2004.4.28 13:00〜17:00
第9回社会保障審議会・障害者部会 傍聴メモ
※これは傍聴者のメモであり、議事録ではありませんので留意ください。
ご注意
これは傍聴者の個人の要約メモですので、細かい発言内容に間違いや抜けも多いと思います。あくまで全体の流れの雰囲気を感じる参考にとどめてください。
転用はお断りいたします。順次訂正していきますのでほかの方にお知らせする場合はホームページアドレスのみお知らせください。繰り返しますがこれは短時間で個人がまとめたメモですので、委員各自の発言内容を正確に反映できていませんので、これをもとに各委員に対し抗議や批判を行うようのないようにお願いします。
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京極部会長
一昨日の介護保険部会で障害者部会の報告、検討状況について話をした。
間課長補佐(企画課)
委員の交代について。精神科病院協会からの委員が津久江氏から長尾氏に交代した。
本日は永井委員、西島委員が欠席。
京極部会長
前回は就労・住まいの問題の議論をした。もっと議論したいという意見があり、あらためてやる。今日は、「ケアマネジメント等の在り方について」「サービスの計画的な整備と財源(配分)の在り方について」議論したい。
間課長補佐(企画課)
資料3:ケアマネジメントについて
ケアマネジメントは市町村が実施、もしくは委託した機関で行う。
ケアマネジメントの過程は、ケアマネジメントが必要かどうかの希望の確認→アセスメント→ケアプランの作成・実施→モニタリング である。
多くから指摘されているが障害者ケアマネジメントは制度ではなく手法である。国としてはケアマネジメント体制支援事業を行っている。
ケアマネジメントは幅広いニーズと社会資源を結ぶ貴重な援助方法である。
特徴として、1.幅の広い発想 2.障害者の力を高める・エンパワメント 3.サービスの開発 がある。
国は今後手法として推進していく。ケアマネジャーの養成は国が指導者を養成して、都道府県で従事者の養成をするという2段階になっている。これまで、指導者は1620人が修了している(身体556人、知的519人、精神535人)。
都道府県では27,311人のケアマネジメント従事者が養成されている。
相談支援事業の推移は、15年度で市町村障害者生活支援事業374箇所、障害児(者)地域療育等支援事業536箇所、精神障害者地域生活支援センター397箇所となっている。市町村障害者生活支援事業と障害児(者)地域療育等支援事業は一般財源化となったが、その後も箇所数は伸びている。
手法でやるのか、制度化するのか、議論がある。市町村からは制度化の要望が多い。
資料4:権利擁護について
平成12年4月から成年後見制度ができた。法定後見制度(補助・補佐・後見)と任意後見制度(あらかじめ本人が判断能力が不十分になったときに代理人を指定しておく)がある。
後見人は複数人を指定できるし、法人も可能になった。身寄りがない人の場合は市町村が申し立てをできる。申し立ての費用は5〜10万ほどかかる。
後見の件数は平成7年(当時は禁治産制度)2963件、平成12年7451件、平成13年9297件と伸びている。補佐・補助についても伸びている。
年齢は男性は65歳未満が54%で、65歳以上が46%であるのに対して、女性は65歳未満が26%、65歳以上が74%である。高齢者の割合が増えつつある。
後見制度を使っている人のうち、病院と老人ホームにいる人が62%。
申し立ての理由は、財産管理・身上監護が伸びていて、遺産分割・訴訟手続が減っている。
申立人は子供、弁護士が多い。
成年後見制度は本人が契約をするのが難しい人だが、地域福祉権利擁護事業は契約の内容について判断する能力を有する人を対象としている。
実施主体は、援助内容と本人の判断能力の判定を行うことになっている。
契約締結審査会と運営適正化委員会を設けている。
平成12年の相談件数42,504件、契約件数1,687件が、平成15年(4〜12月)は相談件数167,007件、契約件数4,834件と増えている。
契約のうち、15.9%が知的障害者、13.6%は精神障害者である。援助の内容は知的障害者と精神障害者では似た傾向にある。福祉制度の説明、在宅・施設サービスの情報提供、福祉サービスへの要望・苦情・事業者との調整、預金の払い戻し、代金の支払い手続き、計画的支出・相談援助、郵便物の整理、日用品購入の援助、就労に関する相談、家族関係の調整などが多い。
運営適正化委員会は福祉サービスの適正な運営を確保するためにおかれている。苦情解決の状況は右肩あがりでのびている。相談者は家族48%、利用者33%。苦情の内容は障害者は「職員の接遇」「権利侵害」のものが多い。苦情解決の方法は、「相談・助言」、「紹介・伝達」が多い。「あっせん」までいくのは少ない。
北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)
滋賀県甲賀郡で取り組んできたことを話す。平成7年から障害者が生きていくのは一つの機関では無理で、一人の不安を地域の不安にするということで、サービス調整会議を始めた。
重要な点が5つある。
1.利用者のニーズが中心でなければならない。制度・サービスに利用者をあわせてはいけない。介護の枠でなく、暮らし全般のプランが必要。
2.個別のケアプランの作成を通して地域の中で課題を共有する。
@個別の調整会議−課題に対応できる関係者(福祉・教育・医療・就労)が集まる。即応性、随時の開催。私たちは年間100回ほど開催している。
A定期的な調整会議−地域の課題を解決、共有するプロセス。失敗の事例であっても、それを知ることで地域の福祉力があがる、積み上げていく。
