2001年3月「支援費制度Q&A」の全文と解説

 

まずは解説

全国障害者介護保障情報2001年5月号より抜粋

2003年支援費制度でなにがどう変わる?

〜現時点でわかっていること すべて掲載〜

 2003年4月から、身障と知的などのホームヘルパー制度や入所施設などが支援費制度に移行します。2001年度中に厚生労働省で大枠の決定があり、2002年度は都道府県と市町村で準備行為に入ります。2001年5月現在、厚生労働省では「ほとんどなにも決まってない」という状況ですが、今回は、現時点でわかっていること、全国の実態から予想されることをすべて掲載します。(2001年3月号の厚生労働省資料「支援費制度Q&A」も再度会わせてお読みください。)

1.支援費制度とは?

 2003年から身障・知的ヘルパー制度、入所施設などに導入される方式です。ヘルパー制度の利用者の例でいうと、たくさんの事業者の中から、自由に利用する事業者を選択できるようになります。考え方としては、利用者が行政から費用を受け取り、自由に選んだ事業者に支払うスタイルを取ることになります(実際は事業者への代理受領方式が取られるので、現金は利用者にはこない)。

 例えば、現在、月90時間のヘルパー制度を利用している方なら、その時間数の範囲内で、1ヶ月の利用時間帯も自由に自分で決めることができるようになります。

 これは介護保険のヘルパーの利用方法とほぼ同じですが、障害者ヘルパーが保険に入るわけではなく、あくまで現状の一般会計の各市町村の障害ヘルパー予算の範囲内で行われる制度のまま、利用の方法だけが変わるという事になります。

 この改革は、社会福祉基礎構造改革の一環です。各地で頻発している社会福祉法人の汚職(老人ホーム建設費詐欺で事件に発展した彩福祉会事件など)が影響して、介護保険の(利用者が選択する)利用方式や、今回の障害施策の利用制度改革につながりました。

2.ヘルパー事業者は?

 2003年4月から、障害ホームヘルプサービスを行う事業者は完全に市場開放され、都道府県や政令指定都市の指定を受ければ、自由に事業を行うことができるようになります。障害者団体もNPO法人を取得して事業者になれます。今までは、行政の天下りの社協や福祉公社などにしかホームヘルプ事業が委託されておらず、選択肢のない市町村が多くありました。これらの市町村の多くでは、サービスが独占状態で競争がなく、利用者の苦情を改善しなくても経営に影響しないため、「サービス水準も悪いし、ヘルパーが利用者を見下している」という市町村が多いです。2003年からは多くの民間事業者が参入するので、独占市場でなくなり、少しは改善します。すでに介護保険では民間事業者の参入が開放されており、独占のこうした弊害は緩和されています。

3.都道府県や政令指定都市のヘルパー事業者の指定を受けるには?

 都道府県の指定を受けることを、障害ホームヘルプ事業者の指定事業者になるといいます。指定の基準は全く決まっていません(2002年1〜3月に決まる)が、全国の過疎地の状況を見ると、事業者数の確保には介護保険ヘルパー事業者に頼るしかないため、事実上、介護保険事業者が「みなし」指定の書類をハンコ1つで出せば参入できるようにするしかないと想像されます。このため、ヘルパーの指定事業者の基準は介護保険と全く同じの「有資格ヘルパー常勤換算2.5人(うち1人は常勤で介護福祉士など)」が最も有力と考えられます。

 介護保険と違う点は、介護保険は都道府県だけが指定を行うのですが、障害施策の指定は都道府県のほか、地方分権の法律で都道府県と同じ仕事をすると規定されている、政令指定都市・中核市も指定を行います。

4.支援費制度に移行するのはどの制度?

 大きなところでは、2002年度から実施される精神障害者のヘルパー制度が支援費制度に入る予定になっていません。入るのは、身障、知的、障害児の制度の一部です。

    

身障

知的

障害児

移行するもの

・ホームヘルプ

・ガイドヘルプ

・デイサービス

・ショートステイ

・更生施設・療護施設

・授産施設(政令で定めるものに限る)

・ホームヘルプ

・デイサービス

・ショートステイ

・更生施設ほか

・授産施設(政令で定めるものに限る)

・通勤寮

・知的市域生活援助事業

・ホームヘルプ

・デイサービス

・ショートステイ

しないもの

補装具や日常生活用具、生活支援事業などは今までのまま移行しない

日常生活用具、相談支援事業などは今までのまま移行しない

入所施設関係は移行しない

 *全身性障害者介護人派遣事業はホームヘルプ国庫補助事業なので移行します

 

5.ヘルパー利用方法はどう変わる?

 基本的には、ヘルパー制度の申請方法は今までと大きくは変わりません。ヘルパー派遣時間数の決定は、今までどおりの市町村の障害福祉担当係で決定されます。ヘルパー制度の申し込みもここです。ホームヘルプ事業者は複数の中から、自分で自由に事業者に電話等をして利用の申しこみをすることができます(市町村は事業者リストなどを利用者に配布します)。

 市町村は、新しくヘルパー制度利用の申しこみがあったら、時間数を障害者個々人に合わせて今までと同様に30分単位で「月何時間」と決定して、決定した内容を利用者証に記入し、障害者に渡します。(時間数は100人いたら100通りありえます。今までどおりです)。

 この利用者証の範囲で、自由に事業者に依頼できます。たとえば、月200時間の利用者証ならば、月の前半を100時間A事業者に依頼し、残りの100時間をB事業者に依頼することも可能です。

 2003年以降も、市町村と介護時間数の交渉をしなくては時間数は伸びません。

 自薦登録の市町村への交渉はできなくなります。事業者を利用者自身で作るか、一般事業者にお願いする(断られる可能性も大きい)しかありません。

6.施設入所の利用方法はどうなる?

