■2018年通知
老計第10号
平成12年3月17日
各都道府県介護保険主管部(局)長 殿
厚生省老人保健福祉局 老人福祉計画課長
訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について
訪問介護の介護報酬については、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス及び居宅療養管理指導に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日付厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、その具体的な取扱いをお示ししているところであるが、今般、別紙の通り、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分及び個々のサービス行為の一連の流れを例示したので、訪問介護計画及び居宅サービス計画(ケアプラン)を作成する際の参考として活用されたい。
なお、「サービス準備・記録」は、あくまでも身体介護又は家事援助サービスを提供する際の事前準備等として行う行為であり、サービスに要する費用の額の算定にあたっては、この行為だけをもってして「身体介護」又は「家事援助」の一つの単独行為として取り扱わないよう留意されたい。 また、今回示した個々のサービス行為の一連の流れは、あくまで例示であり、実際に利用者にサービスを提供する際には、当然、利用者個々人の身体状況や生活実態等に即した取扱いが求められることを念のため申し添える。
(別紙)
1 身体介護
身体介護とは、(1)利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)、(2)利用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援のためのサービス、(3)その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービスをいう。(仮に、介護等を要する状態が解消されたならば不要※となる行為であるということができる。)
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例えば入浴や整容などの行為そのものは、たとえ介護を要する状態等が解消されても日常生活上必要な行為であるが、要介護状態が解消された場合、これらを「介助」する行為は不要となる。同様に、「特段の専門的配慮をもって行う調理」についても、調理そのものは必要な行為であるが、この場合も要介護状態が解消されたならば、流動食等の「特段の専門的配慮」は不要となる。 |
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1−0 サービス準備・記録等
- サービス準備は、身体介護サービスを提供する際の事前準備等として行う行為であり、状況に応じて以下のようなサービスを行うものである。
1−0−1 健康チェック
- 利用者の安否確認、顔色・発汗・体温等の健康状態のチェック
1−0−2 環境整備
- 換気、室温・日あたりの調整、ベッドまわりの簡単な整頓等
1−0−3 相談援助、情報収集・提供
1−0−4 サービス提供後の記録等
1−1 排泄・食事介助
1−1−1 排泄介助
- 1−1−1−1 トイレ利用
- ○トイレまでの安全確認→声かけ・説明→トイレへの移動(見守りを含む)→脱衣→排便・排尿→後始末→着衣→利用者の清潔介助→居室への移動→ヘルパー自身の清潔動作
- ○(場合により)失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助、便器等の簡単な清掃を含む)
- 1−1−1−2 ポータブルトイレ利用
- ○安全確認→声かけ・説明→環境整備(防水シートを敷く、衝立を立てる、ポータブルトイレを適切な位置に置くなど)→
立位をとり脱衣(失禁の確認)→ポータブルトイレへの移乗→排便・排尿→後始末→立位をとり着衣→利用者の清潔介助→元の場所に戻り、安楽な姿勢の確保→ポータブルトイレの後始末→ヘルパー自身の清潔動作
- ○(場合により)失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助)
- 1−1−1−3 おむつ交換