3.ケアマネジメントを担う人はどういう人がいいか。キーパーソンは課題に応じて変わる。本人との関係、日常的に見守る人、自己決定の力など様々な視点でキーパーソンはそのつど変わる。
4.誰が招集するか。社会資源の開発のプロセスを考えると基本的には行政が招集すべきである。社会福祉法人がよびかけてもなかなか集まってこない、行政ならくる、そういう経験をしている。利用者のニーズを市町村が知らないといけないというのも大きな理由である。
5.ケアマネジメント会議をどう継続するか。会議は多種多様な人が発言するので収集がつなかいこともおこる。財源のみで行政に責任をおしつける、特定の施設を避難しないことが重要である。皆がニーズを考えて、知恵を出し合う場にすること。
えてして市町村が金をだせばいいとなりがちで、会議を長くやるためには、責任追及しないこと。それをやってしまうとケアマネジメントが地域で機能しなくなる。
チームアプローチ、社会資源の開発(質・新しいメニュー)は重要である。
支援費が始まったが、障害者は児童から成年期、高齢期までニーズが幅広い。利用者が求める暮らしの在り方に対して機能するケアマネジメントは、サービスの一定の尺度をもちにくい。財源問題からケアマネジメントに期待されているところがあるが、ケアマネジメントは利用者のニーズが基本で、その人の生活をどう考えていくかである。
古畑委員(かながわ福祉サービス運営適正化委員会)
社会福祉士会で成年後見人の研修を行っている。社会福祉士会で成年後見人を受けているが、親族がない人の第三者後見中心の活動なので、市町村の申し立てが32%である。24%が知的障害者、17%が精神障害者である。高齢者でなく障害者のバックアップが重要である。
後見人がいて、なおかつケアマネジメントを受けられることが重要である。支援費の契約は親がすることが普通で、身寄りがない人の契約は第三者後見人がつかないとできない。しかし、知的障害者は所得が少ない。生活保護制度で後見人に対する扶助が必要ではないか。
高橋委員(国立精神・神経センター)
精神の検討会でもケアマネジメントを制度として位置づけて欲しいという強い意見がでている。地域移行を早めるためにもケアマネジメントを手法ではなくて制度として位置づけるべきである。
精神障害者のケアマネジメントの委員会でも制度として期待していたのにならなかったのは何故か。財源の問題なのか。
福祉だけでなく、医療にも役立てたい。ケアマネジメントは多種多様な職種がかかわるべきであり、透明性の確保のために市町村が委託するべきである。ケアマネジャーは経験、ノウハウが必要で、民間にはそのような人が多い。
安藤委員(聾唖連盟)
ケアマネジメントの中心となる理念が機能しているかどうか。研修修了している人が支援費でケアマネジャーをきちんとやっているのか。理念を地域で具現化できているか。
支援費は重度の人が対象で、聴覚障害者でも重複で重度の人が多い。事業所は対応できていない。ケアマネジメントの制度化は必要である。
支援費は地域格差が大きい、それを改善するためにはケアマネジメントは必要である。
間課長補佐(企画課)
障害者ケアマネジメントについては、システムとして制度化されていない。
財源問題だけだなく、ケアマネジメントの資格の問題もあった。制度化は当事者、自治体、事業者からも強い要望がでている。真剣に取り組む。
ケアマネジメントが機能しているかどうかは重要な指摘で、研修を受けている人も委託を受けていない機関で働いていることも多い。制度として位置づけがないので、取り組むインセンティブがないと思う。
加藤委員(知的障害者福祉協会)
ケアマネジメントは誰もが必要だと思っている、一刻も早く制度化を。
多様化するニーズとサービスを橋渡しするためには、ケアマネジャーがどこかの機関に所属するのではなく、独立性・中立性の確保が必要である。そのためには身分的な保障、生活保障をしないとできない、そこをきちんと議論したい。
国に聞きたいがケアマネジメントの研修はどれくらいのカリキュラムで、その内容で十分と考えているのか。
北岡委員の話で、キーパーソンは変わるという話だったが、ケアマネジャーはきちんとした位置づけをし、定着することがよりもっと機能するのではないか。
チームアプローチや継続性の重要性については同意する。いろんな職種・機関が絡むが、上下関係が生じることがある。最終的に決定権を持つような職種がある。発言権は平等だという前提が必要である。
事務局
国の指導者研修は5日間で行っている。障害者施策の現状と課題、ケアマネジメント概論、障害者のニーズなどの理論編と、アセスメント、ケアプラン作成などの実践編をおこなっている。5日間で十分かどうかの議論はあると思うが、実際に参加する人の参加可能な日数の問題もあって、5日間となっている。これに加えて上級研修も行っている。
徳川委員(身体障害者施設協議会)
資料を読んでも、ケアマネジメントは何かがわからない。地域の資源のコーディネートで終わってしまうこともあるようだが、本来は個人ひとりひとりの生活支援をすることである。研修が終わればできるというものではない。障害者の人生を決定してしまう重要な役割である。中立で専門性の高い人の養成が必要である。
ケアマネジメントは地域で暮らせないかたへの支援も必要で、全ての障害者にとって必要である。施設協議会では白澤先生と一緒にケアマネジメントの研究をしてきたが、まだまだ課題が多い。ケアマネジメントのしっかりとした定義がまず必要である。
高橋委員(立教大学教授)
ケアマネジメントの言葉は禁止すべきである。5日間の研修では教養レベルの話で方法まで身につかない。ケアマネジメントと権利擁護の2つは別には語れない。
支援費は第三者契約を安易に認めたことが問題である。