 施設の場合は、今まで通り、市町村などに申しこみ、何段階かの「障害程度区分」が決まります。現段階での厚生労働省内の案は重度・中度・軽度の3段階が最多意見だそうです。(障害程度区分という仕組みは施設入所の場合にのみ使われます。在宅にはありません)。

 入所施設(更生・療護・授産)は、障害区分に応じて違う額の、1人あたりの入所費用を受け、施設経営を行います。

7.ガイドヘルパーはどうなる?

 基本的にはホームヘルパーと同じです。ただし、指定事業者への事業費単価が介護型ホームヘルパーより低くなります(実態から見て事業実施に必要な単価が決定されるということのようです。ガイドヘルパーは非常勤登録ヘルパーによって長時間派遣が中心のため、ヘルパーと違い、コストがそんなにはかからないと、厚生労働省は見ています)。

8.全身性障害者介護人派遣事業はどうなる?

 これについては、まだ厚生労働省障害保健福祉部内のワーキングチームで話し合われていないのですが、現在、東京・大阪を中心に110以上の市区町村で実施されていることも事実です。これを全く無視する形(ヘルパー制度として考える形)になるか、何らかの(ガイドヘルパーのように単価を分けるなど)別の措置が検討されるのか、まだわかりません。私見ですが、全く無視する可能性が7割ぐらいでしょうか? その場合は、通常のヘルパー制度の中に入ります。例えば、東京では特別障害者手当受給の全身性障害で1人暮しなどが全身性障害者介護人派遣事業(8時間/日)の対象者ですが、ヘルパー制度に入っても、通常のヘルパー時間数にこの8時間/日が加算され、月の時間数が決定されるという方法があります。この8時間/日のうち、介護型と家事型の割合は実際の要介護実態で決まる場合や単純に8時間のうち2時間分が介護型+6時間分が家事型にする方法などがありえます。現在利用している自薦の介助者を引き続き利用するためにはどこかの指定事業者に登録して自分専用に派遣してもらう特例を(各指定事業者と)話し合わなくてはなりません。混乱を避けるため、各市町村の判断で、市町村直営で事業者を行うかもしれませんが、これを行う市町村は非常に少ないでしょう。障害者個人や団体でNPO法人を取り、指定事業者になって、自分たちで制度を運営するのが最も良い準備といえます。(十分な運営費を得て、障害者のニーズにあった質の高いサービスを提供できます)。

9.支援費への検討はどんなスケジュールで?

 2003年4月からの支援費制度へ向け、厚生労働省障害保健福祉部企画課に支援費制度施行準備室が新設されました。また、障害福祉課も入って、費用負担などの5つ程度のワーキングチームを作って、検討に入っています。

 今後、2001年7月ごろ事務大要の提示、8月に2002年度の予算要求、10〜12月に事業者指定基準案の提示がされます。その他、もろもろのことも2002年1〜3月までに決まり、おおまかな政省令も1〜3月までに出揃います。重要なことは今年度中に決まるということです。

 2002年度に入り、4〜6月には都道府県職員向けに、支援費支給決定の関係の研修会が行われます。8月には2003年の概算要求が出て、支援費基準の骨格が決まります。

10.ヘルパーの有資格は義務化になる?

 基本的には、介護福祉士と1〜3級ヘルパーによるホームヘルプサービスが基本になります。障害者施策のヘルパー研修以外(介護保険の1〜3級ヘルパー研修)でも対象になる予定です。研修義務化はすでに決まっています。問題は、例外がつくかどうかです。

 これからの検討で、全身性障害者などの全国の自薦登録ヘルパー(研修を受けている人が来ても介護できないため、従来から、研修受講者はほとんどいない)の実態を厚生労働省がどうみるかです。障害福祉課・支援費準備室の両方の課長補佐が「現状に配慮して考えなければならないとは考えている」「全く考えないと言うつもりはない」と答えています。全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーでは、全国でかなりの人数の介護者がおり、全員に2003年までに研修受講を(国庫補助を使って無料で)すませるのは事実上無理です。もし、例外(=3級がなくてもかまわない)が恒久的な措置ではないとしても、少なくとも、1〜2年の経過措置という形では入ると考えられます。

11.支援費支給(ヘルパー)の基準は介護保険のような基準になるの?

 介護保険のようにはなりません。障害ヘルパー制度の利用時間数は、今まで同様、市町村の障害福祉担当係が、1人1人の「介護をどれくらい必要としているか」の身体等状況、家族の介護力の状況をみて、1人1人違う時間数が市町村により決定されます。当然家族同居より、1人暮らしの方が時間数は多くなります(介護保険では一律)。

 障害ヘルパーでは、ある市で1日24時間の介護保障を得られる障害者が、となりの市に行くと1日3時間しか制度が受けられないというのはざらにあります。このため、介護保険の様に、全国一律の時間数基準(これくらいの障害で家族状況がこうなら、こういった時間数になるという基準)は示せません。障害ヘルパー制度は実施主体が市町村のため、国が基準を作るものでもありません。

 2002年度から2003年度にかけて、国でも、市町村でも、障害ヘルパー予算が大きく伸びるということはありませんから、現在、障害ヘルパー制度を使っている障害者は、基本的にその時間数が継続されると考えられます。(ただし、2003年に合わせて、時間数決定方法を変えようと考える市町村も少しはあるかもしれません。その場合には、増えたり、減ったりすることもありえます。今、いいかげんに時間数決定をしている市町村では要注意です)。つまり、2003年に支援費制度になるからといって、現在ヘルパー制度の水準の低い市町村で底上げされるということはありませんし、水準の高い市町村で引き下げもありません。

12.支給の要否決定で勘案する事項を厚生労働省令で定めるとは?

