社会福祉関係主管課長会議資料 平成6年3月2日(水)
指示事項
T 身体障害者福祉行政の推進について
U 自立と社会参加の促進
V 施設福祉対策の充実
W 福祉用具の研究開発・普及の促進 X その他
連絡事項
1 身体障害者スポーツ大会の開催について
2 長野冬季パラリンピック大会について
3 手話通訳技能認定試験
資 料
社会・援護局 更生課
(13ページから16ページの抜粋)
指示事項
3 在宅福祉サービス等の充実
(1)ホームヘルプサービス事業
ア (略)
イ この制度が、身体障害者の自立と社会参加を支える役割を担うためには、障害の特性と多様なニーズに対応した制度運営面における配慮が極めて重要である。
ついては、法律、要綱、通知及び各種手引等を踏まえるとともに、以下の事項にも留意して、制度の適切な運営に努められたい。
1 派遣対象者について
@ 所得状況は、ヘルパーの派遣対象者を決定するうえでの要件ではないので、派遣 対象者を低所得者に限ることは適当でないこと。費用徴収対象世帯を優先することも適当でないこと。
A ヘルパーの派遣対象者を単身世帯に限ったり、同居者がいることをもって派遣を 行わなかったりすることは適当でないこと。
B 上記のような制限を要綱等で設けている市町村にあっては、早急にこれを撤廃す ること。また、派遣の優先順位の決定等においてこうしたことを考慮に入れている場合についてもこれを是正すること。
2 派遣の決定について
@ 派遣対象者は、「重度の身体上の障害等のため・・・・・者」とされているが、 一律に障害程度等級によることは適当でないこと。要は、個別のニーズに着目して決定されるべきものである。
A 派遣の決定に当たっては、時間を要することのないよう迅速に行うこと。
なお、緊急の場合には、ヘルパーの派遣を行った上で手続きについては事後において行うことも許容されるものであること。
B ヘルパーの派遣決定等に際し、民生委員の意見を求めることは要件とされていな い。民生委員等の意見を求めることを義務づけ、それが派遣決定の妨げになってはならないこと。
C 市町村は、提供しているサービスが適切かどうかにつき定期的に確認し状況に応 じた調整を行うなど適切な事業の管理を行うこと。
3 派遣回数等について
@ ヘルパーの派遣回数等は、利用者の日常生活上のニーズに応じて決定されるべき ものであり、画一的に決定すべきものではない。(平成2年度において課長通知を改正し、派遣体制の整備の目安とするサービスの上限にかかわる規定を削除したのも、こうした考え方を撤廃する趣旨であるので、特にこの点の周知をお願いする。)
A サービス量の決定に当たっては、利用者間において不公平が生じないようにする 必要がある。なお、この点に関し、高齢者サービス調整チームにおいて身体障害者をも含めたサービスの調整を行っている市町村もある。
B 身体障害者の多様なニーズに対応するためには、早朝、夜間、休日等における対 応が大きな課題である。ついては、ヘルパーの量の確保とともに勤務体制の弾力化、委託制度の活用等により、課題の解消に向けて積極的な取組を行う必要がある。
4 サービスの内容等について
@ ヘルパーが提供するサービスの内容をめぐって、利用者から次のような種々の問題提起がなされている。
ア 日常生活上のニーズに対応したサービスが受けられない。(量の不足)
イ 身体障害者の身体介護のための体力や技術に欠ける者が派遣される。
ウ 障害の特性についての理解に欠ける者が派遣される。
エ コミュニケーションの手段に欠けるため十分な意思の疎通ができない。
オ 同性ヘルパーを派遣してほしい。
A 今後の事業運営に当たっては、こうした利用者の深刻な問題を踏まえその改善に努める必要があるが、その際、次のような視点が重要である。
ア ホームヘルプサービス事業の実施主体は市町村長であるが、サービスの提供は、 市町村社会福祉協議会、身体障害者療護施設等を経営する社会福祉法人、福祉公社等、介護に携わる業務を行っている法人等に委託することができることとなっているが、当該市町村の実態に応じ、様々な形態を併用するなど、多様な身体障害者のニーズに最大限に対応できる実施体制の構築に努めること。
イ 身体介護を行うヘルパーは、介護技術とともに障害の特性についての十分な理 解を有していることが重要である。したがって、採用時・定期研修においては、こうした観点からの配慮を行うこと。
ウ 重度の身体障害者の中には、身体介護やコミュニケーションに当たって特別な 配慮を必要とする者が少なくない。こうした者への派遣決定に当たっては、利用者の個別の事情を十分考慮し適任者の派遣を行うように努めることは当然であるが、こうした対応が可能となるよう実施体制について十分な検討が必要であること。この際、身体障害者の身体介護やコミュニケーションの手段について経験や能力を既に有している者をヘルパーとして確保するような方策も検討に値すると考えられる。
5 ガイドヘルパーについて
ガイドヘルパーは、身体障害者の社会参加を推進する観点から重要な施策である。しかしながら、当該制度を実施していない市町村が未だ相当数見受けられる現状にあるので、地域の利用者のニーズを十分把握し、必要な体制を整備することにつき、個別に市町村を指導すること。なお、身体介護等を行うヘルパーのうち、ガイドヘルパーの研修を受けた者をガイドヘルパーとして登録することも検討されたい。
(6年度主管課長会議資料は以上)
|