3/24に社保審・介護保険部会が開催され、厚労省より論点とりまとめの案が示されました。

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

 厚労省のHPに資料が掲載されています。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/03/s0324-7.html
 また、福祉新聞今週号でも1面に取り上げられていました。

 これまで障害者団体8団体が厚労省と話をした点について、関連する点(※こちらで赤文字にしました)もありましたので、ご案内します。

 ※これまで、重度の一人暮らしモデルが介護保険にはないと言われていましたが、今回は一人暮らしモデルnついて触れられています。
  また、被保険者の範囲については、"4月の部会の議論を踏まえて整理"ということで、今回は触れられていません。
  支給限度額(サービス上限)についても、特に触れられていません。


これまでの議論の整理(案)  

※  以下は、これまでの部会における議論及び事務局からの説明等を踏まえ、事務局において取りまとめたものである。

 

I.基本的視点

○  制度改革に当たっては、戦後のベビーブーム世代が高齢期を迎える2015年、さらに我が国の高齢化がピークを迎える2025年、という将来を見据えた制度の持続可能性を考えることが重要ではないか。

○  介護保険制度創設当初からの検討課題と併せ、施行後の検証を通じて見えてきた様々な課題を視野に入れつつ、次のような視点に立って、制度の基本理念の徹底と新たな課題への対応を図っていくことが必要ではないか。

 I 給付の在り方  

○ 基本的な考え方
−  サービスモデルの変化 等
○ 給付の重点化・効率化
−  軽度者への予防給付、在宅サービスの充実・強化、施設入所・ケアの見直し、医療との連携 等
○ 新たなサービス体系の確立
−  痴呆ケアの確立、生活圏域単位のサービス基盤整備、多様な「住まい方」の確保 等
○ サービスの質の確保・向上
−  ケアマネジメントの見直し、サービス評価、権利擁護、人材育成 等
○ 公正・効率的な要介護認定
−  認定調査、申請代行、認定審査会 等

II 負担の在り方

○ 将来を見通した負担水準 
−  負担の水準、保険料、財政調整 等
○ 利用者負担の不均衡是正 
−  在宅と施設のバランス 等
 

III 制度運営の在り方  

○ 地域に根ざした制度運営

 −  事業者指定・指導監督、保険者機能の強化、事業計画 等

※ 「被保険者の範囲」については、次回(4月)の部会の議論を踏まえて整理。

II.給付の在り方

1.基本的な考え方  

○  今後の高齢化の進展や痴呆性高齢者の増加、独居世帯の増加等を踏まえ、将来的には給付の基本設計におけるサービスモデルが大きく変化していくことを念頭に置く必要があるのではないか。
・介護モデル  → 介護  + 予防モデル
・身体ケアモデル  → 身体ケア  + 痴呆ケアモデル
・家族同居モデル → 家族同居  + 一人暮らしモデル
○  上記の観点から、給付の在り方(報酬やサービス基準の在り方も含む)については、次のような基本的視点に立って検討していくことが重要ではないか。
・給付の重点化・効率化
・ 新たなサービス体系の確立
・ サービスの質の確保・向上
・ 公正・効率的な要介護認定

2.給付の重点化・効率化

(要支援・軽度の要介護者への給付)  

○  介護保険の本来の在り方からみて、要介護度の悪化を防ぎ、生活機能の向上を図るための介護予防やリハビリテーションの重要性を改めて強調する必要があるのではないか。

 ○  介護予防推進の観点から、介護予防サービスの基盤整備を進めつつ、要支援者・軽度の要介護者に対する給付について、現行の内容を見直した新たな予防給付へ再編していくことが重要ではないか。

(在宅サービスの充実・強化)  

○  介護保険は在宅重視を基本理念としているが、現状では施設利用割合が依然として高い。重度になっても在宅生活が継続できるよう、夜間・緊急対応を含む在宅支援体制の整備、訪問介護等各在宅サービスの内容の見直し、家族に対する相談・支援の充実など、重度者により力点を置いた在宅ケア体制の確立が重要ではないか。

(施設入所・ケアの在り方)  

○  在宅ケア推進の観点や入所者の実態等を踏まえ、施設入所については、対象者の重点化を図ることが必要ではないか。  

○  在宅と施設のケアの継続性という観点から、施設におけるケアについても、できる限り在宅に近い形での個室・ユニットケアを普及していくとともに、医療面を含め重度化への対応が必要ではないか。

