第5回社会保障審議会障害者部会 傍聴メモ
2004.03.02 14:30〜17:30 ※この記録は傍聴者のメモであり、正式な議事録ではありません。その旨ご留意ください。
ご注意
これは傍聴者の個人の要約メモですので、細かい発言内容に間違いや抜けも多いと思います。あくまで全体の流れの雰囲気を感じる参考にとどめてください。
転用はお断りいたします。順次訂正していきますのでほかの方にお知らせする場合はホームページアドレスのみお知らせください。繰り返しますがこれは短時間で個人がまとめたメモですので、委員各自の発言内容を正確に反映できていませんので、これをもとに各委員に対し抗議や批判を行うようのないようにお願いします。
正式議事録は厚生労働省ホームページに掲載予定です(各委員のチェックが入ったあとになりますので少し遅れての掲載となります)。
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■京極部会長
定刻になりましたので、障害者部会を開催します。委員の皆様お忙しい中、ありがとうございます。新たな委員になっての初めての部会であり、塩田部長よりごあいさつを。
■塩田障害保健福祉部長
障害者部会の委員をお引き受けいただきありがとうございます。
障害施策は変革の時で、障害者の地域生活支援が大きなテーマである。これを実現するために支援費がスタート、精神障害者も入院から地域へ変わろうとしている。支援費で知的障害者をはじめとして裾野がひろがった。サービスも今後増える。このサービスの伸びに絶えられる仕組みが必要である。
精神障害者も市町村を中心になってきている、これから充実が必要。
さらに、働くということは障害者の尊厳を守ることであり、福祉的就労から一般就労を進めていく。
これから施策を進めるのはエンジン部分をしっかりとしないといけない。就労、住まいの問題、発達障害なども進めていく。
共生と自立支援の観点で、介護保険制度のとの関連も含めて大所高所から審議をお願いしたい。
3障害の今後の制度について、6月ころまでにまとめてもらいたい。
障害の4つの検討会も行っているのでそれとも関連した検討をお願いしたい。
(村木企画課長より出席委員の紹介)
欠席 亀井・名張市長、末安・日本精神科看護技術協会、西島・日本医師会常任理事
(村木企画課長課長より資料の説明)
■京極部会長
資料の1、障害者部会の審議事項について、その後、資料2以降の説明を。
■ 村木企画課長
障害者部会の審議事項について。
親審議会である社保審より検討課題を設定されている。
- ライフステージ等に応じたサービス提供の在り方、ケアマネジメントの在り方、雇用施策等との連携、財源のあり方等、支援費制度や精神保健福祉施策など障害者施策の体系や制度の在り方に関する事項
- 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の規定により本審議会の権限に属された事項
- 「心神喪失等の状態で重大な互い行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」の規定により本心議会の権限に属された事項(処遇改善の請求による審査に係わる事項を除く)
今後2週間に1回ほどのペースで議論をお願いしたい。当面は介護保険制度との関係について6月をめどに。法律改正事項については秋以降に議論をお願いしたい。
■間課長補佐・企画課
資料が多いのでポイントを絞って説明する。
- ○資料:障害者の現状について。
- 身体障害者350万人、知的障害者46万人、精神258万人、合計655万人で人口の5%ほどになっている。
- 知的障害者、精神障害者は入所、入院の方の数が多い。
- 年齢別にみると、65歳以上と65歳未満の人でみると、身体障害者は6割が高齢者、精神障害者は3割。高齢と障害の施策は重なっている。
- 身体障害の障害発生時の年齢は、若年で障害をもつ人が多い。介護、自立支援が必要な期間が長い。
- 精神科初診時の年齢は、10代、20代での初診が5割を超えている。
- ○資料:支援の現状について
- 人的サービスに関わる制度の現状について。身体障害者・知的障害者と精神障害者の制度がちがっている。支援費、介護保険、医療保険を組み合わせながら支えている。
- 在宅3本柱、ショート、デイ、ホームヘルプを市町村がどれだけ提供しているか。ホームヘルプでいうと、身体障害者は73%の自治体、知的障害者47%、精神障害者33%と格差がある。精神障害者のホームヘルプは始まったのが平成14年からで、最近始まった事業である。
