12月24日に厚生労働省障害保険福祉部より支援費Q&Aがでています。

解説

 移動介護で運転手のほかにヘルパーがいる場合、移動介護を算定できる件に関して、 公共 輸送だけでなくボランティアの運転も認めると書くよう要望していたのですが(介護 保険は公共交通しか記入がない)、ボランティア輸送の記述が入りました。

そのほか、知的障害者の契約について、「本人が事業所と契約する」ことが記載さ れ、今までの 文書(親が契約可能)が訂正されています。

このQ&Aで視覚障害者の家事援助で代読などができるかどうかの質問に対する回答として平成9年の事務連絡が引き合いに出されています。この過去の平成9年の事務連絡(ホームヘルプ事業実務問答集)はこちらをクリック


支援費制度関係Q&A集

平成16年12月

1.支給決定に関すること

(問1)家事援助の短時間のニーズに対して30分単価がないことから、1時間で支給決定していた。今般、30分単価が設定されたため、支給量を減らす必要があるが、職権で変更することはできるか。
(答) 支給決定時に想定した支援の内容からみて、変更する必要が生じる場合には、職権で変更しても差し支えない。

(問2)やむを得ない事由により措置された場合であっても、速やかな申請を勧奨する必用があるとされているが、具体的な方法如何。成年後見制度の利用を考えるべきなのか。また、措置は一定期間以上は継続しないという趣旨なのか。

(答) 措置については、措置による以外に本人の援助等を行うことができない場合に限られるものであり、このような事情がなくなった場合は、速やかに支援費の支給申請を勧奨し、支給決定を行うことが必用である。
 支援費の支給申請については、本人の意思を代弁する家族等の支援、福祉サービス援助事業による支援などにより行うことが考えられる。
 身寄りのない知的障害者などの場合、市町村長が家庭裁判所に対して成年後見人の選任を申立てることができ、成年後見制度を利用して支援費の支給申請を行うこととなる。(知的障害者福祉法第27条の3)

*本問については、平成13年10月「支援費制度の事務大要Q&A集」問24「やむを得ない事由により措置された場合であっても、速やかな申請を勧奨する必要があるとされているが、具体的な方法如何。成年後見制度の利用を考えるべきなのか。また、措置は一定期間以上は継続しないという趣旨なのか。」についての回答を適正化したものです。

2事業者指定基準に関すること

(問3)「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」を算定する事業所における運営規定の届出について

(答) 「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」を算定する事業所は、新たに運営規定にサービス内容として「通院等のための乗車又は降車の介助」を追加して、速やかに事業所の所在地を管轄する都道府県知事に届出を行わなければならない。(身障法施行規則第11条の4第1号、知障法施行規則第36条、児童福祉法施行規則第21条の17)
 また、届出を行わない事業所が「通院等のための乗車又は降車の介助」と同じ内容のサービスを行う場合は「身体介護が中心である場合」を算定することはできない。
 なお、利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20〜30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護が中心である場合」を算定できることとされているが、これは「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する事業者を前提としていることから、この場合も、新たに変更届を行う必要がある。

3 支援費基準等に関すること

(1)居宅生活支援費について

(問4)公共交通機関による「通院等の介助」について

(答) 障害者に付き添い、バス等の公共交通機関を利用して移送中の気分の確認も含めた通院等の介助を行った場合には、従来どおり、「身体介護が中心である場合」を算定できる。
 なお、タクシ、ボランティア輸送も公共交通機関と同様の扱いとする。

(問5)「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」の単価が設定されたが、移動介護の取扱いに変更はないか。

(答) 変更はない。 (参考)平成15年3月「支援費制度関係Q&A集」問24(抜粋) 移動介護については、
・移動介護は、「居宅〜目的地〜居宅」の間の移動の際の介護等であり自動車等での移動の際も、常時、介護等ができる状態でいることが必用であること。
・移動介護は、交通機関の乗降の介助等のみを行うのでなく、目的地での介護等を含めての全体を評価するものであること。
等から、いわゆる介護タクシー事業者が乗降時の介護のみを行う場合は、移動介護としての支援費の算定は認められないものである。

(問6)「通院等のための乗車又は降車の介助」の利用者が、通院で受診した後、再びヘルパーが運転する車に乗車し、病院から離れた場所にあるかかりつけ薬局に行き、そこで薬を受け取ってから自宅に帰る場合、病院から薬局の乗降介助と薬局から自宅の乗降介助について、「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」を算定できるか。

(答) 利用者からの依頼に応じて、かかりつけ薬局での薬の受取をヘルパーが行う場合、病院から自宅までの乗降介助を1回のみ算定できる。

(問7)「通院等のための乗車又は降車の介助」を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20〜30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護が中心である場合」を算定できるとされたが、その具体的な計算例

 

(答) 例1 要時間30分未満の身体介護が中心である場合を算定 (@+A=30分)

例2 要時間30分以上1時間未満の身体介護が中心である場合を算定 (@+A=1時間)

 

(問8)「通院等のための乗車又は降車の介助」を行う際に、利用者の状況等により、2人のホームヘルパーによるサービス提供が必要となった場合の取扱いについて

(答) 「通院等のための乗車又は降車の介助」を行う際において、1人のホームヘルパーが車両に同乗して気分の確認など移送中の介護も含めた介護行為を行う場合には、当該ホームヘルパーは「身体介護が中心である場合」を算定するが、このとき、当該車両を運転するもう1人のホームヘルパーは、サービス行為の所要時間や内容に関わらず、別に「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」を算定することはできない(別表例1参照)。
 ただし、例えば、重度の障害者であって、@体重が重い利用者に重介護を内容とする居宅介護を提供する場合やAエレベーターのない建物の2階以上の居室から外出させる場合など、障害者の状況等によりやむを得ずに2人のホームヘルパーにより、乗車介助を行い、その後、1人のホームヘルパーが移送中の気分の確認等の介護を行う場合は、2人目のホームヘルパーの運転している時間帯を算定することはできないことから、それぞれのホームヘルパーのサービス提供時間に応じてホームヘルパーごとに「身体介護が中心である場合」を算定できる(別表例2参照)。

