報酬の告示の解釈通知(10月31日付)の注目点と解説

■重度訪問介護についての解釈通知(再解説) 2006年12月号記事へリンク

重度訪問介護

文書の中に、

  • 身体介護は短時間で高い単価のサービス
  • 重度訪問介護は長時間向けの安い単価のサービス
    (8時間連続利用の場合の(1日=8時間勤務の)ヘルパー人件費を元に作られた単価なの で、1時間にばらすと安い)

というニュアンスができるだけ市町村に伝わるように工夫して書き込んでもらいました。 (市の職員に対して障害者が解説しながら読まないと、なかなか意味が伝わらない書き方 にしかなりませんでしたが)

*通知の該当箇所
短時間に集中して支援を行うという業務形態を踏まえて短時間サービスが高い単価設定と なっている居宅介護に対し、重度訪問介護については、同一箇所に長時間滞在しサービス 提供を行うという業務形態を踏まえ、重度訪問介護従業者の1日当たりの費用(人件費及 び事業所に係る経費)を勘案し8時間を区切りとする単価設定としているものである。

重度訪問介護で細切れ利用をするように市町村から迫られている方は、ここの文書を解説 しながら市職員に見せて、「身体介護は短時間集中向けの単価の高いサービス、逆に、重 度訪問介 護は長時間向けの単価の低いサービス」ということを確認してください。

10月31日通知の重度訪問介護該当部分全 体

(2) 重度訪問介護サービス費

@ 重度訪問介護の対象者について

 区分4以上に該当し、二肢以上に麻痺等がある者であって、認定調査票(区分省令別表 第一の認定調査票をいう。)における調査項目のうち「歩行」、「移乗」、「排尿」、 「排便」のいずれもが「できる」(「歩行」にあっては「つかまらないでできる」)以外 に認定されている者

A 重度訪問介護サービス費の算定について

 重度訪問介護は、日常生活全般に常時の支援を要する重度の肢体不自由者に対して、食 事や排せつ等の身体介護、調理や洗濯等の家事援助、コミュニケーション支援や家電製品 等の操作等の援助、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援 及び外出時における移動中の介護が、比較的長時間にわたり、総合的かつ断続的に提供さ れるような支援をいうものである。

  したがって、重度訪問介護については、身体介護や家事援助等の援助が断続的に行わ れることを総合的に評価して設定しており、同一の事業者がこれに加えて身体介護及び家 事援助等の居宅介護サービス費を算定することはできないものであること。  ただし、当該者にサービスを提供している事業所が利用者の希望する時間帯にサービス を提供することが困難である場合であって、他の事業者が身体介護等を提供する場合に あっては、この限りでない。

B 重度訪問介護の所要時間について

(一) 短時間に集中して支援を行うという業務形態を踏まえて短時間サービスが高い単 価設定となっている居宅介護に対し、重度訪問介護については、同一箇所に長時間滞在し サービス提供を行うという業務形態を踏まえ、重度訪問介護従業者の1日当たりの費用 (人件費及び事業所に係る経費)を勘案し8時間を区切りとする単価設定としているもの である。また、8時間を超えるサービス提供を行う場合には、事業所の管理コストが逓減 することを踏まえ、8時間までの報酬単価の95%相当額を算定することとしているもので ある。したがって、同一の事業者が、1日に複数回の重度訪問介護を行う場合には、1日 分の所要時間を通算して算定する。この場合の1日とは、0時から24時までを指すもので あり、翌日の0時以降のサービス提供分については、所要時間1時間から改めて通算して 算定する。また、1日の範囲内に複数の事業者が重度訪問介護を行う場合には、それぞれ の事業者ごとに1日分の所要時間を通算して算定する。

(例) 1日に、所要時間3時間30分、3時間30分の2回行う場合
    → 通算時間 3時間30分+3時間30分=7時間
    → 算定単位 「所要時間6時間以上7時間未満の場合」

(二) 1回のサービスが午前0時をまたいで2日にわたり提供される場合、午前0時が 属する1時間の範囲内における午前0時を超える端数については、1日目の分に含めて算 定する。

(例) 22時30分から1時30分までの3時間の連続するサービス

  •  22時30分から0時30分までの時間帯の算定方法
       1日目分2時間として算定    
  •  0時30分から1時30分までの時間帯の算定方法
        2日目分1時間として算定

(三) 重度訪問介護にかかる報酬は、事業者が作成した重度訪問介護計画に基づいて行 われるべき指定重度訪問介護等に要する時間により算定されることとなるが、当該重度訪 問介護計画の作成に当たっては、支給量が1時間を単位として決定されること、また、報 酬については1日分の所要時間を通算して算定されることを踏まえ、決定された時間数が 有効に活用されるよう、利用者の希望等を十分に踏まえることが重要である。

C 特に重度の障害者に対する加算の取扱いについて

 重度訪問介護従業者(重度訪問介護基礎研修課程(指定居宅介護等の提供に当たる者と して厚生労働大臣が定めるもの(平成18年厚生労働省告示第538号。以下「居宅介護従業 者基準」という。)の別表第一に定める内容以上の研修課程をいう。)のみを修了した者 を除く。)が、重度訪問介護の利用者のうち、重度障害者等包括支援の対象となる心身の 状態にある者に対して重度訪問介護を行った場合にあっては所定単位数の100分の15に相 当する単位数を、区分6に該当する者に対して重度訪問介護を行った場合にあっては所定 単位数の100分の7.5に相当する単位数を、それぞれ所定単位数に加算する。