- 予算について支援費は3300億円で、居宅は602億円、対前年比17%増で在宅重視で予算をのばしてきたが、まだまだ入所系に比べて少ない。
- 次は、福祉と医療の経費を比べた表である。精神障害者は778億円のうち68%が医療費である。
- 障害者基本計画「重点実施5か年計画」は市町村の計画の積み上げでは無い。高齢者は市町村が計画をつくったのを県、国とつみあげている。障害者はまず国が作り、それを見て、県・市町村が作る。
- 市町村の障害者計画の策定状況を見ると、昨年の3月では91%が計画を作っている。そのうち、数値目標があるのは36%である。市町村からは障害者の数が少ないので、個別援助計画で十分だという話も聞いている。精神障害者の記述があるのは89%である。
- ○資料:地域差について
- サービスの状況を都道府県別に見たものである。身体障害者の占める割合を図にしたものがある。西高東低である。高齢化率と比較してみると似通っている。身体障害の6割が高齢者ということの影響がある。
- 知的障害者の場合は、身体障害者ほどのばらつきはない。地域差は手帳を取得しやすいという環境の要因もあるのではないか。
- 精神障害者については、医療機関にかかっている人の数をカウントしているので、病院にかかりやすいという要因が影響していると考えられる。このあたり分析はまだ十分出来ていない。
- ホームヘルプがどれくらい、都道府県の住民に浸透しているか、裾野のひろさを見るデータを、人口1万人あたりの支給決定の人数をグラフにしたものである。県によって8.8倍の格差がある。地域差があるから悪いということでは必ずしも無い。しかし、介護保険の要介護認定でみると、1.7倍で収まっている。障害はサービスを利用していない人がまだまだいると思う。
- ホームヘルプの一人当たりの利用時間数は4.7倍の差がある。全身性の障害者のかたがたのいる地域が限られているのではないかということを言われるので、日常生活支援をのぞいた利用時間の表も作っている。これをみるとかなりばらつきが減っている。
- 利用者数と利用時間数を比較したグラフをみると、自治体間のばらつきは利用時間よりも利用人数のほうの差が大きい。サービスの裾野の広がりが問題である。
- 精神障害者のホームヘルプについてみると、一人当たりの利用時間は多いが利用人数が少ない、あるいは一人当たりの利用時間は少ないが利用人数が多いというところの2極化している傾向がある。
- 人口100万人あたりのホームヘルプの事業者数も格差が大きい。身体障害者で8.3倍、知的障害者10.4倍、障害児14倍。
- 介護保険と支援費のサービス事業者を比較すると、介護保険の事業者数のほうがかなり多い。
- ○資料:構造改革特区の取り組みについて
- 福祉関係では、介護保険のデイで身体障害者・知的障害者・障害児を受け入けられる特区で千葉県、熊本県、富山県をはじめとする自治体が手があがっている。
- 支援費を日割り計算で施設と在宅を選べるようにするという提案もある。
- ○資料:地方自治体からの要望について
- 自治体から多くの要望をいただいている。資料はいただいた資料をそのままつけた。
- 必ずでる要望は「安定した財源」「ケアマネの制度化」。その他に、規制緩和で自治体の取り組みやすい体制をという要望がある。
- 障害者種別の縦割りの制度を統合して欲しい、3障害の相互利用の促進、などの声もある。
- 国においては三位一体の改革が進んでいる。地方分権の流れに沿って地方でできることは地方で行うという流れがある。
- 昨年の秋に全国知事会と市長会で提案があった。廃止して税源移譲して欲しい項目の中に支援費制度の補助金・負担金が入っている。
- 国庫補助確保の要望と一般財源化の要望と相反する要望がでている。自治体が自分達の裁量で実施させて欲しいという声はわかる。
- ○資料:これまでの施策・制度の流れ、審議会の意見について
- 3障害のそれぞれの法律があって、大きな流れとしては市町村を中心とした支援の流れになっている。身体障害者について平成2年の福祉8法改正で市町村に移った。知的障害者は社会福祉基礎構造改革の中で市町村に移行することが決まった。精神障害者も14年より在宅サービスについては市町村に移行している。
- 平成8年の6月の身体障害者福祉審議会の意見具申では、介護保険制度とは検討すべき点が多く、その一つは障害施策はまだ市町村で行われていないという意見があった。この意見具申では介護保険との関係は将来の見直しに適切に反映されることを期待するとなっている。
■安藤委員(聾唖連盟)
