社会保障審議会障害者部会(第28回)
日 時:平成17年10月5日 15時〜17時
場 所:東京會舘 丸の内本舘11階 ゴールドルーム
当日聞き取りメモ(ただし、資料の単純読み上げの部分は省略しています。「資料名」の部分が資料の読み上げ部分です。)
完全な議事録ではありませんので、取り扱いご注意ください
(松嶋企画課長)
・ 「資料1 障害者自立支援法案の国会への再提出について」
・ 「資料2 平成18年度概算要求の概要(障害保健福祉部)」
・平成18年度概算要求における義務的経費のうち、自立支援給付(福祉サービス)予算4143億円においては、居宅サービス予算と施設サービス予算という大括りで予算要求している
→居宅サービス予算1131億円(+278億円、32.6%増)
→施設サービス予算3004億円(+118億円、4.1%増)
→残りの諸経費は、サービス利用計画作成費など
居宅予算と施設予算のそれぞれの内訳は省内的な算出根拠に過ぎない
・公共投資関係予算57億円は障害保健福祉部直轄の施設 例)高崎市の「のぞみの園」
社会福祉施設の整備費は社会・援護局福祉基盤課で計上
(伊原企画官)
・ 「資料3 障害者自立支援法案の施行スケジュール」
・ 「資料4−1 障害者自立支援法案について」
・ 「資料4−2 あなたの利用者負担はこうなります(福祉サービス)」
・ 「資料4−3 障害福祉サービスの負担を見直します」
・ 「資料4−4 あなたの利用者負担はこうなります(自立支援医療)」
・ 「資料4−5 公費負担医療の負担を見直します」
・資料4を、都道府県を通じて市町村と現場に頒布し、障害者や保護者への説明資料として活用してもらう
・ 「資料5 障害程度区分判定等試行事業の実施結果(速報)」
・障害程度区分判定試行事業の審査会委員の職種別構成比は、事業者関係者(20%)は医師(26%)に次ぐ2番目
→しかし、社会福祉士、精神保健福祉士、理学療法士を含めると、事業者関係者がトップになる
・認定調査106項目のうち、要介護認定79項目は既存のコンピューター判定を活用できたが、それ以外の新規追加27項目(行動、精神、日常生活)は2次判定段階でしか反映させられなかった
→1次判定であるコンピューター判定の中に組み込まないといけない
・訓練等給付の支給決定の優先度判定に認定調査を用いる場合は106項目の中から特定の項目を抜き出してスコア化する、各事業でどの項目を採用するかは検討中
・支給決定プロセス試行事業において、アセスメント時に機能回復訓練、補装具、就労についても把握し、介護給付アセスメント実施者から専門職へアセスメントを引き継いだ例が見られた
(横幕企画官)
・ 「資料6 ケアマネジメントについて」
・地域自立支援協議会は、障害当事者団体の参加も想定
・ 「資料7 新しい事業体系へ向けた見直しについて」
(伊原企画官)
・ 「資料8 障害福祉サービスの実施状況について」
・利用額ごとの利用者数分布において居宅系サービスの15万円〜20万円の階層が多いのは通所サービス利用者が多いから
(国立精神神経センター・高橋清久委員)
・障害程度区分判定試行事業において2次判定段階での変更率50.4%
→新規の認定調査27項目、特記事項、医師意見書、のうちどれが主因なのか?
(伊原企画官)
・今後の分析事項である
(国立精神神経センター・高橋清久委員)
・訓練等給付の暫定支給決定について今後どのような扱うのか?
(横幕企画官)
・今日の資料に記載がないが暫定支給決定を導入するつもり
本人希望と暫定支給の結果を踏まえて本支給決定を行う
(全国精神障害者社会復帰施設協会・新保委員)
・障害程度区分判定試行事業において、精神障害者の要支援以上の割合は身体や知的と遜色のない水準
→それに比べて精神障害者に対する介護給付の社会資源が未整備
・2次判定段階での変更率50.4%の主因は、新規の認定調査27項目による精神障害者の要介護度のアップによるものと考えて良いのか?
(伊原企画官)
・2次判定段階で50%も変更されるような1次判定では、地域間で支給決定に大きなバラツキが生ずるおそれ
→27項目の影響について速やかに分析して報告する
(全国聾唖連盟・安藤委員)
・地域生活支援事業に位置づけられた事業は、自立支援法案で裁量的経費となることで、かえって国の財政責任が後退してしまうのではないか?
