介護保険では介護タクシー対策として単価を引き下げるために、すでに乗降介護が始まっていましたが、支援費でもこれに合わせて乗降介護が導入されました。これはヘルパーが車を使って障害者と病院に行く場合に適用されます。これが適用された場合、通院に身体介護は使えません。
乗降介護を使用した場合は、1回につき身体介護で決定した時間数のうち30分を使用したことになります。また、乗降介護は、省令や通知上では、「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」と表現されます。
このため、身体介護で通院している障害者が乗降介護の対象になります。移動介護は今回の改正では乗降介護への変更はありません。
乗降介護で、1回の事業所に入る単価は1000円です。(身体介護30分は2310円ですから、半額になります)。病院に行く場合、「家の前で車に乗って、病院で降りて」これで乗降ですから1回(1000円)です。病院からの帰りも乗降介護1回を算定できます。片道だけの利用でもかまいません。
問題なのは、乗降介護を使った場合は、病院の中でどれほど長時間待たされる場合でも、病院の中の介護時間に対して身体介護は利用できず、ヘルパーについてもらうことができません。(正確にはヘルパーがつくことはできるが、事業所には乗降介護1000円以外は、1円も入らないので、実際には病院内でヘルパーをつけてくれる事業所はない)。
救済策として、乗降介助の前に、外出のための着替えやトイレなどの「乗降前介助」を20分以上行う場合や、食事介助や入浴介助などの外出と関係ない介助を30分以上行う場合は、病院への通院全体を従来どおり、身体介護で行うことができます。(介護保険の場合、この20分ルールは要介護4・5の重度限定ですが、障害の場合は重度軽度の限定なく20分ルールが使えます)。
このため、たとえば、多動の知的障害者などで、乗降前介護に20分未満しかかからない障害者の場合、乗降介護が適用されるので、病院の中で3時間待たされたとしても、ヘルパーが付き添うことに対して支援費は支払われません。
対策としては、家族などが外出準備の着替えやトイレの介護を行わないようにして、ヘルパーにやってもらうことが必要です。外出準備に20分以上かかる場合は、全体が従来どおり、身体介護で算定されます。そのため、病院内で付き添いが必要な障害者も長時間でもヘルパーについてもらえます。なお、ヘルパーが運転している時間数は、従来どおり、支援費の身体介護などの対象時間ではありません。
(次ページからこの関連の通知を掲載します)
乗降介護のことも載っている主な通知を掲載します。乗降介護を使った単価引き下げは、将来、移動介護に適用されてくることが確実に予想されます。よく注意しておくことが必要です。
なお、移動介護などの時間帯またぎの30分ルールが15分に変更になることも掲載されています。
(たとえば、17:40〜18:39の1時間のサービスは、従来は夜間単価でしたが、今後は前半30分は日中単価になります) 通知は、ほかにもたくさん出ています。詳しくはホームページをご覧ください。
(案)
障発第 号
平成16年9月 日
都道府県知事
各 指定都市市長殿
中核市市長
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長
「指定居宅支援等に要する費用の額の算定に関する基準
の制定に伴う留意事項について」の一部改正について
身体障害者福祉法、知的障害者福祉法及び児童福祉法に基づく指定居宅支援等に要する費用の額の算定に関する基準について、この実施に伴う取扱いについては、平成15年3月24日障発第0324001号本職通知「指定居宅支援等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う留意事項について」によるところであるが、今般、同通知の一部を下記のとおり改正し、平成16年10月1日から適用する。
記
1 Tの2の(2)及び(3)を次のとおり改める。
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(2)支援費基準単価の適用について
居宅介護計画上のサービス提供時間と実際のサービス提供時間に大幅な乖離が継続する場合は、当然に居宅介護計画の見直しをする必要があること。
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(3)早朝、夜間、深夜等の居宅介護の取扱いについて
早朝、夜間、深夜の居宅介護の取扱いについては、原則として、実際にサービス提供を行った時間帯の算定基準により算定されるものであること。
ただし、支援費基準額の最小単位(身体介護が中心である場合、家事援助が中心である場合及び移動介護が中心である場合は最初の30分、日常生活支援が中心である場合は最初の90分とする。)までは、サービス開始時刻が属する時間帯の算定基準により算定すること(サービス開始時刻が属する時間帯におけるサービス提供時間がごくわずかな場合(身体介護、家事援助又は移動介護が中心である場合は15分未満、日常生活支援が中心である場合は45分未満とする。)には、多くの時間を占める時間帯の算定基準により算定すること。)。また、支援費基準額の最小単位以降の30分単位の中で時間帯をまたがる場合には、当該30分の開始時刻が属する時間帯により算定すること(当該30分の開始時刻が属する時間帯におけるサービス提供時間がごくわずかな場合15分未満には当該30分のうち多くの時間帯の算定基準により算定すること。)。
なお、土日祝日等におけるサービス提供を行った場合であっても、土日祝日等を想定した加算はないこと。 |
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2 Tの2の(5)の次に(6)から(7)として次の規定を加える。 |
