5月17日に第10回社会保障審議会障害者部会が開催されました。 

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

 今回は前回に引き続き「サービスの計画的な整備と財源(配分)の在り方について」のテーマで議論がなされ、全般にわたって介護保険と障害者施策の関係について、突っ込んだ議論がなされました。

 最初に知事会、市長会、町村会からヒアリングがあり、知事会代表の浅野宮城県知事から介護保険との統合に賛成する立場からの発言がありました。続いて、市長会・町村会からの発言は各市町村の意向調査の報告を中心になされ、市町村の意向としては”慎重に””将来的には統合もあるが現状では時期尚早”という市町村が多いというものでした。

 また、企業の立場からでている委員から、産業界としては介護保険との統合は反対で、支援費としての仕組み作りをまず考えるべきであるという意見が多数という発言がなされました。

 一方、精神障害分野を中心に、「3障害が同じレベルのサービスを受けるために介護保険を活用する。基盤整備も遅れているので介護保険だけでなく、基盤整備についても国が役割を果たすべきである」「精神障害者が必要な在宅サービスを受けるためにはどのくらいの費用が必要か試算してそれに対応できる仕組みを考えるべきである」等の意見が出されました。

 また、「議論は出尽くしたので、もっと具体的な案をもとに議論をすべきである。厚労省が具体的な案をだす、出せないのなら座長提案などの形で試案をだせないか」という意見も数人の委員からだされました。

 厚労省は秋くらいにならないと具体案は外に出せる段階にならないとの回答でしたが、次回以降、何らかの形で試案のようなものがでてくるかどうかが注目されます。

 詳細については傍聴メモをご覧下さい。※これは傍聴者のメモであり、議事録ではありません。細かい数字の間違いや委員の意図を正確に表現できていない箇所もありますので取り扱いご留意下さい。

2004.05.17 13:00〜16:30
第10回社会保障審議会障害者部会 傍聴メモ

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

※これは傍聴者のメモであり、議事録ではありません。細かい数字の間違いや委員の意図を正確に表現できていない箇所もありますので取り扱いご留意下さい。

京極部会長

 定刻となったので始めます。
 今日は、全国知事会、全国市長会、全国町村会からヒアリングを行う。
 事務局から出欠状況を。

間課長補佐(企画課)

 まず、ヒアリングの紹介。全国知事会社会文教委員会・浅野知事(宮城県)、全国町村会・野中町長(園部町)、全国市長会は松浦市長(坂出市)を予定していたが、急遽の都合が悪くなり、本日欠席された。次回以降ヒアリングをする。
 欠席は、江上委員、岡田委員、佐藤委員、古畑委員、末安委員、高橋紘士委員、西島委員。
 次に資料の確認、手元の資料、資料1「前回までの議事概要」、資料2「障害者保健福祉施策の見直しの必要性」、資料3「経済財政諮問会議(4/26)における麻生総務大臣提出資料、資料4「介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案」、資料5「(社)日本経済団体連合会の意見」、資料6「社会保障審議会第12回介護保険部会(4/26)での主な意見を事務局においてまとめたもの」。参考資料として、その際の介護保険部会の資料。
 前回資料で数字の誤りがあったので、訂正をしたい。1枚資料が入っている。人口10万人あたりの障害児のホームヘルプサービス利用者数の格差が27.7倍としていたが、44.4倍の誤り。
 前回議事録を配布しているので、訂正があれば事務局まで。

京極部会長

 それでは議事に入る。
 前回は自立支援施策の体系、ケアマネジメント、サービスの計画的な整備と配分について議論した。
 今回は知事会、市町村会、町村会のヒアリングのあと、サービスの計画的な整備と配分について再度議論する。
 委員の発表は、君塚委員を予定していたが、了承を得て次回以降に。
 それでは浅野知事、市長会より代理のかた、町村会の野中村長。ひとり15分程度で。

浅野知事(宮城県)

 知事会推薦ということであるが、知事会として明確な方向性があるわけでない、個人的な意見、障害福祉課長をやっていた思い入れもある。個人的な意見が色濃く出る。
 二点ある。一つ目は三位一体改革。この中で国庫補助金を廃止して欲しいと言っていることはどういうことかについて。2つめは介護保険と一緒になるかどうかという点について。
 一点目は心配なく。一般財源化は支援費を狙いうちしたものではない。国から自治体への財源の振り替えである。知事会では9兆円の委譲を求めている。この補助金を使い勝手を良くするだけでなく、知事がどういう分野にどれだけ使うか、自由裁量。これからは知事の裁量でやっていく。支援費だけでなく、いろんなものを一緒に財源委譲する。地方財政自立改革である。心配しないで欲しい。
 介護保険との統合について、この問題提起はいかがか。我々の抱えている障害者福祉の問題点から始めなくてはならない。
 一つは在宅支援である。この10年の流れ、施設から在宅にある。もう一つ、支援費の効果は寝た子を起こした。支援費になって、いろんな人が使うようになった。支援費は在宅支援を強調されてできたこともあって、障害者がとびついた。寝た子は起きたが、あげるミルクがなくなっている。宮城県は施設解体宣言をだした。”解体”の言葉のインパクトが強い。知的障害の入所施設を解体し、在宅を充実することを宣言した。同じような動きが形を変えて各地で出始めつつある。支援費は在宅が担保できるような仕組みになっているか。それが目の前にある。
 精神の問題は支援費からも排除されている。本人・家族の高齢化で、この問題はまったなし。おくれてきた精神障害施策の問題はまったなしで抱えている。これだけではないが、この大きな2つの問題がある。これを解決するときに、支援費で解決できるのかという問題提起である。
 そして、精神は支援費の対象外。在宅支援は裁量的、この義務的・裁量的に象徴されている。お金がないとやれない。支援費は在宅を旗印として出発して、財源不足に陥っている。残念ながら事実。支援費は財源に十分な答えを提供していなかった。このように分析して、介護保険と統合することを推進している。
 介護保険の2階建て、2本建てはできる。介護保険で全ては代替できない。これからも税金でサービスの上乗せ、横への広がりがある。

