1月28日 支援費制度担当課長会議の資料解説

主な新情報

  日常生活支援と身体介護型の併用が可能に

(課長会議資料177p)

 日常生活支援を受けている事業者以外の(別の)事業者から身体介護型を受けることは認められました。例えば、「昼間はA社の日常生活支援を使い、夜間はB社の巡回型介護を使う」といった方や、「夜間泊まり介護でC社の日常生活支援を使い、日中はD社の1時間の介護を2回使う」といった使い方が可能になります。

 ただし、たとえば同一の団体から夜間泊まり介護を受けて、日中1時間の介護を受けている方などは解決されていません。厚労省は「日常生活支援は介護・家事・見守りを含む単価設定のため、同一事業所が介護型を併用してはおかしい」と説明していますが、長時間連続介護と1時間以下の短い介護では単価が違うのは当然です。同じ介助者を現在使っている利用者がいる以上、同じ事業所ができないのもおかしな話です。  

対抗策として、日常生活支援の利用者がいる団体は、日常生活支援型専用の指定事業所と一般用の指定事業所の2事業所を持っておく方法もあります。両方の事業所に同じ介助者が登録すれば、居間まで同様の介助を受けられます。この方法でしたら月450時間(またはヘルパー10人)に1人配置が必要なサービス提供責任者(一般事業所では介護福祉士等が必要だが、日常生活支援専用事業所では介護福祉士等は不用)の問題も解決します。  

 日常生活支援専用の事業所はサービス提供責任者に介護福祉士等の資格がいらないので、現状の介助者のみで設置できます。兵庫県などでは2事業所が同じ部屋にあってもかまわないということで指定を行なっています。

   なお、1人暮らし等で、現在利用しているヘルパー時間数が本来必要な時間数に足りない方は、単価の低い日常生活支援は使わず、身体介護型を使うことをお薦めします。(例えば、24時間介助が必要なのに市から5時間しかヘルパー時間が出ず、現在は介助者を自薦登録して時給2100円が出るように話し合って、介助者に3倍の時間の15時間介助に入ってもらっている方など)。交渉を行なって時間数を伸ばしていく途中であることが前提の話ですが、1回の支援費ヘルパー利用を1時間以下にして複数回に分けて使う1週間の計画表を自分で作って市の職員に示して支援費の申請をしてください。身体介護型で受け、高い単価を維持しないと、引き伸ばしができないので、生活できません。なお、広域協会(47都道府県で自薦登録受付中)0037-80-4455に登録を行なえば、ひきつづき時間数を引き伸ばして使うことも可能です(ヘルパー時間数アップ交渉を行なっている方向け特別支援契約)。


  ヘルパー2.5人だけで介護保険と支援費の指定OKに

(課長会議資料126・127p)

 8月に交渉した内容です。交渉成功です。介護保険訪問介護指定を取っていれば、無条件で障害の居宅介護指定も取れるように変わりました(ヘルパー常勤換算2.5人の最低基準だけで可。介護福祉士等が必要な主任ヘルパーも1人でいいです)。

 今までの基準では、地方のCILなど障害者団体の中には介助利用者にALSなど介護保険対象者が1人だけといった団体が多く、障害のヘルパーのほかに介護保険専任のヘルパー2.5人を雇用しなくてはならず、困っていました。介護福祉士等も2人必要でした。今回の決定で、現在介護保険訪問介護を行っている障害者団体は現在のヘルパー人員でそのまま支援費も行なえます。最低基準2.5人のヘルパー全員がどちらの制度の介護を行なってもかまいません。厚労省から正式通知が出た後、都道府県から「支援費を行なうかどうか」を尋ねる通知が届くと思います。

 新規の団体で、介護福祉士等が1人しかいないため、どちらの指定申請を先にするか迷っている団体は、すぐ介護保険指定申請をしたほうがいいです。(多くの県は2週間程度で介護保険指定がとれます。申請はいつでも取り下げできますので、早いほうがいいです)。申請事務代行もCIL等向けに推進協会団体支援部で行っております。

