★尊厳死法案問題特集

 

 

 

★推進会議に変わる内閣府の会議、本格開始

 

 

 

 

月合併号

 2012.9.18

編集:障害者自立生活・介護制度相談センター

情報提供・協力:全国障害者介護保障協議会

 

発送係(定期購読申込み・入会申込み、商品注文)  (月〜金 9時〜17時)

       TELFAX 0120−870−222(フリーダイヤル)

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制度係(交渉の情報交換、制度相談)

              (365日 11時〜23時(土日祝は緊急相談のみ))

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2012年8月9月合併号

 

目次

 

3・・・・障害者基本計画の見直しに向けた議論スタート

6・・・・市長村の国庫負担超過額に補助する制度の補助金要項が出ました

11・・・相談員・医療福祉関係者に殺された、ALS患者の事例

19・・・超党派の議員連盟が尊厳死の法制化を検討

23・・・尊厳死法案の問題の特集

36・・・全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

 

 

 

 

<介護制度情報ホームページ情報> 医療的ケア法制化(吸引・経管栄養)関連の詳細情報はホームページ新着情報ページ(日本地図をクリックした先)の左メニュー「医療ケア制度」コーナーに多くの資料を掲載中です。

 

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会よりお知らせ

2012年単価改正で単価が下がりましたが給与は引き下げません。処遇改善手当も2012年度以降も継続します

たとえば東京と周辺県は重度訪問介護区分6で時給1620円、身体介護は時給2120円(詳しくは巻末の広告ページを)

2009年度制度の単価改善で、重度訪問介護の単価アップ・雇用保険加入・原則厚生年金加入開始。自薦ヘルパーを確保するための求人広告費や、ヘルパー研修受講料の助成(東京などで随時行う研修を受けるための交通費なども助成)、求人広告むけフリーダイヤル番号無料貸し出しと求人広告の電話受付代行も実施中。

・介護者の保障のアップで介護人材確保がより確実になりました。


 

 

 

 

障害者基本計画の見直しに向けた議論スタート

 

内閣府の障害者政策委員会(障害者制度改革推進会議のメンバーがほぼそのまま移行)は8月20日に第2回会合を開き、2013年度からの10年間の障害者基本計画を年内に策定するために、9月から11月にかけて小委員会を各3回開催し、障害者施策全般にわたって議論することになりました。新しい障害者基本計画は、障害者政策委員会が取りまとめた意見を、各省庁と調整したうえで、最終的には閣議で決定されることになります。

なお、障害者自立支援法などの介護制度については、10月下旬から11月にかけて後半のグループCで議論される予定です。なお、後半の委員の人選は今後決まります。

 

 

障害者政策委員会の小委員会のグループ分け

※カッコ内は障害者基本法の第2章に挙げられている条文

 

【前半】

グループ@  ・教育(16条)

・文化的諸条件の整備等(25条)

グループA  ・年金等(15条)

・職業相談等(18条)

・雇用の促進等(19条)

・経済的負担の軽減(24条)

グループB  ・消費者としての障害者の保護(27条)

・選挙等における配慮(28条)

・司法手続における配慮等(29条)

 


【後半】

グループC  ・医療、介護等(14条)

・療育(17条)

・相談等(23条)

グループD  ・住宅の確保(20条)

・公共的施設のバリアフリー化(21条)

・情報の利用におけるバリアフリー化等(22条)

グループE  ・防災及び防犯(26条)

・国際協力(30条)

 

 

 

障害者政策委員会小委員会 所属グループ名簿

※ ◎は座長

グループ@(教育、文化的諸条件の整備等)


◎三浦 貴子  阿部 一彦   石川 准   大谷 恭子

尾上 浩二  嘉田 由紀子  新谷 友良  土本 秋夫

棟居 快行


 

グループA(年金等、職業相談等、雇用の促進等、経済的負担の軽減)

◎藤井 克徳  浅倉 むつ子  伊藤 たてお  遠藤 和夫

勝又 幸子  門川 紳一郎(オブザーバー:福島 智)

川ア 洋子  清原 慶子   佐藤 久夫   竹下 義樹

中原 強   花井 圭子

 

グループB(消費者としての障害者の保護、選挙等における配慮、司法手続における配慮等)

◎氏田 照子  石野 富志三郎  上野 秀樹  大濱 眞

北野 誠一  後藤 芳一    関口 明彦  田中 正博

中西 由起子

 

(後半のグループ人選は未定)

(次ページに続く)


現行の障害者基本計画(関連箇所の抜粋)

V 分野別施策の基本的方向

2 生活支援

(2)施策の基本的方向

A 在宅サービス等の充実

ア 在宅サービスの充実

ホームヘルプサービス等の在宅サービスを障害者がニーズに応じて利用できるよう、その量的・質的充実に努める。このため、既存事業者の活用とともに、新規事業者が参入しやすい仕組みとする。

ホームヘルプサービスについては、障害特性を理解したホームヘルパーの養成及び研修を行う。

豊かな地域生活のためには、日中の活動の場としてのデイサービスを身近な地域で利用できることが重要であり、デイサービスセンターに加え、学校の空き教室等を利用して、その充実を図る。また、重症心身障害児(者)通園事業については、充実を図る。

C 施設サービスの再構築

ア 施設等から地域生活への移行の推進

障害者本人の意向を尊重し、入所(院)者の地域生活への移行を促進するため、地域での生活を念頭に置いた社会生活技能を高めるための援助技術の確立などを検討する。

「障害者は施設」という認識を改めるため、保護者、関係者及び市民の地域福祉への理解を促進する。(以下略)

イ 施設の在り方の見直し

施設体系について、施設機能の在り方を踏まえた上で抜本的に検討する。

入所施設は、地域の実情を踏まえて、真に必要なものに限定する。

障害者が身近なところで施設を利用できるよう、小規模通所授産施設等の通所施設や分場の整備を図るとともに、障害種別を越えて相互利用を進める。

障害者施設は、各種在宅サービスを提供する在宅支援の拠点として地域の重要な資源と位置付け、その活用を図る。

障害の重度化・重複化、高齢化に対応する専門的ケア方法の確立について検討する。また、高次脳機能障害、強度行動障害等への対応の在り方を検討する。

入所者の生活の質の向上を図る観点から、施設の一層の小規模化・個室化を図る。

 

 


市町村の国庫負担超過額に補助する制度の補助金要項が出ました。

 

「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業」(国庫負担基準オーバーの市町村に、オーバー分を100%市町村が負担するのではなく、国50%・ 県25%・市町村25%にする制度)の補助金要項が国から都道府県等に送られました。(制度詳細は12・1月合併号を。)

要項によると、制度の内容は、基金事業のころの制度の仕組みから一切変わっておらず、過去の主管課長会議資料等で国から出されたものと同じです。

自治体の中には「補助金要項が出てないので実施するかどうか検討できない・・・」などと言っている自治体もありますので、念の為に掲載します。

2ペーで先の新旧対照表の左下、(地域生活支援事業の項目ではなく)、「区分認定等事業費補助金」のEに新設された下線部分がそうです。

3ページ先に掲載しました、別紙5pから6pにかけてにも詳細が載っています。この部分にも新しい情報はなく、今までどおりこの制度での補助額(国庫負担オーバー部分の金額を補助する)は以下のとおりです。

 

・人口30万人以上は国庫負担基準の5割まで

・人口10万人から30万人は国庫負担基準の10割まで

・人口10万人未満は上限なし

 

つまり人口28万の市の場合、国庫負担基準(全利用者の基準額の合計額で計算)が10億円ちょうどだった場合で、「ヘルパー事業費決算」が20億円だった場合は、市の「全額負担部分」はなくなります(市の負担はヘルパー事業費決算20億円の25%となります)。

しかし、人口28万の市で、国庫負担基準が10億円だった場合で、「ヘルパー事業費決算」が25億円だった場合は、5億円は市の「全額負担部分」となります。(市の負担は20億円部分の25%と、5億円部分の全額となります)。(実際には、10万人以上の大きな市では、ヘルパー決算額が国庫負担基準の2倍を超えるような市はまずない)。

人口9万人の場合、国庫負担基準が5億円、「ヘルパー事業費決算」が30億円だった場合でも、市の全額負担部分はありません。(市の負担は事業費の30億円の25%))。

実際には、人口2〜3万人以下の小規模町村で障害ヘルパー利用者が1名だけの場合などに、障害が特に重く家族の介護が得られない場合には国庫負担基準の3倍4倍以上支給しなければいけない例がよくあります。そういった市町村のために人口10万人以下の小規模市町村向けには輔助の上限を設けていません。

 

 

厚生労働省発障0808第11号

平成24年8月8日

         

         

           

各 一部事務組合の管理者  殿

         

開    発    者

 

厚 生 労 働 事 務 次 官  

 

 

 

地域生活支援事業費補助金及び障害程度区分認定等事業費補助金の国庫補助について

 

標記については、平成21年8月25日厚生労働省発障第0825第1号厚生労働事務次官通知の別紙「地域生活支援事業費補助金及び障害程度区分認定等事業費補助金交付要綱」(以下「交付要綱」という。)により行われているところであるが、今般、交付要綱の一部が別添新旧対照表のとおり改正され、平成24年4月1日から適用することとされたので通知する。

なお、各都道府県知事におかれては、貴管内の市町村(特別区を含み、指定都市、中核市、一部事務組合及び広域連合を除く。)に対する周知につき配慮願いたい。

 

 


別添

地域生活支援事業費補助金及び障害程度区分認定等事業費補助金

交付要綱一部改正(案) 新旧対照表

(下線部が改正部分)

地域生活支援事業費補助金及び障害程度区分認定等事業費補助金交付要綱

 

(通則)

1 (同右)

 

(交付の目的)

2 (同右)

 

(交付の対象)

3 この補助金は、次の事業を交付の対象とする。

 

(1)地域生活支援事業費補助金                                  

   (同右)

 

(2)障害程度区分認定等事業費補助金

@ 障害者自立支援機器等開発促進事業

    (同右)

  A 工賃向上計画支援事業

    平成2411日障発0411号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知の別紙「工賃向上計画支援事業実施要綱」に基づき、都道府県が行う事業

 

  B 障害者就業・生活支援センター事業(生活支援等事業)

    (同右)

  C 障害者就業・生活支援センター事業(モデル事業)

平成24年5月9日障発0509第2号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知の別紙「障害者就業・生活支援センター事業(モデル事業)実施要綱」に基づき、都道府県が行う事業

  D 障害者虐待防止対策支援事業

    (同右)

 

 

 

 

 

 

 

  E 重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業

平成24年5月23日障発0523第1号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知の別紙「重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業実施要綱」に基づき、都道府県が行う事業

F 不服審査会経費

法第97条第1項の規定に基づく審査請求で、法第98条第1項により都道府県が障害者介護給付費等不服審査会を運営する際の必要な事務経費及び児童福祉法第56条の551項の規定に基づく審査請求で、同法第56条の552項において読み替えて準用する法第98条第1項により都道府県が障害児通所給付費等不服審査会を運営する際の必要な事務経費