 介護保険に入る意味は2点ある。財政的なメリットで入るのではない、それはおかしなことである。介護保険でもお金が降ってくるわけでない。国民の負担である。介護保険でお金が豊かになるわけでない、それは介護保険のメリットではない。
 連帯という契機をいれる。介護保険は目的税。支援費は一般税、財務省から持ってくる。介護保険は目的税、連帯の契機がある。介護保険ができる時、保険料を払ってくれという時に、損をするのではないかという話で懐疑的だった。今は懐疑的な人はほとんどいない。あちこちで介護保険の給付を受けている、明日は我が身、連帯、これを障害にもってこれないか。
 2番目は、支援費制度は騒動をみた。2年続いて年末に障害者が建物に座り込んで、拳をあげている。この騒動のゲームのルールは厚生労働省にむかって財源をとってくる、そして厚労省を財務省にむかわせる。
 介護保険は単純ではない、保険料を払う人、市町村、保険者がいる。財務省もいる。今、反対している経済団体がある。登場人物がいて、その混沌の中から答えが出る。
 厚労省に行って、お金をとってくる。国民を巻き込めるのか。国民を巻き込む、民主的で納得できる方法。国民を巻き込んで給付を得る。
 障害者から反対意見で、高齢と障害とは違うと言うが、本当だろうか。
 青天井の議論がある。介護保険は限度があって、自己負担。それでは障害者がやっていけないというのはその通り。介護保険も青天井で良い。医療保険との対比で言うと、ガンになってこれ以上は治療費がでないということはない。介護保険は保険として不十分、一番大変なところを賄う。障害者が言う問題点は本来的な点もあり、直せばいい。介護保険を直すべきという議論をしていくべきである。

京極部会長

 ご質問は。

妻屋委員(全脊連)

 浅野知事の話はよく分かる。ようは利用者が今一番不安に思っているのは支援費制度ができて、少ししかたっていないので、制度を変えて大丈夫なのか。その問いに答えられるのか。
 措置制度の時も障害福祉は地域格差が大きかった。東京都と地方、横浜市と地方という格差がある。地方へいくと難しい。一般財源化、地方にまかせた場合、地方で独自で判断して福祉をやる。その時に障害者は都道府県に安心して任せられるのか。

浅野知事(宮城県)

 支援費でやっていけて、それがいいというのなら、それでいい。しかし、私はそれではまずいのではないかと考えている。
 在宅支援は寝た子を起こした、戻れるだろうか。制度の安定性は絶対条件。今の支援費の仕組みでいいか。支援費、介護保険の双方メリット、デメリットある。税金でも十分やれるということであればいいが、私はかなり不安である。
 一般財源化は全ての分野でいえる。義務教育、農林省の補助金、森羅万象すべてそうなる。乱暴にいっているが、それでいい、そういう知事を選んだということ。自分たちの税金を県に払って、不満足なら、知事に退場してもらう。それが民主主義。今は福祉に関心がなくても、補助金で一定はやっている。しかし、それでは地域の福祉の力があがらない。一般論として、そういう方向が良い。

京極部会長

 事実関係として、支援費の在宅は裁量的経費、介護保険は義務的という前提での話。

徳川委員(身体障害者施設協議会)

 施設解体というインパクトの強い発言、新聞でしかわからないが、知事は施設不要論ではなく、施設も必要だという考えだと思うがどうか。
 連帯と言うことを大きな目的とされたが、保険以外に連帯を強める選択肢はないか。
 高齢者と障害者の自立の違い、知事の考えは似たようなものという感じをもった。障害者の自立をどうとらえているか。

浅野知事(宮城県)

 解体宣言は新聞報道だけではなく、原文を読んでいただきたい。解体は入所のみで、通所は必要である。この宣言は県庁の職員に向けて、どちらを目指すのかを打ち出した部分も大きい。施設を解体してもいい方向を目指す。100年かかるかもしれない。しかし方向をださないと、300年かかってもできない。
 本人の意思が大事。家族でもない。施設に残るかどうか、決めるのは本人である。グループホームなどオルタナティブをだして、施設と選択してもらう。そこで在宅をえらんでもらう心意気でいる。誰が選ぶかがポイントである。
 税金と保険、連帯の契機は介護保険にある。介護保険を始めるとき大きな連帯の動きができた。
 自立については、障害者はデートのためにガイドヘルプ、遊びに行くためにガイドヘルプ。高齢者は対象になっていないが、若い障害者は対応として考えられる。根元的な問題、保険は保険事故。使う側に裁量をもたすのは難しい。毎日デートのために使えるか、これは運用の問題、難しい、私の範疇を越えている。しかし、年齢で漠然とサービスをわけることはあると思う。

新保委員(精神障害者社会復帰施設協会)

 財源を委譲して知事の裁量権に委ねる。民主主義社会であれば、それはきちんとやるであろうという思いだと思う。しかし、現状の精神を考えると難しい。補助金がなくなって裁量になると、格差はますます広がるという不安がある。施策の進展が地域によってばらばら、大変困難な状況である。民主主義を説くのであれば、もっとも弱い立場の人を忘れないことが大事である。
 三位一体改革で、このまま補助金の中で社会福祉ができるのか。現状では厳しいのはわかる、精神の新たな策として介護保険を使うことについてはどう思うか。

浅野知事(宮城県)

 後半の質問については、是非そうしたい。大きなのは精神の問題、なぜ支援費で外れたのか。精神を救うために介護保険の旗印にする。介護保険の共通部分を拾うことで精神障害福祉は格段によくなる。
 前半の質問は、皆、どの問題でも同じようにいわれる。いつになったら補助金がやめられるのか。精神が地方にうつれるのか。理解のない首長がいても、それを地域の力で乗り越える。運動論になるが、それをやらないと進まない。いつまで国営の福祉でやるのか。いい加減な首長がいてもやらざるをえないシステムを作っていくことが必要である。

安藤委員(聾唖連盟)

 知事会では明確な方向はなく、浅野知事の個人的な意見といったが、三位一体は重要な問題。三位一体は事務局(厚労省)でも問題にしている。知事会では三位一体の改革をどう受け止めているか。
 介護保険との統合、個人的には障害・高齢ではなく全体の福祉は重要である。しかし、それでは国民的な合意が必要になる。障害者全体の利害も重要。それが、今年の秋くらいにきめないといけない。時間をかけて、慎重な論議でやっていくことが大事。もっと期間をとる必要がある。

浅野知事(宮城県)

 知事会はまとまっていないというのは、介護保険の問題について他の知事は私ほど明確にまとまっていないということ。アンケートでも慎重にという意見は多い。
 一方で、改革についてはまとまっている、一致団結している。とにかく、補助負担金を廃止、財源委譲をする。今年は闘いの年である。

 慎重にというが、障害者の立場では待てないのではないか、早く在宅生活をしたいのではないか。支援費ができて一年で変わるのはというが、安定的な制度が急がれている。介護保険は十分な選択肢である。
 本気で考えて間に合わなかったら、それでまた考える。今回を逃したら、また、5年後になる。拙速はいけないが、いたらずらに議論を重ねるのはどうか。

広田委員(精神医療サバイバー)