 支援費の支給の要否を決定するにあたって勘案する事項を厚生労働省令で定める事に(改正された身障福祉等の法律で)なっています。これについては、現在、どういう表現になるか検討中ですが、最低、施設に入れるか入れないかの境界の軽い障害者のことや、ヘルパー制度を出すか出さないかの境界の障害者のことだけ書けば良いようになっているということです。

13.支給期間が決まるそうですが、期間中に交渉して制度アップは可能?

 可能です。受給者証には在宅(ヘルパーなど)では「支給量」と「支給期間」が記載されます(施設入所なら「障害程度区分」と「支給期間」が記載されます)が、この期間内でも市町村の職権により変更の決定を行うことができるとされていますので、今まで通り、交渉して時間数をのばして行くことは可能です。

 なお、交渉しない一般障害者の支給期間については、「政令で定める期間を超えてはいけない」とされていますので、市町村でこれより短い期間を設定することは自由です。(介護保険では6ヶ月が標準で、1年程度に延長できる)。

 

14.指定事業者に払われる支援費のヘルパー単価水準はどうなる?

 ヘルパー単価などの支援費の単価水準は、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲で市町村が自由に決めるということになっています。つまり最低単価が決まります。現在、国庫補助単価(この額までは50%を国庫補助し、県から25%を補助するするという上限)は身体介護3740円、家事1470円(いずれも昼間、1時間)です。各市町村はこの金額以下で事業者と契約しているのが普通です。2003年からの支援費の最低基準を、この額よりそんなに大きく下げることはないそうです。この単価水準は、2003年度予算要求を行う2002年8月に決まります。

 現在、自立障害者が多い地域では自薦登録ヘルパーを行っているヘルパー事業者との契約単価(または市町村直営の場合、介護者への支払い単価)が1400円台のところもあります。これらがいっせいに国の決める最低価格3000円近くに跳ね上がる可能性もあります。

 全国のほとんどの全身性障害者介護人派遣事業は1400円〜1700円台で(委託や直営で)行われています。これも、3000円台にいきなりアップすると、東京や大阪市など利用者の多い自治体では予算が確保できなくなります。この理由で、全身性障害者介護人派遣事業については、何らかの特例を厚生労働省で作るしかないと予想されます。例えば、実態にかかわらず家事型の割合を増やしてよいとするか、ガイドヘルパーのように別単価にするか等です。

15.ヘルパー制度の利用者負担は?

 ヘルパー制度の利用者負担金は、現在は所得によって0円から900円台まで段階にわかれています。生計中心者が所得税非課税ならば0円です。2003年以降、どうなるかですが、基本的には現在のような形(所得によって負担額を変えるかたち)になります(そのように答申されている)。介護保険の様に一律に1割負担ということはありません。

 厚生労働省で今決まっている方針では、厚生労働省の定める基準を上回らないように市町村が自由に定めるとなっています。現在、いくつかの障害者団体からヘルパー制度の費用負担の計算を生計中心者で見るのではなく、本人所得で見るように変更せよというものがあります。しかし現状では以下の理由で難しいでしょう。まず、2003年の制度関係では特別に予算は増えないということ。この前提では、家族と暮らす障害者の費用負担を減らすと、その分、市町村全体のヘルパー利用時間数が減ります。困るのは単身者でしょう。市町村と交渉してその市町村だけで予算を確保して減免するということはありえるかもしれません。

16.障害者ケアマネジメントとの関係はどうなる?

 介護保険とは違い、障害者の支援費制度においてはケアマネージャー制度はありません。利用者は自分で事業者を選んで利用申しこみをします。

 障害施策では、市町村職員や市町村障害者生活支援事業等、ヘルパー事業者に「できれば(障害ケアマネが)いたほうがいい」という程度で、全国のすべての市町村で障害者ケアマネ従事者がいるという事にはならないでしょう。

 では、障害者団体は障害者ケアマネ研修事業に対して、どう取り組んだらいいかということですが、結論では研修受講などには取り組んだ方がいいでしょう。介護保険と障害施策の両方の利用をしている人(ALSなど)の場合、介護保険のケアマネが、介護保険以外の医療保険の訪問看護や障害ヘルパーなど、全部を管理しようと考えている人もいます(まじめなケアマネほど教科書にかかれているので、介護保険以外の関係者全員を集めて会議を主催したりします)。利用者が頼んでいない(断りにくい)のに勝手に会議をはじめたり、自分のいう事を聞かない利用者をなじったりする介護保険ケアマネもいます。そのような良くないケアマネは他事業者に変更してしまえばいいのですが、医療などが深く必要な障害者では、介護保険ケアマネを変えることは命にかかわることもあります。

 このような場合には、介護事業を行う障害者団体が話に入って、主導権を本人に取り戻せるように、障害ケアマネがいると良いでしょう。団体に十分収入が入るようになれば介護保険ケアマネ資格を持っている介護職員も1名は雇い入れておくとより良いでしょう。

 

 

 

 

 

全国障害者介護保障情報2001年3月号より抜粋

主幹課長会議で配られた

2003年からの「支援費制度Q&A」の解説

 今回の主幹課長会議では「支援費制度Q&A」も都道府県等に配られました(このあとのページに、全文を掲載)。

 まず、支援費制度に移行するのは、ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイ、授産施設(政令で定める施設に限る)、療護施設、更生施設、などになります。