 

(交付額の算定方法)

4 (同右)

(1)3の(1)の事業

   (同右)

 

(2)3の(2)の@からC及びEからFの事業

   (同右)

 

(3)3の(2)のDの事業

@ 連携協力体制整備事業、家庭訪問等個別支援事業及び専門性強化事業

次の表の第2欄に定める種目ごとに、第3欄に定める基準額と第4欄に定める対象経費の実支出額から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額に第5欄に定める補助率を乗じて得た額を交付額とする。

A 障害者虐待防止・権利擁護事業及び普及啓発事業

次の表の第3欄に定める基準額と第4欄に定める対象経費の実支出額から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。

 

地域生活支援事業費補助金及び障害程度区分認定等事業費補助金交付要綱

 

(通則)                                                        

1 (略)                                                

                                                              

(交付の目的)                                                  

2 (略)                                                                

 

(交付の対象)

3 この補助金は、次の事業を交付の対象とする。                  

 

(1)地域生活支援事業費補助金                                  

   (略)

 

(2)障害程度区分認定等事業費補助金                            

  @ 障害者自立支援機器等開発促進事業

    (略)

  A 工賃倍増5か年計画支援事業

平成19日障発第0706005号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知の別紙「工賃倍増5か年計画支援事業実施要綱」に基づき、都道府県が行う事業

  B 障害者就業・生活支援センター事業(生活支援等事業)

    (略)

 

C 障害者虐待防止対策支援事業

    (略)

 

 

 

 

D 介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修事業

平成23年11月11日障発1111第2号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知の別紙「平成23年度介護職員等によるたんの吸引等の実施のための研修事業実施要綱(特定の者対象)の実施について」に基づき、都道府県が行う事業

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(交付額の算定方法)                                            

4 (略)

(1)3の(1)の事業

   (略)

 

(2)3の(2)の@からB及びDの事業

   (略)

 

(3)3の(2)のCの事業

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  次の表の第3欄に定める基準額と第4欄に定める対象経費の実支出額から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を交付額とする。

 

 


 

別表

1区分

2種目

3基準額

4対象経費

5補助率

障害程度区分認定等

重度訪問介護等の利用促進に係る市町村支援事業

市町村(政令指定都市及び中核市除く。)に対し、当該年度における国庫負担基準の超過額の範囲内で、都道府県が必要と認める額

 ただし、次に掲げる市においては、次に掲げる金額の範囲内で都道府県が必要と認める額を助成額とする。

1.人口30万人以上の市

「当該年度の国庫負担基準額に50%を乗じた額」と「当該年度の国庫負担基準超過額」を比較して、いずれか低い方の額

2.人口10万人以上30万人未満の市

「当該年度の国庫負担基準額に100%を乗じた額」と「当該年度の国庫負担基準超過額」を比較して、いずれか低い方の額

平成21511日厚生労働省発障第0511002号厚生労働事務次官通知の別紙「障害者自立支援給付費等国庫負担(補助)金交付要綱」別表1の第2欄に定める種目「1障害福祉サービス費等」における第4欄に定める対象経費「1当該介護給付費等の支給に要した費用」

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交渉ノウハウの第一歩はこの資料の熟読をおすすめします。


 

 

 

相談員・医療福祉関係者に殺された、大都市

近郊の県庁所在地のALS患者の事例

 

ALS/NMDサポートセンターさくら会の川口さんの書いた、来年、丸善から
発刊される 『生命倫理学』第8巻 第9章に入る文章の一部を、著者から転載許
可をいただきましたので抜粋紹介します。
 
2 Rの手記
 これはALS患者の遺族から聞いた話で、「職務に忠実なつもりで倫理的思考
回路が停滞してしまっている」専門職の事例である。本編全体がそうであるよう
に、当事者のバイアスがかかっている。しかし、家族から支援者の言動がどのよ
うに見えるかという参考にはなるだろう。
2009年2月28日午後2時から遺族R(40代女性)のご自宅を訪問し、2
時間のインタビューを行った。その時、RはALSの父親を看取って1年半が経
過したところで、父親を救えなかった(呼吸器を着けてあげられなかった)とい
う自責の念にとらわれていた。患者会との関係も断っていたが、個人的にはAL
Sの支援を続けていきたいという。それで私は彼女とeメールでやりとりを続け
てきたが、このたび話を聞かせてもらうことになった。私はなぜ彼女と地域の支
援者らとの関係が悪化したのか、直接聞きたかったのだ。
次の文章はこの時のインタビューと、Rの手記をもとに構成したものである。
固有名詞は匿名化し、本論への掲載については2011年2月27日に改めてR
の承諾を取り直した。
 
父は2004年に異常に気付き、2004年10月にALSと診断されました。
そして、2008年11月に死にました。鼻マスクでさえつけないと決めていた
のは、夜は訪問看護が入れないと言われたからです。しかし、父は「私には呼吸
器を付ける義務がある」とも言っていました。「自分が生きることにより、地域
の福祉を開拓できる」と言っていたんです。
とうとう呼吸器をつける時になり、「何のために、なぜ付けてまで生きていたい
のか?」と医者に聞かれて、「なんでALSの人だけ、そのようなことを聞かれ
なければならないか」と父は憤慨していました。医者にも同じことを聞きたいと。「あなたは何のために生きているのか」と。
2008年1月ごろ、父から私の携帯にメールがありました。
「お母さんの介護に、いらだちとストレスを感じている。これは私が短期レスパ
イト(介護者を休ませるために短期入院すること)すれば解決する問題ではない。
そこで考えたのは、日頃の私の介護量を激減し、お母さんを十分に休ませること
だ。
そのためには、訪問看護によるカバーが必要だ。
@    朝の8−9時の食事とたんの吸引、おむつ交換
A    夕方6−7時
B    夜10−10時半の痰吸引とおむつ交換 以上
これのほかにお母さんの休日である水曜と日曜に昼12−1時の食事注入と痰の吸
引、おむつ交換、この4つに新たに訪問看護の手配が必要になる。
そこでお前にお願いがある。看護師派遣は今世話になっているところでは人数的に
無理だろう。そのため、総合病院にいる難病医療専門員のAさんと相談してG先生
を動かして総合病院の先生の協力で総合病院から訪問看護の派遣を実現してくださ
い。母に言ったら反対するから内緒で。」
母親の介護疲れを軽減することで、父は夫婦仲を保とうとしていた。レスパイト入
院などでは根本的な問題解決にはならないことも、父にはわかっていたのです。
父のこの考えを、父の要望通りにAさんに相談したところ、叱られました。
「お父さんの考え方は間違っている。それは私の仕事ではない。そんなことは先生
だってしてあげる義務はない。人をコマのように考えるのなら誰も力になってくれ
ないわよ」
「患者が患者がと、家族も患者の気持ちばかりをごり押ししたらいけない」
「患者は自分の要求ばかりしている。それでは支援してくれる人は誰もいなくなり、
結局、患者同士で、ぐだぐだ愚痴や文句を言い合うばかりになる」
「行政の立場も理解して。感情を出さずにうまく言葉を選んで私たちとご両親の間
に入ってね」
「そんな口のきき方したら誰もいなくなるわよ」
「悪意をもって決めつけて話したらアカン」とも言われました。
eメールのやりとりをして親しくしている他県の患者や家族が、うちが使っていない
自立支援法の見守り介護制度を使っていることを話したら、「自分にも申請できる
はずだと思ったら甘い。ここでは給付の実績はないんだしね。」
「私の立場では患者さんの味方はできない」
「私が患者の気持ちに配慮したら、私のところにくる保健師やケアマネは、私をど
うせ患者側の人だと思って、頼ってもらえなくなる」
あまりの言い方に腹立たしく思いましたが、「ケアマネに訪問看護ステーションの
追加をお願いしたら嫌がられた」と話すと、「訪問看護ステーションが他のステー
ションに入ってくれるなと言った真意を、あなたはわかっていないわね。他の看護
師が入ると困るということは、それは二か所のステーションが同日に入れないとい
うことなのよ。あなたは悪意をもって、最初から訪問看護の訪問を断られたのはケ
アマネの意地悪だと決めつけて話をしているけど、それでは誰も協力してくれない
わよ」。
私が「現在の訪問看護ステーションは、他の訪問看護ステーションがケアに入るこ
とを嫌がっているって話を聞いた。そういうことだと思った」というと、「そうか
もしれんけど、そんな言い方したらいけません」と言われました。
それに、厚労省が容認したはずのヘルパーの気管吸引についても、「ヘルパーが吸
引も胃ろうもできないなら、ヘルパー要らんってあんたのお父さん言うけどそれは
当り前や。利用者に要求されたって、ヘルパーは医療的ケアしたらいけない。ヘル
パーが吸引できないことは当り前なんです。」
私は言い返していました。「父が、ヘルパーに「もうこなくていい」って言ったの
は、何も吸引だけが原因じゃないんです。あの人たちはおむつ交換も体位変換もで
きない。だからです。」
難病相談員は私たちのための相談員だと思っていました。だから頼ったのに何度も
その仕事(患者の立場に立って自治体や病院と交渉すること)は私の仕事ではない
と言われました。私が何か言っても、「それは違う」と遮られました。そして、
「そんなことを言っても見捨てるつもりはないからね」と、まるで正反対のことを
言うのです。
私は情けなかった。Aさんに患者側には立てないと言われ、家族は口の利き方に気
をつけろと言われ、賢く立ちまわれと言われ・・・。なんて情けないんだろうって
ずっと考えていました。父はかわいくできない性格なので、病院や関係者に好かれ
る患者でないことはわかっています。でも、そのせいで孤独なのもわかっています。
難病医療専門員ならわかってくれると思っていたのに。難病医療専門員ってこんな
仕事だったのかと。
母は「お父さんは私に介護してほしくないだけよ。人が静かに休んでいる時間帯に
看護師がうろうろしてほしくないわ。せめて夜くらい休みたいわ。胃ろうや夜の準
備くらい私だってできるわよ。それより私は夫に入院してほしいわ。」
それで、母にもう一度、私は言いました。
「それはわかるけど長期入院できる病院ないし、探しても難しくて時間もかかる。
訪問看護さんが来たとしても、お母さんは二階にあがって知らん顔してたらいい
じゃない。そんなわけにいくかって?そのうち慣れるかもしれないじゃない。身体
も少しは休まるでしょ?」と。
私はなんで母がこんなにも気を使わなければならないんだろうと思いました。情け
なくなったけれど、母も追い込まれているのです。いくら介護とはいえ、他人に家
に入ってきてほしくないんです。
そして、私は父に「ヘルパーや看護との人間関係を築けるように、気長に付き合わ
なければならない」と何度もメールしました。父は好きで介護してもらっているん
じゃないのに、悔しい思いでいっぱいであろうに「患者として努力しなさい」と、
私から父に諭すようなことを言うのは本当に悲しいです。あの年代の男性にとって
患者として努力しなさいなどというのはとても難しい。あきらめてもらわないとい
けないけど、これ以上がまんさせたくない。
その後、父と話し合いをしにAさんが支部の人といっしょに来ました。父はろれつ
が回らずもう話ができないから、言いたいことをワープロで一文字一文字ゆっくり
と打っていました。その脇から相談員のAさんは覗きながら、「それはわがままや。
ケアマネを変えてもよい人が来るとは限らない。」などと、父の話をおしまいまで
読まないで、まくしたてました。
すると父は「人の話は最後まで聞きなさい」と画面に書いたのです。そしたら、と
たんに、「帰れって?じゃあ、帰りますわ。私の仕事は私に助けを求めてくる人の
援助やから。いらんって言われたらもうそこまでですね。」と逆に切れてしまいま
した。
「あなたはこういう物の言い方をするんだね。そんな事をいったら、今療養してい
るのはだれのおかげ?」
最後に父は諦めたのでしょう。
「私の個人的要望は諦めました。今までのことは感謝している、ありがとう」と言
い切ったのです。「支部には他の患者のために協力したいが、私個人のことはもう
いいです」と文字を打ちました。
すると、Aさんは、「ついでにお母さん!もしレスパイトしたいのなら、レスパイ
トさせてくださいって私に申し出てもらわんとね。誰も「レスパイトの必要ないで
すか?」なんて聞いてくれないからね。」と言い残して、立ち去ってしまいました。
県の医療関係者と密にかかわる難病医療相談員のAさんは患者会にとっては大事な人
なので、患者会の人も何も言えません。見て見ぬふり。このままいくしかないので
す。
父が亡くなる半年くらい前に保健所から訪問があり、「人手が足りないから、夜の
訪問看護はできない」ときっぱり言われ、父はそれでどうやっても呼吸器は装着で
きないと諦め、死んでいく決心をしたのです。
そして、父は意思決定に関することをメールに次のように打ちました。
これが事前指示書です。
@ 家族の献身的な介護が期待でき、そしてその家族の犠牲に甘えられる
患者の心情
A 家族介護に頼り切らない外部他人介護体制作りの希望的な働き
B 過酷な辛い病状に耐えて、病気を乗りきる患者の勇気
@Aの条件が満たされていない現実に直面し、その現実を踏まええれば呼吸器装
着は不可能と判断した。
結論として、私は呼吸器を拒否します。止まらぬ進行の中、自分自身とも周りの環
境ともずっと冷静に対話してきた結果、自分で出した判断です。
しかし、私はこれを父の本当の自己決定とは言えないと思っています。
父は、「難病中の難病という言葉は嫌い」「不幸を押しつけるのは嫌」「自分が呼
吸器をつけて生きていくこと、ひとりひとりの生きる力がいずれ福祉を変える力に
つながるはず」「献体したい」とずっと言っていました。
「医者はよく、「なぜ呼吸器をつけてまで生きるのですか?」と聞くのだが、私に
してみれば、世の中60歳以上の人すべてに聞いて回るならともかく、なんでAL
Sの人間ばかりにそんな質問をするのだろうか。」と、最後まで言っていました。
私は、今も父は決して死にたくなかったに違いないと思っているんです。
今でも元気なオジサン達を見ると、羨ましく思い心が痛み、車椅子姿を見るとこれ
また羨ましく思い、胸が張り裂けそう。
亡くなる数日前、お医者さんは「ご家族の意見を統一しておいてください」と言っ
たけれど、自分自身だけでも迷いに迷っていたのに、家族で意見統一なんてできる
わけなかった。
「お父さんに本当に付けなくていいのか。もう一度聞いてみたい」
そう言った私は母に「無責任だ」と責められたけど、その時、強く母に言い返せな
かった私も加害者だと思っています。
「母と喧嘩してでも、明日父に本音を聞いてみよう」と思って、病院を後にした数
時間後、父は一人で逝ってしまった
まるで私に「諦めていいの?」と聞かれるのを察して、笑って逃げていったかのよ
うに。
「ALS患者は呼吸器をつけて生きていかなければいけない。それが使命だ。」と
言い続けていた父は、地元の福祉行政や専門職に打ちのめされ、生きる事を断念し
たけれど、その時もっともっと身を張って守って闘ってあげなかった娘の私も加害
者です。
 
