日常生活支援研修(20時間)・移動介護研修(16〜20時間)・3級研修(50時間)などについての解説の続報
兵庫県では西宮市のメインストリーム協会が交渉し、緊急であるので要綱が出来上がる前から研修実施OKということで、5月31日から日常生活支援の研修を行いました。
名古屋市では交渉により、わっぱの会やCILekumo、AJUなどが市の要綱が出来上がる前の5月から日常生活支援研修や知的移動介護研修を行っています。後からさかのぼって指定がおりるということで市と合意ができています。
6月からはこれら地域や大阪で一般事業所も研修を行うことができるように受付が開始されました。東京都はあと少しで受付開始が見込まれています。
一方で、いまだに制度がかわった事を理解できず、特定の団体(天下り先)にしか研修を行わせない(民間事業所には研修を行わせない)という時代錯誤の西日本の政令指定都市もあります。支援費制度では介護保険と同様にヘルパー研修は民間の事業所が行うのが原則で、都道府県・政令市・中核市はその研修を1回1回指定していくことになります。障害者団体も研修を行うことができ、都道府県等の研修の指定を受けられます。
関東のある都道府県では、通常は、ヘルパー研修の申請の際に、新規申請は4ヶ月前、2回目からは2ヶ月前に申請が必要ですが、障害者団体の交渉で、新設の日常生活支援と移動介護は2003年度に限っては研修実施の1ヶ月前の指定申請で可能になりそうです。年間いつでも研修を行えるように、たとえば1年52週分の52回分の申請も1度に行え、さらに指定を受けた研修について、日時や会場の変更も研修10日前までの変更届提出で可能です。つまり事実上、10日前に届けを出せば365日いつでも研修を行えることになります。これで、今までどおり無資格介助者の求人をして、面接し、採用とともに研修を行えます。日常生活支援研修(20時間)では2日で研修が終わるので、新人無資格介助者を採用して3日目には介護に入れていくことが可能です。また、3級ヘルパー研修(50時間)の場合は5日で研修が終わるので6日目から身体介護型の介護に入ることができます。
今後は受講者1人で行う新人介助者研修で研修指定をとる
今後は、いままで自薦ヘルパーを使っていた障害者のグループでは、新人介助者を雇用するたびに、1回の研修で受講者1〜2人で行う日常生活支援研修などを行うことになります。これは、今まで障害者が各自で教育を行っていたことを、制度上の研修として申請するだけで、中身や理念はいままでとほとんど同じ内容で行えます。ただし、障害者だけが講師をするのではなく、自分の団体に雇用した介護福祉士等と共同で教育を行うことになります。(介護福祉士が講師要件になっている都道府県の場合、会場にいる講師のうち1人は要件に会う講師でないといけないため)。その場合でも、研修内容や教育方針は障害者団体で決めた方針通り講師に命じて行えます。なお、部外者の受講者一般公募は行わないで実施できます。テキストは団体独自のものも使える都道府県が多いです。
日常生活支援研修は、20時間で終了するため、研修の1日目に9時間だけ理念などの講義を事務所や自宅で行い(場所は受講定員を2人程度にすれば、狭い障害者団体事務所や自宅などでも可能)、2日目に、障害者の自宅で11時間の実習を受ければ、終了証発行ができます。3日目からその(無資格で雇った)介助者が支援費の日常生活支援の介護に入れます。
通信研修も可能
なお、日常生活支援を通信研修のスタイルで行うことも可能です。通信の場合はテキストの審査が厳しくなるのが普通です。独自のテキストで認められない場合は交渉を続けつつ、とりあえず市販の3級ヘルパーテキストとガイドヘルプテキストを使う方法があります。その場合でもサブテキストと課題(問題)を自分の団体の理念で作り(他団体のものをコピーしても可)、東京など、遠方の障害者団体の介護福祉士などに添削講師を依頼(添削方針は研修実施団体の方針にしてもらえば理念は問題ない)すれば、自前の有資格講師はほとんど不要になります。通信研修の場合は、自宅で1週間程度で8時間分の講義部分をレポート提出で行い、障害者団体事務所などでの講義が1時間、障害者自宅での実習が11時間(合計20時間)などの受講方法になります。
3級研修については介護保険の部署でも3級研修の申請受付をしているので、各障害者団体とも2000年度から3級研修については、介護保険の3級研修申請を行って実施しています。しかし、障害福祉担当部署で受付する方が交渉して障害者の講師などを認めさせやすいので、各都道府県(政令市・中核市含む)に対し早く民間団体の3級研修を受付するように交渉してください。
なお、講師の基準は各都道府県で自由に決めることができますので、各団体で用意できる講師の範囲で認めるように交渉してください。たとえば、医療関係の知識の講義部分でも厚生労働省は看護士や医師に限定すべきだとは考えていません。関東のある都道府県では日常生活支援では医療の講義も看護士不要で、3年経験の介護福祉士でOKになる予定です。
参考に厚生労働省例の障害ヘルパー研修のカリキュラムを再掲載します
別表第三(第二号関係) (編注:3級ヘルパー研修)
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科目 |
時間数 |
備考 |
講義 |
福祉サービスを提供する際の基本的な考え方に関する講義 |
3 |
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障害者福祉及び老人保健福祉に係る制度及びサービス並びに社会保障制度に関する講義 |
4 |
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居宅介護に関する講義 |
3 |
居宅介護従業者の職業倫理に関する講義を行うこと。 |
障害者及び老人の疾病、障害等に関する講義 |
3 |
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基礎的な介護技術に関する講義 |