障害者部会の審議内容が説明されて、今後の大きな方向性をとりまとめるとあるが、これは介護保険と統合かそうではないかということだと思う。時間的にこれを決める事は難しい。肝心の障害者団体が結論でていない。障害者団体の合意を優先すべき。支援費制度がはじまって一年、理念にそって改善していく事が先決。今、介護保険と統合するのは拙速である。十分な議論が必要で、それを6月までに結論出すというのは、日程的にも困難であるし、やるべきではない。日程的に余裕をもった審議が必要だと思うがどうか。
■村木企画課長
安藤委員の指摘、障害者部会は支援費の移行の議論をしてきた。先の12月に開かれた部会の中で、支援費に移行して様々な課題が残されている。また、精神障害者の課題は大きい。地域支援の在り方、ケアマネのあり方、就労支援、そして財源との関係、これを議論するのが前回の12月の議論のまとめであった。それを社保審に答申して、社保審から今回の検討事項をいただいた。時間はないのはわかる。結論がでるかどうかわからないが、非常に大きな課題がある。部長も申し上げたように大きな転換期である。是非、財源も含めて議論をしていただきたい。
■京極部会長
6月までのとりまとめにどこまでが含まれるかということだが、昨年の部会で部会長メモを出している。介護保険制度との関係も含めて検討を進めるということをだしている。社保審にも提出して、その結果、今回の検討事項がある。どこまで議論できるかやってみないとわからない。前回の介護保険の時も、どうなるかわからなかったが、意外に早く進んだ。
障害者の課題、難しい面もある。どこまで詰められるか、議論していく。先に結論あり気ではない。強引におしすすすめることはできない。障害者団体、自治体のご意見もある。保険となると経済界の議論もある。最近の経済界は厳しい。
今までは躊躇してぎろんしていたが、これからきちんと議論する。これまでの障害者施策は狭い視点で議論していた。就労、住まいも含めて21世紀にふさわしい議論を幅広にしたらどうかと受け止めている。
一つのめどということでいかがか。
■福島委員(東大助教授)
介護保険の問題もでましたので、考えた事を。
安藤委員がおっしゃったように、支援費が始まって一年足らず。審議会のメンバー自身の責任もある。支援費の制度設計をしてきたが計画性に甘さがあった。行政側だけでなく、障害者団体側にもある。今後、新しい制度設計する時には同じ事を繰り返さないように慎重にすべきである。最初に結論がありきでなく、きちんと議論する事が必要である。
財源が逼迫しているのは周知のことでこのままで言い訳でない。
支援費制度と介護保険との基本的な枠組みの検討がなされると思うので提案がある。昨年より在り方検討会が精力的に検討してきた。また、障害者8団体で介護保険の勉強会をしていると聞いている。障害者部会の委員として6団体から委員がでているが、自分の障害のことを前面におしだした発言はしにくいと思う。また、DPI、JDは委員をだしていない。
この部会の中で障害者団体のヒアリングをする場を設けて欲しい。全部の団体がむりなら、少なくともここに委員をだしていないDPI、JDはヒアリングして、それ以外の団体はヒアリングに相当する発言をしていただきたい。
介護保険との関係は大きな分水嶺である。障害者団体の意見を聞く事は重要である。ヒアリングのご検討をお願いしたい。
■京極部会長
検討会の内容についても審議会に定期的に報告していただく。各種の研究会の進行状況も適宜報告を受けたい。
■広田委員(精神医療サバイバー)
市町村の障害者計画の策定計画について資料がでている。精神障害者の記述があるのは85%というが、このような精神障害者の対策が入っていない自治体について厚労省は何か対策があるのか。
この委員会は事務局案をただ通すのではなく、議論をしていく委員会にして欲しい。
今後、障害者のスポーツ大会についての議論をする予定があるか聞きたい。
私たちの仲間が望むのは病気が治る、地域で安心して暮らすことである。神奈川の障害者計画は、精神障害者スポーツ大会にお金をかける。そんな必要は無い、優先順位がある。それを神奈川で言うと、国がやろうとしているからという。これについてはどうなのか。
■ 間課長補佐
障害者計画は障害者基本法という法律に基づいている。内閣府が所管であり、いろんな調査をしながらどうしていくか検討している。地域の障害者のニーズをあきらかにし、どう取り組んでいくかは検討会や障害者部会の課題である。
何か枠組みを作って自治体が取り組まざる得ないようにするのか、それについて検討している途中である。
■矢島精神保健福祉課長