3.支援者のジレンマ
 難病相談支援センターの医療相談とは、国の難病事業の一環として都道府県が実
施する事業で、難病医療専門員の資格と設置場所も都道府県の任意である。この県
では公立病院のソーシャルワーカーが兼務している。そのため県内のレスパイト入
院のベッドの調整もAの采配になっていた。病院も患者もAにまず相談をし、AL
S患者はとにかく何でもAに相談し、彼女の承認を得なければならない「決まり」
ができていた。Aにしてみれば医療機関と患者との間に立たされ、その調整を続け
なければならないから、医療機関との良好な関係作りが彼女にとっての最重要事項
であった。
難病の支援者といっても、必ずしも患者側に立つばかりではない。県や病院の信頼
を得るためには、患者の要望を整理し、時には門前払いの役割を担わされてしまう
こともある。この男性患者は生存を懸けて県の障害福祉や病院の体質を改善するつ
もりでいたが、関係者にはそれぞれの建前があり誰も味方についてくれず、達成で
きずに死んでいった。これは決して特殊な事例ではなく、各地で同様のことがいつ
も起きている。ALS患者が地域で生きていくためには、生存を運動に発展させ、
自分で各方面に交渉しなければならない。生存に必要な財は自分で勝ち取らなけれ
ば得られないのだ。
長期療養のALS患者のほとんどは、自治体や関係者と個別交渉を繰り返し生き延
びてきたツワモノたちである。夢破れて無念のうちに亡くなる者は後を絶たないが、
現在の重度障害者のための介護制度が市町村の税を多く使う仕組みである以上、市
町村は長時間介護を必要とする個人への多額な分配には理解を示せないことになっ
ている。
介護制度の財源の在り方を市町村の負担にならぬよう、国が責任を持てる仕組みに
抜本的に変えるべきであるが、これは政治の話でもある。そして、政治では片付か
ないのが、やはり「自己決定」に関わるテーマだ。
 
(抜粋は以上)
 
 
 
このような悪質な相談支援が全国で行われている中、障害者の権利条約の理念を守
る理念を持った障害者団体が相談支援事業所になって連続長時間の重度訪問介護の
支給決定や連続長時間の重度訪問介護サービスに対応する事業所を支援していく必
要があると思います。
 
(本稿では、この抜粋部分の後に、尊厳死協会(旧安楽死協会)のすすめる尊厳死
法制化の問題点についての言及もあります。本が来年発売されましたらぜひ買って
全文を読んでみてください)
(これに関連し、今号の3ページ先からの特集でも尊厳死法制化の問題点の解説を
掲載しました。)

 

 

 

 

 ヒューマンケア協会の本を取り扱い中

特に、セルフマネジドケアハンドブックは自薦ヘルパー推進協会の通信研修のテキストの1つですので、お勧めです。

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全国で相談支援事業所を作り交渉支援・施設や親元からの自立支援をしたい障害者個人や障害者団体を募集

 2012年4月から、制度が大きく変わりました。非常勤の相談スタッフ1名でも地域相談支援事業所や計画相談支援事業所の指定が取れます。施設から地域への障害者の自立のサポートを行えば公的にその経費が入る仕組みが始まります。親元や施設から出た1人暮らしなどの障害者の24時間の電話相談態勢や緊急時の支援を行う態勢を作るとその経費が公的に支払われます。今まで自己資金で仲間の自立支援を行なってきた障害者は、収入を得てより充実した支援活動が行えます。

 また最も大きな変化は、障害者がヘルパー制度等の支給決定を受ける際に、相談支援事業所が作った利用計画を参考に支給決定する仕組みが始まることです(3年で全利用者に完全実施)。全国各地で重度の障害者が生活に必要なヘルパー時間数交渉をする際には、適切に計画に書いて交渉を支援してくれる相談支援事業所が必要です。しかし、現状は、「自分は24時間介護が必要で1人暮らしなのに、市の重度訪問介護の上限が12時間なので、相談事業が重度訪問介護12時間までの計画しか書いてくれない」といった困った相談が全国各地から当会に寄せられています。このような場合は、市に対して「適正な計画は24時間重度訪問介護だ」と説明し、利用者と一緒に交渉の場に参加して制度改善を支援してくれる相談支援事業所が必要です。

これらが、やる気さえあれば小規模な障害者団体でも相談支援事業所になれます(障害者団体の厚労省との交渉で制度が変わりました)。小規模な障害者団体でも、自主的な5年&900日の支援活動経験があるなら、法人化し相談支援の指定申請をすれば実務経験として認められるように制度が変わりました。その上で、県など実施の32.5時間の相談支援初任者研修を受ければ、相談員になれます。非常勤の相談員が1人いれば相談支援事業所になれます。当会では、今まで自主的な自立支援活動を行なってきた障害者個人や小規模な障害者団体など、理念のある団体・個人が相談支援事業所になることを支援します。具体的には、NPO法人取得や相談支援事業所の指定申請の方法・運営方法・利用者と一緒に行う市町村に対するヘルパー時間数交渉のノウハウなどをアドバイスします。また、障害者の権利を守り市町村の制度を改善していけるよう、また、よりよい相談支援を行えるように全国研修会も行なっています。
相談支援事業所に入る収入の資料・相談支援全体の資料は2−3月合併号掲載済みです。これらもお読みください。
相談支援事業所の立ち上げ支援について詳しくは、制度係フリーダイヤル(表紙参照)または問い合わせメールまでお問い合わせください。

 

 

 

超党派の議員連盟が尊厳死の法制化を検討

超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」で、尊厳死の法制化が検討されています。現在は、2012年秋の臨時国会での法案提出に向けて、各党で党内手続きを進めている段階です。

検討されている法案は2案あり、第一案が延命措置の不開始について、第二案が延命措置の不開始と中止について、医師の免責を規定しています。

これに対して、いろいろな障害者団体や日弁連、社会学者、様々な文化人などが、それぞれ反対を表明しています。

 

終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)

第一案(未定稿)

第二案(未定稿)

(趣旨)

第一条 この法律は、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の不開始及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定めるものとする。

 

(基本的理念)

第二条 終末期の医療は、延命措置を行うか否かに関する患者の意思を十分に尊重し、医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と患者及びその家族との信頼関係に基づいて行われなければならない。

2 終末期の医療に関する患者の意思決定は、任意にされたものでなければならない。

3 終末期にある全ての患者は、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられなければならない。

 

(国及び地方公共団体の責務)

第三条 国及び地方公共団体は、終末期の医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

(医師の責務)

第四条 医師は、延命措置の不開始をするに当たっては、診療上必要な注意を払うとともに、終末期にある患者又はその家族に対し、当該延命措置の不開始の方法、当該延命措置の不開始により生ずる事態等について必要な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

 

(定義)

第五条 この法律において「終末期」とは、患者が、傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置(栄養補給の処置その他の生命を維持するための措置を含む。以下同じ。)を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいう。

