重度訪問介護の新単価の解説

厚生労働省より重度訪問介護や居宅介護の4月からの新単価案が公表されました。

(新単価のPDFリンクはこちら)

重度訪問介護の基本単価(=区分45)は、 開始から24時間の流れは以下のようになっています。

24時間連続介護の必要な障害者の介護を8h勤務のヘルパーが3交代で勤務すると想定して単価設定がされています。
今の基本単価(区分45)は、最初の4時間が1600円で次の4時間が1500円、ここまでで8時間でヘルパー1人目の8時間の勤務と考え、 次の8時間は2人目のヘルパーと考え上記の95%(最初の4時間が1600円の95%で後半4時間が1500円の95%)
次の8時間も3人目のヘルパーと考え同じく95%です。(注1

4月からの区分4・5の新単価は約13%(正確には13.33%)上がって、
1
時間目 1830(円)
2
時間目 1820
3
時間目 1820
4
時間目 1820      ここまで4hは次の4hより約100円高い(さらに2030円加算)
5
時間目 1700
6
時間目 1700
7
時間目 1700
8
時間目 1700      ここまで4hは100円低い

9h目   1720      2人目と考え、ここから下は95%で高い低いの繰り返し
10h
目   1720
11h
目   1720
12h
目   1720       
13h
目   1620
14h
目   1620
15h
目   1620
16h
目   1620
17h
目   1720      ここから3人目と考える
18h
目   1720
19h
目   1720
20h
目   1720
21h
目   1620
22h
目   1620
23h
目   1620
24h
目   1620
と、なっています。

なお、最初の1時間は従来の単価の13.33%アップの水準より、さらに20円高く、2・3・4時間目は10円高くなっています。
これは14時間未満の短時間の場合は高くしたということです。

なお、区分6は上記の7.5%加算なのは変わりません。
重度包括対象者は15%加算です。なお、意思疎通ができなくて、気管切開の人工呼吸器利用者が従来の包括の条件でしたが、4月からは気管切開の条件が外れます。つまり、意思疎通ができない鼻マスク呼吸器利用者も15%加算になります。

自立支援法で重度訪問介護になり、大幅に単価が下がり、ヘルパーの給与が下がったことで、人材が流出し、最重度の重度訪問介護の利用者は事業所が見つからない事態や、支給決定を受けても事業所がない事態が全国各地でおこり、散々な状態でした。
 今回の改正で、日常生活支援の時代の1時間1800円単価に近づきました(ただし、今は重度訪問介護に吸収された移動介護は1時間4020円だったので、平均単価は以前の支援費制度時代の単価まで回復しているわけではない)。
  これによって、ヘルパーの給与が上がり、「ヘルパーがいない」という事業所が減り、利用者が事業所から拒否される事態も減るものと思われます。
  また、特定事業所加算新設により、常勤などで長く働くヘルパーに給与を上げていけることができる仕組みができたので、利用者にとっては、質の高いベテランの介護を受けられる割合が高まります。

 

(注1

 重度訪問介護は8時間連続利用などを想定した制度である。8時間連続で働くヘルパーの給与などを元に単価が設定されており、24時間連続利用も想定して24時間を3人の8時間勤務のヘルパーで埋めるように制度設計されている。

単位においては重度訪問介護8時間連続利用と、身体介護3回の利用は、ほぼ同じ単位になるように設定されている。これは、身体介護の場合は8時間勤務の常勤ヘルパーが(11時間から1.5時間の)身体介護に(8時間の勤務時間のうちに)3回出向くことを想定して介護保険の身体介護単価(自立支援法の身体介護単価は介護保険に合わせている)が決められているが、重度訪問介護の場合は連続8時間で介護サービスに入ることが想定されるため、重度訪問介護8時間の単位が、身体介護3回分とほぼ同じ単位になるように制度設計されているためである。

 重度訪問介護の基本単価では、

1人目の勤務時間に当たる8時間のうち前半4時間が1600/h後半4時間が1500/hとなっている。

2人目の勤務時間に当たる次の8時間のうち前半4時間が1600/hの95%単価、後半4時間が1500/hの95%単価となっている。

3人目の勤務時間に当たる最後の8時間のうち前半4時間が1600/hの95%単価、後半4時間が1500/hの95%単価となっている。

95%になるのは2人目以降は事業所の管理コストが低くてもよいという制度設計。また、最初の4時間が100円高いのは、112時間などの利用の場合は、短い勤務時間で終わってしまうヘルパーが出るので、短い部分は高くして配慮している。)

 重度訪問介護、124時間連続利用する場合の請求コードも用意されている。

 このように、重度訪問介護は24時間3交代の連続利用までも制度に織り込んで設計されている制度。これに対して、身体介護は主に短時間でのサービスを想定した制度。

 

 

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