ケアマネジメントの基本はアドボカシーである。地域福祉権利擁護事業と成年後見制度の接続が上手くできていない。そこに当事者性を認めていく。そういう道筋でケアマネジメントはでてくる。
ケアマネジメントにはサービス利用抑制という危険な側面がある。
行政で2〜3年で担当者が変わってしまう、援助の蓄積のない自治体ではケアマネジメントはできない。一般職中心の福祉行政ではできない。横浜市は福祉専門職を要請しているし、横浜生活あんしんセンターと連携している。
ケアマネジメントもサービス調整、利用者の生活支援など機能分化をするべきである。パターナリズムとの決別をせずに、ケアマネジメントを導入したことでケアマネジメントのインフレイーションがおこった。ケアマネジメントの機関、エリア、個々人への支援などをわけて考える。当事者組織にもケアマネジメントの実績がある。
妻屋委員(全脊連)
神奈川県でケアマネジメントの研修を受けた。障害者団体として相談支援、仲間としてのサポート、ピアサポート、ピアカウンセリングを行っており、その一環として研修を受けた。
研修で、行政のケースワーカーの人と演習をしたが、意見が完全に違った。サービスを提供する側と、利用する側の立場が違うと言うことが明確になった。
ケアマネジャーは利用者から信頼されないといけない。プライバシーをさらけださないとできない相談があり、その信頼を勝ち取るために実績が必要である。
ケア会議は重要で、そこで公平性が生まれる。ケースワーカーが決めるのでは措置制度と同じである。ケア会議は民主的な方法で、ケアマネジメントのプロセスで一番重要である。
私はセルフマネジドケアができる。しかし、そうでない人にはケアマネジメントは必要である。
介護保険ではケアマネジャーは事業者の中に入っている。中立性を守らないといけない。サービス調整会議を招集できる権限ももたないといけない。
広田委員(精神医療サバイバー)
地域で暮らす精神障害者だけでなく、医療・福祉の両方でケアマネジメントが必要だという意見があったが、入院している人もケアマネジメントの対象に入っているのか、いないのか?医療がケアマネジメントにも手を出すということなのか?
高橋委員(国立精神・神経センター)
精神のケアマネジメントの議論では、ケアマネジメントは地域に戻る人も対象である。地域に暮らしている人が病院に入っても、ケアマネジャーが退院の相談にのれると地域に戻りやすい。病院の中にケアマネジャーが入ってきてケアマネジメントを行うことは望ましい、退院促進にもつながる。
猪俣委員(自治体病院協議会精神科特別部会)
利用者とサービスの橋渡しだけでは効果がない。アセスメントの段階で支援がスタートする。訪問、カウンセリング、アドボカシー、精神障害者にとっては24時間の危機対応も必要である。ケアマネジメントは多種多様な人が会議に参加して、サービスをする。障害者のケアマネジメントは直接サービスとどう結びつけるか。
京極部会長
障害者のケアマネジメントは多様な職種があり、また、当事者の役割も大きいし実績もある。
市町村に責任がないとできない。ケアマネジメントの機能と、ケアマネジャーという個人と機関、それらが曖昧だった。
介護保険も最初は在宅介護支援センターでやろうしたが、措置と変わらなくなるので解放した。その弊害もあって、介護保険部会で議論になっている。
三障害の支援センターをのりいれる、ケアマネジメントを制度化する。ケアマネジャーを研修しても受け皿がないの現状である。甲賀郡のような取り組みが全国に広がればいい。
岡田委員(川崎医療福祉大学学長)
これまでケアマネジメントの仕組みを作ってきた立場で発言すると、介護保険のケアマネジャーと違うという意識で障害者ケアマネジメント従事者という名称になっている。
ケアマネジメントは欧米でいうソーシャルワークの一領域である。ソーシャルワークの機能は3つあって、@カウンセリング、Aケアマネジメント、B地域ソーシャルワークである。地域ソーシャルワークには社会資源の開発も入る。ケアマネジメントは利用者ニーズ中心主義であり、制度の中でサービスを選ぶことではない。そういう意味で制度ではなく、手法としての位置づけになった。
これからケアマネジメントの本質的な議論が必要である。ソーシャルワークを前提とするなら、特定の資格をもった人があたるべきである。社会福祉士がこれから担うべきでないか。これまでの議論ではそれがでてこなかった。日本は今後、福祉社会をどう作っていくのか。新しい概念を共通の理解のもとで使う必要がある。
”地域””地域生活”というが、普通の人が生活するのに地域生活とは言わない。障害者は施設を前提にしているので、”地域”と言っている。それを認識して言葉を使っていかないといけない。
亀井委員(名張市長)
自治体の意見としては福祉サービスの一元化が必要である。高齢者も障害者も自治体かからすると、両方ともきちんと対応していかないといけない。障害者も平等・公正のためお制度化が必要。
マンパワーは資格、認定をきちんとする。障害者が自立・社会参加をして納税者になっていくためのケアは幅広い。しかし、制度化はきっちりする。理念は見えてきたが、スタートから理想を実現するのは無理で、進化させていけばいい。
笹川委員(日盲連)
ケアマネジメントの制度化は速やかにお願いしたい。資格、専門性の問題は、数ではなく実質的に機能するものを整備しないといけない。
会に寄せられた相談で、移動介護をキャンセルしたらキャンセル料が必要と言うことを言われた人がいて、契約書はどうなっているかと聞いたら見えないので契約書を読んでいないということだった。視覚障害者の契約の場合はケアマネジャーが立ち会って確認をするくらい義務づけないと。
北岡委員に聞きたいが、ケアマネジメントの費用はどうなっているのか。