(松嶋企画課長)
・地域生活支援事業の基本事業については国でも予算を確保する
平成18年度でも6ヶ月予算で200億円を要求している
(伊原企画官)
・地域生活支援事業も自治体の障害福祉計画で基盤整備を保証する
(全国身体障害者施設協議会・伊藤委員)
・療養介護のみならず、生活介護においても医療的ケアを必要とする利用者は多い、しっかりフォローしてください
・自立訓練において、身体障害者は機能訓練(身体的リハビリテーション)、知的障害者と精神障害者は生活訓練(社会的リハビリテーション)、という仕切り
→先天的な身体と知的の重複障害者だけでなく、疾病や外傷による後天的な重複障害者にも社会的リハビリテーションのニーズが多い
(横幕企画官)
・1人1人のニーズを踏まえた自立訓練プログラムが必要
機械的にならないようにプログラムのあり方を考える
(全国自治体病院協議会精神科部会・猪俣委員)
・障害程度区分判定試行事業において2次判定段階での変更率50.4%
特に精神障害者で変更が顕著
→2次判定の基準をしっかりつくらないと「審査会間格差」になりかねない
・27項目は適切か? cf)精神障害者に要介護3以上が少ない
→この27項目の問題点の指摘がアセスメントや支給決定書の担当者から挙がっていないのか、分析結果を提出してほしい
→医療を適切に受けられるかの調査事項が27項目に含まれていない
例)服薬管理ができるか
在宅生活に訪問看護が不可欠か否か
身体的には歩けるけれど、付き添いがないと通院できない
(伊原企画官)
・この障害程度区分は介護給付のための道具
個々人の障害全体の程度を判定するものではない
・たしかに精神障害者や知的障害者は身体障害者に比べて要介護が低い
→しかし、これはむしろケアの必要量の反映ではないのか?
例)施設においても、身体障害は知的障害や精神障害に比べて人員配置が手厚い
(全国自治体病院協議会精神科部会・猪俣委員)
・7万2000人の社会的入院の解消を国是としている
→障害程度区分判定試行事業で、長期入院している精神障害者がどれほど調査対象者になっているのか?
→むしろ、社会資源が足りないから地域に出てこられなかったというパラドックス
(日本看護協会・岡谷委員)
・市町村が配置する相談支援事業の専門的職員として、「精神保健福祉士」「就労支援のコーディネーター」「権利擁護の専門家」「発達支援の専門家」以外に何を想定しているのか?
例)精神障害者への支援においては、従来は保健士が中心的な役割を担っていた
(横幕企画官)
・個別の資格を挙げるのではなく、市町村レベルで必要な専門的対応は何かという観点から考えていく
(滋賀県社会福祉事業団・北岡委員)
・施設入所者が、施設外で日中活動を行う(通所施設を利用する)場合の利用者負担は?
(伊原企画官)
・グループホーム入居者と同様、それぞれの個別減免が適用される
(日本盲人会連合会笹川委員)
・ホームヘルプのみの利用者の軽減措置は?
・障害程度区分判定試行事業において、視覚障害者も180名が参加している
→身体障害者の中でも障害種別ごとに集計した調査結果を出してほしい
・障害程度区分判定試行事業の審査会委員に障害当事者委員はどれくらい?
(伊原企画官)
・在宅サービスのみの利用者の場合、収入に応じた月額上限のほか、社会福祉法人減免により上限額が半額になる
・障害程度区分判定試行事業の審査会委員312人のうち障害当事者は9人
(小板委員)
・授産施設の工賃について、働く意欲を削がないように、施設入所者や施設通所者においても工賃全額が利用者負担とするべきではない
グループホーム入居者のみならず工賃控除の対象者の範囲を拡大するべき
・住まいの場と日中活動の場の分離について、送迎の扱いはどのようになるのか?
・分場制度の扱いは?
(伊原企画官)
・工賃収入に対する配慮
→低所得1と2への個別減免
グループホーム入居者は、(工賃+年金−3,000円控除−66,000円)×15%を負担
施設入所者は、(工賃+年金−3,000円控除−66,000円)×50%を負担
→在宅の施設通所者は社会福祉法人減免が利用できる
→就労継続支援の雇用型では、事業者の負担により利用者負担を減免することもOK
(横幕企画官)
・日中活動への送迎については必要に応じて検討する
cf)デイサービスでは送迎が報酬対象として評価されている
就労継続支援では自分で通うことを前提として考える
・サービス水準を維持できる範囲内で規制緩和する方針、その中で分場制度も考える
(かながわ福祉サービス運営適正化委員会・古畑委員)
・個別減免も申請主義
→判断能力が不十分な場合には、成年後見人制度を活用して申請するように呼びかけるべき
(伊原企画官)
・権利擁護の観点から成年後見人制度は重要
例)精神障害者の成年後見人の制度化を平成18年度概算要求に新規で盛り込んだ
(社福法人桑友・武田委員)
・ショートステイは介護給付に位置づけられている
→在宅やグループホーム入居者で普段は訓練等給付を受けている人に対して緊急に対応できるように配慮してほしい
・訓練等給付の支給決定の優先順位の根拠は?
