障害連事務局FAXレター NO39 2003/5/29

第1回「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」報告

太田 修平

 1月のホームヘルプサービス上限設定問題を解決するにあたり、厚生労働省と障害者4団体の間で確認されたこととして、利用者を交えたかたちで、ホームヘルプサービスなど、地域生活支援の在り方についての検討会を設置することがあった。
 5月26日(月)その第1回目の検討会が行われた。日本障害者協議会からは、政策委員長の太田が検討委員に、DPI日本会議から中西正司氏が加わった。

 この検討会はこれまでに類をみない障害者運動の盛り上がりと連帯、それに基づく厚生労働省との合意から誕生した経緯もあり、関係者の注目度も特別に高い。検討会は公開されることになり、この日も約70名の傍聴者があり、入れない人たちもいたくらいである。

  さてこの日はまず座長に江草安彦氏((福)旭川荘理事長)、座長代理に板山賢治氏((福)浴風会理事長)を選出した。事務局には社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課があたる。
 板山座長代理から「今後議論となるので、この検討会で精神障害者の施策についてどのように取り扱っていくか確認した方がよい」との提起があった。これに対して事務局は「精神障害者に対する地域支援については、別の場で検討しているので、ここでは身体障害者・知的障害者を対象にし、相互連絡・情報交換をしながら行なっていきたい」と答えた。これに対して太田や中西委員は「精神障害者についても、本来は対象に加えられるべきである」と発言した。
 さらに中西委員は今後の検討会の進め方について提起し、特に「知的障害者本人が委員として参加していないのは問題であり、委員に加えるように」と要望した。事務局は「委員人数上の問題がある」としたが、検討過程において「当事者からのヒアリングは考えていきたい」とし、中西委員の提案は座長と事務局で協議することになった。

  検討会の今後の進め方について事務局は「2年間くらいかけて幅広い立場から障害者の地域生活支援のあり方について議論をしてほしい」とした。今後1ヶ月に1〜2回のペースで開催される予定となっている。6月〜8月は、委員の意見交換、先進事例のヒアリング、 関係者からのヒアリングなどが行なわれ、9月に各論に入る予定となっている。

  なおこの検討会の委員は次の通りである。
・ 有留武司(東京都福祉局障害福祉部長)・安藤豊喜((財)全日本聾唖連盟理事長)・板山賢治((福)浴風会理事長)・江草安彦((福)旭川荘理事長)・大熊由紀子(大阪大学人間科学部教授)・太田修平(日本障害者協議会理事・政策委員長)・大谷強(関西学院大学経済学部教授)・大濱眞((社)全国脊椎損傷者連合会理事)・大森彌(千葉大学法経学部教授)・京極高宣(日本社会事業大学学長)・笹川吉彦((福)日本盲人会連合会長)・佐藤進((福)昴理事長)・高橋紘士(立教大学コミュニティ福祉学部教授)・竹中ナミ((福)プロップ・ステーション理事長)・谷口明広(自立生活支援センターきらリンク事務局長)・中西正司((NPO)DPI日本会議常任委員、全国自立生活センター協議会代表) ・ 早崎正人(大垣市社会福祉協議会在宅福祉サービス推進室長)・村上和子((福)シンフォニー理事長)・室崎富恵((福)全日本手をつなぐ育成会副理事長・地域生活支援委員会委員長)・森貞述(高浜市長)・森祐司((福)日本身体障害者団体連合会事務局長)・渡辺俊介(日本経済新聞社論説委員)【五十音順、敬称略】

 ところでこの日の検討会に先だって、1月のホームヘルプサービス上限設定問題からの懸案事項であった、日本障害者協議会やDPI日本会議などをはじめとする、主要障害者団体と坂口厚生労働大臣との会見が実現した。坂口厚労大臣は「障害者の介護サービスの介護保険への統合については白紙の状態」とし、「検討会で幅広く議論してほしい」と語った。

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