 浅野知事が精神が支援費に入っていなかったというが、当事者としてそういう認識は有り難い。浅野知事、堂本知事が今日この場にいるが、全国の自治体で精神障害施策が障害者計画に入っていないし、委員にも当事者が入っていない。知事会で精神障害施策をやろう、福祉を進めるとよびかけて欲しい。精神障害を知らない知事もいる。知事会でも訴えて欲しい。

京極部会長

 次ぎに野中町長。

野中町長(園部町)

 京都の園部町という町の町長をつとめている。
 全国町村会長から全国に意向調査をした。120の回答があった。
 介護と障害者施策の関係について、「セットで考える必要はない」は50%、「セットで考える必要がある」33.3%。総合すべき、すべきでないという意見がある。
 国があまりにも財政問題を主にしているという批判が町村にはたぶんにある。浅野知事からの発言、間接行政の都道府県と直接行政の町村では感覚が違う。我々は住民と直接に接している。実感が違う。
 保険者の範囲については、「拡大すべきではない」、「拡大すべきである」は41.7%で同じ。
 年齢拡大については、将来的には20歳までとは思うが、現行では未徴収金が増える可能性がある。20歳代の人は収入は不安定。国としては良いだろうが、未徴収は町村の負担になる。30歳までならいいが、20歳は困る。それが町村の意向である。
 介護保険の設立までに審議会の委員として論争をしてきた。私は保険料の5段階制ではなく6段階制を主張してきた。5段階制では、国は保険料200万までは1.5倍。500万円台の収入がある人も多い。6段階目をつくって、その分低所得者の負担を緩和する。
 最終的には市町村の選択制になった。われわれの1市8町は6段階制を取り入れた。介護保険1期目(2000〜2002年)は全国で11の市町村がこの6段階制で選択した。2期目(2003〜2005年)は2〜300市町村となったときいている。低所得者がサービスを受けられることが重要である。
 わが町では保険料は2900円でとどめて、6段階、最高は年間69000円。1:8という保険料の差を付けている。それだけの差がある。低所得者が安心して介護をうけられる。
 介護保険と障害者のかねあい、将来の統一はともかく、現在は反対である。理由は、特に聴覚・視覚・内部障害は現在の認定システムでは自立となる可能性がある。
 現段階では介護保険をもっと簡素化すべきではないか。また、認定の有効は最大2年。途中で重度になる場合は審査請求ができる。施設の人が介護度が改善した場合など、認定の問題は残っている。
 一元化は保険料の対象をさげる。20歳をとるのは反対。若い人の所得の保障がない中では反対せざるを得ない。ご理解いただけない。

 我が町では昭和61年から寝たきりの家族に対して感謝金制度を作った。当時は15000円だったが、支えている家族に感謝をする町でありたい。
 家族介護をできる条件でホームヘルパーを育成した。園部町では3級を720名、うち、500名が2級。しかし、家族介護は密室である。そこで、財団を設立して、そこに登録して、家族介護はそこに申請して財団は認定する。できるだけ身近な人を認定する。家族を中心に家族介護をする。財団から定期的な監視・指導を受ける。限度は1日3時間。1時間1200円程度。10万円前後の手当を支給する。町村では家族が家族を介護できる仕組みと、それを点検できるシステムをつくる。
 資格をもっていない人は、月3万円の感謝金をだしている。448名の介護の認定者がいる。地域で家族を中心に、親戚、知り合いで対応をしている。円滑な介護ができている。
 国は財政的な形であらゆる者の見直しをしているが、町村は直接行政で住民と接する。国、都道府県は補助金ですむ。
 しかし町村はそうはいなない。制度を利用する人にも財政の厳しさの理解をえたい。皆が辛抱、助け合って、努力をする。国も安定した財政の確立に配慮して欲しい。この時期をのりきる対応を。

京極部会長

 質問を。

堂本委員(千葉県知事)

 貴重な現場の、町長の意見。これから地域へは100年かかる、どこが主体となっていやるかというと市町村である。
 移行の時期は国からの委譲も十分でない。都道府県は国ではなく市町村のほうにたっている。市町村と一緒になってものをいっていく。

 財政は厳しい、税金だけでやっていけるのか。どういう制度を作っていくかを問われている。
 もう20世紀のような高度成長でなく、少子高齢化、そこで自治体と民間が一緒になって、障害・高齢の介護をどのように実現していくか、抜本的な、長期的なビジョンを示す。
 町長も将来的な統合をいっている。そこは違っていない。

妻屋委員(全脊連)

 浅野知事は補助金の廃止を言った。三位一体が実現した場合、市町村に住んでいる障害者はどいういう変化があるのか。

野中町長(園部町)

 こうなるという自信はない。お金のない時代、隣、近所の心の温かさを実現するのが、市町村の最大の義務。

松友委員(育成会)

 町村会のアンケートでは統合の賛否があったというが、それぞれの理由は何か。
 国民年金の未加入・未納の問題が話題になっているか、介護保険の未徴収の実態はどうなっているのか。

野中町長(園部町)

 町村会の状況では、賛成の意見は介護が必要であることで年齢的には区分する必要がないという意見が多い。若くても事故や病気でのリスクはある。
 統合すべきでないという意見は、介護保険は高齢者の施策であって、障害になじまない。将来的には一緒でも、現時点では、介護のニーズ、給付内容が違う。現時点ではそぐわない。
 私の町では保険料の未徴収はない。介護保険会計も黒字である。

京極部会長

 介護保険で全てやるかどうかは別。
 第3号として20〜40歳にしたとしても、企業で働いている人は市町村が集めるのではない。自営のかただけ市町村が集める。集めた配分の仕組みは考えないといけない。

笹川委員(日盲連)

 浅野知事の発言より、野中町長の意見は貴重。福祉は現場、どれだけ現場に近いかである。認定基準の問題があるが、将来的な統合をふまえてどこを変えればいいか。

野中町長(園部町)

 町村会ではそこまでの検討はしていない。これからである。

亀井委員(名張市長)

 統合の反対は町村会としての機関決定なのか?
 町村は2500あるが平均人口は1万人。支援費は上手く機能しているのは何%なのか。
 地方で上手くいかないのはマンパワーの問題。介護保険のなかでマンパワーの対応があったか。
 地方は改革を余儀なくされているが、財政は拡大しない、縮小しつつも事業を交代させないための改革である。その中では皆で支え合う保険制度は有効だと考える。
 介護保険は財政で劣化させれない、拡大させていかないといけない。そのための手法は?

