行動援護の資格要件の経過措置が延長

(課長会議資料121p)

 2008年3月いっぱいとされていた行動援護の経過措置が延長になりました。1つは、サービス提供責任者は本来知的や精神障害に関する実務経験5年必要なところ、経過措置で行動援護研修+3年経験でよしとする措置です。これは3年延長になりました。もう1つは、行動援護に従事する一般ヘルパーで、本来知的精神の実務経験2年が必要ですが、行動援護研修+1年経験でよしとするものです。こちらは期限が明示されず延長となっています。

 

 

 

相談支援の強化と利用計画の義務化について

〜大問題が進行中〜

(課長会議資料12p)

 厚生労働省は3年後に相談支援事業者が全利用者のサービス利用計画を作り、その計画を参考に市町村が支給決定する仕組みへの転換を計画しています。

この4月から、サービス利用計画利用者の対象を一部広げるなど、準備を進めています。

 この計画が進むと、1割の良質な市町村(たとえば最高24時間のヘルパー制度を支給決定している)では、施設からの地域移行など、よりよいサポートが進むと思われますが、9割の障害福祉に熱心でない市町村では、最悪の結果を招くと予想されます。これらの9割の市町村では社会福祉協議会など市町村と関係の強い法人が相談支援を行うしかなく、市町村の意向に沿ったサービス利用計画を作ってしまいます。たとえば、24時間の介護が必要でも、市がそんなにたくさんの重度訪問介護を支給決定するつもりがない場合、相談支援事業者はデイサービスや細切れ介護の計画を作ることになります。そうなると、障害者が市と交渉しようとしても、「第3者の専門家が公平に作ったケアプランの方が障害者個人の要望よりもよりいい計画」ということになってしまい、市に門前払いをされます。その結果、さらに障害が重度化すると永久入院か施設入所しかないという地域になり、それが固定化します。これは大変な問題です。

 

 

国庫負担基準オーバーの市町村に、全額を国庫補助対象にする新制度の続報

 

補助の限度が決まる

限度オーバーは全国で東京の1市のみ

 

 1月号で紹介した国庫負担基準オーバー分を補助する制度の続報です。制度の名前が変わり「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」と、「等」が加わりました。居宅介護の利用者しかいない市町村でも国庫負担基準オーバーすれば補助が使えます。

 補助の上限が決まり、ヘルパー事業費が以下の金額までは、(国庫負担+今回の補助で)カバーされ、市町村の自腹が出ないことになりました。

人口10万人未満の市町村・・・・・全額助成
人口1030万人の市・・・・・・・国庫負担基準の2

人口30万人以上の市・・・・・・・国庫負担基準の1.5

 

(課長会議資料120p)

 これにより、全国で、市町村の完全自腹が発生するのは、東京都の30万人以上の市1箇所だけとなります。(この市は国庫負担基準の1.6倍程度のヘルパー事業費)。

 人口10万人未満の市町村は国庫負担基準をいくらオーバーしても全額補助されます(ただし県が上限をつけることは出来る)。人口10万から30万の市では、国庫負担基準と同額まで補助されます。

 まだ「国庫負担基準を設けている国は矛盾している。だからこの助成制度を行わない」という県があります。今回は国も予算を分配しています。

 各県で障害者団体で県に強く交渉して、上限無しで補助をするように働きかけをしてください。

 それとともに、いままで国庫負担基準をオーバーしたことのない市町村にもこの補助のことを伝えて、国庫負担基準のことを気にして、ヘルパー時間数を抑制することのないように県から全市町村に説明をするように要望してください。

 

 

再掲載


新たに基金事業で、市町村のヘルパー事業費全額が国庫補助対象に

 今回始まる制度は、

1.従来からある制度である、都道府県の地域生活支援事業による市町村への補助を拡大(対象市町村を大きく拡大 市町村負担0%、都道府県50%、国50%)

2.新制度として、基金事業から国庫負担基準オーバー分へ国庫補助(市町村25%、都道府県25%、国50%)

の2つです。

 つまり、ヘルパー事業の国庫負担は、国庫負担基準をオーバーしない場合は25%が市町村負担ですが、今回の助成を使う場合は、ヘルパー利用者のうち、都道府県の地域生活支援事業の補助が使える場合(重度訪問介護利用者の割合がヘルパー制度利用者の10%以上の場合)は、ヘルパー事業費全体への市町村負担は、25%よりも少なくなります。

 

 国庫負担基準をオーバーしている市町村は、小規模な町村で数名の利用者のうち、1名の最重度の障害者が長時間の重度訪問介護を使っているケースや、元国立療養所の筋ジス病棟があり、地域移行が活発な市、地域移行の支援を行う能力の高い相談支援などを行う障害者団体がある市などで、本来は国がより支援を行わなければいけない市町村がほとんどです。しかもそれらの市町村のサービス水準は、財政的に厳しく、他の市町村よりもサービス水準が低いところも多くあります。

 このため、この国庫負担基準の問題は、多くの障害者団体や自治体より、国庫負担基準の撤廃や、国庫負担基準オーバー部分の財政支援を行うように要望がありました。審議会の最終報告でも、この問題提起を受けて、国庫負担基準オーバーの市町村に対して財政支援を行う仕組みが必要という報告が出ています。

 

 この制度は、都道府県の地域生活支援事業と基金事業で行われるため、都道府県が実施を決めなければなりません。都道府県の地域生活支援事業による補助制度は、いままで47都道府県中、秋田県と愛知県でしか行われていません。

(いくつかの県は「国庫負担基準を国は撤廃すべきであって、国の責任で行うべきものを県が肩代わりするのはおかしい」との意見で実施していませんでした)。しかし、今回は、地域生活支援事業の国予算が40億円増え、都道府県にはその1割が配分されるので4億円(事業費ベースで8億円)が増える計算です。この増分は12月の課長会議では「手話通訳」と「市町村への国庫負担オーバー分への補助事業」に主に使うように説明されています。つまり、今回は、国の負担分のお金も実質的に用意されています。

 また、基金事業は3年間の予定ですが、3年後までには与党とも3年以降への継続の話し合いがつくと思われます。

 基金事業による助成は国庫負担基準のオーバー分の全額を補助することも可能ですが、都道府県が一定額までしか補助しないこともできる制度になっています。

 各県の障害者の皆様へ。県に強く、全額補助の実施を働きかけをしてくださるよう、お願いします。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

平成20年12月25日主管課長会議資料5−5の47pより

           

テキストPDF原文はwamネットに掲載されています。

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/0/1efc5daad344ecbf4925752b00164b56/$FILE/20081226_6shiryou5-5.pdf