北岡委員(滋賀県社会福祉事業団)
障害児(者)地域療育等支援事業のコーディネーターがあたっているので、そこで人件費がでている。会議に関係機関からくる人の交通費はそれぞれの機関の出張旅費ということで取り扱いしている。会議に関する特別の予算はない。
”中立・公正”は大事だが、実際の仕組みに落とすのは難しい。中立といっても、事業者と利用者の中立、市町村と利用者の中立がある。チームアプローチの中で積み上げていく中で、中立性・独立性が生まれるのではないか。
末安委員(精神科看護技術協会)
ケアマネジメントを制度化できないハードルは財源問題以外にあるのか。
間課長補佐(企画課)
障害者の場合、ケアマネジメントの範囲が広い。義務づけをするならどんな形で行うのか、報酬の問題も考えないといけない。それぞれの福祉法に位置づけるのなら、ケアマネジメントの範囲をどうするのか、支給決定とケアマネジメントの関係はどうなるのか?とはいっても、ケアマネジメントの制度化については真剣に考えていく。
(休憩)
松友委員(育成会)
岡田先生のケアマネジメントの定義、整理が正しい。基本ではないか。
いろんな議論がでたが、社会福祉士の制度が利用されていない。ヘルパーはサービス提供責任者になれる。社会福祉士は人材養成をしているが、活用されていない。社会福祉士をおさえた形でケアマネジメントの制度化をしていく。その上でセルフマネジメントも考えればいい。今のままではケアマネジメントの軸がない。
堂本委員(千葉県知事)
北岡委員からケアマネジメントの実践の話があった。千葉県はそうとう学ばせていただいて、2ヶ所で地域生活センターを民間で作った。滋賀県とは違うのは障害者・高齢者・児童と横断的にやっている。14の圏域に1箇所ずつ作る。話を伺うと難しいと思うが、袖ヶ浦には知的の500人の施設がある。その人たちが地域で暮らせるためにははじめるしかない。地域総合コーディネーターと言う名前でスタートした。
財政的な話は難しい。県単独事業で、地域療育等支援事業の倍くらいの予算でやっている。
京極部会長
介護保険の時は社会福祉士は成立してまもなくて、実務経験をつんだ人が少なかった。介護保険のケアマネジャーは人材を確保するために職種をひろげた。看護の分野の人が中心になった。
障害は社会福祉士、精神保健福祉士を軸とするが、他の職種を排除するのも理由がない。他の職種といっしょにやる。そのあたりはもっとつめて議論したらどうか。
時間の関係で、今日一番重要な、一番重要といってはいけないが一番焦点になっている財源の問題について。
一般財源化の中で総務省と厚労省とで綱引きをしている。財源確保でいかなる道が一番現実的か、考えないといけない。事務局から。
間課長補佐(企画課)
財源の関係では3月2日の障害者部会で説明をした。障害者サービスの現状は地域差があって、今後も伸びる可能性があるということだった。そのことを補足的に説明するための資料を用意した。
支援費のホームヘルプ全体についての資料を以前出したが、今回は障害種別ごとに見るために資料をだした。
各都道府県での人口10万人あたりの身体障害者のホームヘルプ利用人数は、大阪府をトップに格差がある。利用者数は5.5倍の格差がある。人口に占める身体障害者数にも地域差はあるが、その差を補正したところ格差は6倍くらいで、そんなに影響はなかった。知的障害者は地域間で32倍の差がある。障害児も27倍の差がある。精神障害者は11.5倍。支援費全体での利用者数の格差は6.6倍である。
サービスの中身でみると、一人当たりの平均時間では、東京都が一番で5倍の差がある。それぞれの類型でみると都は日常生活支援の割合が高い。移動介護は大阪府、埼玉県が多い。
知的障害者については、5倍の地域格差がある。移動介護は大阪府、埼玉県を筆頭に提供のされかたが違う。
障害児も同様で最大で7倍。精神障害者については7.5倍。
14pは、サービスの裾野の広がりとサービスの深さの両面を縦・横のグラフに落とし込んだものである。四角の点は利用実績、菱形の点は支給決定である。同一の都道府県を緑色の矢印でつないでいる。これにより、支給決定と利用の差がわかる。今後伸びていく可能性がある。赤い点線と、青い点線は中央値を示したものである。面積的な比較は2.3倍であり、おおざっぱにいうと支給決定と利用実績に2.3倍があるといえる。
15pは各都道府県ごとの4月の利用実績を1として11月までの伸びをグラフにしたものである。全国の利用平均と都道府県の利用人数の上位5都道府県と下位5都道府県をグラフ化している。
16pはグループホームの実績である。知的障害者は15倍、精神障害者は8倍の地域差がある。
17pは身近なところでサービスを受けられているかどうかについて、日中活動の場についてのグラフである。小規模作業所は6000箇所ある。8万人を越える人が利用している。デイサービス、通所授産、通所更生施設の箇所数についてもグラフにしている。
次に、高齢者のサービスをみた時に介護保険の前後でどうなったか。100人あたりのホームヘルプ年間利用回数を示している。平成11年では3.9倍の格差が、平成14年では2.3倍になっている。利用回数自体も伸びている。(※データの取り方は違うので単純比較は難しい上での話)
障害関係の給付費の状況は、障害年金に1.6兆円、手当に0.1兆円。医療1.7兆円。医療費は障害者全般にどれだけ医療費がかかっているか区分できないということがあって主として精神医療費である。福祉サービスは0.9兆円。在宅0.2、施設0.7兆円。施設には通所も入っている。通所施設を在宅のほうにいれると在宅系は0.3兆円、入所系はは0.6兆円となる。
障害部のサービスとしては、入所系は45%、在宅27%、手当17%。そのうち支援費の中では入所65%、通所18%、居宅17%となっている。