(別表)
例1(二人のヘルパーによる介護が必要ではない場合) ヘルパーA:所要時間1時間以上1時間30分未満の身体介護が中心である場合を算定 ヘルパーB:サービス提供の有無を問わず、通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合を算定できない

例2(重度の障害者等であって二人のヘルパーによる介護が必要である場合) ヘルパーA:所要時間1時間以上1時間30分未満の身体介護が中心である場合を算定 ヘルパーB:所要時間30分以上1時間未満の身体介護が中心である場合を算定 (@+A=1時間)

 

(問9)ホームヘルパーが居宅で行う視覚障害者への代筆・代読は、家事援助に当たると解してよいか。

(答) 下記事務連絡のとおりである。

(参考)平成9年7月25日付厚生省大臣官房障害保健福祉部障害福祉課身体障害者福祉係長、身体障害児福祉係長等連名事務連絡 −抜粋−
○視覚障害者に対する家事援助には以下のようなサービスも考えられます。
・コミュニケーション介助…郵便物・回覧板等の代読、手紙・アンケート等の代筆

(問10)指定居宅介護事業者は、居宅支援事業者の運営基準省令第25条において、従業者にその同居家族である利用者に対して、居宅介護の提供をさせてはならないとされてるが、同居以外の家族等については、提供させて良いか。

(答)  省令の趣旨は、同居の家族は、家族として介護しているか、ホームヘルパーとして介護しているかが不明確になることから、家族への派遣を禁止したものである。
 別居の家族についても、同様に不明確になることから、この省令の趣旨を踏まえると安易なサービス提供は、適切とはいえないので、事業者との利用計画やサービス提供内容などの契約内容を判断した上で誤解の生じないようにすべきである。

(問11)事業者が主催(発案・企画)した多人数での集団旅行・遠足等のレクレーション活動の際に、ガイドヘルプサービス(いわゆる集団旅行・遠足等ガイドヘルパー)を提供することは可能か。

(答) 障害児(者)の発意(提案)によらない外出へのガイドヘルプサービスは、障害児(者)の主体的な活動を支援するという支援費本来の趣旨ではないことから、支援費の支給対象とはならない。

 支援費の支給対象外となるガイドヘルプサービスは以下のとおり。
1.下記@、A両方に該当するもの
 @実質的に事業者が主催(発案・企画)するもの
 A複数の障害児(者)に対し、同数程度のガイドヘルパーが付き添って行われるもの
2.1.以外であってもツアー事業として商業的な性格がうかがえるもの

 なお、事業者が支援費対象外として独自のサービスを実施することを妨げるものではない。

(参考)具体例
・事業者が発案・企画し、多数のガイドヘルパーが多数の障害児を一緒にプール、遠足、遊園地、映画等へ連れて行くガイドヘルプサービス
・事業者が主催する日帰り旅行において、多数の障害者にガイドヘルパーが同伴して行われるガイドヘルプサービス

(2)施設訓練等支援費について

(問12)施設訓練等支援費における利用者負担額の算定に関し、上限月額が適用されている利用者についての日割り計算は、当該上限月額を日割りにすると解してよろしいか。

(答) お見込みのとおり。

4契約に関すること

(問13)契約者について

(答) 支援費制度においては、利用者が事業者から直接サービスの提供を受ける仕組みとなっていることから、原則として利用者本人と事業者の間でサービスの利用に関わる契約を締結する必要がある。そのため、何らかの支援があれば本人の意思を確認できる知的障害者については、本人の意思により本人が契約できるよう、福祉サービス利用援助事業(地域福祉権利擁護事業)を活用することや家族が支援すること等により、本人に対する必要な支援が行われることが重要である。
 しかし、判断能力が不十分で、契約締結能力がない利用者については、「成年後見制度」を利用して、後見人等法的な代理人が選任されることが望ましいと考えられる。
 また、成年後見制度の利用については支援策(成年後見制度支援事業)が行われているところである。
 なお、児童居宅サービスを利用する場合は、保護者が事業者と契約を締結することとなる。その他のサービスであっては、未成年者本人が法定代理人(親権者及び未成年後見人)の同意を得て事業者と契約する方法と、法定代理人が未成年者に代わって事業者と契約する方法がある。

*本問については、「支援費制度の事務大要」(平成13年8月23日支援費制度担当課長会議資料)における「5事業者・施設指定基準に関すること」中の「3契約に当たっての基本的な考え方(1)契約者について」の記載を適正化したものです。

(問14)契約の当事者としての能力を誰がどのようにどの程度まで認めるか。

(答) 契約を締結するだけの能力があるかどうかという問題は、利用者と事業者との間の問題であるが、実際の契約の場面においては、本人の意思により本人が契約を円滑に結べるよう、利用者本人の意思を代弁する家族が支援したり、福祉サービス利用援助事業による支援を受けることが考えられる。
 判断能力が不十分で契約締結能力がない利用者については、本人や家族、親族の家庭裁判所への申し立てにより、成年後見制度を利用することが望ましいと考えられる。なお、身寄りのない者にあっては、本人の福祉を図るため特に必用な場合は、市町村長の申し立てにより、成年後見制度を利用することができる。

*本問については、平成13年3月「支援費制度Q&A集」問36「契約の当事者としての能力を誰がどのようにどの程度まで認めるか。」についての回答を適正化したものです。

HOMETOP戻る