2 この法律において「延命措置」とは、終末期にある患者の傷病の治癒又は疼痛等の緩和ではなく、単に当該患者の生存期間の延長を目的とする医療上の措置をいう。

3 この法律において「延命措置の不開始」とは、終末期にある患者が現に行われている延命措置以外の新たな延命措置を要する状態にある場合において、当該患者の診療を担当する医師が、当該新たな延命措置を開始しないことをいう。

 

 

 

(終末期に係る判定)

第六条 前条第一項の判定(以下「終末期に係る判定」という。)は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う判断の一致によって、行われるものとする。

 

(延命措置の不開始

第七条 医師は、患者が延命措置の不開始を希望する旨の意思を書面その他の厚生労働省令で定める方法により表示している場合(当該表示が満十五歳に達した日後にされた場合に限る。)であり、かつ、当該患者が終末期に係る判定を受けた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、延命措置の不開始をすることができる。

 

(延命措置の不開始を希望する旨の意思の表示の撤回)

第八条 延命措置の不開始を希望する旨の意思の表示は、いつでも、撤回することができる。

 

(免責)

第九条 第七条の規定による延命措置の不開始については、民事上、刑事上及び行政上の責任(過料に係るものを含む。)を問われないものとする。

 

(生命保険契約等における延命措置の不開始に伴い死亡した者の取扱い)

第十条 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項に規定する生命保険会社又は同条第八項に規定する外国生命保険会社等を相手方とする生命保険の契約その他これに類するものとして政令で定める契約における第七条の規定による延命措置の不開始に伴い死亡した者の取扱いについては、その者を自殺者と解してはならない。ただし、当該者の傷病が自殺を図ったことによるものである場合には、この限りでない。

 

(終末期の医療に関する啓発等)

第十一条 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて終末期の医療に対する理解を深めることができるよう、延命措置の不開始を希望する旨の意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、終末期の医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

 

(厚生労働省令への委任)

第十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 

(適用上の注意等)

第十三条 この法律の適用に当たっては、生命を維持するための措置を必要とする障害者等の尊厳を害することのないように留意しなければならない。

2 この法律の規定は、この法律の規定によらないで延命措置の不開始をすること及び終末期にある患者に対し現に行われている延命措置を中止することを禁止するものではない。

 

   附 則

1 この法律は、○○から施行する。

2 第六条、第七条、第九条及び第十条の規定は、この法律の施行後に終末期に係る判定が行われた場合について適用する。

3 終末期の医療における患者の意思を尊重するための制度の在り方については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、終末期にある患者を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする。

 

     理 由

 終末期の医療において患者の意思が尊重されるようにするため、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の不開始及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

(趣旨)

第一条 この法律は、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の中止等及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定めるものとする。

 

(基本的理念)

第二条 終末期の医療は、延命措置を行うか否かに関する患者の意思を十分に尊重し、医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と患者及びその家族との信頼関係に基づいて行われなければならない。

2 終末期の医療に関する患者の意思決定は、任意にされたものでなければならない。

3 終末期にある全ての患者は、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられなければならない。

 

(国及び地方公共団体の責務)

第三条 国及び地方公共団体は、終末期の医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

(医師の責務)

第四条 医師は、延命措置の中止等をするに当たっては、診療上必要な注意を払うとともに、終末期にある患者又はその家族に対し、当該延命措置の中止等の方法、当該延命措置の中止等により生ずる事態等について必要な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

 

(定義)

第五条 この法律において「終末期」とは、患者が、傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置(栄養補給の処置その他の生命を維持するための措置を含む。以下同じ。)を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいう。

2 この法律において「延命措置」とは、終末期にある患者の傷病の治癒又は疼痛等の緩和ではなく、単に当該患者の生存期間の延長を目的とする医療上の措置をいう。

3 この法律において「延命措置の中止等」とは、終末期にある患者に対し現に行われている延命措置を中止すること又は終末期にある患者が現に行われている延命措置以外の新たな延命措置を要する状態にある場合において、当該患者の診療を担当する医師が、当該新たな延命措置を開始しないことをいう。

 

(終末期に係る判定)

第六条 前条第一項の判定(以下「終末期に係る判定」という。)は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う判断の一致によって、行われるものとする。

 

(延命措置の中止等

第七条 医師は、患者が延命措置の中止等を希望する旨の意思を書面その他の厚生労働省令で定める方法により表示している場合(当該表示が満十五歳に達した日後にされた場合に限る。)であり、かつ、当該患者が終末期に係る判定を受けた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、延命措置の中止等をすることができる。

 

(延命措置の中止等を希望する旨の意思の表示の撤回)

第八条 延命措置の中止等を希望する旨の意思の表示は、いつでも、撤回することができる。

 

(免責)

第九条 第七条の規定による延命措置の中止等については、民事上、刑事上及び行政上の責任(過料に係るものを含む。)を問われないものとする。

 

(生命保険契約等における延命措置の中止等に伴い死亡した者の取扱い)

第十条 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項に規定する生命保険会社又は同条第八項に規定する外国生命保険会社等を相手方とする生命保険の契約その他これに類するものとして政令で定める契約における第七条の規定による延命措置の中止等に伴い死亡した者の取扱いについては、その者を自殺者と解してはならない。ただし、当該者の傷病が自殺を図ったことによるものである場合には、この限りでない。

 

(終末期の医療に関する啓発等)

第十一条 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて終末期の医療に対する理解を深めることができるよう、延命措置の中止等を希望する旨の意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、終末期の医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

 

(厚生労働省令への委任)

第十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 

(適用上の注意等)

第十三条 この法律の適用に当たっては、生命を維持するための措置を必要とする障害者等の尊厳を害することのないように留意しなければならない。

2 この法律の規定は、この法律の規定によらないで延命措置の中止等をすることを禁止するものではない。

 

 

 

   附 則

1 この法律は、○○から施行する。

2 第六条、第七条、第九条及び第十条の規定は、この法律の施行後に終末期に係る判定が行われた場合について適用する。

3 終末期の医療における患者の意思を尊重するための制度の在り方については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、終末期にある患者を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする。

 

     理 由

 終末期の医療において患者の意思が尊重されるようにするため、終末期に係る判定、患者の意思に基づく延命措置の中止等及びこれに係る免責等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


 

 

 

尊厳死法制化の動きに関する報道より

3月22日 TBSニュース

「尊厳死法案」関係団体から賛否の声

 

 私たちの死のあり方を変えることになるかもしれない法案“尊厳死法案”の原案

を国会の超党派の議員連盟が22日、提示しました。患者が書面などで希望した

場合、延命措置を始めなくても医師の刑事責任を問わないとする内容で、関係団

体から賛否の声が上がっています。

 

 議員連盟の総会で示された“尊厳死法案”の原案。回復の可能性がなく死期が間

近な状態を「終末期」と定義し、患者から書面などで希望があった場合、「医師

は延命措置を開始しなくてもよい」としています。現状、こうした行為は医師が

刑事責任などを問われる可能性もありますが、医師の免責が明文化されました。

会場にはこの法案に懸念を示す人工呼吸器を着けた患者たちの姿がありました。

 

 東京・江東区で療養生活を送るALS患者・岡部宏生さん(54)。意識を保

ちながら徐々に全身の筋肉が衰え体が動かなくなる原因不明の難病です。介護ヘ

ルパーは岡部さんの目の動きで言葉を読み取っていきます。

 

Q.岡部さんにとって人工呼吸器とは?

 「私にとってはもちろん生きるための道具」(ALS患者 岡部宏生さん)

 

 ALSは人工呼吸器を着ければ寿命まで生きられますが、人工呼吸器を着ける

か着けないかの選択が生死の分かれ目となります。

 

 「私も真剣に死ぬことを考えていました。今も葛藤はあります」(ALS患者

岡部宏生さん)

 

 人工呼吸器を着ければたんの吸引など24時間の介護が必要となり、家族の負

担を考え人工呼吸器を着けない選択をする患者が多くいます。社会の介護体制が

不十分なまま尊厳死が合法化されれば、患者がさらに死を選ばされることにつな

がるのではないかと岡部さんたちは懸念します。

 

 「家族との関係やケアの体制なども深く関係します。悩みは深いです」

(ALS患者 岡部宏生さん)

 

 一方、尊厳死の法制化を求めている人たちもいます。会員およそ12万

5000人の日本尊厳死協会。協会では「延命措置の拒否や取りやめ」などの希

望を記した尊厳死の宣言書「リビング・ウイル」の普及活動を行っています。現

状でも厚生労働省のガイドラインなどに従えば尊厳死は実施できますが、協会で

は医師の免責を盛り込んだ法制化が不可欠だと訴えます。

 

 「やはりガイドラインでは法的拘束力は持っていないので、それはきちんと担

保してほしい。保証してもらいたい」(日本尊厳死協会 高井正文常任理事)

 

 22日の総会で意見を求められた障がい者団体からは「危機感を持って受け止

めている」と尊厳死の法制化自体に強く反対する声が上がりました。

 

 「なぜこのような法律が必要なのか、誰のために必要なのか」(DPI日本会議)

 

 また、法案では現場の医師が直面している課題である延命措置の「中止」や意

思のわからない患者への対応については対象とされず、医師の代表である日本医

師会からは「法律にする意味があるのか」と疑問が呈されました。

 

 「今日改めて意見を頂いたことを私どもはしっかり受け止めながら、検討すべ

きところもあるのかなと」(増子輝彦議連会長)

 

 議連では今の国会に法案を提出したい考えですが、調整には難航が予想されま

す。(2221:07

 

 

(ALSの岡部さんの写真はこちらのALS在宅生活特集記事を http://www.kaigoseido.net/i/als-chiikiseikatsu.htm )

 

 

 


2012/05/31 22:05   【共同通信】

呼吸器取り外しも可能に 超党派議連の尊厳死法案

 超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・増子輝彦民主党参院議

員)は31日、議員立法での国会提出を 準備している尊厳死に関する法案の原案を修正し、免責対象となる医師の行為を、人工呼吸器の取り外しなど「現に行っている延命治療の中止」に拡大する方針 を決めた。

 これまでは「新たな延命治療の不開始」に限っていた。がんなどで終末期にある患者本人が尊厳死を望む意思を表示している場合で、2人以上の医師の判断を条件とする点は変わらない。

 議連は6月6日に総会を開き、修正案を公表する予定。

 

 

 (編注:9月時点での状況では、国会の混乱で超党派の尊厳死議連は通常国会閉幕までに尊厳死法案を上程できなかったため、臨時国会での上程を目指すとの方針を役員会で了承したとのことです。)

 

 

 

更に詳しくは、尊厳死法制化に反対する会のHPを御覧ください。

http://songeshihouseikanihantaisurukai.blogspot.jp/

 

 

人工呼吸器の資料(ビデオと本)を無料配布中

・カニューレはピアス計画的気管切開の記録 〔A4版 53ページ〕無料

・自立をこの手に(VHSビデオ)