今のうちに交渉しておかないと、制度が伸びなくなる恐れも

 支援費制度に移行するにあたり、今までの利用者のヘルパー時間数などは減らさないようにすると書いています。が、これから利用する人や、今時間数が足らないので交渉している人には悪影響が出るかもしれません。

 というのも、厚生労働省は障害ヘルパーの時間数の基本的な基準を作るそうです(基準作成には、障害等級に着目するのではなく、介護の必要な時間に着目すると言っていますが、どのようなものになるか、未知数です。また全国市町村でサービス水準が高いところから低いところまで全然違う実態をふまえつつ、基準を作るので、こういう障害なら具体的に何時間というものではないようです)。2002年ごろには、都道府県が(基準に沿って各障害者のヘルパー時間数決定する窓口担当者の)研修を行います。2003年4月以降は、その基準に沿って、全国の市町村の窓口職員が時間数決定を行っていくことになります。このような基準ができてしまうと、(厚生労働省の思惑とは外れて)、多くの市町村がそうであるように、マニュアルに沿って時間数を決めていこうという市町村が続出する恐れがあります。これは、現在、ヘルパー制度が低い地域では上昇の力になるかもしれません。ところが、現在、24時間に近い介助が必要な単身障害者などは、例えば、今、1日8時間程度のヘルパー時間数を受けている方(まだまだ介護制度の時間数は全然足りないが、周りの障害者に比べると時間数の多い方)などは、2003年以降は交渉しても制度が伸びにくくなるかもしれません。今から交渉して制度を伸ばしておきましょう。(1市で最低1人は24時間介護保障を利用できるようにしておけば、前例があるからと言うことで、あとから自立する人なども同じ制度を利用できるようになります)。

 

事業者を自前で持っておけば利用は柔軟になる

 支援費制度の場合は、「月150時間ヘルパーを使えますよ」と市町村に認められた障害者は、事業者との合意があれば、この150時間を自由な曜日・時間帯に利用できます。例えば、月の前半は友人と旅行に行き、後半に150時間をまとめて使う、といった使い方もできるようになります。各事業者は月末締めで、翌月初めまでに市町村に報告すれば、支援費を代理で市町村から受けられるので、利用者は1ヶ月の範囲でしたら自由にサービス時間を変更できます。

 これは現在の大阪市や兵庫県などの(月単位で上限が決まっている)全身性障害者介護人派遣事業とほぼ同じです。

 ただし、障害者が集まって、自分たちでヘルパー事業者を作っておかないと、こういった自由はかなえられないでしょう。(一般事業者からのヘルパー派遣の場合は、派遣されるヘルパーの都合が優先されるので、週間プランを1回決めたら早々動かせるものではないので)。障害者2〜3人で共同でヘルパー事業所を作っておくことをお勧めします。

ヘルパー1〜3級は必要になりそう

 Q&Aでは、ヘルパー研修修了者が要件になる方向で検討、と書いています。

 義務化されると、最重度障害者にとっては自薦介助者が確保できず非常に危険です。厚生労働省では、「この制度になると、事業者応諾義務がでる。それにはヘルパーの質の確保が必要」(今までの市からの直接委託と違い、1回県が指定を出せば、市町村は事業者に対して細かな監督をしなくてよくなるので(自由化)、ヘルパーの質などの別の縛りがないと問題が起こる)と考えているようです。

 

*以下は、Q&Aには載ってないですが、支援費方式の現段階での情報を掲載します

事業者への支援費単価は市町村ごとに変わる

 ヘルパーの支援費の基準単価は市町村ごとにかえていいことになっています。ただし最低基準を国が決めます。この最低基準は、現状の国庫補助単価(昼間介護型3740円/時)から、そんなに大きく下回ることにはないだろうということです。

 利用者負担も市町村ごとに決めていいことになっています。ただし、最高基準を国が決めます。今の、所得に応じた負担の仕組みから大きく変わることはないようです。(検討中で決定ではない)。

ガイドヘルパーは別単価

 ガイドヘルパーは、今は、ホームヘルパーの介護型が使われていますが、2003年からは別単価になり、もう少し下がるようです。(検討中で決定ではない)。

 

 

 

 

 

ここから下は厚生労働省資料原文

 

 

 

平成13年3月6日
厚生労働省社会・援護局
障害保健福祉部

支援費制度Q&A集

 支援費制度に関し、以下の通り、各方面から寄せられた主な御質問とそれらに対する現時点での考え方をまとめたので、業務のご参考にされたい。

 

1.制度の趣旨、概要

(問1)支援費制度導入の趣旨如何。

 支援費制度は、ノーマライゼーションの理念を実現するため、これまで、行政が「行政処分」として障害者サービスを決定してきた「措置制度」を改め、障害者がサービスを選択し、サービスの利用者とサービスを提供する施設・事業者とが対等の関係に立って、契約に基づきサービスを利用するという新たな制度(「支援費制度」)とするものである。
 支援費制度の下では、障害者がサービスを選択することができ、障害者の自己決定が尊重されるとともに、利用者と施設・事業者が直接かつ対等の関係に立つことにより、利用者本位のサービスが提供されるようになることが期待される。


(問2)支援費の支給を受けるにはどのような手続を行えばよいのか。

 まず、障害者は、自ら希望するサービスについて、指定事業者・施設の中から利用したい施設・事業者を選択し、直接に利用の申し込みを行うとともに、市町村に対して、利用するサービスの種類ごとに支援費支給の申請を行う。
 市町村による支援費支給の決定がなされると、当該障害者に受給者証が交付され、当該障害者は、施設・事業者と直接に契約により、サービスを利用するとともに利用者負担を支払う。なお、利用者負担は、支援費支給決定時に決定される。
 なお、施設・事業者は、サービスを提供したときは、利用者に代わって市町村に対し支援費の支払いを請求し、審査の後、支援費を代理受領することになる。