 なお、重度訪問介護従業者養成研修(居宅介護従業者基準第1条第3号に規定する重度 訪問介護従業者養成研修をいう。)を修了した者が、加算対象となる重度障害者に対して 重度訪問介護を行う場合は、当該加算対象者に対する緊急時の対応等についての付加的な 研修である重度訪問介護追加研修課程(居宅介護従業者基準の別表第2に定める内容以上 の研修課程をいう。)を修了している場合についてのみ所定単位数が算定できるものであ ること。

D 早朝、夜間、深夜等の重度訪問介護の取扱いについて

 早朝、夜間、深夜の重度訪問介護の取扱いについては、原則として、実際にサービス提 供を行った時間帯の算定基準により算定されるものであること。

 ただし、基準額の最小単位(最初の1時間とする。)までは、サービス開始時刻が属す る時間帯の算定基準により算定すること(サービス開始時刻が属する時間帯におけるサー ビス提供時間が30分未満である場合には、多くの時間を占める時間帯の算定基準により算 定すること。)。また、基準額の最小単位以降の1時間単位の中で時間帯をまたがる場合 には、当該1時間の開始時刻が属する時間帯により算定すること(当該1時間の開始時刻 が属する時間帯におけるサービス提供時間が30分未満である場合には、当該1時間のう ち、多くの時間帯の算定基準により算定すること。)。

E 移動介護加算について

(一) 外出時における移動中の介護(以下「移動介護」という。)を行 う場合には、外出のための身だしなみ等の準備、移動中及び移動先における確認等の追加 的業務が加わることを踏まえ、一定の加算を行うこととしているものであるが、これらの 業務については、外出に係る移動時間等が長時間になった場合でも大きく変わる支援内容 ではないことから、4時間以上実施される場合は一律の評価としているものである。この ため、1日に、移動介護が4時間以上実施されるような場合にあっては、「所要時間3時 間以上の場合」の単位を適用する。

(二) 同一の事業者が、1日に複数回の移動介護を行う場合には、1日分の所要時間を 通算して報酬算定する。また、1日に複数の事業者が移動介護を行う場合には、それぞれ の事業者ごとに1日分の所要時間を通算して算定する。

(三) 2人の重度訪問介護従業者により移動介護を行う場合であっても、移動介護加算 については、1人分のみ算定する。

F 利用者負担額上限額管理加算の取扱い     

 報酬告示第2の3の利用者負担額上限額管理加算については、2の(1)のJ を準用する。

G その他

(一) 重度訪問介護は、同一箇所に長時間滞在しサービス提供を行うと いう業務形態を踏まえ、1日につき3時間を超える支給決定を基本とすることとされてい るが、利用者のキャンセル等により、1事業者における1日の利用が3時間未満である場 合についての報酬請求は3時間未満でも可能である。なお、「所要時間1時間未満の場 合」で算定する場合の所要時間は概ね40分以上とする。

(二) 2の(1)の@、A及びHの(一)の規定は、重度訪問介護サービス費について 準用する。

ちなみに身体介護などの居宅介護のほうは、この様な書き方になっています。

10月31日通知の居宅介護部 分

B 居宅介護の所要時間

(一) 居宅介護の報酬単価については、短時間に集中して支援を行うという業務形態を 踏まえて、所要時間30分未満の「居宅における身体介護が中心である場合」(以下「身体 介護中心型」という。)など短時間サービスが高い単価設定になっているが、これは、1 日に短時間の訪問を複数回行うことにより、居宅における介護サービスの提供体制を強化 するために設定されているものであり、利用者の生活パターンに合わせて居宅介護を行う ためのものである。したがって、単に1回の居宅介護を複数回に区分して行うことは適切 ではなく、1日に居宅介護を複数回算定する場合にあっては、概ね2時間以上の間隔を空 けなければならないものとする。別のサービス類型を使う場合は、間隔が2時間未満の場 合もあり得るが、身体介護中心型を30分、連続して「家事援助が中心である場合」(以下 「家事援助中心型」という。)を30分、さらに連続して身体介護中心型を算定するなど、 別のサービス類型を組み合わせることにより高い単価を複数回算定することは、単価設定 の趣旨とは異なる不適切な運用であり、この場合、前後の身体介護を1回として算定す る。なお、身体の状況等により、短時間の間隔で短時間の滞在により複数回の訪問を行わ なければならない場合や、別の事業者の提供する居宅介護との間隔が2時間未満である場 合はこの限りではない。

重度訪問研修受講者が身体介護に入ることのできる条件が通知に書かれています。(早朝 ・深夜なども認めるという書き方になっています。 *重度の全身性障害者が市町村と話したところ、「年中いつでも使えますよ」といわれた という市もあります

10月31日通知の該当部分

(六) その他 居宅介護従業者の資格要件については、居宅介護が短時間に集中して支援を行う業務内容 であることを踏まえ、1・2級ヘルパー等を基本とし、3級ヘルパー等がサービスを提供 する場合には報酬の減算を行うこととしているものである。なお、重度訪問介護研修修了 者は、専ら重度訪問介護に従事することを目的として養成されるものであることから、重 度訪問介護研修修了者がサービス提供を行う場合にあっては、早朝・深夜帯や年末年始な どにおいて、一時的に人材確保の観点から市町村がやむを得ないと認める場合に限るもの とすること。

重度訪問介護の端数処理について、通知に乗らなかったので、厚生労働省の障害福祉課訪 問サービス係に聞きました

サービス提供1回目 10:00〜13:15
サービス提供2回目 18:00〜22:30
合計7時間45分のサービスを行った場合

  • 10:00〜13:00 重訪日中4×3
  • 13:00〜13:15
    18:00〜18:45 重訪夜間4×1
  • 18:45〜21:45 重訪夜間8×3
  • 21:45〜22:30 重訪深夜8×1

以上のように請求するそうです。
※ただし、あまりに短い端数については市町村判断で請求しないことにすることもあるそ うです

HOMETOP戻る