私も昨年静岡のバレーボール大会にでた。精神障害者のできるスポーツ大会があってもいい。国としてどういう参加ができるか今後検討していきたい。
■広田委員(精神医療サバイバー)
私はスポーツ大会に反対で、もっとやるべきことがある。この瞬間に鉄格子の向こうにいる仲間がいる。
私が町の盆踊りに入っていくのはいい。今、精神障害者が集まったような大会は必要ない。神奈川は体制的な県で、こんなことを言うことも難しい。国として、ないお金の中で優先順位がある。
■笹川委員(日盲連)
支援費制度については1年たたないうちにこうなったのは計画がずさんだった。障害者の実態が把握できていなかった。それは今後検討が必要である。
介護保険との統合を検討するなら、介護保険がどこまで財政的に安定しているのか、そういう資料は今回はなかった。介護保険の現状、今後の見通しの資料を次回をだして欲しい。
■ 高橋委員(立教大教授)
支援費が導入された時点と、今とは全く判断が異なる。
三位一体の改革をどう評価するか。これを過小評価した発言が多い。今後、一般財源化の方向に支援費が行く。これは支援費の発足時には認識されていなかった。
支援費の情勢判断、実態把握が甘かったというのはあるが、何よりも大きなのは三位一体改革。この認識を皆で共有したい。
■京極部会長
三位一体改革では国は金をださない、市町村が全てやれということ。支援費を充実するといっても根本がなくなる。これを急いで議論していかないと行かない。支援費のエンジンは小さい。21世紀をどうしていくのか。当初はここまで厳しい認識が無かった。
三位一体と介護保険はリンクしている。三位一体が終わって何かしようとしても、国から市町村に移ったあとである。
ただ、支援費のエンジンが苦しいから、介護保険のエンジンをということではない。
■ 間課長補佐
三位一体の改革は、3年間で4兆円を地方に税源委譲し、地方交付税も減らすということで、自治体が裁量でもっとやれるようにする。民主党のマニュフェストでは18兆円全てを地方に移管すると主張している。市町村からも一般財源化の希望がある。
現在の地域格差をそのままに、一般財源化するとこれがどうなっていくのか。差が拡大するのか縮小するのか。そういった観点でのご議論をお願いしたい。
■猪俣委員(全国自治体病院協議会精神科特別部会)
精神障害者の施策はおくれていた。国も自治体も動かない中で、医療の事業者が自分達で動いてきた。しかし、それでは良くない。3障害同じでやらないといけない。
自治体も責任をもって精神障害者を考えて欲しい。今の制度では義務化されていない。3障害がともに自治体で取り組まれるような議論をお願いしたい。
■君塚委員(肢体不自由児施設協議会)
肢体不自由児施設は医療と福祉の側面がある。児者の一本化、障害種別の一本化は望ましい。
施設の3割が自閉症、学習障害で、身体障害者障害はない児童。
介護保険がいいか、支援費がいいかわからない。
地域というが施設も必要である。親が居ない障害児もいるし、重度の人の教育・リハビリも必要。
今の現状の中で、障害児をもつ若い親ごさんは経済的、精神的余裕が無い。皆さんに必要性が伝わっていない。個別を踏まえた統合化をしないといけない。総論だけで進めないで欲しい。
■京極部会長
今日は第一回目で、新しい委員にも発言を。
■松友委員(育成会)
福島委員が提案されたヒアリングの結論だけは確認させて欲しい。
■京極部会長
検討させて欲しい。無視しているわけではない。個別の検討会の報告も後にある。それだけでは足りないということなら、別途ヒアリングを検討させていただきたい。
■妻屋委員(全脊連)
検討会の議論が始まる。今後のために必要な事がある。支援費が始まって一年で大きく予算が足りない。この反省、原因の分析を一通りすませておかないといけない。何故足りなくなったが、何故義務化しないのか。施設のように義務経費にしないのか。これをやらないと次にはいっていかない。このあたりが障害者にはわからない。
予算が先細り、三位一体があるというが、その理由をきちんと証明しないと先にすすんでいかない。それをやらないと、介護保険の中でもまた予算が足りなくなる。同じ間違いをおこす。
■京極部会長
これについては行政側からの説明を。
■ 村木企画課長
支援費がスタートして予算が足りなくなった。3割増の予算を準備してのぞんだ。しかし、ホームヘルプは6割増になった。私たちの予想があまかった。しかし、当時、6割増の予算が組めたかというと無理だった。当時の状況の中で努力した。
基本的には税金の仕組みの中でサービスが伸びていくことをカバーしていく事は無理があると感じているのは率直な認識である。ニーズ把握をやって、サービスがどれだけのびていくのか、それに応じて財源が確保する仕組みを考えて、それを移しかえていきたい。
