかく、いまのままでは統合に入れない。我々の表現はあいまいと思われるかもしれないが、まずガイドヘルプをなんとしないと。今日の資料は在り方検討会でだしたものをだしている。
松友委員(育成会)
障害認定については科学的な説明は岡田委員からしていただければ。
私が考える問題点は、わが国は知的障害の定義がない。サービスの定義しかない。それでは人数はわからない。軽度発達障害、ADHD、自閉症は全く救われていない。また、年齢できられている。18歳で発症しないと知的障害者といわれない。
介護保険で全てが片付くわけでない。本質的には法改正の問題で、金でないというのはわかるが、統合を突破口にして、日本の国家体系を組み替える。そういう思いである。
警察統計や婦人更生統計の中にも知的障害者が含まれている。それが議論されていない。現在、知的障害と言われている46万人だけの問題でない。こうなってしまったのは知的障害者の関係者の問題もあったと思う。アメリカでは1%、フランスでは4%。国もきちんとした実態調査をして欲しい。
介護保険ですべて解決できない、子供だけでなく親自身が知的障害者である家族もいる。中西さん、藤井さんの言うことにも共感するし、進めていきたいい。
藤井氏(JD)
障害者の数に関しては、精神の患者実態調査では50万単位で変わることがある。統計学的にはただしいかもしれないか、現実を表しているものとしてはどうか。もう少し、こういう議論の基礎データがいるのでは。きょうされんでは社会資源の調査をしている。支援費の事業者がない市町村が10数%ある。できればニーズの実態、社会資源の数をきちんと把握する。雇用率は数字がでてもその裏側の調査は弱い。
支援費はデータがないことの悲劇だった。ニーズ爆発ではなく、科学的なデータがないと、その時の財政でさまよっていく。もう少し、定点調査を行い、NGOとも協力できる。かつてのように障害者団体が調査反対をすることはない。データの重要性を強調したい。
前田氏(日身連)
補足したい。中間報告で気になるのは三位一体改革、地方分権の推進があり、全国市長会でも一般財源化が求められている。市町村障害者生活支援事業が1500万でスタートしたが、一般財源化されて、市のほうで困っている。市が財政を負担しているが、補助金をカットされている。今回も市長会から一般財源をもとめているというが、全てを一般財源化する事が本来の分権の姿であるのか。ますます格差が生じてくる。国の考え方も聞きたい。
介護保険でできるもの、できないものがあると思う。それは今後、どういう形でいくのか。支援費制度を残してやっていくのか、あるいは別な制度を作っていくということもある。どういった棲み分けができるのか。統合となった場合に一線をひくことができないと、統合賛成となりにくい課題が残る。多くの課題については国と協議をさせていただきたい。そのタイムリミットはどう考えればいいのか。
京極部会長
事務局から、財政、メニューの問題について
塩田障害保健福祉部長
全体的なコメントをさせていただく。関係の団体から意見をいただき感謝する。
今日は特に重い意見をいっていただいた。問題提起については真摯にこたえていきたい。
藤井さんが言われたこれからの福祉の全体像を示す事は同感である。骨太の方針でも障害者のことを書いてもらった。できるだけ早く障害者福祉の全体像、スケジュールを示したい。
これからいろんな関係者と議論して介護保険となっても、当分は支援費でやっていく。支援費の見直し、充実、強化、いろんな努力をしていかないといけない。裁量的経費となっていることは致命的。しかし、在宅の予算確保は最大限やりたい。関係が一致団結して予算確保したい。
支援費の見直しが、介護保険に移行する準備作業になる。いろんな努力が必要。
克服する課題は山のようにある。その制度をどういう設計になるか厚労省も関係者から聞いてつくっていく。今はだせないが、なるべく早くデザイン、設計図を出したい。
こうした場以外でも関係団体と意見交換、協議の場も設けて生きたい。
議論はまさにこれからである。
問題点を発信して欲しい。国民各層でいろんな議論で障害者福祉のコンセンサスをえていきたい。
京極部会長
時間の関係で質疑は以上で。各団体からの出席はありがとうございます。
最後に新保委員から提出資料を。
新保委員(精神障害者社会復帰施設協会)
資料の日付は6/18になっているが、これは総会で決定されたものである。精神障害者社会復帰施設協会は介護保険の導入に賛成し、以下の5点で介護保険を活用していきたい。
私たちは施設運営をしているが、精神障害者ともに社会参加の促進の道を歩んでいく。
支援費の課題の克服と介護保険問題を重ねあわせていく。中身が見えないので白紙でのれないという話があったが、精神障害者は残念ながら、これまで土台にのれなかった。
支援費の時に声はかけられた。しかし、他の障害者団体から一緒に議論できないと言われた。私たちは支援費に積極的にのろうとしていた。精神はここの議論の土俵にのせてもらえなかった。精神は裁量的経費としてしか担われてこなかった。なんとしても義務的経費として、施策にのっていきたい。
支援費からはずされ、他の税財源も見えない。そうであるならば介護保険を検討せざるをえない。介護保険を積極的に活用を結論付けた。そういうことを理解した上で資料を読んでいただきたい。
藤井氏(JD)
支援費の時の状況、97年から議論をやってきた。私たちは精神を加えて欲しい言ってきた。一貫した答えは精神は利用契約になっており、先行しているので支援費にいれる必要ないというのが厚労省の社会援護局長以下の発言だった。新保委員の外されたという発言はびっくりした。私たちは一緒にやろうと言ってきた。
京極部会長
今回のヒアリングを踏まえて、次回は、今後の方向性について議論し、まとめていく。非常に重要な会議、この議論の結果によっては介護保険部会にインパクトを与えることもあるし、空振りに終わるかもしれない。慎重な審議をお願いします。
間課長補佐(企画課)
次回は中間的な取りまとめ、6/25午後3時。厚労省会議室にて。
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