- ○声かけ・説明→物品準備(湯・タオル・ティッシュペーパー等)→新しいおむつの準備→脱衣(おむつを開く→尿パットをとる)→陰部・臀部洗浄(皮膚の状態などの観察、パッティング、乾燥)→おむつの装着→おむつの具合の確認→着衣→汚れたおむつの後始末→使用物品の後始末→ヘルパー自身の清潔動作
- ○(場合により)おむつから漏れて汚れたリネン等の交換
- ○(必要に応じ)水分補給
1−1−2 食事介助
- ○声かけ・説明(覚醒確認)→安全確認(誤飲兆候の観察)→ヘルパー自身の清潔動作→準備(利用者の手洗い、排泄、エプロン・タオル・おしぼりなどの物品準備)→食事場所の環境整備→食事姿勢の確保(ベッド上での座位保持を含む)→配膳→メニュー・材料の説明→摂食介助(おかずをきざむ・つぶす、吸い口で水分を補給するなどを含む)→服薬介助→安楽な姿勢の確保→気分の確認→食べこぼしの処理→後始末(エプロン・タオルなどの後始末、下膳、残滓の処理、食器洗い)→ヘルパー自身の清潔動作
1−1−3 特段の専門的配慮をもって行う調理
- ○嚥下困難者のための流動食等の調理
1−2 清拭・入浴、身体整容
1−2−1清拭(全身清拭)
- ○ヘルパー自身の身支度→物品準備(湯・タオル・着替えなど)→声かけ・説明→顔・首の清拭→上半身脱衣→上半身の皮膚等の観察→上肢の清拭→胸・腹の清拭→背の清拭→上半身着衣→下肢脱衣→下肢の皮膚等の観察→下肢の清拭→陰部・臀部の清拭→下肢着衣→身体状況の点検・確認→水分補給→使用物品の後始末→汚れた衣服の処理→ヘルパー自身の清潔動作
1−2−2 部分浴
- 1−2−2−1 手浴及び足浴
- ○ヘルパー自身の身支度→物品準備(湯・タオルなど)→声かけ・説明→適切な体位の確保→脱衣→皮膚等の観察→手浴・足浴→身体を拭く・乾かす→着衣→安楽な姿勢の確保→水分補給→身体状況の点検・確認→使用物品の後始末→ヘルパー自身の清潔動作
- 1−2−2−2 洗髪
- ○ヘルパー自身の身支度→物品準備(湯・タオルなど)→声かけ・説明→適切な体位の確保→洗髪→髪を拭く・乾かす→安楽な姿勢の確保→水分補給→身体状況の点検・確認→使用物品の後始末→ヘルパー自身の清潔動作
1−2−3 全身浴
- ○安全確認(浴室での安全)→声かけ・説明→浴槽の清掃→湯はり→物品準備(タオル・着替えなど)→ヘルパー自身の身支度→排泄の確認→脱衣室の温度確認→脱衣→皮膚等の観察→浴室への移動→湯温の確認→入湯→洗体・すすぎ→洗髪・すすぎ→入湯→体を拭く→着衣→身体状況の点検・確認→髪の乾燥、整髪→浴室から居室への移動→水分補給→汚れた衣服の処理→浴槽の簡単な後始末→使用物品の後始末→ヘルパー自身の身支度、清潔動作
1−2−4 洗面等
- ○洗面所までの安全確認→声かけ・説明→洗面所への移動→座位確保→物品準備(歯ブラシ、歯磨き粉、ガーゼなど)→洗面用具準備→洗面(タオルで顔を拭く、歯磨き見守り・介助、うがい見守り・介助)→居室への移動(見守りを含む)→使用物品の後始末→ヘルパー自身の清潔動作
1−2−5 身体整容(日常的な行為としての身体整容)
- ○声かけ・説明→鏡台等への移動(見守りを含む)→座位確保→物品の準備→整容(手足の爪きり、耳そうじ、髭の手入れ、髪の手入れ、簡単な化粧)→使用物品の後始末→ヘルパー自身の清潔動作
1−2−6 更衣介助
- ○声かけ・説明→着替えの準備(寝間着・下着・外出着・靴下等)→上半身脱衣→上半身着衣→下半身脱衣→下半身着衣→靴下を脱がせる→靴下を履かせる→着替えた衣類を洗濯物置き場に運ぶ→スリッパや靴を履かせる
1−3 体位変換、移動・移乗介助、外出介助
1−3−1 体位変換
- ○声かけ、説明→体位変換(仰臥位から側臥位、側臥位から仰臥位)→良肢位の確保(腰・肩をひく等)→安楽な姿勢の保持(座布団・パットなどあて物をする等)→確認(安楽なのか、めまいはないのかなど)
1−3−2 移乗・移動介助
- 1−3−2−1 移乗
- ○車いすの準備→声かけ・説明→ブレーキ・タイヤ等の確認→ベッドサイドで端座位の保持→立位→車いすに座らせる→座位の確保(後ろにひく、ずれを防ぐためあて物をするなど)→フットレストを下げて片方ずつ足を乗せる→気分の確認
- ○その他の補装具(歩行器、杖)の準備→声かけ・説明→移乗→気分の確認
- 1−3−2−2 移動
- ○安全移動のための通路の確保(廊下・居室内等)→声かけ・説明→移動(車いすを押す、歩行器に手をかける、手を引くなど)→気分の確認
1−3−3 通院・外出介助
- ○声かけ・説明→目的地(病院等)に行くための準備→バス等の交通機関への乗降→気分の確認→受診等の手続き
- ○(場合により)院内の移動等の介助