気管切開で人工呼吸器を24時間使いながら、地域で24時間の介護制度を使いながら1人暮らししている全身性障害者の生活のわかる資料です。 

申込は発送係0120−870−222 今月号の封筒でもFAX注文可能。なお、大変参考になる人工呼吸器利用者の自立生活のビデオ「ベンチレーターと楽しいくらマニュアル」は当会ホームページから無料で見られます。


 

 

 

 

日弁連会長声明

 「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案仮称)」に対する会長声明

尊厳死法制化を考える議員連盟」が、「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」(以下「本法律案」という。)を発表し、本法律案を、本通常国会に超党派の議員立法で提出する予定と報じられている。

本法律案は、終末期の延命治療の不開始を希望する患者の意思を表示する書面などに従い延命治療の不開始をした医師を免責することを主たる内容として、いわゆる尊厳死(以下「尊厳死」という。)を法制化しようとするものである。

そもそも、患者には、十分な情報提供と分かりやすい説明を受け、理解した上で、自由な意思に基づき自己の受ける医療に同意し、選択し、拒否する権利(自己決定権)がある。この権利が保障されるべきは、あらゆる医療の場面であり、もちろん、終末期の医療においても同様である。また、終末期の医療において患者が自己決定する事柄は、終末期の治療・介護の内容全てについてであり、決して本法律案が対象とする延命治療の不開始に限られない。特に、延命治療の中止、治療内容の変更、疼痛などの緩和医療なども極めて重要である。この点、2007年5月に、厚生労働省が公表した「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」においても、「医師等の医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本としたうえで、終末期医療を進めることが最も重要な原則である」と確認されているとおりである。疾患によって様々な状態である終末期においては、自ら意思決定できる患者も少なくないが、終末期も含めあらゆる医療の場面で、疾病などによって患者が自ら意思決定できないときにも、その自己決定権は、最大限保障されなければならない。しかるに、我が国には、この権利を定める法律がなく、現在もなお、十分に保障されてはいない。

特に終末期の医療に関する自己決定に関しては、これが真に患者本人の自由な意思に基づくものであることを保障する手続や基盤の整備が必要である。本法律案が対象とする終末期の延命治療の不開始は、患者の生命を左右することにつながる非常に重大な決断であるところ、患者が、経済的負担や家族の介護の負担に配慮するためではなく、自己の人生観などに従って真に自由意思に基づいて決定できるためには、終末期における医療・介護・福祉体制が十分に整備されていることが必須であり、かつ、このような患者の意思決定をサポートする体制が不可欠である。しかしながら、現在もなお、いずれの体制も、極めて不十分である。

このような視点から、当連合会は、2007年8月に、「『臨死状態における延命措置の中止等に関する法律案要綱(案)』に関する意見書」において、「尊厳死」の法制化を検討する前に、@適切な医療を受ける権利やインフォームド・コンセント原則などの患者の権利を保障する法律を制定し、現在の医療・福祉・介護の諸制度の不備や問題点を改善して、真に患者のための医療が実現されるよう制度と環境が確保されること、A緩和医療、在宅医療・介護、救急医療等が充実されることが必要であるとしたところであるが、現在もなお、@、Aのいずれについても全く改善されていない。そのため、当連合会は、2011年10月の第54回人権擁護大会において「患者の権利に関する法律の制定を求める決議」を採択し、国に対して、患者を医療の客体ではなく主体とし、その権利を擁護する視点に立って医療政策が実施され、医療提供体制や医療保険制度などを構築し、整備するための基本理念として、人間の尊厳の不可侵、安全で質の高い医療を平等に受ける権利、患者の自己決定権の実質的保障などを定めた患者の権利に関する法律の早期制定を求めたものである。

本法律案は、以上のように、「尊厳死」の法制化の制度設計に先立って実施されるべき制度整備が全くなされていない現状において提案されたものであり、いまだ法制化を検討する基盤がないというべきである。しかも、本法律案は、医師が、患者の希望を表明した書面により延命措置を不開始することができ、かつその医師を一切免責するということのみを法制化する内容であって、患者の視点に立って、患者の権利を真に保障する内容とはいい難い。また、「尊厳死」の法制化は、医療のみならず社会全体、ひいては文化に及ぼす影響も大きい重大な問題であり、その是非や内容、あるいは前提条件などについて、慎重かつ十分な国民的議論が尽くされることが必須である。

当連合会は、こうした前提を欠いたまま、人の生命と死の定義に関わり国民全てに影響する法律を拙速に制定することに、反対する。

2012年(平成24年)4月4日

日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120404_3.html


 尊厳死法制化を考える議員連盟  幹事 藤原 正司 様

2012229

 

「尊厳死」法制化に反対する緊急アピール

DPI(障害者インターナショナル)日本会議  議長 三澤 了

 

貴職におかれましては、日頃より障害者施策の拡充にご尽力いただいていることに対し、心より敬意を表します。

私たちDPI日本会議は、種別を超えた障害当事者主体の87団体が加盟し、1986年の結成以来、自立と社会参加、権利保障を確立するための活動を進めてきています。近年は2006年に国連で採択された障害者権利条約の批准に向けて、内閣府に設置された障がい者制度改革推進会議などを通じて、さらにその取組みを強化しています。とりわけ、どんなに重度の障害があっても地域での自立した生活の権利の実現を目指して活動を進めています。

さて、貴議員連盟が法制化を検討している「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」につきまして、私たちは強い危機感を持って受け止めています。なぜこのような法律が必要なのか、誰のために必要なのか理解できません。洋の東西を問わず、歴史上、障害者は生存を脅かされ、厳しい差別と偏見、排除の中で過酷な生活を強いられてきました。21世紀の今日においてさえ、障害者の人権が確立したとは到底言える状況ではありません。

  障害があっても他の人々と同等の、当たり前の暮らしが出来ること、重い病気であっても、必要な医療や介護を受けながら、その人らしい尊厳ある生を保証することこそが、国の責任ではないでしょうか。人間の生死に関わる重大な法制度が、国民的な議論もないまま法案が作成され、国会に上程されようとしていることは断じて許されません。

  以下、現在示されている内容について、私たちの見解を表明するとともに、2点の要望をいたします。

  医療現場における医師と患者あるいは家族との関係は、医師の側に優位性があると言わざるを得ず、対等性を担保するための実効性のある施策の整備が まず必要である。

  「終末期」の認識は個々人によって異なるものであり、一律に法律などによって決められるものではない。

「延命措置」という表現は、マイナスイメージとして使用されており、必要のないものという認識が前提となっている。人工呼吸器、栄養補給、人工透 析などは、「生きるための必要不可欠な手段」である。「生存期間延長」のた めの行為はなぜ必要ではないと言い切れるのか不明である。

  「呼吸器は使用しないで欲しい」、「はずして欲しい」という声は現場ではあるかもしれない。大切なことはなぜそうした声が上がってくるのかということだ。その思い、背景を十分に検証しなければならない。手続きとしての「延命措置の差し控え」は、軽々に語るべきことではない。

  免責条項で医師の心理的負担は軽減するであろうか。本条項が法律案の肝であるとすればまさに本末転倒と言わざるを得ない。

  昨年の通常国会で全会一致で成立し8月より施行されている改正障害者基本法では、その第3条に「全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」と規定されている。また、基本法改正施行直後にまとめられた障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会の「総合福祉法に関する骨格提言」では、地域で生活する基本的権利として「障害ゆえに命の危険にさらされない権利を有し、そのための支援を受ける権利」の保障を求めている。

  このように障害者権利条約の批准に向けた障害者制度改革では「尊厳にふさわしい生活を保障される権利」を求めているが、現在進められようとしている法制化は、こうした動きと逆行するものと言わざるを得ない。

                          記

 障害者、患者、家族等、当事者・関係者の意見を十分に聴取すること。

現在進められている法制化を白紙撤回すること。

以上

 

  尊厳死法制(終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案) に反対する(声明文)


 社団法人全国脊髄損傷者連合会    副理事長 大濱眞

 特定非営利活動法人日本せきずい基金 理事長 大濱眞

 

  いわゆる尊厳死法案では「終末期の医療における患者の意思の尊重」することが

 前面に謳われている。ここで、本法案の定義で「終末期」とは、「患者が、傷病

 について行い得る全ての適切な治療を受けた場合であっても回復の可能性がな

 く、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間をいうもの」とある。

  しかし、

 1.誰が「適切な治療を受けた場合」と判断するのか? 言い換えれば、リスボ

 ン宣言(患者の権利に関する世界医師会(WMA)リスボン宣言)の原則として

 の、患者が「良質の医療を受ける権利」に、医師が十分に応えたかを誰が判断す

 るのか?


⇒ 現実問題として、判断しうる人はいない。


 
※ 私事であるが、大濱は、頸髄を損傷した当初の急性期に3度、医師から「あ

 と数時間の命ですから」と家族・親戚に集合命令がかかった。また、頸髄を損傷

 して1週間後に、気管を切開されて人工呼吸器を装着されていた。

 このような、私事と照らし合わせたケースを想定すると、途中で医師が「適切な

 治療をした」また「回復の可能性がなく、かつ、死期が間近」と判断したとし

 て、頸髄を損傷する以前に私が「延命措置の差控えを希望する意思を書面」にサ

 インしていたら今の私は存在しない。

 このように、「延命措置の差控え」について終末期であるとの判断が医師に委ね

 られるとしたら、医療技術が日進月歩に発展するなかで、医師によって、病院に

 よって医療水準に差異が常に存在し(すべての医師または病院が最高・最善の水

準に達することは不可能)、「最善の良質な医療」を患者が受けらない以上、結

果としては殺人である。

すなわち、リスボン宣言が謳う「良質な医療を受ける権利」を医師が患者に全う

させようとすれば、この法案に言う「適切な治療」を完遂したと判断を下せる人

はいない。


 
2.「回復の可能性がなく」の判断は、医師でも困難であり、経験則に基づいた

 推定程度あろう。だとすれば、経験則に基づいた推定で治療を差し控え、死に至

 らしめたとすると、たとえ同意文があろうともこれは殺人であろう。また、同じ

 くリスボン宣言の「1.良質の医療を受ける権利」のa項、c項、d項、f項に反し

 ている。特にf項の「患者は継続性のある医療を受ける権利を有する。医師は医

 学的に適切なケアが一貫性を保って患者に提供されるよう他の医療提供者と協力

 する義務を負う。医師は、患者がそれに代わる治療の機会が得られるような適切

 な支援と十分な配慮をすることなしに、医学的に必要な治療を中断してはならな

 い。」の中断であり、限りなく殺人に近い行為または殺人である。

 

 3.「死期が間近である」との判定の後、蘇生した事例は、私の事例を挙げるま

 でもなく、多数報告されている。死期が間近であるとの判定は、誰にもできない。

 以上のように、本法案が大前提としている「終末期」の定義規定そのものが現実

 的に無理があり、終末期と判断できる人(医師)は存在しない。存在するとすれ

 ば、リスボン宣言を無視あるいは違反し、患者を死へ誘導する者(医師)であ

 る。この場合、殺人罪に問われるであろう。


 
最近の事例として

 2011年9月27日24時間介護が必要なのに公的な介護時間に上限があるの

 は違法として、和歌山市に住むALSの患者が、市を相手に24時間介護を求め

 た訴訟で、和歌山地裁は、患者1人が1日20時間の介護サービスを受けられる

 よう仮の義務付け命令を出した。

 

