第21回社会保障審議会介護保険部会 傍聴記録

※審議会傍聴者の当日の速記録をまとめたものであり、 正式な議事録ではありませんので、発言者の趣旨にそぐわない、充分に聞き取れてい ないところもありますので、 取り扱いにはご注意下さい。

日時 平成16年12月10日(金) 16:00〜18:00 場所 社会保険診察報酬支払基金会議室

出席委員:
貝塚部会長、上田部会長代理、市川委員、木村委員、京極委員、田近委員、対馬委員、秦委員、花井委員、山崎委員、山本委員、矢野委員、野中委員、永島委員、潮谷委員、見坊委員、喜多委員、小川委員

○貝塚部会長
定刻になりましたので、部会を開催します。議事に入ります。本日は「被保険者・受給者の範囲」の拡大に関する意見の案を。

○事務局
資料の1pから5pは7月30日にとりまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」と同じなので省略します。 6pから10pまで資料の読み上げ。

○貝塚部会長
異例ではあるが、順番に各委員に意見を。内容は最終的に、資料に関係のあるものでお願いします。

○市川委員
支援費制度との関係よりも、ヘルパーの質の問題を議論したかった。

○木村委員
8p。介護ニーズ給付に関する論点。最若年層のケアマネに関連して、改正法成立から28pの前回示されたスケジュールでは4年かかる。若年層のケアマネ養成研修をしっかりやってほしい。3年かかるので早めにとりくんでほしい。9pの40歳以上の末期がん患者について、0か1かではなく、谷間にあるところからはじめながら、このあとの改正で若年層に広げるべきではないか。若年層への負担の説明の仕方としては、具体的に、交通事故で脊損になり介護ニーズがでてくると説明し、保険料負担を理解してもらうべき。これもはやく実施を。

○京極委員
案についてはしょうがないかな、という印象。とくに社会保障全般の中の見直しで介護保険制度見直しの議論は必要。統計的数字でみて議論をすすめていかないといけない。ここにきて障害者団体まとまってきた。障害者部会の部会長としては、今回の案は残念。空気が変わってきたが、介護保険部会では障害者団体の声をきく機会ももらえなかった。

○田近委員
3点ある。まず、今後の進め方の最初の○はなくてもいいかな。精力的というほどばりばり議論してきただろうか。最後の○「円滑な制度改革を図ることが重要であり」、をとる。全体的な結論とそぐわない。つぎに、賛否両論が言われていて、散々議論してき、7pに反対意見がのっている。別紙にある、7月30日にした議論をおぼえている。どちらの立場に立つにせよ、きちんとまとめている。しかし、7pはしっくりこない。別紙の意見をそのままいれてしまえばいい。3つめは、4p、問題の所在。上から2つめのパラグラフ。地域ケアというが、今回の議論を聞いていて、財政的問題や普遍化の問題があるのに、身障者を介護保険にいれて、地域ケアでやれるのか疑問。地域間格差がある。障害者を保険に入れて地域で支えられるのか。介護保険では1号被保険者が重要。地域の介護保険サービスとリンクせずに入れるといけない。

○対馬委員
今後の進め方については、おおむねこういうものかという印象。範囲拡大について、こちらは大切な保険料をあずかっている立場。被保険者に理解してもらうには、議論やデータがもっと必要。みな介護の普遍化へ賛成という報道もあるが、いかがなものか。医療保険で言うと、サービスの質を向上するというとだれも反対しないが、コストがからむとそうでもない。介護の普遍化だけをとりあげて賛成している、というのはどうか。

○秦委員
年をとれば障害をもつことがある。わが身の問題だとみんなに考えてほしい。地域の立場から言うと、介護保険を支える人間がふえてきたのはよいことだと思う。段階的な拡大をしたらいい。赤ちゃんをお年寄りのところへつれていくと顔がかわる。いい笑顔。年齢拡大について、介護をボランティアでやっている若い人もいる。保険料未納という批判もあるが、若い人も年をとるし、親やおじいさんもいる。どうか聞いたら、やりますっていう。未納量が多くなると後ろ向きに考えないで、仲間として一緒にやっていけたらいい。