野中町長(園部町)

 現段階では意向調査であって、それに踏み込んだ議論は町村会ではしていない。質問の答えは難しい。

京極部課長

 次に市長会の松浦市長の代理のかたより。

飯塚委員(市長会社会文教部長)

 社会文教部長の飯塚です。松浦の代理であるが、事務局としての発言になる。松浦より本日の欠席の件を皆様にも丁重にお詫びをしたい。
 私は事務局職員なので、発言に限界がある。介護保険の検討を昨年の4月からしていた。介護保険特別対策委員会、25名くらい。それとは別に担当の部課長のワーキンググループもやっている。全国市長に対する書面調査も行った。
 会の理事会120の人間が集まる場で決定したことは、被保険者と給付の範囲は、年齢の拡大、障害との統合は慎重に検討することという文言になっている。この短い言い回しだが、検討を踏まえた上でこうなった。統合できるものならできれば良いと取り組んできたが、各市長でもいろんな意見がある。
 アンケート調査の結果の紹介。704市(2月下旬調査)のうち、回答が608、約9割の回答率である。統合すべき−125市、19.5%。統合すべきでない−20市。3障害でなく特定の障害については統合−141市、平成17年の改正に向けて急ぐのではなく慎重に−339市。これは市長の立場での回答である。
 地域保健福祉の観点から、障害と介護保険をトータルに考えるというのが統合の中心の意見。その場合は被保健者を拡大する。
 統合すべきでないの理由は、そもそも障害は公費で保険はなじまないという考え、また、所得保障がない中で実施することはできないという理由。
 時間をかけるという理由は、支援費が立ちゆかないということで安易に統合するのはいかがか。支援費も実態、動向を見極める必要がある。
 介護保険と統合することで福祉が進むということも賛否両論あった。現在、地域格差があるものを全国統一の保険制度でやるのは無理があるという慎重論である。障害者と高齢者では目的が違うという慎重論もあった。
 私どもは障害の議論は十分できていない。介護保険から見た意見である。
 今後、塩田部長にも出席していただいて市長会で議論をする。厚労省にボール投げただけでなく、本質的な議論をしていく。

 京極部会長

 松浦市長さんにはまた、話を聞く機会がある。質問はしないということで。

 これから、サービスの計画的な整備と財源の在り方について議論をする。

 介護保険部会での4月26日の議論の紹介をさせていただく。被保険者に拡大について様々な意見があった。
 積極的な意見では、障害・高齢の縦割りの考えは限界、人間の支援を年齢で区切るのはおかしい、今の介護保険を見直して一本化、介護保険で高齢は社会化されたが障害は社会化されていない。
 時期尚早、慎重という意見があった。障害者団体から要望がないのに議論するのはという意見。障害者の問題をないがしろにするのではないが時期尚早。介護保険で一体的、効果的にできるのか。
 いずれにしても、障害者部会の検討をまたずに介護保険部会が決めるものではないというのが体勢の意見。介護保険部会は障害者部会からボールを投げられるのを待っている。
 より議論を深めてもらいたい。
 3月以降の障害者部会の議論を振り返りながら、全体的な障害者施策の方向を事務局から説明をいただく。

村木企画課長

 今後の議論の参考になるようにこれまでの議論を整理した。資料2「障害者保健福祉施策の見直しの必要性」。
 障害者施策にどういった課題が残されているか。支援費をはじめとする障害者施策の課題を提起している。運営、人材、提供基盤など様々だが、制度的な面を中心として整理した。
 課題のその1「大きな地域と増大するニーズへの財政的な対応の必要性」
 支援費がはじまってからみえてきた状況、いろんなサービスの地域差がある。介護保険より地域の差が大きく、全国どこでもサービスを受けられるようにすることが大事である。
 データを参考1という形であげている。ホームヘルプについて、サービスの広がり・普及の度合い、一定の人口当たりのサービスの格差は6.2倍。一人当たりのサービスの量は4.7倍の地域差がある。サービスの種類をみても、都道府県ごとに違いがある。地域での違いがあるのは悪いわけでない、考え方、サービス提供基盤に地域差がある。それにしても相当大きな地域差がある。
 参考2、サービスの伸びに対する対応。最新のデータは11月までだが、4月からの伸びを見ると、全体で35%増。身体が24%増、知的72%増、障害児は120%増。支給決定と、利用は乖離があって、2倍くらいの支給決定をしている。これを潜在的なニーズとすると今後も伸びる可能性がある。財政的にどうするのかは今後の大きな課題。
 次に、「障害者種別や年齢により制度が縦割りになっていることへの対応の必要性」。障害種別に縦割りになっている、高齢者との制度がわかれている。縦割り、横割りになっている。これがサービス提供の制約になっているのではないか。障害者の年齢構成は、65歳以上は身体障害の6割、知的の3%、精神3割を占める。身体を中心にして、実態として高齢者との重なりがある。65歳以上の人は現在は介護保険のサービスを利用して、補足的に支援費を使っている。人口の少ない市町村から、障害別にサービスを提供することは難しい、非効率、不可能という声がある。特区でサービスの相互乗り入れの要望があがってきて、各自治体で乗り入れが始まっている。
 縦割りでなく、障害者が身近なところでサービスを受けられることが重要。サービスの内容はそれぞれの障害にあったものを受けられることは必要。
 「働く意欲と能力を有する障害者への支援の必要性」。自分の能力にあった職場で働くことが可能になるように、福祉就労から押し上げていくのが重要である。養護学校からの就職は年々低下しており、19.4%である。社会復帰施設へは54.6%。社会福祉施設から就職は1.1%。本人の希望、親御のさんの希望、企業、福祉施設それぞれの問題がある。
 「自治体から指摘されている様々な制度的な課題への対応の必要性」。自治体から様々な指摘がある。多いのは安定的な財源確保、ケアマネジメントの制度化、サービス決定の基準、弾力的なサービス提供、応益的な利用料の設定。これらは介護保険ではすでに組み込まれていることである。
 いずれにせよ大きな課題が残されている。障害者の地域での安定的な安全な生活を保障する。これを継続的にサポートする仕組みをつくる。制度の抜本的な改革が必要だということが示されている。
 次に、大きな政策議論の流れを紹介したい。三位一体改革の議論である。先ほどから何度も出ているが。
 三位一体改革は昨年の6月の骨太の方針をもとに動いている、本年度から18年度までの3カ年で国庫補助を4兆円程度廃止縮小して地方に税源を移す。昨年の秋には市長会、知事会から、障害者にかかわるものも地方に委ねるという要望がだされている。
 昨年度の予算編成では4兆円のうちの1兆円が廃止され、大きなものとしては公立保育所の補助金、これには反対が大きくあった。残りの3兆円は、今、議論されている。
 このところ、大きな動きがあった。資料3では、17・18年度の対処方針について総務省から提案がなされた。9pが基本方針である。奨励的国庫補助金2.6兆円はごく限定された地域の特殊事情に対するものなどをのぞき原則として廃止とされている。これは社会福祉基礎構造改革、支援費を検討している時にはなかった大きな流れである。
 介護保険の議論の中で障害がどう扱われてきたか。介護保険の最初の議論は高齢のみならず若年も対象とするということで、進んでいた。しかし、議論が進む中で、特に保険料を納めるという中で、対象を高齢者に近い層にしぼっていった。
 障害をどうするかは、身体障害者福祉審議会では、なお検討すべき点があり関係者も一致していないのでさらに検討していくと今後の宿題として残された。そして、介護保険法の中でも、将来の見直しとしてやるという宿題になった。今回、その見直しをしている。介護保険法に附則がつけられた。それに基づいて今、検討している。
 介護保険部会での議論の流れは京極部会長から説明された。これに関連して、いくつかの意見表明がなされている。 東京都の意見表明は資料4である。資料4の1p。介護保険制度及び、支援費制度の理念を発展させる観点から、広く国民の理解を得るための議論が必要、困難な課題が山積しており、これらを実施する場合には、十分な準備期間を確保すべき。東京都としては、制度見直しの基本的な方向性として、高齢者や障害者をはじめとして介護を必要とするすべての方々に、そのニーズに応じた介護サービスを提供できる体制を整備するとともに、その実現のため、将来にわたる安定的な財政基盤を確立することが必要である””仮に被保険者の範囲拡大及び障害者福祉との統合を実施する場合にあっても、課題の解決に向けて相当の準備期間を要することから、第3期事業運営期間の始期である平成18年度からの実施は困難であると言わざるを得ず、次の第4期事業運営期間の始期である平成21年度からを目途とするなど、具体的なプロセスを国民に明示すべきである”
 もうひとつ、経団連の意見がでている。介護保険全体について評価すべき点、問題点をあげて、今後の制度改正に生かす提言である。
 資料5のp5、”被保険者の範囲は現行を維持。被保険者の年齢基準を引き下げて、保険料負担者の枠を広げることには、次のような理由から懸念があり、極めて慎重であるべきである。また、介護保険制度と障害者福祉施策との統合問題については、現行の支援費制度など障害者福祉施策の改革を優先すべきである。”まず支援費を改革してからということである。
 4つほど懸念を挙げられている。高齢者は要介護度改善を目指している、制度の趣旨が大きく変わる。保険であるから、受益者と負担者と一致させる。親の介護という受益者になりうる40歳から保険料をとる、理解を得られて納得できる。20〜30代は理解がない、保険料を払うのは難しい。若年の障害者は就労支援など、高齢者とは別のニーズがあるので、一体的に機能するか疑問である。このようなことを述べている。
 最近の大きな議論のご紹介をさせていただいた。この部会で議論していただいている。障害者のかたが地域で当たり前に暮らすことを目標にして、介護、就労、生活支援の議論をしていただいている。これらの課題を解決するための制度、費用負担、財源の安定的な確保、国民の理解・共感を得られるか。この後、十分な議論をいただきたい。
 議論に入る前に市長会の説明で数字の間違いがあった。障害者サービスとの統合をセットで考える125市、障害者サービスとの統合を考えない124市。特定の障害者を統合する24市。数字の124市と24市が入れ替わっていた。