措置費は重症心身障害児施設も多いので医療の割合が多い。精神障害者も医療の割合多い。
社会資源の配分をどうするのか、どこを重点的にやっていくかが重要になってくる。
23pは在り方検討会で示された資料であるが、支援費に対する自治体の意見である。上位にきているのが、「支給決定に関しての基準や専門機関を決めるべきである。」「支援費の決定にスタンダードが必要である。」という意見が多い。「利用者負担の増額、上限の廃止」「ケアマネの制度化」についての意見も多い。
26pに利用者負担については過去の議論をまとめている。
・平成9年12月 身体障害者福祉審議会・中央児童福祉審議会障害福祉部会・公衆衛生審議会精神保健福祉部会・合同企画分科会「今後の障害保健福祉施策の在り方について(中間報告)」−介護保険と遜色ないサービスと同様の費用負担
・平成10年6月 社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)−介護保険との整合性や低所得者に配慮した費用負担
・平成11年1月 身体障害者福祉審議会・中央児童福祉審議会障害福祉部会・公衆衛生審議会精神保健福祉部会・合同企画分科会「今後の障害保健福祉施策の在り方について」−利用するものと利用しないものとの公平の観点から応益負担への変更も含め、所得保障も勘案して具体的に検討。応能負担、応益負担という2つの負担方法が示されている。
このような検討を行った結果、応益負担の考えもあったが、支援費への円滑の移行のために現行の応能負担をとることとなった。
こういう経緯も今後を検討する際の重要なポイントではないか。
三位一体改革の話がある。自治体サイドから障害者のサービスは自分達でやっていく、我々にまかせろという提言をいただいている。
そうなった場合、市町村でどのような計画をもっているのか。市町村障害者計画のうち、数値目標がある市は57%、町村は30%。精神障害者の記述がない計画もある。
市町村計画がないところは、市町村合併を控えていて、その後に計画したいということ。また、小さい町村では、障害者の数が少ないので、個人のケア計画をたてればすむので全体としての数値目標まで必要ないという意見を聞く。
今後どのような財源の在り方がいいのか議論して欲しい。
「資料6:制度の比較について」、介護保険との関係もあるので参考までに、資料としてつけた。
サービスの対象者の決定についてはどの制度においても、何らかの決定行為がある。精神障害者についても、法令上は定めはないが市町村が行っている。介護保険は保険者たる市町村が行っている。
措置制度は行政が決めていたが、支援費・介護保険は利用者が市町村に申請することになる。
申請があがってきたときに判断基準がどうなっているか。措置制度は総合的な判断。精神障害者も特に定めはない、必要に応じて行っている。支援費では勘案事項による総合的な判断、具体的なルールは国は決めていない。市町村で決めているところもある。介護保険は要介護認定基準で決めていき、要支援〜要介護度5という形でサービスの必要量をだしていく。
何を決定するかについては、措置制度はどんなサービスをどれだけ、どの事業者から出すのか決定する。支援費は個々のサービスの量と種類は決定するが、事業者決定は利用者に主体性がある。介護保険は利用の上限額を決めるが、どんなサービスをどれだけ、どの事業者から利用するかは利用者が決めている。利用者の主体性は制度に応じて違う。
ケアマネジメントは、措置制度ではない、精神障害者・支援費おいて制度化はされていないが手法としてある。介護保険には介護支援専門員として資格を制度化し、その費用も制度的に位置づけられている。介護支援専門員もできているかどうかは別にして介護保険以外のサービスの支援も求められている。
高齢者も障害者も計画の根拠法がある。障害者は障害者基本法で定めている。高齢者は老人福祉計画・老人保健計画・介護保険事業計画が定められている。
市町村障害者計画、都道府県障害者計画は努力規定である。都道府県は100%作られている。基本法改正で義務化の動きがある。高齢者の計画は義務化されている。数値目標についても示すように定められている。
費用の支出者はどうなっているか。措置制度は市町村だが、国・都道府県の負担がある。精神障害者は居宅の場合は市町村が支出する場合は国・都道府県の負担がある。施設は国と都道府県。支援費は、市町村がだして国・都道府県の負担がある。介護保険は、保険料が1/2で、公費は1/2。公費は市町村・都道府県・国がだしている。
措置制度、精神障害者、支援費は応能負担で扶養義務者の負担がある。介護保険は応益負担で扶養義務者の負担はない。
負担の軽減として措置制度、支援費は上限額がある。介護保険も、負担の限度額があるとともに、制度導入時の軽減措置、生活保護の介護扶助の単給。社会福祉法人の減免措置がある。
最後に前回の就労の議論の時に障害別の資料がほしいと言う意見があった。これを資料でつけた。
障害によって職業の内容に違いがある。視覚障害者はあんま・はり・きゅうが33%で大きな割合を占めている。
京極部会長
計画、財源構成・配分の観点から議論を深める必要がある。
この議論についても今回の議論に終わらず次回時間をとりたい。
江上委員(全家連)
議事の進行の提案がある。発言は一人3分としてはどうか。
資料にあった日中活動の場の推移、小規模作業所6000箇所、うち精神障害は1800箇所ある。先日、47都道府県から7000名の当事者・関係者が集まって作業所についての問題提起をしたところである。
斉藤委員(社会就労センター協議会)
障害者部会と介護保険部会とのかかわりを聞きたい。