支援費制度を作ったときとは違って財政状況は厳しい。三位一体改革。義務的、裁量的経費という予算の区分もなかった。
義務的経費にするするのは今のままでは難しい。サービスの伸びがどうなるかわからない経費は義務的にはできない。義務的にするためにはきちんと供給のコントロール、予測のつく仕組みに変えていく必要がある。税であろうと、保険であると必要なこと。ニーズ把握、サービス量のコントロールの仕方についても部会でご議論いただきたい。
■永井委員(世田谷文化生活情報センター)
支援費はじまって、なぜすぐにということは思う。しかし、このような状況の中で予測がつかないこともある。厚労省をかばうわけでないが、失敗があって何か変えていこうというのは英断だと思う。財源は全てにおいて重要。介護保険に変わるということではない。
措置が契約になったことは大きい。日本の福祉の大きな出来事。これをさらに固めていく事が必要。そして、支援費の財源がなければ他の確保の方法が必要で前向きに考えないと。
介護保険にかわるならば障害者基本法の第11条の公的責任について議論しないとはいけないと思う。
財源は道具、どちらになるかは、よりいいものをとるべきである。
■ 堂本委員(千葉県知事)
千葉県は支援費が始まって、ホームヘルプは1100人から2900人に利用者が増えた。利用契約制度を利用者がまっていた。グループホームも2.5倍になっている。
しかし、財源の問題は自治体にとっては大きい。三位一体は全く予想していないことである。大変苦しい財政運営を強いられている。
支援費で掲げた理念、求めていた事をやめてしまうのではなくて、財源を確保して、支援費制度の理念をもりこんでいく、両方をしないといけない。
たった1年でという気持ちはわかるが、急速に事態は動いている。対応していかないといけない。
■ ?委員
忘れてはいけないのは地域間格差。さらに財政状況が悪化すると格差が広がっていく。支援費制度といっても、地域で暮らせる地域とそうでない地域が広がっていく。地域での生活を支えようという市町村の実感がまだまだ希薄ではないか。
介護保険の言葉がでてくると、いろんな議論がでてくるが、支援費制度の理念を議論の中心におきながら、介護保険へ吸収合併ではなく、新たな仕組みをつくる。地域間格差がある中で責任をもった議論にならない。
■新保委員(精神障害者社会復帰施設協会)
精神障害を中心に話をする。精神障害は3障害と言われながらおくれてきた。
財源の安定とケアマネの制度化が自治体からの希望というが、介護保険が言いか悪いかはともかく議論せざるを得ない。
財源問題で障害者理念を失ってはいけない。3障害合同で安定したシステムを作っていく。
資料の2で、市町村障害者計画に触れられているが、市町村計画のつみあげで国の計画ができていない。市町村に数値目標を出させて、国が計画を作る。それならば市町村に対して財源が担保される。
各自治体にあった取り組みを進めて、それで格差がでてくれば、対応を考える。
3障害同一の共通基盤で議論をしたい。
■ 津久江委員(精神科病院協会)
介護保険には詳しくはないが、個人的な意見としては、介護保険ができて5年の見直しがある。そこで利用者が3倍に増えて財政が厳しい。そこで、40歳を20歳に下げるという話が一方にある。
しかし、支援費の問題があり、介護保険に頼るという議論がでてきたのであれば、条件が必要である。障害が入るなら3障害一緒でないといけない。また、障害認定のパラメーターもあらたに必要である。また、介護保険に入るならこういう条件が必要という、前向きな議論が必要ではないか。
■ ?委員
6月までというと限られた時間になる。支援費の理念はどなたも否定する人はいない。これを定着、育てていく必要性をおっしゃっている。そこで、財源がからんできて、理念が危ぶまれている。このまま介護保険がらみで議論するときに、介護保険でカバーできる部分と、できない部分がある。その問題をどう考えるのか。
また、3障害合同でやっているが、カバーできない部分はそれぞれの障害の固有のものがある。それを絞り込んで議論していかないと間に合わない、建設的なものになっていかない。
■京極部会長
そのご意見については、最後に、今後の議論のすすめかたで話をしたい。
■高橋委員(立教大教授)
介護保険は高齢者介護保険ではない。長期ケア保険である。アメニティフォーラムでは支援保険というのが言われた。介護保険は制度設計でかわる。
介護保険で全てまかなえるわけでない。そのための別の仕組みがある。医療でも更生医療という別の仕組みももっている。