(問3)措置制度から支援費制度へ変更されることにより、重度の障害者などが施設から忌避されることはないのか。

 支援費制度においては、重度の障害者などが施設・事業者から忌避されることがないよう、以下の措置を講じている。

(1)市町村による利用の調整等
 市町村は、障害者から求めがあったときは、施設・事業の利用についてあっせん又は調整を行うとともに、必要に応じて施設・事業者に対して利用の要請を行うこととしている。また、施設・事業者は、市町村からの要請に対し、できる限り協力しなければならないこととしている。
(2)施設・事業者の応諾義務
 施設・事業者の指定基準において、正当な理由がない限り、利用の申し込みを拒否してはならない旨の規定を設けることとしている。
(3)支援費の設定
 厚生労働大臣が施設訓練等支援費の基準を決定する際、障害程度区分に応じて支援費の額を設定することとしている。
 
(問4)支援費制度実施に向けてサービス提供体制の整備をどう進めるのか。

 障害者福祉サービスの提供体制の整備については、現在、障害者プランに基づき、着実に進めているところであり、市町村障害者計画の策定も促進しながら、支援費制度の実施に向けて、障害者プランが達成されるよう、全力を挙げてまいりたい。
 障害者プランの達成のためには、市町村において障害者計画が策定されることが重要であり、障害者計画を策定していない市町村におかれては、速やかに策定していただくとともに、都道府県におかれては、未策定市町村に対する強力な御支援をお願いする。


(問5)利用者が選択できるよう、利用者に対する情報提供をどのように進めていくのか。

 今回の法改正において、社会福祉法に、利用者が必要な情報を容易に得られるよう、社会福祉事業の経営者及び国、地方公共団体に対し、情報の提供等に関する規定が置かれた。
 この規定の趣旨に基づき、都道府県、市町村におかれては、利用者に対する情報提供に積極的に努めるとともに、障害者に対する相談支援事業を一層推進していただくようお願いする。国としても、利用者への情報提供を積極的に行っていくこととしている。
 また、事業者は、事業の透明性を確保するとともに、サービスを利用しようとする者に対する情報提供、利用申し込み時におけるサービス内容等の説明、利用契約の成立時における重要事項を記載した書面の交付を行わなければならないこととされている。


(問6)支援費制度の対象となるサービス如何。小規模通所授産施設はどのように取り扱われるのか。また、手話通訳事業など現在予算措置によって実施されている事業はどうなるのか。

 支援費制度の対象となるサービスは、身体障害者、知的障害者、障害児福祉サービスのうち、現在措置制度によってサービス提供がなされているものであり、具体的には、次の頁の表の通りである。
 従って、小規模通所授産施設でのサービスや手話通訳事業などを含め、措置以外の仕組みによって提供されるサービスは、支援費制度には移行しない。


 

身体障害者福祉法

知的障害者福祉法

児童福祉法
(障害児関係のみ)












・身体障害者更生施設
・身体障害者療護施設
・身体障害者授産施設
(政令で定める施設に限る。)
・身体障害者居宅介護等事業
・身体障害者デイサービス事業
・身体障害者短期入所事業

・知的障害者更生施設
・知的障害者授産施設
(政令で定める施設に限る。)
・知的障害者通勤寮
・心身障害者福祉協会が設置する福祉施設
・知的障害者居宅介護等事業
・知的障害者デイサービスセンター
・知的障害者デイサービス事業
・知的障害者短期入所事業
・知的障害者地域生活援助事業

・児童居宅介護等事業
・児童デイサービス事業
・児童短期入所事業













・身体障害者福祉ホーム
・身体障害者相談支援事業
・身体障害者生活訓練等事業
・手話通訳事業
・補装具製作施設
・盲導犬訓練施設
・視聴覚障害者情報提供施設
・身体障害者の更生相談に応じる事業
・日常生活用具給付事業
・補装具給付事業
・更生医療・育成医療

・知的障害者福祉ホーム
・知的障害者相談支援事業
・知的障害者の更生相談に応じる事業
・日常生活用具給付事業

・知的障害児施設
・知的障害児通園施設
・盲ろうあ児施設
・肢体不自由児施設
・重症心身障害児施設
・障害児相談支援事業
・児童の福祉の増進について相談に応じる事業
・日常生活用具給付事業

 

 

2.支援費の支給決定について

(問7)支援費支給決定の手続、方法はどのようなものを想定しているのか。
 介護認定審査会のようなものを設置するのか。

 支援費の支給決定については、利用者からの申請に基づき、市町村において、厚生労働省令で定める事項を勘案の上、居宅生活支援費の支給の場合は支給期間と支給量、施設訓練等支援費の場合は支給期間と障害程度区分を定めることとなるが、その具体的な手続については、支給決定が円滑に行われるような仕組みとすべく、十分な検討を行ってまいりたい。
 なお、介護認定審査会は、介護保険の被保険者が要介護状態に該当することの審査及び判定等を行うため新たに設置されたものであるが、支援費の支給決定のために新たな審査・判定機関を設けることは現段階では想定していない。
 専門的な判定等については更生相談所が行うことを基本に、詳細について今後検討してまいりたい。