先日、介護保険部会で被保険者の範囲の議論があり、資料がでたがほとんどが障害者関係のもので、数名の委員から介護保険への統合について異論がでたと聞いている。この部会はアリバイ作りなのか。この部会には介護保険の被保険者の範囲に関する資料がでていない。
村木企画課長
介護保険と障害者施策との関係については何度か申し上げたが、この部会は障害者施策を検討する中で、財源について介護保険とのかかわりを議論する。
介護保険部会は介護保険の制度の中で、被保険者や受給者の範囲を議論する。
それぞれ関わりがある。その議論をみながら、必要があれば共通の議論の場も用意したい。一昨日、介護保険部会として対象範囲、被保険者の議論をするために資料をだした。京極部会長からこの部会の議論の状況について説明していただいた。
双方の審議会の議論が進んでいる。
事務局が気がつかなくて申し訳なかったが、介護保険部会での障害施策の資料も出すべきであった。
京極部会長
介護保険部会で障害者部会の進行状況を説明した。
介護保険部会では障害者の議論は荷が重いという雰囲気はある。障害者だけでなく、難病者、母子家庭の問題もある。介護保険部会では障害者の問題は唐突すぎるという印象をもった。障害者部会で固まってから聞きたいということで、それを合同委員会でやるのか、他の形でやるのか。いずれかはやらないといけない。
介護保険部会の多くの空気は、障害者の問題は介護保険部会では議論したくない、消極的であった。特に経済界は若い人の被保険者の拡大、その保険料の半分は企業負担がある。厳しい抵抗をされている。市長会、町村会でも従来どおり税金でと言う声がある。
介護保険部会では障害者施策をどうとりこむかの議論はない。事務局として障害の資料をだしただけ。介護保険の部会で具体的な提案がでてくることは100%ない。財政的な問題で介護保険に入るという事はない。障害と介護保険の議論はこの部会にまかされている。
斉藤委員(社会就労センター協議会)
私が言いたい事は介護保険に反対・賛成ということではない。議論の順番があるのでないかということを申し上げた。
資料を次回の介護保険部会に提出するという議論もあったようだが、両部会の整合性をとって進めていただきたい。
村木企画課長
障害者施策として財源の在り方を検討するのはこの部会である。その結論を関連のところに投げていく。 資料については、関連の部会で出た資料、議事録等は事務局の方で出していくということだった。
安藤委員(聾唖連盟)
ずっと気になっていることがある。第5回障害者部会では障害保健福祉部長は6月までに大枠を決めたいと言った。大枠とは何を意味するのか。介護保険と障害者施策に関する大枠ではないか。障害者福祉は幅が広い、細かい分析が必要で、6月までには困難だと私は言った。
ただ、6月に大枠を決める、介護保険部会でも議論が並行して進む中で大枠が決まると思っていた。今の話だと、両方とも及び腰だ。結局、結論はでないのではないか。部長はどう考えているか。
塩田障害保健福祉部長
6月には全体のお起きは方向性、介護保険との方向性については部会でまとめてほしいということは変わりない。この部会で障害者施策の方向を決めるのが重要で、この部会の方向性を介護保険部会に投げて検討してもらう。介護保険部会は当初の予定から遅らせてとりまとめをする。この部会の結論を尊重して、介護保険部会で議論してもらう。その上で、両者の部会をつなぐ場をもちたい。介護保険改正。障害福祉の法律も就労施策も含めて改正が必要。その考えはかわっていない。精力的に議論をお願いしたい。
安藤委員(聾唖連盟)
財源は障害者福祉だけでなくて、介護保険にも問題がある。介護保険もゆきづまっている。介護保険の審議と並行したトータルの審議が必要。部長の話のように介護保険に障害者を統合すると言う事を決めて、それから介護保険部会にもっていくのは不可能ではないか。
塩田障害保健福祉部長
時間的には不可能ではない。事務的にも内部ですり合わせしている。障害者部会、介護保険部会の両方が並行して進んでいる。大きな方向性が出れば、障害者団体・自治体・経済界のコンセンサスは必要だが、十分時間はある。
京極部会長
支援費制度の立ち上げにかかわってきた。支援費制度が措置制度の変形だと言う事が、皆さん、認識されていない。支援費は応能負担など、措置制度をひっぱってきて変形した。財源的にしても社会保険方式から溝がある。
高齢者介護は措置制度のもとでゴールドプランをやり、老人福祉計画を義務付けた。孵化期間が長くあって介護保険になった。支援費は孵化期間がなかった。幸いにも自治体が力をつけたところもある。しかし、地域格差も大きいし、一般財源化になると是正できない。ケアマネの制度化の財源もない。このままではうまくいかない。
支援費は措置制度のいいところは残し、措置制度の延長線上でやった。利用者の選択権については前進した。
支援費も簡単にはいけたわけではない。支援費に当たって疑問を示された団体もあった。しかし、知的障害者の利用者は増えた。一方、精神障害者はおいてきぼりをくった。
財源配分については根本的な議論をしたい。
新保委員(精神障害者社会復帰施設協会)
精神障害者はおいてけぼりをくったのはその通り。基礎構造改革の中で精神障害者ははずされてしまった。
先ほどの資料5の27p、応能負担の方向で動くことになった経緯を話された。措置制度の改変は応能負担を見直すということだった。精神障害者はすでに契約なので、支援費の枠組に入らないといわれた。支援費は措置制度の改変だという話だったが、それだと私たちがはずされた問題はどこにあったのか。
精神障害はもともと応益負担しかなかった。医療機関で一定の負担を払う。福祉施策も契約に基づく応益負担だった。
基礎構造改革は契約への移行、応益負担をきちんと検討すべきだった。わすれてはいけんないのは大変な状況にある人の公的責任をどうするか。