(横幕企画官)
・訓練等給付の生活訓練で個別プログラムを作成
→一般的には通所サービスと訪問サービスの組み合わせを想定している
→必要に応じてショートステイもプログラムの中に組み込めるように検討していく
(伊原企画官)
・訓練等給付の支給決定は、
@本人意思が最優先
A暫定支給決定の結果を踏まえてサービスの適否を判断
B利用希望量が地域の資源量を超えた場合は、重度障害者を優先して暫定支給決定し、「おためし」をしてもらう
(日本精神科病院協会・長尾委員)
・障害程度区分について
→今回の試行事業で得られた医師意見書に基づいて、新しい認定調査27項目を追加する予定はあるか?
医師意見書はあくまで二次判定の材料ということで、今回得られたものは一次判定の中に組み込まないのか?
・訓練等給付の生活訓練の対象者が、病院退院、施設退所、養護学校卒業により社会的リハビリテーションを必要とする知的障害者や精神障害者に限定
→このように利用者を限定してしまうと、家族の支えを受けて生活している重度の知的障害者や精神障害者が除外されてしまう
・訓練等給付(自立訓練や就労移行支援)に伴う居住支援サービスとしての「施設入所」とは第一種社会福祉事業の支援施設を想定していると理解して良いのか?
(伊原企画官)
・試行事業により、新規追加27項目について1800人分のデータが蓄積された
→障害程度区分でコンピュータ判定する追加項目は今回の27項目を前提に考える
・試行調査における医師意見書や特記事項も分析し、市町村審査会における二次判定段階でのルールづくりで考えていく
(横幕企画官)
・生活訓練の対象者は、想定される「主たるタイプ」にすぎない
必要に応じて在宅の障害者も対象者として考えていく
・訓練等給付(自立訓練や就労移行支援)に伴う居住支援サービスは、施設入所支援とは制度的に別
→具体的な基準等はこれから整理する
(精神医療サバイバー・広田委員)
・精神障害者手帳ができて10年、なのにまだサービス量が増えていない
→今回の自立支援法案において、支給決定について精神障害者手帳の活用ではなく、なぜ障害程度区分判定となったのか?
・障害程度区分について精神障害者のグループが異を唱えて調査している
→実際の障害程度区分に反映させてほしい
・障害程度区分を3障害共通にする必要があるのか?
身体障害者と精神障害者で共通の基準をつくればIADL(手段的日常生活動作)中心になりかねない
・精神障害者の地域生活を支えているのは福祉と医療だけではない
地域社会による支えも重要
例)福祉センターではなく喫茶店に遊びに行って調子を取り戻した精神障害者も
→福祉/医療サービスの整備だけでなく、所得保障も重要課題 cf)附帯決議
所得保障によって障害者も消費者になりうる
例)1割負担⇒「買うサービス」⇒精神科医療でもインフォームドコンセント
(伊原企画官)
・自立支援法案は3障害統合としてアジェンダセッティングされている
→障害種別は違っても必要とする給付内容は共通
手帳ではなく、介護給付に着目した基準として共通の障害程度区分を設定する
重複障害者にも対応できる、谷間の障害者をすくい上げることもできる
しかし受給者は1人1人異なる、当然ケアのあり方も変わってくる
→ケアマネジメント、サービス提供計画
(全国社会就労センター協議会・星野委員)
・就労継続支援事業の非雇用型が、就労移行支援事業で一般雇用に結びつかなかった人を対象者としている
→養護学校を卒業した重度障害者も、就労継続支援事業の非雇用型を利用するには、就労移行支援事業を経由しなくてはいけないのか?
制度が定着するまでの間、経過措置が必要ではないか?
・施設の日払い制に問題はないのか?
→居住施設の場合、生活の場の安定や継続性という観点からふさわしくない
→訓練等給付の場合、利用者1人1人のその日の状況に対応して柔軟に対応している
結果報酬としての日払い制はなじまない
(横幕企画官)
・月払い制では、利用者がサービス利用量に応じて負担することと整合性が保てない
日払い制によって利用者に不安が広がるおそれ
→支給決定での本人意向、暫定支給決定、サービス利用計画などの制度によってフォローする
(日本医師会・野中委員)
・利用者の最大の不安は、適切なサービスを受けて生活ができるのか
支給決定を受けて、予算を確保されても、地域にサービスがなくては意味がない
支給決定プロセスを適切に踏まえられれば、適切なサービスが提供されるはず
例)施行5年後の介護保険法改正
(中村社会・援護局長)
・適切な障害程度区分、適切なケアマネジメント、適切な相談支援体制、が最重要課題
・支援費制度の予算配分
→「在宅4:施設6」で施設偏重 cf)介護保険は「在宅5:施設5」
→「知的64:身体31:障害児3:精神1」でバランスの是正が不可欠
→3障害の理念を掲げながらも、障害特性に応じた適切なサービスメニューを用意