(7月号より解説記事を抜粋)
審議会に専門委員会設置の方針
審議会に専門委員会設置の方針
厚生労働省社会・援護局は生活保護の本格的な見直しを始める方針です。社会保障 審議会福祉部会に「生活保護に関する専門委員会」を設置する方針を決め、準備に入
りました。6月には社会保障審議会でも検討の必要性が確認されています。7月1日 からの厚生労働省保護課主催の生活保護担当ケースワーカー全国研修会(毎年開催)
でも、岡田太造・保護課長は「生活保護の見直しの動き」について言及しました。
介護保険開始時や社会福祉基礎構造改革の際に自己負担の問題等から低所得者層の 対策が必要で、生活保護制度の見直しを行うべきとの意見もありました。しかし、現
在、国の財政は逼迫しており、社会保障費全体には厳しい時期となっています。高齢 者関係などは予算の自然増を一定の額に押さえる来年度予算方針を政府が出すなど、
全体としてかなり社会保障費を抑制する流れです。生活保護費についてもこの情勢の 中で見直し作業を進めれば、各種加算などの低下は確実です。新聞一般紙では、母子
加算などの1部カットの方針が報道されています。
このような中で、障害者団体としては、「支援費等で必要な介護が足りないときに 生活保護でその介護の穴をうめる」という他人介護料制度の上限撤廃など、必要なと
ころには加算を増やすような運動が必要です。それとともに、申請書を出さなかった り、親を申請に同伴するように1人暮らしの障害者に求めるなど、脱法行為をする市
町村の窓口が野放しになっている問題、扶養義務の問題など、改善を求めることが必 要です。
海外では、重度障害者の場合、収入が規定の額以下ならば、日本の年金なみの手続 きで生活保護を受けられる国もあります。生活費などの保護基準額がわずかに上がる
ことよりも、このような事の方がはるかに大切です。 この情報は、今後も掲載し ていきます。
週刊福祉新聞 2003年8月25日発行
20年ぶり生保基準検証へ
生活保護制度の在り方を検討する専門委員会が六日に発足した。社会保障審 議会の福祉部会が設置したもの。当面の議題は保護基準と自立助長策についてで、保
護基準が妥当な額かどうかを厚生労働省が検証するのは二十年ぶりのこと。初会合で は「福祉事務所や保護施設の在り方も検討すべき」「制度のハードルが高い」など
と、幅広い議論を望む委員が大半を占めた。セーフティーネットをいかに張るか、委 員会の議論に注目が集まっている。
シルバー新報 2003年8月1日発行
生活保護制度の見直しで専門委
厚生労働省の社会保障審議会福祉部会(座長=岩田正美日本女子大学教授) は七月二十八日、保護基準などを含めた生活保護制度の見直しについて、専門委員会
を設置することを了承した。年々上昇している保護費の引き下げも視野に検討する。 委員の選出後、六日に第一回の会合を開く。来年六月をめどに改革案をまとめる。
生活保護制度は制度疲労が指摘されており、措置制度が相次いで廃止される 中、最低生活を保障する制度としての見直しが求められた。また、今年六月の財政制
度等審議会では、財政面から特に七〇歳以上の高齢者に上乗せされる「老齢加算」 や、被保護母子世帯への「母子加算」の廃止を求めている。
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