 この問題は、昨年始め、厚労省の老健局が介護保険の省令の最低基準を根拠に、「同じヘルパー2.5人最低人員で介護保険も支援費もできるようには認めない」という決定を出したことから始まっています。もともと障害保健福祉部はヘルパー2.5人で兼用できる方法を望んでいました。8月に当会が老健局振興課と交渉を行ない、全国の障害者団体の指定事業所の実態を説明し、各地域ではCILが、他のどの団体も介護派遣しない最重度の介護保険対象者をとことん介護していたり、虐待を受けている介護保険対象者を1人暮らしするまで支援したりの事例があることを、多くの細かい資料で説明し、再検討してもらいました。特区でのデイサービスの兼用が決まったことも追い風になり、ヘルパーも完全兼用OKとなりました。完全な決定が3月ぎりぎりになりそうだということで、再度「2月末までに指定申請をしなければ4月1日の開始に間に合わない県がある」とお願いし、1月28日の課長会議までに手続きを済ませてもらいました。

 障害保健福祉部はこれを受けて、支援費のヘルパー事業所の数(全国で5000を予定)がなかなか伸びていないことに対して、都道府県に対し、「介護保険事業所に説明し、障害ヘルパーも介護保険と同じ単価で、今の人員だけで行なえる」と積極的に働きかけるように課長会議で伝えました。介護保険の15000事業所に支援費のヘルパーもやってもらうようにということになります。


  大問題!移動介護を実施の事業所はガイドヘルパー資格者が必要

(支援費制度Q&A24p)

 移動介護をおこなう事業所はガイドヘルパー研修を受講したヘルパーがいないと指定申請できないことになっています。外出サービス提供もヘルパーのガイド研修受講が条件です。(注:ガイドヘルパー研修修了者のほか、現在ガイドヘルパーをしているなどで、都道府県知事の認定を持っていればOKです。ただし、この認定が2月末までに出ない県が多く、指定申請に間に合わず、4・5月の外出サービスを実施できません)。

 ガイドヘルパーの研修は、全国的に実施件数では、ほとんど行なわれていません。行なっていない県もあります。ある県は年に1回、40人定員の講座が1回だけです。多くの県も同じ様な状態です。

 このままでは自薦のガイドヘルパー制度のない地方では、今までの市町村の委託先が独占してガイドヘルパーを行なうことになってしまいます。今までの委託先の多くは市町村の天下り先で1箇所独占です。天下り先への優遇としか思えない状況です。4月以降は、日常生活支援の20時間研修を受ければ全身性障害者の移動介護のヘルパーにもなれるのですが、指定申請は4月に行なっても指定は6月からになり、4・5月は移動介護を行なう事業者が今までの委託先1箇所だけになってしまいます。利用者はヘルパーを変えると介護方法を1から説明する必要があるので、多くの利用者は1度使い出した事業所を変えない傾向です。これでは事業者が参入せず、独占で競争が行なわれず、問題があります。

 この問題はすぐに交渉を行いたいと思います。指定申請の締めきりは2月末という県もあります。代案としては、「ガイドヘルパー要綱に基づく研修を2月中に団体自前で行なう事で認める」などの改善が必要です。全国のガイドヘルパー研修実施状況の正確な情報をお知らせ下さい。


  ヘルパー単価は介護保険とまったく同じ額に(事業所に入る単価)

(課長会議資料146p)

 概算要求時より下がり、身体介護と家事援助は14年度の介護保険単価と全く同じになっています。介護保険では15年度から身体介護型30分単価だけが310円アップ、家事援助型(生活援助に名称変更)の60分単価だけが550円アップとなっていますが、これは3月までに同じ単価に変更するものと予想されます。

身体介護 30分まで  2,100円 夜間・深夜単価など
6:00〜8:00  25%アップ
18:00〜22:00 25%アップ
22:00〜6:00  50%アップ
1時間まで  4,020円
1時間半まで 5,840円
以降30分ごとに2,190円加算
  • 移動介護の身体介護意を伴う場合も同額
家事援助 1時間まで  1,530円 6:00〜8:00  25%アップ
18:00〜22:00 25%アップ
22:00〜6:00  50%アップ
1時間半まで 2,220円
以降30分ごとに830円加算
  • 移動介護の身体介護意を伴わない場合も同額
日常生活支援 1時間半まで 2,410円 6:00〜8:00  25%アップ
18:00〜22:00 25%アップ
22:00〜6:00  50%アップ
2時間まで  3,310円
以降30分ごとに900円加算

*全身性障害者のみ

  介護保険では1時間半を越える場合の身体介護が廃止(それ以上は強制的に家事型単価になる)されましたが、障害ではどうするのか、注目です。現状の案では障害は1時間半を超えても介護型を設定しています。