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(6) 「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する場合) |
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指定居宅介護事業者が注3の「通院等のための乗車又は降車の介助」にいう介助を行う場合には当該所定額を算定することとし身体介護が中心である場合の所定額は算定できない。当該所定額を算定するに当たっては、道路運送法(昭和26年法律第183号)等他の法令等に抵触しないよう留意すること。なお、移送行為そのものすなわち運転時間中は当該所定額の算定対象ではなく移送に係る経費(運賃)は、引き続き、評価しない。
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A |
注3において「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することができる場合、片道につき所定額を算定する。よって、乗車と降車のそれぞれについて区分して算定することはできない。
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B |
複数の利用者に通院等のための乗車又は降車の介助を行った場合であって乗降時に一人の利用者に対して一対一で行う場合にはそれぞれ算定できるなお効率的なサービスの観点から移送時間を極小化すること。
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C |
利用目的について「通院等のため」とは「身体介護が中心である場合」としての通院等の介助と同じものである。 |
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D |
サービス行為について「自らの運転する車両への乗車又は降車の介助「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先での受診等の手続き、移動等の介助」とは、それぞれ具体的に介助する行為を要することとする。例えば、利用者の日常生活動作能力などの向上のために、移動時、転倒しないように側について歩き、介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る場合は算定対象となるが、乗降時に車両内から見守るのみでは算定対象とならない。
また「自らの運転する車両への乗降又は降車の介助」に加えて「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」を行うか、又は「通院先若しくは外出、先での受診等の手続き、移動等の介助」を行う場合に算定対象となるものであり、これらの移動等の介助又は受診等の手続きを行わない場合には算定対象とならない。
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E |
「通院等のための乗車又は降車の介助」は「自らの運転する車両への乗車又は、降車の介助」、「乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助」及び「通院先での受診等の手続き、移動等の介助」を一連のサービス行為として含むものでありそれぞれの行為によって細かく区分し通院等のための乗車又は降車の介助又は「身体介護が中心である場合」として算定できない。例えば、通院等に伴いこれに関連して行われる、居室内での「声かけ・説明」・「病院に行くための準備」や通院先での「院内の移動等の介助」は「通院等のための乗車又は降車の介助」に含まれるものであり、別に「身体介護が中心である場合」として算定できない。
なお、一人の利用者に対して複数の居宅介護従業者が交代して「通院等のための乗車又は降車の介助」を行った場合も、一回の「通院等のための乗車又は降車の介助」として算定し、居宅介護従業者ごとに細かく区分して算定できない。 |
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F |
「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定するに当たっては、適切なアセスメントを通じて、生活全般の解決すべき課題に対応した様々なサービス内容の一つとして、総合的な援助の一環としてあらかじめ居宅介護計画に位置付けられている必要がある。 |
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(7) 「通院等のための乗車又は降車の介助」と「身体介護が中心である場合」の区分
通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20分〜30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護が中心である場合」の所定額を算定できる。この場合には「通院等のための乗車又は降車の介助」の所定額は算定できない。
(例) (乗車の介助の前に連続して)寝たきりの利用者の更衣介助や排泄介助をした後、ベッドから車いすへ移乗介助し、車いすを押して自動車へ移動介助する場合。
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前ページまでの乗降介護の話は「ヘルパー1人、障害者1人」で車に乗って出かけることをさしています。ヘルパー1人のほか、運転手が別にいれば、多くの市町村では、通院に、支援費ヘルパーは身体介護で算定できます。
ところが、介護保険では以下のようなQ&Aが問題を起こしています。