京極部会長

 ニーズを把握して計画的に整備すること、効率的な財源配分についてご義論をいただきたい。
 経済会から唯一の委員の丹下委員より。

丹下委員(NPO 障害者雇用部会)

 この部会でも各論に議論が入ってきた。介護保険部会からこの部会にボールが投げられている状況なので、総論として介護保険との関係を述べる。
 介護保険と一緒にするかどうかは、介護保険の最初の議論で慎重な議論と言うことになった。そこで、ここで議論している。難しい、慎重な問題。介護保険の最初の議論は、身体障害者福祉審議会の意見具申に要約されている通りである。
 介護保険は社会保険であり、強制適用、被保険者があって、保険料を負担することが原則。被保険者の中で保険事故が起きた時に初めて受給者になる。すでに、保険事故の対象である人を組み込んだ保険は常識的にはあり得ない。40歳以上の2号被保険者は是認できる。高齢という誰も回避できないと言う現象を前提している。40歳という年齢に保険事故の対象が入っていたことも、制度が回転すれば解決する。40歳は65歳以上の介護の当時者である。今の制度で是認できる。
 現行制度に障害者を加えて20歳にするのは納得できない。理由は言い尽くされているが、高齢者給付との整合性がとれるのか。すでに保険事故が起きている人を対象にできるのか。20歳以上に介護保険料を払ってもらえるのか。障害者に保険料負担がどこまで可能か。税、保険料は徴収しやすい人からとっている。20歳以上にしても勤め人中心になるのではないか。福利厚生費調査を650社の定点観測でずっと行っている。法定福利費が占める割合は昭和30年には6.1%だったのが平成12年は12.3%と倍増している。社会保障の見直し、これ以上の負担をさせるのか。国民年金の未納が40%、まことに時期が悪い。国民負担率は35〜36%にのぼっている。スウェーデンは70%。我が国は中負担・中福祉であったところを、中負担・高福祉で財政を悪化させている。中負担高福祉はあり得ない、これが曖昧になっている。中福祉・中負担なのか、高福祉高負担なのか、国民のコンセンサスがない。障害者の統合は反対、個人的な意見だが、概ね、産業界の意見は同じ。
 介護保険との統合では反対であっても、支援費の定着のための取り組みは必要。介護保険の仕組みを入れていくことも必要。要介護認定の仕組みは地域格差がなくなる。ケアマネジメントはサービス提供事業者の過当競争をコントロールできる。この2つがないことで支援費が上手くいっていない。競争原理は大事だが、今は真の競争状態になっていないのではないか。措置とかわらないのではないか。全国的な基準もない、アドバイスもないので、財政的に逼迫する地域と、そうでない地域がでてくる。勧誘する事業者のままに利用者が利用する。競争で質的な向上はいいが、たんなる量的な拡大ならば改めないといけない。介護保険の良さを導入して枠組みを強化する。これをしてから将来的に、生涯介護保険という名称で成立することは否定していない。これはあくまでも支援費は公費が前提で、保険料を得ることは期待しないほうがいい。

京極部会長

 介護保険の最初の議論の際は障害者をいれることに反対ではない、慎重に議論するということだった。
 支援費もサービスの格差があるが、障害程度区分については、国のほうで一定の基準は示している。やたら行政の裁量でやっているわけでない。
 年金も障害者が最初から入っている。介護保険も障害者が入って、障害者も保険料を払いながら利用している。

丹下委員(NPO 障害者雇用部会)