(問8)支援費支給はどのような基準に基づいて決定するのか。決定に当たっての客観的な基準は示されるのか。

 市町村は、支援費の支給の決定を行うに際し、居宅生活支援費の支給の場合は支給期間と支給量、施設訓練等支援費の場合は支給期間と障害程度区分を定めなければならないが、支給の要否を決定するに当たって勘案いただく事項は厚生労働省令で定めることとされている。
 障害者に対するサービスの提供は、当該障害者の障害の程度や家族の状況等を総合的に勘案して決定されていることから、支給すべきサービス量等を一義的にに導き出せるような基準を提示するのではなく、支給決定に当たっての勘案事項を適切に定め、市町村における総合的な判断に資するものとなるよう、検討を進めてまいりたい。


(問9)支援費支給決定におけるケースワーカーの役割如何。現在、ケースワーカーが行っている業務はどのように整理されるのか。

 支援費支給決定に当たっては、市町村は、申請者の障害の種類・程度や介護を行う者の状況等を勘案して、支援費支給の要否を決定するとともに、居宅生活支援の場合には支給量と支給期間を、施設訓練等支援の場合には障害程度区分と支給期間を定めることとされている。また、市町村は、障害者からの求めに応じ、福祉サービスの利用についてのあっせん、調整又は要請を行うものとされている。これらは、従来福祉事務所等の障害者福祉担当職員が行ってきた、障害者の個々の状況に応じて公的な支援の範囲を確定するという業務について、障害者本人の選択を基本として行うものである。


(問10)支援費支給決定は、申請のあった種類のサービスや施設についての要否のみを決定することとなるのか。本来であれば、更生施設に入所することが適当な者から授産施設に係る支援費支給申請がなされた場合には、どのように判断するのか。申請時点で申請区分を変更するよう指導する必要があるのか。

 市町村と障害者との間で、必要とされる公的なサービスの種類について、障害者本人の希望を尊重しながら十分に話し合われることが重要である。支援費支給申請については、このような話し合いを経た上で行われることが望ましい。
 このような話し合いを経ても、市町村が適当と判断するものと異なるサービスについて支給申請が行われた場合には、市町村において、申請された種類のサービスについて支援費を支給することの要否を決定することになる。


(問11)障害程度区分は何段階程度か。

 障害程度区分については、施設訓練等支援費の額自体がその区分如何により変わることとなる。区分は簡素で合理的なものとする考えであるが、重度の障害のある者が敬遠されることのないよう、適切なものとすべく、検討を進めてまいりたい。


(問12)障害程度区分は何をベースとして判定されるか。身障手帳や療育手帳の等級との関係如何。

 障害程度区分は、機能障害のみに着目したものではなく、日常生活上の能力障害も加味した上で判定される趣旨のものであることに鑑み、身障手帳の等級や療育手帳の障害の程度と関連させて考えることが適切かどうかを含め、重度の障害がある者が敬遠されることのないよう、適切な区分の仕方について十分に検討してまいりたい。


(問13)支援費支給決定時に決定する支給期間はどの程度か。

 支援費を支給する期間については、障害の程度や介護者の状況等に変化(*)があることもあり、障害者の状況を的確に把握していく観点からは、あまりに長い期間とすることは適切でないため、省令において定める期間を超えてはならないこととされている。省令において定める期間については、その趣旨を踏まえ、今後検討してまいりたい。なお、支給期間の終了に際しては、改めて支援費の支給決定を受けることにより継続してサービスを受けることは可能である。

*変化の例

 なお、支援費の受給期間中においても、障害の程度が変化すること等も考えられることから、居宅生活支援にあっては支給量について、施設訓練等支援にあっては障害程度区分について、変更の必要がある場合には、本人の申請又は市町村の職権により、変更の決定を行うことができることとしている。


(問14)今まで受けていたサービスが低下するようなことはないのか。

 支援費の対象となるサービスの量については、現行の措置制度と基本的には同様に、市町村において決定いただくものであり、基本的に、支援費制度の導入がサービスの量の低下を招くことはないものと考えている。なお、サービスの質については、利用者が事業者・施設を直接選択できることとすることにより、より利用者本位のサービスが提供されるようになるものと考えている。


(問15)支援費の支給決定について不服がある場合にはどうすればよいのか。

 支援費の支給決定内容に不服がある場合には、行政不服審査法に基づき、支援費の支給決定を行った市町村に対し、支給決定を知った日の翌日から60日以内に異議申し立てを行うことができる。なお、支援費の支給決定にあっては、上級行政庁はないので、都道府県や国への審査請求や再審査請求はできない。
 なお、市町村におかれては、支援費制度の実施に当たっては、制度の仕組みについて、障害者に対する十分な情報提供等に努めていただくようお願いする。


3.支援費の内容について

(問16)支援費の水準はどの程度になるのか。

 支援費は、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲で市町村長が定める基準により算定した額とされているが、厚生労働大臣の定める基準は、当該サービスに通常要する費用という基本的な考え方に基づき、今後、適切な額を定めてまいりたい。
 なお、公費助成の水準は、現行の水準を後退させないこととしている。


(問17)施設種別、サービス種別によって異なった額となるのか。

 支援費の趣旨から、施設やサービスの種類ごとに異なった額となる。


(問18)重度障害者への対応如何。従来の重度加算はどうなるのか。

 施設サービスについては、障害程度区分を支援費の額に反映させることにより、重度障害者が適切なサービスを受けられるようにすることとしている。
 したがって、従来の重度加算は、支援費の中に織り込むこととなる。
 重度身体障害者更生援護施設及び重度身体障害者授産施設については、施設類型としては廃止の方向で検討中である。