 ----------------------------------------

 「地裁による仮の義務付け命令による波及効果」

 

 上記、地裁の仮の義務付けの命令が出た直後、京都市近隣の市で、地域に住む

 ALS患者に対して、(それまで重度訪問介護の支給は1日10時間が上限と市

 は言っていたが)、一日20時間の支給決定をしたいと言い出した。

 この自治体はその前の月まで、そのALS患者に対して、「うちでは上限が

 300時間」と言っていた。

 そういう行政の雰囲気を受け、そのALS患者は、介護が重くなったら家族に迷

 惑がかかる、そこまで家族を苦しめたくない、呼吸器はつけずに死ぬ、と言って

 いました。

 主治医も、「この患者は呼吸器つけずに逝くのかな」という認識だった。

 和歌山地裁が仮の義務付け命令を下した翌日に、このALS患者のケア会議があ

 り、自治体の職員も同席。ALS患者は「行政のヘルパー時間数の判断次第で

 は、家族に迷惑かかるから呼吸器をつけない。どういう意向か」、と市職員に問

 いかけた。市職員は、同じようなALSの患者で、近隣の都市でも620時間程

 度出ているので、制度的にはいける、と言いました。

 なんと、これにより、そのALS患者は、呼吸器をつけて生きる、と判断をした。

長時間介護が出るかどうかの支給決定こそ、生死をわける最大の問題でした。

 それが出たから、その人は、家族とともに生きる、という決断をしました。

 ----------------------------------------

 

 上記の事例のように、充分な公的介護を受けられないために死を選ぶ、最善の医

 療を受けられないので死を選択せざるを得ない。このような環境が現存する。尊

 厳のある死とは何かという疑問もあるが、尊厳死、安楽死の議論は、まず安心し

 て生きることができる社会保障制度が確立し、必要な人には必要な公的介護が受

 けられ、また必要な最善の医療が施されるまでは、議論を遡上に乗せるのは危険

 である。死を選択したくないのに、現状の社会保障制度下では選択せざるを得な

 い。このような状況を助長し、黙認しているこの法案は、非常に危険である。

 

 従って、当団体としては、本法案に反対する。

                                                  以上

 

 

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

参考

 20時間の介護認める=ALS訴訟、初の仮義務付け−和歌山地裁

 時事 2011/09/27-19:37

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011092700800

  24時間介護が必要なのに公的な介護時間に上限があるのは違法として、和歌

 山市に住む筋萎縮性側索硬化症(ALS)の70代の男性患者2人が、市を相手

 に24時間介護を求めた訴訟で、和歌山地裁(高橋善久裁判長)は27日まで

 に、患者1人が1日20時間の介護サービスを受けられるよう仮の義務付け命令

 を出した。原告弁護団によると、障害者自立支援法をめぐる裁判で、仮の義務付

 け命令が出たのは初めて。決定は26日付。もう一人の原告患者は今月8日に亡

 くなったため、決定が間に合わなかった。決定は、原告患者にはほぼ常時介護

 サービスが必要と認めた上で、妻の健康状態や経済状況を考慮。1日20時間分

 の介護サービスについて公的給付が必要と判断した。その上で「緊急の必要性が

 ある」として市に対し、介護保険法で賄われている3.5時間分に加え、障害者

 自立支援法に基づき1日16.5時間の介護給付費の支給を仮に義務付けた。





過疎地で自立生活センターを作りたい障害者
を募集。過疎地対策で助成や貸付も実施

自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会

 全国各地で障害当事者が主体的にCIL(重度の障害者が施設や親元から出て地域で自立生活できるように支援する事業体&運動体)を立ち上げるための助成や貸付、さまざまな研修を提供しています。(通信研修と宿泊研修を組み合わせた研修を行っています)。エンパワメント(サービスを使う障害者自身が社会力などをつける)方式の自立支援サービスを行いながら、地域の制度を変える運動を行うという理念にそった当事者団体を作るという方は研修受講料無料です。研修参加の交通費も助成されます。内容は、団体設立方法、24時間介助サービスと個別自立生活プログラム、介護制度交渉、施設等からの自立支援、団体資金計画・経理・人事、指定事業、運動理念などなど。通信研修の参加者を募集しています。(通常、CILの立ち上げには、古参のCILでの数年の研修(勤務)が必要で、運動経験や社会経験がある人でも2年ほどの研修時間数が必要です。しかし、大都市部から離れた地域でCILを作るためには、数年間の勤務研修は難しいため、地元で生活しつつ、通信研修や合宿研修で基礎を学んだ後、実地で少しずつ小さなCILを始めながら、毎週連絡を取りつつ5〜10年ほどかけてノウハウを覚えて成長していく方法を行っています)。

くわしくはお問合せ下さい。フリーダイヤル0120−66−0009(推進協会団体支援部10時〜22時)へ。

 

通信研修参加申込書(参加には簡単な審査があります。

団体名・個人名(            )

郵便番号・住所

名前

障害者/健常者の別&職名

Tel

Fax

メール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


市町村と交渉して制度の改善を

重度訪問介護などヘルパー制度の24時間化ですが、長時間のヘルパー制度が必要な最重度の障害者であっても、市町村には、障害者個々人が自立した生活ができるような支給決定をする責任があります(障害者自立支援法2条第1項)。現在、国の障害ヘルパー制度の理念にのっとって、必要なヘルパー時間を個々人ごとに決定している市町村も増えてきた一方、いまだに過半数の市町村では、長時間介護を必要とする重度の障害者に対して、一律のヘルパー制度の上限を設けるなど、制度運営上の違反を行っている実態があります。

 自立支援法施行により、ヘルパー制度が義務的経費となったため、1年中、いつの季節からの新規利用開始(施設等からの地域移行によるアパート暮らしなど)でも、国庫負担がつきます。

 市町村と交渉し、命にかかわる状態であることを事細かに説明し、必要なヘルパー制度の補正予算を組んでもらうまで交渉を続ける必要があります。

 交渉は今から行えます。以前から1人暮らししている方も、今から時間数アップに向けて交渉を行うことが可能です。(たとえば、「学生ボランティアが卒業等でいなくなってしまった」、「障害が進行した」、「制度が不足する部分のヘルパー時間を緊急対応として無料で介助派遣してくれていた事業所が、それをできなくなった」などの理由がある場合は、緊急で交渉が可能です)。

 

不服審査請求のアドバイスも実施

 交渉しても進展が全くみこめなくなった場合や、交渉拒否などをする悪質な市町村の場合には、都道府県への不服審査請求のアドバイスも行っています。不服審査請求には祈願がありますが、実際には、再度の支給量増加の申請を市町村に出して時間数変更なしの通知を受けられるので、事実上は、期限なしにいつでも不服審査請求を出せます。

 

入院中の介護制度もつくろう

 入院中の介護制度は、地域生活支援事業で実施可能で、国庫補助もつくので、自治体単独制度で作るしかなかった支援費制度以前に比べて、比較的容易に制度を作ることが可能です。病院の診療報酬の通知との関係で、コミュニケーション支援事業として実施することになります。交渉時に説明がきちんとできないと言語障害者のみを対象にする制度になってしまいますが、例えば腹痛や肺炎などで入院した筋ジスや頸損の障害者でも、声が出ないと介護方法など説明できませんのでコミュニケーション支援事業の入院介護制度の対象に加えることが可能です。西宮市・松山市・大分市・広島市ではそのようになっていますので、これらの市の要綱や運用を参考に、ご自分の市町村と話し合いを行ってください。なお、注意点が多いので、交渉の前や途中に当会にお電話ください。

 

 当会には、人口1万人以下の過疎の町から都会まで、どんな規模の自治体でも24時間の介護制度を作ったサポート実績があります。入院介護制度の制度化のノウハウも豊富です。交渉をしたい方は、制度係までご連絡ください。厚生労働省の情報、交渉が進んでいる自治体の制度の情報、交渉ノウハウ情報など、さまざまな情報があります。当会に毎週電話をかけつつ行った交渉で24時間介護保障になった実績が多くあります。ぜひ交渉にお役立てください。

 制度係 0037−80−4445(通話料無料)11時〜23時

 

 

月刊誌全巻と資料集1〜7巻のCD−ROM版 

会員2000円+送料、非会員3000円+送料

 障害により紙の冊子のページがめくりにくい、漢字が読めないという方など向けに、パソコン画面に紙のページと全く同じ物をそのまま表示させることができるCD−ROM版を販売しています。マイクロソフトWORDファイル(9710月号〜最新号の月刊誌&Howto介護保障別冊資料集1〜7巻を収録)と、それを表示させるワードビューアソフトのセットです。ハードディスクにコピーして使うので、CD−ROMの入れ替えは不用です。マウスのみでページがめくれます。

交渉ノウハウの第一歩はこの資料の熟読をおすすめします。

 



















全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

略称=全国広域協会  フリーダイヤル 0120−66−0009

フリーダイヤル FAX 0120−916−843

 

2009年5月より重度訪問介護の給与に12%加算手当開始(条件あり)

2009年10月より東京地区他ではさらに処遇改善事業の臨時手当220円/時加算。

(区分6むけ時給1250円の方は、加算がつくと、+150+220円で時給1620円に。)

 

自分の介助者を登録ヘルパーにでき自分の介助専用に使えます   対象地域:47都道府県全域

介助者の登録先の事業所がみつからない方は御相談下さい。いろいろな問題が解決します。

 

 全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーと同じような、登録のみのシステムを障害ヘルパー利用者と介護保険ヘルパー利用者むけに提供しています。自分で確保した介助者を自分専用に制度上のヘルパー(自薦の登録ヘルパー)として利用できます。介助者の人選、介助時間帯も自分で決めることができます。全国のホームヘルプ指定事業者を運営する障害者団体と提携し、全国でヘルパーの登録ができるシステムを整備しました。介助者時給は求人して人が集まる金額にアップする個別相談システムもあります。

 

利用の方法

 広域協会 東京本部にFAXか郵送で介助者・利用者の登録をすれば、翌日から障害や介護保険の自薦介助サービスが利用可能です。東京本部から各県の指定事業者に業務委託を行いヘルパー制度の手続きを取ります。各地の団体の決まりや給与体系とは関係なしに、広域協会専門の条件でまとめて委託する形になりますので、すべての契約条件は広域協会本部と利用者の間で利用者が困らないように話し合って決めます。ですから、問い合わせ・申し込みは東京本部0120−66−0009におかけください。