今までの介護保険を前提に統合するということではなく、介護保険も動き始めている。ケアが必要な人をどうしていくかを考える。
介護保険は決算主義。破綻はしない。1号保険料は上がっていくが、これは所得保障のサブシステムの問題。介護保険が全て救えるわけでない。しかし、よくできた特定財源確保の仕組みである。介護保険のスキームを活用した障害者施策を考える。介護保険で全てではない。
■嵐谷委員(日身連)
介護保険と支援費が統合される会議だと思っていたが、その通りでそういう議論がなされている。
しかし、あらっぽい議論をしている。3障害一緒というが、それぞれの違いがある。それを一緒にというのは無理がある。
高齢障害者も増えてきている。支援費がのびたかというと、介護保険で要支援以下の人が支援費を使っているはず。 そういう分析ができているのか。
3障害共通というのは荒っぽいのではないか。
■武田委員((福)双桑会)
障害者である前に人である。
精神障害者は支援費にも入っていない。皮肉なことにこの財源問題がチャンスになった。精神障害者のことも3障害合同というテーブルにのることになった。
3障害でそれぞれ違いはあると思うが、地域で暮らすという共通事項はある。介護保険の枠組みで考えるなら、共通事項をさがしていかないといけない。誰でもすみやすいまちづくりを考えていかないといけない。それを期待している。
■ 古畑委員(かながわ福祉サービス運営適正化委員会)
支援費になって、トラブルになったときに契約書をもってきてといっても、契約がずさんになされていて、実際は機能していない。事故がおこると誰が責任とるかということになる。
支援費はまず契約についてきちんとなされているチェックして欲しい。
■京極部会長
支援費を前進させるための議論をしていかないといけない。
サービスが増えた事は良いこと。全体としては利用者本位でサービスが伸びた。この伸びをどうしていくか。
人的サービスだけでなく、住まい、労働の問題に立ち入って相当幅広く議論する。21世紀にとって大事、前向きな議論を。
■ 松友委員(育成会)
全体を見ると介護保険の議論が多い。個人としては介護保険を否定しない。
今、当事者団体で勉強会をしている。3点、おさえて欲しい。
支援費制度がはじまって一年で変わろうという話になっていて、一般の人は心情的に納得できない。それを、役所が時代が変わったことも含めてきちんと説明して欲しい。
どういう新しい制度になるか疑問がある。将来像をきちんと提案してもらって議論したい。抽象的な議論では不安になる。
3障害の議論をするなら、法律がばらばらでいいのか。家族の扶養義務の問題もある。これは障害のメインシステムである。これをおいておいていいのか。積み残した部分をにらみつつ議論する。この3点を是非お願いしたい。
■ 安藤委員(聾唖連盟)
審議事項の確認事項として、6月をめどにとりまとめるという期間的なタイムリミットがある。いろんな立場からの意見を集約しないといけない。介護保険の見直しもあり、法改正も必要。法改正との兼ね合いがあって、6月というタイムリミットがきている。
これは政府全体で考えないといけない問題。三位一体との兼ね合いとも考えないといけない。
介護保険との統合を一年、二年延ばすという選択はできなくて、厚労省としての決定ということで私たちに押し付けてくるのか。支援費の見切り発車という反省がある。この介護保険も見切り発車ではないかという不安がある。
■ 京極部会長
法律改正、施行となると、2年間ぐらいの段取りがある。
■村木企画課長
大きな方向を6月にと申し上げたので、圧迫感があったということでお詫びする。
仮に介護保険の話をすると、介護保険部会でも6月までに方向性を決定する。両方が並行して進めている。どこかの時点で共通の議論の場が必要になる。6月をめどに区切って、その後、共通の場の議論をしていく。そこから経済団体の声も聞きながら、議論をすすめていく。法律は来年の通常国会にだす。6月は区切りであるが最終決定ではない。
三位一体の議論は夏の予算編成の前に経済財政諮問委員会からでてくる。三位一体改革で財源委譲される残りの2兆円というお金がある。障害者福祉の一番大事な問題を、どういう議論、どういう方向か固まっているのかが非常に重要である。三位一体で地方に財源を渡していいのか、そうではないのか。できるだけ皆さんのコンセンサスを作っていただいて、6月をめどに議論いただきたい。
■安藤委員(聾唖連盟)
難しい。大変な問題。
■福島委員(東大助教授)