(問19)施設の入所期間が長くなると支援費は下がるのか。

 施設の入所期間の長さに応じて、一律に支援費の水準を低下させていくような仕組みは考えていない。
 しかしながら、地域生活への移行が可能な者が長期間にわたって施設に入所している場合等もあるものと考えられ、施設が入所者の地域生活への移行に積極的に取り組むことを促す仕組みも重要であると考えている。このため、支援費基準の検討に当たっては、今後、入所期間との関係を含め、入所者の現状を踏まえた検討を行っていくこととしている。


(問20)支援費の額は施設所在地に関わりなく一律か(級地区分の取扱い如何。)。

 支援費は措置費と異なり、障害者に対して支給されるものであり、支援費に級地区分を織り込むことが制度の趣旨から適当であるかという問題はあるが、今後、地域による給与水準格差等の実態を踏まえて検討することとしたい。


(問21)支援費の額は定員の多寡に関わりなく一律か(小規模加算の取扱い如何。)。

 支援費は措置費と異なり、障害者に対し支給されるものであり、支援費に定員の多寡を織り込むことが制度の趣旨から適当であるかという問題はあるが、ノーマライゼーションの理念から、地域に密着した小規模施設の果たすべき役割は重要であると考えており、今後、検討することとしたい。


(問22)支援費の基準は民間事業者、公立事業者に関わりなく一律か。

 支援費の趣旨から、一律となるが、現在民間事業者に対して措置費の中に算定されている民間施設給与等改善費については、民間事業者の施設運営に不可欠なものであることから、どのような対応をすべきか、今後検討してまいりたい。


4.利用者負担について

(問23)利用者負担が増えることはないのか。障害者が施設に対して支払う利用料の金額、階層区分は、現行の徴収基準額と比較してどのようになるのか。

 新たな制度におけるサービス利用者等の費用負担については、厚生労働大臣が定めた基準を上回らない範囲内で、利用者本人又は扶養義務者の負担能力に応じて、市町村長がその基準を定めることとされている。
 厚生労働大臣の定める基準は、平成11年1月の障害関係3審議会分科会意見具申において示された考え方に沿って、今後検討することとしている。
 具体的には、現行の費用徴収基準等を軸に、

(1)所得に関わらず必要なときに必要なサービスを利用できるようにすること
(2)全体としてこれまでの公費負担の水準を維持すること

に留意しつつ、新しい利用制度への円滑な移行、障害者の所得の状況等を勘案し、現行の負担能力に応じた利用者負担という考え方に沿って、簡素で合理的なものとなるよう検討していくこととしている。


(問24)市町村により利用者負担の水準が異なることはあるのか。

 新たな制度におけるサービス利用者等の費用負担基準については、利用者本人又はその扶養義務者の負担能力に応じ、厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内で、市町村長が定めることとなっており、市町村により利用者負担の水準が異なることはありうる。


(問25)支援費支給決定を受けずに、全額自己負担により、支援費支給の対象となる施設サービスを受けることは可能か。

 支援費制度において、全額自己負担することにより施設サービスの利用が可能かどうかについては、支援費支給を受けていない者を受け入れていく施設が指定事業者としてふさわしいか等の問題があると考えているが、現行の措置外定員の取扱いなども踏まえて、検討することとしている。


5.代理受領について

(問26)支援費の支払いについて、なぜ、利用者本人を通じての支払ではなく、施設・事業者の代理受領としたのか。

 代理受領方式は、障害者本人がサービスの提供にかかる費用を一時的にせよ立て替える必要がなく、低所得の障害者にもサービスの円滑な利用を可能とするものである。
 また、この方式は、施設・事業者にとっても、利用者に代わって市町村から支援費を受け取ることとなり、サービスの提供に要した費用を確実に取得できるものであり、市町村にとっても、個人に支払うよりも事業者に一括して支払う方が効率的な事務執行につながる。
 このように、利用者、事業者、市町村それぞれの利便に資する方式であることから、代理受領方式をとることとしたものである。


(問27)基準該当サービスの提供に対して市町村から支給される特例居宅生活支援費については、代理受領が認められるのか。

 特例居宅生活支援費の対象となる事業者については、都道府県知事の指定が行われないため、支援費の対象となるサービスとして一定の基準を満たすことについて、市町村において個別に判断せざるを得ないことから、代理受領方式としなかったものである。
 特例居宅生活支援費は、地域の実情に応じたきめ細かなサービスを提供するため認めることとしたものであり、支援費の支給方式についても、サービスの円滑な利用を確保する観点から、運用上何らかの工夫ができないか、今後検討することとしている。


6.支援費支給制度とケアマネジメントとの関係について

(問28)障害者のケアマネジメントの実施主体如何(福祉事務所、市町村障害者生活支援事業の実施機関などが行うのか。)。

 ケアマネジメントは、支援費制度においては制度上位置づけられていないが、「利用者が自ら選択する」という制度の趣旨から、利用者がサービスを選択する際のサポートとして、非常に重要であり、具体的には、利用者がサービスの組み合わせを選択する際に、相談支援事業を活用し、ケアマネジメントの手法による支援を受けることが考えられる。
 また、市町村が支援費の支給決定を行う際、サービスの種類ごとに支給量や支給期間を決定することになるが、例えば、複数の種類の居宅サービスを希望される場合には、市町村において一定期間内におけるサービスの組み合わせも考慮いただくこととなり、その際には、ケアマネジメントの手法が有効と考えられる。