 介助者への給与は身体介護型で時給1500円(1.5時間以降は1200円)(東京都と周辺県は時給1900円。1.5時間以降は1300円)、家事型1000円、重度訪問介護で区分により時給1100(区分5以下)・1250円(区分6)・1450円(最重度)が基本ですが、長時間利用の場合、求人広告して(広告費用助成あり)人が確保できる水準になるよう時給アップの相談に乗ります。(なお、2009年5月より重度訪問介護のヘルパーには12%の保険手当を加算します。(手当は、厚生年金に入れない短時間の方のみ。また、利用時間120時間未満の利用者の介護者は加算がつきません)。介助者は1〜3級ヘルパー、介護福祉士、看護士、重度訪問介護研修修了者などのいずれかの方である必要があります。(3級は障害の制度のみ。介護保険には入れません)。重度訪問介護は、障害者が新規に無資格者を求人広告等して確保し、2日で20時間研修受講してもらえば介護に入れます。

詳しくはホームページもご覧ください http://www.kaigoseido.net/2.htm


2009年10月よりさらに大幅時給アップ

2012年度改正で物価マイナス0.8%にあわせて制度の単価が下がりますが、給与は下げません

  処遇改善助成金が2012年度以降も継続となりました。各地で額は違いますが、広域協会東京ブロック(東京都と千葉県西部、埼玉県南部、神奈川県北部、山梨県東部)では、以下のように手当が継続で出ます。(東京以外の地域では、時給アップではなくボーナス方式のアップの地域もあります)

2012年4月以降の時給体系>

(東京ブロック(東京都と千葉県西部、埼玉県南部、神奈川県北部、山梨県東部))

重度訪問介護(最重度)

1840円(基本給1450+保険手当170円(※2+処遇改善手当220円)

重度訪問介護(区分6)

1620円(基本給1250+保険手当150円(※2+処遇改善手当220円)

重度訪問介護(区分5以下)

1450円(基本給1100+保険手当130円(※2+処遇改善手当220円)

身体介護型(※1

1.5hまで2120円(基本給1900+臨時手当220円)1.5h以降1510円(基本給1300+処遇改善手当220円)

家事援助型(※1

1220円(基本給1000+処遇改善手当220円)

介護保険身体介護型(※1

1.5hまで2090円(基本給1900+処遇改善手当190円)1.5h以降1490円(1300+処遇改善手当190円)

介護保険生活援助型(※1

1190円(基本給1000+処遇改善手当190円)

処遇改善手当は国の介護人材処遇改善事業の助成によるもの。2012年改正で基金事業から一般会計の制度になりました。220円は東京ブロックの金額で、他のブロックでは事業所により金額が変わります。ボーナス方式の地域もあります。詳しくはお問い合わせを。

1)身体介護型に3級ヘルパーやみなし資格者が入る場合、時給が70%(東京地区以外の場合1.5時間まで1050円、1.5時間以降840円)、家事援助・生活援助は90%(900円)になります。

※2)保険手当は、当会で重度訪問介護を月120h以上利用している利用者のヘルパーのうち、社会保険非加入者に対して支給されます。常勤の4分の3以上稼動して社会保険に加入した場合、手当の支給はありません。 (東京ブロックは週24時間労働から厚生年金加入可能)



 

自薦介助者にヘルパー研修を実質無料で受けていただけます

求人広告費助成・フリーダイヤルでの求人電話受付代行なども実施

 

 全国広域協会の利用者の登録介助者向けに重度訪問介護研修を開催しています。東京会場では、緊急時には希望に合わせて365日毎日開催可能で、2日間で受講完了です。(東京都と隣接県の利用者は1日のみの受講でOK。残りは利用障害者自身の自宅で研修可能のため)。障害の身体介護に入れる3級ヘルパー通信研修も開催しています。通信部分(2週間)は自宅で受講でき、通学部分は東京などで3日間で受講可能。3級受講で身体介護に入ることができます。3級や重度訪問介護の研修受講後、一定時間(規定による時間数)介護に入った後、研修参加費・東京までの交通費・宿泊費・求人広告費を全額助成します。(3級は身体介護時給3割減のため、働きながら2級をとればその費用も助成対象です)。求人広告費助成・フリーダイヤル求人電話受付代行、必ず人が雇える効果的な広告方法のアドバイスなども実施。

 

このような仕組みを作り運営しています

 

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会

(自薦登録の継続・保障のみを目的に作られた非営利団体)

        市町村への請求事務や給与支払い事務等の業務委託・提携

 

各県の指定事業者

 

(障害者団体) 

 

各県の指定事業者

 

(CILなど) 

     介護者の登録、介護料振込         介護者の登録、介護料振込

 

障害者と介護者

 

障害者と介護者

 

障害者と介護者

 

障害者と介護者

 

障害者と介護者

 

お問合せは TEL 0120−66−0009(通話料無料)へ。受付10時〜22時 

  

介護保険ヘルパー広域自薦登録保障協会 発起人(都道府県順、敬称略、20004月時点)

名前    (所属団体等)

花田貴博  (ベンチレーター使用者ネットワーク/CIL札幌)北海道

篠田 隆   NPO自立生活支援センター新潟)新潟県

三澤 了   (DPI日本会議)東京都

尾上浩二  (DPI日本会議)東京都

中西正司  (DPIアジア評議委員/JIL/ヒューマンケア協会)東京都

八柳卓史  (全障連関東ブロック)東京都

樋口恵子  NPOスタジオIL文京)東京都

佐々木信行              (ピープルファースト東京)東京都

加藤真規子              NPO精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)東京都

横山晃久  (全国障害者介護保障協議会/HANDS世田谷)東京都

益留俊樹  (NPO自立生活企画/NPO自立福祉会)東京都

名前  (所属団体等)

川元恭子                (全国障害者介護保障協議会/CIL小平)東京都

渡辺正直  (静岡市議/静岡障害者自立生活センター)静岡県

山田昭義  (社会福祉法人AJU自立の家)愛知県

斎藤まこと (名古屋市議/共同連/社会福祉法わっぱの会)愛知県

森本秀治  (共同連)大阪府

村田敬吾  NPO自立生活センターほくせつ24)大阪府

光岡芳晶  NPOすてっぷ/CIL米子)鳥取県

栗栖豊樹  (共に学びあう教育をめざす会/CILてごーす)広島県

佐々和信  (香川県筋萎縮性患者を救う会/CIL高松)香川県

藤田恵功  HANDS高知/土佐市重度障害者の介護保障を考える会)高知県

田上支朗  NPO重度障害者介護保障協会)熊本県

 


全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の自薦の利用についてのQ&A

 

求人広告費用を助成・ヘルパー研修の費用や交通費・宿泊費を助成

 

 自薦ヘルパーの確保は、みなさん、どうしているのでしょうか?

  知人などに声をかけるのでしょうか?

 多くの障害者は、求人広告を使っています。多いのは駅やコンビニなどで無料で配布されているタウンワークなどです。掲載料は1週間掲載で1番小さい枠で2〜3万円ほどです。

 重度訪問介護は、かならず8時間程度以上の連続勤務にし、日給1万円以上で広告掲載します。無資格・未経験者を対象に広告を出します。(雇った直後に2日間で研修受講)

 全国広域協会では、求人広告費用も助成しています。(広告内容のアドバイスを広域協会に受け、OKが出てから広告掲載した場合で、雇った介護者が一定時間介護に入ったあとに全額助成)長時間連続の勤務体系を組めば、かならず介護者を雇用できるようにアドバイスいたします。

 また、求人広告は利用者各自の責任で出すものですが、問い合わせ電話はフリーダイヤル番号を貸付します。電話の受付も全国広域協会で代行します。

 つぎに、数人〜数十人を面接し、採用者を決めます。採用後、自分の考え方や生活のこと、介護方法などをしっかり伝え、教育します。

 その次に、たとえば重度訪問介護利用者は、雇った介護者に重度訪問介護研修(20時間)を受講させる必要があるので、東京本部や東海・関西・西日本の関係団体などで、重度訪問介護研修(東京で受講の場合は2日間で受講完了)を受講させます。

 全国広域協会では、研修受講料・交通費・宿泊費も助成しています(自薦ヘルパーが一定期間介護に入ったあとに、全額助成します。)

 (障害のヘルパー制度で身体介護利用者は、3級研修を受講することが必要で、2週間の通信研修(自宅学習)レポート提出のあと2泊3日で東京や西日本に受講に行く必要があります。3級は時給が3割ダウンですので、多くは働きながら2級研修を地元などで受講します。3級や2級の受講料は一定期間働いたあとに全額助成します)

 (介護保険のみを利用する障害者のヘルパーは、2級を受講する必要がありますので、無資格者をいきなり雇用するのは困難です。2級限定の求人を出すしかありませんが、2級を持っている労働人口が無資格者に比べてとても少ないので、かなり給与が高くないと、求人しても人が集まりにくいです。最重度の場合は介護保険を受けていても、上乗せして障害の重度訪問介護などを利用できますので、まずは障害の制度部分のみで自薦ヘルパーを雇用して、働きながら2級をとり、介護保険も自薦にするという方法があります。この場合でも2級受講料を一定時間後に助成します)

 

 全国広域協会を使う障害者の自薦ヘルパーの怪我や物品損傷などの保険・保障は?

 

 民間の損害保険に入っているので、障害者の持ち物や福祉機器を壊したり、外出介護先で無くしたりしても、損害保険で全額保障されます。

 また、ヘルパーの怪我は労災保険で、治療代や収入保障が得られます。病気で連続4日以上休むと社会保険から(常勤の4分の3以上の人に限る)保障されます。通院・入院などは民間の損害保険からも給付が出る場合があります。

 


全国ホームヘルパー広域自薦登録協会理念

47都道府県で介助者の自薦登録が可能に

障害施策の自薦登録ヘルパーの全国ネットワークを作ろう

 2003年度から全国の障害者団体が共同して47都道府県のほぼ全域(離島などを除く)で介助者の自薦登録が可能になりました。

 自薦登録ヘルパーは、最重度障害者が自立生活する基本の「社会基盤」です。重度障害者等が自分で求人広告をしたり知人の口コミで、自分で介助者を確保すれば、自由な体制で介助体制を作れます。自立生活できる重度障害者が増えます。(特にCIL等のない空白市町村で)

 小規模な障害者団体は構成する障害者の障害種別以外の介護サービスノウハウを持たないことが多いです。たとえば、脳性まひや頚損などの団体は、ALSなど難病のノウハウや視覚障害、知的障害のノウハウを持たないことがほとんどです。

 このような場合でも、まず過疎地などでも、だれもが自薦登録をできる環境を作っておけば、解決の道筋ができます。地域に自分の障害種別の自立支援や介護ノウハウを持つ障害者団体がない場合、自分(障害者)の周辺の人の協力だけで介護体制を作れば、各県に最低1団体ある自薦登録受け入れ団体に介助者を登録すれば、自立生活を作って行く事が可能です。一般の介護サービス事業者では対応できない最重度の障害者や特殊な介護ニーズのある障害者も、自分で介護体制を作り、自立生活が可能になります。

