知的障害者及び障害児の状況を日常的に把握しつつ、ニーズに対応したきめ細かなサービスを実現するためには、可能な限り、住民に身近な行政主体である市町村が福祉サービスに関する権限を有することが望ましいこと等から、知的障害者更生施設等への入所、知的障害者短期入所、知的障害者地域生活援助、児童短期入所等に関する事務を市町村に移譲することとした。
これに伴い、都道府県は、知的障害者の更生援護の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報提供等の必要な援助を行わなければならないこととするとともに、知的障害者の福祉に関し、各市町村の区域を超えた広域的な見地からの実情の把握に努めることとした。また、知的障害者更生相談所の市町村に対する技術的支援機能を整備し、従来、都道府県に設置することとされていた知的障害者福祉司を、知的障害者更生相談所に設置することとするとともに、これに伴い必要となる地方自治法施行令の大都市特例の規定の整備を行った。
町村においては、権限移譲後、事務等に混乱のないよう、都道府県の協力を得て、事務の円滑な実施に努められたい。この場合において、都道府県においても、知的障害者更生相談所及び従来当該事務を実施していた都道府県福祉事務所の経験を活用し、町村に対する技術的支援等に努められたい。
町村における事務等の実施のために必要な職員の配置については、地方交付税交付金において必要な対応が行われているところである。
また、権限移譲後の市町村において、知的障害者福祉については、居宅サービスと施設サービスの総合的な実施に努めるとともに、障害児福祉についても、都道府県との連携に努められたい。
なお、移譲される事務の実施が困難な小規模町村等においては、他の市町村とともに一部事務組合を設けること等による事務の効率化や、地方自治法第252条の14の規定により他の地方公共団体(都道府県等)への当該事務の委託等が可能である。