制度が長く続けばいいものではない。必要があれば見直すことも大事だと思う。しかし、思い出して欲しいが、昨年の1月に障害者が厚労省をとりまいた。議論のプロセスが不明確だった。地域で暮らす一人一人の障害者が納得できる議論のプロセスが必要である。去年の騒動が再燃するのは不幸な出来事。当事者、自治体、国は別の意味での三位一体。先ほどのヒアリングもその意味でお願いしている。
■丹下委員(障害者雇用部会)
前回までの議論を知らないので、これから追いついていきたい。
措置から支援費にいったことは大きなこと。競争原理を導入したのは大きなこと。
その次の話として財源問題がでている。介護保険との関係をどうするのか、今日の話で理解が少しずつできてきた。
被保険者と受給者の位置関係についてこれから議論していかないといけない。極めて慎重に考えていかないといけない。
支援費の行き先は障害者の中で雇用・就労できるかたはその道に進出してもらう。支援が必要な人をしぼっていく、そうすることで支援費の活路が開けるのではないか。
■町野委員(上智大教授)
企画課長の発言になみなみならぬ気持ちを感じた。
しばらく審議会などもはなれていたので、これから考えていきたい。
やらなければいけない問題はやらないといけない。
皆さんの意見を聞いて勉強させていただきたい。
■京極部会長
福島委員の意見は今後の検討課題にさせて欲しい。
まだ、話していない委員もいるが、次の議論もあるので。
■高原障害福祉課長
在り方検討会の報告をする。障害当事者、事業者、学識経験者で構成されている。
ホームヘルプの国庫補助基準のあり方がこの検討会の経緯だったが、それに加えて障害者の地域生活を支援していくあり方を検討している。
資料の4p以降はこれまでの検討の状況を整理している。年内で1順目の議論を終了して、年明けて2順目の議論をしている。
支援費制度が1年もたたないうちに財源的にいきづまった。予算も増額しているが厳しい状況。自治体、事業者、当事者から意見をいただきながら、支援費制度の課題が見えてきた。支援費の問題として様々な工夫をする必要がある。
年明け以降の新しい動きとして、個別の障害分野に作業班を作って、機動的に弾力的に議論を深めていきたい。全身性、視覚・聴覚、知的障害者のそれぞれのニーズに基づいて具体的な作業をしている。
この検討会では8月に向けて議論をまとめていただくということで進めている。
資料3−2は支援費の概要について。今更申し上げるまででもないが、措置から利用契約に変わった。障害者の自己決定、利用者本位の仕組みになった。
つづいて、障害者の就労支援に関する省内検討介護の設置について。
障害者が能力を発揮して働くことの支援が必要である。障害者の就労については雇用政策と連携してきたが、依然として就労を実現できていない多数の障害者がいる。よりいっそうの連携の必要性がある。
現状をみると養護学校の高等部の卒業生の2割が就職している。6割が施設が医療機関に行っている。
厚生労働審議官を筆頭に関係部局間で検討を行っている。この検討結果には本部会にも報告させていただく。
■矢島精神保健福祉課長
- ○精神障害者のあり方の検討会について
- この検討会は、入院医療から地域における保健・医療・福祉を中心とした在り方に転換することを目的に進めている。
資料として検討会の委員名簿、これまでの論点を示している。
大きな論点として、障害の枠を超えた支援の仕組みを検討していく。
ライフサイクルに応じた地域支援の在り方。就労、教育の問題もかかわってくる。
ケアマネジメント、退院可能な72000人の在り方。各種サービス・各実施主体の機能と将来のあり方。財源配分のあり方。そういう点でご議論いただいている。
来月には中間的なとりまとめをして、夏までに最終をとりまとめる。
- ○精神病床等に関する検討会について
- ・地域医療における精神医療のあり方
・精神病床の役割と機能分化等のあり方
・地域の精神保健医療の体制について、医療計画に記載することが望ましい事項 ・精神病床の基準病床数算定式のあり方
・精神病床の人員配置基準のあり方 主な論点としては
・病院、病床機能等を検討する方向性
・患者の機能と機能分化のあり方
・精神病棟の人員配置基準のありかた
・退院可能な72000人について
・病床算定式の見直しの方向
・地域医療体制のあり方 精神保健福祉法、医療法、医療計画 これも夏ごろまでに最終的なとりまとめを行う。
- ○心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会について
- 今月中に議論の最終まとめを行う。