 このように様々な障害種別の人が自分で介護体制を組み立てていくことができることで、その中から、グループができ、障害者団体に発展する数も増えていきます。

 また、自立生活をしたり、自薦ヘルパーを利用する人が増えることで、ヘルパー時間数のアップの交渉も各地で行なわれ、全国47都道府県でヘルパー制度が改善していきます。

 支援費制度が導入されることにあわせ、47都道府県でCIL等自立生活系の障害当事者団体が全国47都道府県で居宅介護(ヘルパー)指定事業者になります。

 全国の障害者団体で共同すれば、全国47都道府県でくまなく自薦登録ヘルパーを利用できるようになります。これにより、全国で重度障害者の自立が進み、ヘルパー制度時間数アップの交渉が進むと考えられます。

47都道府県の全県で、県に最低1箇所、CILや障害者団体のヘルパー指定事業所が自薦登録の受け入れを行えば、全国47都道府県のどこにすんでいる障害者も、自薦ヘルパーを登録できるようになります。(支援費制度のヘルパー指定事業者は、交通2〜3時間圏内であれば県境や市町村境を越えて利用できます)。(できれば各県に2〜3ヶ所あれば、よりいい)。

全国で交渉によって介護制度が伸びている全ての地域は、まず、自薦登録ヘルパーができてから、それから24時間要介護の1人暮らしの障害者がヘルパー時間数アップの交渉をして制度をのばしています。(他薦ヘルパーでは時間数をのばすと、各自の障害や生活スタイルに合わず、いろんな規制で生活しにくくなるので、交渉して時間数をのばさない)

自薦ヘルパーを利用することで、自分で介助者を雇い、トラブルにも自分で対応して、自分で自分の生活に責任を取っていくという事を経験していくことで、ほかの障害者の自立の支援もできるようになり、新たなCIL設立につながります。(現在では、雇い方やトラブル対応、雇用の責任などは、「介助者との関係のILP」実施CILで勉強可能)

例えば、札幌のCILで自薦登録受け入れを行って、旭川の障害者が自分で介助者を確保し自薦登録を利用した場合。それが旭川の障害者の自立や、旭川でのヘルパー制度の時間数交渉や、数年後のCIL設立につながる可能性があります。これと同じことが全国で起こります。(すでに介護保険対象者の自薦登録の取組みでは、他市町村で自立開始や交渉開始やCIL設立につながった実例がいくつかあります)

自薦登録の受付けは各団体のほか、全国共通フリーダイヤルで広域協会でも受付けます。全国で広報を行い、多くの障害者に情報が伝わる様にします。

自薦登録による事業所に入る資金は、まず経費として各団体に支払い(各団体の自薦登録利用者が増えた場合には、常勤の介護福祉士等を専従事務員として雇える費用や事業費などを支払います)、残った資金がある場合は、全国で空白地域でのCIL立ち上げ支援、24時間介護制度の交渉を行うための24時間要介護障害者の自立支援&CIL立ち上げ、海外の途上国のCIL支援など、公益活動に全額使われます。全国の団体の中から理事や評議員を選出して方針決定を行っていきます。

 これにより、将来は3300市町村に全障害にサービス提供できる1000のCILをつくり、24時間介護保障の全国実現を行ない、国の制度を全国一律で24時間保障のパーソナルアシスタント制度に変えることを目標にしています。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の利用者の声

★(関西) 24時間介護の必要な人工呼吸器利用者ですが一般事業所はどこも人工呼吸器利用者へヘルパー派遣をしてくれないので、広告で募集した介助者に全国広域協会の紹介でヘルパー研修を受講してもらい、全国広域協会を利用しています。求人紙での求人募集方法のアドバイスも受けました。介助者への介助方法を教えるのは家族が支援しています。

★(東日本の過疎の町) 1人暮らしで24時間介護が必要ですが、介護保障の交渉をするために、身体介護1日5時間を全国広域協会と契約して、残り19時間は全国広域協会から助成を受け、24時間の介助者をつけて町と交渉しています。

★(東北のA市) 市内に移動介護を実施する事業所が1か所もなく、自薦登録で移動介護を使いたいのですが市が「事業所が見つからないと移動介護の決定は出せない」と言っていました。知人で介護してもいいという人が見つかり、東京で移動介護の研修を受けてもらい全国広域協会に登録し、市から全国広域協会の提携事業所に連絡してもらい、移動介護の決定がおり、利用できるようになりました。

★(西日本のB村) 村に1つしかヘルパー事業所がなくサービスが悪いので、近所の知人にヘルパー研修を受けてもらい全国広域協会に登録し自薦ヘルパーになってもらいました。

★(北海道) 視覚障害ですが、今まで市で1箇所の事業所だけが視覚障害のガイドヘルパーを行っており、今も休日や夕方5時以降は利用できません。夜の視覚障害のサークルに行くとき困っていましたら、ほかの参加者が全国広域協会を使っており、介助者を紹介してくれたので自分も夜や休日に買い物にもつかえる用になりました。

★(東北のC市) 24時間呼吸器利用のALSで介護保険を使っています。吸引してくれる介助者を自費で雇っていましたが、介護保険の事業所は吸引をしてくれないので介護保険は家事援助をわずかしか使っていませんでした。自薦の介助者がヘルパー資格をとったので全国広域協会に登録して介護保険を使えるようになり、自己負担も1割負担だけになりました。さらに、2003年の4月からは支援費制度が始まり、介護保険を目いっぱい使っているということで障害ヘルパーも毎日5時間使えるようになり、これも全国広域協会に登録しています。求人広告を出して自薦介助者は今3人になり、あわせて毎日10時間の吸引のできる介護が自薦の介助者で埋まるようになりました。求人広告の費用は全国広域協会が負担してくれました。介助者の時給も「求人して介助者がきちんと確保できる時給にしましょう」ということで相談のうえ、この地域では高めの時給に設定してくれ、介助者は安定してきました。


 

 

 

 

こちら4巻は現役で使える資料集です。自立支援する団体必須。

Howto介護保障 別冊資料 

4巻 生活保護と住宅改造福祉機器の制度

170ページ 1冊1000円(+送料)   

 生活保護、生活福祉資金、日常生活用具などを紹介。このうち、生活保護内の制度では、介護料大臣承認・全国の家賃補助・敷金等・住宅改造・高額福祉機器・移送費・家財道具の補助・家の修理費、の制度を詳しく紹介。各制度の厚労省通知も掲載。

 生活保護+生活福祉資金を使った住宅改造や介護リフトなど高額福祉機器の購入(必要なら住宅改修と合わせて200万円以上でも可能。実質自己負担なしの方法)には、この本の該当の章を丸ごとコピーして生活保護担当課に持っていって申し込みしてください。

 

 

現状の制度とほぼ同じ支援費制度の資料です。いまでも使える情報が多くあります。「事業所自由選択」の仕組みの制度ができるまでの経緯もわかります。

Howto介護保障 別冊資料

7巻 ヘルパー制度の資料集 支援費制度版

&2002年度〜2004年度の月刊全国障害者介護制度情報の記事抜粋

会員および定期購読会員 1800円   一般2500円   全356ページ

1章 全国各地の交渉状況・第2章 支援費制度について・第3章 支援費ヘルパーの国庫補助基準の問題について・第4章 ヘルパー研修関係・第5章 介護保険制度/障害施策と介護保険の統合問題・第6章 生活保護・第7章 その他

この資料の見方 この資料は2002年度〜2004年度の月刊全国障害者介護制度情報の記事の抜粋により構成されています。制度は毎年変わるため、古い制度の解説のページもあります。各記事の先頭に記事の書かれた年月を記載していますので、ご確認ください。

 

 

情報が古いので、障害者雇用助成金の基本的な仕組みなどの参考程度にお使いください

Howto介護保障 別冊資料               (一部古い情報あり)

5巻 障害当事者団体の財源の制度

134ページ 1冊1000円(+送料)   好評発売中 

<この5巻のみ、障害者主体の団体・障害者本人のみに限定発売とします>

 全国で使える労働省の障害者雇用促進制度助成金の詳細・ホームヘルプ事業の委託を受ける・市町村障害者生活支援事業の委託を受ける・障害低料第3種郵便の方法・資料(NPO法・介護保険の指定・重度障害者を自立させるマニュアル)など。


 

1〜3巻は情報が古くなったためそのままでは使えないページもありますが、交渉には過去の経緯を知ることが重要なため、引き続き販売は続けます。ヘルパー制度の上限撤廃指示文書など、重要な文書なども掲載されています。なお、最新制度に対応した情報を知るには、以下の資料のほか、月刊誌の2005年度以降のバックナンバー(販売中)も同時にお読みください

 

(下記の資料集1〜6巻は介護保障協議会・介護制度相談センターの会員・定期購読者は3割引サービス)


Howto介護保障 別冊資料                      品切中

1巻 自薦登録方式のホームヘルプサービス事業

325ページ 1冊1860円(+送料)   2000年10月発行改定第5版

第1章 全国各地の自薦登録ヘルパー   

第2章 あなたの市町村で自薦登録の方式を始める方法

第3章 海外の介護制度 パーソナルヘルパー方式

第4章  ヘルパー制度 その他いろいろ

資料  自治体資料 厚労省の指示文書・要綱

6年〜13年度厚労省主管課長会議資料(上限撤廃について書かれた指示文書など)・ホームヘルプ事業運営の手引き・厚労省ホームヘルプ要綱・ヘルパー研修要綱・ホームヘルプ事業実務問答集(ヘルパーが障害者(母)の乳児(健常児)の育児支援する例など事例が掲載)

*品切れ中につき、CD−R版(2ページ参照)をご購入ください。

 

Howto介護保障 別冊資料 

2巻 全国各地の全身性障害者介護人派遣事業

250ページ 1冊1430円(+送料)  2001年8月発行改定第5版 

 全国の介護人派遣事業一覧表(最新版)・全国各地の全介護人派遣事業の最新情報と要綱や交渉経過など資料が満載。以下の全自治体の資料があります。

1静岡市・2東京都・3大阪市・4神奈川県・5熊本市・6兵庫県 西宮市・7宝塚市・8姫路市・9尼崎市・10神戸市・11岡山市・12宮城県と仙台市・13滋賀県・14新潟市・15広島市・16札幌市・17埼玉県・18来年度開始の4市・19フィンランドの介護制度資料・20東京都の新制度特集・21千葉県市川市・22兵庫県高砂市・23静岡県清水市・24大津市+99〜2000年度実施の市

 ほかに、介護者の雇い方・介護人派遣事業を使って介護派遣サービスを行う・介護者とのトラブル解決法・厚労省の情報 などなど情報満載  全250ページ

 

Howto介護保障 別冊資料 

3巻 全国各地のガイドヘルパー事業

129ページ 1冊750円(+送料)  2000年10月発行改定第4版 

 全身性障害者のガイドヘルパー制度は現在の地域生活支援事業の移動支援の元になった制度です。当時の特に利用可能時間数の多い(月120時間以上)数市についての要綱や解説を掲載。また、厚労省のガイドヘルパー実務問答集(出先での食事や買い物や映画鑑賞の介護の事例など)や指示文書も掲載。

現在、1巻が品切れ中です。1巻が必要な方はCD−R版(全巻収録)をご注文ください。

 申込みTEL/FAX 0120−870−222


 

 



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