1−4 起床及び就寝介助
1−4−1 起床・就寝介助
- 1−4−1−1 起床介助
- ○声かけ・説明(覚醒確認)→ベッドサイドでの端座位の確保→ベッドサイドでの起きあがり→ベッドからの移動(両手を引いて介助)→気分の確認
- ○(場合により)布団をたたみ押入に入れる
- 1−4−1−2 就寝介助
- ○声かけ・説明→準備(シーツのしわをのばし食べかすやほこりをはらう、布団やベッド上のものを片づける等)→ベッドへの移動(両手を引いて介助)→ベッドサイドでの端座位の確保→ベッド上での仰臥位又は側臥位の確保→リネンの快適さの確認(掛け物を気温によって調整する等)→気分の確認
- ○(場合により)布団を敷く
1−5 服薬介助
- ○水の準備→配剤された薬をテーブルの上に出し、確認(飲み忘れないようにする)→本人が薬を飲むのを手伝う→後かたづけ、確認
1−6
自立生活支援のための見守り的援助(自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)
- ○利用者と一緒に手助けしながら行う調理(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
- ○入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
- ○ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
- ○移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
- ○車イスでの移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
- ○洗濯物をいっしょに干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとと もに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
- ○痴呆性の高齢者の方といっしょに冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。
2 家事援助
家事援助とは、身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助(そのために必要な一連の行為を含む)であり、利用者が単身、家族が障害・疾病などのため、本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行われるものをいう。(家事援助は、本人の代行的なサービスとして位置づけることができ、仮に、介護等を要する状態が解消されたとしたならば、本人が自身で行うことが基本となる行為であるということができる。)
※ 次のような行為は家事援助の内容に含まれないものであるので留意すること。
- (1) 商品の販売・農作業等生業の援助的な行為
(2)
直接、本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為 |
2−0 サービス準備等
- サービス準備は、家事援助サービスを提供する際の事前準備等として行う行為であり、状況に応じて以下のようなサービスを行うものである。
2−0−1 健康チェック
- 利用者の安否確認、顔色等のチェック
2−0−2 環境整備
- 換気、室温・日あたりの調整等
2−0−3 相談援助、情報収集・提供
2−0−4 サービスの提供後の記録等
2−1 掃除
- ○居室内やトイレ、卓上等の清掃
○ゴミ出し ○準備・後片づけ
2−2 洗濯
- ○洗濯機または手洗いによる洗濯
○洗濯物の乾燥(物干し) ○洗濯物の取り入れと収納 ○アイロンがけ
2−3 ベッドメイク
- ○利用者不在のベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等
2−4 衣類の整理・被服の補修
- ○衣類の整理(夏・冬物等の入れ替え等)
○被服の補修(ボタン付け、破れの補修等)
2−5 一般的な調理、配下膳
- ○配膳、後片づけのみ
○一般的な調理
2−6 買い物・薬の受け取り
- ○日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む)
○薬の受け取り
■2018年通知
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