ホームヘルプの16年度予算は342億円(需要見こみの95%)を確保。

  政府予算が12月20日に出ました。 
  注目の支援費のホームヘルプ予算は342億円となりました。
  8月末に出た概算要求は327億円でしたので、概算要求からさらに約15億円ほど上乗 せとなりました。
  グループホームも概算要求より上乗せしています。
(支援費の在宅全体では602億円でかわらず)

 今年5月のホームヘルプ実績が月60億円ですので、来年度は720億円(国庫補 助はその2分の1の360億円)は最低でも必要です。
 今回政府予算として確定した342億円は、360億円の95%です。
 これにより、ヘルパー単価の来年度の引き下げは、かなり小規模なものになる可能 性が出てきました。(12月12日に出された障害福祉課長案は18日に白紙撤回になって いますが、来年度補正を他局や財務省から取ってくるためには、何らかの「削減努力 をした」という形が必要になります。そのため、小規模の単価削減は必要になると考 えられます)。
 また、利用時間が予想より増えた場合、今年度と同様、来年度に補正予算を組む可 能性も大きくなってきています。


厚生労働省・2004年度予算内示の情報

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

  • 支援費のホームヘルプ予算は概算要求より約15億円増額され (※通常、あり得ないこと)、341.5億円・実質12.7%増の予算が確保 されました。
  • しかし、今年度の事業費から計算すると国庫補助は360億円は最低限 必要であり、依然として16年度予算では足りないことになります。
  • 厳しい予算編成の中で、ホームヘルプ、グループホームについては 概算要求よりさらに予算を増額する一方で、施設訓練等支援費を概算 要求より大幅に削減し、実質−2.4%にするなど、メリハリをつけた内容 になっています。

【2004年度予算のあらまし】

○支援費制度の予算

(14年度)  (15年概算要求) (15年度)   (16年概算要求) (16年度)
328,195百万円→ 329,280百万円→ 321,267百万円→ 359,791百万円→ 347,306百万円
居宅生活支援 56,852百万円→ 51,588百万円→ 60,188百万円→ 60,188百万円
施設訓練等支援 272,428百万円→ 269,679百万円→ 299,603百万円→ 287,118百万円

 居宅生活支援は概算要求の満額が認められ、前年度16.7%アップです。支援費予算 は2003年度11ヶ月、2004年度12ヶ月で組まれていますので、平年度化して計算すると 実質的な伸び率は6.9%アップです。
 一方、施設訓練等支援費は概算要求から約125億削られたため、前年度6.5%アップ ですが、居宅と同じように2004年は12ヶ月予算ですので、実質的な伸び率は−2.4% になっています。
 当事者団体はこの間、施設から地域への予算のシフトを要望してきましたが、今回 の内示では施設と在宅の伸び率おいてはメリハリのついた内容になりました。(とは 言っても、まだまだ施設予算は絶対額において圧倒的に多いのですが。)

注目されていたホームヘルプ予算ですが、

(15年度) (16年概算要求)  (16年度)
27,767,百万円→ 32,666百万円→ 34,154百万円

 概算要求の326.6億よりさらに増額になり、341.5億円の予算が確保されました。前 年度からの伸び率は23%アップですが、平年度化分を差し引いた実質伸び率は12.7% です。
 概算要求より増額されて内示がでることは通常はあり得ないことであり、厚労省が 財務省との折衝の中で増額の努力をしたようです。
 しかしながら、今年度の事業費は1ヶ月約60億円になっているということで、単純 計算しても12ヶ月分の720億円であり、国庫補助金はその1/2である360億円は最低 限必要です。これから考えると16年度予算341.5億円では依然として足りないことに なります。

 支援費のその他のサービスについては、概算要求と比べてショートステイが満額、 デイサービスが減額、グループホームが増額と、これもメリハリをつけた内容になっ ています。

  (15年度) (16年概算要求)  (16年度)
ショートステイ 4,042百万円→ 4,474百万円→ 4,474百万円
デイサービス 13,024百万円→ 14,836百万円→ 12,948百万円
グループホーム  6,755百万円→ 8,213百万円→ 8,612百万円

※新規:デイサービスの4時間超の単価の見直し(6時間を超えるサービスの評価)  