応益負担を検討すべきである。精神障害者についても応益負担、担保すべき公的責任を考えていく。その中で介護保険の検討をせざるをえない。どのように整合性を図っていくのか。
障害者福祉は幅が広い。精神障害者施策は他障害との論議の中で外れたのかもしれない。しかし、3障害合同が語られてきた。そうしたことを見直しながら議論いただければありがたい。
君塚委員(肢体不自由児施設協議会)
現実の財源の前で、事務局には申し訳ないが、あえて理念を話させていただく。
わが国は奈良時代の律令制においても福祉施策があった。七福神の中にも脳性まひの戎様がいる。日本では障害者を宝にする歴史がある。これからの施策で障害者を泣かせないようにして欲しい。
福祉産業はペイする。日本は豊かな国である。国税の配分の見直し、福祉産業は国にとってもいいもの、そういうことをこの部会の方向で謳いたい。
長尾委員(精神科病院協会)
精神障害者の場合に、介護保険が財源論としてでているが、国の責任として精神障害福祉にどこまで責任をもつのか、これがわからない。
精神障害者はおくれている。質・量に格段の差がある。介護保険の中できちんとできるのか。全然見えてこない。どのように担保されるのか。
精神障害の場合は疾病と障害があわさっている、医療と切り離せない。医療の向上も含めて語られないといけない。
京極部会長
仮に介護保険になった場合に、国の役割は財政面、行政指導の面でどうなるのか。
間課長補佐(企画課)
障害者福祉に限らず、高齢、児童も同じだが、市町村を中心にサービスを作っていく、これは福祉八法改正以降の大きな流れである。
精神障害者もホームヘルプを法定化して市町村を実施主体にした。それに対して財源的なサポートが今後どうなるのか。ニーズに対応できるのか。
介護保険の仕組みは市町村がわが町にサービスの必要な人がどのくらいいて、どのくらいの費用がかかって、それを税金と保険料とでまかなっていく仕組み。ある意味では今以上に、ニーズをきちんと捕まえて数値化してサービスを提供していく仕組みができる。財源的に都道府県、国はだすし、技術的助言として方向性を示していく。
疾病と障害の関係については、精神障害者病床の検討会で精神医療の質を良くするために機能分化をどうするのか検討している。
個別の障害ごとに独特の部分は、在り方検討会の議論を踏まえて、9月以降障害者部会でお願いしたい。
介護保険は保健・福祉・医療の連携をとっていくのが発想にあった。連携を前進させるためのツールとして介護保険がある。
長尾委員(精神科病院協会)
精神障害の場合は現在でも整備が遅れている。市町村にいくことはいいが、今、遅れているものが市町村にいって大丈夫なのか。かえって地域格差が広がるのではないか。あるレベルまでは国が責任を持つべきである。
間課長補佐(企画課)
基盤整備についてはご指摘の通り。
介護保険でも高齢のホームヘルプのように地域格差が少なくなっている。こういった部分も考えて欲しい。
徳川委員(身体障害者施設協議会)
障害者基本法が改正される。基本法に意見を言っていいのか。
以前の基本法では、第11条で自立が困難の人に対する国と自治体の責任があったが、これが改正案では消えている。本当に困っている人、声無き方の声に視点がないと困る。
福祉法の改正の中で国の責務があいまいになっているのではないか。理念法だからこそ、セーフティネットをきちんとしていかないといけない。これについては我々は議論から外れているのか。
村木企画課長
基本法は議員立法で進んでいる。国会提出の場面にいっているので、立法府に直接はたらきかけないと。こちらで議論しても反映は難しい。
聞いている話では、改正案では、行政の責務について考え方をかえると言うことではない。事務局としても確認するが、具体的には立法府への働きかけということで理解を。
京極部会長
介護保険は国は1/4の負担は確保する。一般財源化は各自治体がやる、国は関与しない、ということ。介護保険は枠組みは国が決めている。基盤整備も今のところ国のお金がでている。介護保険は市町村主義だが、国の責務はしっかりしている。一般財源化したら、措置制度以上に市町村格差が広がると思う。
介護保険にのっかるというよりも、介護保険をより拡充、豊かなものにして、それに障害者がのれるのか。作業所も支給限度額の中でお金がでて通える。療護施設も保険財政で見ていく。精神障害者も在宅サービス、社会復帰施設もどうどうと使える。
しかし、痛みとして保険料を払う。企業の理解も必要。ドイツは介護保険の時に有給休暇を1日減らした。日本では無理だろうが‥‥。
市町村も負担が1/4が1/8になって楽になる。
ただし、1割負担の問題をどうするか。座長が発言し過ぎたが‥‥。
松友委員(育成会)
介護保険部会とのやり取りの中で、この部会から介護保険部会に持ち込まないと、介護保険からは提案はないということだった。
10数年前に介護保険を導入するときの議論を思い出す。スケルトン案は20歳以上で障害者もいれることになっていたが、そのあと、障害は入れないということになった。
介護保険から障害者は排除されているということではないか。高齢者施策は皆、歳をとるので必要だが、障害者は関係ないという差別があるのではないか。
10数年前に介護保険に障害者がはずれた経緯を分析しないといけないのではないか。独りよがりの議論はいけない。当時の関係者がいたら教えて欲しい。
京極部会長
自立支援システム研究会の報告では障害者について議論したが、時期尚早ということになった。当面、急がれる高齢者福祉に焦点をあてて制度設計することになった。そうすると20歳から払っても利用できないので、20歳からの保険料の負担は困難。高齢化を考え、親御さんの介護が必要な40歳からいれることになった。特定疾病のみ給付を認める制度設計になった。