○花井委員
被保険者・受給者の範囲は、制度発足からの課題。実施時期を明確にすべきだったとおもっていた。まとめにかんして、残念と思う。10pの最後、一体的見直しの中で、とはいっている。個別には修正したいところが多いが、普遍化など基本的には修正はしない。実施時期に結論をえるよう、お願いしたい。障害者サービス福祉法など介護保険スタート時と状況はかわっているが、平成21年の4期からできるよう努力してほしいし、したいとおもう。

○山崎委員
基本的によい。普遍的制度に見直すのは共有化できたとおもう。円滑な準備を。拙速な議論ではなく。障害者との問題は先送りしないで、部会や国の責任できちんとすすめてほしい。失望のないように。

○山本委員
社会福祉法は種別にもうけるのは、よくない。医療保険でもできるだけ一本化すべき。国保の財政はきびしいが、一本化してしまえば、財政的にうまくいくのでは。せめて県単位で一元化できないのか。社会保障そのもの、わけられているのはしかたないが、高齢と障害は異種なものではない。現場で実施している責任者のひとりとして、一元化できるものはしたほうがよい。障害者をいれると支援費ができたばかりでいれるのはどうか、とか、保険の負担をする年齢がさがると自分は健康なのにという反発、本人の負担と経営者が負担しなくてはいけなくなり経営がますます苦しいといった問題がある。介護の対象年齢を0にさげるのは、給付はみな賛成するが、負担の年齢引き下げは反発する。事務局が20歳と書くから、国民年金を思ってしまった。議論不足がある。負担の年齢、0まで下げることを日本はしなくてはいけない。いつまでに実施するか、明記すべき。両論併記はよくない。足引っ張りになっている。だいたいこういう方向で、何年後に実施するという将来の方針をきめてほしい。現場として、0まで下げると明記してほしい。段階的に負担の年齢を引き下げをさげるというスケジュールを。

○矢野委員
意見書を提出したので、ご覧下さい。経団連、日本商工会議所、経済同友会、関西経済連合会、4団体の意見書。範囲の拡大の問題だけ本部会には提出。被保険者は現段階を維持すべき。障害は制度の主旨が異なるから組み入れは適当ではない。3つめはホテルコスト、4つめは地域支援事業について。
普遍化については、掘り下げがされていないので今後の検討課題とすべき。障害者福祉施策の制度の谷間の問題など、それだけですむのかしっかり検討していくべき。そうでないと、普遍化という言葉は適当ではない。部会では解決しなかったということだ。6pの「制度の普遍化を目指すべきであるという意見が多数であった」というが、意見書を出したのは、多くの企業が所属する4団体からの意見は少数意見なのか。多数というのは、部会の中でということ。今までどおりの「意見があった」という表記でいいのではないか。最後のページで、一体的見直しと関連して、ホテルコストの負担の問題は医療でも同じにすべき。この部会でいうことではないかもしれないので、他のところで審議してほしい。10p最後の○。「円滑な制度〜」が違和感。田近さんと同じ意見。なくてもいいんじゃないか、ここだけトーンが違う。下の文章、できるだけすみやかにというのはいらないんじゃないか。

○野中委員
介護保険がだれにとって大切かというと、国民全員に必要。みんなに質の高いサービスを、そういう議論が無くて費用の議論になると、介護を必要としている人たちがつまはじきにされているのは変わらない。現場で、病気や障害を抱えている人が、家にとじこもるのがいいという人が多い。しかしそうではない。議論がこういったスタンスでないのは意味がわからない。徹底したケアマネを。介護保険でうまくいってないのはケアマネがまずいから。支援費ははじまったばかり。徹底したケアマネの視点が必要。65歳以上は介護保険にはいっている。支援費制度で上乗せ横だしになるから、支援費制度で早く適切なサービスを提供するべき。スケジュール案が今頃出てきて、さびしく思う。9p、ガンの人につかえないのは検討してほしい。少なくとも、やむなくうける。やみくもにホテルコストをとるのは反対。負担をさせる。医療でホテルコストをとることにも反対。制度を運営する側は思うのかもしれないが、何のための社会保障制度か。

○永島委員
10pの今後の進め方の、最後の○ぽち。わたしはこれでいいと思う。自分は、いわば当事者としてこの場に参加。認知症が30代の後半から発症するケースが珍しくなくなってきている。10pの意見に賛成する。野中委員のいったように、老夫婦で、夫の年金で生活している場合、片方が施設に入りホテルコストを払うことになると、家賃と施設の両方、2軒分払わないといけない。低所得者ではなくても2重にはらうのは問題。苦しいと思う。

