2003年度のホームヘルプサービスの国庫補助金額について
自薦ヘルパー推進協会本部事務局
2003年度のホームヘルプサービスの国庫補助金の各市町村への交付金額が3月 23日に内示されました。(都道府県・政令市・中核市は厚労省から直接、通知され
ますが、一般の市町村については都道府県経由での通知となります。)
なお、ホームヘルプサービスの国庫補助金の状況については、厚労省から障害者8 団体に対して説明をしたいという旨の申し出がありましたので、3月24日の午前中
に説明を受けました。
その内容をとりまとめると以下の通りです。
○ホームヘルプの国庫補助金について
- 市町村からあがってきた申請額の総合計 379億円
- 1月に示した国庫補助基準及び従前額を満たすための金額 368億円 (従前額:2003年3月に提供していたホームヘルプ時間数を支援費の単価で計算した
もの)
- 2003年度に最終的に交付できる国庫補助金額 354億円 (※当初予算278億円に、他予算を流用して76億円の積み増し)
- 368億円(2.)をカバーできるようぎりぎりの努力をしたが、10月以降もホー ムヘルプが伸びており年末の見込み額よりさらに増えたため、354億円しか確保で
きず、最終的に各市町村には2.の96%しか交付できない。
- 2.の金額を越える市町村については、国の補助の対象外で市町村に負担をお願いす るしかない。大きく不足しているのは主に東京都の市町村で、東京都全体では申請額
の85%しか配分できなかった。
○在宅サービス全体について
- 当初予算額に対して128億円が上回る見込みで、114億円を追加財源として確 保した。
- デイサービス、ショートステイ、グループホームについては100%の交付で、ホー ムヘルプは96%の交付。在宅サービス全体では98%の交付。
- ホームヘルプ(身体・知的)ショート(身体)は社会福祉諸費、デイ(身体)は身 体障害者保護費、デイ(知的)ショート(知的)グループホームについては児童保護
費の予算項目になっており、障害部や他部局の同じ項目の予算からの流用した。その ためホームヘルプと他の事業については交付率が違う。
厚労省配付資料:「平成15年度支援費制度の在宅サービスの執行について」
http://zenrenkyo.infoseek.livedoor.net/2003sikkou.pdf
これまでの経緯として、今年度のホームヘルプサービスの利用が伸びたこともあ り、予定していた国庫補助金が大幅に不足するという問題が昨年11月に表面化し、こ
れに対して、障害者団体は厚生労働省及び政治家に働きかけをし、その結果、厚労省 より「省内の予算を追加的に確保して、所要額のほぼ全額を確保できる見通しとなっ
た。」という説明を受けていました。
しかし、今年に入り、各自治体に示した国庫補助の配分予定金額は都市部を中心に 不足していることが明らかになり、障害者団体も事前の説明と違うことを厚労省に問
いただしてきました。厚労省は「先の年末に確保すると言ったのは国庫補助基準の範 囲内での補助である」「10月以降のホームヘルプの伸びがさらに増加傾向にあり見込
みがちがってきた」「国庫補助の配分については自治体から2月までのデータがあ がってこないと確定しないので確保に向けてぎりぎりの努力をする」などと言ってき
ました。
その結果が、国庫補助基準においても96%しか確保できず、市町村の実施した ホームヘルプの事業費と比較すると約25億円も差がでることになり、これを各市町
村が負担しなければなりません。
しかし、この説明にはとうてい納得できるものではなく、急遽、12時半から主に都 内の団体を中心として抗議行動を行いました。おりしも昼過ぎから雲行きが怪しくな
り、雨が降り始めましたが、雨の中約200名の障害者と関係者が集まり、ビラ配りと 街宣活動を行いました。
1時半からは政治家のかたもかけつけて下さり、公明党の福島議員・桝屋議員、民 主党の山井議員から支援の言葉をいただきました。特に公明党の桝屋議員は「坂口大
臣も支援費の十分な財源確保について行うよう指示をしていたのにこのような事態に なって残念である。この状況については大臣に伝えるし、地方議員を通じて市町村で
サービス低下が起こらないよう注視していく。また、来年度の予算不足についても非 常に危惧している。支援費と介護保険との統合の議論があるが、それには疑問をもっ
ていて、障害福祉としてきちんと予算確保されるのが先決だ。」との言葉がありまし た。
また、2時からは約10名の代表団が障害福祉課と交渉を行いました。
特に焦点になったのは、身体障害者のデイサービスで22億円の支援費予算が余る 見込みであるのに、予算項目が違うため(ホームヘルプ−社会福祉諸費、デイ−身体
障害者保護費)に回せない点でした。
この点について、厚労省に説明を求めましたが、「財政法23条・33条によって項目 が違う予算を流用することはできない」「今から補正予算を組むことはできない」と
いうことを繰り返すばかりでした。
また、この支援費の予算項目は措置制度をそのまま引き継いだもので、「支援費制 度になった時に在宅サービスを同じ予算項目にすることは考えなかったのか」という
問いに対しては、「支援費の予算不足が明らかになった時に財務省とは協議したが、 今年すぐに行うのではなく長期的な実態を見て検討することとなった。重要な事項で
あるので引き続き検討していきたい。」という回答でした。この検討については、障 害福祉課として真摯に検討を行うことを確約させましたが、2004年度の予算は成立し
ており、予算項目を同じにしたとしても2005年度予算からしかできないということで す。
この他にも「国庫補助の不足が1億円を越える市町村もあり、2004年度の支給決定 の際にサービスの切り下げを行う、新規利用者は認めないなどの自治体がでてく
る。」「来年度のホームヘルプの予算は342億円で、不足することが分かってい る。これについてどう対応することを考えているのか。」という指摘をしましたが、
厚労省は「国庫補助基準については現状のものが良いとは思っていないので、今年の 実績や障害者団体・自治体などの意見を聞きながら在り方検討会で議論いただく。」
「4月から事業運営の工夫と言うことで単価の引き下げを行ったし、10月からも 様々な見直し・工夫をしていく。サービスの質と量を確保しながら制度の安定的な運
用を図っていく。」という回答にとどまり、参加者からは「その程度の工夫でカバー できる問題ではない」という批判がでましたが、厚労省とのやりとりは平行線をたど
りました。
いずれにせよ、今年のデイからホームヘルプへの流用については、現状でできない と言われても納得できず、国会にかけて承認をとるなど流用できる方策を検討して返
事をもらえるよう申し入れ、交渉を4時半頃に打ち切りました。
その後、雨が降り続く厚労省前で交渉の報告を行い、今後も障害者の地域生活の保 障を求めていくことを確認して、今回の抗議行動を終了しました。
支援費の居宅サービスの支給期間は1年間であり、現在、各市町村で支援費の再認 定が行われていると思いますが、今回、国庫補助金が大幅に不足した地域について
は、特に注意を払っていく必要があると思われます。国庫補助金の不足を理由に不当 なサービスの切り下げ、施設や親元から自立する人のサービス利用について認めない
などがおこってくる可能性があります。
そういう事例があれば、厚労省にも伝えていきたいと思いますので、事務局までご 情報提供いただければ幸いです。
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