 現在の障害者の介護保険利用はパイを限って、社会的な修正を行っているということ。

猪俣委員(全国自治体病院協議会精神科特別部会)

 支援費と介護保険との統合では様々な意見、不安があることはわかった。しかし、もっと基本的なことは、障害者福祉に差別があってはいけない。3障害そろって、サービスがいっしょである。これはこの部会の統一的な意見だと思う。介護保険はおいておいても、精神も支援費にいれるべきである。そうなると利用者が増える。部会としてこの点の認識は一緒か。対象者が増える、これに介護保険なくして財政が成り立つのか。
 精神障害も身体・知的と同じようにケアマネジメントをやっている。事務局の資料として、精神を支援費にいれたら、どれくらい予算がふえるのか。それを見ながら考えたい。

村木企画課長

 難しい資料だが、それを議論できる資料を検討する。

京極部会長

 介護保険も、医療・措置・保健で3つでやっていたのを統合した。精神も同じことがいえる。

小林委員(長寿科学振興財団)

 支援費も精神の人をどうするのか。支援費でできるのか、できないのか。猪俣委員の言われたデータをみないと、先のこと、良い案が考えられない。それを見ながら考えていく。

京極部会長

 その時には社会的退院を考えて必要な予算のデータをお願いしたい。

広田委員(精神医療サバイバー)

 介護保険とさんざんでているが、皆、不安になっている。どの部分が介護保険、どの部分が補助金、どの部分が地方に降りていくのか。それがわからないと。
 大阪の仲間はピアサポーターとして提供する側の人、サービスを受けている側の人もいる。
 作業所は介護なのか。私はホームヘルプにきてもらっているが、介護だけでなく支援が多い。支援をどう考えるのか。
 財源がないというのはわかった。中身をしりたい。知らない中で不安だ、5年後、1年後、という議論はできない。何を論議しているのか。

矢島精神保健福祉課長

 具体的な中身は外に説明できる段階ではない。介護保険にはどういうサービスがあるか、ホームヘルプ、通所介護、リハビリ、今のメニューについては説明できる。しかし、具体的などういう中身になるかは、やはり秋ぐらいにならないと難しい。

武田委員(社会福祉法人 桑友)

 知事会、町村会、市長会の話を聞いて、現場に近いほど、障害のことを分かっている人とわかっていない人がいると思った。私どもの事務局長は町長を3期12年間やった人。精神にサービスがないのは町長になるまで知らなかった、また町長になるには田舎では農林、土木、商業から支援がうけられないとなれない。任期中には精神障害のことは全然できなかった、ということを聞いた。 市長会と町村会では関心の低さをかいま見た。なかなか住民の声は小さい町には届きにくい。障害の子、兄弟がいるということを隠すという傾向がある。そういう関心、介護保険の負担も小さいまちは増える、この上、障害者もくると困るという反応ではないか。障害者が入るとどうなるのか、それを町村会にだしていく努力が必要である。
 障害者8団体主催で4月30日の集会に参加したが、400名定員が650名と意識の高さが感じられた。対話集会でシンポジストから切実な意見がだされた。
 長丁場の議論だったが、これだけの議論をした甲斐があった。これまでの経過の資料が配布され、行政からの説明があり、切実な課題がだされた。精神障害のことも同じ比重で話された。中身の濃い議論でここでは十分は伝えきれないが、村木課長から「今年の年金議論のように厚労省案がでてもいろんな議論があって、国会でも案がでる。秋からいろんな議論ができる」という話があった。私たちはその点の誤解をしているのではないか。
 障害者団体からは早く制度設計の情報をだしてほしい。不安は、制度が見えないから。具体的に介護保険との共通する部分、介護保険をどう改正すればいいのか、どこを保障してどこを保障できないのか。保険事故とはいったい何か。もっともっと建設的な議論をこの部会でやって欲しい。

京極部会長

 ざっくばらんでいいので、発言していない委員に。

北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)

 武田委員のご意見に賛成である。ここは障害部会でどんなメッセージをだしていくのか。
 私の今の思い、介護保険のスキームでできることは介護保険で制度設計をしてはどうか。地域間格差の問題、財源の安定化、三位一体改革、私の感覚では重要だととらえている。
 介護保険の吸収合併ではない。支援費で施策が動いてきたが、もう一度施設中心になるのではないかという不安、介護保険でも特養の待機者が増えた。今後、前向きな議論を。重たい障害の人も地域で暮らせる新しいサービス、3障害の新しい認定システム。介護保険制度のスキームでこぼれる、足りない部分の新しいサービスの創設。家族でくらす人にも自立支援を積極的にする。施設だけでなく病院からの退院支援。働くことの支援の仕組み。差別禁止法、統合サービス法。秋頃に案が示せるとしたら、そこから議論を始めていく。そうでないと三位一体改革、財源の安定、格差について積み上げた議論ができない。

岡谷委員(日本看護協会)

 議論が多岐にわたるので絞れない。統合については、介護保険では共通でできる部分は介護保険でやる。しかし、その精神の今の現状を考えると、都道府県・市町村の自治体の裁量考えで任せていては十分なサービスできるのか不安である。精神に対して国がきちんと支援しなければいけないことは支援して欲しい。どこまでは国がどこまで裁量か、線引きをきちんとする。
 退院は促進すべきであるが、地域に返すと行っても、地域で支援のマンパワーが圧倒的に足りない。今まで病院でのケアが中心だったので、そちらに人がいる。地域にマンパワーに増やすにはどこが責任をもって、どれくらいのお金がかかるのかが、重要な視点である。

長尾委員(日本精神科病院協会)

 今の精神の立場は、身体・知的に比べて施設整備に格差がある。介護保険でその差がうまるのか。疑問に思う。ある部分の基盤整備がどの程度まで必要なのか。国の責任でやるべき。その両方がなければ、介護保険でできるか疑問である。
 本来は、精神障害施策、全体の障害者施策を考えるべきだが、財政誘導で語られている、理念が先にあってやるべきで、財政が先に立つのはおかしい。精神は3障害の差をなくすことを示してもらわないと方向としてはおかしい。

京極部会長

 介護保険は医療と峻別している。医療は精神にもかかわってくる。介護保険制度はできても、在宅医療は伸び悩んでいる、逆に脚を引っ張っているという気がする。日本の在宅医療が進むと。難病の支援の問題もある。
 介護保険の附則も医療保険との関係も検討に入っている。

堂本委員(千葉県知事)