○潮谷委員
10p、おおむね賛成。2つめの○、相当な準備が必要というが、9pと関連して、谷間の問題は早急にしてほしい。障害は、モデル事業や研究事業を通して、準備段階でも検討・検証していくべき。秦さんがいうように高齢者が増えていく。社会構造的に考えていくのが大切。介護保険と支援費が抱き合わせになっていたが、こぼれおちている人のために、どういう洗い出しをしていかなくてはいけないのか。支援費はじまって一年というが、将来のことを考えると、今この時期にとりくんでいく性格のものではないかとおもっている。もうひとつ、予防重視型システムへの転換が論じられてきた。地域包括支援センターがどういう役割を果たしていくか、10pでも整理していくべき。
7pに関連。○2のところ。税か保険か、負担の問題があるが、気がかりなのは、社会保険制度で支えている介護とは何か。とくに0歳児の介護とは何か、明確にする必要がある。ぜひ、利用するものが中心で。ケアマネやサービスメニューの問題があるが、利用者が理解できる言葉で利用者中心の制度設計を。

○見坊委員
戦後の福祉の発展の中で、障害がおくれをとってしまった。高齢はすすんだ。障害者の問題は何かと問いかけている。全体については、こうなおしてほしいという意見はない。苦心の作だとおもう。予算編成時期をむかえ事務局もなんとかまとめないとということで、こういうまとめになったんだろう。7pに検討すべき課題や支援費制度、年齢の引き下げがあり、10pに普遍化に関する記述。希望することは、高齢者は保険料を低くするため加入年齢の引き下げをめざしているのではない。福祉は社会連帯の立場でやっていくべき。つきつめると全国民が負担するとなる。そうした段階をへて、公的社会保険になる。国民全体が理解した上で、保険から税金にいくのはいいが、とびこえると措置時代に後戻りになる。
障害児者の問題。これは、わが身の問題。自分達のこども、孫の問題。自分の保険料より、21世紀の日本が心配。という意識が強まっている。障害者は足並みがそろわない。日身連、育成会、戦後数年後にみなが見向きもしなかったときに結成。日身連と育成会は対立してきた。昭和45年心身障害者基本法ができるとき、日身連と育成会が大議論。育成会がタイトルに絶対反対。日身連は、「心身といって何が悪い」。10年以上たって国際障害者年世界には4億5千万の障害者がいる。関係者は手をつなげないかと思っていた。今年、日身連と育成会がはっきり連帯。20年以上もめていたのに。日身連が参加し、連絡会をこの秋設立。介護保険に障害者は関心をもっている。全国から国会にきたりしている。問題は、財源。理念があっても財源がない。2団体が共同で意見書を出した。介護保険制度を活用しながら支援費を中心に障害者の制度をつくっていく。育成会の言葉には、「また置き去りにされるのではないか」とあった。各委員の言葉には、「国民全体の問題」「両論併記はどうか、方向付けくらいは。」とあった。垣根をとりはらってひろげるべきだと思う。全国民の問題としてやっとここまできたかと思う。今、国会よりも経済が日本を動かしている。われわれも、経済活動にかかわっている。経営者の家族でも介護問題で苦労している人は少なくない。社会保障制度は国民の9割が関心ある、方向をはっきりさせてほしい。

○小川委員

10pにかぎって、こう書かざるをえないと思うが、ほんとは、「できるだけすみやかに」ではなく、「これ以上先送りできない」と書いてほしかった。日本はまれにみる高齢少子社会。精力的議論はしてきた。そうでないと、税金の無駄づかい。書ききれなかったが、ホテルコストの問題もあるが、高齢・障害・子育て、どれも住宅問題が大変。小規模多機能しかふれられていないが、国庫補助で既存の住宅政策を。事務局は、取り組みが進みつつある、と。まだまだ障害・高齢かかわりなく、世の中の偏見がある。介護保険は介護問題を社会化し、偏見や差別をなくす効果はあった。教育問題として、福祉を。制度を共有するためにも一体化、一本化が必要。地域ケア、国の決めた制度に合わせるのがこれまで。これからは分権が必要。地域の中でどうシステムをつくっていくか、三位一体に関して、地方6団体がそういう方向でいってほしい。日本といっても、北と南、都市と田舎と地域の特性がある。もっと詳細に検討してほしいことは、包括支援センターや在宅支援センター。現場に、市町村・都道府県へのヒアリングを。ケアマネの質については、一定全体の中で際立った。ケアマネがつかれはてず、利用者本位のプランができるよう議論を。