3 |
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家事援助の方法に関する講義 |
4 |
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医学等の関連する領域の基礎的な知識に関する講義 |
5 |
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演習 |
福祉サービスを提供する際の基本的な態度に関する演習 |
4 |
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基礎的な介護技術に関する演習 |
10 |
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事例の検討等に関する演習 |
3 |
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合計 |
50 |
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別表第五(第四号関係) (編注:全身性障害者ガイドヘルパー研修)
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科目 |
時間数 |
備考 |
講義 |
障害者福祉に係る制度及びサービスに関する講義 |
3 |
移動の介護に係る制度及びサービスに関する講義を行うこと。 |
身体障害者居宅介護等に関する講義 |
3 |
居宅介護従業者の職業倫理に関する講義を行う事。 |
全身性障害者の疾病、障害等に関する講義 |
2 |
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基礎的な移動の介護に係る技術に関する講義 |
3 |
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障害者の心理に関する講義 |
1 |
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演習 |
車いすでの移動の介護に係る技術に関する演習 |
4 |
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合計 |
16 |
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別表第七(第六号関係) (編注:日常生活支援研修)
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科目 |
時間数 |
備考 |
講義 |
身体障害者居宅介護等に関する講義 |
3 |
居宅介護従業者の職業倫理に関する講義を行う事。 |
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全身性障害者の疾病、障害等に関する講義 |
2 |
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|
基礎的な介護技術に関する講義 |
2 |
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家事援助の方法に関する講義 |
1 |
|
|
医学等の関連する領域の基礎的な知識に関する講義 |
1 |
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演習 |
全身性障害者の介護技術に関する演習 |
11 |
車いすでの移動の介護に係る技術に関する演習を行う事。 |
合計 |
20 |
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研修申請書の見本をWORDファイルで提供します
- 日常生活支援の研修の申請書の一式(実技11時間のうち半分程度を実習で行う内容の例です。すべて実習にしたい場合は変えて使ってください)
- 移動介護研修の申請書の一式
- 3級研修(通信)の申請書の一式
パソコンメールで申し込みください web@kaigoseido.net まで
都道府県に対して研修問題で交渉を行う団体か、障害当事者団体に限ります。団体プロフィールをつけてください。住所、電話、団体プロフィール、交渉予定をつけてお送り下さい。 交渉を行って頂ける団体には無料で提供します。その他は有料です(今月号封筒の注文表を参照)。
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支援費で必要な資格の一覧表(確定版)
類型や障害者・児の別 |
必要な資格(どれか1つでOK) |
共通 |
身体介護・家事援助 |
介護福祉士・1〜3級ヘルパー |
日常生活支援 |
介護福祉士・1〜3級ヘルパー
日常生活支援研修20h修了者 |
移動介護 |
障害者 |
視覚障害者の移動介護 |
視覚ガイドヘルパー研修20h修了者 |
全身性障害者の移動介護 |
全身性ガイドヘルパー研修16h修了者
日常生活支援研修20h修了者 |
知的障害者の移動介護 |
介護福祉士・1〜3級ヘルパー
知的ガイドヘルパー研修19h修了者 |
障害児 |
視覚障害児の移動介護 |
視覚ガイドヘルパー研修20h修了者 |
全身性障害児の移動介護 |
全身性ガイドヘルパー研修16h修了者
日常生活支援研修修了者 |
知的障害児の移動介護 |
介護福祉士・1〜3級ヘルパー
知的ガイドヘルパー研修20h修了者 |
*看護師はほとんどの県でそのまま1級ヘルパー扱い
*介護保険の1〜3級ヘルパーは障害の1〜3級ヘルパー扱い
*14年度までの無資格ヘルパーで都道府県知事の証明が出れば証明の出た種類の介護に入ることが可能
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