  いずれの単価も、介護保険と同様に都市部では最高7.2%の地域加算があります。

夜間単価などの詳細   課長会議資料176p

 夜間・早朝単価(25%アップ)や深夜単価(50%アップ)は、介護保険と同様、サービス開始時刻の時間で判断するのが原則です。たとえば、21時から2時間のサービスは、夜間時間になります。ただし、属する時間帯がごくわずかの場合は多いほうの時間帯の単価にすることとなっています。


  全身性の移動介護は日常生活支援の研修を受けたヘルパーもOK

(Q&A21p)

 全身性障害者の移動介護は日常生活支援の研修を受けたヘルパーでも行える方向で検討中とのこと。なお、従来の全身性ガイドヘルパー研修も存続予定。知的と視覚障害の移動介護は、知的障害者のガイドヘルパー研修(新設予定)や視覚障害者のガイドヘルパー研修受講が条件になります。

 なお、1〜3級ヘルパー研修受講だけでは移動介護はできません。全身性のガイドの20時間研修か日常生活支援の20時間研修が必要です。

  日常生活支援と移動介護だけを使う障害者はいいのですが、身体介護型を自薦で使う障害者は、自分の介護者に、3級研修50h+外出20hで合計70時間は最低研修をうけてもらわないと家の外と中を一体利用できません。

 なお、いずれの場合も現在自薦ガイドヘルパーなどを行っている場合は、都道府県からの証明書で、永久に外出の介護が可能です。

その他

  長時間派遣でも身体介護型にすることは可能

(課長会議資料177p下から13行目)

 全身性障害者であれば、すべて日常生活支援にすると勘違いしている自治体が多いので、説明文がつきました。「日常生活の常時の介護を要する全身性障害者でも、たとえば、入浴・食事などを身体介護型、それ以外を家事型と希望する人には、身体介護型や家事援助型で算定することができる」との文書です。

 たとえば、12時間連続派遣でも、そのヘルプ内容が10時間が介護型、2時間が家事型なら、市町村の判断で介護10時間・家事2時間分で決定できます。


  移動介護は全身性障害者ならほぼ「身体介護を伴う」に

(課長会議資料177p)

 移動介護の区分で身体介護を伴うかどうかの判断で、「移動介護の際に実際に身体介護を行ったかどうかではなく、その障害者の日常生活で身体介護が必要で、移動介護のときも当然必要と想定されるかによって」市町村が判断すると書かれています。

 自宅で身体介護(日常生活支援の中での身体介護も含む)を使っている全身性障害者は、移動介護でも「身体介護を伴う」単価となります。全身性障害者でも自宅で身体介護を使っていない(トイレや着替えも自分でやっている脳性まひの軽めの障害の場合など)は移動介護でも「身体介護を伴わない」になる可能性があります。

 知的障害や視覚障害も、自宅で身体介護を使っている場合は、「身体介護を伴う」単価となります。


  日常生活支援の対象は1級全身性のほか同等のサービス利用者も

(課長会議資料177p下から10行目)

 日常生活支援の対象は全身性障害者のみとなっていますが、今回具体的な範囲が決まりました。「介護保険制度と障害者施策との適用関係等について」(H2年3/24障害企16号・障障8号)の全身性障害者の範囲をそのまま使うということになりました。この通知はもともと介護保険に上乗せして障害ヘルパーを使える全身性障害者の範囲を書いているものです。具体的には、「両手両足に障害があり肢体障害1級の者及びこれと同等のサービスが必要であると市町村が認める者」という、普通考えられない文書になっています。この文書は介護保険導入時に「全身性障害以外でも、介護保険水準の1日3時間を越える障害ヘルパーを受けている人がいる」という交渉の中で出来上がった文書で、これにより下肢のみの障害+内部障害でたくさんサービスを使っているなど、そもそも全身性障害でない障害者も「この通知上の全身性だ」と読み替えるという通知です。市町村の判断で長時間利用者なら誰でも入れます(介護保険上乗せ許可のための通知なので、市町村の判断で誰でも入れられるほうがよかった)。

 これがそのまま使われていますので、市町村の判断で、誰でも(全身性と同様のサービスが必要なら)日常生活支援の対象にできてしまうことになってしまいました。

  1月28日の支援費制度担当課長会議資料(WAMネットリンク) http://www.wam.go.jp/wamappl/bb01Mhlw.nsf/5926ac7c60e3bb4649256a15003e67e5/e63116644b84073e49256cbc0026eda4?OpenDocument

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