○喜多委員
大きな議論をしたと書いてあるが、ほんとにそうだったか。普遍化とはどういうことか共通認識をもつ議論はなかった。保険料が足りなくなったらどうする、という具体的踏み込んだ議論もなかった。資料だけだった。被保険者の範囲は、介護保険の理念から入ればよかったのに、支援費の失敗からはいったから、切り口が間違った。自分は統合に反対ではない。みなそうだと思う。ただ、いたるまでの意見はいろいろ。議論はしたが、足りない。10p、田近委員と同じ意見で、消した方が良い。附則にかいたから見直すではなく、時期にこだわらず悪いとこはどんどん見直していけばいい。

○上田部会長代理

普遍化に二つある。年齢の普遍化と、全国どこでも同じサービスがうけられること。介護保険は、全国どこでもうけられる。支援費は、補正予算を組んだり、地域差がある。リハビリの医者として、生後3ヶ月から98歳までみてる。介護は年齢を問わない。0歳を考えると、母親の負担が非常に大きい。キャリアがあると、もう、だめ。キャリアをあきらめないといけない。障害児が生まれると、離婚というケースもある。東京は制度が充実しているので、障害児がいて、夫が転勤になると、地方には制度がなくひどい状態なので、夫だけ単身赴任し、母子は東京でやむをえず2重生活。介護保険ができるとき、諸手をあげて賛成した。しかし、高齢者むけだけだった。ほんとうの介護保険へ。今回実現できず、残念。20、30代は障害になる確率は低いかもしれないが、また、これも低いが障害児が生まれる確率はある。逆あたりくじみたいなもの。相互の負担はあってもいいのではないか。それに、障害児にかかりきりになると、次の子をつくろうとしない。社会保障全体を考えると、わずかながらでも少子化対策になっていいのでは。これからの希望は、まず、できるかぎり普遍化を附則というかたちで努力してほしい。これからでも技術的準備はできるのでは。年齢を引き下げる場合におこる問題の研究を。谷間の問題は法律の問題。しかし、老化にともなう疾患の見直しは解釈の仕方でどうにかなる問題。範囲をひろげる検討を。

○貝塚部会長
意見が多数であったという表現への問題提起、できるだけという表現にも違和感があったと。また、具体的方向を示したほうがいいという意見もあった。文言上の修正は部会長へ一任してください。今後の進め方について、形容詞の「精力的に」などは考える必要があるが、○の4つはこのままのこし、骨格は残し、修正したい。よろしいでしょうか?筋を通すと、学者としてはこうは書かないが、いろんな意見があったという書き方になる。これを論じはじめるとエンドレスになる。官庁文学、解釈次第でどうにかなる。霞ヶ関流。

○中村局長
被保険者・受給者の範囲は17,18年度の見直しの中で、議論の組み立て方として、省として考えていきたい。医療、年金、介護、の一体的見直しを内閣としても進行中。総合的に考える、どういう切り口か。さぼることなく、やっていきたい。介護保険法案は、今度の国会に提出される。今回は法案の中で年齢の拡大はない。今後の扱いについては、与党の法案レベルの話。与党の審査をへて、国会へ提出するので。

○委員
今日の論議は、被保険者に関して、10pにここにかぎって、とある。全体的なものに関していうと、7月30日まで議論してきたケアマネ等、今後のすすめかたで落ちないように。

○中村局長
p28。準備作業としてどんなことがあるか、ケアマネは改正法成立後4年程度かかるとしているが、効率よくすれば早くなる。明らかにならないと議論もできないので、出来る範囲内で研究をし、検討の素材としたい。前向きにすすめていきたい。議論をすすめる上で提供するものとしたい。

○貝塚部会長
コンセンサスができたところでは、できるだけ早く、ということで。拡大は今日のとりまとめで。長い時間お疲れ様でした。

HOMETOP戻る