○障害者自立支援・社会参加総合推進事業

 昨年までの障害者社会参加総合推進事業が、概算要求の通りにリニューアルされ、 障害者自立支援・社会参加総合推進事業になりました。
 概算要求ではこの中に、新規メニューとして「地域生活体験事業(障害者が家族等 から離れ、自立生活を営むことができるよう地域生活を体験する場を与え、必要な サービスを提供)」がもりこまれていましたが、これは認められませんでした。
 同様に新規メニューとしてでていた「障害児施設デリバリー事業」も認められませ んでした。

 概算要求であがっていた以下の新規事業もなくなっており、現状で必要な事業費を 確保するために新規事業にはストップがかかった状況です。

  • 重度障害者在宅就労促進事業(バーチャル工房支援事業)(仮称)の創設
  • 小規模通所授産施設への移行促進事業(仮称)
  • 地域医療及び各種生活支援を含めた包括的地域生活支援プログラム(ACT)モ デル事業の実施

○障害者地域生活推進特別モデル事業

 昨年、身体と知的の生活支援事業が一般財源化されるにともなってできた障害者地 域生活推進特別モデル事業ですが、現状維持の77ヶ所のみの予算しかつきませんでし た。(概算要求では24ヶ所増の101ヶ所を要求)  2004年度の新規分はゼロの内容ですが、今年度執行できなかった箇所数があれば、 その分を新規分として実施できることになります。

○例年に比べてメリハリのきいた内容に

 2004年度は厚労省全体で裁量的経費は2%減、義務的経費は9100億円の自然増を 6900億円までに絞りこむという厳しいシーリングの中での予算編成でしたが、その結 果、全体的にメリハリのきいた内容になっています。
 ホームヘルプ、グループホームについては概算要求よりさらに予算を増やす一方 で、施設訓練等支援費については、平年度化した実質伸び率はマイナスになっていま す。また、国立のぞみの園運営費については概算要求の28億4千万円からさらに1億 7千万削減しています。心神喪失者等医療観察法の円滑な施行についても、概算要求 では前年度42.1%アップの予算要求をしていましたが、内示ではマイナス査定で前年 度より約10億円削減されています。

○主なものの動き

■ホームヘルプサービス(身体・知的・精神)

(14年度)  (15年概算要求) (15年度) (16年度概算要求) (16年度)
27,378百万円→ 34,178百万円→ 29,113百万円→ 34,174百万円→ 35,663百万円

上記に含まれる精神障害者のホームヘルプ分

(14年度)  (15年度概算要求) (15年度) (16年度概算要求) (16年 度)
301百万円→ 787百万円→ 720百万円→ 883百万円→ 900百万円

■ショートステイ(身体・知的・精神)

(14年度) (15年概算要求) (15年度)  (16年概算要求) (16年度)
4,188百万円→ 4,680百万円→ 4,614百万円→ 5,049百万円→ 5,043百万円

■デイサービス(身体・知的・障害児)

(14年度)  (15年概算要求) (15年度) (16年概算要求) (16年度)
13,288百万円→ 13,580百万円→ 13,024百万円→ 14,836百万円→ 12,948百万円

■グループホーム(知的・精神)

(14年度)

(15年概算要求) (15年度) (16年概算要求) (16年度)
6,950百万円→ 8,264百万円→ 8,554百万円→ 10,414百万円→ 10,581百万円

※ホームヘルプサービスは新障害者プランにおいて2002年度の45,000人を2008年度に 60,000人にするということで、5年間で15,000人増やす予定になっています。しか し、2004年予算ですでに10,230人増の55,230人分が確保されており、2年目にしてす でに68.2%に届いています。しかし、実際にはサービス量はまだまだ足りないと言わ れていますので、新障害者プランの目標値を上方修正する必要があります。

※詳細についてはPDFファイルを以下のアドレスにアップしてありますので、ご覧 ください。
平成16年度障害福祉課予算(案)の概要 http://zenrenkyo.infoseek.livedoor.com/2004yosan1.pdf
平成16年度障害保健福祉関係当初内示の概要 http://zenrenkyo.infoseek.livedoor.com/2004yosan2.pdf

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