従来の通知に基づく吸引をできないと勘違いしている県が多いため、各県庁に解 説と要望書を送りました。
平成26年7月16日
@@県知事殿
所在地 東京都小平市花小金井南町1−18−25
NR花小金井駅前1階A1号室
名 称 全国障害者介護保障協議会
代 表 河本 満幸 印
H P http://www.kaigoseido.net/
電 話 042−462−5996(担当:大野)
痰の吸引の実質的違法性阻却について(要望)
貴職におかれましては、平素より障害福祉施策にご尽力いただき、厚く御礼申し上げます。
痰の吸引の介助を必要とする全身性重度障害者や難病患者が、ヘルパーから長時間の介護を受けながら在宅で生活することが増えてきています。ところが、最近、いくつかの県で、国の通知を読み誤ったために、利用者が大変困ったことになる事例がありました(それぞれの障害者から当会に相談が寄せられたため、厚生労働省に相談したところ、厚生労働省から2県に正しい説明をしていただき、解決しました)。市町村行政や地域の訪問看護などが通知などを誤読して困っているという相談は従来から全国的に寄せられているため、今一度それぞれの都道府県で市町村や訪問看護事業所などの関係機関に周知をお願いしたく、以下要望します。
厚生労働省の考えでは、障害者のヘルパー制度について「吸引については平成24年4月1日に法制化されたが、その研修機会はまだまだ十分ではないため、利用者がすぐに新しいヘルパーに吸引してもらう必要がある場合などは、改正法に基づく喀痰吸引等研修をヘルパーが受講するまでの間は、当然、ヘルパーはそれ以前からの通知による実質的違法性阻却の方法によって吸引が可能」というものです。
この見解を正しく理解し、都道府県内の各部署・市町村・訪問看護事業所などに伝達 をお願いします。
※障害ヘルパーの吸引についての確認の問い合わせは、厚生労働省障害保健福祉部障 害福祉課の身体障害者福祉専門官へお願いします。実質的違法性阻却の継続は、ホームヘルパー、特別支援学校、特別養護老人ホームなどに根拠となる通知が異なるので、他の部署(改正法の吸引全般は社会・援護局が担当、障害者施設は障害福祉課の別の係が担当)に聞いても回答できません。
参考1:西日本のA県で起きたことの例
在宅の人工呼吸器利用(吸引もヘルパーが行う)の全身性障害者の介護を行っていたヘルパーのうち1名が退職することになった。代わりに新規のヘルパーが介護に入ることになった。ただし、当面は県が改正法に基づく喀痰吸引等研修を開催しないため、それまでの間は従来の実質的違法性阻却の通知に基づいて吸引を行おうとした。しかし、県がそのようなことはできないと言い、これを止めさせた(厚生労働省から県に電話で解説をして解決。)
参考2:東日本のB県で起きたことの例
在宅の人工呼吸器利用(吸引もヘルパーが行う)の全身性障害者が、家族の介護力低下のため、障害ヘルパーとの契約時間数を増やし、新しく入るヘルパーに吸引も頼むことにした。契約先のヘルパー事業所は、県が改正法に基づく喀痰吸引等研修を開催するまでの間は、従来の通知に基づく吸引ができることを理解していたので、従来の通知に基づいて訪問看護師に手技を教えてもらおうとした。しかし、訪問看護事業所が県に問い合わせたところ、県がダメだと回答したため、ヘルパー時間数が増やせないことになった(厚生労働省から県に説明して解決。)
参考3:根拠通知
痰の吸引については、平成24年4月1日の改正『社会福祉士及び介護福祉士法』の施行以前から、ヘルパーに実質的違法性阻却として一定の条件で認める厚生労働省の通知(平成15年7月17日医政発0717001号「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」、平成17年3月24日医政発0324006号「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」)が出ていましたが、この通知は今も廃止されずに存続しています。平成24年3月29日医政発0329第14号/老発0329第7号/社援発0329第19号「介護職員等の実施する喀痰吸引等の取り扱いについて」では、従来の通知での吸引について、今後も(実質的違法性阻却としての吸引ため「やむを得ないもの」として表現されていますが)、
改正法に基づかない介護職員等の喀痰吸引等がやむを得ないものかどうかは個別具体的 に判断されることになる
と記載し、吸引等の改正法によらない従来の通知に基づく吸引もやむをえない場合にはありうることを説明しています。
■ 医療的ケア(吸引)の従来の通知を残す旨の通知について(解説)
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