(医療との連携)  

○  日常的な疾患管理や医療ニーズが高まった場合の対応、痴呆ケアへの対応、さらにターミナルへの対応も含めた継続的なケアの確保という観点から、主治医の関わり方の見直しも含め、地域における介護と医療との連携を強化していくことが必要ではないか。

3.新たなサービス体系の確立

(痴呆ケアへの対応)  

○  要介護高齢者のほぼ半数に痴呆の影響が認められるという現状や、今後、痴呆性高齢者が増加することを踏まえ、痴呆ケアに対応したサービス体系の整備を進めていく必要があるのではないか。  

○  痴呆性高齢者については、早期発見・診断、相談体制の整備や主治医の役割も含め、痴呆の段階に応じた総合的、継続的な支援体制の整備が必要ではないか。

(生活圏域単位のサービス基盤)  

○  環境変化の影響を受けやすい痴呆性高齢者の特徴を考えると、生活圏域の中で高齢者が多様なサービスを利用できるような体制を目指していくことが必要ではないか。  

○  今後のサービス体系を考えるに当たっては、現行の全国共通的・画一的なサービスだけでなく、市町村が独自性を活かし、生活圏域において地域に密着したサービスを整備、展開することができるような方向性を重視する必要があるのではないか。

(多様な「住まい方」)  

○  今後、一人暮らし世帯が増加していくことを踏まえ、生活の継続性という観点から、従来の「自宅」、「施設」以外にも、痴呆性高齢者グループホームやケアハウスのような、多様な「住まい方」の選択肢を拡充していくことが必要ではないか。

4.サービスの質の確保・向上

(ケアマネジメントの在り方)

 ○  ケアマネジメントは、介護保険制度の重要な柱であり、この仕組みが利用者の立場に立って公正に行われることが、サービスの質を確保するために最も重要なことではないか。  

○  軽度者に対する給付のマネジメントについては、予防給付の見直しを踏まえ、再構築する必要があるのではないか。一方で、痴呆ケアや重度者への対応、施設の個別的・継続的なケアの推進、介護以外の生活支援の充実などの観点から、総合的なマネジメント体制を整備していくことが必要ではないか。 また、こうした視点も踏まえ、在宅介護支援センターの機能の見直しを行っていくべきではないか。  

○  上記のようなケアマネジメントの体系的な見直しと併せ、基準や報酬の在り方についても、公平性・中立性確保の観点から見直しが必要ではないか。  

○  ケアマネージャーの資質向上の観点から、研修等の充実強化や更新制の導入など資格要件の見直し、不正行為に対する罰則の強化等が必要ではないか。

(サービス評価・権利擁護)  

○  介護保険の基本理念である利用者本位を生かしつつ、質の高いサービスを育成していくためには、利用者の選択に資するサービスの標準化と情報開示を進めていく必要があるのではないか。  

○  上記のような視点に立って、現在、痴呆性高齢者グループホームに導入されている外部評価について、情報開示の観点から他の介護保険サービスについても導入していくべきではないか。また、利用者とサービス提供者の橋渡しとなっている介護相談員について、機能の充実・強化が必要ではないか。  

○  顕在化しつつある高齢者虐待への対応や、今後、痴呆性高齢者が増加すること等を踏まえ、権利擁護の仕組みの強化が必要ではないか。また、高齢者虐待の防止については、法制化を検討すべきとの意見があるがどのように考えるか。

(人材育成)

○  介護サービスを支える人材の資質の向上の観点から、在宅サービス・施設サービスを問わず、介護職員については、教育・研修や技術向上の仕組みを体系化していく必要があるのではないか。特に、痴呆ケアについては専門資格化を含め、人材の養成を図っていくことが重要ではないか。  

○  サービスの質を確保する観点からは、介護職員のみならず、施設長や管理者の資格や研修の在り方についても見直しが必要ではないか。また、介護職員については将来的には介護福祉士を基本としていく必要があるのではないか。

5.公正・効率的な要介護認定

(申請代行、委託調査)  

○  認定率については特に軽度者について地域差が大きく、申請代行や委託調査をめぐる問題も提起されている。適正化を図る観点から、例えば、新規申請については、申請代行や調査委託ができる者の範囲を限定してはどうか。

(認定審査会)  

