高知県の過疎地、東洋町でのALS患者の

24時間介護成功事例

 

 

 

高知県東洋町は、高知県の最東端。徳島県との境にあります。人口は2000人強。

四国は平地が少なく、山が険しく、地形は、山から海へ一気に落ち込むような土地

柄です。

東洋町は、まとまった平地のある、人口集積地の高知市や徳島市のいずれからも

車で2時間以上の距離です。

東洋町に住む篠原糸美さんは36年前にALSを発症、7年前に人工呼吸器装着。

24時間の介護が必要ですが、介護事業所が行えるサービス提供は平日昼間の

わずかだったため、糸美さんの息子が高卒でアルバイトしながら母である糸美さ

んの介護をし、糸美さんが人工呼吸器利用になったあとも、夜は息子が365日

の介護をし、朝夕や土日も介護をし、息子は30歳代半ばになるまで介護中心の

生活をしており、倒れる寸前でした。町役場や福祉関係者等もなんとかしようとし

ましたが、解決方法を見いだせないでいました。当初、町は重度訪問で324時間

の決定を出していましたが、派遣できる事業所がなく、その半分程度しか利用で

きていませんでした。

篠原さんからの相談を受けて、1年前より、全国広域協会・介護保障協議会が

支援に入ったことを機に、重度訪問も744時間の支給決定がおり、24時間介護

をかなり解決しましたので、報告します。

 

支援経過

全国広域協会の全国転勤ALS専門ヘルパー(現地でヘルパーが育ったら他地

域に転勤していくスタッフ)が1名東京から東洋町に転居して、常勤で介護をはじ

めました。全国広域協会の傘下の法人である一般社団法人HKの重度訪問介護

事業所たかまつ24のスタッフと、関西担当の大阪広域協会の大阪のスタッフが

東洋町に訪問して、患者相談、現地の住宅確保や、ヘルパー面接、ヘルパー育

成など行っています。自薦ヘルパーではなく、半分自薦(支援付き自薦)という形態

をとっています。

住宅付きでの転居型の求人を全国から行える「住み込みナビ」等で全国から無資

格人材等を常勤で求人し、重度訪問介護ヘルパー資格(現在は講義10時間はオ

ンライン授業で、実習10時間は利用者宅で取得可能)を取得してもらい、ヘルパー

の教育育成を行っています。徐々にヘルパー人材が雇用され、教育が終わり、一人

で人工呼吸器利用者の介護ができるようになっていき、人材が増えていっています。

今後、常勤ヘルパー中心に5〜6人程度まで増やしていく予定です。人材確保はまだ

計画の7割程度。現在も求人中です。

当初1年ほど、あまりに求人の応募がなかったので、現在は、社宅として専用の貸家

を用意し家賃自己負担なし、家財道具も用意、引っ越し費や光水熱費も法人負担の

条件で求人しています。同じような全国の過疎地でも、同じ方法で重度訪問介護ヘル

パー確保の問題解決ができる可能性があります。

 

以下、ALS患者の篠原さんと、たかまつ24の管理者西尾さんに記事を書いていただ

きました

 

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(高知県東洋町 ALS患者 篠原糸美 )

 私は、1984、3月右手指先に異常を感じ、育児、家事ができなくなり、実家に帰り

父母に世話になった。

28歳でALSを発症、このとき現在まで主に介護してくれている次男は、生後9ヶ月で

あった。

私の住む東洋町は、高知県東端で急速な過疎化で、難病患者が生きていくには、

家族に頼るしかなかった。

父の死後、高齢になった母を助けるため、次男は高卒後アルバイトをしながら、

介護をしてくれるようになった。(2003年頃)

2013年、8月に肺炎を患い、命の危機に直面、私の意思と反対の人工呼吸器装

着、次男は一人で介護する決意。社会資源は皆無に等しく、訪問看護さえいない中

で、在宅(人工呼吸器での24h家族介護)が始まった。(次男が28歳頃)