精神疾患は誰でもなる病気であることの理解を広げていく。ストレスと個人としての脆弱性・まじめさ・やさしさによって、精神疾患がでてくる。誰にでもなりうる。阪神大震災のような災害時の影響もある。
- ○「地域におけるうつ対策検討会報告書」
- 自殺の対策のためにも必要である。うつ対策のマニュアルを取りまとめた。今回、2つのマニュアルをつけた。都道府県、市町村を通して普及啓発を図っていきたい。
■京極部会長
委員から補足があればご意見を。
■ 新保委員(精神障害者社会復帰施設協会)
議論は戻るが、3障害そろって介護保険に入る。精神障害者は財源的な手当てがされていなかった。
これまでになく、厚労省は精神障害者の対策に取り組んでいる。ケアマネジメントいうこれまでになかった手法が精神障害者分野に取り入れられた。障害者部会精神障害者分会で72000人の地域移行が明確にうちだされた。こういった盛り上がりが、財源がないとしぼんでしまう。
精神障害者の社会復帰施設の予算がつかなかった。大変ショックで、とにかく安定した財源が精神障害者施策を進める上で重要である。
社会的な入院をしている精神障害者は高齢者が多い。そういった部分にも介護保険は有用ではないか。精神障害者の分野からも介護保険への統合を希望をする。
障害者全体の立場としても、国民の意識を障害者の問題に向けることになる。障害が国民の一人一人と無関係ではない、そういう意識をもってもらいたい。介護保険で、障害をもっと身近に感じる。
介護保険でどういう問題があるのか、そういう内容的についての議論をしていきたい。
■徳川委員(身体障害者施設協議会)
結局財源がなければというが、厚労省の問題ではなくて、政府全体、国の問題である。どこに予算をつけるかは国の哲学にかかわる。
審議会としてはこういう哲学でやって欲しいという声をあげるべきである。
聖域なき改革というが、命にかかわる部分にまで及ぶということとはいいのか。訴えていくべきである。
また、障害者にとって、人間生活にとって、結婚、出産、育児は必要。障害者は一般のかたより困難を抱えている。これをどう支援していくのか。考えて欲しい。
■広田委員(精神医療サバイバー)
警視庁に一万人デモをしたいといったところ、5000人にして欲しいということで、銀座でデモをする予定である。デモは厚労省にもくる。塩田部長もそこを分ってがんばって欲しい。
障害者が働く問題。精神障害者は雇用率が入っていない。所得保障もされていない。無年金が多い。そういう問題があって、なぜスポーツ大会にお金を使うのか。
私は午前中は仕事ができない。フルタイムで働ける人ばかりでない。自分が働ける時間だけ仕事をしていいような仕組みを作らないといけない。
精神障害者がバレーボールをやって明るくやっても、精神障害者が一つ事件をおこすと、精神障害者が怖いと思われる。どんな啓発をやっても駄目になる。今日、報道機関がきていると思うが理解して欲しい。
だれもが安心して地域で暮らしていけるための障害者部会であって欲しい。
■岡谷委員(日本看護協会)
高齢者も障害者も地域でくらせるという考え方は良い。
しかし、障害によって多様性がある。その人にあったサービスが必要。財源は重要で、医療保険でも財源の問題は大きい。
障害者部会で国民の皆さんに障害を支えていくという意識、啓発するような提案を考えていくべきだと思う。
■斉藤委員(社会就労センター協議会)
支援費の時に大きなエネルギーをつかった。厚労省の味方をするわけでないが、政府の予算の46% が借金である。 また、厚労省の予算は25%を占めている。三位一体で狙われるのは理解できる。
厚労省の予算を守らないといけない。介護保険の資料をだして欲しい。二度と支援費の苦さを味わいたくない。
就労支援の検討会では3月いっぱいで一定の方向性を示すと聞いている。この間に何が議論されているのか教えて欲しい。
■ 高原障害福祉課長
省内の議論についてはワーキングを作って事務的に議論している。現段階では報告できるようなものはない。別の機会に報告させていただきたい。
■京極部会長
次回以降の進め方について。
■間課長補佐
社保審から課された検討課題、今日、皆様からでた問題も整理して進めていきたい。
本日の委員からの提案、資料についても次回以降用意する。
当面、月2回程度開催する。
次回は3月17日水曜日10時から、経済産業省別館1111号室で開催させていただく。
■京極部会長
それでは終了させていただきます。
自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会本部事務局
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