 大胆なことを申し上げたい。日本の不幸は卵が先か鶏が先かの議論をしていること。人材を確保するまで、病院で待ってもらうのか。アメリカはケネディ政権の時に、精神病院の2万人を一気に解放して、医者も看護婦も地域に出た。同じ時期に日本はどんどん収容に行った。どこかで国の大英断が必要。当事者にとっては1日でも嫌なものは嫌である。タウンミーティングでもようやく精神障害の人が手をあげて話すようになった。それを聞いて、支える人たちが地域に出てくる。いつまでも病院にいてはだめだ。福祉よりも病院にお金が多くかかっている、地域で福祉ができる。国としての英断が必要である。
 今日のテーマであるニーズを把握してやっていかないと、知事会と市町村会では別の次元の所で話をしている。細かいところでプランをたてる必要がある。障害者が介護保険でサービスを受けるなら、全く違った認定が必要である。三位一体の動きでは県にはこない、市町村にほとんどが行く。福祉のこと以外も基礎自治体に移行している。自治体にどういった新しい仕組みを確立できるのか。社会的なリソースを、どう暖かさを作っていけるのか。全てが公的ではなく、違った形のサービス、民間、ボランティア、NPOのサービスをどう組み合わせできるのか。
 身体障害も高齢化している。どこで線引きするのか。少子高齢化は、障害者も同じ。別の制度でどこまでやっていけるかいずれは直面する。
 障害者にとっては生活と就労が大事、就労のシステムを入れ込んでいく。それと介護保険を考えていかないといけない。

松友委員(育成会)

 武田委員の発言した集会を開いた8団体のひとつである。今日の議論は実りがあった。介護保険は5年後の見直しをスケジュール的にやっている。問題は支援費は1年をたたずに、財源的に大騒ぎになった。介護保険でやるべきか冷静に議論ができていない。そこを冷静にやる。
 介護保険部会は障害部会に下駄を預ける、なるべくならきて欲しくないというスタンスである。障害はどうするのか、進むか、退くのか、寝るのか。
 知事会以外の町村会、市長会、丹下委員、介護保険との統合は反対という声がある。障害者団体の議論も反対の声があるが、その反対の理由とは違う。今、多数決をとると反対になるだろうが、それでいいのか。
 誰が統合を進めているのか。育成会も慎重。誰も手を挙げていない。
 行政サイドは統合しないと持たないと判断されている。明確に統合がいいかどうかという整理ができていない。
 精神障害の話がでている、現在のサービスはゼロに近いのはわかる。知的も在宅サービスは少ない。支援費でニーズが顕在化した。市町村はまだ半分しかやっていない。なぜ、10数万人が施設にいないといけないかというと、地域にマンパワー、受け皿が少ない。
 ニーズが一気に増えるのは明確である。これに支援費の改善で対応できるのか。我が家は崖が崩れようとしているのか、それとも芝生が枯れているだけなのか。将来の見通しを考えるとどうなのか、我々に5年間議論する時間があるのか。
 反対の人の議論は明確。賛成の議論ははっきりしない。8団体では4月30日の総括を巡って大激論をした。障害者が地域で暮らせることを保持することは一致している。だいたい議論は出尽くした。各団体の内部討議で、介護保険制度に移ろうとした時、どうなのか、相手もあるので変わるだろうが、少なくとも試案がでないと議論できない。賛成したい人も賛成できない。もし事務局で出せないなら、別の委員会で作って出す、もしくは座長提言でだしてくる。それがないとこれ以上話が進まない。
 誰が出すとは別にして、明確な試案、スケルトン案、妄想案でもいい。空を見ながら議論する時期ではない、当事者団体のいらだちもふくめて話をした。

笹川委員(日盲連)

 財源の話があった。介護保険も厳しい。対象者の年齢を下げないともたない。その中に支援費が入っていくとどうなるのかわからない。会員に説明するにも伝えられない.とにかく行ってみようでは納得できない.
 介護保険の運用状況を聞かせて欲しい。

斉藤委員(社会就労センター協議会)

 私たちも全くわからないと意見が言えない。資料2で障害者の人数が660万とでているが、65歳以下の人も大勢いる。この人たちのうち、どれくらいが介護保険に統合されてサービスを使うのか。介護保険は3つの施設類型があるが、障害者が統合することで施設類型はどうなるのか。障害者の独自のサービスは何か。これがでてこないと賛否が言えない。皆さん不安に思っていることである。
 座長にお願いするが、介護保険部会に検討をお願いする時に骨子を出すのか、障害者が加わることで財政の問題まで考えるのか。

京極部会長

 決まったものがあるものがあるわけではないが、丹下委員の言っている国民の納得できるものを。ただこうしたいではなく、政策提言を。介護保険部会に注文をつける必要もある。
 今の介護保険に入っても障害者には手狭で、共通の部分と、別の個室が必要である。
 財政的な計算は行政の仕事で、審議会はそこまでやる必要がない。

斉藤委員(社会就労センター協議会)

 今、この段階で三位一体の結果もでる。行政のほうで中身はある程度できているのか。

村木企画課長

 制度設計は検討している。これからニーズがどうなるのか、基礎データは整理をしていくことができる。秋に制度設計、仮に私たちがボールを投げて受け止めてもらう。高齢ほうでも設計をしている、障害が入ってきて、共通の居間、個室のようなものは、秋にある。障害者としてこれを使いたいという議論をしてボールを投げる。私たちは理論的な裏付け、データの整理をやることになる。

斉藤委員(社会就労センター協議会)

 17・18年で3兆円の税源以上、厚労省は国の20%の予算。6000億が減らされる。今年は公立保育所が一般財源化された。
 公立保育所の負担はどうなったのか。
 17・18年についてはどうなるのか。

村木企画課長

 保育のデータは詳細は手元に今はない。負担率は国1/2,県1/4,市1/4だった。それが、基本的には自治体に財源ごと移った。国からの補助はゼロになった。
 17・18年度はは私どももこれを差し出すということは言えない。厚労省の財政のウェイトは、国庫補助負担金の範囲では残されたものは厚労省は半分。3兆円の1割、2割ではすまない。昨年は生活保護の負担率の議論があった。

嵐谷委員(日身連)

 日身連の代表としてではなく、大部分は個人的な意見として。介護保険には不安材料はいっぱいある。全く明快にでていない。高齢と障害では似たところもあるが、全く違う。全身障害者は24時間つきっきりの人もいる。高齢者の人はそういう人は少ない。もっと明確にして欲しい。
 先ほどから地域という話がでているが、どういう形にするのか、明確に出てきていない。10年間で72000人とはいうが、受け皿が明確でない。
 障害者の保険料、利用負担がどの程度になるのか、明確にして欲しい。
 障害者間の差別がある。精神は支援費に入っていない、今後どう進めていくのか、まだまだ論議の中心になるものを明確にして欲しい。賛成、反対なしでもっと論議に時間をかけたい。