○  認定審査会の在り方については、効率化を図りつつ、現在は十分に活用されていないサービス内容に関する意見付与の機能を強化する必要があるのではないか。また、1次判定の精度向上に伴い、2次判定の在り方を検討すべきとの意見があるが、どのように考えるか。

III.負担の在り方

(負担の水準)  

○ 負担の在り方を考えるに当たっては、将来の給付と負担の見通しを踏まえ、社会経済との調和にも配慮しつつ、その水準を考えていく必要があるのではないか。  

○  また、介護保険のみならず、年金、医療、雇用等を含めた社会保障全体としての負担水準を、国民の視点に立って検討することが重要ではないか。

(保険料)  

○  1号保険料については、被保険者の負担能力をよりきめ細かく反映したものとなるよう、設定の在り方を見直すことが必要ではないか。特に、現行の第2段階の中でより負担能力の低い層について、保険料負担を軽減する方向での見直しが必要ではないか。  

○  特別徴収について、遺族年金や障害年金にも対象範囲を拡大する方向での見直しが必要ではないか。  

○  医療保険者や2号被保険者については、現行では給付に関与していく手段がないが、例えば、都道府県や市町村の計画策定への参加等を通じて給付に関与していくことが考えられないか。

(財政調整)  

○  調整交付金の機能の在り方、財源の在り方について見直すべきとの意見があるが、どのように考えるか。

(利用者負担)  

○  サービスに対する利用者負担の在り方を考えるに当たっては、在宅と施設の間の負担の公平性という視点が重要ではないか。  

○  現行の在宅と施設における給付範囲(利用者負担)の違いが施設志向の一つの要因となっていることを踏まえ、施設における居住費用や食費負担の在り方を見直すことが必要ではないか。  

○  居住費用や食費負担の在り方の見直しに当たっては、施設における居住環境の見直しや低所得者への配慮にも留意が必要ではないか。  

○  現行の給付率(利用者負担割合)について見直しをすべきとの意見や、資産からの費用回収方法を検討すべきとの意見があるが、どのように考えるか。

IV.制度運営の在り方

1.制度全般  

○  市町村が保険者として制度の運営・財政責任を持つとともに、国、都道府県、医療保険者、年金保険者がこれを重層的に支えるという現行の基本的な枠組みは維持することが重要ではないか。  

○  医療保険者や2号被保険者については、現行では給付に関与していく手段がないが、例えば、都道府県や市町村の計画策定への参加等を通じて給付に関与していくことが考えられないか。(再掲)  

○  被保険者や地域住民への情報提供、住民の事業への積極的な参加を重視した透明性が高く、地域に根ざした制度運営を目指すことが重要ではないか。  

○  調整交付金の機能の在り方、財源の在り方について見直すべきとの意見があるが、どのように考えるか。(再掲)

2.保険者の在り方

(事業者指定・指導監督)  

○  介護サービス市場は、公的財源で支えられている他の分野と比較しても、多様な事業主体の参入を認めている一方、不正等に対する事後規制は脆弱な側面がある。事後規制の強化の観点から、指定・指導監督の在り方、サービス基準の在り方について見直しが必要ではないか。  

○  上記の観点から、事業者の指定・指導監督について指定に関する更新制の導入や指定に当たっての欠格事由の見直しを行う必要があるのではないか。

(保険者機能の強化)  

○  市町村が利用者と事業者の間に立って保険者としての機能をより発揮できるよう、例えば、市町村長についても事業所への立ち入り権限を付与する等、その機能強化を図ることが必要ではないか。

(事業計画、保険者の権限等)  

○  サービス供給に関する保険者の関与を高める観点から、例えば、利用が主として市町村の圏域内にとどまるようなサービスについては、市町村長が事業者の指定・指導監督を行うこととしてはどうか。 また、このようなサービスについては、当該市町村の介護保険事業計画に定める目標値を超える場合に、市町村長に指定拒否権限を付与することとしてはどうか。  

○  市町村の事業計画やサービス基盤整備の今後の方向性を考えるに当たっては、生活圏域での多様なサービス拠点の整備という視点が重要ではないか。  

○  保険者がその機能を発揮できるよう、給付に関する情報の分析・提供や保険者における政策評価の支援体制を強化していく必要があるのではないか。  

○  被保険者に対し、制度の理解やサービス利用に関するモラルの向上を図っていくことは、保険者の重要な役割ではないか。

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