障害者介護は否定されたのではなく検討課題として残された。
支援費の障害程度区分は介護保険の要介護度とも違う。障害は多岐にわたっている。判定システムだけでも時間かかる。方向性がでてもすぐには実施できない。
当時は障害者団体も積極的ではなく、自己負担の問題で反対する団体も多かった。障害者がまとまるまで高齢者はまてなかった。その他の政治状況もあった。
支援費は始まってまもないが、介護保険の議論では10数年前からやっている。介護保険部会のメンバーも入れ替わっているので、今回の統合の話をやっかいな問題がでてきたと思っている人もいる。しかし、社会全体で負担するということであるならば見直しも必要である。介護保険部会でも障害者部会の議論をまっている。
広田委員(精神医療サバイバー)
障害者計画に当事者委員が入っていない市町村がみられる。当事者委員をいれるよう指導をお願いしたい。
今日の資料の20pで財源の確保についてでているが、医療1.7兆円のうち、精神障害者の入院は1.3兆円、通院は0.4兆円となっている。通院の費用は医療費の公費負担やデイケアだと思うが、その内訳はどうなっているのか。
また、21pに障害部の予算がでているが、20pとどうつながっているのか。わかりやすく示して欲しい。
ここのところの障害部はがんばっている。叱咤激励しつつ応援したい。
笹川委員(日盲連)
財源問題は重要である。介護保険部会は統合は歓迎しない。財界は反対。市町村も時期尚早。そうであるならば、介護保険の統合はこの時点では難しい。
今回の支援費の100億円以上の赤字は、部長をはじめ、皆さん死ぬ思いで確保された事は感謝します。しかし、前任者のたてた計画がずさんでこうなった。国のお金の中で100億円はそんなに大きなお金か?きちんとした計画であれば予算確保できたのではないか。
ここ2、3年は支援費を維持する。支援費の経費の見直し、特に単価はもっと見直しすべき。収益がでている事業所もあると聞いている。そこは厚労省は思い切ってやって欲しい。障害者が安心してやれるように。今の時点で統合は難しい。
福島委員(東京大学助教授)
議論を聞いていて違和感をもっている。これまでの議論の経緯からするとそれぞれの発言はもっともだと思うが、やはり違和感がある。
税か保険かを考えると、障害者の基本的な人権の保障は税でやって保険はなじまないという根本的な議論がある。そういう議論はおいておいたとしても、本来は一人一人の障害者の自立と社会参加、生活を楽しむ事を実現する事が目的である。財源、ガソリン、エンジン、いろいろな言い方があるがそういう議論はそぐわない。
もちろん、お金がないと制度は走らないということはわかる。しかし、私たちは財政部局ではない。私たちは一人一人の障害者の声、関係者の声を代弁する。
Aは先がない、Bなら先があるということではなく、どんな制度が障害者にとって使い勝手いいか、生活ができるのかを考える。ガソリンをとってくることは我々が考える事なのか。「お金がない、サービスも減っていいのか」と言われると、最終的に沈黙せざるをえない。お金がないとできないのはわかるが、一人一人の障害者がいきていてよかったと思える仕組みをつくる。介護保険に統合するかどうかは本来のこの部会の議論ではない。お金の問題がちらつくと及び腰になってしまう。
京極部会長
今日は財源の問題が中心になったが、しかし、これまでは障害者サービスの在り方、地域で生きていくための施策を見直してきた。その上で、今日は財源の話をしている。
介護保険は財源だけでなく、理念も考えないといけない。介護保険の原点には障害者もはいっていて、実現する段階で時期尚早だった。
高橋委員(立教大学教授)
3点ほどの資料が欲しい。
自治体で財源がどうなっているか。急速に伸びているところと、そうでないところ。市町村、都道府県の状況を知りたい。国の話ばかりでなく。聞いている話では、市町村の現場では攻めぎあいが財政当局とある。予算が一律15%カットの中で支援費だけのばせるのか。
基盤整備のお金はどうなっているのか。
障害年金は入っているか、生活保護はどうなっているか。障害者の所得調査はきちんとしたものは見た事がないので難しいかもしれないが。
亀井委員(名張市長)
誤解がないように指摘したいが、先ほど市長会が統合に反対という発言があった。反対の要請をだしたという事実はあるのか。
塩田障害保健福祉部長
いただいた市長会の要望では”慎重に検討して欲しい”という表現だった。
亀井委員(名張市長)
がんばっている自治体は支援費を今後7年間やっていくのは厳しい。サービスは低下させたくない。その中でどうやっていくか考えないと。
堂本委員(千葉県知事)
きちんとニーズを把握する必要がある。今のところ、どのようにやっていいかわからない。ニーズ把握を市町村がきちんとやるべきである。いろいろな形で高齢者も障害者も地域でその人らしく生きていくためには市町村がニーズを把握する必要がある。
私は介護保険が決まる時には国会にいた。障害者団体も慎重だった。こういう時期になって、介護ということについて障害者と高齢者の介護は違うことが明らかになった。障害者が高齢者に入っていくのではない。
しかし、財源を考えると、財源が不足しないようなシステムを考えたほうがいい。若い時からきちんと皆が保険料を払うことで可能だと思う。
京極部会長
積み残しの議論は次回も引き続き行う。
間課長補佐(企画課)
次回は、全国知事会、市長会、町村会から意見陳述をいただく。
君塚委員からの意見発表。そして、今回の続き。
5月17日の13時から。厚労省で。
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