君塚委員(全国肢体不自由児施設協議会)

 ニーズと、マンパワーと、お金の問題。
 ニーズは変わってきている。高機能障害児、アルコール、医療の新保で重度のお子さんが生きられる。ニーズとは何か、私たちは常に追いかけている。その場ではニーズは分からない。あとで振り返ってわかる。私たちのところには子供が訓練に来ているが、親御さんが自分のお子さん能力を高めたいために、情報をえて、サービスを得る。良い地域に引っ越していくかたも多い。そういう自由競争的な面もある。
 お金の話で中福祉中負担とあったが、日本の医療費の負担ははOECD諸国では十数位だが、日本の医療はレベル高いとWHOも言っている。
 人件費が安いので福祉に男性が入ってこない、同性介護できない。お金の面でバランスが悪い。そういう状況を把握して考える。 施設から在宅からといっても安くなるとは分からない。重症児は月80万かかる。東京都は5億かけて8000万の収入で、残りは都が負担している。どのくらいお金が必要なのか。
 ハートビル法で全国で学校でエレベーター付けると2000億円かかるのでという試算があった。そういう試算が必要。

福島委員(東京大学)

 自治体のかたの話を聞いて、印象に残ったことは、介護保険にすることで国民を全体を巻き込んでいく、今後の展開で重要であるという指摘はもっともだと思った。
 もう一つ制度の問題で、介護保険で障害者が機能しないこともある。例えば上限の問題は対応できない人がでてくる。介護保険の制度を変えたらと言う発言だったが、支援費制度が問題があるのであれば支援費も変えればいい。介護保険ありきでなくて、制度をどうするのかを考える。
 精神が支援費に入ることも考えるという意見があったが、3障害が上手く住める枠組みをつくることが大事で、支援費か介護保険かというのはレベルが違う。
 ガソリンがないと動かないと言うのは深刻で、最終的に影響を受けるのはエンドユーザーである私たち。私たちがどこでそれを判断するか。一人一人の生活にとばっちりくる、サービスがなくて死ぬかもしれない、そういうことも含めてぎりぎりのところで判断する。骨組みの設計図、デザインをもとにして具体的に検討する時期である。
 明確な結論をだせないかもしれないが、方向性はつける。その方向性をつける過程の中での議論が大きい。
 様々な不安を抱えている団体は多い、そういう不安に答えていく。わからないところ、予測できないところはそう答えていく。総論的な的な議論ではだめだ。

永井委員(世田谷生活文化生活情報センター)

 少子高齢化の中で基本的に介護保険との統合が方向にある。負担率にどこまで耐えられるのか。国の施策に対する提言とともに、地方公共団体の合意形成がどこまでできるのか。市町村の考えもまっぷたつ。地元の理解、シンパシーを産むような、タウンミーティングのようなものをつみあげて、国と地方の両輪で合意形成をやる。マンパワーについては、一般財源化と、地域のネットワークでNPOの動きがある。NPOの活動の中で税収もあがる。どの程度の負担率、年齢にするのか。皆が就職できる時代ではなく、今は学校で滞留する若者が多い。年齢を25、30歳に引き下げるのか。介護保険と合流するためのバリアは何かの資料を出して欲しい。

高橋清久委員(国立精神・神経センター)

 議論はでているが、国民の大多数は皆、障害者になる可能性がある。障害のもった人の相互扶助の考えは浸透して欲しい。そういう中で介護保険は一番理念にかなう。介護保険をサポートする立場としては精神障害をどうとらえるか。支援費にはいるのは非現実的。介護保険に入る中で、3障害を横並びにしていく。シュミレーションを座長、事務局、有志でもいいが、統合したこういうメリット、デメリット、統合しなかった場合のメリット、デメリット、モデルを3〜4つ示して議論していく。障害部会からボール投げるなら、そういう議論をしていく時期である。

広田委員(精神医療サバイバー)

 この委員会の日程は直前まで決まらない。早めに決めて欲しい。
 精神障害者がフィットネスクラブに入れないことが新聞で取り上げられている。私が行こうとしたら障害者割引があった。事業者に任せるのではなく、手帳をもった障害者にはサービスして欲しいという発言が厚労省からあれば。

福島委員(東京大学)

 先ほど出た、シュミレーションのことだが、いろいろな議論を整理して比較して欲しい。支援費と介護保険のメリット、デメリットの4パターンをだす。支援費の肯定的・否定的なな側面、介護保険の肯定的・否定的な側面、それを分析しないと公平でない。
 最初にもお願いしたが、障害者団体からヒアリングをして欲しい。どんな不安がでているのか、それを整理して、シュミレーションして。そうすると判断できる。

徳川委員(身体障害者施設協議会)

 実際にやっている人の意見は大事で、私たちも現場の意見をまとめないといけない。しかし、まっぷたつになるかもしれない。
 介護保険部会の資料の外国の状況は重要である。保険にいくのか税にいくのか、日本型の道があるのか。理論的に、どの国がどうしているのか、中立的に研究している人の意見を聞きたい。重要な問題なので、自分たちの利害だけの議論にしてはいけない。

京極部会長

 3点ある。
 介護保険からかかわっている者として、介護とは何かが明確になっているのか。介護保険法では福祉だけでなく、医療サービスもやっている。縦割りでない、保険・医療・福祉の連携がある、介護保険を作ったのは必ずしも財政的な問題でない。措置のままだと、こんなに進まなかった。連携を重視してそういう仕掛けになった。
 障害も就労、住まいの問題があり、それとどうつながるのか。
 給付と負担と関係で、本来は20歳だったが、理念倒れになった。給付と負担の関係で20歳の人から保険料をとっても介護保険利用は65歳まで待たないといけないということで、40歳にして利用は老化に伴う介護に限定した。これは最後に決めた。
 ドイツは20歳からというのが先に決まっていて、国民全体で負担することになっていた。そして、20歳からの介護の必要な人も後から入った。
 日本では20歳からの保険料をとるために障害者をいれるのではない。国民連帯として、介護が必要な人は介護保険で、難病も含めて介護については等しくサービスを提供する。障害者のプラスαのサービスは税でやる。介護保険の特別加算でやる。1997年からそういう議論がずっとある。障害者の関係者での議論は近年始まったが、理念論としては、随分前からあった。

  今日はこれで結びにして、事務局から次回の日程。

間課長補佐(企画課)

 次回は、本日の議論を踏まえて。
 君塚委員の意見の発表。就労支援、住まいについての追加的な議論。
 本日のご意見については部会長と相談する。資料についても随時出していく。
 5/31月午後。時間は今日の議炉の状況を踏まえて相談させていただく。

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