 この地域のヘルパー不足は深刻を超えており、生きれば生きるほど、我が子に

辛い思いをさせてしまう。平日の日中はヘルパーは来てくれるが夜間は無し、土日

は一切無く、次男の疲労は頂点に達した。何一つ文句を言わないが、親として見

ておれず、信頼できる方と模索。早くから自薦ヘルパーは知っていたので、思い

切って契約。2020年、4月から24時間×365日が支給決定。ヘルパーの人数は

足りてないが、次男は時間を気にせず、食事ができるようになった。手のかかる

ものは「施設に」という根強い考え方がある。それを払拭する為にも必ず、成功させ

たい。そして遅くなったが、次男に青春を返してやりたいと願っている。 

 

 

****

 

(西尾直子 一般社団法人HKたかまつ24)

私は現在、香川県高松市でHKたかまつ24の事業所の管理者をしています。

高松市から東洋町までは車で片道3時間程度かかりますが、月に2回程度、東洋町

に泊りがけで通い、面接・研修などの対応をし、日常的には電話やLINE等で各種

]相談・調整対応を遠方・遠隔で行っています。以下は、東洋町の援の経過報告です。

 

 東京の法人本部に担当ケアマネさんから自薦ヘルパーについての相談があった

のが2019年の2月のことでした。地元の介護派遣事業所は短時間細切れの派遣と

]なっており、入れ替わり立ち代わり人が出入りし、生活も介助もまったく安定せず、

限界をむかえているとのことでした。

相談を受けて、篠原さんのご自宅を初めて訪問したのが2019年の2月末。その頃

は、重度訪問介護の支給時間は324時間で、そのうち実際に利用できているのは

平日週4日・日中のみの170時間。木曜と夜間・土日の介護はすべて息子さんが

担っていらっしゃいました。早速、自薦ヘルパーの求人を開始しましたが、東洋町

は人口2300人程度の小さな町で、高齢化率(その地域の65歳以上の方の占める

割合)も約45%。就労人口も少なく、最寄りのハローワークまで車で2時間かかる

地域で全く応募がありませんでした。

 

201911月、求人を開始して8ヶ月目にようやく非常勤希望で1名の応募があり週1

日の勤務で採用しましたが、このまま介護者不足の状態を続けるのはご本人、ご

家族の負担が大きく、緊急性が高い状況が続いていました。小規模市町村でも、

24時間の介助制度・地域での自立生活の実態をつくっていく必要性を法人本部と

協議し、20204月より本部からベテランヘルパーが介助応援で東洋町に来てくれ

ることになりました。今後、常勤ヘルパーを中心に介助体制をつくっていくためにも、

まず時間数を増やすことが必要なため、ご本人・ご家族から東洋町役場と介助時

間数の協議をしていただき、20204月に744時間の支給決定がおりました。

 

現在は、移住支援(社宅付き)求人をしています。応募も半年で約20件あり、県外

からの移住ヘルパーも常勤を2名採用することができました。移住採用ということ

もあり、現地見学・面接・研修等、採用にはじっくり時間をかけて取り組んでいます。

支援開始当初、地元派遣事業所の急な撤退など様々困難はありましたが、本格

的に支援体制を組んで半年でかなり介助体制が整ってきました。あと1名は常勤

を採用する予定です。

支援開始当初は、せめて「平日の日中の介助が埋まれば」という控えめなご希望

でしたが、現在は週6日の日勤と週4日夜勤で助者が入るようになり、息子さんの

自由な時間も増えてきました。

介助体制が整ったら、ご本人の趣味である庭作業など、現在はあまりできていな

い外出や余暇などの時間が充実できるような体制を組んでいきたいと思っています。

 

2019年

 

 

2020年12月現在

 

          

 

■人工呼吸器利用者の24時間介護と自立生活の事例                                                                                                                              

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