(問29)障害者ケアマネジメント推進事業で養成したケアマネジャーの位置づけ如何。

 支援費支給制度においては、ケアマネジャーの制度的な位置づけはなされていない。
 障害者ケアマネジメント体制整備推進事業で研修を受けた者については、市町村の支援費支給決定担当部局の職員であれば、支給決定においてケアマネジメントの考え方を活用していただくとともに、相談支援事業等を行う社会福祉法人等の職員であれば、研修等で得た知識を相談・指導に活用していただくことが考えられる。
 支援費支給決定は公的なサービスの決定を判断するものであるから、支給決定に従事する職員については、障害者ケアマネジメント体制整備推進事業で行う研修とは別に、独自の研修の実施を検討している。


7.事業者指定について

(問30)現行の施設の最低基準と新たに設定する指定基準との関係如何。

 施設に係る最低基準は、福祉サービスの利用者保護の観点から、設備・人員・運営の基準を定め、事業の適正運営を確保するためものである。これに対し、指定基準は、最低基準が遵守されていることを前提として、支援費という公費を支払うにふさわしい質のサービスを提供する施設・事業者を特定するためものである。指定基準においては、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないことを始め、支援費制度が円滑に実施されるために事業者が遵守すべき事項についても盛り込むこととしている。


(問31)事業者、施設がサービスの提供を拒否できる「正当な理由」としてどのようなものを想定しているのか。

 サービスの提供を拒むことができる正当な理由としては、空き定員がない場合、医療機関における入院治療が必要な場合等が考えられる。


(問32)契約により提供されているサービスについて、利用者負担を支払わないことは、施設がサービスの提供を拒否できる正当な理由に当たるのか。

 そもそも、利用料負担は所得に応じたものとすることとしており、利用者は、利用料負担を無理なく支払えるものと考えている。
 契約に基づきサービスが提供されている場合に、どのような理由でサービスの提供を行わないこととしうるかは、指定基準に抵触するかどうかという問題ではなく、両者間の契約により規律される事項である。
 なお、契約期間が終了し、引き続き施設が利用できるよう改めて利用の申し込みが行われた場合には、指定基準の問題となるが、悪質な利用料滞納者の場合には、サービスの提供を拒む正当な理由になる場合があり得ると考えている。

 


(問33)訪問介護事業者の指定要件は、高齢者対象のヘルパー研修受講済みの者でよいのか、障害者ヘルパー研修受講が要件となるのか。

 支援費支給制度における居宅支援事業者の指定に当たっては、居宅介護サービスについて、一定の研修を終了した者により提供されることを要件とする方向で考えている。この一定の研修の具体的な範囲については今後検討することになるが、障害者施策として行われるもの以外のホームヘルパー研修であっても、必要な知識技能が習得されるようなものであれば、その範囲に含まれうるものと考えている。

 


(問34)支援費制度における政令指定都市の役割如何。事業者指定は政令指定都市も行うのか

 現在、施設の設置や居宅支援事業の開始に係る届出等及び事業・施設の運営に係る報告の徴収等、法律上都道府県が行うこととされている事務については、地方自治法施行令において、いずれも政令指定都市及び中核市も行うこととされている。支援費制度における事業者指定についても、こうした従来からの事務との一体的処理を図る観点から、政令指定都市及び中核市も行うこととする方向で考えており、今後必要な調整等を行うこととしたい。

 


8.措置制度について

(問35)措置の対象となる「やむを得ない事由」のケース如何。

 介護をしている者が急な死亡や入院などにより緊急にサービスを必要とするため支援費支給申請を行う暇がない場合、家族からの虐待等により本人からの申請が期待できない場合、などが考えられるが、制度の趣旨から、あくまでも例外的なケースに限られる。


9.契約について

(問36)契約の当事者としての能力を誰がどのようにどの程度まで認めるのか。

 契約を締結するだけの能力があるかどうかという問題は、利用者と事業者との間の問題であるが、実際の契約の場面においては、判断能力が不十分な者についても契約が円滑に結べるよう、利用者本人の意思を代弁する家族が支援したり、福祉サービス利用援助事業による支援を受けることが考えられる。また、家族等が代理人として契約を結ぶことも考えられる。
 さらに、本人や家族、親族の家庭裁判所への申し立てにより、成年後見制度を利用することも考えられる。なお、身寄りのない者にあっては、本人の福祉を図るため特に必要な場合は、市町村長の申し立てにより、成年後見制度を利用することができる。


(問37)成年後見を要する場合、成年後見人の選任まで時間がかかるため、選任されるまでの間は措置の対象たる「やむを得ない事由」に該当するのか。

 意思能力が欠けていること等により、契約によるサービス利用が期待できない状況であり、かつ、成年後見人の選任まで待たずにサービスを提供する必要があると認められる場合は、後見人が選任されるまでの間、措置によりサービスを提供することも想定される。
 なお、成年後見人が選任され、契約によるサービス利用が可能となったときは、措置ではなく支援費制度によりサービスを利用いただくことになる。


10.準備作業について

(問38)支援費制度における市町村、県福祉事務所、県本庁、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所の役割如何。

 支援費制度における都道府県及び市町村の役割は、平成12年11月14日の全国障害保健福祉関係課長会議の資料にあるとおりである。
 県福祉事務所と県本庁の役割は、それぞれの都道府県の実情に応じて適切に分担されるべきものであり、法律上は、都道府県に関しては、福祉事務所と本庁とを分けて規定していない。
 更生相談所については、現行制度の下で果たしている機能等を踏まえつつ、専門的な知見、技術を有する機関として、支援費支給制度の下でどのような役割を果たすべきか、さらに検討を進めていくこととしている。


(問39)現在施設に入所している障害者については、15年度以降、支援費の支払いはどこの市町村が行うのか。

 支援費支給における援護の実施者は入所前の居住地の市町村であり、入所前に居住していた市町村から支援費が支給されることになる。

 

 

 

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