厚生省介護保険のサービス支給対象年齢を0〜64歳まで引き下げ案
(10月29日の社会保障審議会の介護保険部会の資料解説)

10月29日の社会保障審議会の介護保険部会で、 いよいよ、介護保険のサービス支給対象年齢を0〜64歳まで引き下げるという厚生省案 が出ました。

厚生省で、介護保険対象者を0歳〜64歳までを拡大した場合の、新たに介護保険給付対象 になる人数や費用が推計されこの日の審議会で配布されました。

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試算では、障害施策の利用者のうち
・在宅サービスでは利用者の50%が介護保険利用者になり、
・通所施設では利用者の50%が介護保険利用者になり、
・入所施設では利用者の75%が介護保険利用者になるとのことです

現状の支援費と精神の予算の7500億円(うち施設が6000億くらい)のうち、6割(4500億 円)が介護保険に移行するとのことで、これは3000億円が障害施策にのこることを意味し ています。

(ガイドヘルプや、障害施策に特化したデイ、就労支援、施設の昼間の訓練部門などが障 害施策に残り、ホームヘルプや施設の夜間の介護部分(グランドデザインで言う「介護給 付」)は介護保険に入ると考えられます)

障害予算から介護保険に移行する4500億円は、半分が保険料になり、半分が公費(国と県 と市で2:1:1負担)ですから、税金は国と地方で2250億円浮く計算です。

(ちなみに、この2250億の金額はどれくらい大きいかというと、ここ数年のヘルパー予算 不足は国と地方を合わせて700億くらいです。全国3000市町村で最高24時間保障のヘル パー制度にするのにかかる費用は国と地方で1800億円です)

ただし、政治を動かさない限り、この浮いた2250億のお金は、財務省に返上されます。

なお、厚生省は、介護保険にはいったあと、20年で、0〜64歳で、在宅154億、施設65億が (介護保険の給付から)増えると試算しています。

財界が保険料負担に反対しているので、厚生省の試算はかなり少な目の試算をしていると 思われます。

また、試算の中には、
・障害施策の在宅のみを介護保険対象にした場合(介護保険支出6000億円アップ)と
・障害施策の在宅と施設を介護保険対象にした場合(介護保険支出1兆円アップ)
の試算はありますが、
「施設のみを介護保険対象にした場合」というのはありませんので、それは考えてないよ うです。 (金額は8年後の推計)

なお、審議会は、厚生労働省の「介護保険対象を0〜64歳に広げ、保険料は20歳以上 などを対象にする」という案に対し、ほとんどの委員が反対し、退席委員も出るなど、大 荒れだったようです。

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